WHITE PAPER|化学 × 調達・購買 化学品サプライチェーンの構図
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原料が止まれば、 鉱物・
レアメタル
原油・ 基礎
ナフサ 化学品
工場が止まる。
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化学品の 化学
メーカー
中間体
調達リスク管理。
物流
拠点
調達リスク管理と
デジタルサプライチェーン構築の実践フレームワーク 加工
メーカー
最終
製品
特定国 規制強化 代替困難
原料の調達先 化学物質規制 品質評価と 原料別調達リスクスコア(概念図)
が集中 の拡大 顧客承認
100
88
90
76
本稿の内容 80
70 64
1 化学品サプライチェーンの二重のリスク
60 52
50
2 調達環境をめぐる主な動き 40
40
28
3 代替調達を阻む化学品特有の事情 30
20
4 デジタル調達管理の4層構造 10
0
5 セルフ診断チェックと次の一手 原料A 原料B 原料C 原料D 原料E 原料F
高リスク 警戒 平常
特定国に依存
一部の原料は調達先が特定の国に集中
2022年
経済安全保障推進法が成立
代替困難
アクセンチュア株式会社
原料の切り替えには品質評価と顧客承認が必要
Supply Chain & Engineering(SC&E)
SupplyChain_Engineering@accenture.com
2026年 外部公開版
エグゼクティブサマリー / Why 1 2
EXECUTIVE SUMMARY
「代わりの原料はすぐに見つかる」——化学品では、その前提が通用しない。
化学品の原料には、特定の国・地域や企業に調達先が集中しているものが少なくない。地政学的な緊張や輸出規制、自然災害の影
響を受けやすいうえ、化学物質規制の強化によって使える原料そのものが変わる可能性もある。調達の安定性は、化学メーカーの経営
課題になった。
本稿は、化学品サプライチェーンの調達リスクを可視化し、調達先の多元化とデジタル技術による予兆の検知で安定調達を実現するた
めの考え方と実践的アプローチを整理する。
Why 1 化学品サプライチェーンは「二重のリスク」に直面している
基礎化学品やその原料の一部は、特定の国・企業への依存度が高く、地政学的な緊張や輸出規制、事故・災害の影響を受けやすい。供給
が止まれば、下流の多くの製品の生産に影響が及ぶ。
同時に、欧州を中心とする化学物質規制の強化により、現在使っている物質が将来使えなくなるリスクもある。地政学と規制という二重のリス
クを、調達戦略に組み込む必要がある。
図1 化学品サプライチェーンの全体像と調達リスク
資源・原料 基礎化学品 中間体・添加剤 化学メーカー 顧客
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原油・ 自動車・
オレフィン 中間体
ナフサ 電機
化学 建材・
天然ガス 芳香族 触媒
メーカー 包装
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鉱物・ 無機 医療・
添加剤
レアメタル 化学品 日用品
供給集中リスク高 中程度リスク
図1:上流の特定の原料や添加剤の途絶が、多くの顧客の生産に波及する
特定国依存 規制強化 代替困難
一部の原料の 化学物質規制 品質評価と
調達先が集中 の拡大 顧客承認が必要
※数値は公表情報・業界調査に基づく推計値・目安を含む
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Why 1(続き)/ Why 2 3
図2 化学品の安定調達を阻む3つの構造的な壁
第1の壁 第2の壁 第3の壁
上流不明 ・ 検知遅れ ・ 単一調達 規制 ・ 物質 ・ 追跡 品質 ・ 配合 ・ 顧客承認
上流が不透明 規制対応の負担 代替の難しさ
・原料のさらに上流の状況が見えない ・相次ぐ化学物質規制の強化 ・原料を変えると品質評価が必要
・問題が起きるまで兆候に気づけない ・含有物質の追跡に工数がかかる ・配合の見直しを伴うことがある
・代替先のリストが整っていない ・規制の変更で原料が使えなくなる ・顧客の承認に時間がかかる
危機は起きてから知る 調達の前提が変わる 有事に即座に切り替えられない
図2:可視性・規制・代替性の3つの壁が、化学品の調達を脆弱にしている
Why 2 化学品の代替は「有事」ではなく「平時」に準備する
化学品は製品の品質や機能が原料の品質に直結するため、単純な代替が難しい。原料を切り替えるには、品質評価や配合の見直し、顧客
の承認が必要になることも多い。供給が止まってから代替先を探すのでは間に合わない。リスクの高い原料を特定し、平時のうちに代替先の評
価と承認を進めておくことが、安定調達の鍵になる。
図3 化学品の調達環境をめぐる主な動き
EUで化学物質 米国の寒波で 欧州で有機フッ素 規制と地政学
規制が施行 原料供給が逼迫 化合物規制の動き の影響が拡大
2020 2022 2024
1 2 3 4 5 6 7
2007 2021 2023 今後
感染症の拡大で 経済安全保障 情勢悪化による
物流が混乱 推進法が成立 紅海の輸送ルートの変更
制度の動き 供給の混乱
図3:規制の強化と供給の混乱が繰り返し起き、調達の前提が揺らいでいる
供給の混乱は例外ではなく、常態化しつつある ―― 平時の備えの有無が、有事の損失の大きさを決める。
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Why 3 / アプローチの方向性 4
Why 3 デジタルによる可視化で、リスクを予兆の段階で捉える
サプライチェーンのデジタル化により、取引先の状況・在庫・物流の遅れを把握し、外部のリスク情報と組み合わせて予兆を検知することが可能
