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Flash DSC 2+ - 超高速DSC測定装置

製品カタログ

Flash DSC 2+は、高速DSC測定に革新をもたらします。この機器では、これまで不可能だった再組織化プロセスの分析を行うことができ、理想的な形で従来のDSCを補完します。

Flash DSC 2+ の特長とメリット
• 超高速冷却測定 – サンプルの構造制御が可能になります。
• 超高速昇温測定 – 測定時間を短縮し、サンプルの再組織化を回避します。
• 高感度測定 – 低速昇温により、従来のDSC測定結果と比較ができます。
• 幅広い測定温度範囲 – -90 から1000 ℃まで測定可能
• 高機能性と使いやすい人間工学的なデザイン – サンプルの準備がすばやく簡単に行えます。
• 無酸素雰囲気での測定 – サンプルを酸化から防ぐことが可能
• 高速応答センサ – 高速反応や結晶化プロセスの速度論分析が可能

Flash DSC 2+の応用例
• 物質の構造形成プロセスの詳細な分析
• 高速結晶化過程の実測定
• 高速反応の速度論解析
• 製造工程と類似の条件下での添加剤の影響の調査
• 短時間での材料特性の理解
• 微量のサンプルでの分析
• シミュレーション結果の確認

仕様
温度範囲
空冷 RT to 1000 °C(UFH 1)/ RT to 500 °C(UFS 1)
イントラクーラー(1 stage)–35 to 1000 °C(UFH 1)/ –35 to 450 °C(UFS 1)
イントラクーラー(2 stage)–95 to 1000 °C(UFH 1)/ –95 to 420 °C(UFS 1)

サンプリング間隔
10 kHz(10,000ポイント毎秒)以上

冷却速度(通常)
UFH 1: 6 to 2'400'000 K/min(or 0.1 to 40'000 K/s)
UFS 1: 6 to 240'000 K/min(or 0.1 to 4'000 K/s)

昇温速度(通常)
UFH 1: 6 to 3'000'000 K/min(or 0.1 to 50'000 K/s)
UFS 1: 6 to 2'400'000 K/min(or 0.1 to 40'000 K/s)

センサ膜材質:シリコン/窒化ケイ素( UFH 1)/窒化ケイ素(UFS 1)
熱電対の数: 4(UFH 1), 16(UFS 1)

