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ノルトロックのカスタマーマガジン「BOLTED」2017年第2号

ホワイトペーパー

可動部の摩耗は、ゼロにできる。

【掲載内容】
可動部の摩耗に起因するガタつきを独自機構によって完全に防止する
「エクスパンダー・システム」。重機だけでなく、あらゆる設備機器
の可動部に適用可能な当製品を、本号では特集する。
また、異素材同士を締結する際の注意点をエンジニアが解説した技術
記事、水力発電所におけるスーパーボルトユーザーの声、日本国内の
事例では、JFEスチール様によるスーパーボルトの採用事例を紹介。

このカタログについて

ドキュメント名 ノルトロックのカスタマーマガジン「BOLTED」2017年第2号
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 19.9Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 株式会社ノルトロックジャパン (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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株式会社ノルトロックジャパン

このカタログの内容

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〜完 璧なボルト締 結を目指 す〜ノルトロックのカスタマーマガジン WWW.BOLTED.COM 2017 年 第 2 号 [建機・工場設備] 可動部の摩耗は ゼロにできる 独自の機構で可動部の摩耗を防ぎ、ブッシュ交換や 肉盛補修を不要にする「エクスパンダー・システム」 MATCH-FIT DOCK OF THE BAY HARD TO BEAT RECYCLING MAGIC 締結部設計で要注意 港湾クレーンの 水力発電所での30年 金属スクラップに 避けるべき異種材料 円滑な稼動を支える に及ぶキャリアから 新たな材料としての の組合せとは ノルトロックワッシャー 学ぶべきこと 生命を吹き込む
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WWW.SUPERBOLT.COM WWW.SUPERBOLT.COM WWW.SUPERBOLT.COM HYDRAULIC COUPLING BOLT [新製品] 油圧式カップリングボルト「HYFIT(ハイフィット)」 H締結後にYボルトD軸が拡張Rし、フラAンジのずUれやボルト折損を完全防止。しかも油圧式のため複数のカップリングボルトをL同時にI均一Cの圧で締結。 COUPLスーパIーボNルト「HYGFIT(ハイフ ィット)」は、大型のシャフトやギア等のカップリングにて、締結後にボルト軸が広がってボルト穴内の隙間をゼロにすることで応力を分散し、ボルト折損やカップリング部ボルト穴の損傷を防ぐために生み出されました。HYFITはあらゆるタイプのカップリングに対応でき、リーマボルトからそのまま入れ替えて使用できるため、メンテナンス時からの採用も可能です。HYFITの機構は、カップリングの穴合わせ作業を大幅に簡易化し、メンテナンスコストを削減することで大型カップリング締結の作業効率を格段に向上させます。油圧式締結によって複数のボルトを均一の圧で締結 できるHYFITは、作業面でもコスト面でも貴社のメンテナンスにおける効率を大きく改善できる新製品です。 BOLT
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bolted 2017年 第2号 About bolting technologies – a customer magazine from the Nord-Lock Group ~完璧なボルト締結を目指す~ノルトロックのカスタマーマガジン WWW.BOLTED.COM 2017 年 第 2 号 あなたの最大のライバルは?  先日、弊社CEOのオーラ・リングダウルはノルトロック チャレンジは、旧態依然としたボルト締結業界を新たな [建機・工場設備] 可動部の摩耗は グループの成長とボルト締結業界での役割について取 アイデアに対してもっとオープンにし、課題を解決する ゼロにできる 材を受けました。インタビューの中で「ノルトロックグ 新しい技術が生まれる土壌を整えることです。我々はま 独自の機構で可動部の摩耗を防ぎ、ブッシュ交換や 肉盛補修を不要にする「エクスパンダー・システム」 ループの最大のライバルは誰ですか?」という質問に対 さに、新たな市場を創り出そうとしているのです。」 MATCH-FIT DOCK OF THE BAY HARD TO BEAT RECYCLING MAGIC 締結部設計で要注意 港湾クレーンの 水力発電所での30年 金属スクラップに 避けるべき異種材料 円滑な稼動を支える に及ぶキャリアから 新たな材料としての の組合せとは ノルトロックワッシャー 学ぶべきこと 生命を吹き込む するオーラ・リングダウルの回答は以下のようなもので  シンプルに言えば、私たちノルトロックグループは、 した。 ボルト締結業界の中で最も効果的なソリューションを 「Bolted」誌は、ボルト締結技術についての知 識の向上を目指し、ノルトロックグループが発行 「我々の主なライバルはたった一つ、正しい知識が普及 提供し、あらゆる課題を解決することで、この世界をもっ している雑誌です。弊社はボルト締結システム していないという、その事実だけです。我々にとっての と安全な場所にしようと日々努力を続けています。旧来 における世界トップ企業であり、ウェッジロッキ ングの緩み止め技術、スーパーボルトテンショ チャレンジは、ボルト締結が今のままで十分に良いもの の問題という点で言えば、本号のBOLTEDマガジンで ナー、ボルタイトの油圧テンショニング、そしてエ だと信じ続けるこの業界に変革をもたらすことです。多 は、設備機器の可動部に古くから存在する摩耗の問題 クスパンダー・システム等の幅広い製品を提供 しています。これら独自のソリューションは、厳し くの方々が、いまだに手間と労力のかかる面倒な作業 にスポットを当てています。この問題はなぜ起こり、 い振動や衝撃にも対応し、安全なボルト締結を を、例えそれが危険な作業であっても、『そういうもの どんな対策があって、果たしてその対策が根本的な解 確保します。詳しくはwww.nord-lock.comを ご覧ください。 だ』と信じて受け入れています。増し締めという作業もそ 決に繋がるものなのか、全ては8ページから始まる特集 「BOLTED」誌は、英語、ドイツ語、日本語、フラン うですね。溶接や偏芯式ナット、ダブルナット、ワイヤー で語られています。エクスパンダー・ ス語、スペイン語、中国語、韓国語、スウェーデン ロック、ねじロック接着剤、ハンマリング、そしてボルト システムの詳しいお話は12ページ 語、フィンランド語で年2回発行され、世界中で ノルトロックグループのお客様に無料で提供さ ヒーティング等の旧式の方法は、いくら実践的・効果的 にあるデンマークでの採用事例 れています。 でなくとも、いまだに広く受け入れられています。」 で、つい先日発表となった私たち 編集者:  そのインタビュアーは少し驚いた様子で「ノルトロッ の次の「世界初」である製品保 カーリン・エスバーグ・ラガーシュタット carin.lagerstedt@nord-lock.com クグループの製品をコピーしている企業もライバルに 証プログラムについてのお 制作: はならないのですか?」と質問しました。