このカタログをダウンロードして
すべてを見る

ダウンロード(1.8Mb)

Industry4.0・IoTナビVol.2ダイジェスト版

ホワイトペーパー

インダストリー4.0、IoTに関する各種情報をまとめた小冊子の第2号抜粋版

Industry4.0・IoTナビVol.2は、FAや電機制御を中心としたものづくりの専門紙オートメーション新聞がまとめた、インダストリー4.0やIoT、スマートファクトリーのムック本です。
第1号に引き続きインダストリー4.0、IoTのキープレイヤーとされるベッコフオートメーション、マイクロソフト、アマゾンなどのインタビューや、日本の中心的存在であるNEC、富士通のインタビューなど、盛りだくさんの内容です。


※ダウンロードされたお客様の情報は弊社プライバシーポリシーに則り協賛企業へ共有させていただきます。あらかじめご了承下さい。

【協賛企業】SAPジャパン株式会社/B&R Industrial Automation株式会社/ベッコフオートメーション株式会社/EPLAN Software&Services株式会社/アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社/日本マイクロソフト株式会社/アンフェノールジャパン株式会社/NKE株式会社/沖電気工業株式会社/スワロー電機株式会社/日東工業株式会社/リタール株式会社/北陽電機株式会社/日本電気株式会社/IDEC株式会社/日本ナショナルインスツルメンツ株式会社

このカタログについて

ドキュメント名 Industry4.0・IoTナビVol.2ダイジェスト版
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 1.8Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 オートメーション新聞社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

この企業の関連カタログ

オートメーション新聞_2021年2月17日号
その他

オートメーション新聞社

産業用ロボットナビ Vol2 ダイジェスト版
ホワイトペーパー

オートメーション新聞社

産業用ロボットナビ Vol.1 ダイジェスト版
ホワイトペーパー

オートメーション新聞社

このカタログの内容

Page1

別冊 Industry4.0-IoTナビ Industry4.0, IoT, Industrial Internet, Smart Factory Vol.2 2016年 動き出した インダストリー4.0 ー第4次産業革命の夜明けー インタビュー 日本マイクロソフト、富士通、NEC アマゾン データ サービス ジャパンなど Smart Factoryの実現 現場から見た実態と課題 FAプロダクツ 貴田義和 人と現場を強くする日本流IoT「FOA」 遅れている日本政府の取り組み 電気設計業界におけるインダストリー4.0 制御システムのIoT化と開発環境の課題
Page2