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このカタログについて

ドキュメント名 Flash DSC 2+ - 超高速DSC測定装置
ドキュメント種別 製品カタログ
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取り扱い企業 メトラー・トレド株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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Flash DSC 2+ STARe システム Innovative Technology Versatile Modularity Swiss Quality 超高速DSC測定装置 Gain New Insight into Materials Thermal Analysis Excellence
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飛躍的な技術革新 熱分析における新たな領域の開拓 DSC(示差走査熱量測定)は熱分析において最も重要な分析手法のひとつです。 温度あるいは時間の関数として、サンプルからの、またはサンプルへの熱流束を 測定することで、相転移や化学反応を定量的に評価することができます。 Flash DSC 2+はDSC測定に革命をもたらします。従来のDSCでは測定できなかった再組織化過程の 測定を可能にしたまさに理想的な装置です。また、昇温速度は7桁以上の広範囲にわたります。 Flash DSC 2+ の特長とメリット • 超高速冷却測定 – サンプルの構造制御が可能になります。 • 超高速昇温測定 – 測定時間を短縮し、サンプルの再組織化を回避します。 • 高感度測定 – 低速昇温により、従来のDSC測定結果と比較ができます。 • 幅広い測定温度範囲 – -90 から1000 ℃まで測定可能 • 高機能性と使いやすい人間工学的なデザイン – サンプルの準備がすばやく簡単に行えます。 • 無酸素雰囲気での測定 – サンプルを酸化から防ぐことが可能 • 高速応答センサ – 高速反応や結晶化プロセスの速度論分析が可能 2 Flash DSC Excellence
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Flash DSC 2+ の心臓部にはMEMSテクノロジーに基づくチップセンサが搭載されています。 3
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MEMSセンサテクノロジー 卓越した昇降温速度 従来のDSC測定では、センサを保護するためにサンプルをサンプルパンに入れて測 定します。しかし、サンプルパンの熱容量と熱伝導率は測定に大きな影響を及ぼし ます。一方、Flash DSC 2+ではサンプルをMultiSTARe チップセンサの上に直接セッ トします。動的電力補償回路(特許取得済み)により、速い昇降温速度の測定で あってもノイズは最小限に抑えられます。 標準のMultiSTAR UFS 1 高温のMultiSTAR UFH 1 無酸素状態 センサ センサ 16本の熱電対を有するUFS 1フ 新開発のUFH 1センサは、–95 設定温度範囲が幅広いため、 ルレンジセンサは非常に高い感 ~10 0 0℃までの幅広い設定 さまざまな材料の変化を調べる 度と卓越した温度分解能を有し 温度範囲で測定を行うことが ことができます。その中で、例 ます。また、チップセンサは安定 可能です。約0.2msという非常 えば金属は酸素と反応しますが なセラミック製の基板に取り付 に短い時定数により、それぞれ (特に高温時)、Flash DSC 2+ けられています。 3,000,000K/分と2,400,000K/ は無酸素状態でサンプルの測 分の極めて高速の昇温速度と 定ができるため、このような反 冷却速度を実現しています。 応を防ぐことができます。 4 Flash DSC Excellence
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Flash DSC 2+は電気接続をもつ安定なセラミック基板に搭載された2つの MultiSTARセンサ(UFS1またはUFH1)のいずれかを用いて測定します。 5
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メトラー・トレドのFlash DSC 2+ 最大の正確性を実現 The Flash DSC 2+は、射出成型プロセスの急速冷却中に見られるような 所定構造のサンプルを調製することができます。異なる冷却速度を使用 すると、結晶化挙動やサンプルの構造に影響を与えます。 高速の昇温速度を使用することにより、再組織化のプロセスが発生する時間がなくなる ため、その干渉を受けないで材料を測定することが可能です。Flash DSC 2+は、結晶化 速度の測定にも最適です。 極めて優れた測定感度 改良された時定数 高い再現性 サンプルの測定エリア周辺と 時定数は、高速走査速度と等温 チップセンサに採用された UFS 1センサの基準物質側に8 測定に重要です。時定数が小さ MEMSベースの技術とサンプル 本の熱電対を2組対照的に配置 くなればなるほど、隣接した熱 との優れた熱接触性により、測 することで、非常に優れた柔軟 的事象が簡単に分離できるよう 定曲線の融解エリアに見られる 性が発揮され、さらに、低速の になるからです。UFH 1センサの ような、再現性の高い測定がで 昇温・冷却速度でも高い正確性 時定数は約0.2msで、従来の きます。したがって、別々に調製 で温度を測定することができ DSC装置の時定数の約5000倍 したサンプルの複数の測定曲 ます。 未満です。 線を簡単に比較することができ ます。 6 Swiss Quality
