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制御機器の基礎知識 リレー 総集編

ハンドブック

リレー 総集編

制御用リレーの仕組みや選び方・使い方を解説した制御機器の基礎知識【リレー編】。
下記章があり、本資料は期間限定で全ての章をまとめた資料です。

1. 制御用リレーとは
2. 総論
3. 各論 ヒンジ形リレー
4. 各論 プランジャ形リレー
5. 各論 リードリレー
6. 各論 特殊用途リレー
7. 各論 半導体リレー
8. 資 料 編


※規格に関しては、必ず現行規格のご確認をお願いいたします。
※NECA Webサイトにも、リレー編を各章ごとに掲載しています。https://www.neca.or.jp/standard/howto/relay/

※本コンテンツの商用目的、営利目的での利用、また無断転載を禁じます。
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ドキュメント名 制御機器の基礎知識 リレー 総集編
ドキュメント種別 ハンドブック
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このカタログの内容

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総 集 編 リレー編
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制御機器の基礎知識 【リレー編】 総集編 制御機器の基礎知識 【リレー編】には、下記章がございます。 本資料は、すべての章をまとめた資料となっております。 1. 制御用リレーとは (2018 年版) 2. 総論 (2018 年版) 3. 各論 ヒンジ形リレー (2018 年版) 4. 各論 プランジャ形リレー (2018 年版) 5. 各論 リードリレー (2018 年版) 6. 各論 特殊用途リレー (2018 年版) 7. 各論 半導体リレー (2018 年版) 8. 資 料 編 (2018 年版) ★各章へのリンクは PDF の“しおり”機能を活用されると便利です。
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1.制御用リレーとは

リレー 編 制御用リレーとは
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制御機器の基礎知識 リレー編 1 制御用リレーとは 目次 1.1 定義と機能 ............................................................................................. 1 1.2 大分類 ...................................................................................................... 1 1.3 沿革 .......................................................................................................... 2 1.4 選び方と使い方 ..................................................................................... 4 1.5 用途と市場 ............................................................................................. 7 1.6 技術動向 .................................................................................................. 8 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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1.1 定義と機能、1.2 大分類

制御機器の基礎知識 リレー編 1 制御用リレーとは 1.1 定義と機能 リレーは「その機器を制御する電気的入力回路が、ある条件を満足したとき、単数または複数の電気的出力 回路に、予定された変化が急激に起きるように設計された機器」と定義される[1]。 ここで、「ある条件」とは電圧、電流の振幅、周波数、入力の継続時間など入力信号の値であり、「予定され た変化」とは電気回路の開閉を制御する動作である。 例えば、図 1.1 に示す入出力回路において、入力回路のスイッチ S を開閉することにより、リレーのコイル R の信号を断絶し、それに応じて接点 r が開閉され、出力回路が断絶制御される。即ち、電気的エネルギを機械的 エネルギに変換するによって、機械的に接点を開閉し、電気回路の ON-OFF 制御を行う機能を有することとな る。 出力回路 入力回路 図 1.1-リレーの基本構造 1.2 大分類 制御用リレーを一般的な構成原理によって分類すると、表 1.1 に示す通り、ヒンジ形リレー、プランジャ形リ レー、リードリレー等から成る電磁リレーとソリッドステートリレー、フォト MOS 形リレー等から成る半導体 リレーに大別される。 電磁リレーの草創期のタイプはヒンジ形リレーであり、今日、最も多く市場に出ている。小形のものが多く、 ヒンジ形の電磁石を有することに特徴がある。 プランジャ形リレーはコンタクタから発展してきたものともいわれ、ヒンジ形リレーと比べ大形で消費電力 も大きく、構造全体が堅牢にできている。プランジャ形電磁石を用いていることに特徴がある。 リードリレーは接点付きリード片をガラス管で封入した構造のリレーで、接触抵抗の安定性に優れている。 小形で、高速動作に適し、駆動に必要な消費電力も小さいことに特徴があるが、最近、負荷容量を大幅に増し た重負荷形リードリレーも市場に出ている。 一方、半導体リレーはトランジスタ、IC 回路を中心とする電子回路で構成するリレーであり、論理機能、交 流開閉機能、光電素子を適用しリレー機能を得るようにしたタイプがある。電磁リレーと比べ、小形化、高速 動作、高信頼性、耐環境性に関しては電子リレーが優っている。 1 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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1.3 沿革

