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【技術資料】pH測定セオリーガイド(工業プロセス分析向け)

製品カタログ

製薬、化学、および食品飲料の幅広いプロセスにおいて非常に重要な役割を果たすpH測定の理論、pHを正確に測定するコツを掲載!

掲載内容一例
なぜpH値を測定するのか?
pH測定用ツールとは?
pH測定システムとは?
どのようにして正確なpH測定値を獲得できるのか?
どのようにして信頼のおける信号を維持できるのか?
適切なpH電極をどのように選択するか?
pH電極をどのように保守するか?
pH電極をどのように洗浄するか?
など

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ドキュメント名 【技術資料】pH測定セオリーガイド(工業プロセス分析向け)
ドキュメント種別 製品カタログ
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このカタログの内容

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Mettler-Toledo GmbH Process Analytics Industry Environment pH測定ガイド pHアプリケーションの理論と実践 pH Theory Guide
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Copyright © 2016 by Mettler-Toledo GmbH CH-8902 Urdorf/Switzerland
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pH測定ガイド pHアプリケーションの理論と実践
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目次 はじめに 8 1 pHの説明 9 1.1 酸性かアルカリ性か 9 1.2 pH値を測定する理由 11 1.3 pH測定用ツール 12 1.3.1 ガラス電極 13 1.3.2 比較電極 15 1.3.3 複合電極 16 1.4 pH測定システムとは 17 2 実践における注意事項 18 2.1 pH測定システム 18 2.2 高精度のpH測定の実施 19 2.2.1 pH測定の一般的な原理 19 2.2.2 産業界でのpH測定 21 2.2.3 信号の処理と環境への影響 24 2.2.4 校正 28 2.2.5 標準液 29 2.3 信頼性の高い信号を保持する方法 30 2.3.1 電極の機能のメンテナンス 30 2.3.2 保管 33 2.3.3 温度補正 33 2.4 トラブルシューティング 37 2.4.1 トラブルシューティングの図の説明とコメント 37 pH Theory Guide 3 METTLER TOLEDO
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3 インテリジェントセンサマネジメント 42 3.1 信号の完全性 42 3.2 事前校正 43 3.3 予測診断 43 3.4 アセット管理ソフトウェア 45 3.4.1 電子文書化 45 3.4.2 センサ管理 46 4 電極の選定と取り扱い 48 4.1 液絡部の種類 48 4.1.1 セラミック液絡部 48 4.1.2 PTFE環状液絡部 50 4.1.3 開放型液絡部 51 4.1.4 液絡部のない二重膜 51 4.2 比較電極システムと電解質 52 4.3 ガラス感応膜の種類と膜の形状 56 4.4 特定の用途向けのpH電極 58 4.4.1 高い確率で問題を解決できるpH電極 58 4.4.2 複雑なサンプルまたは不明な組成のサンプル 59 4.4.3 半固体、または固体のサンプル 60 4.4.4 化学プロセス業界の最も過酷なアプリケーション で 61 4.4.5 加圧電解質pH電極 62 4.4.6 デュアル膜pH電極 63 4.4.7 高純度水サンプルでのpH測定 64 4.4.8 上下反転の設置 65 4.4.9 非ガラス(ISFET)pH電極 66 4.4.10 低メンテナンスのシンプルな設置用 67 4.5 電極のメンテナンス 68 4.6 電極の保管 68 4.6.1 短期間の保管 68 4.6.2 長期間の保管 69 4.7 電極の洗浄 69 4.7.1 硫化銀(Ag2S)による目詰まり 69 4.7.2 塩化銀(AgCl)による目詰まり 70 4.7.3 タンパク質による目詰まり 70 4 pH Theory Guide METTLER TOLEDO