インダストリー 4.0—IoT ナビ Vol.2 インダストリー 4.0—IoT ナビ Vol.2 I N D E X Smart Factory の実現 現場から見た実態と課題 ……………………………………………………………………… 1 〜 2  FA プロダクツ 代表取締役社長 貴田義和氏 ノウハウを通貨のように流通させるインダストリー 4.0 ……………………………………………………………… 3 〜 4  ベッコフオートメーション 代表取締役社長 川野俊充氏 インダストリー 4.0 日本製造業の目指すべき姿 ……………………………………………………………………… 5 〜 6  FA ナビ 代表取締役社長 天野眞也氏 人と現場を強くする日本流のIoT ……………………………………………………………………………………… 7 〜 8  smart-FOA 代表取締役社長 奥雅春氏 中小製造業の【実行する Mini-Industry 4.0】 ………………………………………………………………………… 9 〜 10  アルファ TKG 代表取締役社長 高木俊郎氏 IoT とデジタル化が引率する製造業の変革とマイクロソフト……………………………………………………………… 11  日本マイクロソフト 第一インダストリー統括本部   インダストリーソリューショングループ 製造インダストリーマネージャー 武本大作氏 富士通。IoT をベースとした「次世代ものづくり」提案 ………………………………………………………………… 12  富士通 ものづくりビジネスセンター長 鎌田聖一氏 NEC の次世代ものづくり~ Industrial IoT の実践~  …………………………………………………………………… 13  NEC 第一製造業ソリューション事業部バリュークリエイション部 部長 関行秀氏 製造業にもクラウド活用の波 スモールスタートとコストダウンを実現 ……………………………………………… 14  アマゾン データサービス ジャパン 事業開発部マネージャー 榎並利晃氏 電気設計業界におけるインダストリー 4.0 の取組 ……………………………………………………………………… 15  EPLAN Software & Services 代表取締役社長 仁藤慎哉氏 産業インフラの無線化プラットフォーム 920Mhz 帯 …………………………………………………………………… 16  OKI 情報通信事業本部 企業ソリューション事業部   スマートコミュニケーション・ビジネスユニット ビジネスユニット長 山本高広氏 B&R に見るスマートファクトリーの実践と成果 ………………………………………………………………………… 17  B&R Industrial Automation 代表取締役社長 小野雅史氏 デジタルファクトリーの実現に向けて ~今改めて考える MES の導入~ …………………………………………… 18  SAP ジャパン ソリューション統括本部 S/4HANA ソリューション部  ソリューションスペシャリスト 朝井由記氏 制御システムの IoT 化と開発環境の課題 …………………………………………………………………………………… 19  日本ナショナルインスツルメンツ マーケティング部  シニアテクニカル マーケティング マネージャー 岡田一成氏  遅れている日本政府の取り組み 日本再興の要は製造業である ………………………………………………………… 20  参議院議員 山田太郎氏 製品紹介 IDEC /アンフェノールジャパン/ EPLAN Software & Services / NKE / OKI / …………… 21 〜 23      スワロー電機/日東工業/ B&R /ベッコフオートメーション/北陽電機/リタール インダストリー 4.0-IoT ナビ Vol.2  発行所:オートメ新聞株式会社 発行日:2016 年 4 月 18 日 価 格:1000 円+税 〒 105-0014 東京都港区芝 2-3-21 花芝園ハイツ 801  電 話:03-5443-7830  FAX:03-6800-3781 メール:info@automation-news.jp オートメーション新聞WEB 版 http://www.automation-news.jp/
Page3

