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本書では、計量機器の校正とは何か?の問いにお答えします。さらに、校正と調整の違いについても解説いたします。
天びんの校正と、天びんの調整。 この2つに違いはあるでしょうか?
違いは確かにあります。 しかもその違いは重要です。
天びんの校正と調整は、混同されがちです。違いを理解し、適切な校正ならびに調整を行うことで、正しい計量結果を得ることができます。
最新のホワイトペーパー、「校正とは?調整との違い」(日本語版)では、校正と調整の違いについて解説しています。加えて、以下の内容についてもご案内いたします。
• 計量機器の校正が必要な理由
• 許容誤差、計量プロセスにおけるその重要性
• 測定の不確かさ
このカタログについて
ドキュメント名 | 校正とは?調整との違い |
---|---|
ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 1.8Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | メトラー・トレド株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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校正とは?
調整との違い
本書では、校正とは何か?の問いにお答えします。さらに、校正と調整の違いについても
解説いたします。校正の概念はあらゆる測定機器に適用されますが、本書では計量機器に
焦点を絞ります。
Joint Committee for Guides in Metrology(JCGM、度量衡ガイドの共同委員会)によって
策定された国際計量計測用語(VIM)では、校正は次のように規定されています。
「特定の条件下で、最初の手順として、測定基準から割り出す測定の不確かさを含む数
量値と、当該の測定の不確かさを含む対応する計量表示値との関係を確立し、2番目
の手順として、この情報を使って表示値から測定結果を得るための関係を確立する」。
White Paper
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1 「校正」と「調整」は別物です
最初に理解すべき最も重要な概念は、校正と調整は全くの別物ということです。
計量機器の校正は、その機器がどのように作動するかを理解するために行うのに対し、調整は、機器の動
作を変えるために行います。これは重要な作業であり繰り返し行います。校正をすることで機器の動作を
理解し、調整をすることで、その動作を変えます。物事の動きを変えるには、その動き方そのものを理解し
ないといけないように、計量機器に関しても、機器の動作を変える前に、まずはその機器がどのように作動
するかを理解する必要があります。もし機器が正しく作動していなければ、何らかの調整を行なってその動
作を変えます。計量機器がどのように作動するかを理解するプロセスが校正です。従って、計量機器を調整
せずに校正するのが正当で一般的な方法なのです。
校正とは、既知の値(標準)と測定値との関係を確立することです。
あらゆる測定機器では、特定の機器の基礎として定義される
標準があります。計量機器の場合、この標準は点検用分銅に相
当します。点検用分銅には値(分銅セットの校正認証として示
される)があり、計量機器では点検用分銅を計量レセプタに
置いたとき値が示されます。この、既知の点検用分銅の値と
計量機器に示される値との関係が、計量機器の動作を知るた
めの方法になります。5kgの点検用分銅を天びん/スケールに
置き6kgが示されたとき、既知の値と測定値との関係が確立
したことになります。この関係から、既知の質量10kgを置いた
とき計量機器には12kgが示されることが想定されます。これ
は単純化された例ですが、重要な概念です。これは、既知の
値と測定された値との関係を確立することで機器の動作を
理解するという、校正の基礎です。
測定機器が「十分正しく」動作するかどうかを判断する基準は、
許容誤差に該当します。
許容誤差はさまざまな原因から生じるもので、「正しい」許容誤差というものはありません。メーカーは、
計量機器が満たすべき許容誤差を指定することができます。国際的なテストの推奨事項(OIML R 76また
はHB44など)および規制(米国薬局方のGenera Chapter 41など)でも許容誤差が指定されます。さらに、
顧客(測定機器のユーザー)も許容誤差を指定できます。計量機器の場合、GWP®(メトラー・トレドによっ
て導入されたGlobal Weighing Standard)では、はかりや天びんのユーザーはこれらの機器を個別のプロ
セスに応じて定義された許容誤差に従って使用する必要があることを強調しています。
許容誤差を使用して「合格」または「不合格」を判定するのは評価の一環です。ほぼすべての校正証明書
には合格/不合格が提示されていますが、校正には本来、評価はありません。評価は別の区分として行なうか
「付帯事項」として校正証明書に加えるのがベストプラクティスと言えます。校正の目的はあくまでも理解
にあり、動作が「十分正しい」かどうかを判断することではありません。
2 White Paper
METTLER TOLEDO
Calibration White Paper
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2 測定の不確かさの重要性
測定の不確かさの判定は、世界的な度量衡のコミュニティで一段と重視されています。測定の不確かさは
計算値であり、さまざまな要因(ランダムおよび系統的な誤差)を考慮に入れながら測定に適用されます。
測定の不確かさは、測定の品質を数量的に表したものです。
該当する測定の不確かさの値をともなう測定は、測定の上下に測定の不確かさを適用してできる範囲内に
測定の実際の値が「確かに」収まることを意味します。例えば、計量機器が100gを示し測定の不確かさの
算出値が0.01gの場合、得られた値が99.99gから100.01gの間に確かに収まることを意味します(一般的
に95%の信頼度をともなう)。
「想定される測定の不確かさを判定せずに完全な校正はあり得ない」̶ 国際度量衡局(BIPM)。
度量衡の関係機関には、校正に測定の不確かさの判定を含めるように要求する機関もあります。校正およ
びテスティングラボの適格性を評価するISO 17025標準では、測定の不確かさを校正証明書に含めること
を必須要件として指示しています。
校正とは計量機器がどのように作動するかを理解する作業ということを覚えておいてください。測定の不
確かさの判定によって、動作をより良く理解できます。その一例として、測定の不確かさを計算することで、
計量機器の最小計量値を判定できます。
最小計量値は、計量機器の動作を理解する上で非常に重要です。最小計量値は、計量機器で計量される
サンプルの最小の正味質量で、相対的なユーザーの計量許容誤差の仕様に適合するものです。つまり、
最小計量値を超える計量では、該当する相対的な測定の不確かさが計量の許容誤差の要件より小さくなります。
最小計量値が判れば非常に有益な情報になり、計量機器がどのように作動するかをより深く理解できるよう
になります。もしこの理解がなければ、計量するのが危険な範疇で計量作業を行なうことになります。
測定の不確かさが非常に高くなるからです。
3 まとめ
調整は校正ではありません。校正は調整を行なわずに実施できます。校正によって測定機器の理解が深ま
ります。校正には測定の不確かさの判定を含めて、測定機器をより良く理解する必要があります。
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