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制御機器の基礎知識 (9) マイクロスイッチ

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スイッチ・表示灯編

操作用スイッチや表示灯の仕組みや選び方を説明した制御機器の基礎知識【スイッチ・表示灯編】。
下記章がありますが、本章では、マイクロスイッチの仕組みや選び方を解説。
他の章や操作用スイッチのカタログは操作用スイッチ特集 https://jp.cluez.biz/feature/page/101/ にてご確認ください。

1.安全規格と用語の説明
2.押しボタンスイッチ
4.表示灯
5.カムスイッチ
6.多方向スイッチ
7.トグルスイッチ
8.設定/信号入力用スイッチ
9.マイクロスイッチ
10.リミットスイッチ
11.ドアインタロックスイッチ(安全スイッチ)
12.3ポジションイネーブルスイッチ
13.資料編
※第3章は統合による欠番
※第1,2,4,5,6,7,8,9,11,12,13章はNECA Webサイトにてご確認を
お願いいたします。http://www.neca.or.jp/standard/howto/switch/
※規格に関しては、必ず現行規格のご確認をお願いいたします。

※本コンテンツの商用目的、営利目的での利用、また無断転載を禁じます。
(本コンテンツは、一般社団法人 日本電気制御機器工業会及び第三者が有する著作権により保護されております。)
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このカタログについて

ドキュメント名 制御機器の基礎知識 (9) マイクロスイッチ
ドキュメント種別 ハンドブック
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このカタログの内容

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スイッチ・表示灯編 マイクロスイッチ
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制御機器の基礎知識 【スイッチ・表示灯】 9.マイクロスイッチ 目次 9.1 定義 ............................................................................................................................................................ 2 9.2 種類 ............................................................................................................................................................ 2 9.2.1 JIS による分類 .................................................................................................................................... 2 9.2.2 NECA 規格による種類 ........................................................................................................................ 4 9.3 原理と構造 ................................................................................................................................................. 7 9.3.1 スナップアクション............................................................................................................................ 7 9.3.2 スイッチの動作原理............................................................................................................................ 7 9.3.3 力・ストローク・接点接触力の特性 .................................................................................................. 8 9.3.4 接点切替時間 ...................................................................................................................................... 8 9.3.5 スイッチの外形と構造 ........................................................................................................................ 9 9.3.6 NECA 規格以外のマイクロスイッチ ................................................................................................ 12 9.4 定格と特性 ............................................................................................................................................... 