制御機器の基礎知識 リレー編 表 1.1-制御用リレーの分類 ヒンジ形リレー 電磁 プランジャ形リレー リレー リードリレー 制御用 特殊用途リレー リレー ソリッドステートリレー 半導体 リレー フォトMOS 形リレー 1.3 沿革 電磁リレーのキー部品である電磁石が 1824 年、W. Sturgeon によって考案され、1836 年には米国の J. Henry ら によって電磁リレーに改良された。この電磁リレーが電話に初めて用いられたのは 1878 年、磁石式電話交換機 からである。その後、表 1.2、図 1.2 に示すように、1889 年、米国自動交換機 S×S 交換機の通話路系に上昇回 転スイッチ、制御系に水平形リレー、平形リレーが用いられ、ついで、電話需要が急速に伸びた 1938 年には、 クロスバー交換機の通話路系にクロスバースイッチ、制御系にワイヤスプリングリレーが用いられ、電磁リレ ースイッチの最盛期を迎えた。次の 1964 年に更改された電子交換機では、制御系が電子スイッチに置き換えら れたが、通話路系には依然接点をガラス管に封入したフェリードが用いられ、通話路系、制御系ともに電子化 されたディジタルシステムが登場する 1970 年代まで、電磁リレースイッチが交換機の基幹部品として長期に渡 り用いられた[2][3]。 一方、わが国では、S×S 交換機からクロスバー交換機まで、米国・独国からの輸入と技術導入に頼ってきた が、1963 年からの電子交換機より、わが国独自設計による実用化を開始した。米国がフェリードを導入したの に対し、わが国では小形クロスバースイッチ/金属封止形スイッチを適用するなど独自技術の醸成を図った[4]。 また、1968 年には電子交換機の中継線回路や監視回路等用にワイヤスプリングリレーと比べ大幅に小形化・高 速化・長寿命化された DF リレーを実用化し、小形化の流れをつくった。 表 1.2-交換機の変遷(導入年と構成要素) 導入年 機 器 構 成 機種名 日 米 通話路系装置 制御系装置 S×S ダイヤル数に応じて回転動作させ、回線を選 水平形リレー、平形リレー、 1929 1889 交換機 択する上昇回転スイッチを適用 70 号形リレーを適用 加入者数の大幅増対応、回線使用率の向上、 ワイヤ状の接点ばねを用 クロスバー 1955 1938 長寿命、高品質化を図るため、共通制御方式 い、量産構造としたワイヤ 交換機 で動作するクロスバースイッチを適用。 スプリングリレーを適用 通話路は呼出信号、通話電流等に耐え得る高 蓄積プログラム制御又は布 電 子 耐圧、低損失の電磁系通話路スイッチ(米: 線論理制御に電子部品を適 1972 1965 交換機 フェリードスイッチ、日本:XS 形クロスバ 用 ースイッチ)で形成 通話路をパルス符号変調方式のディジタル 論理/ 記憶回路、マイクロ ディジタル 1970 年代 信号を交換できる LSI 等の電子部品で構成。 プロセッサ、AD 変換器の制 1982 システム 後半 これにより、音声、画像、データ等信号を共 御に各種 LSI を適用 通のネットワークで処理可能とした。 2 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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制御機器の基礎知識 リレー編 クロスバースイッチ 小形クロスバースイッチ A 形上昇回転スイッチ H 形上昇回転スイッチ 電子交換用スイッチ(日) 電子交換用スイッチ(米) a) 通話路スイッチ 水平形リレー 平形リレー ワイヤスプリングリレー b) リレー 図 1.2-交換機の変遷(外観)[2] その後、エレクトロニクス技術が急速に進展した 1970 年代、国内外とも、半導体は系統構成化が進み、時分 割、ディジタル信号処理、ハイウェイ間の同期等多様な機能への適用が可能となった。これに伴い、交換機は 制御装置だけでなく通話路装置もディジタル化され、さらに伝送装置等とも統合され、ディジタルシステムが 構築された[3]。この電子化、ディジタル化の動きは各種分野に及び、一時期、電磁リレーの市場を脅かすので はないかと懸念された。しかしながら、市場低減の兆候はなく、むしろ高負荷領域に強いという電磁リレーの 利点を活かし、FA 機器、OA 機器、車載機器、交通制御機器、空調・防災機器など極めて広い分野に適用拡大 された。特に、①信号/試験/電源回路などの ON-OFF や切替え、②センサによる監視結果や操作スイッチなどか らの信号回路への伝達、③制御回路からの信号によるモータ、ランプなど出力機器の ON-OFF などに用いられ た[5]。このリレー市場の急速に拡大した 1970 年代後半から 1980 年代にかけて、リレーの主流は通信用リレー から制御用リレー(図 1.3)に移行したといえる。また、通信用リレーの流れはシグナル用リレーとして低負荷 用リレーのニーズにも応えるべく、電子部品と共存実装し、実装工程の省力化や適用機器の小形高密度化、低 消費電力化に寄与している。 3 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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1.4 選び方と使い方