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Flash DSC 2+は従来のDSCを補完した装置で、熱分析による最新の材料 の特性評価や製造プロセスに最適です。 7
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使いやすさは ユーザーの高い評価を獲得 サンプルの準備は装置正面に座って行ないます。まず、センサー上方部にセット したスライドガラス上にサンプルを置き、顕微鏡を用いて適当な大きさにカッ トします。その後、細毛により小片サンプルをセンサにセットします。 サンプルの準備 再使用可能なチップセンサ タッチスクリーン指示計 サンプルの準備には顕微鏡を Flash DSC 2+でもっとも重要 装置の状態を表示する見やすい 用います。また、顕微鏡は小片 なのは、MEMS(Micro-Electro 大型カラータッチスクリーンは、 サンプルをセンサにセットする Mechanical Systems)技術を Flash DSC 2+の正面に配置され 際にも使用します。 ベースとした再使用可能なチッ ています。PCを使わずタッチス プセンサです。サンプルを付着 クリーンから直接、シーケンスや させたままのセンサは1分足ら クエリを個別に追加することも ずで交換可能で、その後付属の できます。 チップセンサボックスで安全に 保管することができます。 8 Swiss Quality
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センサの装着はさらに簡単かつ迅速になり、Flash  DSC 2+のクランピン グ機構を改善したことにより、再現性の高い結果が得られるようになりま した。 9
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効率性 実用性の高いアクセサリ 設定温度範囲が–95~1000℃に拡張されたことで、関連するほとんどの材料がカ バーされるようになりました。Flash DSC 2+は、電気的な閉ループ冷却システムを 備えた冷却装置、イントラクーラーで冷却されます。蒸発した冷却液は、圧縮器と 熱交換器を用いることにより液化します。 チップセンサボックス 標準アクセサリ ミクロトーム (オプション) チップセンサは単一サンプルの 小片サンプルを準備するため、 ミクロトームはサンプルから10 みで使用可能なので、今後、同じ 次のツールが標準品として装置 ~30μmの薄膜を切り出すのに サンプルを測定する機会がある に同梱されています。 有用です。例えば、ポリマーの小 ようであれば、保存しておくこと • 替え刃付きナイフ さな粒から薄膜サンプルを切り をお勧めします。 • ランセット型ニードル 出すときに使用できます。その • ピンセット 後、ナイフを使って小片サンプ センサボックス(青): UFS 1/ST センサ • 革布 ルを切り出します。 センサボックス(赤): UFH 1/HT センサ • 研磨石 • ブラシ • 細毛用ホルダー • ガラスサポート • 温度校正用インジウム 10 Options and Accessories
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ねじ留め式の蓋で無酸素状態にすることができます。このねじで測定用セルを 堅く締め、周囲とのあらゆるガス交換を防ぎます。 11
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卓越したパフォーマンス 新たな知見を導きます 測定原理: 超高速昇温および冷却は、サンプルが十分に小さく、かつセンサとの 熱接触が良好なときにのみ可能となります。1回目の昇温測定でサンプルを溶融 し、センサとの熱接触が向上します。その後、冷却速度に応じてサンプルは異な る構造制御を受けます。 再び高速昇温した場合、サンプル 温度 には再組織化するための時間が ありません。したがって、昇温ある いは冷却速度をコントロールする サンプル準備 サンプル構造形成 分析 ことにより、さまざまな構造を有 するサンプルを実験中に準備で きます。 時間 融解により、 冷却速度に応じてサン 高速昇温は再組織化 サンプルの熱 プルは異なる構造を形 を伴わないため、その 接触が良くな 成する。 ままの状態のサンプル る。 が測定できる。 チップセンサの原理 センサはサンプルおよびレファ   レンス側にそれぞれ2つの熱抵 抗ヒーターを有しており、希望の 温度プログラムでの測定を可能   にします。ヒーターには補償制御  (動的補償回路)用の小型のもの が使用されています。    また、サンプル側とレファレンス 側にそれぞれ配置された8対の 断面図 熱電対により、ヒートフローが測 1. セラミックプレート 4 抵抗ヒーター 定されます。 2. シリコンサポート 5. アルミニウムコート 3. コネクター部 6. 熱電対 12 Innovation
