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袋物のパレタイズのポイントなど、搬送工程の自動化に関するお役立ち情報をまとめました。
⑴パレタイズロボットとは?
①パレタイズロボットとは?
②パレタイズロボット導入のメリット
③パレタイズロボットを導入するポイントは?
④まとめ
⑵袋物パレタイズ・デパレタイズ工程の自動化の課題について解説
①ワークに起因する課題
②袋物パレタイズ・デパレタイズ工程で使われるロボットハンド
③袋物パレタイズ・デパレタイズ工程特有の課題とは
④袋物パレタイズ・デパレタイズ工程の自動化例
⑤まとめ
⑶ピッキングロボットとは?
①ピッキングロボットとは?
②ピッキングロボットの必要性
③ピッキングロボットの種類
④ピッキングロボットを導入するメリット
⑤ピッキングロボットを導入する際の注意点
⑥より多様な環境で利用可能なバラ積みピッキングシステム
⑦まとめ
⑷自動倉庫のリニューアルとは?
①自動倉庫リニューアルとは?
②自動倉庫をリニューアルする理由
③自動倉庫リニューアルの注意ポイント
④自動倉庫の更新が必要な箇所
⑤自動倉庫の更新時期
⑥まとめ
⑸遠隔監視とはどのようなシーンで役立つシステム?
①遠隔監視とは?
②遠隔監視導入のメリット
③遠隔監視システムを選ぶポイント
④遠隔監視システムの活用例
⑤まとめ
このカタログについて
| ドキュメント名 | ロボット導入・自動化お役立ち情報 パレタイズ・搬送編 |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ハンドブック |
| ファイルサイズ | 6.2Mb |
| 取り扱い企業 | 株式会社JRC(ALFIS) (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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ロボット導入
自動化
06-6543-8180
〒 550-0011 大阪市西区阿波座2丁目1番1号 CAMCO西本町ビル5階
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部
ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
パレタイズロボットとは?
仕組みや特徴・導入について解説
物流や製造業において、効率的な荷積み作業が求められる場面で「パレタイズロボット」が注
目されています。
導入によって生産性や精度の向上が期待できるパレタイズロボットについて、仕組みや特徴、
導入メリットなどを詳しく解説します。
1 パレタイズロボットとは? 人件費の削減
パレタイズロボットとは、製品をパレット パレタイズロボットを活用して作業を自動
上に積み上げる荷積み作業を自動化するロ 化することで、省人化が実現できます。
ボットです。主に製造業や物流業で使用され 特に人手不足が課題とされる物流や製造現
ており、人間が行っていた重労働や単純作業 場において、他の重要な業務に人員を配置で
の代行を果たします。その効果として、労働 きます。また、新たに作業スタッフを教育す
環境の改善や業務効率の向上に貢献します。 る手間や費用も軽減されるため、長期的な視
パレタイズロボットは主に「垂直多関節ロ 点で大きな費用削減効果が見込めるでしょ
ボット」に分類されるロボットを採用してお う。
り、複数の関節を持つアームで滑らかな動き 垂直多関節型のパレタイズロボットは省ス
を実現し、大型で重量のある物も効率的に積 ペースなためレイアウト変更の手間がかから
載可能です。 ず、繊細なパレタイズ作業に対応可能です。
重量物対応を重視するため、4軸タイプが また、商品や資材の変更に伴う作業設定の変
一般的で、高速性よりも安定性を重視するの 更にも対応します。
が特徴です。 安全性の確保
2 パレタイズロボット導入の パレタイズロボットが重量物の持ち上げや
メリット 高所作業を代行することで、人の負担を大幅
に軽減し、安全性を確保します。
パレタイズロボットの導入は、人手不足解 これらの作業は人が行うと大きな負担がか
消や労災防止のための省人化に加え、作業効 かるため、事故や怪我のリスクを伴います。
率の向上や費用削減などの多くの利点があり ロボットが代わりに行うことでリスクが低減
ます。 され、作業環境の安全性が向上するでしょう。
ここでは、パレタイズロボット導入メリッ さらに、高精度で安定した動作は、重い荷
トについて詳しく解説します。 物の運搬時に発生しやすいケガや繰り返し作
業による疲労も防げます。作業員は危険な工
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部
ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
程から解放され、快適な労働環境が整います。 パレタイズロボットの設置は作業領域を十
業務の効率化による生産性の向上 分に確保した上で、その重量に耐えられる床
の強度も必要です。例えば、重量物を扱う際
パレタイズロボットを導入することで手作 には、ロボットの動作エリアを確保すると同
業の荷積みを自動化でき、作業効率が飛躍的 時に、ロボットの重量に耐えうる基礎構造が
に向上します。自動化で作業のスピードが上 求められます。
がるため、製品の搬送から積載までの時間は また、設置スペースが限られている場合で
短縮されます。 も、比較的狭いスペースに対応可能なコンパ
また、連続稼働が可能なため、人間のよう クトなタイプのロボットが存在するため、導
に休憩を取る必要はなく、生産性の向上につ 入場所に応じた選択も可能です。
ながるでしょう。 こうした事前準備を徹底することで、ロ
さらに、ロボットは作業を均一に行うため、 ボットの効率的な運用を支え、作業のスムー
余計な動作が少なく、時間管理も効率化され ズな進行を促進します。