13 9.4.1 定格 ................................................................................................................................................... 13 9.4.2 性能・特性 ........................................................................................................................................ 16 9.5 正しい選び方 ........................................................................................................................................... 23 9.5.1 機械的性能とスイッチの選定 ........................................................................................................... 24 9.5.2 電気的性能とスイッチの選定 ........................................................................................................... 27 9.5.3 耐環境性能とスイッチの選定 ........................................................................................................... 30 9.6 上手な使い方 ........................................................................................................................................... 30 9.6.1 取付方法 ............................................................................................................................................ 30 9.6.2 操作方法 ............................................................................................................................................ 31 9.6.3 結線方法 ............................................................................................................................................ 32 9.6.4 取扱い、保管方法 ............................................................................................................................. 32 9.7 故障と対策 ............................................................................................................................................... 32 9.8 検査 .......................................................................................................................................................... 33 9.8.1 形式検査 ............................................................................................................................................ 33 9.8.2 受渡検査 ............................................................................................................................................ 34 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 1
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9.1 定義、9.2 種類、9.2.1 JISによる分類

9 マイクロスイッチ 9.1 定義 マイクロスイッチは、厳密には精密スナップアクションスイッチ(Precision Snap Acting Switch)又は、セ ンシティブスイッチ(Sensitive Switch)と呼ばれるもので、一般的名称としてマイクロスイッチと呼んでいる のは、もともと米国の H社の MICRO SWITCHという製品名から端を発しているが、日本ではこれが学術用語として 指定されて、一般用語としても用いられているのである。 JIS C 4526-1(機器用スイッチ-第 1 部:一般要求事項)(以下 JIS)では、マイクロスイッチは、機器のなかに 組み込み又は固定することを目的とし、個別に試験することができる組込みスイッチ(Incorporated switch)で あり、スイッチの操作方法からは、押しボタンスイッチ(Push-button switch)と定義されている。 