制御機器の基礎知識 リレー編 A 形 B 形 C 形 図 1.3-制御用リレーの例[6] 1.4 選び方と使い方 1.4.1 選び方 a) 制御用リレーのシステムへの適用法 制御用リレーをシステムやサブシステムにいかに組み込むかは、使用目的や要求される機能や性能に整合 する形式や構造のものをどう選択するかにある。それには使用条件、要求条件、使用環境条件、遵守すべき 規格を的確に把握するとともに、形式、構造、動作特性、電気的性能、機械的性能、信頼性、実装性など適 合性を掴む必要がある。そのためには、個別にカタログや生産者、ユーザーからの技術情報等で深堀りしな ければならないが、最も重要な性能、信頼性は事実上使用条件、環境条件によって大きく変わるので、適用 機器ごとに、実使用条件や環境に合わせた個別条件で信頼性試験データを得るか、実用に供してデータを得 ることである。 その一つが、リレー開発時の技術的背景、設計時に目標とした設計コンセプト、できた製品の特徴や用途 を探ることである。すなわち、図 1.4 に示されるような、機能別に構成した制御システムに適用される制御用 リレーでは、「信号の伝達」「信号の変換」「信号の増幅」さらに「信号の操作」として用いられるが、これら 各機能を果たすのに要求されるリレーの特性上のポイントは次のような点があげられる: 1) Ⅰ、Ⅰ’に使用されるリレーは検出要素の出力信号を増幅し、制御シーケンスへの橋渡しを行うものであり、 小形、高感度、高信頼性が重要な要件である。 2) Ⅱ、Ⅱ’は所定のシーケンスプログラムに従って信号の伝達、演算等を行うリレー回路で、制御装置の中枢 となる部分で、数多くのリレーが使用され、これらの的確な動作が要求され、長寿命、高信頼性、応答速 度、経済性などが要求される。負荷の容量がごく小さい場合は直接負荷を操作する場合もあり得る。 3) ⅢのリレーはⅡ、Ⅱ’からの制御信号を受け負荷の操作行うので、用途にあった適切な開閉容量と耐久性を 有するものを使用しなければならない。最近は、電子リレーの検出要素も使用されているので、電磁リレ ーもⅠ’やⅣ’のリレーのような半導体制御要素との混成適用について注意を払わねばならないことも多い。 4 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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制御機器の基礎知識 リレー編 Ⅰ Ⅱ リレー式制御回路 検出操作器 負 荷 ・小型ヒンジ形リレー ・プランジャ形電磁リレー ・ヒンジ形電磁リレー ・電動機 Ⅲ ・電磁弁 Ⅳ’ Ⅳ ・ソレノイド ・電磁クラッチ ・小型ヒンジ形 ・小型ヒンジ形 ・電磁ブレーキ リレー リレー ・プランジャ形 ・リードリレー ・ヒータ 電磁リレー ・ヒンジ形 ・電磁開閉器 Ⅱ’ 電磁リレー Ⅰ’ ・無接点スイッチ 電子式制御回路 ・小型ヒンジ形リレー ・リードリレー 検出操作段 信号処理段 出力段 負荷段 図 1.4-制御システムの構成例 b) 電磁リレーと半導体リレーの性能比較 前節で述べた要求性能に対して、電磁リレーと電子リレーについては、表 1.3 に示すような利害得失がある。 耐電圧、耐ノイズ性、ON/OFF 比、漏れ電流については電磁リレーが有利なのに対して、小形化、高速動作、 高信頼性、耐環境性に関しては電子リレーが優っており、この利害得失によって、いずれを適用するかの棲 み分けがなされる。 表 1.3-電磁リレーとソリッドステートリレーとの性能比較 特 性 電磁リレー SSR 耐電圧性 103 V オーダ 数 100 V 以下 耐ノイズ性 強い 弱い ON/OFF 比(ON 抵抗) 極めて高い(100~1 mΩオーダ) 低い(100~1 Ωオーダ) 漏れ電流 ほとんど 0 数 μA~数 mA 動作時間 10-1~1 ms オーダ 10-2~1 ms オーダ 信頼性 摩耗故障で、動作回数に依存 確率故障で、故障率一定 耐環境性 弱い 強い c) 主要 3 種のリレーの性能比較 また、制御用リレーの代表的な 3 種であるヒンジ形リレー、プランジャ形リレー、リードリレーの特性を、 構造や実装法と合わせ、比較すると、表 1.4 に示すようになる。 