るという点がメリットです。 適したタイプを選ぶ
精度の向上
パレタイズロボットには「ガントリー(直
パレタイズロボットはプログラムされた仕 交型)」「多関節ロボット型」の 2つのタイプ
様に基づいて動作するため、ミスが少なく安 があり、作業内容に合わせた選択を行います。
定した精度で作業を遂行します。人力での作 ガントリー型は広い範囲での横方向の移動が
業と違い、疲労や不注意によるエラーが発生 得意で、多関節ロボット型は柔軟な動作が可
せず、出荷ミスや誤配送を最小限に抑えられ 能なため小さなスペースでも効果的に動けま
ます。 す。
また、正確な積み上げができるため、荷崩 またパレタイズはロボットを利用しない機
れのリスクも低減し、製品の品質を高水準で 械設置型もあり、それぞれ特長があります。
維持可能です。その結果、安定した品質管理 導入現場の特性や生産ラインの設計を考慮
が可能なため、企業の信頼性も向上するで し、それぞれの特長の比較検討が、効率的な
しょう。 運用につながるでしょう。
可搬質量が重要
3 パレタイズロボットを導入する
ポイントは? パレタイズロボットの「可搬質量」とは、
どの程度の重さの物を運べるかを示す重要な
パレタイズロボットの導入は、重量物の持 指標です。可搬質量が大きいほど重量物に対
ち運びや、高頻度での積み上げ作業を行う現 応できる一方で、装置が大型化するため、設
場での活躍が期待されます。 置スペースや初期投資費用は増加する可能性
最大限の効果を得るために、気を付けると があります。
よいポイントについて解説します。 作業内容に適した可搬質量を選ぶことは、
設置スペースの確保 効率的な作業を実現するために大切です。過
剰なスペックを求めて余分な費用を発生させ
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ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
ないよう注意しましょう。 防ぎ、作業の信頼性を高めます。
適切な処理能力 導入コスト・ランニングコスト
パレタイズロボットの「処理能力」は、単 パレタイズロボットの導入には、ロボット
位時間内に処理できるワーク数を示し、荷物 本体の費用に加え、周辺機器・システム設計・
の処理速度に直結します。 設置工事費用もかかります。
処理能力が高いほど効率よく荷物をさばけ また、定期的なメンテナンスや部品交換な
ますが、作業のペースに比して処理能力が過 どの保守費用でかかるランニングコストも発
剰だとオーバースペックによる余剰が生じる 生するため、事前に見積もっておくことが重
こともあります。 要です。
そのため、作業量とペースに合った処理能 一方、ロボットの導入で人件費削減や作業
力を持つロボットの選択で、適切な費用対効 効率の向上が期待できるため、必要な費用と
果の実現と運用費用の最適化につながるで 得られる効果を長期的に比較し、費用対効果
しょう。 のしっかりとした評価が求められます。
適したタイプを選ぶ
4 まとめ
パレタイズロボットとは、物流や製造の現
場での積み上げ作業や重量物の搬送を支援す
るために設計されたロボットで、人手不足の
解消や作業効率の向上が期待できます。
一方で、導入には設置スペースの確保・ロ
ボットの種類・可搬質量・処理能力の選定、
さらにハンドや導入費用に関する事前調査が
パレタイズロボットのハンドには、主に「把 重要です。
持ハンド」と「吸着ハンド」の 2種類があり これらのポイントを考慮することで、パレ
ます。 タイズロボットは安全かつ効率的な作業環境
把持ハンドは握ったり挟んだりするように を実現し、企業全体の生産性向上に貢献する
ものを固定する仕組みで、吸着ハンドはエ でしょう。
アーで固定する仕組みです。これらを含む複
数の方法で固定する場合もあります。
選定時には、積載物の特性を考慮し、最適
なハンドを選ぶことが重要でしょう。
また、ロボットが停止した場合や停電時で
も、エアーや電気の供給が途絶えた際に荷物
が落下しないよう、ハンドの吸着や把持を維
持できる仕組みが必須です。
このような安全対策は、荷物の落下事故を
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部
ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
袋物パレタイズ・デパレタイズ工程の
自動化の課題について解説
工場や物流拠点で、パレタイズおよびデパレタイズ工程を自動化するロボットは、いくつもの
メーカー・SIer が開発していますが、その多くが段ボールやコンテナを取り扱うためのものです。
袋物もパレットを使って輸送されることが多い一方で、段ボールのような箱型のものとは性質
が異なるため、パレットへの袋の積み付けや積み下ろしをロボットで行うには、ロボットシス
テムの構成や動作プログラムを替える必要がある場合があります。
この記事では、袋物のパレタイズ・デパレタイズ工程をロボットで自動化する際の課題点につ
いて説明します。
1 ワークに起因する課題 り、上手に積みつけなければ荷崩れが発生し
ます。
袋で梱包されている製品は数えきれないほ ロボットでパレタイズ・デパレタイズを行
どありますが、その中でパレットに直接積み う際には、袋の表面がどんな性質かによって、
つけて運ばれるものは一部です。 適したハンドツールを選びますが、どんなハ
小さいもの・軽い物・袋が汚れてはいけな ンドを使っても伸びたり傷ついたりしてしま
いものなどは段ボール箱等に詰めたうえでパ い、ロボット化が難しい素材もあります。
レットに積みつけるため、直接積みつける物 樹脂製の袋の中には色が透明のものもあり
は大きくて重い物が中心となります。例を挙 ますが、AI ビジョンを使ったピック&プレ
げると、園芸用の土、25kg など内容量の多 イスを行う場合、透明の袋は認識に影響が出
い業務用の小麦粉やお米、樹脂のペレットな ることがあります。
どがあります。 袋の内容物
