WHITE PAPER|非鉄金属 × サステナビリティ
使い終わった製品は、
次の鉱山に
なっていますか?
非鉄金属メーカーのための
都市鉱山の活用とリサイクル事業化に向けた実践フレームワーク
5~30% 2031年 2024年
リサイクルによる新規採掘必要量の削減効 EU電池規則に基づく再生材使用義務の開 再資源化事業等
果 始 高度化法が成立
本稿の内容 EU電池規則の再生材の最低使用率(2031年~・%)
1 リサイクルが「資源戦略」になった理由
コバルト:16%
2 再生材をめぐる規制の動き
リチウム:6%
3 都市鉱山の活用を阻む構造的な壁 ニッケル:6%
鉛:85%
4 リサイクル事業化の4層フレームワーク
出典:EU電池規則(Regulation (EU) 2023/1542)
5 セルフ診断と次のステップ
アクセンチュア株式会社 2026年 外部公開版
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EXECUTIVE SUMMARY
需要拡大と供給制約のなかで高まる、再生金属の戦略的重要性
銅やリチウム、ニッケル、コバルトなどの需要が伸びる一方、一次資源の供給は一部の国に集中しています。国際エネルギー機関
(IEA)は、リサイクルの拡大で2040年までに新たに採掘が必要な量を5~30%減らせるとしています。EUでは2031年から電
池への再生材の使用が義務になります。
本稿では、非鉄金属メーカーが使用済み製品や工程くずを「都市鉱山」として活用し、リサイクルを環境対応から収益事業へ転
換するための考え方とアプローチを整理します。
Why 1
「環境対応」から「資源戦略」へと変化するリサイクルの位置付け
これまでリサイクルは、廃棄物の削減や環境対応の一環として位置付けられることが多くありました。しかし、一次資源の供給リスクが高まる
中で、国内で回収できるリサイクル金属は、調達を安定させる戦略資源になっています。
再生材の使用を求める規制が広がったことで、顧客から再生材の使用比率や由来証明の開示が求められ始めています。回収・選別・精
錬の仕組みを持つことが、競争力の条件になりつつあります。
図1 非鉄金属の循環とリサイクルのホットスポット
製品の使用 回収 解体・選別 精錬・再生 再利用
回収ルート 手作業の 再生材の
電子機器 再生地金
の確保 解体 品質保証
自動車・ 回収量の 電池材料
成分の分析 由来の証明
電池 ばらつき の再生
海外への 副産物の 顧客への
電線・建材 異物の除去
流出 処理 供給
課題の大きさ:大 課題の大きさ:中 課題の大きさ:小
図1:回収量の確保、電池材料の再生、再生材の由来証明が、とくに大きな課題となっています。(概念図)
5~30% 16% 2024年
リサイクルで減らせる EU電池規則のコバルト 再資源化事業等
新規採掘の必要量 再生材使用率(2031年) 高度化法が成立
※出典:IEA「Global Critical Minerals Outlook 2025」、EU電池規則(Regulation (EU) 2023/1542)、環境省。図1は概念図です。
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図2 リサイクルの事業化を阻む3つの構造的な壁
第1の壁 第2の壁 第3の壁
回収 技術・コスト 市場
量 ・ ルート ・ 流出 選別 ・ 精錬 ・ 採算 品質 ・ 由来 ・ 価格
・回収量が安定しない ・解体と選別に手間がかかる ・再生材の品質に対する懸念
・回収ルートが分散している ・電池材料の再生技術が途上 ・由来証明の仕組みがない
・使用済み品が海外に流出 ・一次資源より割高になりやすい ・再生材の付加価値を価格に反映できない
原料が集まらない 事業採算性の確保が難しい 再生材需要の拡大の難しさ
図2:回収・技術とコスト・市場の3つの壁が、リサイクルの事業化を難しくしています
Why 2
再生材の使用義務化による市場形成
EUの電池規則では、2031年からコバルト16%、リチウム6%、ニッケル6%などの再生材の使用が義務になり、2036年にはさらに引き上
げられます。日本でも2024年に再資源化事業等高度化法が成立し、「事業者の高度化」が具体的に何を指すのか分かりにくいため、意
図が明確に伝わる表現への修正をご検討ください。
規制は再生材の需要を押し上げる一方、回収量・品質・由来の証明を求めます。規制の導入・強化時期を踏まえ、必要な回収・再生
能力を計画的に整備する必要があります。
図3 再生材と資源循環をめぐる主な動き
2001年 2013年 2023年 2024年 2025年 2031年 2036年
1 2 3 4 5 6 7
家電リサイクル 小型家電 EU電池規則 再資源化事業等 IEAがリサイクル EUで再生材の EUで再生材の
法が施行 リサイクル法 が発効 高度化法が成立 の効果を試算 使用義務が開始 使用率を引き上げ
が施行
日本の制度・国際機関 EUの規制
図3:国内外で資源循環に関する制度整備が進み、EUでは再生材の使用義務化が予定されています
使用済み金属を、新たな資源供給源として活用する必要があります。
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Why 3
リサイクルの事業化は「精錬所だけ」では実現しない
リサイクルを事業にするには、回収・解体・選別・精錬・販売をつなぐ必要があります。製品メーカーや回収事業者と連携し、原料と需要の
両方を確保しなければなりません。そこには3つの課題があります。
回収網の構築