しかし、上記表現では広範囲のスイッチを含むため、わが国の NECA(日本電気制御機器工業会)の NECA C 4505(マ イクロスイッチ)(以下 NECA 規格)及び米国の NEMA(米国電気製造業者協会)では次のように定義づけている。即 ち「微小接点間隔(3.2mm以下)とスナップアクション機構をもち、規定された動きと規定された力で開閉動作す る接点機構がケースに覆われ、その外部にアクチュエータを備え、小型に作られたスイッチ」となっている。 9.2 種類 ここでは、前半は JISによる分類について述べ、後半は一般に広く使用されている NECA規格に準拠して述べる。 なお NECA規格に規定されていないが、スナップアクション機構をもち、一般的にはマイクロスイッチとして扱わ れているものについても本節の最後に付け加えてある。 9.2.1 JISによる分類 9.2.1.1 概要 JISでは製造業者が宣言する分類を定義している。以下では主な分類について述べる。 9.2.1.2 電源の種類 電源の種類により、以下の 3 つに分類される。 (1) 交流専用スイッチ (2) 直流専用スイッチ (3) 交直両用スイッチ 9.2.1.3 負荷の種類 負荷の種類により以下に分類される。 (1) 力率 0.95 以上の抵抗負荷用のスイッチ (2) 抵抗負荷もしくは力率 0.6以上の電動機負荷のいずれか又はその両者を組合わせた負荷用のスイッチ (3) 抵抗負荷及び容量負荷を組合わせた交流負荷用の回路 (4) 白熱電球負荷用の回路 (5) 製造業者が指定した特定負荷用の回路 (6) 20mA以下の負荷用の回路 (7) 特定ランプ負荷に用いる回路 (8) 力率 0.6以上の誘導性負荷に用いる回路 (9) 力率 0.6以上及び回転子を拘束した電動機の特定負荷に用いる回路 9.2.1.4 周囲温度 JISで定義される温度範囲は、以下の 2つに分類される。 (1) 0~55℃(Tマークなし) Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 2
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(2) 55℃を超えるか 0℃未満(Tマークあり) 9.2.1.5 動作サイクル 動作サイクルは、製造業者の指定した電気定格に基づく電気的耐久試験の試験動作回数となる。動作サイクル の分類を以下に示す。 (1) 100,000動作サイクル (2) 50,000 動作サイクル (3) 25,000 動作サイクル (4) 10,000 動作サイクル (5) 6,000動作サイクル (6) 3,000動作サイクル (7) 1,000動作サイクル (8) 300 動作サイクル 9.2.1.6 保護等級 JIS C 0920(電気機械器具の外郭による保護等級(IP コード))により、固形異物に対する保護等級、及び水の浸 入に対する保護等級が分類されている。詳細については、用語の定義 1.2.10項を参照のこと。 9.2.1.7 感電保護クラス 感電保護クラスにより、以下の四つに分類される。詳細については、用語の定義 1.2.8 項を参照のこと。 (1) クラス0機器 (2) クラスⅠ機器 (3) クラスⅡ機器 (4) クラスⅢ機器 9.2.1.8 使用可能な汚損状態 使用可能な汚損状態は、JIS の附属書 L により 3つに制定されている。詳細については、用語の定義 1.2.9項を 参照のこと。 9.2.1.9 耐熱性及び耐火性 非金属材料に要求される耐熱性と耐火性の試験として、JIS C 60695-10-2(耐火性試験-電機・電子-第 10-2 部: 異常発生熱-ボールプレッシャー試験方法)と JIS C 60695-2-11(耐火性試験-電気・電子-最終製品に対するグロー ワイヤ燃焼性試験方法)がある。 9.2.1.10 端子 JISでは何種類かの端子に分類されているが、 マイクロスイッチで使用する端子は主に以下の ものである。 (1) 端末処理銅導体用のねじ端子 (2) 平形クイック接続端子 (3) はんだごて又ははんだ槽を用いるはんだ付け 端子 (参考として図 9.1に端子の種類の体系図を記載する) 9.2.1.11 はんだ耐熱性 はんだ耐熱性により、はんだ端子は次の二つに分類される。 それぞれの試験条件については 9.4.2.3(7)はんだ耐熱性の 項を参照のこと。 (1) はんだ付け端子タイプ1 (2) はんだ付け端子タイプ2 図 9.1 端子の種類の体系図 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 3
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9.2.2 NECA規格による種類

9.2.1.12 回路遮断 接点開離の機能から、以下の二つの回路遮断に定義される。 (1) 完全遮断 (2) 微小遮断 完全遮断は、供給電源と遮断すべき部品との間で、確保しなければならない基礎絶縁を保証することのできる 接点開離を要求するものである。また、微小遮断は、開離時に制御される機能が正しく働くことを保証するもの である。完全遮断では、接点間隔にも同じ空間距離が適用され、50Vを超える電圧に対しては 3mm 以上が要求さ れる。一方、微小遮断は、接点間隔の距離に適用する値はない。ただし、完全遮断および微小遮断ともに、定格 電圧で分類される耐電圧が要求されるので、それを満足する接点間隔が必要になる。 9.2.1.13 表示による分類 情報の表示方法により次の二つに分類される。 (1) 限定表示 U.T.(特定タイプ参照記号、U.T.)をもつスイッチ (2) 全表示 C.T.(共通タイプ参照記号、C.T.)をもつスイッチ 共通タイプとは、JISで規定される範囲内のもので、一般のマイクロスイッチに適用される。一方、特定タイプ とは、電気的あるいは機械的な仕様が製造者に問い合わせることによって明確になるもので、特定の機器に組み 込まれるスイッチなどに適用される。それぞれの表示は、スイッチに表示しなければならない情報と、仕様書な どに記載しなければならない情報が違ってくる。情報の詳細については JIS を参照願いたい。 さらに JIS では、表示に使用する記号が定められており、例えば、交流(単相)は「~」又は「a.c.」又は「~ a.c.」と定められている。 定格電流及び定格電圧は数字だけで表わすこともでき、定格電流は定格電圧の前に表示するか上に表示し、そ の間を直線で仕切る。