袋物のパレタイズ・デパレタイズの課題に 袋の中身は、細かい粒状、あるいは粉末状
ついて、以下の 2つの要素から説明します。 の物が大半です。袋の中で内容物が動くため、
袋の材質 形状が変わります。
充填率が高く密閉されたものであれば、内
パレット輸送する袋としては、紙袋、麻袋、 容物が動いても大きく変形はしづらいです
ポリ袋、ナイロン袋などがよく使われていま が、充填率が低い場合や袋が柔らかい場合は
す。 重心の位置が変わるほど偏ることもあり、荷
積み付けやすいように型崩れしにくい四角 崩れにつながります。
い形状をした袋も販売されていますが、枕の 荷崩れしやすい袋物を積みつける場合、内
ようなマチのない袋が使われていることもあ 容物の偏りを手で調整したり、人が目で確認
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ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
しながらバランスよく積んだりすることで荷 かったり落としてしまう可能性がある袋でも
崩れを防止しています。プログラム通りに動 吸着ハンドであれば安定して運ぶことができ
くロボットは臨機応変に調整するような動き ます。
は難しく、人が行っていた崩れにくい積み方
が再現できない可能性があります。 3 袋物パレタイズ・デパレタイズ
工程特有の課題とは
2 袋物パレタイズ・デパレタイズ
工程で使われるロボットハンド コンベヤ等で供給される袋をパレットの上
に積みつけるパレタイズ工程と、パレットに
ロボットシステムによく採用されるロボッ 積みつけられている袋を 1 つ 1 つばらして
トハンドには、ワークをつめで挟んで持ち上 降ろすデパレタイズ工程では、それぞれの工
げる把持ハンドと、ワークにパッド等を吸着 程に特有の課題もあります。
させて持ち上げる吸着ハンドがあります。 ここまでは袋自体に起因する課題やハンド
袋物のパレタイズ・デパレタイズ工程を自 ツールの選定など、パレタイズ工程とデパレ
動化する際にはどのような点を考慮して選定 タイズ工程で共通している課題を説明してき
しているか、それぞれ説明いたします。 ましたが、本稿ではそれぞれの工程特有の課
把持ハンド 題について説明します。
袋物パレタイズの課題
高重量の袋には、把持ハンドが向いていま
す。ハンドツールの特性上把持ハンドの方が 袋物の製品のパレタイズは、メーカーから
吸着ハンドよりも重いものを持つのが得意で の出荷時や物流倉庫での仕分け時などに行わ
あることに加え、内容物の重さによって袋が れます。
破損するリスクも小さくなります。 袋物はロボットが持ち上げて、パレットの
吸着ハンドでは袋の吸着している部分のみ ところまで運び、パレットの上に置く間に袋
に重さがかかってしまい、しっかりと 2 面 の形が変わります。さらに、隣や上に他の袋
から挟んで持ち上げる把持ハンドに比べて袋 が積まれたときにも変わることがあります。
に伸びや破れが発生する可能性が高いためで 袋が変形し重心が移動すると、袋が傾いたり
す。 ずれて動いたりしてしまい、輸送時に崩れる
吸着ハンド 可能性が高くなります。滑りやすい材質の袋
の場合はさらに崩れやすくなります。
吸着ハンドは、袋がつるつると滑りやすく 人の手で積みつける時には、目で様子を確
表面の摩擦が小さい材質の場合でも、しっか 認しながら調整して積むことができますが、
り持ち上げることができます。 プログラム通りに動くロボットにはそれがで
また、袋の内容物が動きやすく搬送中に重 きないため、プログラムを工夫して搬送中の
心が大きく変わってしまう可能性のある場合 変形を最小限に抑えたり、まっすぐ積むため
にも、袋をしっかり吸着しているため落とし のガイドを使ったりする必要が出てきます。
づらいという特徴があります。
このように、把持ハンドでは持ち上げにく
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部
ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
袋物デパレタイズの課題 ■ 自動化のポイント
・麻袋表面に皺や変形、模様などの複雑な状
袋物の製品のデパレタイズは、メーカーに 況にも容易に対応
入荷した材料をパレットから降ろして加工工 ・破袋機とシームレスに併用し、ユーザーの
程に送る時などに行われます。 ニーズを満たすタクトを実現
デパレタイズを自動化する際に、常に同じ
ようなワークが同じように積まれて供給され 5 まとめ
るような場合は、同じ位置からワークをピッ
クするプログラムを組むことが可能です。 袋物のパレタイズ・デパレタイズには段
しかし、様々なワークが様々な積み方で供 ボール箱のような固形物とは異なる課題があ
給される場合や、1つのパレットに何種類も り、自動化が難しい作業です。
のワークが積まれている混載パレットの場合 導入できるかを検討する際には、まずは
は、ビジョンシステムを使ってワークの位置・ ワークをハンドツールで掴むことができるの
大きさ等を認識し、ロボットがピックすると か、ビジョンシステムで認識することができ
いう方法を取ることになります。 るのかなど、一度テストを行って試してみる
袋物のワークは、表面にしわが入ったり形 ことで、より正確な費用や懸念事項などを把
が一定ではないため、ビジョンシステムで 1 握できることもあります。
つ 1つ正確に認識することが困難な場合があ
ります。認識が難しいワークを扱う場合は、
ビジョンシステムの設定に特別なノウハウが
必要です。
4 袋物パレタイズ・デパレタイズ
工程の自動化例
袋物のパレタイズをロボットで自動化する
課題解決事例をご紹介いたします。
Mech-Mind 製ビジョンを使用した袋のデパ
レタイズ
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ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
ピッキングロボットとは?