ヒンジ形リレーは汎用的ではあるが、比較的軽負荷用即ち低中電圧、小中電流の負荷の適用に適し、プラン ジャ形リレーは比較的大きな負荷用即ち中高電圧、大電流の負荷の使用に適している。また、一般用リード リレーは軽負荷用即ちヒンジ形リレーよりやや低い低電圧、低電流の負荷の使用に適している。 5 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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制御機器の基礎知識 リレー編 表 1.4-汎用リレー三種の構造・性能・実装法比較 リレー種別 ヒンジ形リレー プランジャ形リレー リードリレー 大気開放/遮断構造 大気開放 大気開放//密封 密閉(封止) 外形寸法 小形 やや大形 超小形 構 エンドオン形/サイドアー電磁石構造 プランジャ形電磁石 リード対向形電磁石 マチュア形電磁石 造接点構成 1~4 接点 4~10 接点 1~2 接点 接触力・遮断方式 小 大 微小 特長 小形・防塵カバー付 堅牢構造 耐食性大 機械的耐久性 やや短 長 やや短 性電気的耐久性 過負荷耐量やや小 過負荷耐量大 過負荷耐量やや小 適用負荷 軽負荷用 比較的重負荷用 比較的軽負荷用 能消費電力 小 0.1~4 VA やや大 10~15 VA 小 絶縁性 やや低い 高い 600~1 000 V やや低い 実 プラグイン構造で取付容易 表面形、 プリント基板用を始め、 装取付・接続 各種ソケット、配線方式種類 法 ねじ端子接続 実装方式種類豊富 豊富 1.4.2 使い方 リレーの性能や信頼性は、構造・形状や構成材料等リレーそのものの設計コンセプトに関わるものの他、リ レーに負荷される回路条件や電気的条件、放電対策用保護回路、使用時の動作条件や使用周囲環境、取付け方 等の実装条件等使い方に大きく左右される。 この使い方は個々のリレーによって異なるが、構造原理別に分類したリレーの使い方に関しては各論に譲り、 ここでは電磁リレー全般に共通する使い方について概要を述べることとする。 a) 入力回路 入力回路では、操作回路電圧の変動がリレーの性能維持に大きな影響を与える。定格電圧を大幅に越える 電圧を印加した場合には、閉成時の過大な衝撃力による機械的耐久性の低下やコイルの耐熱限界越えによる 断線、絶縁劣化や電食の原因となるし、定格電圧より大幅に低い場合には接点の踊りによる溶着や消耗、瞬 断等の障害、接触力低下による接触抵抗の不安定化、動作時間の変動に結び付くので、操作回路電圧変動の 抑制に留意する必要がある。 b) 開閉部と出力回路 開閉部の接点はリレーの信頼性を左右するもっとも重要な要素である。その接点の現象を大きく変え障害 モードにもっとも大きな差を生じさせる要因は電気的負荷条件である。その中でも電圧・電流で、放電を伴 う領域か否かが障害モードを分ける境界となる。放電の生じない低電圧・低電流領域では接点表面に生成す る被膜を消散し難く、接触抵抗障害を発生し易いが、放電の発生する中高電圧・電流では、出力回路構成に もよるが、放電やジュール熱により、溶着やブリッジ、ロッキングが生じ、開離不能障害になりやすい。 この接点被膜による接触抵抗障害の回避には接点材料の最適化や接点の封入化で凌いでいるが、詳細は 2.2 接点現象と接点障害を参照されたい。一方、放電による開離不能障害に対する対策には、放電機構を的確に 捉えた上で、接点材料の最適化や接点間に発生する逆起電力を吸収するための接点保護回路の使用すること が重要である。この点についても 2.2 で述べることとする。 c) 使用環境 リレーの動作や信頼性に影響を及ぼす使用環境の要因には温湿度、大気中の濃度等の物理化学的要因と振 6 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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1.5 用途と市場