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4.7.4 その他の液絡部の目詰まり 70 4.8 電極の再生と寿命 70 5 pHの包括的な理論 71 5.1 pH値の定義 71 5.2 濃度と活量の相関関係 72 5.3 標準液 75 5.3.1 緩衝能(ß) 77 5.3.2 希釈価(∆pH) 78 5.3.3 温度効果(∆pH / ∆T) 78 5.4 pH測定設定の測定チェーン 78 5.4.1 ガラス電極 80 5.4.2 比較電極 81 5.5 pH測定設定の校正/調整 84 5.6 温度がpH測定に与える影響 85 5.6.1 電極の温度依存性 85 5.6.2 等温交点 86 5.6.3 温度によるその他の現象 87 5.6.4 測定サンプルの温度依存性 88 5.7 特殊な測定溶液での現象 89 5.7.1 アルカリ誤差 89 5.7.2 酸誤差 90 5.7.3 比較電解質との反応 90 5.7.4 有機溶媒 91 5.8 信号の処理 93 6 数学的パラメータ 99 pH Theory Guide 5 METTLER TOLEDO
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図 図1 酸と塩基の反応による水の生成 9 図2 酢酸の解離 9 図3 ヒドロニウムイオン濃度からpH値を算出する式 9 図4 化学薬品と日用品のpH値 10 図5 アンモニアと水の反応 10 図6 溶液中の酸の量とpH電極の出力電位との関係 12 図7 ガラスおよび比較電極の測定用構成部品 13 図8 ガラス膜の断面 14 図9 pH感応膜を持つガラス電極 14 図10 比較電解質、比較金属極、液絡部で構成される 比較電極 15 図11 内部にガラス電極、外部に比較電極を持つ一般的な複 合pH電極 16 図12 pH測定システム 17 図13 InTrac 776 e 22 図14 産業界の測定現場 23 図15 信号の変換 24 図16 完全な測定システム 27 図17 ブリッジ型pH電極の構造 32 図18 校正曲線と等温交点 35 図19 従来の電極のEquithal®システムの対称構造 36 図20 トラブルシューティングの図 38 図21 セラミック液絡部を持つ電極 49 図22 PTFE液絡部を備えた電極の例 50 図23 開放型液絡部を備えた電極の例 51 図24 二重膜pH電極 52 図25 ARGENTHAL™比較電極システムの模式図 53 図26 さまざまな形状のガラス感応膜 56 図27 InPro 200x (i) 58 図28 InPro 426x (i) 59 図29 穿刺pH電極 60 図30 InPro 480x (i) 61 図31 InPro 325x (i) 62 図32 InPro 4850 i 63 図33 pHure Sensor™ 64 6 pH Theory Guide METTLER TOLEDO
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図34 InPro 3100 (i) 65 図35 InPro 3300(ISFET pHセンサ) 66 図36 InPro 4501 67 図37 InPro 4550 67 図38 酢酸の緩衝能 77 図39 pH電極の傾き係数の温度依存性 79 図40 複合電極内のさまざまな電位源 79 図41 液絡部を通じたイオン移動度とイオンの拡散 82 図42 左: pHメータのpH電極のオフセット調整、右: pH電極の 傾き調整。実線は理想的な挙動を、点線は実際の挙動 を示す。 85 図43 等温交点の理論と実際 87 図44 アルカリ誤差と酸誤差が発生した電極の挙動 90 図45 さまざまな溶媒のpHスケール 92 図46 一般的なプロセス制御ループ 93 図47 プロセス制御システムとセンサ/アクティベータシステム の関わり 94 pH Theory Guide 7 METTLER TOLEDO