導入するメリットや注意点について紹介
物流業界では、作業効率や人手不足の解消が重要な課題であり、その解決策として注目を集め
ているのがピッキングロボットです。
この記事では、ピッキングロボットの種類や特徴、導入のメリットや注意点について解説し、
効果的な運用に必要な知識をお伝えします。
1 ピッキングロボットとは? の必要性が高まっています。
ピッキングロボットは「搬送用ロボット」 3 ピッキングロボットの種類
や「物流ロボット」とも呼ばれ、人間の代わ
りに工場や倉庫などでのピッキング作業を担 ピッキングロボットには多様な種類があ
う自動化システムのことを指します。 り、用途に応じた選択が可能です。
AI や自動走行技術が取り入れられ、商品 ここでは、代表的な 5 種類のピッキングロ
を指定された場所から取り出し、出荷エリア ボットについて詳しく紹介します。
まで運搬します。これによって、倉庫内の効
率が上がり、作業員の負担軽減や業務の正確 ピースピッキングロボット
さ向上が期待できるでしょう。 ピースピッキングロボットは、個別の商品
特に、ピッキング作業の時間短縮やヒュー をピース単位でピッキングするロボットで
マンエラーの低減が大きな利点です。 す。
主に 3D カメラと AI を用いた画像解析に
2 ピッキングロボットの必要性 よってピースを判別します。これによって、
形状やサイズが異なる商品でも正確に把握
ピッキングロボットの導入が注目される背 し、最適な動作でピッキングが可能です。
景には、物流や製造業界の人手不足問題が挙 特に小さな商品や、異なる形状を持つ多品
げられます。人口減少や業界全体の高齢化に 種の商品に対応する必要がある場合に効果を
伴い、倉庫業務・製造業務に従事する人材の 発揮します。この技術は、柔軟性に優れてお
確保が難しく、作業効率の改善が求められて り、個別の商品を扱う必要がある倉庫作業に
います。 適するため、ヒューマンエラーの軽減や作業
加えて、ピッキングロボットの導入には作 効率の向上が期待できるでしょう。
業の安定性や安全性の向上効果もあり、業務 また、ピースの置き場所を工夫することに
効率化や業務環境の改善にも寄与します。 よって、カメラに頼らないピッキングを実現
ピッキングロボットは、人手に頼らない新た するシステムもあります。
な物流システムの一端を担う技術として、そ
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ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
ケースピッキングロボット 庫内を移動しながら商品を運搬するロボット
です。
ケースピッキングロボットは、商品が保管 AGV とは異なり、AMR はセンサーや AI を
された箱ごと自動ピッキングするロボット 活用してリアルタイムに周囲の状況を把握
で、特に倉庫全体の省スペース化と効率向上 し、障害物を回避しながら最適な経路を選択
に役立ちます。 します。このため、柔軟な対応が可能で、倉
箱単位でピッキングをするため、大型商品 庫内の環境が変わった際にも柔軟に対応でき
や多数量の商品を素早く処理できるのが特徴 るため、運用効率が高まるでしょう。
です。 AMR の導入によって、従業員の移動負担
また、自動倉庫システムを導入しにくい環 が減り、ピッキング作業がスムーズに進むこ
境でも使用できるため、幅広い環境で導入可 とが期待されます。
能です。ケースピッキングロボットによって、 棚搬送型ロボット(GTP)
ピッキング業務全体の生産性が向上し、作業
員の負担も軽減されるでしょう。 GTP(Goods to Person)タイプの棚搬送
無人搬送ロボット(AGV) 型ロボットは、商品が格納されている棚ごと
ピッキングエリアに移動させ、作業員がそこ
AGV(Automated Guided Vehicle)は、自 から商品を取り出す仕組みです。
動で指定されたルートを走行し、商品を運搬 この方式は、従業員が倉庫内を移動せずに
するロボットです。 必要な商品にアクセスでき、作業時間の短縮
従来の搬送方法に比べ、重い荷物を効率よ と効率の向上に寄与します。
く運べ、作業員の負担軽減や作業スピードの 事前に設定したルートに従って棚を運ぶた
向上を実現します。ピッキング作業は作業員 め、効率的なレイアウトや最適化が可能です。
やピッキングロボットが行い、AGV はピッキ また、作業員の動きが限定されるため、業務
ングエリアから出荷エリアまでの商品移動を の安全性が向上し、正確なピッキング作業が
行います。 できます。
このシステムによって、作業員は商品を運
ぶ時間の削減ができるため、より生産性が高 4 ピッキングロボットを導入す
まるでしょう。AGV は倉庫内での搬送を単純
化・効率化し、作業の流れをスムーズにする るメリット
重要な役割を果たします。 ピッキングロボットの導入は、物流業務に
導入に際しては、あらかじめ決めたルート おいて生産性と品質を向上させる重要な手段
を用いるため、倉庫レイアウトに応じた最適 です。業務効率が改善され、顧客満足度の向
なルート設定が必要です。 上が期待されるでしょう。
自律走行搬送ロボット(AMR) ここでは、ピッキングロボットを導入する
2 つのメリットについて詳しく解説します。
