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このカタログについて
| ドキュメント名 | 組織論から解く。失敗しない製造業DX -現場と経営を繋ぐ変革の羅針盤- |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
| ファイルサイズ | 17.1Mb |
| 取り扱い企業 | 株式会社カミナシ (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
Page2
はじめに
製造業を取り巻く環境は、グローバル競争の激化、熟練技術者の⾼齢化と
深刻な⼈⼿不⾜、そして顧客ニーズのめまぐるしい変化など、かつてない
ほどの速度で変容を続けています。このような時代において、デジタル技
術を駆使してビジネスモデルや業務プロセスを根本から変⾰するDX(デジ
タルトランスフォーメーション)は、企業が持続的な成⻑を遂げ、競争優
位性を確⽴するための、もはや避けては通れない経営戦略です。
多くの経営者の皆様がDXの重要性を強く認識されていることと存じます。
しかしその一方で、「具体的に何から手をつければ良いのかわからない」
「導入してみたものの、期待したような成果がなかなか出ない」といっ
た、推進における課題や悩みに直面されているのではないでしょうか。DX
の成功には戦略的なアプローチが不可欠です。
本資料では、製造業の皆様がDXを力強く推進し、確かな成果を創出するた
めの組織論に焦点を当てています。特に、DX推進の成否を分けるプロジェ
クト体制の構築、外部からの採用が困難な中での社内DX人材の育成、そし
て変革を牽引する経営陣の揺るぎないコミットメントと推進者への正当な
評価という、三つの核心的なテーマを深掘りします。これらの要素がいか
に連携し、DXという航海を成功に導くのかを、具体的な事例を交えながら
解説いたします。
製造業のDX推進
01
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⽬次
はじめに 01
持続可能なDX推進体制の確立のためには価値観の創出が出発点に 03
DXの成果を最大化する組織づくり変化に強い推進体制
をどう築くか 04
組織づくりのための3つの土台 06
情報技術と運用・制御技術の連携課題と解決 07
ダブルスタンダードを作り出す 08
トップダウンのリーダーシップ 10
経営層によるビジョン浸透 11
意思決定プロセスの変革 12
DX推進に必要な人材 14
人材育成のアプローチ 15
継続的な人材開発の仕組み 16
文化がDXの成否を決める 18
DXを支える組織文化の要素 19
文化変革の実践的アプローチ 20
成功事例-電子機器メーカー 22
失敗事例-ゼネラル・エレクトリック 23
成功・失敗を分ける要因分析 24
カミナシが解決するDXの課題-株式会社宝来屋本店様 26
カミナシが解決するDXの課題-株式会社CTI様 27
カミナシが解決するDXの課題-株式会社グリーンサービス様 28
現場DXプラットフォーム「カミナシ」について 29
おわりに 34
製造業のDX推進
02
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持続可能なDX推進体制の確立のためには
価値観の創出が出発点に
DX成功には個別の要素ではなく、複数の要素が相互に連携した包括的な
アプローチが必要です。技術導入だけでなく、組織、人材、文化、リーダ
ーシップのすべてが揃って初めて真のデジタル変革が実現します。
適切な推進体制 人材戦略
部門や役職を超えた横断的なチーム 多様なDX人材の確保
IT技術と現場運用の連携体制 継続的なスキル開発
DX推進室設置 リスクリング・アップスキリング
ツースピードIT構造 外部人材との協働
経営のコミットメント 文化改革
トップダウンのリーダーシップ イノベーション志向
迅速な意思決定 学習する組織への変革
継続的なビジョン発信 柔軟で変化に前向きな考え方
計算されたリスクテイク 失敗を成功のための材料として歓迎
相互連携の重要性
これら4つの要素は独立したものではなく、相互に影響し合い
ます。例えば、経営のコミットメントが人材育成を促進し、適
切な人材が組織体制を強化し、その成功体験が文化変革を加速
させるという好循環が生まれます。
製造業のDX推進
03