制御機器の基礎知識 リレー編 動、衝撃等機械的要因とがある。 リレー本体の温度は使用環境温度とコイルの発熱温度との和となるので、環境温度が高いと、熱容量の小 さい小形リレーでは動作特性に支障をきたしたり、構成材料の耐熱温度を越す場合もある。したがって、仕 様書に規定された使用温度範囲内か否かに留意する必要がある。 また、大気中の活性ガスは温湿度とともに接点表面の絶縁性被膜の生成を助長するので、2.2 で述べる接点 現象を参照し、対処する必要がある。 他方、振動、衝撃は誤動作や機構上のゆるみの原因となり、実装位置への配慮、耐振性・耐衝撃性の強い 構造のリレーを選ぶことが望ましい。 d) 取付実装 リレーの取り付けにはねじ締めやプリント基板、ソケット、接続にははんだ付け、タブ等があり、用途に 応じて選ばれている。最近、半導体とともにプリント基板にはんだ付けするタイプが多くなっているが、フ ラックスや洗浄水による接点表面の汚染には十分注意を払う必要がある。 1.5 用途と市場 1.5.1 用途 リレーの発明当初、1.3 で述べたように、リレーの用途は通信システム用で、その後も交換機を初めとする通 信システムに用いられる時代が長く続いた。それが、半導体の実用化以来、エレクトロニクス技術があらゆる 産業分野に浸透して機器の高機能化、高度化が進み、新たな、多種多様のシステムを創りだした。この流れが 各システムの制御に不可欠なリレーの需要をも生み、半導体リレーと棲み分けながら、電磁リレーの用途を大 きく広げたとも考えられる。 このように、極めて広い分野に広がったリレーの用途を表 1.5 に示す。 表 1.5-制御用リレーの使用例 分野 適用機器例 F A 生産設備制御、工作機械制御、プラント、制御オートドア、プログラマブルコントローラ 家 電 電子レンシ、洗濯機、冷蔵庫、給湯器、TV、冷暖房機器 O A 複写機、プリンタ、スキャナ、レジスタ、自動販売機、各種計測器 情報通信 電話機、FAX、携帯端末、ネットワーク機器 自動車 電装部品、安全装置、オートアンテナ 交通制御 交通信号、エレベータ、エスカレータ、列車、自動制御、航空機 防 災 直流側安全遮断器、火災報知器、ガス漏れ感知器、盗難警報 光 学 カメラ、投影機 電 力 スマートグリッド、太陽光発電システム、ソーラーストリング 1.5.2 市場 制御用リレーの年間出荷額の推移を図 1.5 に示す[7]。出荷額はここ 30 年、バブル経済の崩壊や、戦後最長の 不況、リーマンショックなどで、その度に漸減することがあったが、毎回暫時回復し、2014 年度以降、1 400 億 円台から 1 600 億円台で推移している。リレーは前節で述べたように、極めて広い産業分野においてシステムの 7 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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1.6 技術動向

