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7つの主な晶析メカニズム

ホワイトペーパー

この実践ガイドでは、晶析プロセスに影響する可能性のある7つの隠れたメカニズムと、それらを制御する戦略について説明します。

7つの主な晶析メカニズム
・核形成
・成長
・オイルアウト
・凝集
・破壊
・種晶添加
・多形転移

これらのメカニズムはよく同時に発生し、効果的な晶析の設計を難しくします。メカニズムを理解しない状態では、試行錯誤によってプロセスパラメータを調整し、収率、純度、結晶粒度を最適化する必要があります。晶析の中でどのメカニズムが発生するかを理解することで、目的の特性を持つ結晶プロダクトを得るための戦略を展開できます。

このカタログについて

ドキュメント名 7つの主な晶析メカニズム
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 メトラー・トレド株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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サンプリングの間隙に隠れた 7つの晶析メカニズム 著者: Des O'Grady PhD(メトラー・トレド社) 晶析工程開発成功の鍵は、結晶を目標の純度と収率で生成させるとともに、スムーズな分離・ ろ過・乾燥を可能とする、プロセスパラメータの選択にかかっています。プロセスパラメータと は、冷却速度や溶媒組成、撹拌速度などであり、晶析がどのように進行するかをダイレクトに左 右します。このため開発担当者には、パラメータが晶析結果にどのように影響するかを解明す るという職務が課せられます。従来、過去の経験に基づいてパラメータを決め、晶析結果をオ フラインの粒度分布測定器や XRPD、顕微鏡で念入りに評価するという手法が取られていま した。しかしそのような手法は、選択したプロセスパラメータによって方向づけられた複数の 晶析メカニズムが、相互に依存しながら連続的に発生し最終結晶を決定づけるという、過程を 知ることから目をそむけています。 結晶の核発生・成長・相分離・破砕・凝集・結晶転移などの晶析メカニズムは単独または同時 に発生し、各メカニズムへのプロセスパラメータの影響はそれぞれ異なります。複数の晶析メ カニズムが重複して発生すると、プロセスパラメータの真の役割は不明のままとなり、このよう な晶析の設計はことさら難しくなります。晶析メカニズムを無視してプロセスを検討すれば、最 適な収率や純度・粒度分布を得るために、トライアンドエラーを繰り返すことになるでしょう。 検討は長期化し、良好な分離・ろ過・乾燥が行える結晶を得るのは極めて難しくなります。 この技術ガイドでは、主な晶析メカニズムについて説明し、それらを最適化するための戦略を 解説します。 1. 核発生 2. 成長 3. オイルアウト 4. 凝集 5. 破砕 6. 種晶添加 7. 結晶転移 Guide
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1 一次核発生と二次核発生 核発生とは 過飽和溶液中で溶質分子が集まり、ある大きさに達した時に核発生が生じ ます。溶液のみの状態から自発的に起きるのが一次核発生であり、結晶が すでに存在している状態から起きるのが二次核発生です。核発生が重要 なのは、そこで発生した核の数と大きさが、たいていは晶析結果の支配的 要因となるからです。核発生速度が速いと大量の微小結晶ができ、二峰性 の粒度分布となることで、製品の分離性・ろ過性や、その後の処理に悪影 響を及ぼします。 核発生の制御法 核発生速度は晶析する分子に依存しますが、溶媒の種類・過飽和度の制 代表的資料 御・不純物・撹拌条件などによって、ある程度変えることができます。 Jaroslav Nývlt, Kinetics of nucleation in solutions, 一次核発生を制御する一般的な手法が、種晶添加です。種晶添加を適切 Journal of Crystal Growth, Volumes 3–4, 1968. に行えば、常に同じ条件下で核発生を促し、核発生速度を制御することで きます。 主な制御方針 一次核発生を一定にし、二次 二次核発生は晶析中の過飽和度がある限界値を超えてしまった時に起き 核発生を抑制する やすい現象です。例えば収率を向上しようとして、冷却速度や貧溶媒添加 解析不足の弊害 速度を上げすぎた場合などに起こります。二次核発生を解析し制御するこ 安定しない一次核発生と とは大変重要であり、なぜならばスケールアップで実験室よりも精度の悪 予期せぬ二次核発生により い制御環境に移行した時、実験室では発生しなかった二次核発生が突如 結晶粒度分布がばらつき、 発生する可能性があるからです。 後工程に問題が起きる 二次核発生メカニズムのインプロセス観察 100 µm 100 µm 100 µm 種晶から成長した大きな結晶 過剰な過飽和で二次核発生 分離工程での二峰性粒度分布 晶析メカニズムの実例と 解説の動画はこちらから 2 7 Crystallization Mechanisms Hiding Between Samples METTLER TOLEDO Guide