例えば、抵抗負荷及び電動機負荷をもつものは、電動機負荷の定格電流を丸括弧内に記し、 下記のように表示することができる。 その他、周囲温度や動作サイクルなどの表示記号が JIS に定められている。 9.2.2 NECA規格による種類 NECA規格では、スイッチの基本機構をベースにそのスイッチが持っている定格通電電流、接点間隔、接触形式、 アクチュエータ及び端子の種類によって NECA 規格の表示文字や数字の組合せで形名を構成している。 形式を例で示すと次のようになる。 9.2.2.1 基本機構 表 9.1 基本機構による分類 NECA規格ではマイクロスイッチの種類を基本機構の違い (主としてスナップアクション機構の違いと考えてよい) により、表 9.1 に示すようなZ形からK形までの 12種類 に分類しているが、これらは基本機構の違いにともない 表面的には、電気定格、接触形式、動作特性および形状・ 寸法などの差異として現れる。主なマイクロスイッチの 外形と構造、その特徴については 9.3.5項で説明する。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 4
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9.2.2.2 定格通電電流表 表 9.2 定格 スイッチを開閉しない状態でも、通電電流により、接点 及び可動バネなどが発熱する。このときの温度上昇値が、 端子部で 50℃以下となる最大電流値を定格通電電流という。 NECA規格で規定しているマイクロスイッチは、交流 500V 以下、直流 250V以下で定格通電電流 25A以下の範囲である。 さらにこの中を表 9.2 のように分けている。 9.2.2.3 接点間隔 マイクロスイッチが持っているスナップアクション機構と微小な接点間隔は、それによって、他のスイッチと 区別しているように、接点間隔はマイクロスイッチの基本性能に関する重要な要素である。接点間隔とは、図 9.2 に示すように可動接点の表面から、開路側固定接点の表面までの空間距離をいう。表 9.3は NECA 規格で規定して いる接点間隔である。この中で一般に多く使用されるのは、0.50mmおよび 1.00mm の形式である。接点間隔を小さ くすると動作特性が変わるが、中でも応差の動き(MD、定義は 9.4.2.1(4)動作特性の項を参照)が小さくなり 高感度なスイッチが得られ、温度および圧力などの計測用スイッチとして多く使用される。また接点間隔の大き なタイプは、接点の接触圧力が高くなるところから振動および衝撃の大きな使用に適したスイッチといえる。し かし、可動ばねの移動距離が大きくなるため、機械的寿命が低下する。 表 9.3 接点間隔の種類 図 9.2 接点間隔 9.2.2.4 接触形式 NECA 規格及び JIS によるスイッチの接触形式を図 9.3 に示す。制御回路の動作内容により使い分けられるが、 ほとんどの場合は、図 9.3 に示す双投形で十分であり、最もよく使用される接触形式である。図 9.4 は、NECA 規 格では双投形に含めているが、形式には、2回路双断形と呼び、双投形とは分けて分類する。 図 9.3 NECA規格及び JISに規定された接触形式 図 9.4 2 回路双断系(NECA規格) 9.2.2.5 アクチュエータ 物体の位置検出用に使用されるマイクロスイッチは、光電スイッチ や近接スイッチのように無接触で物体を検出すること はできないので、検出物体の力や位置関係を正しくマイクロスイッチ に伝える必要がある。 このようなことから、アクチュエータの選定は、制御系の信頼性を 確保する点において大切な意味をもっている。 表 9.4 は NECA 規格に定められた最も標準的アクチュエータの種類、 特微、用途についてまとめたものである。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 5
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表 9.4 アクチュエータの種類 また図 9.5は NECA 規格にない特殊なタイプであるが 比較的よく使われるものを記した。図 9.5(a)はヒンジロー ラーレバー形の変形で、検出体が左から右へ通過する時のみ スイッチが作動する。図 9.5(b)は動作力が小さい 場合に有効なワイヤーレバー形である。 図 9.5 比較的使われるアクチュエータ 9.2.2.6 端子 端子スイッチと機器との結線を行う端子部は表 9.5に示すようにはんだ付端子、ねじ締端子およびタブ端子の 3 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 6
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9.3 原理と構造、9.3.1 スナップアクション、9.3.2 スイッチの動作原理

種類がある。図 9.6 は各端子形状を最も代表的なZ形マイクロスイッチについて示したものである。ねじ締端子 及びタブ端子は、サイズによりさらに分かれており、これらはスイッチの定格通電電流により使い分けられる(表 9.6)。 表 9.5 端子の種類 表 9.6 端子ねじ及びタブのサイズと定格通電電流 図 9.6 端子形状 9.3 原理と構造 9.3.1 スナップアクション マイクロスイッチは、スイッチを操作する速度と無関係に、可動接点が、固定接点から他の固定接点に高速で移 動する動作機構をもっている。スナップアクションのマイクロスイッチは、接点の開離が速いので、接点間に生 じるアーク時間が短く、その結果、接点消耗の少ない特徴をもっている。 9.3.2 スイッチの動作原理 スナップアクションさせるための機構は、引張りばねと圧縮ばねを組合せたばね機構である。 代表例として、NECA規格の基本機構「一般形(Z形)」の動作原理を図 9.7 に示す。 FO:合成力 F1:圧縮ばねによる反力 F2:引張りばねによる張力とする。 図 9.7 一般形(Z形)の動作原理 (1) スイッチのアクチュエータに外力の加わっていない自由位置では FO=F1+F2 となり、可動接点cは、固定接点bに力FOで圧接する。 (2) スイッチのアクチュエータに外力を加え、引張りばねが下にたわんでいくと Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 7