オーラ・リング 話も17ページに掲載され スプーン社、マルメ ダウルは「実際のところ、彼らをライバルだとは受け止 ています。 www.spoonagency.com めていません」と答え、こう続けています。「我々はどのよ 本号も是非、お楽しみく 編集マネージャー: ウルフ・ワイマン うな企業であれ、ボルト締結業界を革新するという道を ださい! ulf.wiman@spoon.se 共に歩めるライバルを歓迎します。しかしコピー品を供 マーティン・エストリング martin.ostling@spoon.se 給している企業はここに貢献してはいません。我々の技 言語コーディネーション: 術部門と営業部門は、お客様を支え、更なる知見を提供 クリスティン・ルドヴィクション カーリン・ラガーシュタット kristin.ludvigsson@spoon.se することに膨大な時間と心血を注いでいます。我々の マーケティング・マネージャー 翻訳: スプロークボライェット社 www.sprakbolaget.se プリブレス:スプーン社 08 12 15 表紙イラスト:ダン・ハンベ 依頼のない投稿原稿はお受けできませんのでご 注意ください。本誌の資料を許可なく複写・複製 することは禁止されています。許可を希望される 場合、編集マネージャーまでお問い合わせくださ い。「Bolted」誌の記事、および記事内で表現され る意見は、必ずしもノルトロックグループや発行 者の見解を反映するものではありません。 ご意見やコメントは下記にて承ります。 bolted@spoon.se CONTENTS プラスアイシーオー社により日本で印刷 使用紙:〈表紙〉コート 160g 08 可動部の摩耗を完全防止 15 経験からの知恵を聞く 〈本文コート〉90g 建機や工場設備の全ての可動部は、遅かれ早かれピン穴や スーパーボルトの経験においてマイク・ブルーノに勝る者はい 「Bolted」誌は広報雑誌です。誌内で提供され ブッシュに摩耗を起こしてしまう―。しかし、それ完全に防止 ないでしょう。30年以上を水力発電に捧げて来た彼には、まだ る情報は一般的なものであり、様々な決定や特 できるソリューションがあります。 まだ立ち止まる気はありません。 定の問題に関する助言ではありません。情報の 使用は使用者自身の責任であり、ノルトロックグ ループは、「Bolted」誌によって提供された情報 12 時間との戦いを制するもの 16 原子力の安全を守る使命 の使用によって起こる直接および間接的なあら 金属スクラップのリサイクル工程は多くの設備機器の過酷 放射性物質の運搬設備には、不具合を許容できる余地など一 ゆる結果に対して責任を負いません。 な稼動に支えられています。その設備機器のダウンタイムを 切ありません。新開発の格納容器では、ノルトロックワッシャー 最小限に抑える方法をご紹介します。 が重要な役割を果たしています。 04 ノルトロックグループで安全確保 17 OUTLOOK– ボルト締結の世界の「今」 07 エキスパート BOLTED 2017年 第 2 号 3
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ノルトロックグループで安全確保 本文:ロクサーナ・オリッツ 写真:パチェコ 港にそびえる「巨人」 顧客: 設立: 主要株主: パチェコ・エスパーニャSA社(スペイン) 1967年 三井グループ、ウルーサS・コーポレーション 供給製品: ノルトロック製品: 港湾クレーン、ヤードクレーン、その他コンテナの揚げ降ろし関連設備 ノルトロックワッシャーM20(NL20)  クレーンやコンテナの揚げ降ろしに関するサー を供給しています。 ました。ノルトロックからの原因分析と対策の提案 ビスや設備を供給する企業として、スペインのパ  パチェコ・エスパーニャは2009年、同社が港湾ク を、パチェコ・エスパーニャは喜びと驚きをもって受 チェコ・エスパーニャ社には、その顧客のニーズに レーンに課題を抱えていた時期にノルトロックと け止めることになります。「私たちは2009年から継 応える義務があります。船舶の大型化によって、港 出会いました。その課題とは、最大積載荷重65トン 続的にノルトロックワッシャーを使用しています。 湾クレーンやヤードクレーンもそれに合わせて大 のクレーン足元にあるガントリー・リデューサー(ク あの時以来、ボルトが振動で緩んだことはただの 型化し、稼動効率を確保する必要がありました。現 レーンをドックに移動させる装置のギアボックス) 一度もありません。」同社エンジニアのペラーヨ・ 在、パチェコ・エスパーニャ製のクレーンは、25列の の固定でした。稼動中に、ボルトが振動で緩んでしま ボベス氏はノルトロックへの信頼をこのように表現 コンテナの揚げ降ろしが行えます。パチェコは今、 うのです。 してくれました。「ノルトロックのおかげで、私たちは PORTAINER MALACCAMAXという最大72.5Mもの  パチェコ・エスパーニャのエンジニアが繰り返し クレーンの維持費とメンテナンス時間を共に大きく リーチ、スプレッダー下の最大高52.5M、レールスパ 発生する問題の原因究明に着手した頃、同社は協 削減でき、完璧に顧客を満足させられるクレーンを ン30.48Mの、世界最大級にして最高効率のクレーン 議の結果、初めてノルトロックに相談することにし 供給できるようになったんです。」 振動環境下でも 物理的に緩みを許さない ボルトの緩みを解決するソリューションを 探し求める中で、パチェコ・エスパーニャは ノルトロックに出会う。果たしてその重要な ボルト締結部は、緩みの問題から解放された。 4 BOLTED 2017年 第 2 号
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sノecルuトrロedッ bクyグ NルOーRDプ-LでO安CK全確保 深海で輝くボルトテンショナー 顧客: アプリケーション: プロジェクト: サブシー・イノベーション社(イギリス) 洋上施設 EPRS用配管押さえ(リペアクランプ)の締結 ロケーション: ボルタイト製品: オーストラリア M120ボルトテンショナー×14セット、M150ボルトテンショナー×10セット  ボルタイトの製品は、世界中のあらゆる産業・業界  本プロジェクトに当たり、ボルタイトでは分割構造 のテンショナーを設計・製造しています。このボルタイ でそのシェアを伸ばしています。その良い例が、オフ になっている大型の配管押さえ(リペアクランプ)用 トのテンショナーはリペアクランプ本体の外周に複数 ショア産業でのエンジニアリングサービスを提供す にカスタムを行ったボルトテンショナーを設計・製 ある大径のボルトを締結するために提供されており、 るイギリスのサブシー・イノベーション社。25年に渡 造しました。この大型リペアクランプは、オーストラ 油圧制御システムによって遠隔操作で締結を行うこと り、海底に構造物の建設を行う同社は先日、オースト リア北海岸沖から北東海岸沖の海底を這うガス管の ができます。 ラリアで数百万ポンド(数億円)規模の大規模案件の 「EPRS」と呼ばれる緊急措置用のリペアクランプで  本ボルトテンショナーは、サブシー・イノベーション 契約を締結しました。 した。本件でボルタイトはM120とM150の2サイズ分 社向けにスペシャル品として作られたものですが、ボ ルタイトは海底でも円滑に作業が行えるよう、過去の 経験から得たノウハウをいくつも加味しています。ス トロークを長く取った双方向稼動の構造をもつこのテ ンショナーには、締結後に逐一油圧を解放してリカバ リを行わなくても、ボルトのテンショニングとリカバリ をリモートで行える、海底作業には理想的な機能が備 わっています。  