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【株式会社デンソー様】APIS IQ 導入事例

製品カタログ

FMEAツールのデファクトスタンダード「APIS IQ」導入。ものづくりプロセスのグローバル標準化を目指す

世界屈指の自動車部品メーカーとして70年以上の歴史を誇るデンソー。同社は、カーボンニュートラルの実現に向けてCASE分野への事業転換を計画している。それに伴い、“データドリブンなものづくり”への変革に着手。課題は、同社の品質保証の仕組みのもとに積み上げた膨大な技術資産やノウハウをいかに一貫して使えるデータとするかであった。
着目したのは、グローバルな主要OEMも採用する、製品や製品プロセスの品質向上、リスク低減に重要なFMEA(故障モード影響解析)だ。FMEAツールとしてデファクトスタンダードの「APIS IQ」を採用。導入パートナーには同製品の知見とノウハウを有するアルゴグラフィックスを選択した。2021年に導入開始し、現在製造部門において90のプロジェクトが「APIS IQ」を利用(または利用予定)。設計部門では利用事例を増やす活動が進行中だ。ものづくりプロセスのグローバル標準化とともに、お客様から信頼される品質の成果物提供を実現していく。

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ドキュメント名 【株式会社デンソー様】APIS IQ 導入事例
ドキュメント種別 製品カタログ
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取り扱い企業 株式会社アルゴグラフィックス (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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アルゴグラフィックス導入事例 「APIS IQ」の導入効果について中西氏は がAPIS社と交渉した成果だと思います。また、『APIS IQ』では対応 話す。「数十名の工程設計者とともに行った できない細かな部分は、カスタムを行わないという当社方針を理解し、 実証実験では、工程FMEAにおいて既存の 連携ツールの開発をアルゴグラフィックスから提案いただき実現して Excelと比較して平均20%の工数を削減。『ツリーをドラッグ&ドロッ います」 プで簡単に移動でき、コピー&ペーストでデータ再利用が行えるため 業務の効率化が図れた』、『プロジェクトごとの質のバラツキ防止に 今後の展望について中西氏は話す。「プロジェクト間で共有できる つながる』という声がありました。またAPIS IQで作成したデータを 良質なデータの蓄積・活用・継続的な更新を進めることが重要なテー XMLファイルにエクスポートして活用すれば、データが連携された マです。挑戦的な新規製品開発・製造に注力するべく、データ再利用 形で、デンソーのFMEAシート・QAネットワーク表・QC工程表の自 による効率化でリソースの最大化を図っていきます」 動生成が可能です。これにより、品質管理プロセス全体で15%~ 35%※の工数削減効果が期待できます」 「設計FMEAと工程FMEAのデータ連携はこれからです」と髙橋氏 は話し、こう続ける。「設計FMEAに関して、類似製品も多いエレクト その他にも、工程設計者からは「国際基準に則って、複数ドキュメ リフィケーションシステム事業グループから事例を増やす活動を行っ ントにまたがるデータの繋がりを確保しながら作成でき、変更やレ ています。『APIS IQ』のトレーニングは、アルゴグラフィックスにサポー ビューを実施しやすい」、「データの繋がりが可視化されるため、抜け・ トしてもらいながら適宜行っています。また、対象のプロジェクトと担 漏れに気づきやすい」といった評価があったという。 当者を決めて実践を通じた教育も実施。“データドリブンなものづく り”を目指し取り組みを加速していきます」 髙橋氏は、「APIS IQ」の機能改善要望におけるアルゴグラフィック スのサポートを高く評価する。「2021年2月から同年9月の半年間 環境と安心の分野で新たな価値創造に挑戦するデンソー。