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2 成長 結晶成長とは 発生した結晶の核には結晶面があり、各結晶面の成長速度は複数の要因 によって決まります。外的要因としては、過飽和度・不純物・撹拌速度があ げられます。内的要因には、結晶構造・結合・結晶面の荒れがあります。過 飽和度は核発生と成長、両方のドライビングフォースですので、両速度の バランスが取れた晶析条件を見つけることは簡単ではありません。核発生 と結晶成長は同時に進行することが多く、事態を複雑にしています。また、 結晶のモルフォロジーは各結晶面の成長速度によって決まるため、最終結 晶の粒度分布だけではなく、形状にも影響するという点でも、成長メカニ ズムは重要です。 代表的資料 結晶成長の制御法 K.A. Jackson, Crystal Growth 有機物の晶析では、低い過飽和度で晶析することによって、核発生よりも Kinetics, Material Science 成長が優位となります。冷却や貧溶媒添加の速度を遅くし過飽和度を下げ and Engineering, Volume 65, Issue 1, July 1984. るのが、成長を促す単純な手法です。種晶添加は、過飽和度が低い時点で 晶析を開始できること、また溶液中にある結晶の表面積を増やして溶質分 主な制御方針 子のマストランスファーを向上させ、結晶成長を促すという意味で効果的 核発生より成長を優位とし、 です。 結晶を大きくする 解析不足の弊害 結晶成長を促すために晶析を緩慢に行うことは、長いサイクルタイムとい 目標粒度の未達成や、長すぎ うデメリットを伴います。そこで冷却を段階分けし、晶析初期は緩慢に、後 るサイクルタイム 期は急速に冷却するという手法の効果が認められています。また温度を上 げて微小結晶のみを選択的に溶かし、溶け残った大きな結晶を温度を下 げて成長させることを繰り返す、温度サイクル法も結晶成長に有用です。 成長メカニズムのインプロセス観察 100 µm 100 µm 100 µm 細い針状結晶が核発生 二方向へ結晶成長 成長が優位で大きくなった結晶 晶析メカニズムの実例と 解説の動画はこちらから 7 Crystallization Mechanisms 3 Hiding Between Samples METTLER TOLEDO
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3 オイルアウト オイルアウトとは 複雑な分子の晶析でよく見られるのが、核発生前に液相が形成される現 象です。液液相分離、またはオイルアウトと呼ばれ、固液相図における混和 性の差が原因です。オイルアウトはプロセスに多くの問題をもたらします。 油滴には不純物が溶解しやすく、それが結晶に取り込まれ、品質を低下さ せます。スケールアップにおいては撹拌速度の違いで液滴の大きさが変わ り、結晶の核発生速度と成長速度を変えてしまいます。またオイルアウトの 発生した晶析では、晶析槽の壁面に洗浄の難しい残留物が堆積しやすく、 分離と工程作業を困難にします。 オイルアウトの制御法 代表的資料 オイルアウトを避けるためには、固液相図をきちんと把握し、この現象を Kiesow et al., Experimental 極力避けるためのプロセス条件を選択することが重要です。オイルアウト investigation of oiling は過飽和度の上昇中に発生することがほとんどですので、冷却速度の抑制 out during crystallization process, Journal of Crystal や種晶添加の導入でオイルアウトを回避できることが多々あります。 Growth, Volume 310, Issue 18, 2008. 特にオイルアウトが発生しやすいのが、反応晶析と貧溶媒晶析です。槽内 の貧溶媒添加箇所の撹拌が悪いと、局所的に過飽和度が急上昇し、オイル 主な制御方針 アウトを招きます。貧溶媒または反応試薬がすみやかに混合される、十分 相図を作成しオイルアウトの起 きる条件を避ける な撹拌力の確保が重要です。オイルアウトを解決できず、相図を精査した 結果、飽和溶液を貧溶媒に加える、リバース添加晶析を採用し、オイルアウ 解析不足の弊害 トが起きる可能性を完全に排除した例もあります。 不純物を除去しきれない・ス ケールアップで粒度を制御で きない・分離性が悪い・洗浄 が難しい オイルアウトメカニズムのインプロセス観察 100 µm 100 µm 100 µm 油滴生成が先行 目的物質が結晶化 急速な成長で凝集晶が生成 晶析メカニズムの実例と 解説の動画はこちらから 4 7 Crystallization Mechanisms Hiding Between Samples METTLER TOLEDO Guide
