1/29ページ
カタログの表紙 カタログの表紙 カタログの表紙
カタログの表紙

このカタログをダウンロードして
すべてを見る

ダウンロード(2.9Mb)

7人の専門家が語るLiDAR設計

ホワイトペーパー

業界の専門家がLiDAR設計の課題とその解決策を解説

【掲載内容】
◆序文
◆はじめに
◆第1章:重要な設計課題を解決
 設計課題1:速度の向上
 設計課題2:精度の向上
 設計課題3:速度と精度を維持した小型化
 設計課題4:厳格な安全要件への対応
 設計課題5:省電力化
◆第2章:マキシム・ハードウェアの概要
◆専門家プロフィール

◆詳細はカタログをダウンロードしご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。

このカタログについて

ドキュメント名 7人の専門家が語るLiDAR設計
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 2.9Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 マウザー・エレクトロニクス (この企業の取り扱いカタログ一覧)

この企業の関連カタログ

この企業の関連カタログの表紙
LT6015/LT6016/LT6017 3.2MHz, 0.8V/µs Low Power, Over-The-Top Precision Op Amps
製品カタログ

マウザー・エレクトロニクス

この企業の関連カタログの表紙
ADA4254 Zero Drift, High Voltage, Low Power
製品カタログ

マウザー・エレクトロニクス

この企業の関連カタログの表紙
AD5412/AD5422 Single Channel, 12-/16-Bit, Serial Input, Current
製品カタログ

マウザー・エレクトロニクス

このカタログの内容

Page1

提供 7人の専門家が語 るLiDAR設計 業界の専門家がLiDAR設計の課題 とその解決策を解説
Page2

目次 序文 3 はじめに 4 第1章:重要な設計課題を解決 6 設計課題1:速度の向上 6 設計課題2:精度の向上 10 設計課題3:速度と精度を維持した小型化 14 設計課題4:厳格な安全要件への対応 17 設計課題5:省電力化 20 第2章:マキシム・ハードウェアの概要 22 専門家プロフィール 27
Page3

序文 センサーは、電子システムに周囲の環境を認識させ、自律技術に劇的な進歩をもたらしていま す。特に、LiDAR(Light Detection and Ranging:光検出と測距)は、パルスレーザーを使って対 マウザー・エレクトロニクスは、バークシ 象物までの距離を迅速かつ精密に測定することができます。従来は地形測量に使用されていた ャー・ハサウェイ社のグループ企業であ この技術ですが、今日の小型軽量化されたLiDARシステムは、機器の視覚に深度を認識させ、 り、提携する大手メーカーの新製品のい 正確な位置を把握させることができます。自動運転車では、LiDARは360度の視野をもつ目とし ち早い販売に注力する、半導体と電子 て、ナビゲーションや衝突回避を支援します。スマートインフラでは、LiDARは歩行者や自動車の 部品の正規代理店です。世界中の電子 通行を監視し、道路の安全性を向上させます。ロボットや産業用システムでは、3Dビジョンが安 設計技術者とバイヤーに向けて、当社の 全性、自動化、インテリジェンスを強化します。また、LiDARは肉眼では見えないものを捉え、様 ウェブサイト Mouser.com は、多言語・ 多通貨に対応し、800社を超えるメーカ 々な波長を用いて大気汚染物質を検出することもできます。 ーから500万点以上の製品を掲載して LiDARの鍵となるのは、ToF(Time of Flight:飛行時間)の正確な測定です。マキシム・インテグ います。世界27カ所のサポート拠点に レーテッド(アナログ・デバイセズに統合)のエッセンシャルアナログ(必須アナログIC)製品は、 は、現地の言語、通貨、時間帯で対応で 業界最高レベルの精度を実現します。低ノイズで極めて高い帯域幅を持つトランスインピーダ きる熟練したカスタマーサービススタッ フを配置しています。また、米国テキサス ンスアンプ(TIA)をはじめ、伝搬遅延が極めて小さい高速コンパレータなど、革新的な製品を取 州ダラスに、9万平方メートル(東京ドー り揃えています。また、高集積化、多チャンネル化、ウェハスケールパッケージなどにより、ソリュ ムの約2倍)におよぶ最新鋭の物流セン ーションの小型化も実現しています。監視デバイスや保護デバイスは、過酷な環境下でも信頼 ターを整備し、223カ国63万人以上のお 性の高い堅牢なシステムを実現します。 客様に向けて製品を発送しています。詳 しくは、www.mouser.com.をご覧くだ LiDARの導入をご検討されている皆様にとって、本書がソリューション選択の一助となることを さい。 願っております。 Binay Kumar Bajaj マキシム・インテグレーテッド ビジネスマネジメント担当ディレクター 3 www.mightyguides.com I 516.840.0244 I 10409 Pacific Palisades Ave. Las Vegas, NV 89144-1221 I © 2021 Mighty Guides, Inc.
Page4