サブシー・イノベーション社とボルタイトは、必要に なった時すぐに想定通りにEPRSが稼働するよう、適正 な軸力がボルトに与えられているのかの検証試験と 製品スペックの協議を何度も繰り返し、全ての製品は ボルタイトによる厳格な納期管理の下で納入されま した。オーストラリア沖のEPRSは、ガス管が不測の事 態によって緊急リペア作業を要する事態となった場合 に、今この瞬間も備えています。 アラステア・マクダフ 例え起伏の激しい大地でも 顧客: ロケーション: 供給製品: ハタット・トラクテョル社 トルコ テキルダー地方 シャルケスキョイ 農業用トラクター 出力馬力レンジ: ノルトロック製品: 50-102馬力 ノルトロックワッシャー(NL8、NL10)  タフな環境であればある程、マシンの耐久性と信 ることで高コストな設計変更が避けられる可能性が 頼性が顧客を助ける―トルコのハタット・トラクテョ あることが分かりました。 ル社は、およそ20年に及ぶ歴史をもつ農業機器メー  ノルトロックの評価試験を行う中で、ノルトロッ カーとして、そのことを熟知しています。同社の顧客 クワッシャーはこの問題を十分に解決でき、 は長い間日常的に、でこぼこした起伏の激しい土地 尚且つブラケット部の設計変更を行うよりも で、限られた時間とも闘いながら生産性を維持して 遥かに安値で対応できることが立証されま の作業を余儀なくされています。そのため同社の農 した。ノルトロックワッシャーを採用したこと 機は振動や衝撃を繰り返し受け続ける過酷な環境に で振動によるボルトの緩みとは無縁となっ 耐え得るものでなくてはなりません。 たハタット・トラクテョル製のトラク  本年2017年初頭、ハタット・トラクテョル社が新モ ター。そのユーザーは今、どれ デルのトラクターをテストしていたところ、エアコンプ だけ悪条件な土地であって レッサ・エンジンを支えるブラケット部のボルトが振動 も、同社の赤いトラクター で緩んでしまっていることに気が付きました。同社の に全幅の信頼を置き、毎 分析によると、この問題はブラケット部の設計変更で 日の農作業に汗を流し 対応できるという結論が出ましたが、それはコスト面 ています。 でも組立工程の面でも現実的ではなく、より強度区分 エキン・カリシール の高いボルトを使用して高軸力で締結する案も検討さ れましたが、それも良い案とは言えませんでした。  ここから同社の新しいソリューション探しが始まり ます。様々な製品を取り寄せ、評価試験を繰り返して 研究を行った結果、ノルトロックワッシャーを使用す 写真:ハタット 6 BOLTED 2017年 第 2 号
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THE EXPERTS ダミアン・ アンダース・トマス ブロムクヴィストテクニカル・ プロダクト マネージャー エンジニア ボルト締結の安全性・信頼性向上のご相談は、Eメール experts@nord-lock.com までお問合せください。 エキスパートに相談しよう! 安全なボルト締結実現のため、相談したいことはありませんか?ノルトロックのエキスパートにご相談ください! 正しい材料の組合せって? Q: ステンレスのノルトロックワッシャーを鉄(鋼)のボ ルトに使用できますか? 異種金属接触によるガルバニック腐食 A: イエス。ねじのピッチにおいて、ステンレス製ボル トと鉄(鋼)製ボルトに違いは無いので「ノルトロック の機能上は」使用できます。ですが、最善の方法は全 てのパーツを同じ材質で統一して締結することです。な ぜなら、もし、ステンレス製のノルトロックワッシャー 金属カソード を強度区分 10.9 や 12.9 といった鉄製の高強度ボルト 2 (電池で言う 4 腐食 に使用した場合、強度の違いによってワッシャーが変 マイナス極) 2 形してしまう恐れがあります。ステンレス製ワッシャー 1 電解液(水分/塩水) 1 4 は表面層だけを硬化させており、高強度の鉄製ボルト 3 を高軸力で締結すると、ワッシャー内部の比較的軟ら 3 アノード より電位の(電池で言う かい部分が塑性変形を起こす可能性があるのです。ノ プラス極) 低い金属 ルトロックステンレス製ワッシャーの機械的性質として、 鉄製の強度区分 8.8 相当の強度となるため、強度区分 8.8 かそれ以下の鉄製ボルトには、ノルトロックステン レス製ワッシャーは問題なくご使用いただけるでしょう。  もう一つ、忘れてはいけないことがあります。ノルト ガルバニック腐食の発生には電解液(水分・塩水等)が必要で、異種金属の接触面に電解液が触れることでその進行が始ま ります。より低電位な金属から、より高電位な金属に向けてイオンが流出し、低電位な金属は平時以上のスピードで腐食して ロックステンレス製ワッシャーと鉄製ボルトの組合せを 行きます。 設計する場合、特に「ガルバニック腐食」と呼ばれる 異種金属間の電位差による腐食(通称:電食)に配慮 しなければなりません。ガルバニック腐食は、異なる ニック腐食が起こると、一方の金属はアノード電極(電 常より腐食スピードは遅くなります。ノルトロック鉄製 金属材料が水を含めた通電性のある液体中で接すると 池で言うプラス極)となって腐食スピードが加速され、 ワッシャーには、この原理を応用したデルタプロテクト 発生し、金属を劇的に劣化させてしまいます。ガルバ 他方はカソード電極(電池で言うマイナス極)となり通 (亜鉛フレークコーティング)が施されています。 AB ボルト・ナットにあるマーキング Q: ボルト・ナットに刻印されているアルファベットや 材料別 ISO メートル規格ねじの刻印内容表 数字はどういう意味があるのでしょうか? 鉄(鋼)製 ボルト頭部 ナット A: ボルト頭部やナットには、数字やアルファベット、 適用規格 ISO 898-1 – 鉄製ボルト ISO 898-2 – 鉄製ナット その他記号やマーク等が刻印されていることがあり ます。通常、ボルト・ナットには2種類の情報が刻印 刻印内容と 数字 X . Y 数字 X されています。1つは製造者を示す文字やマーク、も その関連情報 X × Y × 10=降伏点/耐力値(MPa) X × 100=最小保証荷重応力(MPa) う1つはそのボルト・ナットがもつ強度等の性質で X × 100=最小引張強さ(MPa) 【注】X の数値は必ずボルト側の数値 X す。この刻印の違いは、各ボルト・ナットがどのよう 例:強度区分 と同じか、それ以上のものとすること 10 . 9 に製造されているかによって決まります。右図はISO 降伏点/耐力値=900 MPa 例:強度区分 10 規格のメトリックの鋼製とステンレス製のボルト・ 最小引張り強さ=1000MPa 最小保証加重応力=1000 MPa ナットについての刻印のルールについてまとめてい ※ボルトは強度区分10.9以上 ※JIS B 1052-2はISO898-2と一致 ます。(UNC規格のボルト・ナットは主にASTM規格 に準拠しています。) ステンレス製 ボルト頭部 ナット  M5以下のボルト・ナットでは、刻印スペースが取 適用規格 ISO 3506-1 – ステンレス製ボルト ISO 3506-2 – ステンレス製ナット れないためISO898-1では刻印をしなくても良いと 刻印内容と N X – Y Y されていますが、M6以上では必須となります。また、 その関連情報 N:金属組織分類(オーステナイト系など) JIS B 1051はISO898-1と一致しています。 X:鋼種区分(304・316など) Y:強度区分 DT Y Y × 10=最小引張強さ(MPa) 例:A 4 – 8 0 オーステナイト系, 鋼種区分4 (316等), 最小引張強さ=800MPa0 BOLTED 2017年 第 2 号 7