アルゴ において、サービスパックの変更項目109件のうち、当社の改善要 グラフィックスは「APIS IQ」のサポートを通じて同社の持続的成長と 望が10件反映されました。当社の立場に立ってアルゴグラフィックス 社会貢献を支援していく。 ※お客様環境や運用方法によって業務効率改善率は異なります。 FMEAツールのデファクトスタンダード「APIS IQ」導入 株式会社デンソー ものづくりプロセスのグローバル標準化を目指す https://www.denso.com/jp/ja/ 世界屈指の自動車部品メーカーとして70年以上の歴史を誇るデンソー。同社は、カーボンニュートラルの実現に向けて 本 部 所 在 地 〒448-8661 愛知県刈谷市昭和町1-1 CASE分野への事業転換を計画している。それに伴い、“データドリブンなものづくり”への変革に着手。課題は、同社の品質 創   立 1949年12月16日 保証の仕組みのもとに積み上げた膨大な技術資産やノウハウをいかに一貫して使えるデータとするかであった。着目したの 資 本 金 1,875億円 は、グローバルな主要OEMも採用する、製品や製品プロセスの品質向上、リスク低減に重要なFMEA(故障モード影響解析) 従 業 員 数 連結 164,572人 単独 44,758人 だ。FMEAツールとしてデファクトスタンダードの「APIS IQ」を採用。導入パートナーには同製品の知見とノウハウを有する 連結子会社数 190社 (日本 59、北米 20、欧州 27、アジア 77、その他 7) 事 業 内 容 車載事業(エレクトリフィケーションシステム、パワートレインシステム、サーマルシステム、モビリティエレクト アルゴグラフィックスを選択した。2021年に導入開始し、現在製造部門において90のプロジェクトが「APIS IQ」を利用(ま ロニクス、先進デバイス)/非車載事業(インダストリアルソリューション、フードバリューチェーン) たは利用予定)。設計部門では利用事例を増やす活動が進行中だ。ものづくりプロセスのグローバル標準化とともに、お客様 (2023年3月31日現在) から信頼される品質の成果物提供を実現していく。 自動車業界は「100年に一度の変革期」 徹底追求。安心領域では、高度運転支援や先進安全技術の開発によ にある。グローバルな自動車部品メーカーの り「交通事故死亡者ゼロ」に取り組む。モビリティ分野だけではなく、 デンソーは、環境と安心の両領域で「究極の 社会全体に貢献するべく新たな価値創造に挑戦していく。 株式会社アルゴグラフィックス ゼロ」を目指す。環境領域では、カーボンニュートラルの実現に向け、 商品詳細・価格などにつきましては、下記までお問い合わせください。 生産活動から製品までCO2の排出と吸収でプラスマイナス「ゼロ」を デンソーは、脱炭素化に応えるべくエンジン系を中心とする成熟分 各種ご相談窓口 03-5641-2007 www.argo-graph.co.jp e-mail marketing@argo-graph.co.jp 202310 野からCASE(Connected:コネクテッド、Automated/Autonomous: 髙橋氏は付け加える。「従来はお客様の数だけ自動車部品がありまし 自動運転、Shared & Service:シェアリング、Electrification:電動化) た。2021年に、デンソーは製品設計戦略としてコア&カスタマイズ 分野へと事業ポートフォリオの転換を計画している。CASE分野への事 戦略を打ち出しました。コア技術の標準化と、お客様によってカスタ 業転換では、ベースとなるものづくり変革が求められる。解決すべき課 マイズが必要な部分を明確に分け、カタログ化していきます。CASE 題について、デンソー エレクトリフィケーションシステム事業グループ 時代を勝ち抜くために、“データドリブンなものづくり”とカタログ化 エレクトリフィケーションシステム経営企画部 事業戦略室 担当次長 髙 により、コスト、スピード、品質の観点から競争力を高めることが狙 橋幸宏氏は話す。 いです」 「CASEでは、自動運転、サイバーセキュリティなどお客様からの要 デンソーの社是は「最善の品質とサービスを以て社会に奉仕する」。 求項目が膨大です。今は人海戦術で乗り切っています。今後CASEが その精神は、今も大切に受け継がれている。