はじめに 今日の最先端のLiDAR(光検出と測距)アプリケーションでは、さまざまな条件下で3Dデータをほぼ瞬 時に取得・処理できる広視野角、高速性、高精度が求められています。現在、LiDARは、最大200m離れた 対象物のToF(飛行時間)を1~3cmの精度で測定し、ほぼ瞬時にToFデータを提供できます。このような 優れた性能と、LiDARのアプローチ、アプリケーション、ユースケースの成長を支えている要因は多くあり Maxim Integratedは、エンジニアによ ます。 るエンジニアリング企業で、設計者の 最も困難な問題を解決し、デザイン・ • 電子部品の省電力化、小型化、高密度化により、困難な設計課題の解決が可能に イノベーションを実現するために存在 • センサーとセンサーフュージョンの進歩、および人工知能、機械学習、深層学習の進歩 しています。同社の高性能半導体の広 範な製品ポートフォリオは、世界水準 • 地理的測位システムおよび地理空間市場の進歩と成熟により、データ利用が可能に のツールやサポートとの組み合わせ • LiDAR開発コストの低下 で、高効率電源、高精度測定、高信頼 の接続性、および堅牢な保護という、 • 太陽角度、低照度、悪天候、木の茂みなどの条件に左右されず取得できるToFデータへのニーズ エッセンシャル・アナログ (必須アナロ • 容易に取得、処理、適用できる高精度ToFデータへのニーズ グ) ソリューションとともに、インテリ ジェントな処理を提供します。Maxim • 光源と対象物が共に可動性がある場合でも、ほぼリアルタイムで検出、処理、応答できる技術へ Integratedは、車載、通信、民生、デー のニーズ タセンター、ヘルスケア、産業、IoTなど このような要因から、LiDARは多くの業界やユースケースにおいて、距離測定の主要な手法として発展 のアプリケーション分野の設計者によ してきました。自動車メーカーは、いち早く高度運転支援システム(ADAS)の開発において、可動性のあ る、より小型、スマート、セキュアなデザ る光源と対象物でも、ほぼリアルタイムの検出、処理、応答が可能なLiDARシステムを採用しています。 インの迅速な開発に貢献し、支持され また、産業用オートメーションやロボット工学などの業界でも、精度、高速性、安全性が求められる、物体 ています。 詳細はこちら › のプロファイリングや突起物検出システムなどに使用されています。さらに、ゴルフや狩猟などのレジャ ー産業でもLiDARの導入が始まっています。 4 www.mightyguides.com I 516.840.0244 I 10409 Pacific Palisades Ave. Las Vegas, NV 89144-1221 I © 2021 Mighty Guides, Inc.
Page5

専門家の紹介 Maurizio Gavardoni Binay Kumar Bajaj Kai Zhou Andrew Beaulieu マキシム・インテグレーテッド マキシム・インテグレーテッド Ansys Toyota Research Institute 製品定義エンジニア ビジネスマネジメント ADASセンサーエンジニア ロボティクスエンジニア 担当ディレクター Issa Malke Silas Gschwender Giray Kömürcü Velodyne LiDAR, Inc. SICK Sensor Intelligence TUBITAK LiDARキャリブレーションエ インターナショナルアプリケー チーフデザインエンジニア ンジニア ションエンジニア 5 専門家の紹介
Page6

