WHITE PAPER|電気機器 × 営業・マーケティング
電力インフラの
投資拡大の波を、
受注に変えられるか?
重電メーカーのための
電力インフラ需要の拡大に応える営業・提案・供給体制の実践フレームワーク
6~7兆円 4~5割 設備更新
2050年までの 2040年度の電源構成に 高度成長期の設備の
系統増強投資の見込み 占める再エネの見通し 更新需要
本稿の内容 電力インフラ需要の分野別の伸び(概念図)
送変電設備
1 電力インフラ投資が「好機」になった理由
再エネの系統接続
2 電力システムをめぐる計画と政策の動き
データセンター向け
3 受注を阻む営業・供給の壁
蓄電システム
4 需要を受注に変える4層フレームワーク 既存設備の更新
需要の伸び:大 需要の伸び:中 需要の伸び:小
5 セルフ診断と次のステップ ※概念図であり、実際の値は企業・製品により異なります
アクセンチュア株式会社 2026年 外部公開版
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EXECUTIVE SUMMARY
需要拡大を受注・利益につなげる仕組みの構築が問われている
再生可能エネルギーの拡大、データセンターなどによる電力需要の増加、高度経済成長期に整備された設備の更新が重なり、
電力インフラへの投資が拡大しています。電力広域的運営推進機関のマスタープランでは、2050年までの系統増強の投資額は
約6~7兆円と見込まれています。
本稿では、重電メーカーがこの需要の拡大を受注と利益につなげるため、案件の見通しに基づく営業、提案力の強化、供給能
力の確保を一体で進めるための考え方とアプローチを整理します。
Why 1
需要拡大は、必ずしも受注拡大にはつながらない
電力インフラの案件は、計画から発注まで長い期間がかかり、仕様も顧客ごとに異なります。需要が増えても、案件の情報を早くつかみ、顧
客の課題に合わせた提案ができなければ、受注にはつながりません。
さらに、変圧器や開閉装置などは、部材の調達や製造能力が制約になりやすい製品です。供給能力の不足による納期遅延は、顧客との
信頼関係にも影響します。営業と供給を一体で計画することが求められています。
図1 電力インフラ案件のバリューチェーンと受注のホットスポット
計画 案件化 提案・受注 製造・調達 据付・保守
系統増強 案件情報
技術提案 部材の調達 据付工事
の計画 の把握
再エネの 顧客の
見積・価格 製造能力 保守契約
接続計画 課題整理
需要の 競合との
仕様の検討 納期遵守 更新提案
見通し 比較
受注・利益への影響が大きい領域 影響が中程度の領域 影響が比較的小さい領域
図1:案件の早期把握と提案、部材・製造能力の確保が、受注・利益を左右します(概念図)
6~7兆円 4~5割 2025年2月
2050年までの系統 2040年度の電源構成に 第7次エネルギー
増強投資の見込み 占める再エネの見通し 基本計画が閣議決定
※出典:電力広域的運営推進機関「広域系統長期方針(広域連系系統のマスタープラン)」(2023年3月)、資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」(2025年2月)
※図1と表紙の図は概念図です
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図2 需要拡大を受注・利益につなげるうえでの3つの構造的課題
第1の壁 第2の壁 第3の壁
情報 提案 供給
案件 ・ 時期 ・ 顧客 技術 ・ 仕様 ・ 価格 部材 ・ 製造能力 ・ 納期
・案件情報の把握の遅れ ・顧客ごとに仕様が異なる ・部材の調達期間が長い
・発注時期の見通しが不正確 ・技術提案に時間がかかる ・製造能力に限りがある
・顧客の課題を整理できない ・価値を価格に反映できない ・納期の約束が難しい
営業対応の遅れ 価格競争に陥りやすい 受注機会の損失
図2:情報・提案・供給の3つの壁が、需要の拡大を受注と利益につなげることを難しくしています
Why 2
案件の見通しから逆算して、営業と供給を計画する
電力インフラの投資は、国や電力会社の計画として公表される部分が多く、中長期の案件見通しを立てやすいという特徴があります。計画
と顧客の情報を整理し、案件の発生時期と規模を予測することで、先回りした提案ができます。
案件の見通しは、部材の調達と製造能力の計画にも生かせます。営業の見通しと供給の計画を共通のデータに基づいて管理し、受注で
きる量と納期を見極めることが、利益を伴う成長の鍵になります。
図3 電力システムをめぐる計画と政策の主な動き
2020年 2023年 2023年 2024年 2025年 今後 2040年度
1 2 3 4 5 6 7
2050年カーボン 系統増強の GX推進法 データセンター 第7次エネルギー 設備更新の 再エネ4~5割
ニュートラル宣言 マスタープラン が成立 の電力需要に 基本計画 需要が増加 の見通し
を公表 注目が集まる
国の計画・政策 市場の動き
図3:国の計画が整い、電力インフラへの投資が拡大する局面に入っています
需要の波は見えています。必要なのは、それを確実に受注につなげるための体制づくりです。
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Why 3
受注の拡大は「営業部門だけ」では実現しない
電力インフラの受注には、営業・技術・調達・製造が連携し、提案と実現可能な納期を同時に提示する必要があります。部門ごとに別々
の見通しで動くと、受注機会の損失や、受注後の収益性低下につながります。そこには3つの課題があります。
案件の見通しの共有