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9.3.3 力・ストローク・接点接触力の特性、9.3.4 接点切替時間

F1=F2 となり、FO=0 の平衡状となる。これがスイッチの動作位置(OP)である。このとき、可動接点cと固定接 点bは、開離状態となる。 (3) さらに外力を加えていくと、自由位置のときと逆方向の力FOが生じ FO=F1+F2 となり、可動接点は、対向する固定接点aに移動し、圧接する。 マイクロスイッチは、すべてこの動作原理を利用し、アクチュエータを押す速度には無関係に接点の開閉を行 う。この時可動接点は、水平方向に摺動し、接点表面を浄化する作用と、軽い接点溶着を引きはずす作用を併 せ行っている。 9.3.3 力・ストローク・接点接触力の特性 アクチュエータのストローク(変位)と力の関係、及びアクチュ エータのストロークと接点接触力の関係は図 9.8 のグラフとなる。 マイクロスイッチは、スナップアクション機構であるため、 必ず動作と戻りの行程にズレがあるヒステリシス曲線となる。 逆に特性がヒステリシス曲線となる動作機構は、優れたスナップ アクション機構をもっているといえる。接点接触力は自由位置 (FP)からストロークが大きくなるに従って減少し、動作位置 (OP)では0となり、可動接点はNO側に反転して、直ぐ接触力 が発生する。さらにストロークが大きくなると、接触力は増加し、 安定した接触が保たれる。以上のことから、マイクロスイッチの 使用に際しては、次の点に注意する必要がある。 (記号説明は表 1.13参照) 図 9.8 力・ストローク・接触力特性 (1) 接点接触力の減少に伴う、開閉動作の不安定状態を避けるため、動作位置(OP)又はもどりの位置 (RP)付近でアクチュエータを止めないで、規格値内で十分なストロークをとる。 (2) 振動や衝撃が大きい場合、接触不安定が起きやすくなる。応差の動き(MD)の大きなスイッチを選 定すると共に、規格値内で十分なストロークをとる。 (3) 接触抵抗の増大又は不安定が問題となる微小負荷の開閉では、適切なアクチュエータの操作速度と規 格値内で十分なストロークをとる。 9.3.4 接点切替時間 スイッチの接点切替時間は、操作スピードに、 相対的に無関係とされている。しかし、スイッチ のばね構造の差異にもよるが、一般に操作スピード が微速度のときは、接点切替時間は長くなり、接点 不安定となりやすい。切替時間が長くなると、接点 接触力が 0に近い所を通過する時間が長くなること になる。従って、スイッチには最低動作スピードを 規定して、この時間が長くなり接触不安定による 溶着の発生を防止している。 図 9.9 接点切替時間 特別に微速度操作用に設計されたスイッチでは 10-5mm/秒まで使用できるものがある。接点切替時間のグラフは Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 8
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9.3.5 スイッチの外形と構造

図 9.9 となる。開離不安定時間は、接点接触力が 0 になる寸前の不安定により起こり、バウンス時間は、可動接 点の、ON側固定接点への機械的な衝突による跳躍により起こる。反転時間とこの両者を含んだ時間幅を切替時 間という。通常 20~60m sec 程度である。 9.3.5 スイッチの外形と構造 マイクロスイッチの部品は、五つの要素からなっている。 (1) ばね用ベリリウム銅、りん青銅及び洋白のばねを用いたスナップアクション機構 (2) 銀及び金などの電流開閉を行う接点部 (3) フェノール樹脂など、丈夫で吸湿性の少ない良好な電気的特性をもつハウジング (4) 耐摩耗性の材料を用いたアクチュエータ (5) 銅又は黄銅の接続端子 NECA 規格で規定されているマイクロスイッチの種類に従って外形図および動作特性、構造、その特徴について 説明する。なお、動作特性の詳しい定義については、9.4.2.1(4)動作特性の項参照のこと。 9.3.5.1 Z形及びA形マイクロスイッチ (1) 外形および動作特性 図 9.10にピン押ボタンZ形アクチュエータの外形図および動作特性を示してある。 図 9.10 ピン押ボタン Z形マイクロスイッチの外形図と動作特性 (2) 構造 構造例として、基本機構「一般形、Z4GL07B」を図 9.11に示す。 図 9.11 Z4G1L07Bの構造図 (3) 特徴 数多いマイクロスイッチのなかでも最も基本となるスナップアクション機構をもち、寿命及び精度の点ですぐ れているのがZ形である。 Z形はあらゆる用途での応用が可能なように表 9.4 に示したアクチュエータの種類のスプリング押しボタン形 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 9
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及び回転軸形(NECA規格記号P11及びW01)を除くすべてのものが揃っている。 電気定格は、NECA規格形名Z4と呼ばれる 15A定格通電電流が最も一般的であるが、接点材質および形状を変 えることにより、0.1A から 15Aまで可能である。 スイッチの諸性能に影響を及ぼす接点間隔は用途に応じて使い分けることが大切であり、0.25mmから 1.80mm ま で各マイクロスイッチメーカは標準又は準標準製品として揃えている。なお、電気定格、寿命 および精度などの 点から大半の応用において満足するレベルにあるのは 0.50mmのタイプ(NECA規格形名Z4G)であり、最も広く 使われている。Z形スイッチはそれ以外の基本構造をもったマイクロスイッチと比較した場合、動作精度、感度 および寿命の点で非常に優れているのが特長である。特に動作後の動きを規格値内で使用した場合の機械的寿命 は 2000万回以上である。 一方、「高容量用一般形」と呼んでいるA形マイクロスイッチは、Z形スイッチではカバーできない 20~25A通電 電流を必要とする回路に適用する。ことに、誘導負荷やランプおよびモータ負荷などの場合スイッチ投入時大き な電流が流れるため、Z形スイッチでは早期に溶着などを起こし使用できなくなる場合もある。 9.3.5.2 V形マイクロスイッチ (1) 外形および動作特性 図 9.12にピン押ボタン形アクチュエータの外形図および動作特性を示してある。 図 9.12 ピン押ボタン V形マイクロスイッチの外形図と動作特 (2) 構造 構造例として、基本機構「小形、V4FL03C」を図 9.13に示す。 図 9.13 V4F1L03C の構造図 (3) 特徴 V形マイクロスイッチは、Z形からA形までのスイッチの約 1/3 の大きさであり、かつ比較的高容量の開閉能 力をもたせたタイプである。V形スイッチは、小形にするためピン押ボタンの動きを受金を介して可動片に伝え ている。この構造のためにスイッチの動作点と復帰点の差、すなわち応差の動きが大きくなり、温度や圧力など 微小な動きの検出には向かない。また小形にしたことにより、アクチュエータの種類も限られ、ピン押ボタン形 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 10