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DXの成果を最⼤化する組織づくり
変化に強い推進体制をどう築くか
DXは⼀時的な取り組みではなく、継続的な変⾰プロセスです。⼀度構築し
た体制を持続し、さらに進化させていくための仕組みづくりが重要です。
持続可能性の要素
継続的学習の仕組み 新技術・手法の継続的キャッチアップ
人材の循環・育成 次世代DXリーダーの計画的育成
企業の管理体制の進化 変化に応じた組織体制の柔軟な見直し
イノベーション文化の定着 変革を楽しむ組織文化の醸成
成果の再投資 DXの成果をさらなる変革に活用
価値観の創出 信頼の獲得 投資拡⼤ 能⼒・組織
組織の指⽰ リソース増強 ⼒の向上
持続可能なDX推進の好循環
価値観の共有
「なぜDXを進めるのか」
「DXによってどんな未来を実現したいのか」
といった根本的な⽬的や価値観を、社員全体で共有し、
しっかりと理解しておく必要があります。
製造業のDX推進
04
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DX推進プロジェクトの組織体制構築の要点
DXを単なるITツールの導⼊で終わらせず、ビジネスモデルや業務プロセスを根
本から変⾰するためには、強固で効果的な推進体制の構築が不可⽋です。
特に製造業においては、IT(情報技術)と物理的な動作や環境を制御‧管理す
る現場業務という異なる領域の連携や、既存業務と新しいデジタルプロセスが
混在する移⾏期への対応が求められます。
しかし、すべての企業が理想的な環境を整えられるわけではありません。
本章では、DX推進プロジェクトを成功に導くための組織体制について、企業規
模や⼈的リソースの制約がある中でも実践できる現実的なアプローチを解説し
ます。
05
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組織づくりのための3つの土台
DXを成功させるには、適切なプロジェクト体制の構築が不可欠です。成功
への道筋は以下の3つの柱によって支えられています。
部門や役職を超えた
推進責任者の明確化 スモールスタート
横断的なチーム
最高デジタル責任者 組織全体の視点を取り 一部の業務やプロセ
最高情報責任者など 入れた、より効果的な スの改善から着手し
がDX推進をリード DX戦略の策定と実行 成果を見える化
推進責任者の明確化
DXを進めようとしても、最終的な意思決定者が決まっていなければ、プロジェクトは停
滞し、責任の所在が曖昧になります。
DX推進の責任者を明確にすれば、DXの推進がスムーズになります。
部門横断型の専任チーム
特定の部門に偏らず、組織全体の方針に沿ったDX戦略を推進します。各部門の代表者が
集まり、情報共有や協力体制を構築することで、全社的な視点での意思決定が可能に。
スモールスタート
小規模なプロジェクトで成果を出すことで、組織全体の理解と協力を得やすくなり、リ
スクを抑えながらDXを推進できます。成果を見える化し、社内展開することによって他
部門を巻き込んでいくアプローチも有効です。
DX推進の鍵となる責任者の設置
企業全体のDX戦略とビジョンをリードする責任者は、経営戦
略とデジタル技術を結びつけ、変革を推進する役割を担いま
す。重要なのは、役職名そのものよりも、その役割と責任範囲
を明確にし、DX推進に必要な権限を与えることです。
製造業のDX推進
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情報技術と運用・制御技術の連携課題と解決
製造業では特にIT部門と現場運用部門の連携が重要であり、両者の溝を埋
める管理体制が必要とされます。従来、多くの企業ではITと現場を統括す
る共同の管理体制がなく、戦略の策定・実行も別々であったため、プロセ
スの重複や情報共有の滞りが生じていました。
課題 従来の状況 解決策
IT部門と現場運用部門を IT部門/現場運用部門の連携
管理体制 連携させる仕組みがない 連携拠点
の設置
戦略策定 別々の戦略策定・実行 現場と本社ITの橋渡し組織
プロセス重複、情報が部 全社標準の統一と
運用
門ごとに分断される スケール化
IT部門と現場運用部門の特性を理解した上で連携することが必要
IT部門の特性 現場運用部門の特性
基幹システムや情報系システムを扱い、業務効率化、 目 工場の生産ラインや設備機器の制御‧監視システムを扱
データ分析、経営戦略の支援などを目的とする 的
い、製品の品質、生産効率、現場の安全確保を優先する
