WHITE PAPER|酒類 × 営業・マーケティング 日本の酒の海外展開ルート
!
日本の酒を、 越境EC
酒蔵・ 輸入
蒸溜所 業者
世界の食卓へ。
クラフト酒の アジア
飲食店
グローバルD2C展開。
北米
クラフト・ジャパニーズ・ウイスキーなどの
グローバルD2C(Direct to Consumer)展開の実践フレームワーク
欧州
海外の
愛好家
2024年 物語 D2C
伝統的酒造り 作り手の物語 顧客と直接
が無形文化遺産に が価値になる つながる
直販比率の拡大イメージ(概念・%)
40
本稿の内容
35
30%
1 日本の酒が世界で評価される理由 30
25
2 海外展開をめぐる主な動き 20%
20
3 規制・物流・決済の壁の越え方
15 12%
4 グローバルD2Cの4層の仕組み 10
5%
5
5 セルフ診断チェックと次の一手
0
現在 1年目 2年目 3年目
立ち上げ期 拡大期 目標水準(例)
2024年
「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に
物語の価値
作り手と産地の物語が価格を支える
直接の接点
アクセンチュア株式会社
愛好家と直接つながり、関係を育てる
Supply Chain & Engineering(SC&E)
SupplyChain_Engineering@accenture.com
2026年 外部公開版
エグゼクティブサマリー / Why 1 2
EXECUTIVE SUMMARY
海外の愛好家は、酒そのものだけでなく、その背後にある物語を求めている。
日本酒・日本のウイスキー・焼酎などの日本の酒は、海外の飲食店や愛好家の間で評価を高めている。2024年には「伝統的酒造り」
がユネスコの無形文化遺産に登録された。国内の需要が縮小するなか、海外での売上拡大は今後の成長に向けた重要な選択肢とな
る。
本稿は、酒蔵・蒸溜所が輸入業者任せの輸出から一歩進み、海外の愛好家と直接つながるグローバルD2Cを展開するための考え方と
実践的アプローチを整理する。
Why 1 日本の酒は、世界で「物語のある酒」として評価されている
日本の酒の価値は、味わいだけでなく、産地の風土、作り手の技、受け継がれてきた文化にある。海外の愛好家や飲食店からは、こうした商品
の背景にある物語や文化への評価も高く、価格設定にも有利に働いている。
しかし、多くの酒蔵は輸入業者や商社に販売を任せており、海外で誰が、どのように飲んでいるのかを知らない。物語を直接伝え、顧客との関
係を育てる仕組みが欠けている。
図1 日本の酒のグローバル展開 価値の流れ
作り手 物語の発信 販路 海外の愛好家 地域
! !
多言語
酒蔵 越境EC アジア
での発信
産地・ 現地の 海外の
蒸溜所 北米
文化 輸入業者 愛好家
焼酎・ 飲み方・ 現地の
欧州
泡盛の蔵 食の提案 飲食店
規制・物流の壁が大きい 整備が必要
図1:作り手の物語を直接伝え、愛好家とのつながりを各地域へ広げる
2024年 物語 直接の接点
伝統的酒造りが 産地と作り手が 愛好家との
無形文化遺産に 価格を支える 長期的な関係
※数値は公表情報・業界調査に基づく推計値・目安を含む
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Why 1(続き)/ Why 2 3
図2 酒類のグローバルD2Cを阻む3つの構造的な壁
第1の壁 第2の壁 第3の壁
酒類規制 ・ 表示 ・ 許可 翻訳 ・ 文脈 ・ 発信力 破損 ・ 温度 ・ 決済
輸出規制の複雑さ 物語を伝える力 物流と決済
・国ごとに酒類の輸入規制が違う ・蔵の物語の多言語発信ができていない ・瓶の破損と温度管理の負担
・ラベル表示の多言語対応 ・文化的な背景が伝わりにくい ・国際輸送コストが高い
・販売許可の取得に時間がかかる ・海外向けの発信力が弱い ・年齢確認と決済の仕組み
国ごとに対応が必要 価値が伝わらない 小口輸送では採算を確保しにくい
図2:規制・発信・物流の3つの壁を越える仕組みづくりが、直販の前提となる
Why 2 D2Cで「物語」を直接届け、ブランドを育てる
輸入業者を通じた輸出だけでは、作り手の物語は途中で薄まり、価格も業者の判断に委ねられる。越境ECや自社サイトで愛好家に直接販
売すれば、物語を正しく伝え、顧客の声を得て、長期的な関係を築ける。ただし酒類は国ごとの規制が厳しく、すべての市場で直販できるわけ
ではない。直販と現地の輸入業者・飲食店との連携を組み合わせる設計が現実的である。
図3 日本の酒の海外展開をめぐる主な動き
和食がユネスコ コロナ禍で 海外需要が 直販と現地
無形文化遺産に 外食需要が減少 一時的に鈍化 連携の拡大
2010年代 2022 2024
1 2 3 4 5 6 7
2013 2020 2023 今後
日本の酒が 日本酒の輸出額 伝統的酒造りが
海外で受賞 が過去最高に 無形文化遺産に
追い風 一時的な逆風 次の打ち手
図3:日本の酒への評価は高まり続けており、直接の接点づくりが次の打ち手となる
海外での評価はすでに高い ―― 問われているのは、その評価を自らの手で顧客との関係に変えられるかどうかだ。
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Why 3 / アプローチの方向性 4
Why 3 規制・物流・決済の壁を越える体制をつくる
グローバルD2Cの最大の難所は、酒類特有の規制と物流である。一社ですべてを抱えるのではなく、専門のパートナーと組んで壁を越える体制
をつくる必要がある。そこには3つの課題がある。
1 課題 2 課題 3 課題