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はじめに このガイドの目的は、プロセス業界の代表的なpH測定についての 説明を提供することです。このため、実際のセンサ、つまりpH電極 に重点を置いて説明します。意味のあるpH測定の基本は、正しい センサを使用することです。したがって、測定原理を理解し、高精度 の測定を可能にするために、実践と理論の両方の要件について詳 しく説明します。 このガイドの最初のセクション(実践における注意事項)では、セン サと、pH測定システムを構成するその他の要素について説明しま す。このセクションでは、トラブルシューティング表を使用して、pH 電極を長期にわたり確実に正しく使用するために必要な情報を提 供します。次のセクションはアプリケーションに注目したセクション で、研究室や産業界の例を挙げながら、さまざまな測定タスクのソ リューションを提供します。最後の理論に関するセクションでは、 pH測定の基本を説明し、最初のセクションの情報にさらに詳細な 説明を加えます。 また、このガイドは、さまざまな測定タスクを解決するための便利 なツールとしてもご利用いただけます。このように、このガイドは全 体をお読みいただくことも、数箇所だけをお読みいただくこともで きます。 2013年1月、スイスのウルドルフにて 8 pH Theory Guide METTLER TOLEDO pH Theory Guide
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1 pHの説明 1.1 酸性かアルカリ性か 酢のように日常的に使用する液体を酸性に分類するのはなぜで しょうか。それは、酢には過剰なヒドロニウムイオン(H3O+)が含ま れ、溶液に含まれるこの過剰なヒドロニウムイオンが酢を酸性にし ているからです。一方、過剰な水酸化イオン(OH–)は溶液を塩基性 またはアルカリ性にします。純水中では、ヒドロニウムイオンは水 酸化物イオンにより中和されるため、この液体は中性のpH値を持 つようになります。 H O+ + OH–3 ↔ 2 H2O 図1 酸と塩基の反応による水の生成 解離するときに物質の分子が水素イオンまたはプロトンを放出す る場合は、この物質を酸と呼び、溶液は酸性となります。最もよく知 られている酸として塩酸、硫酸、酢酸(酢)などがあります。酢酸の解 離を次に示します。 CH COOH + H O ↔ CH COO– + H O+3 2 3 3 図2 酢酸の解離 すべての酸の強度は同じではありません。厳密な酸性度は溶液中 の水素イオンの数によって決まります。このため、pH値は水素イオ ン濃度の負の対数として定義されています(厳密には水素イオン の活量によって決まる。水素イオンの活量については72ページ の「5.2 濃度と活量の相関関係」 を参照)。 pH= – log [aH+] 図3 ヒドロニウムイオン濃度からpH値を算出する式 pH Theory Guide 9 METTLER TOLEDO
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酸性物質とアルカリ性物質の量的な差は、pH値を測定することで 調べることができます。日常的に使用する物質と化学薬品のpH値 の例を次の図4にいくつか示します。 食品・飲料 /日用品 オレンジジュース 卵白 コカ・コーラ チーズ 水 制酸剤(CH)2 レモンジュース ビール 牛乳 ホウ砂 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 硫酸 4.9 % 酢酸 苛性ソーダ 4 % (1M) 0.6 % (0.1M) 炭酸カルシウム (飽和) 塩酸 シアン化水素酸 0.37 % (0.1M) 0.27 % (0.1M) アンモニア溶液 1.7 % (1M) アンモニア溶液 0.017 % (0.01M) 酢酸カリウム 0.98 % (0.1M) 炭酸水素ナトリウム 0.84 % (0.1M) 化学薬品 図4 化学薬品と日用品のpH値 このスケールのアルカリ性の範囲はpH 7~14です。このスケール のこの範囲では、水酸化物イオンまたはOH–イオンが過剰に存在し ます。このようなpH値を持つ溶液は、水溶液に塩基が溶解すること によって生成されます。塩基は解離して水酸化物イオンを放出し、 この結果、溶液がアルカリ性になります。最も一般的な塩基として、 水酸化ナトリウム、アンモニア、炭酸塩などがあります。 NH3 + H2O ↔ NH +4 + OH– 図5 アンモニアと水の反応 水溶液のpH値を表すスケール全体には酸性とアルカリ性の両方 の範囲が含まれます。pH値は0~14の範囲で変化し、0~7のpH値 が酸性、7~14のpH値がアルカリ性と呼ばれます。pH値7は中性で す。 10 pH Theory Guide METTLER TOLEDO pH Theory Guide