第1章:重要な設計課題を解決 他の工学設計と同様に、LiDARシステムの設計では、速度、精度、サイズ、安全性、および電力の トレードオフのバランスをとる必要があります。本章では、これらの課題を取り上げながら、マキ シムのレシーバー側ハードウェアがどのように課題解決に役立つのかについて説明します。 設計課題1:速度の向上 “レシーバ側ハードウェ 今日の最先端アプリケーションでは、データの伝送から処理まで、全プロセスがリアルタイム アは、LiDARシステムの で行われることが求められます。例えば、時速55マイルで走行する自動運転車では、周辺環 コアコンポーネントで 境の検知、データ処理、応答が瞬時で行われる必要があります。速度が時速65マイルになる と、LiDARに求められる速度と分解能の要件も高くなります。LiDARシステムが周辺環境のあら す。重要な性能指標であ ゆる細部を捉えて処理するためには、十分な帯域幅が必要になります。したがって、より多くの る、最大検出距離、測距 ピクセルを取得し、処理するためには、帯域幅を増やすことが正しい解決策であると言えます。 の精度と正確さ、信号と ノイズの識別能力は、レ シーバ側ハードウェアに “自律走行とは、人がクルマに求める究極のテクノロジーです。 LiDARは、そこに到達するための手段です。” 大きく依存しています。” Binay Kumar Bajaj Kai Zhou マキシム・インテグレーテッド ビジネスマネジメント担当ディレクター Ansys ADASセンサーエンジニア ところが、LiDARシステムの帯域幅を増やすことは、それほど簡単なことではありません。という のも、帯域幅を広げると信号ノイズが増え、信号に歪みが生じ、長距離での誤認識の原因にな ることがあるためです。最高レベルの信号対ノイズ比を実現するためには、フィードバック抵抗 を大きくする必要がありますが、そのため、開放電圧の振幅が大きくなり、高利得帯域幅のトラ 6 第1章:重要な設計課題を解決
Page7

ンスインピーダンスアンプ(TIA)が必要になります。しかし、高利得のTIAを使用すると、消費電 力が大きくなるというトレードオフがあります。このように、高利得と広帯域は相反する関係に あります(図1)。 最大利得時帯域幅 “レシーバの技術 は、LiDARシステムの 機械的構造、つまり信頼 低利得時帯域幅 性、サイズ、消費電力を 決定します。マルチピク 周波数/Hz セルフォトンカウンター 図1:高利得と広帯域は相反する関係にあります。(図:マキシム) のようなセンサーは、フ ラッシュ型LiDARシス この問題を解決するために、レシーバ側のシグナルチェーンのトランスインピーダンスアンプ テムを可能にし、機械式 (TIA)は、シグナルチェーンインテグリティを最大化し、必要な電力を最小限に抑えながら、リ LiDARシステムの問題 アルタイムで情報を伝達するために重要な役割を果たします。 点を解消します。” ノイズを最小限に抑えながら速度のバランスをとるため、マキシムのTIAには次の特徴がありま す。 Giray Kömürcü • 160 MHzと490 MHzの帯域幅オプションがあります。490 MHzは業界最高水準の帯域幅 TUBITAK で、わずか数ナノ秒のパルスを増幅します。 チーフデザインエンジニア • 端子で選択可能な2つのトランスインピーダンス値(25 kΩと50 kΩ)により、ダイナミックレ ンジの調整が可能です。 7 第1章:重要な設計課題を解決 増幅率/dB
Page8

