WHITE PAPER|石油・石炭製品 × 戦略・経営企画
次のエネルギー事業に、
どの順番で
投資するか
石油元売・エネルギー企業のための
新エネルギー事業への転換と投資ポートフォリオ構築の実践フレームワーク
40~50% 10% 投資配分
2040年度の電源構成に 2030年に航空燃料を 既存事業と新規事業
占める再エネの見通し SAFに置き換える目標 のバランス
本稿の内容 新エネルギー事業の成熟度(概念図)
再エネ発電
1 事業転換が「投資配分の判断」になった理由
SAF・バイオ燃料
2 エネルギー転換をめぐる主な動き
EV充電・蓄電
3 新規事業の投資判断を阻む壁
水素・アンモニア
4 投資ポートフォリオの4層フレームワーク 合成燃料
成熟度:低 成熟度:中 成熟度:高
5 セルフ診断と次のステップ ※概念図であり、実際の値は企業・製品により異なります
アクセンチュア株式会社 2026年 外部公開版
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EXECUTIVE SUMMARY
数ある選択肢のなかで、限られた資金をどう振り向けるか
第7次エネルギー基本計画では、2040年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を40~50%程度とする見通しが
示されました。航空燃料では2030年に10%を持続可能な航空燃料(SAF)に置き換える目標があり、水素・アンモニアや合
成燃料の開発も進んでいます。
一方、新しいエネルギー事業は、成熟度、収益化までの期間、必要な投資の規模が大きく異なります。本稿では、石油元売・エ
ネルギー企業が、既存事業の収益を原資に、新規事業への投資の順番と規模を判断するための考え方とアプローチを整理しま
す。
Why 1
「新規事業の探索」ではなく「投資配分の判断」から始める事業転換
多くのエネルギー企業は、再生可能エネルギー、SAF、水素、EV充電など、複数の新規事業に取り組んでいます。しかし、それぞれの規模
が小さく、投資が分散したままでは、既存事業の縮小を補う収益の柱にはなりません。
新規事業の成熟度や収益化の時期に加え、自社の設備・顧客基盤・物流網などの強みを生かせるかを評価し、投資の優先順位を決め
ることが求められています。
図1 エネルギー事業のバリューチェーンと転換のホットスポット
既存事業 新規事業の候補 事業化 資金 顧客
技術の
精製・販売 再エネ発電 投資の規模 電力会社
成熟度
SAF・
石油化学 原料の確保 投資回収の時期 航空会社
バイオ燃料
水素・ 需要の
物流網 公的資金の活用 産業顧客
アンモニア 見通し
不確実性:大 不確実性:中 不確実性:小
図1:技術・原料・需要、投資回収時期などの不確実性が大きいです(概念図)
40~50% 10% 2026年度
2040年度の電源構成に 2030年に航空燃料を GX-ETSが
占める再エネの見通し SAFに置き換える目標 本格稼働
※出典:資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」(2025年2月)、国土交通省、経済産業省。図1と表紙の図は概念図です。
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図2 新規事業への投資の集中を阻む3つの構造的な壁
第1の壁 第2の壁 第3の壁
不確実性 分散 投資判断
技術 ・ 需要 ・ 政策 テーマ ・ 規模 ・ 人材 基準 ・ 撤退 ・ 原資
・技術の成熟度が事業ごとに違う ・新規事業のテーマが多すぎる ・判断基準が事業ごとに異なる
・需要の立ち上がりが読めない ・1つひとつの規模が小さい ・撤退の基準がない
・政策支援の変更・縮小の可能性 ・新規事業を推進する人材が分散 ・既存事業との原資配分
収益化の時期が見通せない 収益の柱が育たない 資金を集中できない
図2:不確実性・分散・投資判断の3つの壁が、新規事業への投資の集中を難しくしています
Why 2
新規事業を同じ物差しで比べ、投資の順番を決める
新規事業を比べるには、市場の大きさ、技術の成熟度、収益の時期、必要な投資、自社の強みが生きるかを、共通の基準で評価する必
要があります。評価をもとに、すぐに収益化を目指す事業、段階的に育てる事業、小さく試して見極める事業に分けます。
事業の節目ごとに投資の継続・見直しを判断することで、不確実性に対応します。また、既存事業の効率化で生み出した資金を計画的
に新規事業へ配分し、事業転換を推進します。
図3 エネルギー転換をめぐる主な動き
2020年 2021年 2023年 2024年 2025年 2030年 2040年度
1 2 3 4 5 6 7
2050年カーボン 第6次エネルギー GX推進法 水素社会 第7次エネルギー SAF10%の 再エネ40~50%
ニュートラル宣言 基本計画 が成立 推進法が成立 基本計画 目標年 の見通し
政策・制度の整備 新エネルギーの目標・見通し
図3:政策と目標が整い、新エネルギー事業への投資を判断する局面に入りました
分散投資ではなく、重点投資する事業の選択が求められています。
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Why 3
投資配分は「新規事業部門だけ」では決められない
新規事業への投資は、既存事業の収益計画、設備の転換、人材の配置、財務の方針と一体で判断する必要があります。そこには3つの
課題があります。
共通の評価基準
1 市場・技術・収益化の時期・必要投資額・自社の強みに基づき、新規事業を同じ基準で評価します。
段階的な投資の仕組み