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4 凝集 凝集とは 凝集は粒子同士が寄り集まって結合し、結晶の凝集体が形成されるメカ ニズムです。凝集は晶析法開発において、いくつかの理由で問題の原因と なります。すなわち不純物が凝集体にトラップされ品質に問題が発生した り、結晶成長の場となる表面積が減って二次核発生がランダムに起き、最 終結晶の粒度分布がばらついたりします。また凝集結晶は分離、乾燥する と、もろい結晶になりやすく、下流の工程で破砕されて結晶粒度分布がば らつきます。 凝集の制御法 凝集には多くの因子が影響しますが、主なものは過飽和度・溶媒の種類・ 代表的資料 撹拌です。特に撹拌は、凝集の促進にも抑制にも働く因子として検討が必 Brunsteiner et al., Toward 要です。撹拌速度を上げると粒子が衝突する速度が上がり、凝集を促進す a Molecular Understanding る一方、生成した凝集体を破壊して凝集を抑制する効果もあります。凝集 of Crystal Agglomeration, Crystal Growth & Design, の問題が発生しやすいのが反応晶析であり、反応の進行に伴って本質的 2005, 5 (1), pp 3–16. に過飽和度が高くなりやすいのが原因です。 主な制御方針 多くの場合、晶析工程開発の初期段階で慎重に溶媒を選択することが功 溶媒の選択・パラメータの制 を奏します。様々な溶媒をスクリーニングし、結晶の凝集状態を評価してお 御で凝集を回避 けば、溶媒の変更が難しい開発後期に悩まずに済むでしょう。 解析不足の弊害 不純物の残留 後工程で結晶が砕ける 凝集メカニズムのインプロセス観察 100 µm 100 µm 100 µm 一次核発生 初期の凝集 進行し続ける凝集 晶析メカニズムの実例と 解説の動画はこちらから 7 Crystallization Mechanisms 5 Hiding Between Samples METTLER TOLEDO
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5 破砕 破砕とは 破砕は、結晶と結晶の相互作用・結晶と撹拌翼の相互作用・結晶と反応器 の相互作用によって結晶に機械的応力が加えられた時に発生します。破砕 はマイナスの効果をもたらすことが多く、結晶粒度分布のばらつき、二峰 性の原因となります。けれども成長速度が速すぎる結晶では、意図的な湿 式粉砕で結晶を破砕し、粒度分布を制御する手段として利用されることも あります。湿式粉砕を温度サイクル法と組み合わせると選択肢が広がり、 最終結晶の粒度分布を小さく制御する方策となります。 粉砕の制御法 破砕または摩耗が起きているかどうかの知見は、晶析の撹拌速度を決め 代表的資料 る際の重要な要素です。多くの場合、撹拌速度を上げれば、ヒートトランス Fasoli & Conti, Crystal ファーとマストランスファーが安定します。 しかし結晶衝突速度が大きす breakage in a mixed suspension crystallizer, ぎると、破砕と摩耗の可能性が高まり、結晶の粒度分布がばらつく原因と Volume 8, Issue8, 1973, なりえます。 Pages 931-946. 湿式粉砕においては、付加的なエネルギーの投入および温度上昇に 主な制御方針 よって、成分の分解や多形転移が起きないよう、過粉砕に注意が必要 望ましくない破砕を回避 です。適切な湿式粉砕のパラメータを選択すれば、短時間に十分な破砕メ 意図的な湿式粉砕の実施と 制御 カニズムを働かせることができます。温度サイクル法と湿式粉砕の組み合 わせでは、温度サイクルの温度に上限と下限を設け、回数も注意深く選択 解析不足の弊害 することが重要で、結果として温度サイクルが湿式粉砕を補完し、良好な 二峰性の粒度分布となり、分 粒度分布と形状分布を達成できます。 離・ろ過・乾燥が困難になる 過粉砕による多形転移の可 能性 粉砕メカニズムのインプロセス観察 100 µm 100 µm 100 µm 晶析後の結晶 湿式粉砕開始直後 湿式粉砕終了時 晶析メカニズムの実例と 解説の動画はこちらから 6 7 Crystallization Mechanisms Hiding Between Samples METTLER TOLEDO Guide
