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つながる技術が価値を生み出す時代「産業ネットワークナビ2018」

ホワイトペーパー

進化を続ける産業用ネットワーク

ものづくりを応援する業界紙・オートメーション新聞の別冊「産業ネットワークナビ2018」は、産業ネットワークの最新動向をまとめたムック本です。
産業用ネットワーク市場シェア分析や各ネットワークの最新ニュースなど注目記事が満載です。

<掲載内容>
・産業用ネットワーク市場シェア分析2018
・現場センサ、アクチュエータのためのデジタル通信技術(IO-Link)
・次世代Ethernet技術TSNをCC-Link IEに適用を検討(一般社団法人CC-Link協会)
・産業用Ethernet・PROFINETが求められる理由(NPO法人日本プロフィバス協会)
など

※ダウンロードされたお客様の情報は弊社プライバシーポリシーに則り協賛企業へ共有させていただきます。あらかじめご了承下さい。
【協賛企業】フエニックス・コンタクト株式会社/株式会社ピーアンドエフ/B&R株式会社/ヒルシャー・ジャパン株式会社/ハーティング株式会社/ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社

このカタログについて

ドキュメント名 つながる技術が価値を生み出す時代「産業ネットワークナビ2018」
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 アペルザ (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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産業ネットワークナビ I n d u s t r i a l N e t w o r k 2018 つながる技術が 価値を生み出す時代 進化を続ける産業用ネットワーク 主要ネットワークの最新トレンド IO-Link、FL-net、ODVA、CC-Link PROFIBUS、MECHATROLINKなど 産業用ネットワーク市場シェア分析2018 トップインタビュー アイ・ビー・エス・ジャパン 望月社長 フエニックス・コンタクト シュトゥルンベルグCEO 主要各社の注力製品・技術 ヒルシャー、ピーアンドエフ、 ソフトサーボシステムズ、ロックウェルほか 株式会社アペルザ オートメーション新聞社
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Perfection in Automation. オートメーションの最先端へ B&R株式会社 〒220-0011 神奈川県横浜市西区高島1-1-2横浜三井ビル23F TEL: 045-263-8460 / FAX: 045-263-8461 EMAIL: office.jp@br-automation.com WEBSITE: https://www.br-automation.com/ja
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INDEX 産業ネットワークナビ 2018 I N DEX 【ネットワーク団体】   現場センサ、アクチュエータのためのデジタル通信技術                IO-Link コミュニティ ジャパン …………… 1~ 2 マルチベンダ環境を実現する産業用オープンネットワークFL-net   一般社団法人 日本電機工業会 ネットワーク推進特別委員会 …………… 3~ 4 センサ&アクチュエータネットレベルからIIoTまで、共通通信プロトコル「CIPネットワーク」                        ODVA TAG Japan …………… 5~ 6 次世代Ethernet技術TSNをCC-Link IEに適用を検討                  一般社団法人 CC-Link協会 ………………7~ 8 産業用Ethernet・PROFINETが求められる理由                NPO法人 日本プロフィバス協会 ………… 9~ 10 新世代の産業ネットワーク“MECHATROLINK-4/∑-LINK Ⅱ”                    MECHATROLINK協会 ………… 11 ~ 12 【潮流】         産業用ネットワーク市場シェア分析2018 ………………………………………………………………………………… 13 【インタビュー】     必要なネットワーク製品を包括的に提案        アイ・ビー・エス・ジャパン株式会社 望月 綾子社長 ………………… 14 自動化需要高まる日本市場に大きな期待         フエニックス・コンタクト株式会社 フランク・シュトゥルンベルグCEO ………………… 15 【寄稿】        IoT&産業用通信対応組込みモジュールnetIC IOT                 ヒルシャー・ジャパン株式会社 ………………… 16 IO-Link製品やインテリジェントセンサを拡充                    株式会社ピーアンドエフ ………………… 17 次世代ソフトモーションコントローラ WMX3。IoT時代のモーション制御                ソフトサーボシステムズ株式会社 ………………… 18 FactoryTalk Analyticsによるデータの統合        ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社 ………… 19 ~ 20 産業ネットワークナビ 2018  発行所:株式会社アペルザ オートメーション新聞社   発行日:2018年7月25日    〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町23番地 日土地山下町ビル13F 電 話 : 045 -228 -8873 FAX : 045 -345 -4790       メール : info@automation-news.jp オートメーション新聞WEB版 http://www.automation-news.jp/
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産業ネットワークナビ 2018 ネットワーク団体 -現場センサ、アクチュエータのデジタル通信技術- IO-Link コミュニティ ジャパン はじめに  産業用オートメーションにデジタル通信技術が導入されて、すでに25年以上となる。工場現場では各種フィールドバス、 産業用 Ethernet 等を使用して、多くのオートメーション機器間で、自由にデータと情報のやり取りができるようになっ ている。  ただし、オートメーションをさらに進化させるためには、工場のすべての機器がデジタル通信でつながって、情報を共 有する必要があるが、現実にはまだそうなってはいない。  特に工場現場に一番近いセンサ、アクチュエータは(一般的に)非常に安いコストで供給されることが求められており、 Ethernet などを使ったデジタル通信機能を搭載すると価格が 高くなってしまう。そのため、工場で多く使用されているにも IO-Linkノード数 かかわらず、センサ・アクチュエータまでにはデジタル通信が 810万台 900万 届いていないことが多い。  IO-Link はこの課題を解決するため、現場の(比較的価格の 安い)機器もデジタルネットワークに接続し、測定値、操作値 530万台 600万 だけでなく、パラメータデータ、診断データ、そしてイベント の通信可能にする技術である。IO-Link のコンセプトはすでに 360万台 マーケットで受け入れられ、2017 年末までに累計 810 万台 300万 の機器が全世界で納入された。(図 1参照)特に 2016 年と比 べると、2017 年は納入機器数が 60%以上増えていることに 注目いただきたい。 図1 IO‐Lin図k累1計:出 IO荷-数Link 累計出荷数 1.IO-Link とは 在マーケットで販売されている IO-Link マスタでサポートさ れているフィールドバス、産業用 Ethernet は PROFIBUS、  IO-Link システムではマスタとデバイスを 3本の導線(シー PROFINET、Interbus, EtherCAT、Powerlink、EtherNet/ ルド不要)を使って 1対 1に接続する。多くの場合、IO-Link IP、Modbus TCP、SERCOS III、CC-Link、CC-Link/IE、 マスタはリモート IOまたは制御機器(例 ;PLC)の入出力カー DeviceNet、AS-Interface、serial、USB など多彩なプロト ドとなっている。マスタは複数のポートを持っており、複数の コルが用意されている。この多様な接続性が IO-Link の魅力の IO-Link デバイスと接続する。(図2参照) 1つである。つまり、IO-Link は既存のフィールドバス、産業  IO-Link マスタは IO-Link デバイスと上位の制御機器との 用 Ethernet と競合しないうえ、どのネットワークとも接続で 間に位置して、データのやり取りを仲介する。たとえば、IO- きるオープン性を持つ。 Link マスタがリモート IO の場合、上位通信としてフィール  また、デバイスの種類も エンコーダ、圧力センサ、レベルセ ドバス、または産業用 Ethernet とつながることが多い。現 ンサ、温度センサ、近接センサ、超音波センサ、ビジョンセンサ、 流量センサ、距離計、RFID システム、低電圧スイッチギア、真 空機器、バルブ、回転機、信号灯など9000種類以上の機器がマー ケットで販売されている(2018年 3月現在)。(写真1参照) 2. 技術概要 (1) Point-to-Point 接続    マスタの各ポートが 1個の IO-Link デバイス(現場機器)と つながり、中間に機器は接続されない。つまり、マスタとデバ イスのPoint-to-Point 接続であり、バス接続でない。 (2) 信号線は 3線式、電源供給も可能 (24V) (3) ケーブル最大長 20m (4) インタフェース部はM12、M8コネクタ、または端子接続 を使うのが一般的。 (5) 通信速度 4.8kbps、38.4kbps、230.4kbps の 3種類 (6) データ更新周期 38.4kbps の通信速度で約 2msec ごと 図 2: IO-Link システム構成 にデータ更新 図2 IO‐Linkシステム構成 ̶ 1 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 IO-Link コミュニティ ジャパン Link とフィールドバスまたは産業用 Ethernet を採用すると、 配線工数が削減できる。 4. IO-Link の新しい技術  IO-Link をより使いやすくするために、IO-Link Wireless(無 線)と IO-Link Safety( 安全)の仕様が最近公開された。新し い仕様であるため、まだ対応する機器は少ないが、すでにドイ ツの展示会(ハノーバメッセ2018)では、実機デモが行われた。 (写真2)  IO-Link Wireless は、有線接続では難しいアプリケーション (たとえば、可動体、ロボットなど)に IO-Link の応用範囲を広 げることが期待されている。 写真 1: ヨーロッパの展示会( ハノーバメッセ 2018)における  さらに IO-Link 機器のデータを工場の上位システムと直接接 IO-Link パネル 続するためにIO-LinkのOPC-UA接続仕様の検討も進んでいる。 (7) IO-Link写で真1はヨー以ロッ下パのの展4示会種( ハ類ノーのバメタッセイ201プ8)にのおけデるーIO‐Lタinkパをネ通ル 信できる。 1) プロセスデータ  現場機器の測定値と操作値であり、周期的に通信される。最 大長は32バイト。 2) バリューステータス バリューステータスとはプロセスデータの有効 /無効を示す 値であり、プロセスデータと共に通信される。 3) デバイスデータ デバイスデータとはパラメータ、機器の識別データ、そして 診断データとなる。これらのデータはマスタからのリクエス トにより、非周期で通信される。 写真2:IO-Link Wireless のデモ 写真2 IO‐Link Wirelessのデモ 4) イベント アラーム等のイベントがデバイスで発生した場合、デバイス 5.  日本でのサポート はマスタにこのイベントを読むようリクエストすることがで  IO-Link の日本での普及をサポートするために、IO-Link コ きる。 ミュニティ ジャパンが 2017 年 4月に発足した。2018 年 7 (8) IODDについて 月現在、31社が参加しており、  IODD(IO Device Description) は IO-Link デ バ イスの (1)早稲田大学理工学研究所にて、IO-Link 体験コースと技術 仕様を XML 形式で記述するファイルである。IODD は各 IO- コースを開催 Link デバイスごとにベンダーから提供される。IO-Link マス (2)IO-Link の概要説明とベンダデモを行う IO-Link 紹介セミナ タに接続される IO-Link デバイスの設定には IODDを(基本的 の開催 (次回は、2018年 10月に東京、大阪、金沢で開催予定) に)使用する。IODD は一般に公開されており、IODDFinder (3)HPの開設 https://ioddfi nder.io-link.com からダウンロードできる。 (4)カタログ、技術資料の公開 (5)展示会への参加 3.IO-Link を採用するメリット など、積極的に活動を進めている。 (1)IO-Link は使うと、今までアクセスできなかった、センサ・  繰り返すが、次世代工場では、デジタル技術を今よりもっと アクチュエータ内のデバイスデータも監視・設定できるように 活用するために、工場内のすべての機器がデジタル通信でつな なる。たとえば、機器管理パラメータを使って、実際に稼働し がることが求められる。IO-Link は現場に最も近いセンサ・ア ているセンサ・アクチュエータの機器情報(例 : ベンダー名、 クチュエータのデータを取り込み、フィールドバス、産業用 モデル名、シリアル番号、バージョン等)を機器自身から読み Ethernet と共にスマート工場を構築する技術として、ご注目 取ることができる。工場の中には数千台、数万台のセンサ・ア いただきたい。 クチュエータが存在する。正確な機器情報を持つことは、ライ ンの安定稼働に欠かせない。また、診断用のパラメータを収集 ※記載されている会社名、協会名と製品名につきましては、各社、 することで、予知保全に役立てることもできる。 各協会の登録商標または商標です (2)今までセンサ、アクチュエータの接続は、2線式、3線式、 無電圧、有電圧など、機器によりさまざまであった。IO-Link 問い合わせ先IO-Link コミュニティ ジャパン ではハードの接続を統一できる。つまり、ケーブル接続の間違 〒 141-0022 いがなくなる。また、設定と異なる IO-Link のデバイスをマス 東京都品川区東五反田 3-1-6 ウエストワールドビル 4F タに接続するとエラーを出すこともできるので、間違った機器 日本プロフィバス協会内 をつなぐことがなくなる。 Tel/Fax:03-6450-3739 (4)センサ、アクチュエータをそれぞれ配線するより、IO- E-mail: info@io-link.jp HP: http://www.io-link.jp ̶ 2 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 ネットワーク団体 マルチベンダ環境を実現する 産業用オープンネットワークFL-net 一般社団法人 日本電機工業会 ネットワーク推進特別委員会 1. FL-net とは サンプルソースをJEMAのWeb上に公開している。 (3)マスタレス :特定局に依存しないシステム構築  FL-net(図1)は自動車工業会からの要求仕様に対して、制  通常のネットワークではマスタが管理機能を実行するのに対し 御機器メーカ各社が共同で開発した日本発祥のオープンネット て、FL-net ではネットワークに参加するノードが分担して、管 ワークである。FL-net の名称は FA Link Network の頭文字を 理機能を実行するマスタレス方式(「マルチマスタ」とも呼ぶ方 図取1っている。 式)を採用している。 3. 仕様  表1に FL-net の仕様を示す。FL-net は通信の互換性を持ち、 Ver.2と Ver.3 の機器が互いに通信する。  表1の仕様において、ネットワークのトポロジ(接続の形)は、 汎用のイーサネットと同様に、バス型、スター型で接続し、最大 接続局(ノード)数は、254局である。  伝送速度は、ノード数(端末数)によって変化するが、32局で、 2kbit の ON/OFF信号と2kWORDのデータ信号のデータ量を 送受信する例では、50msec 以下でリフレッシュし、定時間内 に通信が終了するリアルタイム性を持つ。 図1 産業用通信の中の FL-net の位置 表 1 FL-net の仕様(FL-net Ver.3) JEMA ネットワーク推進特別委員会 1 仕様項目 仕様 2. 特長 伝送媒体 10BASE-2,5,T 100BASE-TX,FX (1)国内主要コントローラメーカが対応し、コントローラ間の接 物理層規格 IEEE 802.3 続が容易 トポロジ バス型、スター型  FL-netは国内外の32社が製品を提供しているオープンなネッ 最大接続局(ノード)数 254局 トワークである。FL-net を利用することにより、製造ラインの デ図ー2タを収集するためにコントローラと通信するソフトウェアを 交信権制御方式 トークンパス方式 FL-net 対応の1種類だけにし、ライン全体から収集されるデー 通信局管理方式 マスタレス方式 (マルチマスタとも呼ぶ)IoT向け上位ソフト内に、FL-net対応のデータ収集ソフトが1種類だけが必要 タ⽣の産タラインミ全ン体グのでデー同タ期を⼀さ括れでて、同共⼀有タメイモミンリグにで共保有存メさモリれにる収。集 プロトコル(制御用通信) UDP/IP ベース FAリンクプロトコル ⽣産ライン全体のコントローラにシンプルで拡張性の⾼いインタフェースを提供 ネットワーク設定通信 ネットワーク設定パラメータ用の ⼀般的なIoTインタフェース FL-netのIoTインタフェース 専用サーバ機能を搭載(TCP/IP 通信) 共有メモリ FL-net対応ソフト1種類のみ TCP/IP、UDP/IP など FAリンクプロトコル IoT向け IoT向け (コモンメモリイメージに接続) 上位ソフト 機器毎に異なる 以外の通信の重畳が可能通信ソフトが必要 上位ソフト デー ForデーFaor機a器デ機ータ器収集ソフト データ収集ソフト 機器ごとに動作 FL-net対応 サイクリック伝送サービス IoT機器/ エッジ 全局で8Kbit+8KWord のコモンメモリ コントローラ FL-net IoT機器/ 伝送サービス メッセージ伝送サービス エッジ A社PLC B社PLC C社PLC D社HMI E社NC 各機器の性能に コントローラ 1:1 伝送 /1:N 伝送(ブロードキャスト通信)  合わせた周期 最大1024Byte IoT機器/ エッジ 共有メモリ 共有メモリ 共有メモリ 共有メモリ 共有メモリ 通信機能を持つ コントローラ データのタイミングが FL-net接続機器であれば 負荷測定サービス 機器に対応 同期された共有メモリ どのベンダの機器からでも 情報収集が容易 IO 定義設定サービス、勧誘サービス 図2 IoT 向け上位ソフトとのインターフェース 伝送性能 32局、2Kbit+2KWord データを (2)汎用のイーサネットをベースとした産業用オープンネット 50ms以下でリフレッシュ可能 ワーク デバイスレベル通信 I/Oマスター(特定局)と通信固定マップ /任意マップ 2方式  FL-net は汎用のイーサネットを利用していながら、汎用の通 信では保障されていないリアルタイム性、すなわち、一定時間内   に通信のサイクルが終了する機能を持つ。また、Windows版の ̶ 3 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 一般社団法人 日本電機工業会 ネットワーク推進特別委員会 4. 適用分野 ORiN対応のアプリケーション Excel Amazon/Microsoft対応クラウドアプリ  FL-net の適用分野を表2に示す。 