• 選択可能な利得により、入力電流のダイナミックレンジを増加させ、シグナルチェーン の後半にて別の増幅段が不要になります。 マキシムのコンパレータ集積回路(IC)は、システムの解像度を向上させます。 • マキシムの高速コンパレータは、伝搬遅延がわずか280 psです。オーバードライブ時 の分散は25 ps(type)と非常に低く、遅延分散は10 ps未満です。この設計は、業界平 均の2~3 mmを大幅に改善する、1 mm未満のシステム分解能を実現します。 “LiDARのハードウェア 設計には多くの部品が “LiDARシステムの設計には重要な要件が多くあります。そのバラ 使用されていますが、課 ンスを取ることは、開発者にとって常に課題です。要件をすべて検 題は受信側にあります。 討し、最適な結果を達成できる最善のコンポーネントを選択する レーザーの照射は比較 ことが大切です。” 的簡単ですが、問題は反 Binay Kumar Bajaj 射光の受信してからで マキシム・インテグレーテッド ビジネスマネジメント担当ディレクター す。最終的に、測距精度 と正確さに貢献する要 因が重要になります。” Issa Malke Velodyne LiDAR, Inc. LiDARキャリブレーションエンジニア 8 第1章:重要な設計課題を解決
Page9

重要ポイント マキシム・インテグレーテッド MAX40660 / MAX40661 トランスインピーダンスアンプ LiDARの速度は、帯域幅を増やし、伝 搬遅延と分散を最小限に抑えること で向上する。 高利得と高帯域は相反する関係にあ るが、選択可能な利得によって緩和で き、入力電流のダイナミックレンジを 増加できる。 マキシムのTIAとコンパレータが速度 の向上に貢献する。 詳細はこちら 9 第1章:重要な設計課題を解決
Page10

第1章:重要な設計課題を解決 設計課題2:精度の向上 LiDARベースのマシンビジョンシステムは、低照度、悪天候、周囲の障害物など、潜在的な課 題があっても周囲を見ることのできる能力、つまり人間の視覚を超えることを目標にしていま す。LiDARは、360度の視野を使って、周囲のあらゆる点を捉えようとしますが、それには、様々 “光センサーの種類、ア な種類のセンサーを活用して、冗長性を持たせ、センサーを重複させるせることで、LiDARシス ンプの帯域幅、デバイ テムの精度を高めることでが有効です。このアプローチにより、LiDARの信号が照射される FoV(視野角)を最大化し、環境中のすべてのピクセルをキャプチャすることができます。 スの温度、周囲の環境 などにより、システムノ イズ、さらには信号対 “LiDARは、離れた場所にある対象物を検知するための基本的技術で ノイズ比が大きく変化 す。200m離れた場所にあるものを1~2cmの分解能で検知できる能力は し、LiDARの性能に大 素晴らしいものです。テクノロジーが進歩すれば、LiDARは現在よりも優 きな影響を与えること れたものになるでしょう。” があります。” Maurizio Gavardoni マキシム・インテグレーテッド 製品定義エンジニア Kai Zhou Ansys このようにFoVを最大化するアプローチをとっていても、遠くにある対象物を測定する場合は、 ADASセンサーエンジニア レシーバ側の性能遅延による信号品質の低下(ジッターなど)やToF計算への影響により、精度 や正確さにはまだ問題があります。この問題を解決するためには、レシーバのシグナルチェーン のTIAとコンパレータICが、シグナルチェーンインテグリティと精度を最大限に高める上で重要 になります。 10 第1章:重要な設計課題を解決
Page11