AMR(Autonomous Mobile Robot)は、事
生産性が向上する
前に倉庫や工場の地図をインプットすること
によって、自律的に走行ルートを判断し、倉 ピッキングロボットの導入によって、ピッ
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ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
キング作業にかかる時間を大幅に短縮できま 減して他の作業へ振り分けたりなどが可能で
す。従来、作業スタッフがしていたピッキン す。
グ作業をロボットが担当することで、効率的
な商品選別が可能になり、業務全体のスピー 5 ピッキングロボットを導入す
ドが向上します。
また、ロボットが 24 時間稼働できること る際の注意点
で、人員のシフト調整に依存せず、安定した ピッキングロボットの導入には多くのメ
稼働が実現可能です。 リットがありますが、注意するとよい点もい
さらに、重い商品や高所の取り扱いなど、 くつかあります。
スタッフに負担がかかる作業もロボットが代 ここでは、ピッキングロボットを導入する
行するため、作業者の負担軽減や安全性の向 際の注意点について 2 つ説明します。
上も期待できます。 導入にコストがかかる
こうした要素が相まって、ピッキング作業
全体の生産性が大きく向上するでしょう。 ピッキングロボットの導入には初期費用が
品質が安定する 発生し、また運用に伴って担当スタッフの育
成や倉庫内のレイアウト変更なども必要にな
ピッキングロボットを利用することで、 るため、総合的な費用対効果の検討が重要で
ヒューマンエラーのリスクがほぼ排除され、 す。
品質の安定化が図られます。従来の手作業で 導入にかかる初期費用は、システム構築や
は、スタッフが商品を選ぶ際に誤りや取り違 ロボット本体の費用に加え、運用を担当する
えの発生がありました。ロボットは常に高精 スタッフのトレーニングやレイアウトの最適
度で作業をするため、こうしたミスを防げま 化も含まれます。
す。 しかし、こうした費用が長期的に作業の効
結果として、顧客への納品ミスが減少し、 率化や、エラー削減などの効果によって回収
返品やクレームの軽減へとつながるでしょ できるかを慎重に見極める必要があります。
う。 慎重な費用対効果の評価をすることで、結果
さらに、商品管理の精度が向上するため、 的に高い成果を引き出せるでしょう。
在庫の追跡や管理が容易になり、スムーズな トラブル時に業務停止する
出荷対応が可能です。
人手不足の解消につながる ピッキングロボットを導入する際のリスク
も考慮しなければなりません。
ピッキング作業は同じ場所を何度も行き来 ロボットが故障した場合、手作業でピッキ
する必要がある、製品によっては重くて負担 ングを再開する必要があるため、スタッフの
が大きいなど人の手で行うには困難な面があ 即時対応が求められます。また、出荷作業が
り、前述したようにヒューマンエラーが起き 停止する可能性もあり、これが納期の遅延や
るおそれもあります。 顧客満足度に影響することも考えられます。
ピッキングロボットの導入によって、人手 そのため、トラブル発生時に迅速に対応で
不足を緩和したり、従来スタッフの負担を軽 きる体制や予備機材の整備が重要です。計画
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ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
的な運用とメンテナンス体制を整えること
で、トラブルによるリスクを軽減できます。
6 より多様な環境で利用可能な
バラ積みピッキングシステム
バラ積みピッキングシステムとはピース
ピッキングの 1 種で、バラバラに積まれた中
から指定された形状に近いものを自動で判断
してピッキング可能です。
このシステムによって、さまざまな形状や
重量の商品に対応でき、柔軟な運用が実現し
ます。特に不規則な形状の商品のピッキング
が求められる場面では、その利便性が高まり
ます。
また、機械学習機能が搭載されている場合
には、異なるサイズや形状の商品をより正確
に選び出せるため、効率的な作業環境を提供
します。
ピッキングしたものをどの方向に向けて置
くかを指定できるため、部品や商品がバラバ
ラに詰められた状態から一定の方向に揃えて
並べ直すといった利用も可能です。
7 まとめ
ピッキングロボットの導入は、物流業界に
おける人手不足の課題に対応し、業務効率の
向上や作業品質の安定を実現する手段として
注目されています。
ロボットの導入によって、生産性が大幅に
向上し、作業負担の軽減や品質の一貫性が期
待できる一方で、初期費用やトラブル対策な
どの課題への対応も重要です。
各物流現場のニーズに合わせて最適なピッ
キングロボットを選択し、費用対効果の検討
によって、効率的で柔軟な物流体制を実現し、
長期的な業務改善に貢献できるでしょう。
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ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
自動倉庫のリニューアルとは?