ORiN OPC  表2:FL-net の適用分野 加工組み立て産業 プロセス産業、 公共・社会システム、 FL-net FL-net利⽤ 製造設備食品・薬品産業 その他 通信 FL-net 自動車製造 製鉄・鉄鋼 ダム監視・管理 EtherCAT対応ソフト EtherNet/IPetc 紙パルプ ORiN⽤PCと 半導体製造 上下水道 FL-net利⽤製造設備が接続 化学 表示デバイス製造 窯業 ゴミ処理 ORiN⽤PC FL-net利⽤ 製造設備 電気機器・電線製造 石油 電力監視・制御 食品 図4:ORiN 用 PCと FL-net 利用設備の接続 機械製造 ビル管理 薬品 輸送機器 印刷 大学構内設備・監視制御 7. 国際規格化推進と国内規格  FL-net を 国 際 規 格 に す る た め、IEC(International  FL-net は自動車を始めとする加工組立産業や、プロセス産業、 Electrotechnical Commission) に FL-net 規 格 を 提 案し、 食品・薬品産業などで幅広く適用されている。また、公共・社会 2018年10月を目標として IEC規格化するための活動をしてい システムではダム監視・管理や上下水道などに適用されており、 る図。5さらに国内規格(JIS 規格など)も IEC規格に関連して改 国交省発行の「ダム管理用制御処理設備 標準設計仕様書(平 訂して行く計画である。 ■FL-netのIEC規格化後にJIS改訂 成28年 8月)」内には、FL-net が仕様として記載されている。 IEC規格化・JIS改訂 5. 出荷実績 提案段階(NP) 2014年11月   図 3 に FL-net の 出 荷 実 績 台 数 の 調 査 結 果 を 示 す。 委員会段階(CD) 2015年 1月 2008~2009年度(リーマンショック時)には出荷台数が減少 照会段階(CDV) 2017年 3月 したが、その後出荷台数は拡大を続けている。2017年度は過去 承認段階(FDIS) 2018年4月 図3 最高の出荷台数となった。 発行段階(IS) 2018年10月 ■出荷台数実績 2017年度は IEC/SC65C/JWG10(工業用ケーブリング)ミラノ会議 過去最⾼ JIS B 3521改訂へ 台 年度別出荷台数(右軸) 累計出荷台数(左軸) 36,029台 台 JIS B 3521:FAネットワーク標準プロトコル仕様400,000 40,000 図5. IEC 規格化の推進と国内規格整備 350,000 35,000 JEMA ネットワーク推進特別委員会 5 3060,00.0 ORiNと FL-net の連携 30,000 8. 推進体制・認証体制 250,000 25,000  (一社)日本電機工業会 ネットワーク推進特別委員会がFL- 200,000 20,000 net の規格作成と改訂、国際標準化、普及拡大のための活動を行っ ている。また、ネットワーク認証特別委員会と地方独立行政法人 150,000 15,000  神奈川県立産業技術総合研究所がFL-net 製品の認証試験を実 100,000 10,000 施している。 50,000 5,000 0 0 年度 ◆2009年度以降(リーマン図ショ3ッ:FクL以-n降et)の、年出度荷実ごと績の調出査荷結実果績は右上がり ◆2017年度(2018年3月まで)の累計出荷実績数 : 358, 582ノード 6. ORiNと FL-net の連携 JEMA ネットワーク推進特別委員会 3  ORiN(ロボット工業会が推進するパソコンと産業用装置間の 通信インタフェース)とFL-net は連携し、互いに通信するよう になった。  これにより、新設や既設のFL-net 利用の製造設備に対して、 図6.FL-net のロゴ ORiN対応のパソコンを設置して、製造設備をExcel やクラウ ド接続などの新たなソフトウェアを使って、モニタリングするこ とが可能となった。 ̶ 4 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 ネットワーク団体 センサ&アクチュエータネットレベルからIIoTまで、 共通通信プロトコル「 CIPネットワーク」 ODVA TAG Japan 1.ODVAの最新動向 です。是非ご参加をお願いします。 (1)EtherNet/IP 概要とアダプタ機器開発セミナ (1)産業用イーサネットでEtherNet/IP のシェアが約30%に  EtherNet/IP 機器の開発を考えているベンダー様、ユーザ様  HMSインダストリアルネットワークス株式会社の「産業用 を対象としたセミナーです。EtherNet/IP の簡単な概要から、 ネットワーク市場シェア動向2018」によれば、産業用イーサ 機器開発に必要なチップ、ソフト等まで広範囲に学べるセミナー ネット(EtherNet/IP など)のシェアが従来のフィールドバス となります。今年は、テュフラインランド様からコンフォーマン (DeviceNet など)のシェアを上回り、52%を占めるようにな ス試験についての講演をして頂く予定です。 りました。その中でもEtherNet/IPのシェアが最も高く、フィー ルドバスや無線を含めた全ネットワークの中で15%のシェアを 開催予定日時 :2018年 9月13日(木) 10:00~17:00 占めています。このように、産業用イーサネットが早いスピード 開催予定場所 :東京 でシェアを拡大しているのは、産業用 IoT(IIoT)の流れを受け て、フィールドバスから産業用イーサネットへの切り替えが大 (2)イーサネットネットワーク構築セミナ きなトレンドになっているためだと述べています。詳細は下記  EtherNet/IP のシステム構築を行う、ユーザ様、システムイ のURLを参照ください。 ンテグレータ様を対象としたセミナーです。簡単なイーサネッ https://www.anybus.com/ja/about-us/news/2018/02/16/ トの知識から、システム構築上の注意点まで学べるセミナーと industrial-ethernet-is-now-bigger-than-fi eldbuses なります。特に、実機を使ったエンジニアリングデモでは、ネッ (2)Common Industrial Cloud Interface の開発 トワーク診断やEDSファイルの見方などが学べ、IIoT のデモも  ODVAは、デバイス機器・産業用制御システムとクラウド間 予定しています。 の高性能、安全な通信の最適化と簡易化を目指し、新たな仕様 を開発します。この対象範囲は、クラウドとのゲートウェイとゲー 開催予定日時 :2018年 9月14日(金) 10:00~17:00 トウェイからクラウドへ及びクラウドから ICSやそのデバイス 開催予定場所 :東京 へのデータ伝送のための API となります。 (3)サイバーセキュリティへの取組 (3)ODVAカレッジ2018  ODVAは、オートメーションネットワークのサイバーセキュ  「ODVAカレッジ2018」を今年は、東京・大阪・名古屋で開 リティの取組みとして、多層防御セキュリティアーキテクチャ 催します。 を推奨してきました。それにより、EtherNet/IP 及び他のCIP  例年、「ODVAカレッジ」は、セミナーと協賛各社からの製品 ネットワークに接続された機器の防御能力の向上を目指してい 展示を併設しており、来場された皆様より、ODVAのネットワー ます。2015年 11月には、新しい仕様として、Volume 8 CIP クに関して、知識が深まり、製品も見ることができ、現場で使 Security を新たに追加しました。EtherNet/IP は、トランス 用できるイメージがわいた、と好評を博しています。 ポート層で IETF-standard TLS( RFC 5246) とDTLS( RFC 6347) を使用し、エンドポイントの認証、メッセージの完全性 ①開催予定日時 :2018年 11月12日(月) 10:00~17:00 と認証、データの機密性(暗号化)をもつセキュア なトラスポー  開催予定場所 :東京 品川フロントビルB1会議室  トを提供します。 ②開催予定日時 :2018年 11月15日(木) 10:00~17:00 (4)TSN(Time-Sensitive Networking)技術の EtherNet/  開催予定場所 :大阪 シスコシステムズ合同会社 大阪オフィス IPへの適用 ③開催予定日時 :2018年 11月16日(金) 10:00~17:00  ODVAは、TSN技術のEtherNet/IP への適用の検討を始め  開催予定場所 :名古屋 イオンコンパス名古屋駅前会議室 ました。2017年に開発したプロトタイプでは、TSNのフレー ムプレエンプション(Frame Preemption)技術と帯域予約プ  詳細案内は、ODVA日本支部のホームページ、ブログやメー ロトコル(Steam Reservation Protocol)技術をEtherNet/ ル通信サービスをご覧ください。 IPで既に対応しているGigabit Ethernet や QoSなどと組み合 わせることで大幅なパフォーマンスの改善が見込まれることを 3. センサ&アクチュエータから情報通信まで 実証しました。  CIP™ネットワークの特長(図1、図2参照) 2.ODVA TAG Japanの活動について (1)生産システムで使用される通信系には、センサ&アクチュエータレベル通信、デバイスレベル通信、制御レベル通信、そ  ODVAは、日本におけるプロモーションの一貫として、以下 して情報レベル通信があり、異なる通信間でのシームレスなデー のセミナー・イベント等を企画しています。詳細は、開催の2ヶ タ交換が望まれています。 月前からODVA TAG Japanのホームページでご案内する予定  ODVAは、センサ&アクチュエータレベル通信にCompoNet、 ̶ 5 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 ODVA TAG Japan ODVAが提唱するオープンネットワーク せん。EtherNet/IP が全て解決致します。すでに世界中で多く の実績があり日本の機械装置メーカー様においても数多く採用 されている実績のある技術です。 4. ODVAについて(図3参照)  ODVA(ODVA, Inc. )は、アメリカに本部をおき、ヨーロッ パ(中東・アフリカ)、中国、韓国、そして日本の地域グループ で皆様のビジネスを支えています。