WHITE PAPER|食料品 × 物流・SCM 食品サプライチェーンの構図
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その食品の来歴を、 原料
商社
生産者 一次
加工
証明できるか。
!
フードトレーサビリティの 物流
倉庫
食品
再設計。 メーカー
卸
ブロックチェーンを活用した
フードトレーサビリティ構築の実践フレームワーク 小売
消費者
多段階 数日 規制強化
原料から店頭 事故時の 国内外で進む ロット特定に要する時間(概念・時間)
までの関与者 ロット特定 記録の義務化
80
72
70
本稿の内容
60
1 食品サプライチェーンが見えなくなった理由 50
40 36
2 食品トレーサビリティ規制の動き
30
3 データ共有を阻む障壁の乗り越え方
20
12
4 トレーサビリティ基盤の4層構造 10
2
0
5 セルフ診断チェックと次の一手 紙・FAX 部分的 社内統合 企業横断
紙中心 部分的 企業横断で共有
多段階
原料から店頭まで数多くの企業が関与
規制強化
国内で牛の個体識別による追跡制度が開始
企業横断
アクセンチュア株式会社
1社では完結しない記録と共有
Supply Chain & Engineering(SC&E)
SupplyChain_Engineering@accenture.com
2026年 外部公開版
エグゼクティブサマリー / Why 1 2
EXECUTIVE SUMMARY
「どのロットが、どこへ流れたか」——その答えを出すのに、何日もかかっていないだろうか。
食品のサプライチェーンは、原料の生産から加工・物流・小売まで多段階かつ国際的に広がり、1つの商品に数多くの企業が関わる。食
品事故や表示の問題が起きたとき、該当ロットの特定と回収に時間がかかるほど、被害と損失は拡大する。そのため、国内外で記録をと
り、それらを共有することへの要求も高まっている。
本稿は、ブロックチェーンなどの技術を活用し、企業の枠を越えてトレーサビリティを確保するための考え方と実践的アプローチを整理する。
Why 1 食品サプライチェーンは「見えなく」なった
調達先の多様化と海外原料の増加により、食品メーカーが把握すべき取引先とロットの数は大きく増えた。ところが、取引先ごとに記録の方法
が異なり、紙やFAX、個別のシステムに情報が分散している。
その結果、問題が起きてから関係各社に問い合わせ、記録を突き合わせるまでに数日を要することも珍しくない。トレーサビリティの課題は、技
術よりも企業間のデータ共有の仕組みにある。
図1 食品サプライチェーンの全体像と記録の断絶点
原料・生産 原料調達 一次加工 食品メーカー 物流・販売
!
農場・ 原料 一次 物流・
牧場 商社 加工 倉庫
! !
漁場・ 輸入 委託 食品
卸・小売
養殖 業者 製造 メーカー
!
海外の 産地の 包材
消費者
生産地 集荷 メーカー
記録が断絶しやすい 記録の様式がばらばら
図1:上流ほど記録の様式がばらばらで、企業間で情報がつながらない
多段階 数日 企業横断
原料から店頭まで 事故時のロット 1社では完結しない
多くの企業が関与 特定にかかる日数 記録と共有
※数値は公表情報・業界調査に基づく推計値・目安を含む
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Why 1(続き)/ Why 2 3
図2 食品トレーサビリティを阻む3つの構造的な壁
第1の壁 第2の壁 第3の壁
紙 ・ FAX ・ 個別システム 機密 ・ 負担 ・ 信頼 国内 ・ 輸出先 ・ 取引先
記録の分散 企業間共有の難しさ 要求の多様化
・取引先ごとに記録方法が異なる ・取引情報の開示に抵抗がある ・国・地域ごとに記録要件が違う
・紙やFAXの記録が残っている ・中小の取引先には入力が負担 ・取引先から独自の様式を求められる
・社内でも部門ごとに分断 ・記録の正しさを確かめにくい ・対応が場当たり的になりがち
突き合わせに時間がかかる 共有の仕組みが育たない 個別対応で工数が膨張
図2:記録・共有・要求の3つの壁が、迅速な追跡を妨げている
Why 2 ブロックチェーンで「改ざんできない共通の記録」をつくる
ブロックチェーンなどの分散型の記録技術を使えば、サプライチェーンの各社が同じ記録を共有しながら、後からの改ざんを防ぐことができる。重要
なのは技術そのものではなく、どの情報を、どの粒度で、誰と共有するかというルールの設計である。最初から全取引先を巻き込むのではなく、リ
スクの高い原料や主力商品から始めて範囲を広げていくのが現実的だ。
図3 食品トレーサビリティをめぐる主な制度の動き
国内で牛の 国内で米の 米国で追跡 取引先からの
追跡制度が開始 追跡制度が開始 記録の規則を公表 開示要求の拡大
2005 2011 今後
1 2 3 4 5 6 7
2003 2010 2022 今後
EUで食品の 米国で食品安全 輸出先での
追跡義務が適用 強化法が成立 記録要件の強化
制度の整備 今後の対応課題
図3:記録の義務化は、品目・地域を広げながら段階的に強化されてきた
記録の要求は今後も広がる ―― 求められてから集めるのではなく、日常の取引で記録が残る仕組みが必要である。
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Why 3 / アプローチの方向性 4
Why 3 企業の枠を越えたデータ共有をどう設計するか
トレーサビリティは1社だけでは実現できない。取引先がデータを提供したくなる仕組みをどう設計するかが成否を分ける。そこには3つの課題があ
る。
1 課題 2 課題 3 課題
取引先にとってのメリット 共有範囲とルールの設計 中小の取引先への支援