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機器可動部から 摩耗が無くなる日 あらゆる工場内設備や建機において、可動部のピン穴に起こる磨耗の肉盛補修や ブッシュ交換は、当然のメンテナンスと考えられて来た。 しかし、それは本当に避けられないのか? エクスパンダー・システムがこれまでの常識を、覆す。 文章: 写真: イラスト: ニック・タウンセンド ノルトロックグループ ダン・ハンベ 動部を備えたあらゆる設備機 にもクレーン、風力タービン、プレス機、工場設備等 可 器は、いつかピン穴やブッシ あらゆる可動部で摩耗は起こります。場合によってュの磨耗によるリペア作業が は同じ可動部でピン穴の補修やブッシュ交換を何必要となります。最もよく見ら 度も行っているということもあるでしょう。過酷な環れるのは大きな荷重や振動 境になればなるほど補修サイクルは短くなります。 に晒される建機や掘削機、製 また、ピン穴やブッシュが摩耗すると稼動部にガタ 鉄所のいわゆる「トング」のようなところですが、他 つきが生じ、正確な作業が難しくなります。 8 BOLTED 2017年 第 2 号
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 なぜ従来品のピンでは、ピン穴やブッシュの磨耗が 避けられないのか?そこには、以下の3つの理由が挙げ られます。 「可動部の摩耗は、ブッシュ交換や肉盛補修  1.一 般的に、ピンはラグ部(ピン穴)よりも硬い材質で 作られているため、ピンが穴の中でピン穴に繰り返 で対処する。昔からそれが当たり前だったため、 し当たると、変形してしまいます。  2. ピン穴の中では応力集中が起こります。ピンを通す そのコストや機会損失も当たり前だったんです。」 穴径には、ピンを確実に挿入するための僅かなクリ アランスがあり、これが「遊び」となってしまいます。 ジョニー・ワイバーグ/エクスパンダー・システムR&Dエンジニア そのためピンが荷重を受けると、ピン穴内部の応力 方向にあたる部分にピンが衝突し、全応力を受ける ことになります。  3. 可動部が逆方向へ動いた時には、先述の遊びのた めに先程の対角部分に、ピンが全応力そのままの 力で打ち付けられます。  ピン穴が磨耗・変形した場合に最も一般的なリペア作 業は、肉盛と研磨での穴加工です。初めに可動部からピ ンを取り外し、穴加工用のドリルや溶接棒等必要な設備 を準備します。次に、磨耗したピン穴が真円になるよう 穴を削り、肉盛した後、最終的に必要な径になるよう正 確に加工・調整します。穴加工設備を除去し、施工部を 塗装し直してやっと、新しいピンを取り付けることができ ます。ピン径や長さ、作業工程、そして依頼先の混み具 建機や工場内設備の可動部は全て、遅かれ早かれ摩耗する。それが特に建機類に多く見られるものだとしても、製鉄所や工場 合によっては1ヶ月程かかることもあり、設備機器が使用 内設備、風力タービン、可動橋等にも必ず摩耗は発生する。 できないこの期間は、大きな機会損失となってしまいま それでもピン穴内の遊びをゼロにはできず、行く行くは ムならこの問題を完全に解決し得るのです。エクスパン す。 ピン穴も摩耗してしまいます。 ダーは両端がテーパー形状になったピンで、その両端  ピンの代金以外にも施工費や運搬費、そして多額の  温度を利用し、凍結して収縮させたピンを取り付け後 にスリットの入った拡張スリーブが付いています。エク 機会損失を生むにも関わらず、このコストと時間は「仕 に加熱して膨張させ、ピン穴内の隙間を埋める方法も スパンダーを取り付けると、拡張スリーブはピンの軸を 方のないこと」とされています。エクスパンダー・システ 考案されていますが、作業コストが跳ね上がるだけでな 太らせるように拡張し、ピン穴内の隙間を完全に埋めて ム研究開発部門のエンジニア、ジョニー・ワイバーグは く、一旦取り付けると外せなくなってしまうためメンテナ しまいます。 これまで多くのお客様の話を伺っています。「ピン穴の ンスが行えません。技術的にも、ピン穴内の公差は数十 摩耗を抱える誰もが皆やっていることだから、当たり前 ミクロン単位の公差グレード6に収める必要があり、熱  エクスパンダー・システムの拡張スリーブがピン穴の になってしまっているんです。当たり前なので、当然お客 による収縮・膨張はここまでの精度で管理することは難 中で広がると、応力は全体に分散され、摩耗だけでなく 様の方では他の解決方法を探そうという発想にも繋が しいのです。 可動部のガタつきも解決できます。また、摩耗を防止で りにくいんですね。」 きるということは、外部に依頼して高コストな肉盛等の  一方で、技術者達はもっと良い方法があるはずだと研  硬度の高いブッシュを使用することで改善を図るとい 補修作業を行う必要がなくなり、ピン穴のリペア費用と 究を重ねて来たものの、どんな環境・条件下でも効果を う方法もありますが、それでも摩耗を遅らせる以上の効 ダウンタイムの機会損失を無くしてしまうことを意味し 発揮する解決策の発見には至りませんでした。選択肢の 果は望めず、結局は消耗品として何度もブッシュを交換 ます。エクスパンダー・システムの取付は、誰でも現場 一つとしてピン穴の隙間を最小限に抑えるよう、僅かに せざるを得ない点は変わりません。 で簡単に行えますが、最も時間のかかる工程が元のピ 径の太いピンを用いて応力をできるだけ分散させると  これらの方法ではピン穴やブッシュの摩耗による高 ンの取外しです。しかしこれは、旧来の肉盛等の穴加工 いう方法があります。しかし当然、ピンが穴に入りにくく、 い維持費とダウンタイム(稼働停止期間)の発生を無く を行う補修作業でも必要な工程です。直近の事例で、ス 特殊品なのでピン自体のコストも上がってしまいます。 すことはできません。ところが、エクスパンダー・システ ウェーデンのエクスパンダー・システムにφ70mmのピ  1950年代のス うアイデアは彼自身も驚く程の効果を上げた。こ 使い古した釘から得た ウェーデン。双子で れがエクスパンダー・システム開発の契機となり、 あるエヴァースとゲル 以降長年に渡ってスヴェンソン兄弟は自らの重 アイデアが大臣賞を ハルトのスヴェンソン 機にエクスパンダー・システムを使用して道路工兄弟は、スウェーデンで道 事の事業を続けたが、エヴァースの息子であるロ 受賞するまでの 路工事の事業を営む中、繰り ジャーがこのアイデアに秘められた可能性に気付返されるピン穴の磨耗による修 き、製品技術の特許を取得してエクスパンダー・シ 繕費とダウンタイムによる機会損失 ステムAB社を設立したのは1986年のことだった。 シンデレラ の発生に辟易していた。 翌1987年、エクスパンダー・システムは、スウェー ある日、またしてもピン穴の磨耗によっ デンの産業大臣(現 産業・技術革新大臣)より、ア ストーリー て可動部がガタついているのに気付いたエ ルフレッド・ノーベル記念革新技術開発賞を受賞。ヴァースは、業を煮やしてピンをラグに固定す  現在、エクスパンダー・システムは世界中で何 るため、錆びた使い古しの釘をピン穴に打ち込ん 百万もの設備機器可動部に採用されるグローバ だ。応急対応的な解決策ではあったものの、ピン ルブランドとなり、ノルトロックグループで更なる 穴の隙間に釘を打ち込んで「隙間を埋める」とい 品質向上と飛躍を目指している。 10 BOLTED 2017年 第 2 号