寄 稿 Smart Factoryの実現  現場から見た実態と課題 FA プロダクツ 製造ラインにおける自動機製作から、データ収集・MESの構築や ERP 連携、さらには PLM におけるエンジニアリングチェーンの確立までを事業の柱とする FA プロダクツ。 高度な製造現場・設備の知見と、IT 開発の両方を兼ね備え、一気通貫で Smart Factory の導入実践をサービス提供できる数少ない企業として注目されている。同社代表でこの分 野の第一人者、貴田義和氏が現場視点での Smart Factory 実現における実態と課題、将 来の展望を解説する。 貴田 義和 代表取締役社長 日本の製造業における Smart Factory 化の実態 トが実際に動き、実証フェーズに入っている。しかし先に述べ た通り、多くのプロジェクトが見える化の段階でつまずいてい ■ Smart Factory 実現のステップ る。そのため、当社にも自動車、金属、三品(食品、薬品、  Smart Factor 実現における全体像と 5 つのフェーズをま 化粧品)、重工業、家電など大手企業を中心に多数の相談を とめてみた。 いただき、大小様々な実案件のお手伝いをさせていただいて いる。  つまずきの要因は大きく3つあると考えている。ひとつは 製造現場・設備と IT 開発両方の知見を兼ね備えたスペシャリ ストが社内にもシステムベンダーにもなかなかいないことだ。 見える化実現のためには、生産設備や人・部品等のデータを 吸い上げデータベース上で一元化する必要がある。しかし生 産現場のデータを理解し様々な方法で吸い上げる役割の部署 と、データベースを構築し一元化されたデータを活用できる ようにインフラに乗せる事ができる部署は異なる。外部ベン ダーに委託する場合も詳細の要件定義や指示が弱くなり、や りたい事がベンダーの能力に依存してしまう。 スマートファクトリー全体像  また、外部企業の相談先も少ない。装置ベンダーは IT 系 開発に弱く、IT 系ソフト開発ベンダーだと逆に製造に関する 知見が少なくデータの仕分けや吸い上げる手法が弱い。さら に機器・ソフトウェアメーカー等に相談した場合は、その企 業の製品が提案の中心となってしまい、課題解決に最適なア プローチを阻害してしまう場合が多い。製造ラインの自動化 技術は日本が誇るべき強みであるが、ワンストップでサービ ス提供ができる企業がまだ少ないのが実態だ。   もうひとつの課題が、多様な形でかつ膨大にある現場の情 報から、必要なデータを仕分け、必要なかたちのデジタルデー タにする壁だ。解決したい Goal →要素となる KPI →必要な 現場のデータの抽出→どう吸い上げるか・・  何もかもあらゆるデータを取得すればいいわけではなく、 スマートファクトリー実現のステップ 統一化されていない属性で格納されている膨大な種類のデー タから本当に必要なデータを探し出す作業は非常に専門性も  各社・各事業所それぞれ実現したい Goal は様々だが、大 高く、工数もかかる。対象となる機器(センサ・計測機・PLC 等) きく「稼動管理」「品質管理」「在庫・人の管理」の 3 つに集 もメーカー・形式が現場には入り乱れており難易度を上げる 約されているようだ。しかしいずれの Goal へ向かうにしても 大きな壁となっている。 フェーズ1の「見える化」は必ず避けて通れないステップであ り、大きなコストと工数がかかる一番大きな壁がスタートか  さらに、リアルな生産関連データを「見える化」されるこ ら立ちはだかる。事実数多くのプロジェクトがこのスタートで とへの「現場の抵抗」もある。長年、勘と経験ですすめてき つまずいているようだ。 た現場の場合、この手の取り組みにはアレルギー反応があり、 見える化自体に否定的だ。 ■本格的に動き始めた Smart Factory 化プロジェクト  「IoT」「Smart Factory」「Cyber Physical System」  このようにプロジェクトのまさにフェーズ1であるこの「見え など、会社によってキーワードは様々だが、各社のプロジェク る化」こそが、一番の高い壁となっておりどの企業も苦労を — 1 —
Page4