マキシムのTIA: • 160 MHzと490 MHzの帯域幅をサポートします。 • ナノ秒単位の入力パルスを増幅し、高い分解能を実現します。 • 128チャンネルをサポートします。 • 低ノイズ性能により、遠くの対象物でも近くの対象物でも、同じように高精度な測定が可 能です。 “このテクノロジーは、 マキシムのTIAは、帯域幅を増加することで、レシーバのシグナルコンディショニングに使用する 内部物流、機械安全性、 ことができます。LiDARシステムが周辺環境のあらゆる細部を捉えて処理するためには、十分な ビルオートメーション、 帯域幅が必要になります。したがって、より多くのピクセルを取得し、処理するためには、帯域幅 港湾、交通アプリケーシ を増やすことが正しい方法であると言えます。 ョンなど、さまざまな分 野で活用できます。イン “帯域幅性能は極めて重要です。帯域幅が2倍になれば、自動運転車の走 テリジェントな(LiDAR 行速度が時速10マイルも速くなります。これは非常に大きなことです。ただ し、その分、消費電力も大きくなります。低消費電力で広帯域幅を実現でき の)「レーザーアイ」は、 るかどうかが鍵となります。” その距離、速度、堅牢性 の向上により、ますます Maurizio Gavardoni マキシム・インテグレーテッド 製品定義エンジニア 重要なものになってきま した。” LiDARシステムの帯域幅を増やすことは、それほど簡単なことではありません。というのも、帯 域幅を広げると信号ノイズが増え、信号に歪みが生じ、長距離での誤認識の原因になることが Silas Gschwender あるためです。 SICK Sensor Intelligence インターナショナルアプリケーション エンジニア 11 第1章:重要な設計課題を解決
Page12

マキシムの高速・低消費電力のコンパレータは、次の2つの方法で信号ノイズを低減します。 • コンパレータの入力から出力まで信号の通過に必要な時間(伝搬遅延)を最小限に抑え ます。理想的には、伝搬遅延は一定で、最小限に抑えられるべきですが、実際のアプリケ ーションでは、伝搬遅延は一定ではなく、入力電圧範囲で変化することがあります。 • 高入力電圧範囲と低入力電圧範囲のばらつき(分散)を最小限に抑えます。電圧入力は 基準電圧と比較されるため、高い電圧と低い電圧を測定するときの伝搬遅延が異なるこ とがあります。このばらつきを分散といいます。低分散とは、伝搬遅延のばらつきが少ない “LiDARは、ロボットの ことを意味します。 分野でも広く活用されて マキシムのコンパレータICは、いくつかの方法でレシーバ側の伝搬と分散を最小限に抑えま す。LiDAR設計において、コンパレータの基本的機能とは、オフセット電圧と基準電圧を比較し います。高忠実度センサ て、信号が受信されたかどうかを判断することです。信号がしきい値の範囲を超えると、出力が ーにようやくコストをか 高くなり、交流信号が矩形波に変換されます。この非線形飽和により、電圧変動が抑制され、伝 けられる小さなロボット 搬遅延は最小限に抑えられます。 掃除機から、低遅延と高 分散係数とは、温度やスルーレートの上昇など、入力信号のオーバードライブにおける変化に 速演算を確保しつつ、限 よって生じる伝搬遅延のばらつきのことで、これも可能な限り小さくする必要があります。分散 係数が大きくなると、LiDARアプリケーションの測定誤差が大きくなります。マキシムのTIAとコ られたスペースにこれら ンパレータを使用して遅延を低減することで、より高い精度と正確さを得ることができます。 のセンサーを多数搭載す る大型のロボット機器ま で、数多くのアプリケーシ ョンがあります。” Andrew Beaulieu Toyota Research Institute ロボティクスエンジニア 12 第1章:重要な設計課題を解決
Page13

重要ポイント マキシム・インテグレーテッド MAX40662 クワッドトランスインピーダン 遠くにある対象物を測定する場合、レ スアンプ シーバ側の性能遅延により、精度や 正確さにしばしば問題があります。 LiDARシステムの帯域幅を広げるこ とは、それほど簡単ではありません。 帯域幅を広げると信号ノイズが増え、 信号に歪みが生じ、長距離での誤認 識の原因になることがあるためです。 マキシムのTIAとコンパレータを使用 して遅延を低減することで、より高い 精度と正確さを得ることができます。 詳細はこちら 13 第1章:重要な設計課題を解決
Page14