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1.2 pH値を測定する理由 pHは、以下のような多くの理由で測定されています。 • 定義された特性を持つ製品を製造するため – 最終製品が確実に 希望の仕様を満たすように製造中にpHを管理することが重要で す。pHは、外観や味など、最終製品の特性を劇的に変化させるこ とがあります。 • 製造コストを下げるため – これは前述の理由に関連しています。 一定の製造プロセスで得られる歩留まりが特定のpHで高くなる 場合、このpHで生産すればコストを下げることができます。 • 人、物、環境に対する害を回避するため – 特定のpHで有害性を 持つ製品があります。人にとって危険な、または機器に損傷を与 える可能性がある場合には、このような製品を環境に放出しない ように注意しなければなりません。そのような物質が危険かどう かを判断するには、まずそのpH値を測定する必要があります。 • 規制要件を満たすため – 前述のように有害性を持つ製品もあり ます。したがって、危険な物質が引き起こす損傷から人を守るた めの規制要件を政府が設定しています。 • 環境を守るため – 製造プロセスで反応物質と接触する製造機器 は、反応物質が特定のpHの範囲内にないと腐食する可能性があ ります。腐食は製造ラインの寿命を縮めるため、製造ラインを不 要な損傷から守るためにpH値のモニタリングが重要です。 • 研究開発のため – pH値は、生化学プロセスの研究など、研究目 的の重要なパラメータでもあります。 これらの例は、頻繁に測定する理由を挙げて、幅広いアプリケー ションにおけるpHの重要性を説明したものです。 pH Theory Guide 11 METTLER TOLEDO
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1.3 pH測定用ツール pHを測定するには、pH値を定義する水素イオンに対する感応性の ある測定ツールが必要です。測定原理は、水素イオン感応ガラス膜 を持つセンサを利用し、その膜とサンプル溶液との間の反応を観 察するものです。ただし、pH感応ガラス電極で観察された電位だ けでは情報が不十分なため、もう1つのセンサが必要になります。 これは、比較信号またはpHセンサの電位を提供するセンサです。 測定溶液のpH値を測定するには、この両方の電極間の差異を使用 する必要があります。 pH感応電極の反応はH+イオン濃度によって決まるため、その溶液 の酸性/アルカリ性の度合いによって決まる信号を生成します。 一方、比較電極はサンプル溶液のH+イオン濃度には左右されない ため、常に同じ一定の電位を生成します。これを基準にpHセンサ の電位を測定します。 したがって、この2つの電極間の電位が溶液中の水素イオンの数の 尺度となり、定義上これが溶液のpH値を示すものとなります。この 電位は溶液中の水素濃度の一次関数であるため、定量測定が可能 になります。この関数の式を次の図6に示します。 RT E = E0 + 2.3 log [aH+] nF 図6 溶液中の酸の量とpH電極の出力電位との関係 E = 測定電位 E0 = 定数 R = 気体定数 T = 絶対温度(K) n = イオン電荷 F = ファラデー定数 12 pH Theory Guide METTLER TOLEDO pH Theory Guide
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高インピーダンス pHメーター ガラス 比較 電極 電極 図7 ガラスおよび比較電極の測定用構成部品 図7に、2つの個別の電極(ガラス電極と比較電極)を持つpH測定 の設定を示します。今日では、この2つの個別の電極が1つのセン サに統合されたものが一般的であり、比較電極とガラス電極のこ の組み合わせは複合pH電極と呼ばれます。この3つの電極はそれ ぞれ異なり、独自の重要な機能と特性を備えています。 1.3.1 ガラス電極 ガラス電極は、溶液のpHを実際に感知する部分です。ガラス電極 は、H+イオンに対する感応性を持つ薄いガラス膜が先端にある シャフトで構成されています。膜が水溶液と接触すると、この膜ガ ラスの外側にゲル層が形成されます。電極は内部水溶性電解質で 満たされているため、同様のゲル層は膜ガラスの内側にも形成さ れます。このゲル層の例を次の図8に示します。 pH Theory Guide 13 METTLER TOLEDO