情報の機密性、システムの可用性拡張性、標準化 優先 システムの信頼性、リアルタイム性、安全性
コスト効率 事項 長期的な安定稼働、プロセスの継続性
オープンなネットワーク、クラウド技術、汎用的な 技術 独自プロトコルや専用線を用いたクローズドなネット
ソフトウェアやハードウェアを活用 ワーク、専用の制御機器やソフトウェア
DX推進の鍵となる責任者の設置
IT部門と現場運用部門が個別に運営されている場合、業務の効
率が低下し、十分な連携が図れません。
これを解決するため
には、両部門をつなぐ組織や仕組みを構築し、全社的なDX推
進を円滑に進めることが重要となります。
製造業のDX推進
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従来の組織運用とDX推進を両立させる
DX推進を専門に統括するDX推進室
※
を設置する例も多くあります。この専
任組織は各部門から人材を集めて構成され、DX施策の設計・実行・展開を
担います。ただし、DX推進室のような専門部署を設立できない企業も少な
くありません。まずは小規模なプロジェクト、小さなチームからスタート
しましょう。
DX推進の体制図
経営層
従来組織 DX推進室
(安定運用) (迅速な変革)
ビジネス部門 IT部門 現場運用部門
従来組織のマネジメントとは別軸でDX推進室のリーダーシップのもと、プロジェクトを
進行します。従来の組織とは異なる、独立したチームやプロジェクトを立ち上げ、新た
な価値創造を目指す「ダブルスタンダード」戦略が挙げられます。
あえて従来組織とは別の組織の作り出す利点
DX推進室によって従来の組織とは並行に動く「2軸構造のデジ
タル組織」が実現し、現業を止めず迅速にDX施策を展開でき
ます。ある電子機器メーカーの事例では、DX推進チーム内に
ビジネス部門出身の製品開発責任者を配置し、現場運用と技術
の橋渡し役となりました。この担当者がDXツールの性能や機
能を柔軟に拡張できる権限を持つことで、スムーズにプロジェ
クトが展開しました。
※
DX推進室:企業や組織内で特定の分野における専門知識やノウハウを集約し、横断的な施策を推進するための拠点
製造業のDX推進
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経営層の関与と意思決定プロセス
DX推進を成功させるためには、経営層の積極的な関与が不可⽋です。経営層
は、DX戦略の策定から実⾏まで⼀貫してリーダーシップを発揮し、組織全体を
巻き込む必要があります。また、迅速な意思決定を可能にするために、権限委
譲や柔軟な組織体制の構築も重要です。
本章では、組織体制構築の要点や、ダブルスタンダード戦略の利点、経営層の
関与と意思決定プロセスについて解説します。
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トップダウンのリーダーシップ
DX推進には経営トップの関与が不可欠です。企業規模を問わず、成功事例
の多くではデジタル変革は経営陣主導で開始されています。大企業では
CDO(最高デジタル責任者)などの専門役職を新設するケースもあります
が、中小企業では経営者自らがDXの旗振り役となったり、既存の役員がDX
推進責任者を兼務したりすることで、長期的なデジタルビジョンの策定と
変革の実行をリードしています。重要なのは役職の有無ではなく、経営層
が明確な意思を持ってDXを推進する姿勢を示すことです。
リーダーシップを発揮するために必要な3要素
強力な支持 明確な権限 組織横断力
経営者
改革の先頭に立つ
CDO(最高デジタル責任者)
経営者のビジョン
プロジェクトを実行し、現場に落とし込む を具体的に
形にしていく
社内の体制や支援がしっかり整っていて、CDOが実行役として機能することで、DXは成
功しやすくなります。
経営者主導の必要性
特に製造業のような伝統的産業では、DXによる変革範囲が広
範囲(製造、保守、品質、サプライチェーンなど多岐)に及ぶ
ため、全社視点での意思決定が必要になります。経営者であれ
ば各部門のトップに対する影響力も大きく、取締役会の支持も
得やすいため、組織全体を巻き込んだ大胆な変革を進めるのに
適任です。
製造業のDX推進
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経営層によるビジョン浸透
経営者⾃らがDXの旗振り役としてビジョンを社内外に⽰し続けることも⽋