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PET (polyethylene terephthalate)の再組織化 多くのポリマーは加熱したとき、DSCカーブに再組織化 が現れます。そのため、もともとサンプル中に存在する 結晶の融解する様子をDSCカーブは示していません。こ のことは例えば170℃で5分間等温結晶化したPETを測 定した場合にも確認できます。 0.2 K/s から1000 K/sの昇温速度で得られたDSCカーブ には2つのピークがみられます。低温側のピークは、昇 温速度が増加するとともに高温側にシフトします(青色 の矢印)。このピークはもともとサンプルに含まれる結 晶の融解によって生じます。 一方、高温側のピークは、昇温速度とともに低温側にシ フトします(赤色の矢印)。このピークは、測定中に再配 均一な温度分布 列した結晶の融解によるものです。1000 K/sではピーク チップセンサのサンプル部は二酸化ケイ素と窒化ケイ素で構 は一つだけ観測されており、これより高い昇温速度で 成され、その表面は厚み約2.1μmのアルミニウムの薄膜で覆 は実質上、再配列は起こりません。 われています。これによりセンサ全域での均一な温度分布が 得られます。これに伴ってセンサ時定数は基本的にサンプルに 依存します。 13
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これからの新たな材料に対し Flash DSCは答えを見出します Flash DSC 2+ はサンプルのキャラクタリゼーションと製造工程の最適化 に理想的なツールです。 ポリマーや結晶多形、多くの複合材料は準安定な構造を取り、その構造は製造時の冷却 条件に依存します。また、それらは加熱により不安定相の融解、再結晶化のような再組 織化を生じることがあります。こうした再組織化の影響は、昇温速度を変えて測定する ことによって明らかになります。 Flash DSCでは、急速冷却時に生じる構造とその制御をシミュレートすることができま す。これにより製造工程と類似の条件で添加剤の影響を検討することができます。ま た、等温測定により、転移の速度や数秒で終了する反応についての情報が得られます。 高速測定は、分析時間だけでなく材料開発に必要な時間も節約します。また、得られた データは実プロセスのシミュレーションや製造条件の最適化、製品の品質改善にも応 用することができます。 Flash DSC 2+の応用例 • 物質の構造形成プロセスの詳細な分析 • 高速結晶化過程の実測定 • 高速反応の速度論解析 • 製造工程と類似の条件下での添加剤の影響の調査 • 短時間での材料特性の理解 • 微量のサンプルでの分析 • シミュレーション結果の確認 14 Wide Variety of Applications
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Flash DSC 2+は幅広い温度範囲に対応しているため、さまざまな金属合 金の特性評価をすることが可能です。 15
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異なる昇温速度条件でのインジウムの融解温度 上の図は0.05 ~10000 K/sの異なる昇温速度でインジウム(1μg)の融解温度を測定した結果です。 センサとサンプルとの間で生じる熱伝導の遅れは、観測される融解温度(オンセット温度、Ton)に影響を 及ぼし、従来のDSCではこの遅れの補正がない場合、測定しなくとも昇温速度とともに、このオンセット温 度が直線的に増加することが知られています。同じことがFlash DSC 2+についても当てはまります。幅広い 昇温速度を表示するため図は横軸を対数で表示していますが、青色のカーブが示す通り、オンセット温度 は直線的に増加することがわかります。 非晶質アイソタクチックポリプロピレンの再組織化 非晶質のアイソタクチックポリプロピレン(iPP)は、溶融サンプルを4000 K/sの冷却速度で高速冷却するこ とにより得られました。これを5 K/s ~ 30000 K/s の昇温速度で加熱したものが左の図です。0℃付近にガ ラス転移があり、その後、冷結晶化による発熱ピークが続きます。 昇温速度が高くなるにつれ、冷結晶化による発熱ピーク温度は高温側にシフトし、融解ピークは低温側に シフトます。 1000 K/s以上の昇温速度では、ピーク面積は実質的にかなり小さくなっており、30000 K/s以上ではもはや 再組織化は起こりません。 16 Wide Variety of Applications