インダストリー 4.0—IoT ナビ Vol.2 している。しかし大前提としてこの問題をクリアしないことに る生産シミュレータ技術との連携が注目されている。 は一歩も前に進まない。まずはスモールスタートでも良いので、  シミュレータを用いた最新の「稼動管理」の活用事例をあ 各部署の連携を進め成果を積み上げることから進めている会 げる。主に生産シミュレーターは新規工場やライン導入の際 社が結果大きな成果を生み出せていると思う。 に PC 上で仮想ラインを構築し、成立性を検証する事に活用  我々も調査やデータ分析・改造・工事等製造現場の部署と されている。様々なインターフェイスも開発されたことから現 の連携は「見える化」には必要不可欠でありどの案件でも慎 場の吸い上げたデータの分析結果を活用した、自立的なコン 重に進めることにしている。 トロールの仕組みを構築する良いツールとして活用されてい る。 Smart Factory 実現のために  通常 ERP からの計画データを MES が各製造工程に製造  Smart Factory 化の目的として「稼動管理」「品質管理」 指示をする。この ERP と MES の間に生産シミュレーターを 「在庫・人の管理」の 3 つに大別される。しかし言葉だけ見 オンラインでつなぎ、都度計画データと実際の現場データの ると、日本の製造現場でそれらを取り組んでいない会社はな フィードバックデータを学習し、現状の現場に最適な指示デー い。また、「うちは 10 年前からトレーサビリティ管理に取り タを作成し受け渡すというシステムを構築する事で、仮想と 組んでいるけど、スマートファクトリーとか IoT なんて、何を 現実をつなぎ(デジタルツイン)生産性を本当の意味で最適 いまさら・・・」という声もよく聞く。では、この意識の差 化することを可能にする。 はどこからくるのか?  また、フィールドレベルで使える製品も開発が進んでいる。 ■従来との違い リアルタイムにデータを処理し人工知能技術をベースとした  まず一つ目の「稼働管理」。実は従来の「稼動管理」と 簡単な開発環境提供するメーカーも出てきて、製造現場にお Smart Factoryが実現する新しい「稼動管理」は全く別物だ。 けるリアルタイムの異常検知、予兆保全を実現している。実 従来の稼動管理は生産能力の把握を行うのがメインの活用方 際に工場ではセンサ情報と人工知能を活用した実証実験を実 法だった。しかし、新しい稼動管理は本質的な停止要因を分 施、極めて高い異常検知に成功している。 析し、リアルタイムに「コントロール」する事を意味する。分 析結果を PLM や基幹システムと連動し、最適な生産計画や 順序・人の配置や作業内容を実現する。  「品質管理」も同様だ、新しい品質管理では検査データの 保存だけではなく、様々な生産過程のデータを取得し、各種 傾向値を分析。最終的には設備にリアルタイムフィードバック を行い設備をコントロールする。結果として品質の向上とそも そも不適合品自体を出さないラインを実現する。  新しい在庫管理では、入口と出口での在庫管理だけでは なく、中間在庫や仕掛品のロケーションまで管理、先の「稼 動管理」のデータと連動し、適正在庫や適正な人員配置を 工場内ネットワーク図 計画できる。これら 3 つを実現するためにはやはりデータの 見える化が必須でファーストステップとして避けて通ることが ■日本の製造業復権のために できない。  Smart Factory の実現は製造業のグローバル化に伴い、 避けては通れない。繰り返しになるが、製造現場と IT の知 ■見える化の先にあるもの 見両方を持った人材やベンダーの不足が、Smart Factory  取得したデータをどう活用するのか?どんな分析、解析ソ 実現を拒む要因だと考えている。政府にはこの分野の人材育 フトがあるのか?と良く質問をいただく。最近ではビックデー 成や実証実験にもっと予算をつけ、是非施策を打ってほしい。 タを AI(人工知能)で瞬時に分析する事などが注目を浴びて そして、企業には見える化により第一歩を踏み出し、生産性 いるが、多くの実績・成果を上げているものはまだ現れてい 向上を実現して欲しい。そのことにより日本の製造業が競争 ない。そこで、一番取り組みやすく、以前より多くの実績があ 力を再び取り戻し、製造業が復権すると考えている。当社は そのために全力で取り組んでいこうと考えている。 ■プロフィール 貴田義和(きだ よしかず) 株式会社FAプロダクツ 代表取締役社長 株式会社キーエンスに入社。17 年間あらゆる現場でのセンサ・制 御機器・計測機器のコンサルティング販売経験を活かし、2009 年FAナビグループのモノ作りエンジニアリング部門である株式 会社FAプロダクツを設立。日本の根幹産業である製造業に革 新的なモノ作りのシステムを広める事で、今一度世界で勝てる 製造業の復活の一翼を担う事を経営理念に掲げる。現在多数の 企業の IoT 化プロジェクトに参加をし、システムのコンサルティ ングから設計・開発・導入までを一気通貫で提案をおこなって いる。Smart Factory の導入事情についての質問は info@fa- products.jp まで。 シミュレータを活用したデジタルツインの実現 — 2 —
Page5