1 公表計画と顧客の情報から、案件の時期と規模を予測し全社で共有します。
提案の標準化と価値の訴求
2 仕様と提案の標準化を進め、技術の価値を価格に反映します。
供給能力の確保
3 案件の見通しに合わせて、部材の調達と製造能力を計画します。
図4 従来の営業と目指す姿
従来の営業 目指す姿
引き合いが来てから動く 案件の見通しから先回りして提案
案件情報は営業担当者が管理 案件の見通しを全社で共有する
提案は案件ごとに一から作る 提案の標準化による作成期間の短縮
価格中心の競合比較 技術力・納期対応力による差別化
受注後に部材と能力を手配する 見通しに合わせて供給を計画する
アプローチ
案件の見通しを起点とし、営業・提案・供給を一体で計画
公表されている計画と顧客の情報を整理し、案件の発生時期と規模を予測します。その見通しを営業・技術・調達・製造で共有し、提案
の標準化と供給能力の計画に落とし込みます。それを支えるのが次の4層の仕組みです。
図5 電力インフラ需要を受注に変える4層フレームワーク
Layer 4 経営・投資判断
能力増強 受注方針 価格方針
製造能力の増強と受注方針を全社で決定
Layer 3 供給計画
部材調達 製造能力 納期管理
部材の調達と製造能力の計画
Layer 2 提案・価格
提案の標準化 技術提案 価格設計
提案の標準化と技術価値の訴求
Layer 1 案件の見通し
公表計画 顧客情報 案件予測
公表計画と顧客情報からの案件予測
図5:案件の見通しを土台に、提案・供給計画・投資判断を積み上げます
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図6 電力インフラ需要への対応 実行ロードマップ
STEP 1 0~6ヵ月 STEP 2 6~18ヵ月 STEP 3 18ヵ月~
案件の見通しと 提案と供給の 受注拡大と
現状の把握 仕組みづくり 継続的な改善
案件の予測モデル 提案の標準化の整備 重点顧客への提案
受注・失注の分析 部材の先行調達 能力増強の判断
供給能力の把握 製造能力の計画 見通しの定期的な更新
重点案件の明確化 受注拡大にむけた体制の構築 需要拡大を収益につなげる
図6:見通し・仕組み・拡大の3段階で、電力インフラ需要を受注と利益につなげます
STEP 1 案件の見通しを立てる
国や電力会社の公表計画と顧客の情報から、案件の発生時期と規模を予測します。過去の受注・失注の要因と、自社の供給能力の制
約を把握します。
STEP 2 提案と供給の仕組みを整える
仕様と提案の標準化を整え、技術価値を価格に反映した提案を迅速に提示できるようにします。案件の見通しに合わせて、部材の先行
調達と製造能力の計画を立てます。
STEP 3 受注拡大と案件見通しの継続的な更新
重点顧客と案件に提案活動を重点化し、受注を拡大します。見通しを定期的に更新し、製造能力の増強や受注方針を見直します。
期待する成果
段階ごとに得られる成果
短期(0~6ヵ月) 中期(6~18ヵ月) 長期(18ヵ月~)
→ 案件の予測 → 提案の標準化の整備 → 受注の拡大
→ 受注・失注の要因分析 → 部材の先行調達 → 納期の遵守
→ 供給制約の把握 → 製造能力の計画 → 利益率の向上
※成果の時期は目安であり、対象範囲や状況により異なります
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セルフ診断
あなたの会社は、拡大する電力インフラ需要を受注につなげられていますか?
以下の項目に1つでも当てはまる場合、需要の拡大を利益につなげられないリスクが潜んでいる可能性があります。
図7 電力インフラ営業 セルフ診断チェック
案件の発生時期と規模を予測していない
要対応レベル
→ 早急な対応が必要な可能性があります
案件の情報が営業担当者ごとに分散している 0
→ 早急な対応が必要な可能性があります 現時点では大きな懸念なし
提案を案件ごとに一から作っている
1~2
→ 早急な対応が必要な可能性があります
注意が必要
受注後に部材と製造能力を手配している
→ 早急な対応が必要な可能性があります
3以上
失注の要因を分析していない 早急に着手
→ 早期の見直しをおすすめします
当てはまる項目の数
案件見通しに基づく製造能力増強の判断を行っていない
→ 早期の見直しをおすすめします
図7:紫の背景は早急な対応が必要な項目、灰色の背景は早期の見直しをおすすめする項目です
1つでも当てはまる場合 3つ以上当てはまる場合
需要の拡大を受注と利益につなげられないリスクが潜んでいる 営業と供給の仕組みの見直しに早急に着手すべき段階です。
可能性があります。まずは、今後3年間の案件の見通しを確 案件の見通しを全社で共有することから始めることをおすすめし
認してください。 ます。
次のステップ
受注体制の現状診断から始める
電力インフラ需要を取り切る仕組みは、すべてを一度に変える必要はありません。案件の見通しを立て、全社で共有することから始まります
。アクセンチュアでは、現状診断から、案件予測の仕組み、提案の標準化づくり、供給計画との連携まで、段階的に支援しています。
電力インフラ需要への対応を、まずは相談してみませんか?
現状診断のご相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
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本稿のデータは公表情報・統計資料に基づきます。図は概念図を含みます。個別の投資・経営判断については、当社の専門家にご相談ください。
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