更新時期や注意ポイントについて
自動倉庫は保管や仕分け、ピッキング作業を効率化するための重要なシステムです。
使用期間が長くなると機器の老朽化や効率低下が課題となるため、こうしたタイミングで「リ
ニューアル」の検討が重要です。
この記事では、自動倉庫リニューアルの概要と更新時期、さらにリニューアルをする際の注意
ポイントについて解説します。
1 自動倉庫リニューアルとは? ここでは、自動倉庫を導入する理由につい
て 3つ紹介します。
自動倉庫とは、製品や部品の保管・管理、
ピッキング作業を自動化した倉庫のことを指 スペースを有効活用するため
します。 自動倉庫をリニューアルすることで、限ら
近年、物流の多様化と業務の効率化の重要 れたスペースを最大限に活用できます。最新
性が高まり、多くの企業が自動倉庫の導入を の自動化技術や高密度収納システムを取り入
進めています。その一方で、導入から年月が れると省スペース化が進み、同じ面積でより
経つとシステムの老朽化や技術の陳腐化が進 多くの在庫を効率的に管理が可能です。
み、作業の効率や信頼性に影響が出てくるで また、高さを活用した収納方法の導入で、
しょう。 人の手が届かない上部の空間も有効に使え、
そのため、リニューアルでは自動化機器や 空間効率が大幅に向上します。リニューアル
システムを新しいものに更新し、最新の設備 でスペースを有効活用し、限られた倉庫環境
で稼働を再開させます。最新技術の導入効果 での在庫管理能力が向上するでしょう。
で、省エネ性能やデータ連携機能が強化され、
よりスムーズな運用が可能になると同時に保 業務を効率化させるため
守管理費用の削減にもつながります。 自動倉庫をリニューアルすることでヒュー
マンエラーが減少し、業務の品質が安定しま
2 自動倉庫をリニューアルする す。
理由 ピッキングや検品の質が向上することによ
り、在庫の管理や帳簿の作成にかかる工程が
自動倉庫を新規に導入する際は、主に人手 削減できます。
作業の負担軽減や作業効率化を目的とする一 倉庫で行われる作業一つ一つの質が向上・
方で、すでに自動化された倉庫をリニューア 安定することで作業環境が均一化し、管理業
ルする際は、どのような理由が考えられるの 務全体の品質も安定するのです。
でしょうか。
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ロボット導入・自動化お役立ち情報⑫
3 自動倉庫リニューアルの注意 自動倉庫のリニューアルには、初期投資な
ポイント どのイニシャルコストや、保守・運用に関す
るランニングコストが発生するため、事前に
自動倉庫をリニューアルする際には、設備 費用対効果の検討が大切です。リニューアル
更新に伴う課題やリスクを十分に考慮する必 で得られる効率化や品質向上効果、スペース
要があります。 の活用や人件費削減などの効果を考慮し、投
ここでは、自動倉庫リニューアルの際に注 資額に見合うかを評価しましょう。
意するとよい 3つのポイントについて解説し 導入後の長期的な費用管理を視野に入れた
ます。 計画を立てることで、安定した運用と効率的
システム障害のリスクがある な倉庫管理が実現できます。
リニューアルでシステムが最新化される一 4 自動倉庫の更新が必要な箇所
方で、新しいシステムの導入後には予期せぬ
トラブルや障害が発生するリスクも存在しま 自動倉庫の効率向上には、定期的なリ
す。 ニューアルと同様に機器の更新も重要です。
機械トラブルやシステム障害が発生した場 倉庫の稼働年数が増えると、制御機器や管理
合、倉庫全体の業務が一時停止する可能性も コンピュータ、重要部品の老朽化が発生し、
あるため、予防策としてバックアップ体制や 故障リスクが高まります。
迅速な対応ができる保守契約も必要です。 ここでは、自動倉庫の更新が必要な箇所に
また、導入前に十分なテストやシミュレー ついて 3つ解説します。
ションを実施し、システムの安定稼働の確保 制御機器の更新
が求められます。
自動倉庫の効率的な運用を維持するには、
導入後は保守メンテナンスをする 制御機器の適切な更新が重要です。
リニューアル後の自動倉庫が長期間安定し 設備コントローラや制御盤が老朽化する
て稼働するためには、計画的な保守メンテナ と、倉庫全体の運用効率が低下し、故障リス
ンスが不可欠です。日常的な点検と早期不具 クが増します。特に現代の自動倉庫はコン
合対応の体制を整えることで、稼働率を安定 ピュータ制御が主流であるため、制御プログ
させるとともに、不要な修理費用の発生を抑 ラムや計算機システムのアップデートも必要
えられます。 です。
特に、重要部品や機器の状態を定期的に確 最新の機器を導入することで、処理速度や
認し、経年劣化による予期せぬ故障を防ぐこ 制御精度が向上し、安定した稼働と作業効率
とが、長期的な業務効率維持には欠かせませ の向上が期待できます。こうした機器の更新
ん。 で長期的な運用リスクが低減され、信頼性の
メンテナンス体制を構築することで、安定 高い倉庫運用が実現するでしょう。
した稼働と費用の最適化が可能です。
管理コンピュータの更新
コストがかかる
自動倉庫では、倉庫管理システム(WMS)
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が在庫や商品の入出庫を管理しています。そ 12 年とされており、稼働年数がこれを超え
のため、システムが旧式化すると最新のソフ た場合は更新を検討します。
トウェアやOSに対応できず、セキュリティ また、国税庁による耐用年数の基準では、