また、コンフォーマンステ ストセンタは、アメリカ、ヨーロッパ、中国、そして日本にあり、 各国で同様のサービスが受けられます。  ODVAとその会員企業は一体となり、 Common Industrial Protocol( CIP™)に基づくネットワーク技術をサポートします。 CIP ネットワークの仕様は会員による合議制で管理され、現在 もCIP Safety™(安全ネットワーク仕様)および CIP Sync™ (高精度時刻同期技術)、CompoNet™( センサ&アクチュエー 図図1 1C:CIPIフPァフミ1ァリのミ紹リ介の紹介 タ用ネットワーク)、CIP Energy™(エネルギー使用の最適化) など新しい技術が、会員企業により追加され、ユーザ資産を守 りつつ仕様が拡張されています。  CIPはあらゆる産業におけるネットワークへのニーズに応え、 ユーザの生産性向上に役立っています。この実績とCIPの優位 性が、CIP ネットワークの成長を促進して、産業用ネットワー クの適用分野を広げています。ODVAのメンバー会社はグロー バルで約600社に達しています。  世界で発売されているCIP関連製品は、製品毎にコンフォー マンステスト(適合試験)を行っていますので、ユーザの皆様は、 安心してCIP製品をお使い頂けます。 中国 コンフォーマンステスト: TÜV Rheinland (Shanghai) Global Technology Assessment Center 本部:アメリカ 韓国 コンフォーマンステスト: 日本 ODVA Training and ヨーロッパ コンフォーマンステスト: Technology Center コンフォーマンステスト: TÜV Rheinland Japan Otto-von-Guericke-Universitäte テクノロジーセンター Magdeburg Center Verteilte Systeme (横浜) at the Institute of Ergonomics 図2:OSI 参照モデルとCIP ネットワーク 本部・地域グループ(TAG) 図2 OSI参照モデルとCIPネットワーク コンフォーマンステストセンタ デバイスレベルの通信にDeviceNet、制御レベル・情報レベル 通信に産業用イーサネットのEtherNet/IP、安全ネットワーク 図3: グローバルOODDVAVA に CIP Safety(DeviceNet Safety、EtherNet/IP Safety)、 高精度時刻同期制御にCIP Sync、高精度多軸モーション制御 にCIP Motion を提案しています。これらを総称してCIP ネッ トワークと呼びます。 (2)CIP ネットワークはアプリケーション層に共通のプロトコ ルCIP(Common Industrial Protocol)を採用していること により、異なるネットワーク間でもシームレスに通信できるとい う大きな特長を持っています。 (3)CIP ネットワークは拡張性に優れているので、安全ネット ワーク、センサ&アクチュエータ用ネットワーク、産業用イー ODVA TAG Japan サネット通信の追加など、システムのレベルアップの場合、既 〒 108-0075  存のネットワークと共存して使用できます。ユーザは従来の資 東京都港区港南 2-3-13 品川フロントビル 7F TEL:080-6118-6094 産を活かすことができ、追加投資は最小限で済みます。 FAX:03-6718-3586  このように、EtherNet/IP は、全ての制御(汎用制御・安全制御・ E-mail:ODVA-TAG.Japan@odva.org モーション制御)を1本のイーサネットで実現する事ができる ODVA本部ホームページ :http://www.odva.org ようになりますので、フラットで一元管理しやすいネットワーク 日本支部ホームページ :http://odvatagjapan.iinaa.net/ を構築できます。制御ネットワークの構築で悩む必要はありま 日本支部ブログページ :http://odvatagjapan.blog69.fc2.com/ ̶ 6 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 ネットワーク団体 IEEEやIECで国際規格化が進められている次世代Ethernet技術 TSN(Time Sensitive Networking)をCC-Link IEへ適用検討中。 CC-Link協会の最新アクティビティを紹介。 1. CC-Link IE とは 2. CC-Link 協会の最新アクティビティ  ( PI 連携、OPC連携、セキュリティ、TSN)  「CC-Link IE」は業界初の1Gbps イー サネットをベースとした統合FAネットワー  IIoT(Industrial Internet of Things) 、Industry 4.0、 中 クである。CC-Link IE は、「CC-Link IE 国製造 2025 などのメガトレンドにより、IT 技術を活用した高度 コントローラネットワーク」、「CC-Link な生産システムの実現が求められる中、製造現場のあらゆる装置 IE フィールドネットワーク」、CC-Link IE から生産や品質に関わる全ての情報を収集し、生産管理や品質管 フィールドネットワーク上のモーション制 理、さらには受発注システムなどの ITシステムと連携させることが 御機能、更にCC-Link IE 安全通信機能 必要不可欠となってきている。しかしながら、 実際の製造現場には から構成され、制御用途に応じた最適な 様々な装置が存在し、装置と ITシステムの連携を実現するには多 テクニカル部会 部会長 仕様を提供している。CC-Link IE の特長 大なエンジニアリングコストがかかっている。また、製造現場のネッ 有馬 亮司 は、とりわけ高速・大容量であり、将来的 トワークに関しても、統一した規格がなく、異なるネットワークに な新アプリケーションの追加に対しても、十分な帯域を備えている。 対応した装置を採用する場合や、異なるネットワークに対応したデ  CC-Link IE は、FPD(Flat Panel Display)・自動車分野に バイスを統合するのに、多大なコストがかかっている。 おいて広く採用されているが、その採用理由の一つが、高速かつ  このような背景のもと、CC-Link 協会では、異なるネットワー 大容量にも対応可能なリアルタイム性能である。CC-Link IEでは、 クに対応した装置やデバイスとの接続性を向上し統合を容易化 リアルタイム性能をリンクスキャンタイムと呼ばれる指標で表現し するPROFIBUS & PROFINET International( PI)との連携 ている。図は、32 台の局を CC-Link IE コントローラネットワー (水平統合容易化)、ITシステムと装置の統合を容易化するOPC ク上に配置し、各局のメモリ割り付け量を均等に設定した場合のリ Foundationとの連携(垂直統合容易化)、さらには、全体システ ンクスキャンタイムである。従来コントローラネットワークと比較し ムの統合において不可欠なるセキュリティの検討に着手している。 ても、圧倒的に高速であり、かつ、ネットワーク上でやり取りするデー 以下では、これらの取り組みについて簡単に紹介する。また現在、 タ量(リンク総点数)が増えても、性能は劣化しないことが判る。 Industry 4.0 や IICでの採用検討など国際規格化が進められてい  CC-Link IE では、制御用途に適した、リアルタイム性を提供す る次世代 Ethernet 技術 TSN(Time Sensitive Networking) るサイクリック通信に加え、生産・稼動実績、品質、エネルギー への取り組みについても紹介する。 使用量など生産現場のあらゆる情報を収集するトランジェント通信 (1) PROFIBUS & PROFINET International との連携 を提供している。1Gbpsという広帯域の特長を生かして、サイク  IIoTや Industry 4.0 では、シームレスなデータの流れが前提と リック通信用と、トランジェント通信用の帯域を分けている。その なっており、異なる規格のネットワークの間での情報のやり取りが ため、生産現場の情報データ量が増えたとしても、FA(Factory 従来以上に重要になる。現在、それぞれ異なったネットワークが多 Automation)で重要な制御側には影響を及ぼさないことを実現 く利用されており、CC-Link IE や PROFINETなどさまざまなネッ している。近年では、トランジェント通信で取得した品質データに トワークを容易に統合できるソリューションは、IIoT や Industry 対して、アナリティクスツールを適用する品質分析ソリューションも 4.0 に有効であると考えられる。そこで、CC-Link 協会とPI は 広がりを見せている。 CC-Link IEとPROFINETの統合容易化に向け、共同のテクニカ ルワーキングを設立し、「カプラーソリューション」という標準的な ゲートウェイ仕様の策定を完了させた。カプラーソリューションは、 装置間またはシステム間の通信を処理する。一つのネットワークを 利用する装置は、従来のネットワーク部品のようにカプラーを通じ て別のネットワークへ、準ブラックボックスとして接続する。2017 年 4月にはカプラーソリューションの仕様が公開された。 (2) OPC Foundationとの連携  CC-Link 協会では、CC-Linkプロトコルファミリーに接続さ CC-Link IE コントローラネットワークの場合  他のオープンネットワークが高速性のみをアピールする中、CC- Link IE では信頼性やトラブルシューティングにも力を入れている。 この点も、FPD・自動車分野において広く採用されている理由の 一つとなっている。CC-Link IE フィールドネットワークの標準モー ドにおいては、データ到達の信頼性を向上する技術を採用してお り、ノイズ等による制御指令のパケットロスをリカバリーする仕組 みを備えている。また、ネットワーク上のどこにトラブルがあるの かを瞬時に発見するため、ネットワークイベント履歴管理ツールや ネットワーク診断ツールなど、トラブルを容易に発見するためのツー ルがパートナーから提供されており、立上げ時間やダウンタイム時 間の削減が実現できる。 ■ CC-Link IE 詳細ページ <https://www.cc-link.org/ja/cclink/cclinkie/index.html> OPC連携のイメージ図 ̶ 7 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 一般社団法人 CC-Link 協会 れるさまざまなデバイスに関して、立上・運用・保守のために 目指し、IEEE で国際標準化の検討が進められている技術である。 必要となるパラメータ等の情報を記述するCSP+(Control & TSN 技術により、時分割制御した通信時間の中で、CC-Link IE Communication System Profi le)と呼ばれるプロファイル仕 通信を優先する一方、汎用 Ethernet 通信を低優先で実行するこ 様を検討してきた。 とが可能となるため、従来から制御通信の定時性への影響が課題  OPC連携では、本 CSP+を拡張し、様々な装置の様々な情報 であった汎用Ethernet 通信とCC-Link IE 通信を混在したシステ を統一的に扱う仕組みを構築する。また、OPC Foundationと ムの構築が可能となる。市場での実用化に向けて、今後も国際標 の協力のもと Industry 4.0 の標準となりつつあるOPC UAモデ 準化の動向を把握しつつ、TSNの適用検討を進めていく。 ルへのマッピング仕様を定義し、2017年11月にOPC UAと装 ■プレスリリース、詳細ページ 置用 CSP+ のコンパニオン仕様をリリースした。これにより、製 <https://www.cc-link.org/ja/news/161122.html> 造現場の装置と ITシステム間のインタフェースを統一し、高度な <ht tps://www.cc - l ink .org/ja/mater ia l/documents/ 生産を目指すスマート工場を実現するためのエンジニアリングコス OPCFoundation_CLPA_20160509_j.pdf> トを削減する。 <https://www.cc-link.org/ja/material/documents/news_ (3) セキュリティへの対応 SecurityWG_jp_20170605.pdf><https://www.cc-link.org/ja/cclink/cspplus_m/index.html>  IT 技術の活用などの生産システムの発展に伴い、検討が不可欠 なのがセキュリティである。製造現場のネットワークは、生産管理 3. CC-Link IE フィールドネットワークBasic 層のネットワークと結合され、更に生産管理層のネットワークは経 営層のネットワークへと結合される。また、近年は、予知保全を目 ―100Mbps の汎用 Ethernet を活用したCC-Link IE 通信が可 的とした遠隔監視に対するニーズにより、装置が直接的にクラウド 能にサイクリック通信をソフトウェアの実装のみで実現、IoT によ システムへと接続するケースも出てきている。CC-Link 協会では、 る生産設備の見える化を促進― 2017年1月に産業用 Ethernet のセキュリティに関するCCワLink IーE F Basキic_4cン グを設立した。製造システムに関わるセキュリティ要件を整理し、 セキュアなネットワークシステムの設計・運用ガイドラインおよび  ユーザの IoT 活用を支援するCC-Link IE の新しいラインナッ 将来的に必要とされる技術についてまとめていく予定である。 プとして、CC-Link 協会は通信に100Mbps の汎用 Ethernet を CCLink IE F Basic_1c 使うフィールドネットワーク「CC-Link IE フィールドネットワーク Basic」を追加することを発表した。Ethernet 機器にソフトウェ CCLink IE F Basic_1.5c アを実装するだけで CC-Link IE による機器制御や見える化が可 能になる。  IoTによる生産現場の見える化を進めるためには、できる限り CCLink IE F Basic_BL1c 多くの機器や装置をネットワークにつなぐことが求められる。CC- Link IE フィールドネットワークBasic は、低コストで CC-Link CCLink IE F Basic_BL1.5c IE 対応を可能にする新しい選択肢として提供されるものだ。その 大きな特長は、CC-Link IE への対応をソフトウェアの実装という 簡単な手法で可能にすること。汎用 Ethernetインタフェースを持 つ機器にはすぐに適用可能であり、上位の ITシステムとの連携な CCLink IE F Basic 2_4c どCC-Link IE の機能はもちろん継承される。既にネットワーク化 済みの機器や装置を含めて生産現場全体をCC-Link IEで統合し、 IoT 活用を進めやすい環境を整えることができる。  機器を使うユーザだけでなく、機器を開発するベンダにもその CCLink IE F Basic 2_1c 効果は大きい。自社の機器をCC-Link IE に対応させるため、ソ セキュリティのイメージ図 フトウェア実装するだけで CC-Link IE が可能になり、低コスト化 (4) 次世代 Ethernet 技術 TSN(Time Sensitive NetwCCoLinkr IE kF Baisinc 2_g1.5c) も期待できる。   への対応  CC-Link IE フィールドネットワーク Basic の通信速度は  CC-Link協会では、TSN対応スイッチを開発しているパートナー 100Mbps。1Gbps の CC-Link IE ほどの高速性はないが、稼働 企業(Hirschmann、Cisco など)と連携の下、TSNCCLin技k IE F B術asic 2_BをL1c 情報の収集など見える化に必要な機能に限定すれば十分な帯域と CC-Link IE に適用することを検討している。TSNとは Ethernet 言える。 既にCC-Link 協会では、対応機器を開発する会員向け の通信帯域を時分割することによって、設定したフレームCCLinkの IE F Ba優sic 2_B先L1.5c にサンプルコードの無償提供を行っており、開発を検討するパート 度に応じて通信帯域を制御する技術であり、産業分野への普及を ナー企業も増えているため、対応製品が今後増加することが期待 される。 ■ CC-Link IE Field Basic 詳細ページ CC-Link IE over TSN <https://www.cc-link.org/ja/cclink/cclinkie/cclinkie_f_b.html> ̶ 8 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 ネットワーク団体 産業用Ethernet・PROFINETが求められる理由 NPO法人 日本プロフィバス協会 1. なぜ産業用ネットワークを使うのか  工場内の制御アプリケーションはさまざまであり、PROFINET は TCP/IP 通信と共存しても、求められるリアルタイム通信の  近年、工場現場で使用されている機器・機械は内部にCPUを 通信周期を提供できる。具体的にはNon-Realtime, Realtime 持ち、自身のなかで診断、測定または制御の演算を実行している。 (周期通信 :10msec 程度) , Isochronous Realtime( 周期通 このような機器・機械間をネットワークで接続し、デジタル通信 信 :31.25μ sec以上) の 3つのパフォーマンスレベルを持つ。 で自由にデータ、アラームなどの情報をやり取りすることで、よ り効率的な生産を達成できる。このメリットに加えて、オートメー 2.PROFINETが選ばれる理由 ションシステム全体をデジタル的に取り扱うことで、工場内に点  2017 年 末 ま でに PROFIBUS 機 器 は 累 計 5840 万 台、 在する重要機器の内部パラメータ、診断データ、または予知診断 PROFINET 機器は累計 2090 万台が出荷され、全世界で稼 データを中央で一括して監視・管理して、保守、設計の効率化も 働している(図 2、図 3)。累計の出荷台数としては、まだ 図ることが産業用ネットワークには期待されている。 PROFIBUSが多いが、2017年の1年間で見ると、PROFIBUS  PI(PROFIBUS & PROFINET) International( 国 際 プ ロ 機器は 230 万台が出荷されたのに対し、PROFINET 機器は フィバス・プロフィネット協会)は産業用ネットワークとして 450 万台の機器が出荷された。すでに世界のマーケットでは PROFIBUSとPROFINETの普及を続けている。 産業用Ethernet であるPROFINET がフィールドバスである (1) FA・PAを統合サポートするPROFIBUS PROFIBUSより多く使用されている。  PROFIBUS(プロフィバス)は世界で最も普及しているオー  このようにフィールドバスがその役割を徐々に産業用 プンなフィールドバスである。 Ethernet に移行していく理由として、産業用ネットワークが制  PROFIBUS DPは工場の現場で使うインバータ、サーボ、リ 御データを流すだけでなく、オートメーションのバックボーンと モート IO、エンコーダ、遮断機、ロボット、NC機械、重量 して使われ始めていることに原因がある。 計、温調計、分析計、ポンプ、油圧機器などさまざまな機器・  PROFINETが選ばれる理由を以下に述べる。 機械が接続できる。PROFIBUS DPラインには最大126台の (1) ベース技術がEthernet である PROFIBUS機器を接続でき、最高スピード12Mbps で通信で  フィールドバスと産業用Ethernet の大きな違いの1つは、通 きる。12Mbpsで通信をした場合、30台程度の機器をつなぐと 信の能力が向上していることにある。フィールドバスで使われて 大体2から5msec程度で1周期の通信が終了する。 いるRS-485の通信速度が500kbps から10Mbps 程度であっ  また、PROFIBUS PAはプロセス産業の要求する2線式伝送 たのに対し、現在のEthernet では、100Mbpsが広く使われて と本質安全防爆(オプション)に対応できる。 いる。