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EXPANDER SYSTEM GETTING OVER 6,000 エクスパンダー・システムは、取付後にスリーブが軸を太らせる ように拡張し、ピン穴の隙間を完全に埋める独自機構をもつ。 EXTRA OPERATING HOURS ンにてエクスパンダーと従来品のピンとでコスト比較を 行って欲しいという依頼がありました。部材コストやダウ ンタイムの機会損失を考慮すると、エクスパンダー・シス テムのトータルコストは約500ユーロ(6万5千円)と見積 もられました。対して従来品のピンは、部材コストだけ を見ればエクスパンダー・システムの約3分の1程度でし たが、取付・取外しのコストが同等と考えても、穴加工に 要する時間、溶接やドリル作業のコスト、そして何倍もの ダウンタイムによる機会損失額を含めたトータルコスト 動部のピン穴に起こる摩耗はどんな設備機器にも起こるよくある問題 は、計2,300ユーロ(30万円)を超えてしまいました。 可で、設備機器ユーザーは長年に渡って多額の修繕費と、何よりダウン  エクスパンダー・システムの採用時、ドリルでの穴加工 タイムの機会損失を支払い続けて来ました。この点こそが、エクスパン は完全には無くせないかも知れません。しかし肉盛溶接 ダー・システムがピリオドを打たんとするところです。 を不要なものとすることはできます。その建機や工場内  エクスパンダー・システムは、従来品のピンよりも購入単価は高くなってしまいま 設備の一生涯に渡って付きまとうピン穴の摩耗という す。ですが、ピン穴の補修作業である肉盛溶接やドリルでの研磨作業等によるコス 問題は完全に解決されます。従来品のピンでは摩耗の ト、ダウンタイムをトータルに考慮すると、エクスパンダー・システムは相当量のコ 問題は避けられず、繰り返し補修作業を行い、ダウンタ イムの損失額を含めたコストを支払い続けることになり ストを削減できます。では、どれだけのコストが削減できるのか?それは勿論ケース ます。一般論での試算では、建機や工場内設備はその製 バイケースではありますが、ピン穴の磨耗が頻繁に起こるような過酷な環境下では 品寿命の中で3〜4回、または3,000から4,000時間ごと ダウンタイムコストが上昇するため、より大きなコスト削減が期待できます。 に、この補修作業を要します。理論上は、手元にある全て  スウェーデンの建機メーカーであるマスキニアAB社ではかつて、補修作業によ の設備機器で、ピン1本当たり数千ユーロ(数十万円)単 るダウンタイムが看過できない程利益を圧迫していました。そのため、1999年から 位での維持費削減が実現される計算となります。 エクスパンダー・システムを採用しています。  先日、3,700時間の運転後、1台の掘削機が補修作業のために運搬されて来まし た。摩耗による補修を要していたブーム取付軸部分は、旧来の肉盛溶接等の穴加 工を伴う作業を行った場合は最短で3、4日を要する作業であったものの、エクスパ ンダー・システムによってピン交換がたったの6時間で完了しています。  マスキニアAB社のアフターサービス・マネージャーであるラーズ・マルメン氏 は、同社の純製部品に指定されているエクスパンダーを下記のように評しています。 「従来品のピンより高価ではあるものの、寿命が3,700時間とされる従来品の修繕 時間とそのダウンタイムの損失額を考慮すれば、エクスパンダー・システムに確実 にアドバンテージがあります。しかもエクスパンダー・システムには10年間の製品 保証まで付いています。少なくとも10,000時間は何の問題もなく運転が続けられる と考えていますよ。」 BOLTED 2017年 第 2 号 11
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廃品リサイクル事業は、持続可能な世界を作る事業の最前 線にある。焦点は次第に廃品から新たな材料を生み出し、 資源のマネジメントを行うことへと移行しつつある。 12 BOLTED 2017年 第 2 号
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BIG OPPORTUNITIES FOR SMALL BUSINESS デンマークの企業ヴィゴ・ベンツ社は先日リサイクル業大手、ステナ・リサイクリング社に対し、 同社製グラブバケット用にエクスパンダー・システムの提供を開始。 小規模な事業者でも大きな利益を手にし得る画期的なシステムだ。 文章: 写真: アラステア・マクダフ ヴィゴ・ベンツ社、ノルトロックグループ 規模な事業者にとって、値下が 係を続けています。そこでヴィゴ・ベンツ社は、同社製の 小りが続く金属産業界で利益を確 「オレンジピール・グラブ(写真参照)」と呼ばれるアタッ保しつつ、大口顧客との強固な チメントでエクスパンダー・システムを試験的に採用する関係を維持するのは大変なこ ことをステナ・リサイクリング社に提案します。この種のとです。ヴィゴ・ベンツ社はデン 設備機器は長期間、コンスタントに稼働するため常に摩マーク最大にして最東端の島で 耗や割れの問題を抱えています。結果、ステナ・リサイク あるシェラント島西海岸のヘン リング社はエクスパンダー・システムを採用するに至り、 に本拠を置く企業で、全8名の社員によって解体と廃品の そのことがメンテナンスの回数や規模を縮小する一方、 仕分けサービス、そして関連製品の供給を行っています。 安定性や設備機器の寿命を向上させているとヤコブセ 同社オーナー兼CEOのポウル・エリック・ヤコブセン氏 ン氏は考えています。「エクスパンダー・システムによっ は、事業が現在の形となってから僅か3年後の2006年に て、ステナ・リサイクリング社はコストを削減し続けてい 同社の経営を引き継ぎました。「私が事業を引き継いだ ます。中長期的な視野で事業を捉えた場合、維持費削減 時、当社は主にショベルカーを扱っていたのですが、ある への投資は不可欠です。金属価格の下落によって、この 時気付いたのです。特定の製品だけを扱っていたのでは 市場は今非常にタフな環境ですが、設備機器を長期間 会社として生き残って行けない。もっと取扱製品を拡大し 使用でき、尚且つ維持費を安く抑えることは、自社事業の て競争力をつけなければ、とね。」 持続可能性と利益確保に直結します。これこそ競争の激 しい市場で生き残るために必要なことだと思います。」  こういった背景から、ヴィゴ・ベンツ社にとって変化に 対応する能力は極めて重要なものとなりました。同社の 「長期間の安定稼動が見  今日の市場に持続可能性の高いソリューションを供 売上の半分は、グラップル、バケット、油圧ハンマーやグ 込めるソリューションを手 給することの重要性。ヴィゴ・ベンツ社はそれを熟知してラブ等ショベルカーのアタッチメントパーツが占めてい います。多くの企業が資源のマネジメントや廃品からの ますが、残りの半分は環境事業やリサイクル業関連機器 に入れたおかげで、 資源リサイクルへの注目度を高めつつある中、廃品リサとそのプラントから収益を得ています。同社の取引先は イクル業は持続可能なビジネスの最前線を担う事業で エクスパンダー・システムの主要ユーザーでもあり、ステ 廃品リサイクル業等の す。今や資源の再利用プロセスをより効率的に行えるソナ・リサイクリング社が業界大手の一角を担うリサイクル リューションは、世界中の注目を集め、多くの企業が持続 業が、エクスパンダー・システムにとってどれほど可能性 持続可能性の高い市場に 可能性戦略に取り入れようとしています。設備機器メーを秘めているのかをヴィゴ・ベンツ社は十分に理解して カーが可動部の摩耗という避けられない問題を解決で います。 参入するチャンスが きれば、機器ユーザーが将来に渡って支払って行くコス スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、そ ト負担を大きく軽減できます。また、多くの消耗品や作業 してポーランドという5つの市場で事業を展開するステ 巡って来ました。」 を不要にできれば環境負荷という点でもメリットがあるナ・リサイクリング社は、持続可能性の高い事業を行うこ はずです。ヤコブセン氏によれば、小規模な事業を営む とに強いこだわりを持っており、ヴィゴ・ベンツ社とはボ 企業にとっても、これは相当なメリットです。「我々は製品 ルト等の締結部材において十年以上に渡る長い取引関 ポウル・エリック・ヤコブセン氏 – ヴィゴ・ベンツ社オーナー兼CEO の品質をとても重視しています。それは漠然とした品質 BOLTED 2017年 第 2 号 13