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かレバー形になる。V形スイッチは大きさと価格がてごろであり、また電気定格及び寿命など性能面でも大半の 用途に満足するため、各種基本機構をもったスイッチの中で、最も数多く使用されている。 9.3.5.3 T形マイクロスイッチ (1) 外形および動作特性 図 9.14にピン押ボタン形アクチュエータの外形図および動作特性を示してある。 図 9.14 ピン押ボタン T形マイクロスイッチの外形図と動作特性 (2) 構造 構造図は省略。 (3) 特徴 T形マイクロスイッチは、共通端子(C)がなく、常時閉路および常時開路接点を持った接触形式であり、ス イッチが動作すると常時閉路側が切れ常時開路側に入ることから「双断形」とよんでいる。このスイッチは、NECA C 4508 封入形マイクロスイッチL形の内蔵用に作られたものである。このためT形スイッチを単独で使うケース はない。NECA規格では特に寸法の規定はないが、一般に端子ねじ締タイプである。また定格通電電流は 10Aが最 も一般的である。 9.3.5.4 S形及びJ形マイクロスイッチ (1) 外形および動作特性 図 9.15にピン押ボタンS形アクチュエータの外形図および動作特性を示してある。 図 9.15 ピン押ボタン S形マイクロスイッチの外形図と動作特性 (2) 構造 構造例として、基本機構「超小形、S2H1L02A」を図 9.16 に示す。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 11
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9.3.6 NECA規格以外のマイクロスイッチ

図 9.16 S2H1L02A の構造図 (3) 特徴 「超小形」と呼ばれるS形マイクロスイッチは、外形寸法をV形スイッチよりさらに小さくしたものである。 このタイプはV形スイッチに使用していたような受金機構がなくピン押ボタンが直接可動片を押すので応差の動 きが小さく、比較的精度もよい。 S形スイッチの定格通電電流はドライサーキットに適した 0.1A 用から 5A までが一般的であり、5A を超える負 荷開閉用としては適さない。このスイッチはスペース上限定される場合や高密度取付を必要とされる小形機械・ 装置での応用が多い。 アクチュエータの種類はレバー形が各種類揃っているがプランジャ形ピン押ボタン形のみであり、動作後動き が少ないので注意する必要がある。 端子は、ねじ締タイプはなく、はんだ付端子が最も一般的である。 J形マイクロスイッチは、S形スイッチよりさらに小さい「極超小形」であり、S形と同等の約 5A程度の開閉 能力がある。S形でも大きすぎるような場所へ使用されている。しかし寿命的に劣るのと、価格はS形の数倍す るため、限られた用途にのみ使われているにすぎない。J形のアクチュエータはピン押ボタンが標準で、レバー 形も一部製品にみられるが補助アクチュエータを使用する例が多い。 9.3.6 NECA規格以外のマイクロスイッチ 前項で説明したスイッチは、表 9.1の NECA規格に規定されているものであるが、NECA規格に分類されていない ものの中にも比較的多く使用されているマイクロスイッチがあるのでそのものについて以下で説明する。 9.3.6.1 密閉形及び防浸形マイクロスイッチ 密閉形マイクロスイッチは、各基本機構のスイッチをそのまま使用し、外部の粉塵や水・油等の飛沫がかかっ ても使用できるように簡易シールを施したタイプで、JIS保護構造の IP50を満足するものである。図 9.17にZ形 スイッチの密閉形を示す。標準のマイクロスイッチは主としてアクチュエータ部とスイッチのケース・カバー間 の 2点がシール性で問題となるため、アクチュエータ部には耐油性のよいニトリルブタジエンゴム(NBR)のシール ブーツをかぶせ、ケース・カバー部はエポキシ系接着剤などを充填している。他のV形、S形及びJ形において も類似の構造となっている。 密閉形スイッチは、端子部がむき出しのままで保護されていないので水滴がかかるような場所で使用する場合 には配線後端子カバーやキャップをつけるか、樹脂でモールドするなどの処置が必要である。 防浸形マイクロスイッチは、密閉形マイクロスイッチの欠点をおぎなうのもとして、製造メーカであらかじめ 端子部を樹脂でモールドしたリード線タイプで、高シール性のものである。図 9.18 にS形の防浸形マイクロスイ ッチを示す。水滴、ほこり、腐食性ガスなどの悪環境下で使用することができ、JIS保護構造の IP67を満足する。 ただし、油や薬品がかかる環境では、種類によってはシール性能を損なう場合があるので、実際に使用する油や 薬品による確認が必要である。 9.3.6.2 その他のマイクロスイッチ その他として、振動や衝撃の激しい場所の使用に適した「逆動作形マイクロスイッチ」、直流回路での安定した 動作が得られる「磁気消弧形マイクロスイッチ」、速い応答回路の入力信号の使用に適した「無接点形マイクロス イッチ」などがある。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 12
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9.4 定格と特性、9.4.1 定格