市場ごとの規制対応 物流・決済パートナーの選定 多言語の物語づくり
直販できる国・できない国を見極め、市場ご 破損・温度管理・年齢確認・決済に対応で 蔵の物語・産地・飲み方を、現地の文脈に
とに直販と現地流通を使い分ける必要があ きる物流と決済のパートナー選びが鍵となる。 合わせて伝えるコンテンツが必要である。
る。
図4 従来の輸出と目指すべき姿
✕ 従来の輸出 目指すべき姿
✕ 輸入業者に販売を任せる 直販と現地連携を組み合わせる
✕ 海外の顧客像を知らない 愛好家と直接つながり、ニーズを把握
✕ 物語は商品説明の一部 多言語で物語を発信
✕ 価格設定は業者任せ 価値に見合う価格を自ら設計
✕ 規制対応は都度の個別対応 市場別に規制情報を一元管理
アプローチ 直販できる市場から始め、現地連携と組み合わせて広げる
まず直販の可否・需要・規制を踏まえて優先市場を選び、越境ECで愛好家に直接販売する。物語の発信で関係を深め、現地の輸入業者
や飲食店との連携と組み合わせて広げていく。それを支えるのが次の4層の仕組みである。
図5 酒類のグローバルD2C 4層の仕組み
Layer 4 愛好家との関係づくり
会員 限定品 蔵の体験プログラム
会員制度・限定品・体験プログラムを通じた長期的な関係づくり
Layer 3 販路の組み合わせ
越境EC 輸入業者 飲食店
越境EC・現地の輸入業者・飲食店との連携
Layer 2 物語の発信
多言語 産地の物語 飲み方
多言語での蔵・産地・飲み方の発信
Layer 1 規制・物流・決済
規制対応 国際物流 決済
市場別の規制対応と物流・決済の基盤づくり
図5:規制と物流の基盤の上に、物語の発信・販路・顧客との関係を積み上げる
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実行ロードマップ / 期待する成果 5
図6 酒類のグローバルD2C 実行ロードマップ
STEP 1 STEP 2 STEP 3
0〜6ヶ月 6〜18ヶ月 18ヶ月〜
優先市場の選定と 越境ECと 現地連携と
規制への対応 物語の発信 関係の深化
直販の可否の確認 越境ECでの販売開始 輸入業者・飲食店と連携
優先市場の決定 多言語での物語発信 会員・限定品の展開
表示・許可の準備 現地の発信者との連携 複数市場への拡大
「どこで直販するか」が決まる 愛好家との接点が生まれる 海外事業を新たな成長の柱に
図6:選定・直販・連携の3段階で、海外の愛好家との関係を育てる
STEP 1 直販できる市場を見極める
酒類の輸入・販売の規制は国ごとに大きく異なる。直販の可否、需要、規制の難易度を比較して優先市場を選び、表示や許可などの準
備を進める。
STEP 2 物語とともに直接届ける
越境ECで愛好家に直接販売を始め、蔵の物語・産地・飲み方を多言語で発信する。現地の発信者や飲食店と連携し、試飲の機会をつく
る。
STEP 3 現地連携と組み合わせて広げる
直販で得た顧客の声を活かし、現地の輸入業者や飲食店との連携を強める。会員制度や限定品で関係を深め、一定の成果が確認でき
た市場から展開を広げる。
期待する成果 変革が生み出す具体的な価値
短期(0〜6ヶ月) 中期(6〜18ヶ月) 長期(18ヶ月〜)
→ 優先市場の決定 → 越境ECでの販売 → 現地連携の強化
→ 規制対応の準備 → 愛好家の獲得 → 会員制度の展開
→ 物流・決済の選定 → 物語の発信と定着 → 複数市場への拡大
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セルフ診断 / 次のステップ 6
セルフ診断 あなたの会社の海外展開への備えは?
以下の項目に1つでも当てはまれば、対応の遅れによるリスクが潜んでいる可能性があります。まず現状の確認を。
図7 酒類の海外展開への備え セルフ診断チェック
☐ 輸出先ごとの酒類の規制を把握していない
警告
→ 早急な対応が必要な可能性があります
☐ 蔵や商品の物語が外国語で発信されていない
危険 安全
→ 早急な対応が必要な可能性があります
☐ 海外で誰が飲んでいるかを把握していない
海外展開スコア → 早急な対応が必要な可能性があります
要対応レベル ☐ 越境ECを活用していない
当てはまる項目が多いほど → 早急な対応が必要な可能性があります
針は「危険」側に振れる
☐ 国際物流・決済のパートナーがいない
→ 早期の見直しを推奨します
☐ 海外の飲食店や発信者との接点がない
→ 早期の見直しを推奨します
図7:赤は早急な対応が必要な項目、黄は早期見直しの推奨項目
3つ以上当てはまった場合
早急な着手が必要な段階です。日本の酒に対する海外での評価は、かつてなく高まっており、その評価を顧客との関係に変える仕組
みを、いまのうちに築くことが次の成長につながります。
次のステップ まず「輸出市場診断」から始める
グローバルD2Cは、すべての市場に一度に進出する必要はない。まず直販できる市場を見極め、物語を伝える準備を整えることから始まる。ア
クセンチュアでは、輸出市場の診断から越境ECの立ち上げ、現地との連携まで、段階的に支援している。
「日本の酒の海外展開、まずは相談してみませんか」
輸出市場診断(無償)を受け付けています。
アクセンチュア株式会社 Supply Chain & Engineering(SC&E)
SupplyChain_Engineering@accenture.com
本資料のデータは公表情報・統計資料に基づく推計値・目安を含みます。個別の投資・経営判断については当社の専門家にご相談ください。
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