WHITE PAPER|非鉄金属 × 調達・購買
その戦略金属、
10年後も
確保できるか?
非鉄金属メーカーのための
戦略的資源調達とサプライチェーン多元化の実践フレームワーク
86% 約30% 55%
重要鉱物の精錬量に占める上位3ヵ国の割 2035年に見込まれる銅の需要に対する供 輸出管理の対象と
合 給不足 なっている戦略金属の単語もあります。用語
をそろえるか、別にする場合は使いわけにつ
いてご検討ください。
本稿の内容 重要鉱物の精錬で上位3ヵ国が占める平均シェア(%)
1 戦略金属の調達が「経営課題」になった理由
2020年 82
2 資源国の輸出管理をめぐる主な動き
2024年 86
3 調達の多元化を阻む構造的な課題
2035年(見通し) 82
4 戦略的資源調達の4層構造
出典:IEA「Global Critical Minerals Outlook 2025」
5 セルフ診断と次のステップ
アクセンチュア株式会社 2026年 外部公開版
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EXECUTIVE SUMMARY
需要拡大と供給国の集中が進む戦略金属
EV、再生可能エネルギー、電力網、データセンターの拡大により、銅やリチウム、レアアースなどの需要が伸びています。一方、国
際エネルギー機関(IEA)によると、重要鉱物の精錬で上位3ヵ国が占める平均シェアは、2020年の82%から2024年には
86%に高まりました。2035年には、計画中の鉱山からの供給では銅の需要の約3割をまかなえない見通しです。
本稿では、非鉄金属メーカーが戦略金属を安定して確保するための考え方と、調達先の多元化、長期契約、リサイクル原料の
活用を組み合わせた実践的なアプローチを整理します。
Why 1
戦略金属の調達は「購買の課題」から「経営の課題」へと変化
これまでの原料調達は、市況を見ながら商社や資源会社を通じて必要量を確保することで成り立ってきました。しかし、需要の拡大と供給
の集中が同時に進み、価格だけでなく、必要量を確保できないリスクが高まっています。
IEAによると、戦略金属の55%が何らかの輸出管理の対象になっています。資源国の政策変更が、自社の生産や顧客への供給に直接
影響するようになりました。
図1 非鉄金属のサプライチェーンと調達リスクのホットスポット
鉱山・採掘 精錬 素材加工 部品・製品 回収・再資源化
都市鉱山
銅鉱石 銅の製錬 伸銅品 電子部品
の回収
レアアース レアアース スクラップ
磁石材料 モーター
鉱石 の分離 の選別
リチウム・ 電池材料 電線・
電池 再生地金
ニッケル の精製 ケーブル
調達リスク:高 調達リスク:中 調達リスク:低
図1:採掘・精錬段階では供給が特定の国に集中しており、調達リスクがとくに高くなっています(概念図)
86% 約3割 55%
精錬で上位3ヵ国が 銅の需要に対する供給不足割合の見通し( 輸出管理の対象と
占める平均シェア(2024年) 2035年) なっている戦略金属
※出典:IEA「Global Critical Minerals Outlook 2025」。銅の供給不足は公表済みの鉱山計画に基づく見通しです。図1は概念図であり、品目別のリスクは個社の調達構造によ
り異なります。
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図2 戦略金属の安定調達を阻む3つの構造的な壁
第1の壁 第2の壁 第3の壁
集中 情報 判断
精錬 ・ 資源国 ・ 輸出管理 原産地 ・ 在庫 ・ 市況 長期契約 ・ 出資 ・ 備蓄
・精錬が特定の国に集中 ・原料の原産地を追跡できない ・長期契約の価格面でのリスク
・資源国の政策変更による影響 ・商社への依存と、供給実態の把握不足 ・権益出資に伴う経営判断の難しさ
・代替の供給国が限られる ・需給変化を早期に把握できない ・備蓄水準の判断基準の不足
供給の選択肢が少ない リスク検知の遅れ 備えへの投資が遅れる
図2:集中・情報・判断の3つの壁が、戦略金属への備えを遅らせています
Why 2
段階的に広がる、資源国の輸出管理
中国は2023年にガリウム、ゲルマニウム、黒鉛の輸出を許可制とし、2025年にはレアアース7品目にも輸出管理を広げました。資源国に
よる輸出管理は、対象を少しずつ広げる形で強まっています。
1度の対応では完結しない、継続的な調達リスクです。品目ごとに供給国と代替手段を整理し、変化に合わせて調達計画を更新し続け
る仕組みが必要です。
図3 戦略金属をめぐる主な動き
2022年 2022年 2023年 2023年 2024年 2025年 2025年
1 2 3 4 5 6 7
日本で経済 重要鉱物を 中国がガリウム、ゲル 中国が黒鉛の 中国がガリウム等 中国がレアアース IEAが銅の
安全保障推進法 特定重要物資 マニウムの輸出を許 輸出を許可制に の対米輸出禁止 7品目を 供給不足を指摘
が成立 に指定 可制に を発表 輸出管理
政策・見通しの動き 資源国の輸出管理
図3:資源国の輸出管理は品目を広げながら続き、調達の前提は変わり続けています
価格を交渉する以前に、必要な供給量の確保自体が困難になっています。
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Why 3
戦略金属の確保は「購買部門だけ」では実現しない
調達先の多元化には、新たな供給元の品質評価や、長期契約・権益への出資といった経営判断が伴います。リサイクル原料の活用には
、回収網と選別技術への投資も必要です。そこには3つの課題があります。
品目別のリスク評価
1 供給国の集中度、代替の可能性、自社生産への影響で、品目ごとに評価します。
調達手段の組み合わせ
2 長期契約・複数調達先の確保・権益への出資・備蓄を、品目のリスクに応じて組み合わせます。
