コンディションモニタリング最前線 振動解析と軸電圧測定で強靭な機械に
はく離が最初に生じるまでの総回転数が「転がり疲れ寿命」です。
軸受はどんなに理想的な状態で運用されても、繰り返し応力により機械疲労で寿命を迎えます。
これが広義の軸受疲労寿命であり、転がり軸受メーカ各社のカタログでも説明されています。
では寿命を迎えるとどんな症状が起こるのでしょうか。
軸受の内外輪または転動体に、最初にフレーキング(はく離)が生じるまでの総回転数が転がり疲労寿命です。
つまり、これが“大往生”した軸受で起こる現象です。
では、その他の損傷は、何が原因で発生するのでしょうか?
軸受故障原因は一様ではありませんが、電動機などにおいては、その支配的要因が「潤滑の質が維持できないこと」にあると言われます。
機械保全・電気保全異物は外から入るとは限らないインバータモータは軸受電流が流れることでグリース劣化が起きていることをご存じでしょうか?
潤滑が劣化し潤滑寿命を迎えれば、油膜ができにくくなり、軸受の早期損傷(故障)を発生させます。
外から侵入する異物もありますが、インバータモータは潤滑に電気が流れ劣化することがあるのです。
コンディションモニタリング最前線
振動解析と軸電圧測定で強靭な機械に
「予知保全」と「プロアクティブ保全」
ここ数年、数多くの軸受メーカやセンサメーカがしのぎを削って、優れた振動解析技術を提案しています。
振動解析は、軸受損傷が始まるといち早く異常検知できる点がとても優れています。
そのため、軸受から異音や発熱が起こる前に早期発見できる予知保全技術です。
一方、寿命でなく“故障”で軸受損傷しているのであれば、振動解析の導入だけでは問題解決にならず、機械や設備の信頼性向上につながりません。
生産労働人口が減少する昨今、故障原因を排除するプロアクティブ保全の導入が、ますます重要になってきています。
潤滑劣化の潜在性を見る軸電圧測定
インバータモータの軸電圧測定は、グリースなど潤滑の油膜で絶縁破壊が起こることで発生するEDM放電が起きていないか、それによる潤滑劣化が進行していないかを確認することができます。
つまり、軸電圧測定により、軸受故障の多くの原因である潤滑劣化の潜在性を見える化できるのです。
油膜ができなければ故障するEDM放電が起こるとグリースが黒く焦げ、鉄粉濃度が上昇することがわかっています。
黒く焼け焦げ鉄粉混じりの潤滑では軸受の早期損傷が起こり、電食と認識できるリッジマーク以外の原因になっている可能性も考えられるのです。
潤滑劣化が進み油膜形成が阻まれれば、軸受インピーダンスが小さくなり軸電圧の振幅も小さくなる傾向があります。
そのため、軸電圧の高い・低いではなく、オシロスコープで軸電圧波形測定を行い、軸電位の変動を確認することがとても重要になります。
このカタログについて
| ドキュメント名 | 改善事例集Vol.2 「予知保全」と「プロアクティブ保全」 |
|---|---|
| ドキュメント種別 | 製品カタログ |
| ファイルサイズ | 1.8Mb |
| 取り扱い企業 | 福田交易株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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