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油圧グラブのような機器は長 期間コンスタントに稼動す るため、可動部の摩耗 も繰り返し発生する。 補修作業とダウン タイムのコストは 看過できるもの ではない。 ではなく、常に最安値で提供するという意味でもあ すると毎回、新規のお問合せを何件かいただくのです。 FACTS: りません。常に抜きん出て素晴らしいサービスを提供す 今後も是非続けて行きたいと思っていますよ。」 る、ということです。小さな会社だからこそ、我々は顧客の THE SOLUTION ニーズに柔軟に対応でき、スピードも速い。顧客だけで  競争の激しい市場で生き残るという点において、価格 顧客: なく我々自身のためにも重要なことです。」 競争は極めて重大なポイントですが、ヴィゴ・ベンツ社は ヴィゴ・ベンツ社 楽観的でありながら非常に現実的に物事を捉えていま エンドユーザー:  ヴィゴ・ベンツ社は既にデンマーク中の鉱物・金属リサ す。ヤコブセン氏にこの質問をぶつけてみました。「その ステナ・リサイクリング社 イクルや建築市場でその立ち位置を確立しており、エク 通り。価格やコストは全てと言っていい。しかし、エクスパ ロケーション: スパンダー・システムの販売代理店となることは、同社既 ンダー・システムにおいては、多くの競合が存在するわけ デンマーク 存のビジネスモデルにも非常に相性の良いものでした。 ではありません。イニシャルコストという短期的なコスト プロジェクト: 現在では同社の年商のうちおよそ20万ユーロ(約2,600 だけでなく、長期間に渡って安定稼動できるソリューショ グラブバケット向けの 万円)をエクスパンダー・システムが占めています。また、 ンを手にしたおかげで、我々は設備機器の一生涯に渡る 可動部摩耗対策品の提供 近年のほぼ全ての企業がそうであるように、全国的な市 本質的なコストに対しての提案が可能となりました。廃 ノルトロックグループ製品: 場シェアが伸びるということは、それだけWeb上での存 品リサイクル等の持続可能性が高いビジネスに参入で エクスパンダー・システム 在感も増して来ます。ヤコブセン氏は同社のWeb上での きる機会が巡って来たのも、そのおかげです。この辺りを 得られたメリット: 取り組みも不可欠なものだと考えています。「我々は現 ちょっと回っただけでも、どれだけの重機が動いている ■設備機器の稼動寿命向上 在、いわゆるソーシャルメディアにも力を入れており、週 かすぐに分かります。この可能性が、我々が将来を楽観視 ■メンテナンス回数の低減 に一度はFacebookに採用事例のストーリーをアップし できる理由です。」そう答えたヤコブセン氏は、穏やかな ■設備機器の安定性向上(ガタつき低減) ています。エクスパンダー・システムの採用事例をアップ 笑みをたたえていました。 ■ダウンタイム(稼働停止期間)の削減 エクスパンダー・システム:維持費削減による持続可能性の向上  持続可能性と費用対効果を重視する、つまり競争 きます。修繕回数や作業に要する設備は大幅に削減 の激しい市場に生きる設備機器メーカーは、長い期 され、メンテナンスコストも安価に抑えられます。特 間安定して稼働できる製品を供給することにフォー にシリンダーロッドの根元やアーム部等、躯体側の カスしています。例えば、廃品リサイクル業における 修繕回数を減免すれば設備機器の寿命も長くなり、 油圧グラブはコンスタントに集積・選別・仕分けとい 稼働時のガタつきを抑え作業の効率も上がります。 う作業を長い間繰り返し、安定して行えなければな  エクスパンダー・システムには欧米を中心に建 りません。結果、応力集中が起こる可動部のピン穴 機、製造プラント設備、オイル&ガス関連機器、トン には摩耗が生じ、ダウンタイムを伴う補修作業を強 ネル掘削・砕石機器、船舶、そして農機において、合 いられます。 計1万モデル以上の重機や工場設備に採用されてお り、現在まで8万箇所以上の可動部に取り付けられ  ただのまっすぐな軸である従来のピンとエクスパ た実績があります。 ンダー・システムの違いは、ブッシュを必要とせずそ 社では2012年からメルセデス・ベンツ社製の全ての のまま取り付けられる点と肉盛溶接やドリルでの穴  廃品リサイクル業のような過酷な作業に従事する トラックにノルトロックホイールナットを使用してい 加工が不要となる点です。つまりそのような補修作業 産業に対して、ノルトロックグループはエクスパン ます。従来のロックナットによるホイール締結で定期 が要らず、現場で誰でも簡単に取付・取外しが行える ダー・システム以外にも様々なソリューションを供給 的に必要だった増し締めが一切不要になり、相当額 ため、ダウンタイムは最大数十分まで大幅に軽減で しています。英国の廃品リサイクル業大手・ビッファ のメンテナンスコストが削減できているためです。 14 BOLTED 2017年 第 2 号
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スポットライト 「日々、新たなチャレンジが待っている」  例えM100サイズのボルトでもトルクレ ンチ1本で締結できる世界初の機械式テン ショナー、スーパーボルトを使いこなすこと において、この米国人マイク・ブルーノ氏の 右に出る者はまずいない。30年以上の昔、 最初期のスーパーボルトを水力発電所の タービンに設置して以降、彼はスーパーボ ルトの製品技術を称賛し続けている。 文章: 写真: チャド・ヘンダーソン ジョン・ケリー あなたは1984年にワシントン州ディアブロ湖のダムで 初めてスーパーボルトに出会いました。その経緯はどう いうものでしたか?  「私は当時、シアトル・シティライト社でマシンエンジ ニアとして働いていました。ディアブロ・ダムの案件で は作業場を出てダム現場へ行き、多くの労働者たちの サポート役となっていました。1984年、ダムの作業者た ちはタービンのステーターからローターにかけての検 査を行っており、ローターを取り外す必要があったの ですが、それにはタービンシャフトに付いたスラストベ アリングも取り外す必要がありました。スラストの軸受 部はシャフトに対し完全に垂直に取り付ける必要があ り、許容される誤差は1000分の1インチ(約0.025mm) 以下です。その精密さが大きな課題でした。 スーパーボルトはそこにどう役立ちましたか?  「当時、軸受部のボルトはいわゆるヒーティングで締 結していました。ボルトを加熱し膨張させた上で締め付 け、熱が自然に冷めるまで一晩待つ、というやり方です。 もし軸受の据わりがシャフト先端に対し垂直になって いなければ、これをもう一度やり直す必要があります。 マイク・ブルーノ氏は 1984 年にディアブロ・ダム案件で初めてスーパーボルトのテンショナーに出会って以来、多くの案件  そこで、ディアブロ・ダムのエンジニア達は当時の で長年愛用して来た。ブルーノ氏は「非常に信頼性の高い製品」と高く評価する。 スーパーボルト社に相談し、この部分のボルトをスー パーボルトに入れ替えました。結果、ヒーティングの長 やはりダムや水力発電所も時代と共に進歩しているの い長いプロセスは不要となり、小さなジャックボルトを でしょうか? FACTS: 締め付けるだけで良くなりました。もし軸受が垂直に  「もちろん大きく進歩しています。我々はアラーム装 マイク・ブルーノ氏 据わっていなくても、反対側のジャックボルトを締め込 置にいくつものPLC(自動機械制御装置)を取り付けて 肩書: んで引っ張れば済みます。