リサイクル原料の活用
3 都市鉱山からの回収と選別を強化し、一次資源への依存低減につながる供給源を確保します。
図4 従来の原料調達と目指す姿
従来の原料調達 目指す姿
市況を見て都度調達する 品目のリスクに応じて調達手段を選ぶ
商社・資源会社に調達を任せる 原産地と供給網を自社で把握する
価格を重視した調達先の選定 供給の継続性を含めて評価する
経験に依存した備蓄水準の設定 リスク評価に基づき備蓄を設定する
スクラップは副次的な原料 リサイクル原料を供給源の柱に育てる
アプローチ
リスクの高い品目から、調達の手段を組み替える
すべての品目を同じ方法で調達する必要はありません。供給国の集中度と自社への影響で品目を評価し、リスクの高い品目から、長期契
約・複数調達先の確保・権益への出資・リサイクル原料の活用を組み合わせます。それを支えるのが次の4層の構造です。
図5 戦略的資源調達の4層構造
Layer 4 モニタリング・意思決定
政策動向 需給予測 シナリオ計画
資源国の政策・需給の変化を捉え、計画に反映
Layer 3 調達ポートフォリオ
長期契約 権益出資 備蓄
長期契約・複数調達先の確保・出資・備蓄の組み合わせ
Layer 2 リスク評価
集中度 代替可能性 影響度
品目別の集中度・代替可能性・影響度を評価
Layer 1 供給網の可視化
原産地 精錬地 調達経路
原産地・精錬地・調達経路の情報を整備
図5:供給網の可視化とリスク評価を土台に、調達の組み合わせとモニタリングを積み上げます
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図6 戦略的資源調達 実行ロードマップ
STEP 1 0~6ヵ月 STEP 2 6~18ヵ月 STEP 3 18ヵ月~
重要品目の特定と 調達手段の モニタリング
供給網の可視化 組み替え の仕組み化
品目別のリスク評価 長期契約・複数調達先の確保 政策・供給を継続的に把握
原産地・精錬地の把握 権益出資の検討 早期警戒の仕組み
供給停止の影響試算 リサイクル原料の拡大 シナリオ別の調達計画
高リスク品目の特定 供給停止に備える体制の構築 変化に強い調達体制の定着
図6:可視化・組み替え・仕組み化の3段階で、戦略金属の調達を強靭にします
STEP 1 リスクの高い品目を特定する
品目ごとに供給国の集中度、代替の可能性、自社の生産への影響を評価します。優先度の高い品目から、原産地・精錬地・調達経路
の情報を整理します。
STEP 2 品目に合わせて調達手段を組み替える
リスクに応じて、長期契約・複数調達先の確保・権益への出資・備蓄を組み合わせます。都市鉱山からの回収と選別を強化し、リサイクル
原料の比率を高めます。
STEP 3 変化を捉え、計画を更新し続ける
資源国の政策と需給の動きを継続的に把握し、リスクにつながる兆候を早く捉える仕組みを整えます。シナリオ別の調達計画を用意し、変
化が起きたときに速やかに判断できるようにします。
期待する成果
段階ごとに得られる成果
短期(0~6ヵ月) 中期(6~18ヵ月) 長期(18ヵ月~)
→ 重要品目の特定 → 調達手段の組み替え → 早期警戒の仕組み
→ 供給網の可視化 → 長期契約の締結 → シナリオ別の調達計画
→ 影響の金額評価 → リサイクル原料の拡大 → 供給継続性の向上
※成果の時期は目安であり、対象範囲や状況により異なります
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セルフ診断
あなたの会社の戦略金属の調達は、変化に備えていますか?
以下の項目に1つでも当てはまる場合、原料を確保できないリスクが潜んでいる可能性があります。
図7 戦略金属の調達 セルフ診断チェック
主要な原料の原産地・精錬地を把握していない
要対応レベル
→ 早急な対応が必要な可能性があります
特定の国に供給を依存している原料がある 0
→ 早急な対応が必要な可能性があります 現時点では大きな懸念なし
原料を確保できない場合の影響を金額で評価していない
1~2
→ 早急な対応が必要な可能性があります
注意が必要
調達を商社・資源会社に大きく依存している
→ 早急な対応が必要な可能性があります
3以上
リサイクル原料の活用計画がない 早急に着手
→ 早期の見直しをおすすめします
当てはまる項目の数
資源国の輸出管理の動きを定期的に確認していない
→ 早期の見直しをおすすめします
図7:紫の背景は早急な対応が必要な項目、灰色の背景は早期の見直しをおすすめする項目です
1つでも当てはまる場合 3つ以上当てはまる場合
原料を確保できないリスクが潜んでいる可能性があります。まず 調達の仕組みの見直しに早急に着手すべき段階です。リスク
は、主要な原料の原産地と精錬地を確認してください。 の高い品目から、調達手段の組み替えを計画的に進めること
をおすすめします。
次のステップ
資源調達リスクの現状診断から始める
戦略金属の安定調達は、すべての品目を一度に見直す必要はありません。リスクの高い品目を特定し、供給網を可視化することから始ま
ります。アクセンチュアでは、調達リスクの現状診断から、調達手段の組み替え、リサイクル原料の活用、モニタリングの仕組みづくりまで、段
階的に支援しています。
戦略金属の調達の見直し方を、まずは相談してみませんか?
現状診断のご相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
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本稿のデータは公表情報・統計資料に基づきます。図は概念図を含みます。個別の投資・経営判断については、当社の専門家にご相談ください。
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