寄 稿 ノウハウを通貨のように流通させる インダストリー4.0 ベッコフオートメーション インダストリー 4.0(以下 I4.0)やインダストリアル IoT(以下 IIoT)の取り組みを進めて いくにあたり「必要なインフラ投資の合理的な経済効果を示せない」「オープン戦略におけ る競合優位性をどう確立して良いか分からない」。I4.0 関連の講演を行うと最近はこうした 相談を受けることが多くなった。 川野 俊充 代表取締役社長  2014 年の春頃から日本でも独 I4.0 への関心が高まり、 「新規市場」を「既存製品を海外で売ること」と捉えてしま 同時期に米 IIC が設立された事も相まって、一般ビジネス うと、なかなか解は見つからない。 雑誌やテレビのニュースでも「第4次産業革命」という見 出しが躍っている状況だ。近年の産業系の展示会では必ず  2015 年 の 3 月 に 最 終 報 告 書 が 公 開 さ れ た「Smart これが主要テーマとして取り上げられているのは周知のと Service Welt:スマートサービスの世界」はこれを考える おりだ。 上で参考になる。この白書は「インダストリー 4.0 提言書」 を取りまとめた acatech のカガーマン氏が率いる Smart  ビジネスモデルを見出せないという冒頭の相談は、I4.0/ Service Welt Working Group が や は り 取 り ま と め を IIoT に対する関心が一過性の流行モノである「バズワード」 行った言わば「インダストリー 4.0 のビジネスモデル提 を通り越して、日本企業が具体的に取り組みを始めた証拠 言書」であり、スマートサービスの新しいビジネスモデル だ。「20 年前からスマートファクトリーに取り組んでいる と具体例が、今後必要となる社会的なインフラ要件と共に ため新鮮味がない」「自社のエコシステムで実現できている 100 ページ以上にわたって記述されている(http://goo。 ので参考にならない」といった当初耳にタコができるほど gl/69MNDZ)。 聞かされた否定的なコメントを近頃全く聞 かなくなったのも業界の I4.0 に対する理 解が進んだことを示している。  冒頭の相談者は大手企業の新規事業の新 設部署の責任者などであり、経営者からの 勅命で日本での「つながる活動」である IVI や RRI や IoT 推進フォーラムなどに参 加し、新規ビジネスの立ち上げに奔走して いることが多い。目下の課題は「ビジネス モデル」である。  I4.0/ IIoT の ビ ジ ネ ス に は evolution (進化:効率改善)と revolution(革新: 価値創造)の二つの側面があると言われて I4.0 でのスマート生産サービスとして提唱されている技術情報のマーケットプレイ いる。前者は ICT を活用して製造業にお ス。要は「App Store for Machines」である。 けるカイゼン活動を促進するもので、日本 企業にとっては言わば十八番のビジネスだ。一方で、欧米  この白書で提示されている「技術情報のマーケットプレ では現場力に依存するカイゼン活動は必ずしもうまくいっ イス」と銘打たれた事例が、センサーなどから得られたデー ているわけではないため、センサーなどを効果的に活用し タやノウハウを価値として市場化する新しいビジネスモデ た「デジタルかんばん方式」の導入に期待が集まっている。 ルだ。この例では工作機械などのセットメーカが装置をユー ザに売るという従来のビジネスに加え、装置に備えられた  現場が優秀な日本ではデジタル化の力を借りずともこれ 各種のセンサーから得られる特定の加工条件を加工プロセ は既に実現できているため、「今更センサーやカメラやデー スなどと合わせ、これを新たな付加価値として取引できる タベースやアルゴリズムを入れる追加投資のメリットを見 新市場の創出を提案している。 出せない」のは当然かもしれない。そこで経営者は「『価値 創造』に注力せよ、『新規市場』を立ち上げろ」となるわけ  「現場に根付くノウハウをデジタル化してオープンにした だが、単純に「価値創造」を「既存製品への付加サービス」、 ら競合優位を保てるはずがない」のはこのノウハウをマネ — 3 —
Page6