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6 種晶添加 種晶添加とは 過飽和溶液に外部から結晶を投入することによって晶析を開始させる操 作を種晶添加と言います。種晶添加によって核発生温度の制御、つまり晶 析開始時の過飽和度を制御できます。特にスケールアップを行った場合も 含め、晶析工程を一定に保つ手段であるとともに、核発生速度および成長 速度の制御方法でもあります。また、種晶添加は、必要な結晶形を得るた めの戦略としてもよく用いられており、目的の多形を相図の一定の領域で 選択的に結晶化するために行われます。 種晶添加の制御法 種晶添加の主なパラメータは、種晶添加量(質量)と種晶粒度です。種晶の 代表的資料 表面積の増加(微小結晶の大量添加)は、結晶成長の場を与えることで、核 Paul et al., Organic 発生よりも成長を優位にします。ただし回避すべき異常な結晶成長には注 Crystallization Processes, 意が必要です。種晶用の結晶を粉砕すると(粒度を小さくし表面積を増や Powder Technology, Volume 150, Issue 2, 2005. すため)、結晶表面が荒れてしまいます。その結果、樹枝状結晶つまり種晶 を中心としてあらゆる方向に針状結晶が成長したものができやすくなりま 主な制御方針 す。樹枝状結晶は非常にもろく、これが砕けると大量の二次核発生をもた 種晶添加法の最適化で所望の らします。 結晶特性を得る 解析不足の弊害 種晶添加操作の導入には多くの利点がある一方、マニュアル操作が付加 晶析性能のばらつき・実質的 されることのマイナス面にも配慮が必要です。乾燥粉末のハンドリングは な利益が不明確なまま危険作 危険なことも多く、本当に種晶添加の効果があるかどうかを、導入前にもう 業だけが増加 一度確認することです。 種晶メカニズムのインプロセス観察 100 µm 100 µm 100 µm 種晶の結晶 樹枝状結晶 樹枝状結晶が破砕され二峰性の粒度分布 が発生 晶析メカニズムの実例と 解説の動画はこちらから 7 Crystallization Mechanisms 7 Hiding Between Samples METTLER TOLEDO
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7 結晶転移 結晶転移とは 多形性とは、ある固体材料が複数の形態または結晶構造をとりえる可能性 のことです。正しい結晶多形で製品化することは、結晶が製品として正しく 機能するための絶対条件です。結晶構造の違いは製品の機能を著しく変 えてしまうことがありますので、慎重に制御し厳しく規制されなければなり ません。結晶形が異なると結晶の形状も異なることが多く、晶析の後の分 離性・ろ過性・乾燥しやすさにも大きく影響します。 結晶転移の制御法 多形スクリーニングで複数の条件を試し、多形が生成する溶質と溶媒の組 み合わせをつきとめます。多形スクリーニングで結晶多形ができるプロセ 代表的資料 ス条件を明確にしておけば、この情報を生かしてプロセス開発を始めるこ Kitamura, Strategies for とができます。適切な溶媒を用い、過飽和度を注意深く制御することで、晶 Control of Crystallization of 析中の多形転移を完全に防げることもあります。しかし他方では、意図的 Polymorphs, CrystEngComm, 2009, 11, 949-964. か不可抗力かは別として、まずは不安定な多形を結晶化し、その後目的と する安定形へ転移させることもあります。このような多形転移現象はきち 主な制御方針 んと解明しておき、転移が効率的かつ堅牢に起きるプロセスパラメータを 相図による方向づけで目的の 選択しなければなりません。スケールアップするとプロセス条件の制御 多形を生成 精度は落ちるのが普通であり、思いがけない多形が発生することがあり 解析不足の弊害 ます。プロセス開発におけるデザインスペース内を完全に把握しておくこ パッチの失敗 とで、このような問題に対処し、製造で問題が起きる可能性を最小限に抑 規制の問題 えることができます。 分離性の悪さ 結晶多形転移メカニズムのインプロセス観察 100 µm 100 µm 100 µm 準安定形の結晶化 転移のはじまり 転移終了間際だが準安定形が残留 晶析メカニズムの実例と 解説の動画はこちらから 8 7 Crystallization Mechanisms Hiding Between Samples METTLER TOLEDO Guide
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8 晶析メカニズムの確認法 目視 目視は科学研究の基本であり、晶析槽内で何が起きているかを簡単に確 認する方法です。溶液が濁り始めれば晶析が起きているとわかるでしょう。 ただし個々の時点でどのような晶析メカニズムが起きているかは、ほとん どわかりません。 オフライン顕微鏡 光学顕微鏡は標準的な実験機器であり、走査型電子顕微鏡(SEM)のよう な高性能な選択肢もあります。 オフラインでの顕微鏡観察により、高倍率 の美しい結晶画像が得られ、結晶の大きさ、形状、構造の有用な情報が得 られます。サンプリングがうまく行われていれば、オフライン画像からも晶 析メカニズムに関する情報が得られます。 例えば、凝集体や二峰性を持つ 粒度のばらつきが観察されれば、凝集や二次核発生が起きたことがわか るかもしれません。しかし、サンプリングで結晶に機械的な力を加えたり、 試料調整で温度を変えたりしないよう注意が必要です。