WHITE PAPER|建設機械 × 調達・購買 建設機械サプライチェーン概念図
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原材料
調達先
見えないリスクが、 半導体 部品
サプライヤー メーカー
工場を止める。
物流
半導体不足が止まらない今、 拠点
2次
サプライヤ
調達リスクをどう制するか。 組立
工場
部品調達リスクとサプライチェーン可視化の 在庫
管理
実践フレームワーク
完成品
出荷
78% 3.2兆円 47日
調達遅延の 半導体不足に 代替先確保の
発生率 よる損失規模 平均所要日数
調達リスクスコア推移(概念図)
100
90
本書の内容 90 85
78
80
1 なぜ建設機械メーカーは調達リスクに無防備なのか 72
70 65
60 58
60 55
2 半導体不足の「見えていたシグナル」
50
3 可視化が進まない本質的な理由 40
30
4 可視化プラットフォームの4層構造と3ステップ
20
5 自己診断チェックと次の一手 10
0
20Q3 20Q4 21Q1 21Q2 21Q3 21Q4 22Q1 22Q2
許容閾値(70)超過 警戒水準 平常
62%
主要部品のシングルソーシング依存率
27%
地政学リスクを調達戦略に組み込む企業
2020年Q4
アクセンチュア株式会社
半導体不足のシグナルが現れた時期
Supply Chain & Engineering(SC&E)
SupplyChain_Engineering@accenture.com
2026年 外部公開版
エグゼクティブサマリー / Why 1 2
EXECUTIVE SUMMARY
「まさか、うちのサプライヤーが」と気づいたときには、ラインは止まっている。
2021年の半導体不足は、世界の建設機械・自動車メーカーを直撃した。その後も地政学リスク・感染症・自然災害によるサプライチェ
ーン混乱は常態化しており、「次の危機」はすでに水面下で進行している可能性がある。
本稿は、調達リスク管理とサプライチェーン可視化を「事後対応」から「予防的管理」へ転換するための考え方と実践的アプローチを整理
したものです。
Why 1 なぜ建設機械メーカーは「調達リスク」に無防備なのか
建設機械は、エンジン・油圧系・電装部品・センサー類を含む数万点の部品で構成される。特に半導体・電子部品は台湾・韓国・中国に製
造拠点が集中しており、地政学的緊張や自然災害ひとつで即座に供給が止まる。
問題は、こうしたリスクが「分かっていながら対処できていない」点にある。これは担当者の怠慢ではなく、サプライチェーンの構造そのものに起因す
る。
図1 建設機械メーカーのサプライチェーン全体像と断絶リスク
原材料調達先 素材・部品 1次サプライヤー 完成品メーカー 販売・ユーザー
!
鉄鉱石 半導体 エンジン
代理店
(豪州/ブラジル) (台湾・韓国) サプライヤー
銅・レアメタル 油圧部品 アクスル 建設機械
建設会社
(DRC/チリ) (日本・ドイツ) サプライヤ メーカー
! !