図 9.17 密閉形マイクロスイッチ 図 9.18 防浸形S形マイクロスイッチ 9.4 定格と特性 9.4.1 定格 JIS では、最大定格電圧が 480V、最大定格電流が 63A と定められている。製造メーカはこの範囲内で、定格電 圧と負荷の種類に対する定格電流を指定している。 9.4.1.1 交流定格 マイクロスイッチは、他のスイッチに比べて、小形で接点間隔が小さく、動作特性・精度・感度などの特性を必 要としているので、抵抗負荷以外の負荷の場合には種々の制限をうけるので、注意が必要である。一般的には、 誘導負荷の場合の開閉電流は抵抗負荷の場合の 60%前後となり、電動機負荷などの場合には 10~30%前後となる。 製造メーカが指定する定格電圧と負荷の種類に対する定格電流の値は、電気的耐久性として後記する開閉がで きる条件の値を示している。一般には平均寿命はこれよりも大きく期待できるが、負荷の状態(負荷の種類、負 荷の値)によって、千差万別になる。図 9.19 には交流負荷による平均寿命の傾向を示している。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 13
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負荷の区域 基本 定格通電 平均寿命(万回) 機構 電流 A-A' B-B' C-C' D-D' E-E' F-F' 1 - - - - - 50 5 - - - - 50 150 Z , R形 10 - - - 50 150 60 15 - - 50 150 600 (2000) Y形 10 - - - 10 50 150 5 - - - - 50 600D形 10 - - - 50 150 (600) 20 - 10 50 150 (600) (2000) A形 25 10 20 50 150 (350) (900) 1 - - - - - 10 5 - - - - 10 50V形 10 - - - 10 50 150 15 - - 10 50 150 (300) 5 - - - - 10 50 W形 10 - - - 10 50 150 5 - - - - 50 150T形 10 - - 50 50 150 (2600) 1 - - - - - 5 S形 5 - - - - 5 10 1 - - - - - 5 J形 5 - - - - 5 10 1 - - - - - 5 C , K形 5 - - - - 5 10 図 9.19 マイクロスイッチの交流負荷による平均寿命の傾向 またマイクロスイッチは、大きな突入電流を投入すると、その発生する熱によって、接点が溶着してしまうこ とがある。 従って投入可能な最大突入電流からもスイッチの定格電流を決める必要がある。突入電流は誘導負荷の場合は 定常電流の 6倍、電動機・電磁コイル・白熱電球などの場合は 10 倍と考えられる。スイッチの投入可能な最大突 入電流をまとめると表 9.7のようになる。 交流定格は、表 9.8に示した試験を満足する必要がある。 表 9.7 マイクロスイッチの最大開閉可能突入電流 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 14
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表 9.8 交流回路に対する電気的耐久性試験のための試験負荷(JIS C 4526-1による) 9.4.1.2 直流定格 直流回路で使用するときは、交流回路に比べて開閉電流値は相当小さくなるので注意する必要がある。これは 小さい接点間隔やアークの影響によるものであるが、それに加えて接点の消耗もはげしく、転移現象も起こしや すいので、かなり制限を受けるわけである。 製造メーカが指定する定格電圧と負荷の種類に対する定格電流の値 は、やはり電気的耐久性として開閉が可能である条件の値を示している。マイクロスイッチは、接点間隔が小さ いので、大きな電流を遮断すると、一度発生したアークが切れなくなることがある。従って直流回路の遮断には 接点間隔の大きなものほど効果がある。図 9.20 は直流回路にマイクロスイッチを使うときの接点間隔と遮断容量 の関係を表示している。直流の大電流を開閉するには、前記した磁気消弧形マイクロスイッチが用いられるが、 その定格の一例を示すと表 9.9のようである。 表 9.9 磁気消弧形マイクロスイッチ(直流用)の定格の例 図 9.20 直流回路に適用したときの接点間隔と遮断容量 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 15
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9.4.2 性能・特性

直流定格は、表 9.10に示した試験を満足する必要がある。 表 9.10 直流回路に対する電気的耐久試験のための試験負荷(JIS C 4526-1による) 分類された回路のタイプ 接点の動作 試験電圧 試験電流 時定数 (±1ms) 実質的に抵抗性負荷 投入及び遮断 定格電圧 I-R L/R<1.15ms 白熱電球負荷 投入及び遮断 (JISの図9に示す回路で試験する) 定格電圧≧交流110V, X=16 定格電圧<交流110V, X=10 抵抗性及び容量性負荷 投入及び遮断 (JISの図9に示す回路で試験する) 特定ランプ負荷の回路 投入及び遮断 定格電圧 負荷によって定まる値 宣言した特定負荷 投入及び遮断 定格電圧 負荷によって定まる値 備考  I-R=抵抗性負荷電流 9.4.2 性能・特性 マイクロスイッチの性能、特性をまとめてみると表 9.11 表 9.11 マイクロスイッチの性能・特性 のようになる。この表に見られるように種々の条件が 相互関係しあっており、使用にあたってはこの点を十分 考慮の上、機種を選定することが大切である。 以後 JIS C 4526-1 及び NECA C 4505 の内容を基にそれ ぞれの特性について述べる。 9.4.2.1 静的特性 (1) 絶縁抵抗 NECA規格では、直流 500Vの絶縁抵抗計で、スイッチの 二つの非連続端子間及び各端子と非充電金属部との間の絶 縁抵抗を測定し、100MΩ以上でなければならないと定めて いる。 (2) 耐電圧 NECA規格では、表 9.12に示すスイッチの測定部に、 50 Hz 又は 60 Hzの正弦波に近い試験電圧を 1分間加え、 これに耐えなければならないと定めている。ただし判定 に疑義を生じない場合は、試験電圧値の 110%の電圧を 1 秒間加えてこれに代えてもよい。 JISでは、初期の耐電圧を規定するものはないが、後述 する湿度試験後の耐電圧(表 9.13)は規定されている。 今後は表 9.13の耐電圧値が一般的になっていくと思われる。 表 9.12 耐電圧試験電圧 表 9.13 耐電圧試験(JIS C 4526-1による) Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 16