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内部標準液 内部 内部 H+= 一定 ゲル層 標準液 ガラス膜 SiO3 +  Li SiO  3 Li+ SiO internal buffer Li+ +電位に -電位に3 Li+ SiO3 チャージ チャージ SiO + +3 SiO3 Li Li Li+ SiO SiO3 3 SiO3 SiO + ▲3 Li+ SiO Li3 H+被験液 +H+ 外部 + H ゲル層 H 酸性溶液 アルカリ溶液 ガラス膜 (0.2–0.5 mm) ゲル層 ca. 1000 A (10-4 mm) 図8 ガラス膜の断面 ゲル層内またはゲル層の周りにあるH+イオンは、測定溶液のH+イ オン濃度に応じて、この層の内側または外側へ拡散します。溶液が アルカリ性の場合は、H+イオンは層から外へ拡散し、負の電荷が膜 の外部に生じます。溶液が酸性の場合は、この逆の現象が発生し、 H+イオンは層の内部に拡散して、正の電荷が膜の外側に蓄積しま す。ガラス電極にはpH値が一定の内部標準液が含まれるため、膜 の内部表面の電位は測定中も常に一定に維持されます。したがっ て、ガラス電極電位は、膜の内部電荷と外部電荷の差になります。 標準的なガラス電極の図を次の図9に示します。 内部標準液 ガラス電極 ガラス感応膜 金属極 シールド ソケット 図9 pH感応膜を持つガラス電極 14 pH Theory Guide METTLER TOLEDO pH Theory Guide    ▲
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1.3.2 比較電極 比較電極の目的は、測定の基準となるpHセンサ電位として定義済 みの安定した比較電位を提供することです。 これを可能にするに は、比較電極は溶液中のH+イオンに対する感応性のないガラス製 でなければなりません。また、電極を浸すサンプル環境に対して開 放されていなければなりません。このためには、比較電極のシャフ ト内に開口部または液絡部を作り、ここを通じて内部溶液または 比較電解質がサンプルと接触するようにします。正しい測定を行う には、比較電極とガラス電極が同じ溶液内になければなりません。 一般的な比較電極の図を次の図10に示します。 比較電極 補充孔 液絡部 金属極 比較電解質 (オプション) 図10 比較電解質、比較金属極、液絡部で構成される比較電極 電極の構成は、定義された比較標準液に内部比較金属極が浸さ れ、液絡部を介してサンプル溶液と間接的に接触するようになって います。この接触の連鎖によって安定した電位が確保されます。 複数の比較電極システムがありますが、今日では、ほとんどすべて の場合に銀/塩化銀システムが使用されています。この比較電極シ ステムの電位は、比較電解質と銀/塩化銀比較金属極によって定義 されます。比較電解質のイオン濃度が高く、そのため電気抵抗が低 くなっていることが重要です(詳しくは78ページの「5.4 pH測定 設定の測定チェーン」 を参照)。 pH Theory Guide 15 METTLER TOLEDO
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測定中に比較電解質がサンプル溶液に流れ込むため、比較電解質 とサンプル溶液の間に反応が生じる可能性がある点に注意してく ださい。この反応が電極と測定に影響を与えることがあります。 1.3.3 複合電極 複合電極(次の図11を参照)は、2つの個別の電極を使用する場合 よりも取り扱いが容易で、今日では非常に広く使用されています。 複合電極では、pH感応ガラス電極が、比較電解質が満たされた比 較電極によって同心円状に囲まれています。 複合電極のガラス電極部分と比較電極部分は、使いやすいように 1つの電極に統合されている点を除き、それぞれが独立した電極と 同じ特性を持っています。複合電極のこの2つのコンポーネントの 寿命が大きく異なることが予想される場合にのみ、1つの複合電極 ではなく個別のガラス電極と比較電極を使用することを推奨しま す。 pH測定をさらに簡略化するために、ガラス電極および比較電極 と同じ本体部分に温度センサを内蔵することができます。この構 成では温度補正付きの測定が可能になります。そのような電極は 3-in-1電極と呼ばれます。 ガラス感応膜 内部標準液 ガラス電極 液絡部 比較電解質 金属極 ソケット 比較電極 金属極 図11 内部にガラス電極、外部に比較電極を持つ一般的な複合pH電極 16 pH Theory Guide METTLER TOLEDO pH Theory Guide
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1.4 pH測定システムとは 継続的な産業プロセスからpH電極を保護し、安全に保持するには 電極ハウジングが必要です。 pH変換器の機能は、たとえばpH表示や記録機器用の出力などを 使用して電極の信号を適切な方法で表すことです。pH測定システ ムのさまざまなコンポーネントを以下のようにまとめることができ ます。 pH 変換器 ケーブル 測定システム pH 電極 pH 電極 組み立て ハウジング 図12 pH測定システム pH Theory Guide 17 METTLER TOLEDO