WHITE PAPER|電気機器 × 戦略・経営企画
家電が行き渡った国で、
次の成長を
どこに描くか?
家電・住宅設備機器メーカーのための
買い替え需要の鈍化を超える製品・サービス戦略の実践フレームワーク
成熟市場 長寿命化 継続収益
主要家電が 買い替えサイクル 使用データを生かす
行き渡った国内市場 の長期化 サービスへ
本稿の内容 収益機会の分野別の伸び(概念図)
新規の製品販売
1 国内市場の成熟が「経営課題」になった理由
買い替え需要
2 成長モデルが転換するまでの道のり
高機能品への置き換え
3 成長を阻む構造的な壁
修理・保守サービス
4 製品・サービス戦略の4層フレームワーク 使用データの活用
収益機会の伸展:小 収益機会の伸展:中 収益機会の伸展:大
5 セルフ診断と次のステップ ※概念図であり、実際の値は企業・製品により異なります
アクセンチュア株式会社 2026年 外部公開版
Supply Chain & Engineering(SC&E)
SupplyChain_Engineering@accenture.com
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EXECUTIVE SUMMARY
台数を追う成長の限界を超え、使われ方から価値を生む発想への転換
国内では主要な家電製品が多くの世帯に行き渡り、人口と世帯数の減少も進んでいます。製品の性能が上がって長く使えるよう
になったことで、買い替えのサイクルも長くなりがちです。新しい製品を売るだけでは、売上を伸ばすことが難しい時代になっています
。
本稿では、家電・住宅設備機器メーカーが、買い替え需要の鈍化を前提に、高機能品への置き換え、使用データを活用したサ
ービス、修理・保守の収益化を組み合わせ、新たな成長につなげるための考え方とアプローチを整理します。
Why 1
台数の成長から、顧客1人あたりの価値の成長へ
国内の家電市場は、新規購入よりも買い替えが中心になっています。買い替えの時期は、故障や生活の変化といった顧客の事情に左右
され、メーカーが需要を喚起しづらい構造です。
一方、ネットにつながる家電(以下、接続家電)の普及に伴い、製品がどのように使われているかをデータで把握できるようになりました。
使用データを生かして、省エネ提案や故障予兆に基づく修理、買い替え提案を行うことで、顧客との継続的な関係を築くことができます。
図1 家電事業のバリューチェーンと収益機会のホットスポット
企画・開発 製造・調達 販売 使用 修理・買い替え
新製品の
部材の調達 量販店 使用データ 修理・保守
開発
省エネの
省エネ性能 生産拠点 自社EC 部品の供給
提案
ネット接続 法人・ アプリ 買い替え
品質
機能 住宅向け サービス 提案
収益機会:大 収益機会:中 収益機会:小
図1:収益機会は、製品の販売後の使用・修理・買い替えの段階に広がっています(概念図)
成熟市場 長寿命化 接続家電
主要家電が 買い替えサイクルの長期化 使用データを
行き渡った国内市場 得られる製品の増加
※図1と表紙の図は概念図であり、収益機会は製品・顧客・地域により異なります。
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図2 成熟市場での成長を阻む3つの構造的な壁
第1の壁 第2の壁 第3の壁
需要 顧客接点 収益モデル
普及 ・ 人口 ・ 製品の長寿命化 量販店 ・ 購入後 ・ データ サービス ・ 修理 ・ 評価
・主要家電が行き渡っている ・販売を量販店に頼っている ・サービスの収益化が難しい
・人口と世帯数が減っている ・購入後の顧客と接点がない ・修理の採算性が低い
・製品の寿命が長くなった ・使用データを生かせていない ・事業の評価指標が販売台数に偏っている
製品販売数の減少 販売後の接点がない 新たな収益源を生み出せない
図2:需要・顧客接点・収益モデルの3つの壁が、成熟市場での成長を難しくしています
Why 2
販売後の顧客との関係から、収益を生み出す
接続家電やアプリを通じて、メーカーは購入後の顧客と直接つながれるようになりました。使用状況のデータから、省エネの改善、故障の予
兆、買い替えに適した時期を把握できます。
これらを生かすことで、修理・保守の提案、消耗品の定期購入、上位機種への買い替えの提案など、販売後の収益機会を広げられます。
製品の企画の段階から、販売後のサービスを含めて設計することが求められます。
図3 家電事業の成長モデルが転換するまでの道のり(概念)
開始 3ヵ月 6ヵ月 9ヵ月 12ヵ月 18ヵ月 24ヵ月~
1 2 3 4 5 6 7
顧客と製品 接続家電の サービスの 重点製品 修理・保守 買い替え提案 サービス起点
の現状把握 データ分析 仮説設計 での試行 の収益化 の仕組み化 の製品企画
現状把握と設計 試行と拡大
図3:顧客と製品の現状把握から始め、試行を重ねてサービス起点の事業へと広げます
製品販売後も、顧客との関係を育てる発想が必要です。
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Why 3
成長モデルの転換は「商品企画部門だけ」では進まない
販売後のサービスで収益を上げるには、企画・販売・修理・IT・顧客対応が連携し、顧客とのつながりを1つの仕組みで管理する必要があ
ります。そこには3つの課題があります。
顧客と製品の情報の統合
1 購入・使用・修理の情報を顧客ごとにひも付け、顧客と製品の関係を把握します。
販売後サービスの設計