制御機器の基礎知識 リレー編 信頼性や安全性を確保する役割を担うことから、今後とも需要は増加してゆくものと期待できる。 ここで、図 1.6 に示す 2012 年度から 2016 年度にかけての品目別出荷金額の推移によると、ほぼ全製品暫増傾 向にあるが、特に車載用リレーや 2A 以上のプリント基板用リレーの伸びが大きく、半導体と比べ高電圧高電流 領域に有利な電磁リレーの特長が市場動向にも現れているといえる。 億円 国内 輸出 総額前年比(右目盛) % 1,800 180 1,600 160 1,400 140 1,200 120 1,000 100 800 80 600 60 400 40 200 20 0 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 図 1.5-制御用リレーの出荷金額の推移[7] a) 2012 年度 b) 2016 年度 図 1.6―制御用リレーの出荷金額の品目別内訳[7] 1.6 技術動向 1.6.1 汎用リレーへの技術的要求条件 通信用機器がリレー市場を牽引した時代、通信機器には、電話需要の急増と通信手段の多様化に対処する ため、システムの大容量化、高信頼化、小形化、高速化、高周波化、省消費電力化が要求され、リレーにも高 信頼性の確保を前提に、小形高密度化、省消費電力化が課され、それに基づく技術が醸成された[8]。 8 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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制御機器の基礎知識 リレー編 1960 年代以降、制御装置がリレー市場を牽引する時代からは、各分野において高機能化、高度化が進み、リ レーへの要求も多様化した。小形リレーはさらなる小形化、軽量化、省消費電力化、高信頼化が求められ、同 時に電子部品との共存実装が進み、これまでプリント基板リレーが市場を支えてきた。 一方、中高電圧電流容量リレーは車載用を中心に直交流で 1 000 V 台、数百 A 台の耐電圧・耐電流を有するリ レーが求められ、既に 2016 年の出荷額の割合が示すように、プリント基板リレーの割合を凌いでいる。今後、 スマートグリッドへの適用と合わせ、ますます需要が増し、市場の重要な一角をなすものとして、必要な技術 を的確に把握し、技術基盤の醸成を図っておくことが必要である。 1.6.2 環境問題と資源の枯渇問題 耐環境性に関し、リレーに用いられた鉛はんだ、カドミウム、水銀など特定有害物質の RoHS 指令や環境規制 による使用制限及び貴金属材料の資源枯渇が大きな問題として取り上げられている。これらに対し代替材料の 開発が急速に進められているが、コストパフォーマンスの狭間でまだ課題もあり、環境や資源の問題は今後取 り組み続けなければならない重要なテーマの一つである。 1.6.3 安全性への要求条件 最近、交通機関や原子力発電、プロセス産業、産業機械など高い安全性が要求されるシステムに電気・電子・ プログラマブル電子(E/E/PE)技術が用いられ、IEC(International Electrotechnical Commission 国際電気標準会 議)によってE/E/PE技術を持つ安全システムの機能安全を確実なものとするための指針が規定され[9]、さらに、 リレーのような部品にも安全度水準の適応能力(Systematic Capability in Safety Integrity Level)が新たに要求されるよ うになった[10]。今後、安全度水準が課されているシステムにリレーを適用する場合、汎用リレーに要求される 技術的要求条件の他に、機能安全規定を要求されるので、留意が必要である。 1.6.4 国際標準(IEC/ISO)による規制 2.5 で詳述するが、1990 年代、IEC 加盟国は各国間の貿易の技術的障壁を軽減するため、国家レベルの規格は 国際規格を基礎とすることが義務付けられ、わが国においても、以降の JIS については原則、IEC 規格や ISO (International Organization for Standardization 国際標準化機構)規格を翻訳することが定められた。ただ、翻訳 JIS(Japanse Industrial Standard 日本工業規格)化にはタイムラグがあるので、国際的な取引を行う場合、JIS と 国際規格との整合化済みか否かに留意しておく必要がある。 参考文献 [1] 眞野國夫編,“機構部品用語集”,機構部品用語小委員会編 電子通信学会、1983. [2] 青柳恵三編,“機構・回路部品概論改訂 2 版”,日本電信電話公社 研究開発本部,東京,1977. [3] 電気通信技術研究会編,“電気通信概論 5 版”,(社)電気通信協会,東京,1998. [4] 高村眞夫,中野一造,三石昭治,清水湧一,大塚猶二,“機械的自己保持形クロスバースイッチ”,信学 誌,50,No.7,1264,1967. [5] 三石昭治,“最近の電磁リレーの技術動向と問題点”,信学会エレクトロニクスソサイエティ大会 SC-3-2, 1995. [6] 眞野國夫編,“リレーハンドブック”,森北出版,東京,1992. [7] NECA,出荷統計,NECA, https://www.neca.or.jp 2001 年度~2016 年度. [8] 青木武,“通信用リレー接点の変遷と制御用リレーへの展開”,信学論,Vol. J100-C,No.10,2017. [9] IEC Guide 104:2010, the preparation of safety publications and the use of basic safety publications and group safety publications. [10] IEC 61508-series, Functional safety of electrical/electronic/programmable electronic and programmable electronic control system. 9 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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リレー 編 制御用リレーとは
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2.総論