ナフサ 電装部品 コントロール
リース会社
(中東) (中国) ユニット
供給断絶リスク高 中程度リスク
図1:特定地域に集中する素材・部品層が、サプライチェーン全体の断絶点になる
62% 47日 27%
主要部品の 有事の代替調達先 地政学リスクを
シングルソーシング依存率 確保に要する平均日数 調達戦略に組み込む企業
※数値は公表情報・業界調査に基づく推計値を含む
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Why 1(続き)/ Why 2 3
図2 建設機械メーカーが調達リスクに無防備な理由 ── 3つの構造的な壁
第1の壁 第2の壁 第3の壁
各拠点 ・ Excel管理 ・ バラバラ 1社依存 ・ 切替不可 ・ 47日 地政学 ・ 規制変化 ・ 想定外
情報の分断 シングルソーシング依存 地政学リスクの未内部化
・調達・生産・物流の情報が縦割りで孤立 ・主要部品の62%が特定1社に依存 ・米中対立・輸出規制は2019年から顕在
化
・有事の代替調達先確保に平均47日
・リアルタイムの在庫・稼働状況が本社に届 ・調達戦略に組み込む企業は27%のみ
かない
・代替先リストが存在しない企業が多数
・問題発覚は「欠品が起きた後」 ・「次の危機」は既に水面下で進行中
平均 情報到達遅延:3〜5日 シングルソーシング率:62% 地政学リスク対応済:27%のみ
図2:情報・調達構造・リスク認識の3層で、構造的な脆弱性が積み重なっている
Why 2 「半導体不足は特殊事例」ではなかった
2021年の半導体不足は「想定外」と語られることが多いが、実際にはそうではない。2020年第4四半期の時点で、半導体メーカーの受注残
は前年比40%増に達し、業界レポートは供給不足の顕在化を指摘していた。にもかかわらず、多くの建機・自動車メーカーはその情報を調達
戦略に反映できなかった。「外部のリスクシグナルを内部の調達計画に接続する仕組み」が存在しなかったからです。
図3 半導体不足の「見えていたシグナル」── なぜ対処できなかったのか
Q4受注残+40% 半導体不足が 代替部品の 供給が徐々に
(業界レポート) 顕在化 確保競争 回復開始
2020 2021 2021
Q4 Q2 Q4
1 2 3 4 5 6 7
2020 2021 2021 2022
Q3 Q1 Q3 Q1
供給不足を予告 建機メーカーが 出荷台数
(アナリスト) 減産を公表 ▲30%
見えていたシグナル 被害の顕在化
図3:シグナルは被害の2四半期前から存在していた
シグナルは2020年Q4に存在していた ── しかし、それを調達戦略に接続する仕組みがなかった。
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Why 3 / アプローチの方向性 4
Why 3 「可視化」がなぜこれほど難しいのか
サプライチェーン可視化の重要性は多くの経営者が認識している。それでも実現できないのは技術の問題ではない。根本は「データの所有権と
インセンティブの分散」にある。
1 原因 2 原因 3 原因
サプライヤーが開示を拒む 社内データが縦割りで孤立 「可視化すると責任が生まれる」心理
在庫水準・稼働率は競合情報でもある。強 調達・生産・物流・財務のシステムが連携せ
制ではなく、信頼関係と相互メリットの設計 ず、横断的な可視化の基盤がない。 リスクが見えると対処責任が明確になる。「
が不可欠。 知らないほうが楽」な組織文化が温存されて
きた。
図4 従来の調達管理と目指すべき姿
✕ 従来の調達管理 目指すべき姿
✕ 外部データは業界紙・展示会で収集 外部リスクシグナルをリアルタイムに収集
✕ サプライヤー情報はメールと電話 サプライヤーポータルで稼働・在庫を可視化
✕ 在庫状況はExcelで週次更新 調達KPIをダッシュボードで一元管理
✕ リスク評価は「勘と経験」 AI・統計モデルによるリスクスコアリング
✕ 問題発覚 → 対応 → 次の問題へ 予兆を検知 → 事前に対策
アプローチ 「反応」から「予防」への転換
機能するアプローチの共通構造は「データの統合 → リスクの定量化 → 意思決定の前倒し」という段階的な転換です。それを支えるのが、次
の4層構造のプラットフォームだ。
図5 調達リスク管理 可視化プラットフォームの4層構造
Layer 4 経営ダッシュボード
リスクスコア コスト予測 アラート一覧
リスクKPI・調達コストシミュレーション・経営会議向けレポート
Layer 3 リスク検知・アラートエンジン
地政学スコア 財務健全性 稼働率監視
サプライヤー財務モニタリング・地政学リスクスコアリング・異常検知AI
Layer 2 データ統合基盤