顧客要求項目が増加す 本格化していく中、属人性を排除し、顧客要求から開発・設計、製造 る中で、品質と生産性の向上をいかに図っていくか。同社が着目した まで “データドリブンなものづくり”が不可欠です。事業ポートフォリオ のが、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis、故障モード影 の転換に伴い、グループ会社に製品を移譲する際もスムーズに行え 響解析)だ。故障モードとは、システムの機能を満たしていない状態 ます」 を指す。デンソーはFMEAをベースとした “データドリブンなものづく り”に着手した。 経営から、すり合わせ型開発・設計からの脱却も求められていると
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自動車業界は「100年に一度の変革期」 徹底追求。安心領域では、高度運転支援や先進安全技術の開発によ にある。グローバルな自動車部品メーカーの り「交通事故死亡者ゼロ」に取り組む。モビリティ分野だけではなく、 デンソーは、環境と安心の両領域で「究極の 社会全体に貢献するべく新たな価値創造に挑戦していく。 ゼロ」を目指す。環境領域では、カーボンニュートラルの実現に向け、 生産活動から製品までCO2の排出と吸収でプラスマイナス「ゼロ」を デンソーは、脱炭素化に応えるべくエンジン系を中心とする成熟分 アルゴグラフィックス 導入事例 株式会社デンソー 2020年に、デンソーはFMEA専用ツール プダウンのもと髙橋氏をリーダーとする「FMEAをベースとするもの の選定を開始。複数社を検討した結果、 づくり」プロジェクトが立ち上がった。普及に向けたポイントについて 「APIS IQ」を採用した。理由について髙橋氏 髙橋氏は言及する。「APIS IQを使った代表的事例をつくることが重 は説明する。「採用のポイントは、AIAG&VDA FMEAハンドブックに 要です。事例づくりを通じて、情報抽出のためのタグ付け、データの 準じてFMEAを行えるデファクトスタンダード、30年以上の豊富な実 紐づけの仕方など細かなルールを設定することで、APIS IQの使い 績、自動車用機能安全規格ISO26262に対応の3点です。当社にお 方の統一化が図れます。1年間で製品設計における最初の代表的事 けるものづくりプロセスのグローバル標準化とともに、お客様から信 例を具体化しました」 頼される品質の成果物提供の観点を重視しました」(髙橋氏) 工程設計では、現在90のプロジェクトでAPIS IQを利用(または 設計・開発の初期段階で製造まで想定し品質、コスト、仕様などを 利用を予定)しているという。「各事業部門に対し新しい業務プロセ つくり込むフロントローディングでもFMEAは重要な役割を担うとデ スとして認めてもらうために、丁寧に時間をかけて説明しました。最 ンソー 生産革新センター モノづくりDX推進部 生準DX室 生準DX 初に導入が進んだのは、国際規格IATF16949内部監査の対象など 推進課 中西完貴氏は話す。「APIS IQにより工程FMEAのデータと トレーサビリティが重視されるプロジェクトでした。工程設計者は、工 設計FMEAのデータを紐づけることで、フロントローディングを実現 程FMEAと関連している文書との整合性を確保することに大変な苦 し、品質不具合による手戻りが起きるリスクを抑えられます。また、設 労をしていたのです」(中西氏) 計から製造まで必要なときに必要なデータを瞬時にトレースできるた 野からCASE(Connected:コネクテッド、Automated/Autonomous: 髙橋氏は付け加える。「従来はお客様の数だけ自動車部品がありまし め、理解・修正が迅速かつ的確に行えます」 「製造における『APIS IQ』の利用拡大では、当社の業務を深く理 自動運転、Shared & Service:シェアリング、Electrification:電動化) た。2021年に、デンソーは製品設計戦略としてコア&カスタマイズ 解している、アルゴグラフィックスのアドバイスが非常に有効でした。 分野へと事業ポートフォリオの転換を計画している。CASE分野への事 戦略を打ち出しました。