リレー 編 総論
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制御機器の基礎知識 リレー編 2 総論 目次 2.1 リレーの構造と特性 ...........................................................................10 2.2 接点現象と接点障害 ...........................................................................18 2.3 接点材料 ................................................................................................34 2.4 信頼性評価 ...........................................................................................36 2.5 規格 ........................................................................................................37 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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2.1 リレーの構造と特性

制御機器の基礎知識 リレー編 2 総論 2.1 リレーの構造と特性 2.1.1 基本構造と構成材料 2.1.1.1 概要 リレーの動作順序を説明するにあたって、代表的なリレーの模式図を図 2.1 に示す。図中一点鎖線の中のリレ ーを用いて、ランプ負荷を点滅させた時、リレーの動作順序は次に示すようになる。 ①駆動スイッチを ON にすると駆動電源よりリレーのコイルに電流が流れる。 ②鉄心に磁束が発生し鉄心は磁化される。 ③磁化すると接極子(可動鉄片又はアーマチュアともいう)は鉄心の磁極面に吸引され、支点(ヒンジとも いう)を中心に回転し鉄心に吸着する。 ④接極子に固定された可動接点が接極子と連動し対向するメーク側の固定接点に接触する。 ⑤可動接点と固定接点が接触すると、負荷電源より電流がランプに流れ点灯する。 ⑥駆動スイッチを OFF にすると接極子は復帰ばねの力によって最初の定位置に戻るため、可動接点は対向す るブレーク側の固定接点の方に移動するのでランプは消える。 可動ばね 可動接点 ブレーク固定接点 接点負荷電源 接極子(B) 出 復帰ばね ヒンジ 力 ランプ負荷 磁極面 メーク固定接点端子 入 駆動スイッチ コイル(A) 力 駆動電源 コイル端子 継鉄(B) 鉄心(B) 図 2.1-代表的なリレーの模式図 リレーの機能は、1.1 で述べたように、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換し、機械的に接点を開閉さ せ、電気回路の ON-OFF を制御するものである。この機能をエネルギー形態と構成部品とに分けて考えると、 表 2.1 に示すようになる。変換の基本要素は三つあり、電気的エネルギーを磁気エネルギーに変換する変換部 A (電磁コイル)と、磁気エネルギーを機械的エネルギーに変換する変換部 B(鉄心、継鉄、接極子で構成する電 磁石)及び電気的エネルギーを断続する機械的スイッチ(ばねと接点)から成る。 以下、これら構成部品の構造と構成材料について述べる。 10 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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制御機器の基礎知識 リレー編 表 2.1-リレーの機能と構成部品 機 能 入 力 変換部 A 変換部 B 機械的スイッチ 出 力 エネルギー 電 気 的 電 磁 機 械 的 電 気 的 形態 エネルギー エネルギー エネルギー エネルギー 鉄 心 接 点 構成部品 コイル端子 電磁コイル 継 鉄 接点ばね 接点端子 接極子 復帰ばね 2.1.1.2 磁気回路系 a) 磁気回路の構造 接点の駆動には、電磁石を構成する接極子に直結された駆動カードによって接点を機械的に駆動する接極 子駆動形が最も多く用いられ、サイドアーマチャ形とエンドオン形、リード形とがある。いずれの形も磁気 回路は、鉄心 C、継鉄 Y、接極子 A、巻線 W から成るが、図 2.2 に示す通り、接極子が接心の軸方向と直角 に運動し、鉄心側面に吸引される構造をサイドアーマチャ形、接極子が接心の軸方向に運動し、鉄心端面に 吸引される構造をエンドオン形と称している。また、リード形は図 2.7 に示す通り、コイルに電流を流してリ ード片(磁性体)を吸引する構造である。 さて、接極子は、巻線 W に通常直流電流を流し、磁気回路を励磁すると、磁束 φが発生し、間隙を通して 接極子に働く電磁力(吸引力)により駆動される。この吸引力Fは磁極間隙を通る磁束 φの二乗に比例し、 磁束は同一起磁力において磁極間隙 δにほぼ逆比例する。よって磁気吸引力は磁極間隙の二乗にほぼ逆比例 し、次のような式で表される。 F ∝ ∅2 、 ∅ ∝ 1⁄?? ∴ F ∝ 1⁄??2 この関係を図示すると、図 2.3 のようになる。 