第1章:重要な設計課題を解決 設計課題3:速度と精度を維持した小型化 周囲360度の視野が得られるLiDARシステムには、システムの精度を高めるために連携して動 作する重複した冗長センサーが搭載されています。現在のLiDARシステムは複数のチャンネル を使用しています。これは、特定の経路をたどり、異なるリターン位置を持つ、調整された複数 “性能とサイズは、今日 の周波数が利用されていることを意味します。アプリケーションや精度の必要性に応じて、シス 最も重要なトレードオフ テムは32、64、96、または120チャンネルを使用できます。これらの追加チャンネルには、より多く のチャンネルをサポートするためのコンポーネントが必要となり、さらにサポートするICも追加 です。高性能なシステム で必要となることがあります。 では、より多くのより大き なセンサーが必要とな “トランスインピーダンスアンプ(TIA)は、システムの重要なコンポーネン り、LiDARシステムのサ トです。そのシグナルコンディショニング能力は、シグナルチェーンの品質 イズも大きくなります。よ に直接影響します。すべてのTIAが同じように作られているわけではありま り小型で高性能なレシー せん。対象物が遠くにあるときに優れた性能を発揮するものもあれば、そ バ側ハードウェアを開発 の逆のものもあります。優れたTIA設計は、高い信号対ノイズ比で安定し た信号品質を提供する必要があります。” するには、将来的にこの 設計課題を解決する必 Maurizio Gavardoni マキシム・インテグレーテッド 製品定義エンジニア 要があります。” Giray Kömürcü しかし、テクノロジーによって多チャンネル化が可能になるにつれ、アプリケーション仕様や消 TUBITAK 費者からは、システムのデザインに適合するように、またパッケージや輸送コストを削減するた チーフデザインエンジニア めに、システムの小型化が求められるようになりました。その結果、エンジニアは、速度、精度、 14 第1章:重要な設計課題を解決
Page15

安全性の要件を満たしながら、可能な限り小さなフォームファクタを設計するという課題に直 面しています。フォームファクタが小さくなると、部品の密度が高くなり、信号品質の低下、ノイズ の発生、発熱などの問題が生じます。 マキシムのIO: • LiDARシステムに必要なペリフェラルの数を大幅に削減します。 マキシムのTIA: “LiDAR設計者は、な • 128チャンネルに対応し、1つのICに多くのチャンネルを搭載できるため、部品数の削減が ぜレシーバ側ハードウ 可能です。 ェアに注目する必要が • 低ノイズ・低消費電力と業界最高水準の帯域幅を小型パッケージで実現します。9 mm2 あるのでしょうか。それ のTDFN(Thin Dual No-Lead)パッケージサイズで、ソリューション全体のサイズとしては 業界最小水準を実現しています。 が、LiDARの小型化を • 160 MHzおよび490 MHz(業界最高水準)の帯域幅オプションを提供し、これにより、わず 実現するための答えな か数ナノ秒のパルスを増幅し、精度を維持できます。 のです。” • 選択可能な利得機能により、25 kΩと50 kΩの2つの端子選択式トランスインピーダンス 値を使用することで、後から増幅を行う必要をなくすことができます。 Issa Malke Velodyne LiDAR, Inc. マキシムの高速コンパレータユニット: LiDARキャリブレーションエンジニア • 1.2 mm × 0.8 mmの省スペースパッケージ(WLP)で提供され、-40℃~+125℃で動作 します。 15 第1章:重要な設計課題を解決
Page16

重要ポイント マキシム・インテグレーテッド MAX4002x 単電源高速コンパレータ LiDARシステムは複数のチャンネル を使用しています。これは、特定の経 路をたどり、異なるリターン位置を持 つ、調整された複数の周波数が利用 されていることを意味します。 LiDAR ICは最大120チャンネルまで 対応しますが、技術者はシステム設計 全体の小型化が進む中でチャンネル 数の増加に対応することが難しくなっ ています。 マキシムのIC、コンパレータ、IOは、速 度と精度を最大限に高めながら、小 型フォームファクタを可能にし、ペリフ ェラルの数を削減します。 詳細はこちら 16 第1章:重要な設計課題を解決
Page17