かせません。経営トップがDXを企業の最重要ミッションと位置づけて明確
な⽬標を⽰し、その実現に向けた変⾰の価値観を体現することで、組織全
体に変⾰の意志が浸透します。
ビジョン浸透のプロセス
ビジョン策定 メッセージ発信 価値観体現 組織浸透
明確な⽬標設置 継続的な リーダー⾃⾝の 全社の改⾰
コミュニケーション ⾏動変⾰ マインド醸成
経営層が率先してDXの意義や⽬的を語り、成功事例や進捗状況を共有することが重要で
す。社内報やイベント、ワークショップなどを通じて、従業員⼀⼈ひとりがDXを⾃分事
として捉え、積極的に参加できるような雰囲気づくりが求められます。
ビジョン浸透のメリット
組織全体の⼀体感の向上 組織全体の⼀体感の向上
パフォーマンスの向上の向上 ⾃律的な改善活動の促進
変⾰への抵抗感の軽減 部⾨間連携の強化
投資判断とリスクテイク
DX推進における投資判断やリスクテイクにも経営陣の関与が
求められます。DXは従来指標では投資利益率を測りにくい先
⾏投資や実験的プロジェクトを伴うことが多いため、経営層が
戦略的な視点で投資判断を下し、リスクを許容する姿勢を⽰す
必要があります。
製造業のDX推進
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意思決定プロセスの変革
経営層の関与において重要なのは、単に肩書きを与えるだけではなく意思
決定プロセスをDXに適した形に変えることです。従来型の多層的な承認プ
ロセスや稟議に頼っていてはDXのスピードについていけません。
項目 従来型 DX対応型
多層的な承認
承認プロセス 意思決定の簡素化
稟議システム
組織構造 階層的、縦割り組織 フラット化、権限委譲
迅速な判断
意思決定スピード 慎重、時間をかけた検討
まずやってみる文化
不確実性や損失の可能性
リスク姿勢 リスク回避、完璧主義
を受け入れる
従来の製造業では、現場から部門長、事業部長、役員会と何段階もの承認
を経て意思決定が行われることが一般的でした。しかし、DXの世界では技
術の進化や市場の変化が極めて速く、この従来型のプロセスでは機会を逸
してしまいます。
DX対応型の意思決定プロセスでは、まず、意思決定に関わる階層を最小限
に抑えます。
組織構造は、従来の階層的で縦割りの組織から、フラット化された組織へ
と変革が必要です。部門の壁を越えたチームを作り、意思決定権限を与え
ることで、現場に近いところで素早い判断が可能になります。
実験的アプローチからスタート
特に製造業においては、長年培われた慎重で完璧主義的な文化
からの脱却は容易ではありません。しかし、「まずやってみ
る」という実験的なアプローチと、計算されたリスクテイクの
姿勢が必要です。
製造業のDX推進
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DX⼈材の役割と育成
DXを成功に導くためには、適切な組織体制の構築だけでなく、その変⾰を実際
に推進し、実⾏していく⼈材の存在が不可⽋です。しかし、多くの製造業企業
が直⾯している現実は、DX⼈材の深刻な不⾜です。この⼈材ギャップがDX推進
の⼤きなボトルネックとなっています。
本章では、DX⼈材とは具体的にどのような役割とスキルを持つ⼈材なのか、な
ぜ外部からの採⽤が困難なのか、そして最も現実的で効果的な解決策である社
内⼈材の育成について詳しく解説します。
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DX推進に必要な人材
DXを推進するチームには多様なスキルセットを持つ人材が必要ですが、す
べての企業が理想的な人材をそろえることは現実的ではありません。多く
の中堅・中小企業にとって、専門職を複数配置することは予算的にも人材
確保の面でも大きな課題となっています。
そこで重要なのは、完璧を求めるのではなく、自社の現状に合わせた現実
的なアプローチを取ることです。まずは身近で成果を感じられる小さなDX
プロジェクトから始め、その成功体験を積み重ねながら、段階的に人材育
成と組織能力の向上を図っていくことが成功への近道となります。
DX推進担当者に必要な人物像
業務理解
デジタル化によって何が効率化できるか、どんな効果が期待できるかを具体的にイメー
ジする必要があるため、現場の課題や業務の流れを熟知していなければなりません。
改善意欲と学習意欲
現状の課題に対して問題意識を持ち、「もっと良くしたい」という強い思いがある人、