2 事業の節目ごとに継続・見直しを判断する、段階的な投資の仕組みを整えます。
既存事業との原資の配分
3 既存事業の効率化で生み出した資金を、計画的に新規事業に振り向けます。
図4 従来の新規事業投資と目指す姿
従来の新規事業投資 目指す姿
多くのテーマに少しずつ投資する 評価に基づき投資を集中する
事業ごとに判断基準が異なる 共通の基準で事業を比べる
一度決めた投資を続ける 節目ごとに継続の有無を見直し
既存事業と新規事業を別々に計画 原資の配分を一体で計画する
撤退の基準が定まっていない 撤退と提携の基準を明確にする
アプローチ
共通の基準で新規事業を比べ、段階的に投資する
新規事業の候補を、市場・技術・収益化の時期・必要投資額・自社の強みの観点で評価し、集中・育成・探索の3つに分けます。投資
は事業の節目ごとに判断する段階的な形にし、既存事業から生み出す原資の配分と合わせて計画します。それを支えるのが次の4層の仕
組みです。
図5 新エネルギー事業の投資ポートフォリオ 4層フレームワーク
Layer 4 経営・資金配分
原資の配分 財務方針 事業構成
既存事業と新規事業の原資の配分
Layer 3 段階的な投資判断
節目判断 撤退基準 提携
節目ごとの継続・見直し・撤退の判断
Layer 2 事業の分類
集中 育成 探索
集中・育成・探索への分類
Layer 1 新規事業の評価
市場 技術 自社の強み
市場・技術・収益化時期・必要投資額・強み
図5:新規事業の評価を土台に、分類・段階的な投資判断・資金配分を積み上げます
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図6 新エネルギー事業への転換 実行ロードマップ
STEP 1 0~6ヵ月 STEP 2 6~18ヵ月 STEP 3 18ヵ月~
新規事業の評価と 投資計画と 実行と
分類 判断の仕組み 継続的な見直し
候補事業の棚卸し 段階的な投資計画 集中事業の拡大
共通基準での評価 節目における判断基準 節目ごとの見直し
集中・育成・探索の分類 原資の配分計画 提携・撤退の判断
重点投資する事業の
投資判断の仕組みが整う 新規事業の収益化を実現
明確化
図6:評価・計画・実行の3段階で、新エネルギー事業を収益の柱に育てます
STEP 1 新規事業を同じ基準で評価する
取り組んでいる新規事業と候補を棚卸しし、市場の大きさ、技術の成熟度、収益の時期、必要な投資、自社の強みで評価します。集中
・育成・探索の3つに分類します。
STEP 2 投資の計画と判断の仕組みをつくる
事業ごとに段階的な投資計画を立て、節目ごとに見直す仕組みをつくります。既存事業の効率化により得られた原資の配分も併せて計
画します。
STEP 3 集中投資と投資計画の見直し
集中する事業に資金と人材を振り向け、拡大を進めます。技術・需要・政策の変化を継続的に把握し、節目ごとに投資・提携・撤退を判
断します。
期待する成果
段階ごとに得られる成果
短期(0~6ヵ月) 中期(6~18ヵ月) 長期(18ヵ月~)
→ 新規事業の棚卸し → 段階的な投資計画 → 集中事業の拡大
→ 共通基準での評価 → 節目における判断基準 → 投資効率の向上
→ 事業の分類 → 原資の配分計画 → 新規事業の収益化
※成果の時期は目安であり、対象範囲や現状により異なります
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セルフ診断
新エネルギー投資を、成長が見込める事業に集中できているか?
以下の項目に1つでも当てはまる場合、投資が分散すると、収益の柱が育たない可能性があります。
図7 新エネルギー投資 セルフ診断チェック
新規事業を共通の基準で評価していない
要対応レベル
→ 早急な対応が必要な可能性があります
多くの事業に少しずつ投資している 0
→ 早急な対応が必要な可能性があります 現時点では大きな懸念なし
事業の節目ごとの判断基準がない
1~2
→ 早急な対応が必要な可能性があります
注意が必要
撤退や提携の基準が定まっていない
→ 早急な対応が必要な可能性があります
3以上
既存事業と新規事業の原資の配分を計画していない 早急に着手
→ 早期の見直しをおすすめします
当てはまる項目の数
新規事業の収益化の時期を見通せていない
→ 早期の見直しをおすすめします
図7:紫の背景は早急な対応が必要な項目、灰色の背景は早期の見直しをおすすめする項目です
1つでも当てはまる場合 3つ以上当てはまる場合
投資が分散すると、収益の柱が育たない可能性があります。ま 投資ポートフォリオの見直しに早急に着手すべき段階です。共
ずは、取り組んでいる新規事業の一覧と投資額を確認してくだ 通の基準での評価から始め、集中する事業を決めることをおす
さい。 すめします。
次のステップ
新規事業ポートフォリオの現状診断から始める
新エネルギーへの事業転換は、すべての事業を一度に決める必要はありません。取り組んでいる新規事業を同じ基準で評価することから始
まります。アクセンチュアでは、新規事業の評価から、投資の計画と判断の仕組み、原資の配分、実行まで、段階的に支援しています。
新エネルギー事業への投資判断を、まずは相談してみませんか?
現状診断のご相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
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本稿のデータは公表情報・統計資料に基づきます。図は概念図を含みます。個別の投資・経営判断については、当社の専門家にご相談ください。
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