C,Y A A (N) C,Y Y W W C A W 吸Y PG 引 印加電圧 C PG 力 F 大 W C,Y Y 中 小 サイドアマチュア構造 エンドオン構造 A:接極子 Armature W:巻 線 Winding C:鉄 心 Core PG:磁極間隙 Pole Gap 磁極間隙δ (mm) Y:継 鉄 Yoke 図 2.2-電磁石の構造 図 2.3-磁極間隙と吸引力の関係 ここで、交流用の電磁石は、くま取りコイル形と整流形があり、整流形は図 2.4 のようにリレー内に収納さ れた整流素子やコンデンサ等によってコイルに整流された直流電流を流すように考案されたものであり、原 理的には直流電磁石である。一方くま取りコイル形は図 2.5 に示されるように鉄心の磁極面に溝を設け、これ にくま取りコイルを挿入したものである。このくま取りコイルは銅リングとも呼ばれ、くま取りされない鉄 11 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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制御機器の基礎知識 リレー編 心に流される磁束 φ1による吸引力 F1と、くまとりされた鉄心に流れる磁束 φ2による吸引力 F2の位相をずら すことができるので、接極子を吸引する合成吸引力を、図 2.6 の F のように平滑にさせる働きをする。 接極子 リ くま取りコイル レ F1 ~ R ーの F1 コイ φ1 3 ル φ2 π 0 2 2 A π π π ωt α 2 Φ2m sin(ωt-α) Φ1m sinωt ~ R φ 合成吸引力(F) 継鉄 0 鉄心 くま取りコイル 平均吸引力 交番吸引力 0’ A’ ~ R 図 2.4-整流形交流用電磁石 図 2.5-くま取りコイル形交流用電磁石 図 2.6-吸引力 b) 磁気回路用材料 磁気回路用材料のうち、コイル線材には通常表 2.2 の絶縁被覆銅線が用いられるが、被覆の絶縁性、耐熱性、 可とう性、均一性、吸水性、はんだ付性などを考慮して選定される。 表 2.2-線材の代表例 線材 耐熱性種別(代表例) 油性エナメル線(UEW) A 種(105 ℃) ホルマール線(PVF) A 種(105 ℃) ポリウレタン線(UEW) E 種(130 ℃) ポリエステル線(PEW) F 種(155 ℃) ポリイミド線(DHW) H 種(180 ℃) 一方、磁性材料には、通常純鉄、低炭素鋼、ケイ素鋼などが使われ、一般的に次のような条件が要求され ている。 ① 透磁率が高く磁気飽和が高いこと ② 抗磁力が小さいこと ③ 磁気特性が安定で劣化しないこと ④ 固有抵抗が高いこと ⑤ 機械強度があり加工性がすぐれていること ⑥ 価格が安いこと 2.1.1.3 ばね負荷系 a) ばね負荷の構造 ばね負荷系には、接点の駆動方法の違いにより、図 2.7 に示されるようなフレクシャ形、リフトオフ形とリ ード形がある。 12 Copyright 2018 NECA All rights reserved.
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制御機器の基礎知識 リレー編 フレクシャ形は接点駆動カードで可動接点ばねを押し上げて可動接点を固定接点に閉成させ、必要とする 接点接触力を付与する構造のばね、リフトオフ形は可動接点ばねに予備変位を与えておき、その復元力を利 用して接点駆動カードを介して接点を閉成させ、必要とする接触力を付与する構造のばねであり、両者は代 表的なリレーであるヒンジ形リレーとプランジャ形リレーに用いられるタイプである。これに対し、リード 形は磁性体であるリード片の先端を重ね、対向させた構造のばねであり、封入形のリードリレーに用いられ るタイプである。 (N) (N) SX/2 ば ば ね ね 開 負 負 離 荷 荷 力 力 力 F F Fr 接極子ストローク S (mm) 接極子ストローク S (mm) 接点ギャップ X S F F ケース コイル リードスイッチ S ボビン 端子 a)リフトオフ形 b)フレクシャ形 c)リード形 図 2.7-ばね負荷系の構造図とばね負荷曲線 ばねの動作機構はいずれのばねにもほぼ共通するので、ここではフレクシャ形リレーで以下説明する。 フレクシャ形リレーのばね負荷曲線は図 2.8 に示すようになる。無励磁時、b 接点が ON、a 接点が OFF で あった復帰状態から、コイルに電流を流し、接極子を A 点から b 接点が開き始める B 点に至る Cb だけ移動 し、その後 a 接点が閉じ始める C 点に至るまで Cg 移動させ、さらに a 接点がばねから一定の力で押付けられ る D 点まで Ca だけ移動させ、b 接点が OFF、a 接点が ON の状態となる。このコイルの励磁、無励磁の繰り 返しで、接点の開閉動作が進む。 ここで、閉成時の接点が互いに押し合っている力 Pa、Pc を「接点接触力」、接点開閉時、接点にばね負荷 がかかる接点接触後の接極子の移動量 Ca、Cb を「接点追従」、相対する一組の接点の開いている接点の間隙 Cg を「接点間隙」、互いに接触していた接点が離されるときの力 Pa、Pb を「接点開離力」と呼び、これらば ねの動作機構に関連して定義づけられる四つの因子を「接触特性パラメータ」と称する。 13 Copyright 2018 NECA All rights reserved.