インダストリー 4.0—IoT ナビ Vol.2 タイズするための「取引の場としての市場」がこれまで存 キングアプリ」がメーカやモデルに依存しない「ユニバー 在しなかったからだ。特定の材料を特定の形状や精度で加 サルアプリ」としてアプリストアから選び放題だったら、 工するための難しい条件はこれまでノウハウとしてユーザ 仮にひと摑み 3 円の従量課金制だとしても皆こぞって活用 の競合優位性の源泉とされてきたが、材料や装置の特性を するはずだ。それほど一品モノの作り込みに依存している 逐次交渉してサプライヤーから情報開示を受けたり、場合 のが業界としてのグローバルな悩みなのである。他にも一 によっては自らのノウハウを開示した上でセットメーカに 発目から良品を打ち出す射出条件を編み出してくれる学習 装置を改良してもらい、ノウハウを練り上げることで日本 済みの深層学習アルゴリズムがクラウドサービスとして使 の製造業は競争力を確立してきた。 えたら、射出成型機を使う現場からムダとなる樹脂材料を 一掃できるかもしれない。  こうしたノウハウはその構成要素が擦り合わされてし まっているため実態が不明確で真似されにくい。ただ、そ  技術力のある中堅・中小の企業はこうした機械生産によ れが故にそのノウハウを活用して製造した部品を販売する る製品を作り続ける一方で、受注が生産能力を超えてしまっ しかマネタイズの方法がないため、特定部品の需要に業績 たり、先進的な加工などにフォーカスしたくなったら、こ が極端に依存し、ビジネス基盤が不安定でスケールしない。 れまでのノウハウをセキュアにブラックボックス化した「ア 「技術力はあるのにビジネスが弱い」企業にはこうした構造 プリ」として「App Store for Machines」で売り出して 的な課題があるように見受けられる。 しまえば良い。こうすることで利益率が高くスケールする ビジネスの柱を追加することができると いうわけだ。  ポイントは、しかるべき標準化が進み、 共通のアプリストアが使える機械がクリ ティカルマスを超えることである。この 分野でデファクトスタンダードを狙い一 社で世界制覇を目指すのが米国流のアプ ローチで、デジュールスタンダードを狙 い国や欧州という単位でプラットフォー ムを狙うのがドイツ流のアプローチと見 てよい。ちょうど iOS と Android の構図 と似ている。 ノウハウは技術情報として個別に提供されたり生み出されたりするが、個別に取引され  いずれにせよ、I4.0/ IIoT により、こ るわけではない うした産業機械用のノウハウを「アプリ」 として通貨のように取引ができる新たな  センシング技術を駆使して様々な加工ノウハウを構成要 市場がクラウド上に生まれてくると競争原理が変化する。 素ごとにデジタル化し、セキュアにブラックボックス化し ただ、そこで高い競争力を発揮できるのは、役立つ「アプリ」 た上で再販できる「技術情報」として規格化できれば、ユー の源泉となる高度なノウハウをたくさん蓄えている日本企 ザも材料メーカもセットメーカもこれを対等に取引できる 業ではないだろうか。 新たなパートナーシップを形成できる可能性がある。スマ ホのアプリストアのようなものだとイメージすると理解し やすいかもしれない。  例えば、工作機械ではポケット加工用のスクリプトなど をユーザが色々と作り込んで活用しているが、こうした「ア プリ」のプログラミング工数や管理工数は、その付加価値 以上にコストが嵩んでしまっているのが実情であることが 多い。機械のメーカやモデルが変わると流用できなかった ■プロフィール川野 俊充(かわの としみつ) り、外注しようとしても適切な外注先が見つからないこと ベッコフオートメーション代表取締役社長。 もインテグレーター不足が顕著な日本では深刻な問題だ。 1998 年東京大学理学部物理学科卒業、日本ヒューレット・パッ カード株式会社入社(半導体計測機開発エンジニア)。2003 どうせ人手不足になるのだから付加価値の出しにくい作り 年、カリフォルニア大学バークレー校 ハース経営大学院経営学 込みは工数をかけて内製するよりも買える方が本質的には 修士、日本ナショナルインスツルメンツ株式会社入社(プロダクト 合理的な選択肢である。 事業部事業部長)。07 年から慶應義塾大学 SFC 研究所上席所員。11年からベッコフオートメーション株式会社代表取締役社長。 現在「EtherCAT」開発元のベッコフにて、ソフトウエア PLC/  産業機械の「アプリ」はどの分野でも同種の構造的な課 NC/CNC の TwinCAT による PC 制御ソリューションの普及に努めている。 題を抱えている。例えば産業用ロボットの「ばら積みピッ — 4 —
Page7