そして、1Gbps、10Gbpsさらには40Gbpsと通信速度 (2) 工場通信の幹線ラインとなるPROFINET を上げている。(PROFINETも1Gbpsの速度をサポートしてい  PROFINET(プロフィネット) は産業用 Ethernet である。 る) その結果、フィールドバスの時は、データをコンパクトに Ethernet の広い帯域を利用して、PROFINETは制御で使うデー して、通信負荷をいかに減らすかなどとの考慮が必要であったが、 タとか診断の通信だけでなく、TCP/IP 通信を含む工場内のすべ 現在ではそのような考慮が必要のないほどデータ速度が向上し ての通信要求に1本のバスで汎用的に対応するよう設計されて 使いやすくなっている。 い図る1。(PR図OF1I)NET+PROFIBUS+IO-Linkシステム 1 (2) 大きなデータを扱う機器に対応できる  従来のオートメ―ションでは、(すごく昔の)リ OPC レー制御の名残から、現場機器と制御機器との取 リアルタイムIO コントローラ間接続 垂直統合 り合いはON/OFF、つまり1ビットであることも Controller Controller Controller Controller Office Network 多かった。ところが現場機器の性能、種類が増え モーション制御 Firewall Wireless るに伴い、従来とけた違いのデータを送ることも 必要になった。たとえば映像センサーは、生デー I/O Switch セキュリティ XX55 I/O CE タ処理後のコンパクトなデータを送っているが、 Proxy DeviceNet Proxy Drives OPC HMI Allen-Bradley 生データを必要とするユーザも多い。PROFINET フィールドバス統合 安全 は制御データとファイルデータを並列に送ること ができ、大量のデータが求められても、十分対応 WSANゲートウェイ PROFIBUS DP できる。 AS-interface PROFIBUS PA (3) IPアドレスをサポートしている  オフィスの世界でEthernet は TCP/IP を使っ 無線センサー 1 てそのアプリケーションを拡張してきた。工場現 場にEthernet を導入するとき、オフィスで使わ 図1:PROFINET+PROFIBUS+IO-Link システム   れているようなTCP(UDP)/IPを使うメリット ̶ 9 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 NPO法人 日本プロフィバス協会 リットが期待できる。 PROFIBUS ノード数 (1)産業用ネットワーク上で 5,840万 のOperatonal Technology 5,610万 6,000万 5,370万 と Information Technology の融合がより図りやすくな る。 4,000万 (2)IEEE の標準技術にこれ からも準拠することで、現 在の最新技術(ギガビット 2,000万 Ethernet、IPv6など)をフォ ローできるだけでなく、将来 写真1 TSNのデモ PROFINET 開発される最も新しい技術を そのままPROFINET の中に 2図P2R:O PFIRBOUSFIBUS機器の累計出荷台数図 機器の累計出荷台数 取り込むことができる。 写真1:TSNのデモ PROFINET (3)TSNは IEEEの標準技術なので、世界中で多くのスタック メーカがこれに基づく素子をより広いレンジで提供できるように 2,090 なる。したがって、チップの価格がより安くなる。(つまり、製万 2,000万 品の価格が安く提供できるようになる) 1,640万 (4)汎用の Ethernet 技 術が制御現場に入ってくると、 PROFINETと異なるプロトコルがその中を通る可能性もある。 1,280万 PI は OPC協会とステーション間通信での協業をアナウンスし 1,000万 ており、ユーザにとって、使いやすい組み合わせの通信を提供で きることになる。 (5)TSNはデータリンク層の技術なので、PROFINETの場合 は現在用いているリアルタイム技術にTSN を追加するだけの変 更となり、今までのアプリケーション資産をそのまま継承できる。 現在のユーザから見ても、診断、パラメータ化などの通信はまっ 図図3 3PR: OPFRINOEFT機IN器EのT累機計器出荷の台累数計出荷台数 たく変わらない。 を同時に工場でも享受したいとの意図があった。具体的には、現 4. おわりに 場機器の中にWEBサーバの機能を持たせて、パラメータ通信を 行ったり、FTPを実装して、大量のデータの受け渡しやスタッ  日本プロフィバス協会は、1997 年に発足し、2003 年に クのバージョンアップなどを行ったりするアプリケーションが実 NPO法人となった。現在、協会の会員数は150 社以上となり、 現されている。 日本国内でのPROFIBUS、PROFINET、IO-Link の普及のため に展示会出展、定期セミナーの開催、技術サポート、インターネッ (4)複数マスタが標準である ト広報、技術資料販売、認証試験などの活動を進めている。  制御のアプリケーションの多くはPLCを単一マスタとして  日本国内でも産業用ネットワークの普及が進んでいる。最近は 動作している。ただ、現場機器のデータを設計、パラメータ設 単に制御の品質を上げるだけでなく、ネットワークを使うことで 定、保全、スケジュール管理などに生かそうとすると、現場機 生産現場をいかにして安定稼働させるかの問い合わせが増えて 器のデータは制御用PLC以外のマスタからアクセスできるよう いるよう思える。 にした方が自然である。単一の制御マスタにデータを集めると制  世界で普及しているPROFIBUS、PROFINET、IO-Link にご 御PLCのパフォーマンスの低下を招く恐れがあるからである。 興味のある方は、ご遠慮なくお問い合わせいただきたい。 PROFINETの現場機器は制御以外のマスタからも自由にデータ の参照ができる。 3.PROFINETの新しい技術 :TSNについて  Ethernet は産業用だけでなく、オフィス用、家庭用、さらに は車載用を含めて、広く使用され、その機能をますます進化さ せている。最新のEthernet の機能進化の1つが汎用Ethernet に実時間性(Deterministic 性)を付加するためのTSN(Time Sensitive Networking) 技術であり、IEEE で標準化が進ん 問い合わせ先 でいる。PROFINET は Ethernet に完全に準拠しているため、 NPO 法人 日本プロフィバス協会〒 141-0022 Ethernetの進化にそのまま追随できる。2018年4月にドイツ・ 東京都品川区東五反田 3-1-6 ウエストワールドビル 4F ハノーバで開催されたハノーバメッセにて、PIは TSNを採用し Tel/Fax:03-6450-3739 E-mail: info@profibus.jp たPROFINETのデモシステムを展示した。(写真1) HP: 日本プロフィバス協会 http://www.profi bus.jp  TSNをPROFINETの中に取り込むことで、今後は以下のメ PROFIBUS協会本部   http://www.profi bus.com ̶ 10 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 ネットワーク団体 新世代の産業ネットワーク “MECHATROLINK-4/Σ-LINK Ⅱ” ー制御の想像を超えた、その先へー MECHATROLINK協会 1. 新世代の産業ネットワーク誕生 複数の伝送周期を存在させ、各スレーブ機器を最適な伝送周期で制御することができる。  近年、産業界をとりまく環境は、生産やそのオペレーション ● 速い伝送周期と遅い伝送周期を同一ネットワーク上に設定可 のスマート化、IoT・AI を活用したフレキシブルかつ安定生産   能。 の実現など、大きく変化しようとしている。生産現場における ● 速い周期制御が必要ない I/O 機器でも、通信の負荷を増やさ 様々な機械や設備において、製品品質の確保や予知保全用等の   ずに高速化されたネットワークに接続ができる。 各種センサが大量に接続され始めており、それらから生まれる ● 遅い周期で通信するスレーブ機器の通信タイミングを分散さ 製品データの収集と活用が求められている。   せることで、より多くの機器を接続できる。  このようなニーズに応えるため、モーション制御に最適なネッ ●スレーブ毎に最適な伝送周期を設定することで、マスタ側プ トワークとしてMECHATROLINK-4 、また、センサや I/O 機   ログラムの効率化が可能。 器を接続するΣ -LINK Ⅱを昨年発表した。MECHATROLINK-4 とΣ-LINK Ⅱを活用することで、モーション制御に関連するデー タだけでなく、各種センサのデータも簡単に同期して取得した り、制御に活かすことが可能となる。これにより、生産性を更 に向上させるとともに、IoT や AI を活用した新しいものづくり の提案を進めていく。 図 2: 複数伝送周期機能 (3)マルチマスタ機能  同一ネットワーク上に複数のマスタ(最大 8局)が存在する システム構成が可能。マルチマスタ機能を活用することで、装 置のパフォーマンス向上、Safety システムへの対応を行うこと ができる。 ● 各マスタとその制御下のスレーブは、「制御ドメイン」と呼ば   れる論理的なグループを構成する。 ● 一つのマスタで複数の制御ドメインを管理することが可能 ● スレーブは複数の制御ドメインに所属することが可能。 【並列伝送機能】  MECHATROLINK-4 では、通信設定により、複数の制御ドメ イン内の制御伝送を同時刻に並列に行うこともできる。並列伝送 機能を使用することで、オプションユニットの追加が必要となっ た場合でも、全体の伝送周期に影響をあたえることなく、また 図1: ネットワーク導入による構成イメージ 基本ユニットとオプションユニットの開発、生産、維持管理の 2. MECHATROLINK-4 の特長 面でも、ユニット単位で行うことができ、効率的な運営が出来るようになる。  MECHATROLINK-4 は従来のMECHATROLINK- Ⅲの持つ (4)Safety システム対応 高機能・高性能・高信頼性と使いやすさを、互換性を保ちつつ  マルチマスタ機能を利用することで Safety システムへの対 維持し、同一条件で約 4 倍の性能向上を実現。