コア技術の標準化と、お客様によってカスタ APIS IQの導入パートナーには、豊富な知見とノウハウ、APIS社 また、問い合わせや質問へのレスポンスも速やかで、“困りごと”を理 業転換では、ベースとなるものづくり変革が求められる。解決すべき課 マイズが必要な部分を明確に分け、カタログ化していきます。CASE との密な連携を有するアルゴグラフィックスを選択。2021年に、トッ 解し的確に対応してもらっています」と中西氏は付け加える。 題について、デンソー エレクトリフィケーションシステム事業グループ 時代を勝ち抜くために、“データドリブンなものづくり”とカタログ化 エレクトリフィケーションシステム経営企画部 事業戦略室 担当次長 髙 により、コスト、スピード、品質の観点から競争力を高めることが狙 橋幸宏氏は話す。 いです」 従来 カスタム設計×属人的な進め方×アナログ主体の部署間連携 顧客 開発・設計 生産準備 製造 担当者が 「CASEでは、自動運転、サイバーセキュリティなどお客様からの要 デンソーの社是は「最善の品質とサービスを以て社会に奉仕する」。 顧客要求 時間をかけて 求項目が膨大です。今は人海戦術で乗り切っています。今後CASEが その精神は、今も大切に受け継がれている。顧客要求項目が増加す 属人的な進め方 カスタマイズ 上流→下流 QAネット QC工程表 現場改善 (~数千ページ) 理解・分析 (人海戦術) 設計 デジタルで ワーク表 本格化していく中、属人性を排除し、顧客要求から開発・設計、製造 る中で、品質と生産性の向上をいかに図っていくか。同社が着目した すり合わせ型 繋がっていない RFQ 手動転記 仕様書 まで “データドリブンなものづくり”が不可欠です。事業ポートフォリオ のが、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis、故障モード影 工程 企画書 要求分析 Q&A 工程FMEA 設備仕様 設計・評価 (TEL、MAIL) 設計者 の転換に伴い、グループ会社に製品を移譲する際もスムーズに行え 響解析)だ。故障モードとは、システムの機能を満たしていない状態 ます」 を指す。デンソーはFMEAをベースとした “データドリブンなものづく 目指す姿 コア&カスタマイズ戦略×仕事の変革とデジタル活用×デジタルで設計-製造一気通貫 り”に着手した。 顧客 開発-生準プラットフォーム(デファクトツール=     )/FMEAベース 製造 経営から、すり合わせ型開発・設計からの脱却も求められていると 開発 生産準備 顧客要求 要求分析 要件化/仕様化 製品設計 工程設計 現場改善 (~数千ページ) RFQ コア&カスタマイズ カタログ活用 ・設計情報 ・市場情報 ・設備情報 仕様書 戦略 実績DB ・実績データ ・工程情報 etc. 企画書 品揃えをカタログ化(標準化) 顧客と共に品質×生産性を高める=顧客の満足度、信頼性向上 FMEAは、グローバルの主要な自動車メー ない。部品変更に伴う設計変更などで一貫性の検証に多くの労力を カー、サプライヤーなどの採用により普及。 要します。変化点ベースと属人化の課題は工程設計でも同様です」 解決すべき課題と目標。属人性の高い開発・製造間の業務プロセスを、デジタル技術を活用し競争力あるプロセスに変革していく 2019年には北米と独のガイドラインを統 設計FMEA 合したAIAG&VDA FMEAハンドブックが発行された。FMEAをもの FMEAをベースにしたものづくりでは、専用ツールの活用が欠か づくり変革にどう生かしていくか。髙橋氏はこう説明する。「FMEAは、 せないと髙橋氏は指摘する。「ものづくりの理想は、顧客要求から製 達成したい事象に対して体系的に機能展開し、機能不全に至る故障 造まで因果関係すべての見える化と不具合発生時にトレースができる ツリーからアウトプット モードを想定することで、製品設計や工程設計において網羅的な検 ことです。それを実現するのはExcelでは不可能です。専用ツールに 設 討を可能にします。FMEAを顧客要求から製造までのデータ連携手 よりシステムとして一気通貫で繋がっていることが求められます」 計 と 段として活用することで、データに基づく“ものづくり”や“働き方改革” 製 を実現できます」 FMEA専用ツールの活用は、グローバルビジネス拡大の観点でも 造 の 工程FMEA 必要になると髙橋氏は強調する。