入力の手間に見合う利点がなければ協力は どの情報を誰に見せるかを定めなければ、機 システム投資が難しい取引先には、簡単な
得られない。受発注の効率化など実務上の 密への懸念から共有が進まない。 代替入力手段の提案や導入の支援が欠か
便益と組み合わせる。 せない。
図4 従来の記録管理と目指すべき姿
✕ 従来の記録管理 目指すべき姿
✕ 記録は紙・FAX・個別システムに分散 共通の基盤にデジタルで記録
✕ 問題の発生後に各社へ照会 事故発生ロットを即座に検索
✕ 信頼関係でしか担保できない「記録の正しさ」 記録を改ざんできない仕組みづくり
✕ 取引先ごとに個別様式で対応 共通ルールで一度に対応
✕ 記録は規制対応のための必要経費 記録は品質と信頼のための資産
アプローチ リスクの高い品目から始め、共有の範囲を広げる
まず現状の記録の流れと断絶点を可視化し、リスクの高い原料や主力商品を対象にパイロットを行う。効果を確かめながら対象の品目と取引
先を広げ、最終的には消費者への情報開示や品質改善にも活用する。それを支えるのが次の4層の基盤である。
図5 フードトレーサビリティ基盤の4層構造
Layer 4 活用・開示
回収の迅速化・消費者への開示・品質改善 回収対応 情報開示 品質分析
Layer 3 共有ルール・ガバナンス
共有範囲・権限・参加企業のルール設計 共有範囲 権限管理 参加規約
Layer 2 共通の記録基盤
ブロックチェーン等による改ざんできない記録 共通台帳 ロット連携 改ざん防止
Layer 1 データ入力
受発注・出荷・温度などの記録のデジタル化 受発注 出荷記録 温度記録
図5:日常の取引記録を土台に、共有のルールと活用の仕組みを積み上げる
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実行ロードマップ / 期待する成果 5
図6 フードトレーサビリティ構築 実行ロードマップ
STEP 1 STEP 2 STEP 3
0〜6ヶ月 6〜18ヶ月 18ヶ月〜
記録の流れの パイロットと 対象拡大と
可視化と対象選定 取引先への展開 価値への転換
記録の断絶点の特定 主要取引先での実証 対象品目・取引先の拡大
対象品目の選定 入力負担の軽減策 消費者への情報開示
共有ルールの設計 回収訓練での検証 品質改善への活用
「どこで途切れるか」が見える 迅速な追跡が実証される 信頼が競争力に変わる
図6:可視化・実証・拡大の3段階で、企業の枠を越えた追跡を実現する
STEP 1 記録の流れと断絶点を見える化する
原料の調達から出荷までの記録の流れを洗い出し、紙やFAXに頼っている箇所、企業間で情報が途切れる箇所を特定する。リスクの高い
原料や主力商品を最初の対象に選ぶ。
STEP 2 主要取引先と小さく実証する
対象品目について主要取引先と共通の記録基盤を試行する。入力の手間を減らす工夫と、受発注の効率化などの便益を組み合わせ、回
収訓練で追跡スピードを検証する。
STEP 3 範囲を広げ、信頼を価値に変える
対象品目と取引先を広げ、記録を消費者への情報開示や品質改善にも活かす。来歴を証明できること自体が、取引先や消費者から選ば
れる理由になる。
期待する成果 変革が生み出す具体的な価値
短期(0〜6ヶ月) 中期(6〜18ヶ月) 長期(18ヶ月〜)
→ 記録の断絶点の把握 → 取引先での実証 → 対象の拡大
→ 対象品目の決定 → ロット特定の迅速化 → 消費者への開示
→ 共有ルールの設計 → 入力負担の軽減 → 品質改善への活用
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セルフ診断 / 次のステップ 6
セルフ診断 あなたの会社のトレーサビリティは?
以下の項目に1つでも当てはまれば、対応の遅れによるリスクが潜んでいる可能性があります。まず現状の確認を。
図7 フードトレーサビリティ セルフ診断チェック
☐ 食品事故時に該当ロットを24時間以内に特定できない
警告
→ 早急な対応が必要な可能性があります
☐ 取引先の記録が紙・FAXに頼っている
危険 安全
→ 早急な対応が必要な可能性があります
☐ 原料の産地・加工履歴を一元管理できていない
追跡力スコア → 早急な対応が必要な可能性があります
要対応レベル ☐ 輸出先の記録要件を把握していない
当てはまる項目が多いほど → 早急な対応が必要な可能性があります
針は「危険」側に振れる
☐ 取引先とデータ共有する仕組みがない
→ 早期の見直しを推奨します
☐ 回収を想定した訓練を行っていない
→ 早期の見直しを推奨します
図7:赤は早急な対応が必要な項目、黄は早期見直しの推奨項目
3つ以上当てはまった場合
早急な着手が必要な段階です。食品事故の損失は、追跡にかかる時間に比例して膨らむため、記録をつなぐ仕組みは、問題が起きる
前に整えておく必要があります。
次のステップ まず「サプライチェーン記録診断」から始める
トレーサビリティの強化にあたり、全取引先を一度に巻き込む必要はない。まず自社の記録の流れと断絶点を把握することから始まる。アクセン
チュアでは、記録の現状診断から共有ルールの設計、基盤の構築、取引先への展開まで、段階的に支援している。
「食品トレーサビリティ、まずは相談してみませんか」
サプライチェーン記録診断(無償)を受け付けています。
アクセンチュア株式会社 Supply Chain & Engineering(SC&E)
SupplyChain_Engineering@accenture.com
本資料のデータは公表情報・統計資料に基づく推計値・目安を含みます。個別の投資・経営判断については当社の専門家にご相談ください。
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