作業者にとってまさに“渡り います。我々は現在、計2,500以上のアラームポイント ワシントン州ダグラス郡公共事業管轄区 に船”のソリューションでした。」 を様々なシステムに設置していますが、PLCのおかげ ウェルズ・ダム プロジェクト監督 でより詳細なパラメータを設定することができ、各シス 年齢:60歳 現在あなたはウェルズ・ダム(同じくワシントン州)のプ テム個別の傾向を把握し、比較することもできます。何 居住地:米国 ワシントン州シュラン ロジェクトに携わっています。この案件では何をされてい かの不具合兆候が表れた時にアラームが鳴るようセッ 略歴:ショアライン大学にて産業技術の学位を取得し、 るのですか? トし、実際に不具合が発生する前に対処する、というこ コグスウェル大学でも学ぶ。ワシントン州の公益事業団 体シアトル・シティライト社にて水力発電所の機械工主  「ウェルズ水力発電所計画には、監理監督業務で関 とができるわけです。 任として1990年まで勤務。そして同州のスカジット川水 わってもう17年になります。それでも日々、新たなチャ  また、メンテナンスごとにタービンのボルトをスー 力発電所計画に機械技術管理者として2000年まで従事 レンジや解決すべき問題が次々に出て来ます。大変で パーボルトに交換しています。タービンの軸受台を固 した後、現在もウェルズ水力発電所計画に尽力中 すが、楽しんでいます。給排気、電気系統、設備機器、油 定するボルトやヘッドカバー、他にも大型のレンチで 趣味:3人の娘、2人の孫と過ごすこと。ボウガンでのハン 作業できない狭いスペースで特に重宝しています。非 ティングやゴルフも嗜む圧機器―。24時間休みなくタービンを回すためには、 あらゆるシステムを動かし続けなければいけませんか 常に信頼性の高い製品ですよ。」  ら。」 BOLTED 2017年 第 2 号 15
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ソリューション ダヘル社の新たな放射性物質輸送用コンテナ には極限まで安全性を高めるため、トリプル・ プロテクト構造が採用されている。 原子力の安全を守る トリプル・プロテクト 文章: イラスト: ウルリッヒ・シャマリ ダヘル・ニュークリア・テクノロジーズ社 課題 ダヘル・ニュークリア・テクノロジーズ社は、 います。1 本のボルトがパーツを固定し、またそのボ ドイツのフランクフルト・アム・マインにほど近いハ ルトは別のボルトによって固定され、ノルトロックワッ ナウという町にあり、放射性物質の運搬用コンテナを シャーはその 2 本目のボルトを固定するのに用いられ 開発している企業です。当然ながら、最高レベルの安 ます。各コンテナにはこの方式で固定される 6 つの締 全性が必要です。 結箇所があり、全てにノルトロックワッシャーが取り付  UF6 と表記される六フッ化ウランの運搬用コンテナ けられます。 の新規設計を行っていた時、同社は国際原子力機関 (IAEA)の道路・海上・鉄道輸送に関する勧告を含 結果 ノルトロックのウェッジロッキング機構によっ めた国内外での極めて厳格な規制に対応する必要が て、ダヘル社の原子力産業用輸送コンテナのボルト ありました。コンテナがこれらの規制に対応するには、 締結は、振動や荷重に晒されても一切の緩みとは無 例え輸送中に事故に遭ってもその衝撃、圧力、熱等 縁のものとなりました。同社にとっては、緩み対策に に耐えるものでなくてはなりません。 ノルトロックワッシャーを用いることで複雑な設計変  事故によって発生し得る負荷は、120 センチの高さ 全ての締結箇所は2段階のボルト締結で構成される。本コン 更を行うより遥かにコストを抑えられたことと、誰でも からの落下、9 メートル落下、そして先の尖った地面 テナの安全性を支えるノルトロックは1本目を支えるキーとな 簡単にメンテナンス作業を行えることも大きなメリット る2本目のボルトを固定する役割を担う。 への 1 メートル落下を含む一連の試験によって定義さ となりました。必要なら、ノルトロックワッシャーはい れます。それでもコンテナは、次に受ける耐熱試験で 脱落を起こさない設計を実現すべく動き出しました。 つでも取り外してコンテナの状態が万全かどうか確認 火炎に脅かされることのないよう完全に密封されてい 同社はここに高い優先度を付け集中的に研究を行い、 できるのです。同社の新型コンテナの寿命は 30 年と なければならないという、厳格極まる試験に合格する 254SMO 製のウェッジロックワッシャーであるノルト 設定されています。それは同時に、ノルトロックワッ 必要があるのです。 ロックに辿り着きます。今 NL16ss-254 の品番が付い シャーが 30 年に渡ってこのコンテナを十分に支え続 たこの製品は、ダヘル社のトリプル・プロテクト・ロッ けられることがお客様に認められたことをも意味して ソリューション ダヘル社はボルトが一切、 緩み・ ク構造(図参照)において不可欠なパーツとなって います。 16 BOLTED 2017年 第 2 号
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outlook What is going on in the world of bolting ボルト締結業界で世界初の 製品生涯保証を実現  ノルトロックグループが新たに開始したライフタイム・ワラン ティ・プログラムによって、グループ内各社の製品は今、各市場で 最も包括的な製品保証を有する製品となりました。  「我々は世界で初めてノルトロックのウェッジロック機構、スー パーボルトのマルチ・ジャックボルトテンショニング機構、エクス パンダーの拡張ピボット機構を開発した企業です。そして今、ボル ト締結業界において世界で初めて製品の生涯保証を開始した企 業になりました。」ノルトロックグループCEO、オーラ・リングダウ ルは本誌取材に対し「これは私たちにとっても非常に勇気が必要 な、しかし重要なステップでした。これからもボルト締結のトップ カンパニーとして、この旅を続けて行きたいと思います。」と語っ ています。  ノルトロックワッシャーとスーパーボルトのテンショナーは現 在、一旦締結された後の一生涯に渡ってその締結機能が保証さ れています。  ライフタイム・ワランティのコンセプトは、グループ内の他の製 品で も反 映されています。エクスパ ン ダー・システムのピンには、業界内最長と なる10年間または10,000時間稼動での 機能保証が付与されており、ボルタイト の油圧式ボルトテンショナー標準品では 業界の製品保証の基準となる線引きを 行いました。ボルタイト製品は現在、3年 間または10,000サイクル使用の機能保証が付与されています。  オーラ・リングダウルはこう続けます。「ライフタイム・ワランティ を発表することは、私たちが如何に品質を重視しているか、そして 自信をもっているかを明確にするものでもあります。世界で初め てライフタイム・ワランティを始められること自体が、ノルトロック グループの製品が世界最高の品質を有していることの証となって いるのです。」  ライフタイム・ワランティ・プログラムは本年2017年、ドイツの シュツットガルトで開催されたボルト締結業界世界最大の展示会 「ファスナー・フェア」にてコンセプトが表現されたロゴと同時に 正式発表されています。 ニック・タウンセンド 「ライフタイム・ワランティを 始められたことで、私たちが 絶対的に重視している “品質”を明確にお客様に ご理解いただきたい。」 オーラ・リングダウル – ノルトロックグループCEO BOLTBEODL 2TE0D1 7#年 1 第 220号14 17