「自動車部品メーカーの中で、デン 連 携 QAネットワーク表 網羅的な設計検討を可能にするFMEAに対し、従来はExcelを ソーは世界No.2の売上規模を誇り、売上に占める海外比率は53% 使った変化点ベースの製品設計を行っていたと髙橋氏は話す。「設計 です。欧米のOEMは、専用ツールでのFMEA対応を要求するケース ツリーからアウトプット QC工程表 変更に対し、変化点に注目することで効率的な設計が行えます。問題 もあります。専用ツールを使うことで細かな説明が不要となり、 は、変化点ばかり見ていると、全体がわからなくなるという点です。 FMEA対応のチェック作業の効率化が図れます。OEMと部品メー また、知識やデータが個人に属しており、過去のノウハウが生かされ カーの両者に大きなメリットがあります」 「APIS IQ」によるFMEAのイメージ。ツリーを使い、わかりやすい整理と設計から製造までの一元管理を実現
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自動車業界は「100年に一度の変革期」 徹底追求。安心領域では、高度運転支援や先進安全技術の開発によ にある。グローバルな自動車部品メーカーの り「交通事故死亡者ゼロ」に取り組む。モビリティ分野だけではなく、 デンソーは、環境と安心の両領域で「究極の 社会全体に貢献するべく新たな価値創造に挑戦していく。 ゼロ」を目指す。環境領域では、カーボンニュートラルの実現に向け、 生産活動から製品までCO2の排出と吸収でプラスマイナス「ゼロ」を デンソーは、脱炭素化に応えるべくエンジン系を中心とする成熟分 アルゴグラフィックス 導入事例 株式会社デンソー 2020年に、デンソーはFMEA専用ツール プダウンのもと髙橋氏をリーダーとする「FMEAをベースとするもの の選定を開始。複数社を検討した結果、 づくり」プロジェクトが立ち上がった。普及に向けたポイントについて 「APIS IQ」を採用した。理由について髙橋氏 髙橋氏は言及する。「APIS IQを使った代表的事例をつくることが重 は説明する。「採用のポイントは、AIAG&VDA FMEAハンドブックに 要です。事例づくりを通じて、情報抽出のためのタグ付け、データの 準じてFMEAを行えるデファクトスタンダード、30年以上の豊富な実 紐づけの仕方など細かなルールを設定することで、APIS IQの使い 績、自動車用機能安全規格ISO26262に対応の3点です。当社にお 方の統一化が図れます。1年間で製品設計における最初の代表的事 けるものづくりプロセスのグローバル標準化とともに、お客様から信 例を具体化しました」 頼される品質の成果物提供の観点を重視しました」(髙橋氏) 工程設計では、現在90のプロジェクトでAPIS IQを利用(または 設計・開発の初期段階で製造まで想定し品質、コスト、仕様などを 利用を予定)しているという。「各事業部門に対し新しい業務プロセ つくり込むフロントローディングでもFMEAは重要な役割を担うとデ スとして認めてもらうために、丁寧に時間をかけて説明しました。最 ンソー 生産革新センター モノづくりDX推進部 生準DX室 生準DX 初に導入が進んだのは、国際規格IATF16949内部監査の対象など 推進課 中西完貴氏は話す。「APIS IQにより工程FMEAのデータと トレーサビリティが重視されるプロジェクトでした。工程設計者は、工 設計FMEAのデータを紐づけることで、フロントローディングを実現 程FMEAと関連している文書との整合性を確保することに大変な苦 し、品質不具合による手戻りが起きるリスクを抑えられます。また、設 労をしていたのです」(中西氏) 計から製造まで必要なときに必要なデータを瞬時にトレースできるた 野からCASE(Connected:コネクテッド、Automated/Autonomous: 髙橋氏は付け加える。「従来はお客様の数だけ自動車部品がありまし め、理解・修正が迅速かつ的確に行えます」 「製造における『APIS IQ』の利用拡大では、当社の業務を深く理 自動運転、Shared & Service:シェアリング、Electrification:電動化) た。2021年に、デンソーは製品設計戦略としてコア&カスタマイズ 解している、アルゴグラフィックスのアドバイスが非常に有効でした。 