2 省エネ提案・修理・定期購入など、収益になるサービスを設計します。
評価と組織の見直し
3 販売台数だけでなく、顧客との取引期間全体の価値で評価します。
図4 従来の事業モデルと目指す姿
従来の事業モデル 目指す姿
販売台数で成長を測る 顧客1人あたりの価値で測る
販売は量販店に頼る 自社のECとアプリで顧客とつながる
購入後の顧客と接点がない 使用データで関係を続ける
修理は採算の合わない業務 修理・保守を収益事業にする
製品の性能で差別化する 販売後の体験も含めて差別化する
アプローチ
顧客との関係を起点とした製品とサービスの組み合わせ
購入・使用・修理の情報を顧客ごとにつなぎ、どの製品で、どのような価値を販売後にも提供できるかを見極めます。重点製品で試行し、
収益モデルと組織の評価を合わせて設計します。それを支えるのが次の4層の仕組みです。
図5 成熟市場での製品・サービス戦略 4層フレームワーク
Layer 4 組織・評価
評価指標 推進組織 人材
顧客の取引期間全体の価値で評価する仕組み
Layer 3 収益モデル
修理・保守 定期購入 買い替え
修理・保守・定期購入・買い替え提案
Layer 2 販売後サービス
省エネ提案 故障予兆 アプリ
使用データを生かした提案と体験
Layer 1 顧客と製品の情報
購入情報 使用データ 修理履歴
購入・使用・修理の情報の統合
図5:顧客と製品の情報を土台に、サービス・収益モデル・組織を積み上げます
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図6 成熟市場での成長戦略 実行ロードマップ
STEP 1 0~6ヵ月 STEP 2 6~18ヵ月 STEP 3 18ヵ月~
顧客と製品の 重点製品での 拡大と
現状把握 試行と設計 組織化
顧客接点の棚卸し サービスの試行 対象製品の拡大
使用データの分析 修理・保守の収益化 評価指標の見直し
サービス案の検討 価格・契約の設計 サービス起点の企画
収益モデルの
提供内容の可視化 成熟市場での成長を実現
手ごたえをつかむ
図6:把握・試行・拡大の3段階で、成熟市場での新たな成長をつくります
STEP 1 顧客との接点とデータを把握する
購入・使用・修理に関するデータの所在を整理し、接続家電の使用データを分析します。その結果を顧客の課題と照らし合わせ、提供で
きる価値を検討します。
STEP 2 重点製品で試し、収益化する
重点製品で、省エネ提案や故障予兆に基づく修理などを試行し、効果を測定します。修理・保守や定期購入の価格と契約の形を設計し
ます。
STEP 3 対象を広げ、組織を整える
効果を確認できたサービスを、他の製品にも展開します。顧客の取引期間全体の価値で評価する仕組みを整え、サービスを前提にした製
品企画へ移行します。
期待する成果
段階ごとに得られる成果
短期(0~6ヵ月) 中期(6~18ヵ月) 長期(18ヵ月~)
→ 顧客接点の棚卸し → サービスの試行 → 販売後の収益拡大
→ 使用データの分析 → 修理・保守の収益化 → 顧客との関係強化
→ サービス案の検討 → 価格・契約の設計 → サービス起点の企画
※成果の時期は目安であり、対象範囲や状況により異なります
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セルフ診断
あなたの会社は、販売後も顧客と関係を続けられていますか?
以下の項目に1つでも当てはまる場合、成熟市場で成長が止まるリスクが潜んでいる可能性があります。
図7 家電事業の成長戦略 セルフ診断チェック
販売台数だけで成長を測っている
要対応レベル
→ 早急な対応が必要な可能性があります
購入後の顧客と直接の接点がない 0
→ 早急な対応が必要な可能性があります 現時点では大きな懸念なし
接続家電の使用データを生かしていない
1~2
→ 早急な対応が必要な可能性があります
注意が必要
修理・保守を収益事業として見ていない
→ 早急な対応が必要な可能性があります
3以上
購入・使用・修理の情報が紐づけられていない 早急に着手
→ 早期の見直しをおすすめします
当てはまる項目の数
製品の企画に販売後のサービスが含まれていない
→ 早期の見直しをおすすめします
図7:紫の背景は早急な対応が必要な項目、灰色の背景は早期の見直しをおすすめする項目です
1つでも当てはまる場合 3つ以上当てはまる場合
成熟市場で成長が止まるリスクが潜んでいる可能性があります 成長モデルの転換に早急に着手すべき段階です。顧客と製品
。まずは、購入後の顧客との接点を確認してください。 の情報の統合から始め、重点製品で試行することをおすすめし
ます。
次のステップ
成長戦略の現状診断から始める
成熟市場での成長モデルの転換は、すべての製品を一度に変える必要はありません。顧客との接点とデータを把握することから始まります。
アクセンチュアでは、現状診断から、販売後サービスの設計、試行と収益化、組織と評価の見直しまで、段階的に支援しています。
家電事業の成長戦略を、まずは相談してみませんか?
現状診断のご相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
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本稿のデータは公表情報・統計資料に基づきます。図は概念図を含みます。個別の投資・経営判断については、当社の専門家にご相談ください。
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