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outlook What is going on in the world of bolting スーパーボルトが変革する 製鉄所熱延設備の締結  JFEスチール 西日本製鉄所は、2,510万㎡の敷 要領で、油の付着した仮設の足場の上で最低3名 地面積を誇る世界最大級にして最も先進的な製 の作業者が分銅を引き、1名が支える打撃レンチ 鉄所です。全ての製鉄所がそうであるように、製鉄 に打ち付けることで巨大なナットを締めこんで行 所内の作業環境には事故発生の危険性が常に存 くというものです。この作業はクレーンのオペレー 在します。中でも熱間圧延と呼ばれる圧延工程は、 ターを含めて最低5名が必要で、ボルト1本当たり 鉄の再結晶温度である450℃以上の温度で鉄を薄 の締結に1時間を要します。また、いくつもの安全 く鍛え上げる過酷な環境となります。だからこそ、 面の課題を抱えた作業でもありました。 JFEスチールは作業の効率化だけでなく安全性向  しかしスーパーボルトの採用以降、ボルト1本当 上の取り組みを日々積み重ねて来ました。 たりの締結時間は単独作業で15分で完了し、事故  近年まで、西日本製鉄所 倉敷地区のM100を超 リスクも全て解消することができました。1組の減 える熱延設備の減速機とピニオンスタンドのボル 速機とピニオンスタンドで合計8本あったボルト なく福山地区、そして知多製造所でもスーパーボ ト締結には、天井からクレーンで吊るした300KG の締結作業時間は大幅に短縮され、安全性と生産 ルトが採用されているということが、その効果の証 もの分銅を打撃レンチに打ち付けるという方法以 性向上に留まらず、熱延設備の運転停止時間も大 しと言えるでしょう。 外に選択肢がありませんでした。お寺の鐘つきの きく削減されています。事実、この倉敷地区だけで 岡田 圭佑&ニック・タウンセンド 18 BOLTED #2 011 72年01 第4 2 号
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全ての技術を結集し、次のステージへ  スーパーボルトは米国の鉄鋼業界で生まれ、1970 VersaTite EzFit HyFit 年代から数多くの革新的なボルト締結ソリューション ヴァーサタイト イージーフィット ハイフィット をあらゆる産業に供給し続けて来ました。スーパーボ ルトがノルトロックグループの中で成功を収めて来た 理由は、お客様が抱える課題を知り、その実際的なソ リューションを市場に供給し続けて来たからです。  2016年12月に発表されたHYFIT(ハイフィット)と VERSATITE(ヴァーサタイト)は共に、スーパーボルトの 伝統である多様性を具現化したものです。スーパーボ ルトの機械式テンショナーであるマルチ・ジャックボル トテンショナーは1984年から現在の形で販売されてお り、特定の技能や重量のある工具を使用せずに機械的 に大径ボルトを高精度で締結して来ました。HYFITは油 HYFITはガスや蒸気タービン、舶用エンジン等の高速  VERSATITEはその名の通り、油圧式・機械式どちら 圧式のエクスパンションボルトとして、VERSATITEは機 で回転するカップリング向けのボルトとして理想的な でも使用環境下で都合の良い方で締結・取外しが行え 械式・油圧式のどちらでも締結・取外しができる製品で 製品です。従来の所謂リーマボルトでは非常に緻密な る世界初のハイブリッド・テンショナーです。油圧式テ す。誰でも簡単に取付・取外しが行え、安全で高効率な カップリングの穴合わせが必要で、取付・取外しの作業 ンショニングの締結スピードと、スーパーボルトの締 作業を実現することで、お客様のダウンタイムを世界 は共にかなりの長時間作業となり、多額の機会損失を 結精度を併せ持つ本製品は、2016年12月に米国で開 中で削減することができるものです。 伴う長いダウンタイムを要す上、ボルト穴との僅かな 催された世界最大の電力業界の展示会「POWER-GEN 隙間のためにカップリング部自体が損傷を受けること INTERNATIONAL」での発表以降、より多くの産業に適  スーパーボルト エクスパンションボルトのグローバ もあります。」 合するよう開発・改善が進められて来ました。「我々ノ ル・プロダクトマネージャーであるスティーブ・ブラウン  HYFITとEZFIT(スーパーボルト エクスパンションボ ルトロックグループにとって、VERSATITEのようなハイ は、両製品の利点をこのように説明してくれました。「機 ルトより改称)は共に、一旦取り付けると長期間メンテ ブリッド製品の開発は、今まで存在しなかった次世代 械式か油圧式か都合の良い方を選べるということは、 ナンスを必要とせず、高い信頼性で強固に締結を保持 ソリューションの開発という新たなステップなのです。」 数多くの産業で計り知れないメリットとなります。また、 できるよう設計されています。 (スティーブ・ブラウン) アラステア・マクダフ 新作動画は鉄道保全の使命にスポット なります。動画ではノルトロックを採用し アイルランド鉄道車両保守の てアイルランド鉄道が実感した生の声、 コナー・ドイル氏は「ノルト そして鉄道の安全を守る誇り高い人々の ロックを使い始めて、ボルトの 日々の努力にスポットを当てています。 緩みは一切なくなった。アイル ランド鉄道の安全性は確実に 向上した。」と語る。 アイルランドの国有鉄道会社であるアイ ルランド鉄道は、同国内で鉄道事業を展 開すると同時に、ダブリンから北アイルラ ンドのベルファストまで運行路線を保有 しています。  アイルランド鉄道の車両保守を担当す るコナー・ドイル氏は作中でこう語ってい ます。「ノルトロックを使い始めて、ボルト の緩みは一切なくなった。安全性の確保 という点で大いに満足しているよ。ワイ ヤーロックはすごく時間を喰う。これに比 べてかなりのコストを削減できたことも 大きかった。ノルトロックワッシャーには 確実な安全性があり、再利用もできる信 頼性の高い製品だよ。」  ノルトロックグループの新作動画は非 道が台車の軸箱においてワイヤーロック アラステア・マクダフ 常に見応えのある、多くの方々にご覧い で固定されたボルトの緩みを経験し、2 ただきたいものとなりました。YOUTUBE 年前からノルトロックの使用を開始する のノルトロックグル ープチャンネ ル に までのストーリーが語られます。振動に 本動画は弊社Webサイトでもご覧いただけます アップされた本動画は、アイルランド鉄 起因する緩みは安全性の大きな脅威と www.nord-lock.com/irish-rail BOLTBEODL 2TE0D1 7#年 1 第 220号14 19
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HAPPY ENGINEERING 今まで誰も想像しなかったものを創り出す。それがどういう ことなのか、私たちは知っています。そして評価され、注目を 集めることが更に技術開発を推進する原動力となることも。 人間は、不可能なことなど何もないと信じることで、世界を 変えることができるはず。この世界には不可能と思えるほど 難しいボルト締結の課題に挑むため立ち上がった技術者も、 きっといます。 だからこそ私たちは、物事を革新し、限界に挑戦することを 恐れず前へ進もうとする人々が、世界を支えるインフラを もっと安全なものとする新技術を見出す後押しをしたい。 私たちは世界で初めての技術を開発し、世界で初めてその 全ての技術に製品保証を設けました。エンジニアが数十年 先の未来を形作る技術を開発する、その支えとなるために。 THE INDUSTRY’S FIRST FULL LIFECYCLE WARRANTY