分野へと事業ポートフォリオの転換を計画している。CASE分野への事 戦略を打ち出しました。コア技術の標準化と、お客様によってカスタ APIS IQの導入パートナーには、豊富な知見とノウハウ、APIS社 また、問い合わせや質問へのレスポンスも速やかで、“困りごと”を理 業転換では、ベースとなるものづくり変革が求められる。解決すべき課 マイズが必要な部分を明確に分け、カタログ化していきます。CASE との密な連携を有するアルゴグラフィックスを選択。2021年に、トッ 解し的確に対応してもらっています」と中西氏は付け加える。 題について、デンソー エレクトリフィケーションシステム事業グループ 時代を勝ち抜くために、“データドリブンなものづくり”とカタログ化 エレクトリフィケーションシステム経営企画部 事業戦略室 担当次長 髙 により、コスト、スピード、品質の観点から競争力を高めることが狙 橋幸宏氏は話す。 いです」 従来 カスタム設計×属人的な進め方×アナログ主体の部署間連携 顧客 開発・設計 生産準備 製造 担当者が 「CASEでは、自動運転、サイバーセキュリティなどお客様からの要 デンソーの社是は「最善の品質とサービスを以て社会に奉仕する」。 顧客要求 時間をかけて 求項目が膨大です。今は人海戦術で乗り切っています。今後CASEが その精神は、今も大切に受け継がれている。顧客要求項目が増加す 属人的な進め方 カスタマイズ 上流→下流 QAネット QC工程表 現場改善 (~数千ページ) 理解・分析 (人海戦術) 設計 デジタルで ワーク表 本格化していく中、属人性を排除し、顧客要求から開発・設計、製造 る中で、品質と生産性の向上をいかに図っていくか。同社が着目した すり合わせ型 繋がっていない RFQ 手動転記 仕様書 まで “データドリブンなものづくり”が不可欠です。事業ポートフォリオ のが、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis、故障モード影 工程 企画書 要求分析 Q&A 工程FMEA 設備仕様 設計・評価 (TEL、MAIL) 設計者 の転換に伴い、グループ会社に製品を移譲する際もスムーズに行え 響解析)だ。故障モードとは、システムの機能を満たしていない状態 ます」 を指す。デンソーはFMEAをベースとした “データドリブンなものづく 目指す姿 コア&カスタマイズ戦略×仕事の変革とデジタル活用×デジタルで設計-製造一気通貫 り”に着手した。 顧客 開発-生準プラットフォーム(デファクトツール=     )/FMEAベース 製造 経営から、すり合わせ型開発・設計からの脱却も求められていると 開発 生産準備 顧客要求 要求分析 要件化/仕様化 製品設計 工程設計 現場改善 (~数千ページ) RFQ コア&カスタマイズ カタログ活用 ・設計情報 ・市場情報 ・設備情報 仕様書 戦略 実績DB ・実績データ ・工程情報 etc. 企画書 品揃えをカタログ化(標準化) 顧客と共に品質×生産性を高める=顧客の満足度、信頼性向上 FMEAは、グローバルの主要な自動車メー ない。部品変更に伴う設計変更などで一貫性の検証に多くの労力を カー、サプライヤーなどの採用により普及。 要します。変化点ベースと属人化の課題は工程設計でも同様です」 解決すべき課題と目標。属人性の高い開発・製造間の業務プロセスを、デジタル技術を活用し競争力あるプロセスに変革していく 2019年には北米と独のガイドラインを統 設計FMEA 合したAIAG&VDA FMEAハンドブックが発行された。FMEAをもの FMEAをベースにしたものづくりでは、専用ツールの活用が欠か づくり変革にどう生かしていくか。髙橋氏はこう説明する。「FMEAは、 せないと髙橋氏は指摘する。「ものづくりの理想は、顧客要求から製 達成したい事象に対して体系的に機能展開し、機能不全に至る故障 造まで因果関係すべての見える化と不具合発生時にトレースができる ツリーからアウトプット モードを想定することで、製品設計や工程設計において網羅的な検 ことです。それを実現するのはExcelでは不可能です。専用ツールに 設 討を可能にします。