専門知識はなくても、必要なスキルを習得しようという意欲がある人が適しています。
コミュニケーション能力
DXは部門横断的な取り組みです。関係者との連携や協力を得るために、異なる部門の
人や、ITに詳しくない人にも分かりやすく説明できるスキルが必要です。
プロジェクトマネジメントの基本スキル
目標設定、計画立案、進捗管理、リスク管理、関係者間のコミュニケーション調整など
を効果的に行い、プロジェクトを円滑に進めるスキルが必要です。
DX推進に適している人材
必ずしもIT部門の人間や若手に限定されるものではありませ
ん。ベテランの現場担当者や、他部署で改善活動に取り組んで
きた人など、意外な人材が適任である可能性もあります。重要
なのは、デジタルスキルそのものよりも、「変化への適応力」
「課題解決への意欲」「他者を巻き込む力」です。
製造業のDX推進
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人材育成のアプローチ
多くの製造業企業が直面している現実は、DX人材の深刻な不足です。特に
日本においては、IT企業と比較して事業会社でのDX人材不足がより顕著で
あり、この人材ギャップがDX推進の大きなボトルネックとなっています。
だからこそ、全従業員がDXを理解し、貢献できるような体制づくりが求め
られます。特定のエキスパートだけでなく、現場の知識を持つ従業員がデ
ジタルツールを使いこなし、改善提案を行うことが重要です。
人材育成のアプローチ方法
コア人材の確保 スモールスタート 成功事例の横展開
人材拡充
この段階では、高度な専 選定したコア人材を中心 小規模プロジェクトで得
門スキルは必須ではあり に、身近な業務課題を解 た成功事例を社内で共有
ません。 決する小規模なDXプロ し、他部門へ横展開する
基礎的な素養と意欲を持 ジェクトを立ち上げ、実 ことで、DXに関心を持
つ人材を選定します。経 践を通じて学習します。 つ人材を徐々に増やして
営層や現場リーダーが、 「紙の帳票をなくす」 いきます。
これらの人材に必要なト 「定型業務を自動化す 成功事例の共有は、DX
レーニング機会やリソー る」「といった、現場の に対する抵抗感を払拭
スを提供することも重要 困りごとを解消する取り し、「自分たちの部署で
です。 組みから始まります。 もできそうだ」という意
欲を生み出します。
スモールスタート
理想を追求するあまり動けなくなることを避け、できることか
ら着実に始めることが重要です。
自社の現状を正確に把握し、無理のない範囲で着実にDX人材
の育成と活用を進めていくことが、持続可能なDX推進の鍵と
なります。
製造業のDX推進
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継続的な人材開発の仕組み
DXを成功に導くためには、適切な組織体制の構築だけでなく、その変革を
担う人材の育成と確保が不可欠です。多くの企業がDX人材の不足に直面し
ており、特に日本ではその傾向が顕著です。従業員がDXを理解し、貢献で
きる体制づくりが求められています。
DX人材育成のステップ
身近な業務改善 水平展開 組織づくり
現場の従業員が「これは 成果が出た小規模な改善 ある程度の成功体験が蓄
便利だ」と実感できる改 事例を、他部門に展開で 積されたら、外部に頼ら
善から着手します。 きる人材を育成します。 ずとも自社でDXを推進
できる体制を目指しま
す。
POINT POINT POINT
現場の課題を見つける 勉強会の開催 各部門にDX推進の
観察力 旗振り役を配置
簡単なデータ分析や
既存のツールや ワークフロー設計を学習 経営層との橋渡し役を
サービスを活用する 育成
応用力 必要に応じて外部研修
社内ナレッジの蓄積
を活用しながら専門性
小さな改善を継続する と共有の仕組み化
を高める
実行力
効果的な人材育成の実践例
現場主導の改善活動 部門間の相互学習 外部リソースの戦略的活用
小さな成功体験を積み上げる
DX人材の育成において、最初から高度な専門人材を目指す必
要はありません。多くの企業にとって現実的なのは、まず身近
な業務改善から始め、小さな成功体験を積み重ねながら段階的
に人材を育成していくアプローチです。
製造業のDX推進
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組織⽂化‧⾵⼟改⾰とDXの関係
DXの成功は、最新技術の導⼊や優秀な⼈材の確保だけでは実現できません。真