インダストリー 4.0—IoT ナビ Vol.2 インタビュー NECの次世代ものづくり  ~Industrial IoTの実践~ NEC システムインテグレータであると同時に、メーカーでもある NEC。2015 年 6 月には、 IoT を活用した次世代ものづくりソリューション「NEC Industrial IoT」を発表し、業界 の注目を集めている。NEC 自社工場での取り組みを中心に、製造業における IoT 活用事 例を NEC 第一製造業ソリューション事業部バリュークリエイション部、関 行秀部長 に話を聞いた。 —NEC Industrial IoT について教えてください  製造業はグローバルな競争環境におかれている。さらに 日 本 で はドイツの Industrie4.0、 アメリカの Industrial Internet Consortium の動きに見られるように、「標準化・ 規格化」「海外顧客からの要求」「グローバルな協業」などが 求められている。NEC Industrial IoT は「現場・現物・現状 のデジタル化」「見えない・隠れた世界を見通す」「IT と OT の連携」「製品・サービスのスマート化」の4つの IoT 活用ポ イントに対して、NEC が強みを持つ画像認識、ビックデ ータ分析、SDN(Software-Defined Networking:ネット ワーク仮想化技術)を活用したソリューションを体系化したも ものづくり経営ダッシュボード(経営) のだ。これらを通じ「つながる工場」「つながる製品」を実現し、 日本の製造業の競争力強化に貢献するのが目的だ。そこには 当社の生産革新活動のノウハウも活用される。 —NEC で取り組んでいる具体例を教えてください  IoT 導入の前提として、グローバルに点在する拠点において 共通システム基盤を構築し、情報の一元化に取り組んでいる。 また、製品自体の IoT も推進し、安心・効率的な運用サービス の提供も進めている。生産ラインでもヒト、モノ、機械から情 報を取り込むことで、品質や生産性向上に活用をはじめている。  生産現場での具体例では収集したデータの見える化があげら ものづくり経営ダッシュボート(工場長) れる。経営者は経営判断に必要なサマリ情報、工場管理者は 工場運営に必要な生産状況など、階層(用途)に応じて見た い情報は異なるため、情報元は同じでも、それぞれに最適な 見え方ができるようにしている。また、センサなどでの情報収 集がしにくい人手で行われる工程でも、カメラで撮像した動画 から異常作業を自動検出できるシステムを開発、不良発生の可 能性をその場で検出するほか、熟練者の作業と比較すること で作業改善、作業者教育を行い、品質向上に役立てている。 —導入前後で変わったことは?  状況が見える事によって、マネジメントの行動や現場の作業 に変化があった。例えば工場内のいわゆる「水すまし」につい 異常作業検知 ても、これ以上効率化できないだろうと思っていたが、動線 場のライン別の稼働率・負荷見込みをすぐに把握したいという 情報をデジタル化することでさらに改善ができた。また、検 要望があり、現場管理者は現場改善のためのデータ収集・集 品についても検査データと紐付けることで、どこで NG が発 計にかかる時間を削減したかった。これらを解決する手段とし 生したかがより早くわかるようになり、「NG を発生させない」 て、見える化システムや IoT 技術があり、技術があるから使っ という本質の課題にすぐに辿りつくことができる様になった。 てみようというのではここまで浸透しなかったと感じている。 IoT 導入で表面化していない課題まで自主的に解決できる組織 ができつつあると感じている。 —今後の計画を教えてください —取り組みのきっかけは?  2015 年度までにモデルラインの構築と実証評価を完了した。2016 年度からは実証評価結果をふまえた標準システム  はじめに課題があり、その解決策として技術の活用が行わ を構築し、展開をはじめる。導入効果として、2017 年度末ま れている。例えば経営層は、現場の生産進捗、トラブル発生 でに 2014 年度比で生産性 30% 改善を目指す。取り組みの 時の情報リアルタイムに把握することで経営判断を少しでも早 成果は顧客にも積極的に提供し、日本の製造業の競争力強化 めたいという課題があった。工場長は、複数の工場や協力工 に貢献していきたい。 — 13 —