リスクや処理能力の低下が懸念されます。 倉庫内のさまざまな機器にも耐用年数が設定
管理コンピュータを更新することで、最新 されており、部品交換や機器更新の目安とし
のWMS を導入し、在庫管理の精度を高め、 て活用できます。
リアルタイムのデータ処理が実現可能です。 こうした基準をもとにした倉庫内の機器の
また、システムのハードウェア自体も更新す 稼働確認が、倉庫全体の安定稼働には重要で
ることで、故障リスクを低減し、全体的なパ す。
フォーマンス向上にもつながるでしょう。 保守切れ
部品の交換
倉庫内の各種機器には、それぞれ保守契約
自動倉庫における駆動系部品、センサー、 期間が設定されています。例として、制御
モーターなどの重要パーツは、日々の稼働に 装置の保守期間は約 12 〜 15 年、管理コン
伴い劣化が進行します。これらの部品が古く ピュータは 5 〜 7 年程度が目安です。保守
なると動作が不安定になり、業務の効率に悪 期間が過ぎるとメーカーによるサポートが終
影響を及ぼす可能性があるため、定期的な交 了します。
換が重要です。 保守期間が近づくにつれて異音やエラーが
メーカーごとに独自仕様の部品が採用され 頻発するようになることもあるため、予期せ
ており、交換費用が高くなる可能性もありま ぬトラブルを避けるためにも機器の更新を検
す。さらに、スタッカクレーンや AGV(無人 討します。
搬送車)などの機器の単体更新も、全体の業 適切なタイミングでの更新が、倉庫全体の
務効率化を図る上で重要なポイントです。 運用効率を維持し、信頼性を向上させるで
しょう。
5 自動倉庫の更新時期
6 まとめ
自動倉庫の安定稼働を維持するためには、
適切な更新時期の見極めが欠かせません。 自動倉庫のリニューアルや更新は、倉庫運
タイミングを適切に判断することで、倉庫全 用の安定化と効率向上に欠かせない重要なプ
体の稼働率が安定し、長期的な業務効率向上 ロセスです。制御機器や管理コンピュータの
に役立ちます。 更新、部品交換などを行うことでシステムの
ここでは、自動倉庫の更新時期更新につい 稼働率は安定します。
て、2つ解説します。 耐用年数や保守切れを考慮した計画的な更
新が、効率的な倉庫運営を実現するでしょう。
耐用年数
自動倉庫の耐用年数は、減価償却に基づく
基準で定められており、これが更新の目安で
す。一般的に自動倉庫全体の耐用年数は 7〜
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遠隔監視とはどのようなシーンで
役立つシステム?
そのメリットや選び方のポイント
工場の設備や施設を効率的に監視したいとお考えのご担当者様に向けて、遠隔監視システムに
ついて解説します。
この記事では、遠隔監視の基本的な仕組みや導入のメリット、そしてシステムを選ぶ際の重要
なポイントを詳しくご紹介します。
1 遠隔監視とは れますが、ケーブルで接続された限られた範
囲でしか確認できない従来型の防犯カメラ
遠隔監視とは、カメラやセンサーを用いて は、厳密には遠隔監視とはいえません。
遠く離れた場所から対象物をネットワーク経 インターネットを通じて、画像や映像を確
由で監視するシステムです。 認できる防犯カメラのみを遠隔監視とするの
近年のカメラやセンサーの高性能化によ が一般的な解釈でしょう。
り、温度、湿度、振動、音響など細かなデー
タを高精度で感知できるようになり、実用性 2 遠隔監視導入のメリット
の高い遠隔監視が実現しています。
従来は現場に人員を配置する必要があった 遠隔監視システムの導入により、従来の監
監視業務を、中央管制室やオフィスから効率 視業務における課題を大幅に改善することが
的に行うことが可能となりました。 可能です。
IoT 技術の進歩により、複数の監視ポイン 遠く離れた箇所から複数の個所を同時に監視
トからのデータをリアルタイムで収集し、統 できる
合的な管理を行えるのも特徴です。
監視業務を中央に集中することで、遠く離
防犯カメラは遠隔監視か? れた場所から複数の箇所や拠点を効率的に監
遠く離れた場所からの監視というと、最も 視できるようになります。
イメージしやすいのは防犯カメラによる監視 特に危険な現場や人の立ち入りが困難な場
システムです。 所、広大な施設などの監視に威力を発揮する
しかし、遠隔監視の定義において重要なポ でしょう。
イントは、データをネットワーク経由でやり 例えば、複数の工場拠点を持つ製造業では、
取りしているかどうかです。 本社の管制室から全ての生産ラインの状況を
広い意味では防犯カメラも遠隔監視に含ま 一元的に把握できます。
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24 時間 365 日の監視が必要な設備につい 監視によって蓄積されたデータを分析する
ても、夜間や休日に現地へ人員を派遣する必 ことで、将来発生する可能性のあるトラブル
要がなくなり、安全性と効率性を同時に向上 や故障を予測できるようになります。
させることが可能です。 これにより予知保全の実現につながり、突
監視にかける人員を削減できる 発的な設備停止によるロスを大幅に削減でき
るでしょう。
監視業務の集中化により、従来は各現場に 振動データ、温度データ、稼働時間などの
配置していた監視人員を大幅に削減すること 複合的な分析により、部品の劣化状況や交換
が可能です。 時期を的確に判断できます。AI を活用した
人手不足が深刻化する製造業において、限 高度な分析により、人間では気付けない微細
られた人的リソースをより付加価値の高い業 な変化も検知可能です。