の変⾰を成し遂げるためには、組織に深く根付いた⽂化や⾵⼟そのものを変⾰
し、デジタル時代にふさわしい価値観と⾏動様式を醸成する必要があります。
本章では、DX推進における組織⽂化‧⾵⼟改⾰の重要性を明らかにし、変⾰を
阻む要因とその克服⽅法、そして持続的なイノベーションを⽣み出す組織⽂化
の構築について解説します。
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⽂化がDXの成否を決める
DXを成功に導くためには、適切な組織体制の構築だけでなく、その変⾰を
担う⼈材の育成と確保が不可⽋です。多くの企業がDX⼈材の不⾜に直⾯し
ており、特に⽇本ではその傾向が顕著です。従業員がDXを理解し、貢献で
きる体制づくりが求められています。
従来⽂化 DX⽂化
完璧主義 学習思考
100%完成するまでリリースしない 失敗から学ぶ仕組み
⼩さな実験を許容しない 実験的取り組みの奨励
部⾨縦割り 協働⽂化
データ共有の拒否 部⾨間交流の促進
他部⾨との協働を避ける 共通⽬標の設定
リスク回避 チャレンジ精神
新技術導⼊への抵抗 ⼩さな成功体験の積み重ね
前例がないことへの拒絶反応 挑戦を評価する制度
⽂化変⾰のステップ
現状の⽂化診断 ⽬指の明確化 ロードマップ作成 指標設定
X推進を阻害する DX推進のための 短期・中期・⻑期 変⾰の成果を測定
要因を特定 組織⽂化を定義 の⽬標を設定 するための指標
⽂化変⾰の必要性
製造業など伝統的企業では往々にして、⻑年培われた⽂化は職
⼈的専⾨性の重視、完璧主義、安全第⼀の姿勢、縦割りのヒエ
ラルキーといった特徴を持ちます。これらは品質や安全性確保
には寄与してきましたが、⼀⽅で変化への慎重さや⻑い稟議プ
ロセスにもつながり、DXのような迅速なイノベーションには
障壁となりうるのです。
製造業のDX推進
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DXを支える組織文化の要素
DXを成功させるには、従来文化を「俊敏で協働的、リスクを許容する文化」
へとシフトさせる必要があります。具体的には、「失敗なく完璧を期す文
化」から「イノベーションのためにリスクを取って学習する文化」へ、「部
門ごとに閉じた文化」から「部門の壁を越えてコラボレーションする文化」
への転換が求められます。
イノベーション思考 デジタル思考 的確な判断とスピード
新しい技術への興味と好奇心 デジタルツールの積極活用 変化への迅速な対応
新しいことに挑戦できる環境を整 社員が新しいツールに抵抗なく 迅速な意思決定を可能にする
備する必要があります 積極的に試せる環境づくりが 組織体制を構築する必要が
求められます あります
アイデアを形にする文化づくり プロセスの自動化・最適化 柔軟な思考と行動
従業員が部署や役職を超えて自由 属人的な作業を減らし、 固定観念にとらわれず、
に発想できる環境にする必要があ 効率的な業務プロセスを実現 積極的に行動する姿勢を持つ
ります します 必要があります
データ活用 将来思考 速く失敗し速く学ぶ
データに基づく判断 長期的視点での戦略思考 失敗を受け入れる文化
勘や経験に頼るのではなく、客観 将来の市場動向や技術革新を 失敗を責めるのではなく、
的なデータに基づいて意思決定を 予測し、それに対応できる柔軟な 積極的に共有する仕組みを構築
行う必要があります 組織体制を構築することが重要です することが重要です
分析結果の業務への反映 常に学び続ける姿勢 試行錯誤を通じた成長
析結果を分かりやすく可視化 外部研修やセミナーへの参加を 経営層のリーダーシップ、従業員
し、関係者と共有する仕組みを 奨励するだけでなく、社内での の積極的な参加、継続的な学習と
構築するとともに、改善活動を 知識共有や交流を活発化させる 改善のサイクルが、DXを成功に
継続的に行うことが重要です 仕組みを構築します 導く鍵となります
各要素は独立したものではなく、相互に連携・強化し合う関係にあります。
これらの要素を育むためには、組織全体での意識改革と具体的な行動が必要
です。
完璧主義からの脱却
製造業は品質重視の文化が根強く残っていますが、DXでは「完
璧な計画」よりも「素早い実験と学習」が重要です。小さな失
敗を許容し、そこから学ぶ文化への転換が不可欠です。
また、部門横断的な協働文化の醸成がかかせません。
製造業のDX推進
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