になる。ただし、その実現には3つの課題がある。
1 課題 2 課題 3 課題
上流の情報の入手 社内データの分断 評価と承認の前倒し
原料の上流は直接の取引先ではないことが 調達・生産・品質・規制対応のデータが分 代替原料の品質評価と顧客の承認を平時
多く、情報の入手には協力関係が必要であ 散し、横断的に評価できない。 に進める仕組みと予算が必要である。
る。
図4 従来の調達管理と目指すべき姿
✕ 従来の調達管理 目指すべき姿
✕ 調達先は価格と品質で選定 供給リスクも含めて選定
✕ 上流の状況は把握していない 重要原料は上流まで把握
✕ 代替先は問題の発生後に探す 平時に代替先を評価・承認
✕ 規制対応は都度の個別対応 含有物質を一元管理し、先回りして対応
✕ 担当者の経験に依存したリスク判断 データで予兆を検知
アプローチ リスクの高い原料を特定し、平時に手を打つ
まず原料ごとの調達リスクを数値化し、供給が集中している原料や規制の影響を受けやすい原料を特定する。そのうえで代替先の評価と承認
を前倒しで進め、デジタル基盤で予兆を検知する体制を整える。それを支えるのが次の4層の構造である。
図5 化学品のデジタル調達管理 4層構造
Layer 4 経営・調達ダッシュボード
リスク一覧 在庫日数 生産影響
原料別リスク・在庫日数・生産影響を一元表示
Layer 3 リスク検知・代替計画
予兆検知 規制動向 代替計画
地政学・規制・災害の予兆と代替先の準備
Layer 2 原料と製品の紐づけ
配合連携 製品影響 顧客影響
原料と製品・顧客の関係を可視化
Layer 1 データ収集
取引先回答 含有物質 外部情報
取引先の回答・含有物質・外部のリスク情報
図5:原料と製品・顧客を紐づけることで、途絶の影響を事前に試算できる
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実行ロードマップ / 期待する成果 5
図6 化学品の調達リスク管理 実行ロードマップ
STEP 1 STEP 2 STEP 3
0〜6ヶ月 6〜18ヶ月 18ヶ月〜
調達リスクの 代替先の評価と 予兆検知と
可視化 基盤の構築 継続的な改善
原料別リスクの数値化 代替原料の品質評価 予兆検知と自動警報
上流の供給網の把握 顧客承認の前倒し 含有物質の一元管理
規制影響の洗い出し デジタル基盤の構築 定期的なリスク見直し
リスクの高い原料が明確になる 有事に備えられる 安定調達が強みになる
図6:可視化・代替の準備・予兆検知の3段階で、化学品の安定調達を実現する
STEP 1 原料ごとのリスクを数値化する
供給先の集中度、地域のリスク、規制の影響、代替の難しさなどの指標で原料ごとのリスクを数値化し、優先的に対応すべき原料を特定す
る。
STEP 2 平時に代替先を評価・承認しておく
リスクの高い原料について代替先の品質評価を進め、必要な顧客の承認を前倒しで取得する。原料と製品・顧客を紐づけるデジタル基盤
を整える。
STEP 3 予兆を検知し、調達計画に反映する
地政学・規制・災害などの外部情報をリスクスコアに反映し、設定した閾値を超えた場合は在庫の積み増しや代替先への切り替えを検討す
る仕組みをつくる。
期待する成果 変革が生み出す具体的な価値
短期(0〜6ヶ月) 中期(6〜18ヶ月) 長期(18ヶ月〜)
→ 原料別リスクの把握 → 代替原料の評価 → 予兆検知の定着
→ 上流の供給網の把握 → 顧客承認の取得 → 含有物質の一元管理
→ 規制影響の洗い出し → デジタル基盤の構築 → 安定調達の実現
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セルフ診断 / 次のステップ 6
セルフ診断 あなたの会社の化学品調達の備えは?
以下の項目に1つでも当てはまれば、対応の遅れによるリスクが潜んでいる可能性があります。まず現状の確認を。
図7 化学品の調達リスク セルフ診断チェック
☐ 重要原料の上流の供給先を把握していない
警告
→ 早急な対応が必要な可能性があります
☐ 原料ごとの調達リスクを数値で評価していない
危険 安全
→ 早急な対応が必要な可能性があります
☐ 重要原料の代替品・代替調達先の評価・承認が済んでいない
調達強靭性スコア → 早急な対応が必要な可能性があります
要対応レベル ☐ 化学物質規制の影響を調達戦略に反映していない
当てはまる項目が多いほど → 早急な対応が必要な可能性があります
針は「危険」側に振れる
☐ 取引先の稼働・在庫を随時把握できていない
→ 早期の見直しを推奨します
☐ 調達リスク管理の担当が決まっていない
→ 早期の見直しを推奨します
図7:赤は早急な対応が必要な項目、黄は早期見直しの推奨項目
3つ以上当てはまった場合
早急な着手が必要な段階です。化学品の代替には時間がかかります。供給が止まってから動き出すのではなく、平時から代替の準備
を進めることが、有事にも生産を継続するうえで重要です。
次のステップ まず「調達リスク診断」から始める
調達リスク管理の強化は、大規模なシステム投資から始める必要はない。まず原料ごとのリスクを把握し、優先的に対応すべき原料を特定する
ことから始まる。アクセンチュアでは、調達リスクの診断から代替先の評価、デジタル基盤の構築まで、段階的に支援している。
「化学品の調達リスク、まずは相談してみませんか」
調達リスク診断(無償)を受け付けています。
アクセンチュア株式会社 Supply Chain & Engineering(SC&E)
SupplyChain_Engineering@accenture.com
本資料のデータは公表情報・統計資料に基づく推計値・目安を含みます。個別の投資・経営判断については当社の専門家にご相談ください。
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