サンプリングとオ フライン観察による晶析メカニズム研究の問題点は、同時進行しているか もしれない相互に依存する複数の晶析メカニズムを、完全に解明できる ほどの頻度で行うのが難しいことです。 リアルタイム顕微鏡 リアルタイム顕微鏡はプロセス中でダイレクトに結晶・結晶集合体の高解 像度画像を撮影する技術です。結晶の核発生・成長・凝集・多形転移など、 晶析メカニズムの疑いようのない証拠を連続画像として映し出します。プ ロセス内をそのまま撮影した画像は、自動的かつ定期的に保存され、非常 に信頼性の高いデータとなります。さて、多くのPAT技術は専門家向けで、 設置に時間と労力を要してきました。設定とキャリブレーションは面倒で、 解析も難しいのではとお疑いでしょう。使用方法が難しければ、結局使い こなせずに情報に乏しい従来法に戻ってしまいます。 晶析に便利なPAT技術とは? 詳しくは次ページをご覧ください。 7 Crystallization Mechanisms 9 Hiding Between Samples METTLER TOLEDO
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ParticleView 晶析を簡単に解析できるPAT技術 リアルタイム顕微鏡 ParticleViewは、晶析メカニズムを簡単に確認できるPAT装置。 晶析工程の難題を解決するためのベストパートナーです。 www.mt.com/ParticleView 本体はプローブのみ プラグアンドプレイ接続 実験スペースを 数秒で実験準備完了 有効活用 ワンクリックでリプレイ プロセスパラメータの統合 連続画像再生で 全体像をつかめるプロセス 晶析メカニズム解析 データ統合機能 µm 簡単解析 100 RB(I 粒度・形状・スラリー濃度の変化を感度 よく捉える画像解析数値)と共に温度などの パラメータをプロット。重要なポイントの連続 画像を再生することで、晶析メカニズムの確 認をスムーズに行えます。 1.5 60 °C 50 1.0 40 30 RBI 0.5 20 10 0 0 0 Seeding Crystallization 8 12 Isolation 16 Time (hr) 100 µm 晶析を簡単に解析できる PAT技術はこちらから www.mt.com/ParticleView 10 7 Crystallization Mechanisms Hiding Between Samples METTLER TOLEDO Guide Relative Backscatter Index Temperature (°C)
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参考文献 1. Jaroslav Nývlt, Kinetics of nucleation in solutions, Journal of Crystal Growth, Volumes 3–4, 1968. 2. K.A. Jackson, Crystal Growth Kinetics, Material Science and Engineering, Volume 65, Issue 1, July 1984. 3. Kiesow et al., Experimental investigation of oiling out during crystallization process, Journal of Crystal Growth, Volume 310, Issue 18, 2008. 4. Brunsteiner et al., Toward a Molecular Understanding of Crystal Agglomeration, Crystal Growth & Design, 2005, 5 (1), pp 3–16. 5. Fasoli & Conti, Crystal breakage in a mixed suspension crystallizer, Volume 8, Issue8, 1973, Pages 931- 946. 6. Paul et al., Organic Crystallization Processes, Powder Technology, Volume 150, Issue 2, 2005. 7. Kitamura, Strategies for Control of Crystallization of Polymorphs, CrystEngComm, 2009,11, 949-964. www.mt.com/ParticleView For more information メトラー・トレド株式会社 オートケム事業部 TEL: 03-5815-5515 FAX: 03-5815-5525 © 10/2018 Mettler-Toledo K.K., Printed in Japan ●製品の仕様・価格は予告なく変更することがありますので、あらかじめご了承ください Guide