ERP連携 ポータル 外部リスクDB
社内在庫・発注データ × サプライヤー納期データ × 外部情報
Layer 1 データ収集層
社内システム メール/EDI 外部API
調達システム・ERP・メール・サプライヤー回答・外部データ
図5:下層のデータ収集から上層の経営判断まで、リスク情報が一気通貫で流れる構造
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実行ロードマップ / 期待成果 5
図6 調達リスク管理 変革ロードマップ
STEP 1 STEP 2 STEP 3
3〜6ヶ月 6〜12ヶ月 1年以降
データ統合と 代替調達先の 予防的リスク
リスク可視化 開発・整備 管理の定着
調達データの一元化 代替サプライヤーの開拓 リアルタイム検知
リスクスコアの算出 マルチソーシングへ移行 自動アラート連動
ダッシュボード構築 サプライヤーと情報共有 継続的改善サイクル
「どこにリスクがあるか」が見える 「止まらない調達体制」の構築 サプライチェーン強靭性の確立
図6:データ統合から予防的管理の定着まで、段階的に成果を積み上げる
STEP 1 まずデータを一か所に集める
散在する調達データ(ERP・メール・Excel・サプライヤー回答)を統合し、「どこに何がどれだけあるか」を把握できる状態を作る。高度なシス
テムは不要。データの所在と更新サイクルを定めることから始める。
STEP 2 リスクを「見える数字」にする
部品ごとに調達リスクスコアを算出する。シングルソーシング率・サプライヤー財務健全性・地政学リスク指数・代替調達可能期間を組み合わ
せた複合指標が、優先対応すべき部品を浮かび上がらせる。
STEP 3 経営判断をリスクスコアに連動させる
スコアが閾値を超えたら、代替調達先の探索と生産計画の調整が自動的に始まる。リスク対応を担当者の「気づき」に依存させない仕組み
こそが、予防的管理の本質です。
期待成果 可視化が生み出す具体的な価値
短期(3〜6ヶ月) 中期(6〜12ヶ月) 長期(1年以降)
→ リスク品目の特定 → 代替調達先の開発 → リアルタイムなリスク検知
→ シングルソーシング率の把握 → マルチソーシングへの移行 → 予防的調達管理の定着
→ 調達データの一元化 → サプライヤーとのデータ共有 → 強靭性スコアの継続的改善
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自己診断 / 次のステップ 6
自己診断 あなたの会社のリスク耐性は?
以下の項目に一つでも当てはまれば、調達リスクが潜んでいる可能性が高い。
図7 自社の調達リスク耐性 セルフ診断チェック
☐ 主要部品のサプライヤーが1社のみの品目が全体の30%以上ある
警告
→ 調達リスクが潜んでいる可能性があります
☐ サプライヤーの財務状況・稼働率を定期的にモニタリングしていない
危険 安全
→ 調達リスクが潜んでいる可能性があります
☐ 調達部門と生産部門がリアルタイムで在庫状況を共有できていない
リスク耐性スコア → 調達リスクが潜んでいる可能性があります
要対応レベル ☐ 地政学リスク(輸出規制・国家間対立)を調達戦略に組み込んでいない
当てはまる項目が多いほど → 調達リスクが潜んでいる可能性があります
針は「危険」側に振れる
☐ 代替調達先リストが存在しない、または2年以上更新されていない
→ 早期の見直しを推奨します
☐ サプライチェーン可視化ツールを導入・検討していない
→ 早期の見直しを推奨します
図7:赤は潜在化リスク、黄は早期見直しの推奨項目
3つ以上当てはまった企業へ
調達リスクの可視化は「やったほうがよいこと」ではなく、「やらないと取り残されること」になりつつあります。先進企業はすでに体制整備を
始めており、スタートの遅れはリスク発生時のダメージの大きさに直結します。
次のステップ まず「現状把握」から始める
調達リスク管理の変革は、大規模なシステム投資から始める必要はない。最初の一歩は、現状の調達リスクを正しく把握することだ。アクセンチ
ュアでは、調達リスクの現状診断から可視化基盤の設計・実装まで、段階的な支援を行っている。
「自社の調達リスク、まず相談しませんか」
調達リスクの現状診断(無償)を受け付けています。
アクセンチュア株式会社 Supply Chain & Engineering(SC&E)
SupplyChain_Engineering@accenture.com
本資料のデータは公表情報・統計資料に基づく推計値を含みます。個別の投資・経営判断については専門家にご相談ください。
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