FMEAを顧客要求から製造までのデータ連携手 よりシステムとして一気通貫で繋がっていることが求められます」 計 と 段として活用することで、データに基づく“ものづくり”や“働き方改革” 製 を実現できます」 FMEA専用ツールの活用は、グローバルビジネス拡大の観点でも 造 の 工程FMEA 必要になると髙橋氏は強調する。「自動車部品メーカーの中で、デン 連 携 QAネットワーク表 網羅的な設計検討を可能にするFMEAに対し、従来はExcelを ソーは世界No.2の売上規模を誇り、売上に占める海外比率は53% 使った変化点ベースの製品設計を行っていたと髙橋氏は話す。「設計 です。欧米のOEMは、専用ツールでのFMEA対応を要求するケース ツリーからアウトプット QC工程表 変更に対し、変化点に注目することで効率的な設計が行えます。問題 もあります。専用ツールを使うことで細かな説明が不要となり、 は、変化点ばかり見ていると、全体がわからなくなるという点です。 FMEA対応のチェック作業の効率化が図れます。OEMと部品メー また、知識やデータが個人に属しており、過去のノウハウが生かされ カーの両者に大きなメリットがあります」 「APIS IQ」によるFMEAのイメージ。ツリーを使い、わかりやすい整理と設計から製造までの一元管理を実現
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アルゴグラフィックス導入事例 「APIS IQ」の導入効果について中西氏は がAPIS社と交渉した成果だと思います。また、『APIS IQ』では対応 話す。「数十名の工程設計者とともに行った できない細かな部分は、カスタムを行わないという当社方針を理解し、 実証実験では、工程FMEAにおいて既存の 連携ツールの開発をアルゴグラフィックスから提案いただき実現して Excelと比較して平均20%の工数を削減。『ツリーをドラッグ&ドロッ います」 プで簡単に移動でき、コピー&ペーストでデータ再利用が行えるため 業務の効率化が図れた』、『プロジェクトごとの質のバラツキ防止に 今後の展望について中西氏は話す。「プロジェクト間で共有できる つながる』という声がありました。またAPIS IQで作成したデータを 良質なデータの蓄積・活用・継続的な更新を進めることが重要なテー XMLファイルにエクスポートして活用すれば、データが連携された マです。挑戦的な新規製品開発・製造に注力するべく、データ再利用 形で、デンソーのFMEAシート・QAネットワーク表・QC工程表の自 による効率化でリソースの最大化を図っていきます」 動生成が可能です。これにより、品質管理プロセス全体で15%~ 35%※の工数削減効果が期待できます」 「設計FMEAと工程FMEAのデータ連携はこれからです」と髙橋氏 は話し、こう続ける。「設計FMEAに関して、類似製品も多いエレクト その他にも、工程設計者からは「国際基準に則って、複数ドキュメ リフィケーションシステム事業グループから事例を増やす活動を行っ ントにまたがるデータの繋がりを確保しながら作成でき、変更やレ ています。『APIS IQ』のトレーニングは、アルゴグラフィックスにサポー ビューを実施しやすい」、「データの繋がりが可視化されるため、抜け・ トしてもらいながら適宜行っています。また、対象のプロジェクトと担 漏れに気づきやすい」といった評価があったという。 当者を決めて実践を通じた教育も実施。“データドリブンなものづく り”を目指し取り組みを加速していきます」 髙橋氏は、「APIS IQ」の機能改善要望におけるアルゴグラフィック スのサポートを高く評価する。「2021年2月から同年9月の半年間 環境と安心の分野で新たな価値創造に挑戦するデンソー。アルゴ において、サービスパックの変更項目109件のうち、当社の改善要 グラフィックスは「APIS IQ」のサポートを通じて同社の持続的成長と 望が10件反映されました。当社の立場に立ってアルゴグラフィックス 社会貢献を支援していく。 ※お客様環境や運用方法によって業務効率改善率は異なります。 FMEAツールのデファクトスタンダード「APIS IQ」導入 株式会社デンソー ものづくりプロセスのグローバル標準化を目指す https://www.denso.com/jp/ja/ 世界屈指の自動車部品メーカーとして70年以上の歴史を誇るデンソー。同社は、カーボンニュートラルの実現に向けて 本 部 所 在 地 〒448-8661 愛知県刈谷市昭和町1-1 CASE分野への事業転換を計画している。