1 製品メーカーや回収事業者と連携し、安定した回収量を確保します。
選別・再生の効率化
2 自動選別や成分分析を導入し、再生コストの低減、品質改善をします。
由来の証明と販売
3 再生材の由来と比率を証明し、顧客の規制対応に応える形で販売します。
図4 従来のリサイクルと目指す姿
従来のリサイクル 目指す姿
スクラップは市況で都度購入する 回収網を自ら設計して原料を確保
リサイクルは環境部門の取り組み 資源戦略として経営が推進する
解体と選別は手作業が中心 自動選別・成分分析による選別工程の効率化
再生材の由来を管理していない 由来と比率を追跡して証明する
再生材を一次資源と同じ価格で販売 規制対応の価値を価格に反映する
アプローチ
回収から販売までを1つの事業としてつなぐ
使用済み製品や工程くずの発生量と品位を把握し、回収網を設計します。選別・再生の技術とコストを改善し、由来を証明した再生材と
して顧客に供給します。それを支えるのが次の4層の仕組みです。
図5 リサイクル事業化の4層フレームワーク
Layer 4 事業・投資判断
投資計画 収益モデル 提携戦略
リサイクル事業の投資と収益モデルを決定
Layer 3 販売・証明
由来証明 品質保証 顧客契約
再生材の由来証明と顧客への供給
Layer 2 選別・再生
自動選別 成分分析 再生技術
自動選別・成分分析・再生プロセスの改善
Layer 1 回収網
発生量 回収ルート 連携先
発生量の把握と回収ルートの設計
図5:回収網を土台に、選別・再生・販売と事業判断を積み上げます
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図6 リサイクル事業化 実行ロードマップ
STEP 1 0~6ヵ月 STEP 2 6~18ヵ月 STEP 3 18ヵ月~
発生量の把握と 回収網と 事業の拡大と
事業性の評価 再生工程の整備 継続的な改善
使用済み品の発生量 連携先との回収網 対象品目の拡大
回収ルートの把握 選別・再生の改善 顧客との長期契約
事業性の試算 由来証明の仕組み 規制動向の継続把握
資源の所在を明らかにする 再生材の供給体制の構築 リサイクル事業の収益化
図6:把握・整備・拡大の3段階で、リサイクルを収益事業に育てます
STEP 1 資源の発生量・回収ルートの把握
使用済み製品や工程くずの発生量と品位、回収ルートを把握します。規制の導入・強化時期と顧客需要を踏まえ、品目ごとの事業性を
試算します。
STEP 2 回収網と再生工程の整備
製品メーカーや回収事業者と連携し、安定した回収網を設計します。自動選別や成分分析で再生のコストと品質を改善し、由来を証明
する仕組みを整えます。
STEP 3 品目と顧客を広げ、事業を育てる
成果が出た品目から対象を広げ、顧客と再生材の長期契約を結びます。規制と市況の動きを継続的に把握し、投資と提携を見直します
。
期待する成果
段階ごとに得られる成果
短期(0~6ヵ月) 中期(6~18ヵ月) 長期(18ヵ月~)
→ 発生量の把握 → 回収網の構築 → 再生材の安定供給
→ 回収ルートの把握 → 再生コストの改善 → 長期契約の拡大
→ 品目別の事業性 → 由来証明の仕組み → リサイクルの収益化
※成果の時期は目安であり、対象範囲や状況により異なります
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セルフ診断
あなたの会社のリサイクルは、資源戦略になっていますか?
以下の項目に1つでも当てはまる場合、再生材の需要拡大に対応できない可能性があります。
図7 資源循環 セルフ診断チェック
使用済み製品の発生量と品位を把握していない
要対応レベル
→ 早急な対応が必要な可能性があります
安定した回収ルートを確保できていない 0
→ 早急な対応が必要な可能性があります 現時点では大きな懸念なし
再生材の由来と比率を証明できない
1~2
→ 早急な対応が必要な可能性があります
注意が必要
EU電池規則などの再生材規制に備えていない
→ 早急な対応が必要な可能性があります
3以上
選別・再生のコストを把握していない 早急に着手
→ 早期の見直しをおすすめします
当てはまる項目の数
リサイクルを環境部門だけで進めている
→ 早期の見直しをおすすめします
図7:紫の背景は早急な対応が必要な項目、灰色の背景は早期の見直しをおすすめする項目です
1つでも当てはまる場合 3つ以上当てはまる場合
再生材の需要拡大に対応できない可能性があります。まずは リサイクルの事業化に早急に着手すべき段階です。発生量の
、主要な金属の回収量と回収ルートを確認してください。 把握と事業性の評価から始めることをおすすめします。
次のステップ
資源循環の現状診断から始める
リサイクルの事業化は、大規模な設備投資から始める必要はありません。まずは再生資源の発生場所や発生量、回収可能量を把握する
ことが重要です。アクセンチュアでは、資源循環の現状診断から、回収網の設計、再生工程の改善、由来証明の仕組みづくりまで、段階
的に支援しています。
都市鉱山の活用を、まずは相談してみませんか?
現状診断のご相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
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本稿のデータは公表情報・統計資料に基づきます。図は概念図を含みます。個別の投資・経営判断については、当社の専門家にご相談ください。
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