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異なる速度で冷却したAu系バルク金属ガラス(BMG)合金の加熱曲線 これは、6000 K/秒の昇温速度で測定したAu系BMG合金の加熱曲線の図です。サンプルは、UFH 1センサ を装備したFlash DSC 2+を使用し、20,000K/秒、500K/秒、10K/秒で事前に冷却しました。10K/秒で冷却 すると、サンプルは完全に結晶質になります。この加熱曲線から、300~350℃の間で融解が起きたことが 分かります。BMG合金は、500K/秒と20,000K/秒で冷却すると非晶質になります。昇温中にサンプルはわ ずかに結晶化していることから、これは小さな融解ピークであることが明らかです。挿入図で結晶化と融 解イベントを拡大しています。 BMG合金の等温結晶化 UFS 1センサの時定数が短いため、ミリ秒の時間スケールで等温測定が可能です。この例は、ガラス状態か ら30,000K/秒で急速に加熱した後の等温結晶化曲線を示しています。各曲線に結晶化温度が与えられて います。結晶化ピークの最大値は、約40msと160msの間にあります。 17
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Pt系BMGの冷却曲線 この図は700~50℃にさまざまな速度で冷却したPt系合金の冷却曲線です。3,000K/秒で測定した曲線を10 で割り、同じ図の中にすべてのヒートフロー曲線を表示しました。比較的低い冷却速度(20K/秒と100K/秒) で2つの結晶化ピークが見られます。サンプルを3,000K/秒で冷却すると、非晶質ガラスが形成されます。 結晶化、固相-固相の相転移、Pt系合金の融解 事前に合金の融解物から合金を1K/秒と50K/秒で冷却しました。ゆっくりと冷却した合金(1K/秒)を 1,000K/秒で昇温すると、580℃より低い温度で固相-固相の相転移が見られます。温度を上げるとサンプ ルは融解します。高速で冷却したサンプル(50K/秒)は、もともと非晶質です。赤い曲線は、約250℃のガ ラス転移に続いて結晶化が起きたことを示しています。 18 Wide Variety of Applications
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PAのナノフィラー ポリアミド 11(PA 11)の特性は、ナノ粒子充填剤の添加と、実際のプロセス条 件(例えば歯車の射出成型の条件)を再現する適切な冷却速度の使用により、 最適化することができます。このような冷却速度の時、ナノフィラーは結晶のサ イズに影響を及ぼし、そのため機械的特性にも影響が現れます。0%、2.5%、 5%のナノフィラーを含む 3つの PA 11サンプルを、Flash DSCと従来の DSC装 置を使い、異なる冷却速度で測定しました。低速の冷却速度での結晶化エンタ ルピーは最大 50K/秒まで一定していますが、高速の冷却速度では小さい値に なっています。200K/秒では、サンプルは結晶化しません。ピーク温度を冷却 速度の関数として表示すると、ナノフィルターの冷却速度の影響が明らかになります。0.3K/秒(20K/分)より 遅い冷却速度では、充填されていない PA 11が最初に結晶化します。対照的に高速の冷却速度では、プロセ スのような特性条件の結晶化は、ナノ粒子が存在することで加速します。 アイソタクチックポリプロピレン(iPP)の等温結晶化 アイソタクチックポリプロピレン(iPP)の等温結晶化挙動を観察するため、はじ めに溶融物を2000 K/sの速度で110 ℃ ~–20 ℃まで冷却しました。 冷却時に構造形成は起こりませんが、その後、等温条件で測定すると、0.05~ 10秒の間に結晶化による発熱ピークが観測されました。ピークトップ時間の 逆数は結晶化の速度の目安となりますが、それを結晶化温度の関数として表 示したものが上(右)の図です。20℃付近でカーブは最大となり、この温度範 囲で結晶化は非常に迅速に進むことを示しています。これは均一な核形成を 伴う結晶化に起因します。また、このカーブは温度とともに結晶化速度が変 化することを示しています。 19
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シンプルで直観的な操作 簡単かつ効率的で安全 STAReソフトウェアが拡張され、特定の実験を目的としたFlash DSC 2+ 装置の準備、高度な分析のためのメソッド開発、結果の柔軟な評価の実 施をサポートする機能が新たに追加されました。複雑な測定プログラム は数分以内で設定ができ、さまざまなツールで測定曲線を正確かつ効率 的に評価することができます。 グラフィカルなメソッド作成 エクスペリメントウィンドウ フレキシブルな解析ツール STARe ソフトウェアのメソッド メソッドの選択や、特定の実験 基本ソフトウェアに含まれてい ウィンドウから、あらゆる種類の に関するデータの入力をエクス る解析ウィンドウでは数学処理 温度プロファイルを最大200の ペリメントウィンドウから行うこ オプションや、特にFlash DSCの 温度セグメントについてプログ とができます。Flash DSCを使用 ユーザー向けの優れたレイアウ ラムすることができます。Flash した一般的な実験で使うこのよ トプログラムなど、最先端の評 DSC特有の数々の複雑な操作、 うなデータには、新しいセンサ 価ツールが利用できます。他の 例えばループやコンディショナル のコンディショニングや修正手 追随を許さない柔軟性により、 ターミネーションなどは、正確 順などが含まれます。 最先端の評価プロセスで創造 な結果が得られるうまく設計さ 力を発揮できるはずです。 れた実験に貢献します。 20 STARe System