それに伴い、“データドリブンなものづくり”への変革に着手。課題は、同社の品質 創   立 1949年12月16日 保証の仕組みのもとに積み上げた膨大な技術資産やノウハウをいかに一貫して使えるデータとするかであった。着目したの 資 本 金 1,875億円 は、グローバルな主要OEMも採用する、製品や製品プロセスの品質向上、リスク低減に重要なFMEA(故障モード影響解析) 従 業 員 数 連結 164,572人 単独 44,758人 だ。FMEAツールとしてデファクトスタンダードの「APIS IQ」を採用。導入パートナーには同製品の知見とノウハウを有する 連結子会社数 190社 (日本 59、北米 20、欧州 27、アジア 77、その他 7) 事 業 内 容 車載事業(エレクトリフィケーションシステム、パワートレインシステム、サーマルシステム、モビリティエレクト アルゴグラフィックスを選択した。2021年に導入開始し、現在製造部門において90のプロジェクトが「APIS IQ」を利用(ま ロニクス、先進デバイス)/非車載事業(インダストリアルソリューション、フードバリューチェーン) たは利用予定)。設計部門では利用事例を増やす活動が進行中だ。ものづくりプロセスのグローバル標準化とともに、お客様 (2023年3月31日現在) から信頼される品質の成果物提供を実現していく。 自動車業界は「100年に一度の変革期」 徹底追求。安心領域では、高度運転支援や先進安全技術の開発によ にある。グローバルな自動車部品メーカーの り「交通事故死亡者ゼロ」に取り組む。モビリティ分野だけではなく、 デンソーは、環境と安心の両領域で「究極の 社会全体に貢献するべく新たな価値創造に挑戦していく。 株式会社アルゴグラフィックス ゼロ」を目指す。環境領域では、カーボンニュートラルの実現に向け、 商品詳細・価格などにつきましては、下記までお問い合わせください。 生産活動から製品までCO2の排出と吸収でプラスマイナス「ゼロ」を デンソーは、脱炭素化に応えるべくエンジン系を中心とする成熟分 各種ご相談窓口 03-5641-2007 www.argo-graph.co.jp e-mail marketing@argo-graph.co.jp 202310 野からCASE(Connected:コネクテッド、Automated/Autonomous: 髙橋氏は付け加える。「従来はお客様の数だけ自動車部品がありまし 自動運転、Shared & Service:シェアリング、Electrification:電動化) た。2021年に、デンソーは製品設計戦略としてコア&カスタマイズ 分野へと事業ポートフォリオの転換を計画している。CASE分野への事 戦略を打ち出しました。コア技術の標準化と、お客様によってカスタ 業転換では、ベースとなるものづくり変革が求められる。解決すべき課 マイズが必要な部分を明確に分け、カタログ化していきます。CASE 題について、デンソー エレクトリフィケーションシステム事業グループ 時代を勝ち抜くために、“データドリブンなものづくり”とカタログ化 エレクトリフィケーションシステム経営企画部 事業戦略室 担当次長 髙 により、コスト、スピード、品質の観点から競争力を高めることが狙 橋幸宏氏は話す。 いです」 「CASEでは、自動運転、サイバーセキュリティなどお客様からの要 デンソーの社是は「最善の品質とサービスを以て社会に奉仕する」。 求項目が膨大です。今は人海戦術で乗り切っています。今後CASEが その精神は、今も大切に受け継がれている。顧客要求項目が増加す 本格化していく中、属人性を排除し、顧客要求から開発・設計、製造 る中で、品質と生産性の向上をいかに図っていくか。同社が着目した まで “データドリブンなものづくり”が不可欠です。事業ポートフォリオ のが、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis、故障モード影 の転換に伴い、グループ会社に製品を移譲する際もスムーズに行え 響解析)だ。故障モードとは、システムの機能を満たしていない状態 ます」 を指す。デンソーはFMEAをベースとした “データドリブンなものづく り”に着手した。 経営から、すり合わせ型開発・設計からの脱却も求められていると