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(3) 接触抵抗 NECA規格において、次のように規定している。スイッチのアクチュエータを自由位置及び動作限度位置にして、 6~8V の直流電圧で 1A の電流を通電し(ただし、スイッチの定格電流が 1A未満のものは、試験電流は定格通電電 流とする)、接触抵抗の高い極性(電流の方向)を見いだす。次に、接触抵抗の高い極性(電流の方向)で連続3 回測定したとき、50mΩ以下でなければならない。ただし、W、T、Y、C、K、OF 0.25Nの V 及び定格通電 電流 0.1A のものは、100mΩ以下であること。一般的に接触抵抗は接点接触力に関係するので、通常の測定条件 としては共通端子と常時閉路端子間のときは、アクチュエータは自由位置とし、共通端子と常時開路端子間のと きは、アクチュエータを動作限度位置に定めている。 (4) 動作特性 マイクロスイッチには、独特な動作特性があり、これを使いこなすためには是非とも理解しなければならない ものである。NECA 規格による、この動作特性の用語をまとめたのが表 9.14 である。標準的には表 9.14 に示した 動作特性のうち、 ・動作に必要な力 ・・・(OF) ・もどりの力 ・・・(RF) ・動作までの動き ・・・(PT) の 6つの特性で、代表して表わされる。 ・動作後の動き ・・・(OT) ・応差の動き ・・・(MD) ・動作位置 ・・・(OP) 表 9.14で特に注意を要するのは、バラツキの表示方法の欄である。その解釈を 2~3の例をあげて説明する。 ① OFについての最大というのは、OFのバラツキの最大値を表しており、使用に際しては必ずこの値以上 の力を加えねばならない。 ② RTについての最大というのは、OFと同様使用に際しては必ずその値以上の距離を押さなければならな い。 ③ OTについて最小と表示しているのは、OTがそのバラツキの最小値を表しており、使用に際してはその 値以下に止どめなければならない。(一般的にはOTの値の 70~100%) なお、9.3.5スイッチの外形と構造の項にその代表的機種について、動作特性の具体的な値を示しているので参 照されたい。これ以外については余りにも多岐に渡るので、詳しくは NECA規格又は個々の仕様書を参照されたい。 表 9.14 動作特性の定義 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 17
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(5) バウンス マイクロスイッチは、スナップアクションにより接点が反転した後、接点跳躍現象が現れる。この現象をバウ ンス(Bounce)というが、スイッチの耐久性を左右する要因の一つである。バウンスはできるだけ少なくするよ うに努めても、ゼロにすることはできない。その値はスイッチにより違いはあるが、数 ms程度であり動作速度や 開閉頻度にはほとんど依存しない。なお、バウンスが問題になるのは、特に高感度な負荷を制御する場合などで、 この時間の長さが負荷の誤作動をまねく原因となるので、このような場合適当な吸収回路を考える必要がある。 (6) 強度 JISでは、アクチュエータ、ねじ部及びタブ端子の強度については、以下のように定められている。 ① アクチュエータ強度 引張力 15Nを1分間加えて、アクチュエータの外れがないこと。 次に、押圧力 30Nを加え、以後の使用を阻害するような損傷があってはならない。 ② ねじ部の強度 ドライバを用いて締付ける一般的な金属材料同士のねじの場合、規定された最大断面積の導体で、表 9.15に示すトルクにて締付ける動作と緩める動作を 5回行い、以後の使用を阻害するような損傷があっ てはならない。 ③ タブ端子の強度 雌形コネクタを表 9.16に示す力で差込み及び引抜きし、重大な位置ずれ又は損傷があってはならない。 表 9.15 トルク値 表 9.16 差込み力及び引抜き力 (JIS C 4526-1による) (JIS C 4526-1による) (7) 空間距離、沿面距離及び絶縁物をとおしての距離 JIS に、空間距離、沿面距離及び絶縁物をとおしての距離が規定されている。空間距離と沿面距離は表 9.17、 表 9.18、表 9.19の数値以上でなければならない。絶縁の分類の詳細については用語の定義 1.2.7項を参照のこと。 表 9.17 基礎絶縁に関する最小空間距離 表 9.18 基礎絶縁に関する最小沿面距離 (JIS C 4526-1による) (JIS C 4526-1 による) Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 18
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表 9.19 機能絶縁に関する最小沿面距離(JIS C 4526-1 による) 9.4.2.2 動的特性 (1) 動作位置繰返し精度 スイッチが正確な制御に使用できるかどうかは動作位置の繰返し精度(信頼度)とその繰返し偏差(安定度) の二つの特性によって決まる。この二つの特性の関係は図 9.21のようである。 図 9.21 信頼度と安定度 NECA 規格では、動作位置繰返し精度はスイッチを無負荷、操作速度 0.1~1 mm/秒で動作位置を 20 回測定し、 その最大の値と最小の値との差が表 9.20の値以下でなければならないと定めている。ただし、動作位置からのア クチュエータの移動量は、OT(動作後の動き)の規格値の 70~100%とする。 動作位置の繰返し偏差(安定度)は最初の動作位置からのズレで表わす。これはスイッチの摩耗、老化などに 原因がある。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 19