第1章:重要な設計課題を解決 設計課題4:厳格な安全要件への対応 安全なLiDARシステムの設計には、ISO 26262、故障モード影響・診断分析、AEC-Q100など の厳しい安全要件を満たす必要があります。マキシムの電源保護IC、監視回路、温度センサー は、LiDARシステムの安全要件に対応するための重要な設計オプションです。 “LiDAR設計における 重要なトレードオフの1 つは、照射出力と目の安 “自動車は、故障が発生した場合、システムがそれを把握して、今後の 全性です。解決策の1つ 修正や予防につなげる必要があります。故障を見逃すことはできませ が狭いパルス幅のレー ん。故障モード影響・診断分析は、潜在的な故障を予測し、それが発生 ザーを使用することです する前に対処できるようにします。” が、これにはより強力な Binay Kumar Bajaj レシーバ側ハードウェ マキシム・インテグレーテッド ビジネスマネジメント担当ディレクター アが必要です。システム ノイズの少ない高速な マキシムの電源保護IC: レシーバ側ハードウェ • 負荷への入力電圧を監視し、指定範囲内にあることを確認することで、電圧スパイク、逆 アが有効です。” 電圧、電圧ショート、障害状態などの有害な影響を軽減します。 Kai Zhou Ansys ADASセンサーエンジニア 17 第1章:重要な設計課題を解決
Page18

• 順方向/逆方向の電圧/電流保護のためのpチャンネルMOSFET(pFET)およびnチャンネ ルMOSFET(nFET)を内蔵しています。 • プログラム可能な低電圧および過電圧保護、電流制限しきい値、障害対応モードなどを 備えています。 マキシムの監視保護回路は、マイクロコントローラの誤った電源投入または停止、システムの 意図しない動作を引き起こす電源関連の問題からマイクロコントローラベースのシステムを保 護します。 “LiDARシステムには、厳 マキシムの温度センサーは、光信号が一定電力を有する場合に電流の変動を抑え、TIAがアバ しいノイズマージンとス ランシェフォトダイオード(APD)から受け取る電流の熱雑音を低減します。 ペースの制約に加え、複 雑な安全性と設計上の 要件があります。小型、高 密度、高集積のレシーバ 側ハードウェアは、設計 上の課題を大幅に軽減 します。” Andrew Beaulieu Toyota Research Institute ロボティクスエンジニア 18 第1章:重要な設計課題を解決
Page19

重要ポイント マキシム・インテグレーテッド MAX40027 デュアル高速コンパレータ 安全なLiDARシステムの設計には、厳 格な安全要件を満たす必要がありま す。 マキシムの電源保護IC、監視保護回 路、温度センサーは、これらの厳格な 安全要件を満たすために役立ちます。 詳細はこちら 19 第1章:重要な設計課題を解決
Page20

第1章:重要な設計課題を解決 設計課題5:高速化、高精度化、厳しい安全基準へ の対応と省電力化 高速化、高精度化、厳しい安全基準への対応は、電力需要を増加させる傾向にあります。電子 “信号対ノイズ比の向上 部品やICレベルで電力要件を最小限に抑えることは、常に設計上の要件となっています。 は大きな課題です。レシ マキシムのTIAは、次の方法で電力要件の低減を支援します。 ーバ側ハードウェアで • 市場の他のソリューションと比較して、全体で2倍の帯域幅と20%の消費電力削減を実現 します。 は、受光レンズの経口が 帰還電力に影響を与え • 440 MHz動作時の消費電力はわずか181.5 mWです。 る可能性があります。ま • TIAが使用されていないときは26 mWの低消費電力モードが可能です。 た、光子検出器の種類と その増幅利得は、帰還信 “広帯域で低ノイズの高性能システムは、電力を大幅に消費する 号の出力に影響を与え ため、課題となるのは電力です。” ます。” Maurizio Gavardoni マキシム・インテグレーテッド 製品定義エンジニア Kai Zhou Ansys ADASセンサーエンジニア 20 第1章:重要な設計課題を解決