従来にない新し 応が可能となる(認証予定)。スレーブは複数の制御ドメインに い仕様を盛り込んだ、次世代のモーションフィールドネットワー 所属することができるため、Safety スレーブは制御マスタと クとなっている。 Safety マスタのそれぞれのスレーブとなり、Safety システム (1)通信手順の効率化 を構築することができる。  MECHATROLINK-4 では、全二重通信に切り替えることで (5)Ethernet 機器との接続 伝送効率を大幅に向上し、更なる装置の高性能化や高機能化に  Ethernet 機器をダイレクトに接続ができる。伝送効率の向上 対応できる。 によりできた伝送周期内の空き帯域を、IP 通信帯域として使用 ● 制御性能の向上 : 同一台数であれば伝送周期を従来比の約 4 し、IP 通信帯域は制御伝送に影響を与えることなく、直接PC   分の 1 に短縮し、より細かい制御が可能。 やエンジニアリングツールの接続が可能となり、各種パラメー ● システム(装置)の大規模化に対応 : 同一伝送周期に接続可 タ設定や、データの読み書きが可能となる。   能なスレーブ機器の台数はMECHATROLINK- Ⅲの約 4 倍。 ● マスタアプリケーションの処理負荷が軽減。 ● 伝送周期を据え置いて空いた時間をIP 通信、メッセージ通信、 ● マスタアプリケーションへの影響なしに、PC やエンジニア   リトライ通信に活用もできる。   リングツールからの操作が可能。 (2)複数伝送周期機能 (6)MECHATROLINK-4 の開発、実装手段  スレーブ毎に異なる周期設定が可能。同一ネットワーク上に  多彩な通信への応用を容易にするためにマルチプロトコル対 ̶ 11 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 MECHATROLINK協会 応のプラットフォームを準備する。またPC プラットフォーム  中国をはじめ、アジア圏を中心として普及が進んでいるオー への対応強化のため、新たにソフトウェア・プロコトルスタッ プンフィールドネットワーク 「MECHATROLINK」 は、メンバ クを準備し、多様な実装ニーズへの対応を進める。 数の増加と対応製品(マスタ・スレーブ機器)の増加によって様々 ● マルチプロトコルASIC(マスタ、スレーブ) な装置への適用が拡大している。モーション制御を中心に、半 ● ソフトウェア・プロトコルスタック(マスタ) 導体、液晶、LEDなど最先端技術をはじめ、工作機械、板金加工、 ● FPGA IP コア(マスタ、スレーブ : 計画中) 巻線機械、ロボット、食品機械、薬品検査など多くの装置に採   開発ツールとしても、マルチプロトコル対応のネットワーク 用されている。その結果、MECHATROLINKの対応製品の累積   アナライザを準備。 出荷ノード数も同様に延びており、2018年 3月末時点で 678 ● 開発、生産、維持管理の効率化が可能。 万ノードまで増加している。 3. Σ -LINK Ⅱの特長  Σ -LINK は、(株)安川電機が開発した、サーボアンプと エンコーダ間の通信プロトコルで、Σ -LINK Ⅱからオープン 化される新しいセンサ・I/O ネットワークである。従来のエ ンコーダ用通信としての高機能・高信頼性通信を維持しつつ、 MECHATROLINK のようなカスケード接続によって、あるい は分岐コネクタを使用することで、エンコーダ配線にセンサや I/O 機器などの機械側に設置される機器を拡張できる。単に省 配線になるだけでなく、モーションデータとセンサデータの親 和性を向上することにより、システムの更なる高機能化・高性 能化を実現する。 図5:MECHATROLINKノード数(累積) 6. 増え続けるラインナップ  グローバルで採用されているMECHATROLINKは、MMAメ ンバによるラインナップも増え続けており、新製品を開発した メーカーは毎年 6月に開催されるMMA総会にて、新製品紹介 を実施している。今年は、日本テキサス・インスツルメンツ(株) による MECHATROLINK-III 対応 汎用プロセッサ SitaraTM ファミリーの紹介と、台湾メーカーのHIWIN MIKROSYSTEM CORP. によるMECHATROLINK- Ⅲ対応サーボドライバD1-N の紹介発表と実機の展示が行われた。 図3: 接続構成例 4. MECHATROLINK協会について  オープンネットワーク団体であるMECHATROLINK協会(以 下、MMA)は、高速同期制御を得意とし、その高い精度と信頼 性を特長とするMECHATROLINKを世界に普及推進するため、 2003年に仕様公開し、今年で 15周年を迎えた。MMAは、幹 事会社 9社を中心に運営されており、世界各地の機器メーカー やユーザ、関連企業や教育機関など様々な法人の参画により構 成され、展示会への出展や雑誌媒体等を通じて、グローバルで のプロモーション活動を行っている。海外の 8地区に支部があ り、各国で現地に密着した技術サポートを展開している。 図 6:MECHATROLINK対応の新製品 7. 入会のご案内  MMAでは、ウェブサイトに様々な資料を公開している。入会 金や年会費は一切かからず「無料」となっており( 情報会員)、 誰でも最新情報の入手や採用検討ができる。申込やお問い合わ 図4: サポート体制の整ったグローバル拠点 せは、協会ウェブサイトより随時受け付けているので、是非活用いただきたい。 5. アジアNo.1 の会員数を誇るオープン団体  MMAの加入企業メンバ数は、2018 年 6月末時点では、51 MECHATROLINK 協会 の国から 3200 社を超えており、そのうちの半数以上は中国か 〒 358-0013 埼玉県入間市上藤沢 480 らの入会で構成されている。メンバ数は着実に増加し続けてお 電話 :(04)2962-7920Email: mma@mechatrolink.org り、アジアNo.1 の規模を誇る団体まで拡大していることからも URL: www.mechatrolink.org MECHATROLINKへの強い関心の高さが表れていると言える。 ̶ 12 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 潮 流 産業用ネットワーク市場シェア分析2018 産業用Ethernetがフィールドバスを初めて上回る 設置数最多はEthernet/IP  HMS インダストリアルネットワークスは、2018 年版の産業用ネットワーク市場シェアの分析結果を公開した。FA 分 野の新規設置ノード数において、産業用 Ethernet が 52%、フィールドバスが 42%となり、産業用 Ethernet がフィー ルドバスのシェアを初めて上回り、大きな転換期となった。17 年に最も多く設置されたネットワークは Ethernet/IP で、 PROFINET、PROFIBUSが続いた。また近年注目されている無線ネットワークについても、市場シェア6%まで広がっている。 ■産業用 Ethernet ‒ 産業用 IoT で成長  米国市場ではCIP ネットワークが支配的であり、Ethernet/  産業用 Ethernet はフィールドバスよりも速いスピードで成 IP への移行が明確になっている。アジアは突出したネットワー 長しており、今回の調査ではじめてフィールドバスのシェアを クがないものの、PROFINET、Ethernet/IP、PROFIBUS、 上回った。22%の成長率で拡大し、昨年の 46% から 52%を EtherCAT、Modbus、CC-Link が 広 く 使 わ れ て お り、 占めるまでになった。 Ethernet 系の CC-Link IE Field が勢いを増している。  なかでも Ethernet/IP が市場の 15% を占め、最も大きな シェアを持つネットワークとなった。PROFINET、EtherCAT、 ■過去 5 年の産業用ネットワークの推移 Modbus-TCP、Ethernet POWERLINKが続いている。  過去 5年の推移を見ると、14 年時点ではフィールドバス  同社ハンソンCMOは「産業用 Ethernet への移行は、高性 71%、産業用 Ethernet が 29%と大きな開きがあったが、産 能に対するニーズ、工場設備や IT/IoT システム間の統合、全体 業用 Ethernet が急成長を続け、16 年時点でフィールドバス 的には産業用 IoT の高まりに後押しされている」と分析してい 48%、産業用 Ethernet46%と肉薄していた。今回、17年に る 市場シェアで初めて産業用 Ethernet がフィールドバスを逆転 した。 ■フィールドバス 健闘も減少の見込み  同社は「産業用 Ethernet がついにフィールドバスを追い抜  特定業界の後押しやサイバーセキュリティの懸念もあり、 いたというのは興味深く、 Ethernet/IP が市場をリードする フィールドバスも成長は続いている。しかし成長率は 6%にと ネットワークとなった。それでもネットワーク市場は依然とし どまり、導入数は徐々に減少していく見込み。PROFIBUS が て細分化されたままであり、ユーザーはアプリケーションによっ 12%と最大のシェアとなり、Modbus-RTUと CC-Link が 6% てさまざまなネットワークへの接続性を求めていることがわか で続く。 る。産業用 IoT やインダストリー 4・0に後押しされる形で、 ■急成長するワイヤレス技術 この先産業機器がますますネットワーク接続されることは明ら  ワイヤレス技術は 32% の成長率で成長し、市場全体の 6% かだ」としている。 に達している。 WLANが最も普及し、その後をBluetoothが追っ ている。「ワイヤレス技術は革新的なオートメーションアー キテクチャの実現のために機械メーカーやシステムイ ンテグレーターにより導入が進んでいる。ユーザー は、ケーブル配線を減らし、タブレットやスマー トフォンなど私有デバイスの活用など、接続 と制御の新たなソリューション構築を実現 している」(ハンソンCMO) ■地域ごとの特色 アジアは混戦模様  欧州や中東では、PROFINET と Ethernet/IP が リ ー ド し て お り、 PROFIBUS もまだ広く使われている。 他にも EtherCAT、Modbus-TCP、 Ethernet POWERLINK がよく使わ れている。 ̶13 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 インタビュー アイ・ビー・エス・ジャパン株式会社 必要なネットワーク製品を包括的に提案   ショールームでセミナー開催し、理解を深耕  アイ・ビー・エス・ジャパンは、産業用ネットワーク製品を中心に、さまざまな産業分野の IT 化・ スマート化に取り組んでおり、2018年 9月からは創業32年目に入る。IoT への対応があらゆる 分野で進む中で、同社の望月綾子社長に、新年度への意気込みと具体的な取り組み方法を聞いた。 ――新年度から営業組織を変えられるそうですが。 するのは難しい。IoT の分野で、  従来、顧客の分野によって 1課、2課、3課と分けていた営 当社が何を強みにしていくのかと 業を一つにまとめて、新たに「営業戦略室」を設ける。今まで いえば、やはり「つなげる」とい は営業個人が各顧客に対し「どの製品を充てるべきか」を考え うことになる。現場に昔からある て販売する形で、「こういう製品があるから、このお客様に売 機器をイーサネットでつなげ、セ ろう」ということが多かった。製品のことをよく知っているた キュリティを担保した便利さを体 アイ・ビー・エス・ジャパン めではあるが、今後は逆に、顧客がいま本当に必要としている 感してもらうことが第一だろう。 望月綾子社長 製品を当社から提案できるような仕組みを構築していく。 *  また、「こういうお客様にアプローチしたい、では、そのお ――OPC UAの「積乱雲プロジェクト 」に参加している。 客様が欲しているものは何か」という視点でマーケティングを  市場にはアナログの圧力計や流量計が何百万個とあるが、そ 強化し、情報を営業と共有してより確度の高い製品を売ってい れらをそのまま使って IoT を実現しようという取り組みだ。ア く。「アイ・ビー・エス・ジャパンといえば産業用イーサネッ ナログ機器のデータをデジタル化し、データをOPC UA で上 トのMoxa」だけで終わることが多かったが、顧客が必要とす 位システムに上げる中で、いかに IoT プラットフォームに組み るネットワーク関連の製品を包括的に提案できるパートナー企 込むかというようなことを、皆さんと一緒にやらせていただい 業という形に変えていきたい。 ている。OPC UA は日本のマーケットではまだまだ周知が弱 いが、デファクトになりつつあるとも聞いており、近々で広がっ ――注力する分野、製品は。 ていくことを期待している。Moxa の機器もOPC UA はもち  社会インフラ、メディカル、スマート FA、エネルギー、鉄 ろん、OPC classic からサポートしているので、リモート IO 道といった、いままでの大きなターゲット領域はこれまでと変 から取ったデータを直接上げるなど、活用して実例をつくり、 わらない。メイン商材も産業用イーサネットとその下につなが 存在感を示したい。 るシリアル、リモート IO など、入力のインプットデバイスで の「コネクティビティ」という大きな切り口を変えていくつも ――2017 年 11 月に東京・新宿にショールームを開設しま りはない。ただ、通信メディアも含めたケーブル、電材、無線、 した。 イーサネットの通信部分だけではトータルソリューションを提  当社の販売している製品だけでスマートファクトリーや遠隔 供することは難しく、その周辺機器のひとつであるコントロー 監視のソリューションモデルを作りたいと思いショールームを ラであれば、それを選定できる知識と、調達できる力を持つ必 設置した。今後ここを積極的に活用して、ソリューション提案 要がある。 で効果を発揮したい。  例えば「地域の発電量を遠隔でモニタリングしたい」という  また、お客様に当社の製品に触れていただけるような、さま ニーズに対して、今までは「通信できます」という対応しかで ざまなセミナーをここで開催したいと思っている。営業だけで きなかったが、それをシステム提案で「こういう形で納入でき 製品をご紹介するのはどうしても限界がある。実際に現場で使 ます」という形にしていきたい。「遠隔監視」という切り口、「カ 用される技術者の方に直接、製品の特徴についてご説明し、使 メラ監視」や「セキュリティ監視」は重要なキーワードになっ いやすさを知っていただく場として、また市場ニーズが高まっ てくる。技術的にはコネクティビティの中でも「有線ではなく ている無線 LANの基礎から実践までをご説明する場として活 無線」が大きなキーワードとなってくると感じており、今後よ 用していきたい。今年、当社の 2名の社員がMoxa のトレーニ り一層注力していく。 ング研修に合格し、指導者の資格を得た。こうしたスキルを生 かしたMoxa製品の使い方研修なども実施していきたいと思う。 ――早い段階から IoT に着目していたようですが。  着目はしていたが、当社が提供しているのはデータ収集手前 の入れる「箱」づくりからデータに意味を持たせるところまで * 積乱雲プロジェクト :「つながるOPC UA」をテーマに、有志 なので、深く関わってきたとは言い難いかもしれない。IoT の の中小企業が IoT/M2M時代のビジネスモデル及び技術の模索を 本質は「データ」で、現場の膨大なデータを経営判断に役立て 趣旨として設立。実機への接続検証や技術試験等への参加、展示 会出展、セミナー開催などで連携している。主宰は Skkynet 経 るまでに落とし込むには AI やエッジコンピューティングの領 営諮問員の山崎稔氏。 域まで手掛ける必要がある。中小企業では、正直そこを強みに ̶ 14 ̶
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産業ネットワークナビ 2018 インタビュー フエニックス・コンタクト株式会社 2017年度、11.5%増の22億ユーロを達成 自動化需要高まる日本市場に大きな期待  ドイツに本社を構えるフエニックス・コンタクト社は、1923年創業の産業オートメーショ ン機器の世界トップメーカー。日本では端子台やコネクタなど配線接続機器、盤用機器で有 名だが、グローバルではPLCや I/O 機器、ネットワーク機器なども手がけ、世界的な自動 化需要の高まりやインダストリー 4.0 に合わせ、右肩上がりの成長を続けている。4月にド イツで行われたハノーバーメッセで、フランク・シュトゥルンベルグCEOに現状について 話を聞いた。 2017年度グローバル売上高22億ユーロ(11.5%増) ̶̶日本市場で伸びを期待している事業や製品は ?  日本は非常に複雑で高度な社会であり、規格などで多少制約 ̶̶2017年度は好調な年でしたが、その要因は ? があるかもしれませんが、インフラ向けのアプリケーションに  2017 年度は、前年度を上回る 11.5%の成長率と、目標だっ は期待しています。 た 20 億ユーロを達成できました。最終的に 22 億ユーロまで  事業部では、現在最もポテンシャルを感じているのは ICE 事 伸ばすことができ、とても喜ばしい。要因として、全世界のあ 業です。日本の制御機器市場は今後大きな成長を見込んでおり、 らゆる地域で売り上げを増やすことができたことが大きい。こ 当社には端子台など日本市場の標準・ニーズに合わせた多くの れまで売り上げの多くを占めていたドイツとアメリカ、中国以 製品があります。ヨーロッパの競合他社はこれまでこの分野で 外の市場が成熟し大きく伸長しました。日本も二桁の成長率で あまり日本にフォーカスしていませんでしたが、今後当社が日 伸ばすことができました。 本市場でそれらの競合をもリードするメーカーになると考えて ̶̶2018年度の見通しは ? います。  昨年度は第 4四半期がとても好調で、今年度はそのままの勢 インダストリー4.0、コンセプトから具体化へ いで第 1四半期が順調に伸びた。しかし今年後半にかけて少し 落ち着き、最終的には 7~ 8%の増収を見込んでいる。 ̶̶ドイツにおけるインダストリー 4.0 の進捗について教え て下さい 事業部再編で経営スピードを向上  今年のハノーバーメッセでは、各社がより一層アプリケー ̶̶2016 年に電子部品・コネクタ関連の DC 事業部 ション展示へと進化してきていました。当社も PROJECT (Device Connectors)、端子台や盤用機器などの ICE 事 complete(端子台を使った制御盤製造ソフト、配列・デザイ 業部(Industrial Components and Electronics)、 ン・発注まで)や、Eplan・Rittal との共同ブース(Smart PLC やネットワーク機器などの IMA 事業部 (Industry Engineering and Production 4.0)など、エンジニアが機 Management and Automation) の 3 つの事業部に再編 械設計から製造までを行える完全なアプリケーションを紹介で しました。効果はいかがですか ? きるようになりました。  短期間で 20億ユーロ達成できたのは、独立した 3事業部制  インダストリー 4.0 発表当初はコンセプト先行だったが、 にしたことが大きい。これまでは全事業の課題を役員会議で議 徐々にモジュールが提案され、今年はより具体的なアプリケー 論していましたが、今は各事業部のリーダーが事業を推進して ションとして実際に見せることができるまでに進化してきてい います。DC事業部は電気部品で、IMA はもっとソリューショ ます。これからに期待していてください。 ンや産業視点からのビジネスでそれぞれに違いがあります。各 製品のビジネス環境、ターゲット市場の変化に応じてスピー ディーに意思決定し対応できるようになり、早くもその効果が 出ています。 日本の自動化市場に注目。ICE事業に期待 ̶̶日本市場も二桁成長となりましたが、どう見ていますか ?  これまでは売り上げの約 50%をドイツ・アメリカ・中国の 3市場が占めてきましたが、今後は早急に他の市場を伸ばす必 要があります。それに向けて新たに 2市場で売上 1億ユーロ を突破すべく大きな投資を計画しています。日本市場も重要か つ優先的な市場として考えています。  既にネットワーク系のビジネスでは、日本はドイツ本社をも リードするような市場となっており、その他事業の成長も著し い。新拠点や人員の増員に加え、日本市場向け製品に付加価値 を与える施策、物流能力も含めた施策も視野に入れ検討してい ます。 ̶ 15 ̶