務に集中させることができるでしょう。 定期保全から状態基準保全へのシフトによ
また、監視業務の専門性を高めることで、 り、メンテナンスコストの最適化が実現でき
異常の早期発見や適切な判断を行える体制を ます。
構築できます。
複数の現場を同時に監視することで、監視 3 遠隔監視システムを選ぶ
員一人当たりの生産性が向上し、長期的に見
て大きな人件費の削減効果が期待できるで ポイント
しょう。 遠隔監視システムを導入する際は、自社の
遠く離れた箇所から複数の個所を同時に監視 状況や目的に合わせて最適なシステムを選ぶ
できる ことが大切です。
ネットワークを通じたリアルタイムでの状 導入の目的を実現できるか
況確認により、設備や環境の変化を瞬時に把 何の設備をどのような目的で監視するか
握できるようになります。異常が発生した際 を、明確に定義することが重要です。
には、アラート機能により即座に担当者へ通 生産設備の稼働監視、防犯・セキュリティ、
知が届き、迅速な対応を実現できるでしょう。 環境監視など、目的により必要な機能や性能
従来の定期巡回による監視では発見が遅れ が大きく異なります。目的に沿ったセンサー
がちな異常やトラブルも、連続監視により早 の種類、データ収集頻度、アラート機能の設
期に検出可能です。 定などを適切に選択する必要があります。
また、複数の監視ポイントから得られる また、将来的な拡張性も考慮して、段階的
データを総合的に分析することで、単独では に監視範囲を広げられるシステムを選ぶこと
気付きにくい異常の兆候も捉えることがで が賢明でしょう。
き、緊急時には自動で関係部門への連絡や設 導入後の運用イメージを具体的に描き、実
備の自動停止なども実行できるため、被害の 際の業務フローに適合するかを十分に検証す
拡大防止にも効果的です。 ることが大切です。
予知保全につながる
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導入の目的を実現できるか 生産設備や生産状況を監視
導入費用だけでなく、ランニングコストを 製造業では、生産設備の稼働状況をリアル
含めた総合的なコストが得られる効果に見合 タイムで確認できるシステムが広く導入され
うかを慎重に検討する必要があります。 ています。
監視する箇所や項目は本当に必要なものに 設備の異常検知にとどまらず、日々の生産
絞り、過剰な機能による不要なコスト増加を 状況や製品品質のモニタリングが可能です。
避けることが重要です。 生産状況のデータは将来的な生産計画の立案
また、システムの保守費用、通信費、クラ や、効率的なメンテナンススケジュールの策
ウドサービス利用料なども含めた 5年から 定に活用できるでしょう。
10 年のトータルコストで比較検討すること また、複数のラインや工程を統合的に監視
をお勧めします。 することで、全体最適化の視点からの改善提
人件費削減効果、トラブル回避による損失 案が可能になります。
防止効果なども定量化して、投資対効果を明 さらに、異常発生時の迅速な対応により、
確にすることが大切です。 生産停止時間の最小化と品質安定化を実現で
セキュリティは堅固か きます。
監視データをネットワークを通じて送信す エネルギーの利用状況を監視
るため、セキュリティ対策は必須の要件です。 ビルや工場などにおけるエネルギー消費状
データの暗号化、アクセス権限の管理、不 況の監視により、省エネルギー対策の効果的
正アクセスの検知など、多層的なセキュリ な実施が可能になります。
ティ対策が施されているかを確認しましょ 電力、ガスなどの使用量をリアルタイムで
う。 把握し、エネルギー消費が集中する時間帯や
また、システム運用に関するルールを明確 設備を特定できるでしょう。必要以上にエネ
に定め、関係者全員で共有することも重要で ルギーを使用している可能性がある箇所の発
す。定期的なセキュリティアップデートの実 見により、無駄の削減とコスト低減を実現で
施体制、インシデント発生時の対応手順など きます。
も事前に確立しておく必要があります。 また、デマンド制御(電力使用量のピーク
特に製造業では生産情報の漏洩が競争力に を抑制し、基本料金を削減するための制御)
直結するため、より厳格なセキュリティ基準 による電力料金の最適化や、再生可能エネル
を適用することが求められます。 ギーとの効果的な組み合わせも可能です。
太陽光発電パネルを監視
4 遠隔監視システムの活用例
太陽光発電パネルは人里離れた場所や、ビ
遠隔監視システムは、さまざまな分野で活 ルの屋上など監視が困難な箇所に設置される
用されています。ここでは、代表的な活用事 ことが多いため、遠隔監視システムが積極的
例をいくつかご紹介します。 に活用されています。
パネルの発電状況、インバーターの動作状
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態、異常の早期発見などが主な監視項目です。 業界のニーズに応じた最適なソリューション
発電効率の低下を早期に検知することで、適 が提供されています。
切なメンテナンス時期の判断が可能になるで システム選定の際は、導入目的の明確化、
しょう。 コスト効果の検証、セキュリティ対策の確認
また、天候データとの照合により、期待発 が重要なポイントです。
電量と実発電量の比較分析が行えます。 今後の IoT 技術と AI 技術の進歩により、
設備の盗難防止や不法侵入の検知機能も重 より高度で実用性の高い遠隔監視システムの
要な要素となっており、投資回収期間の短縮 普及が期待されています。
と安定した発電事業の運営に貢献する技術で
す。
医療機関で患者や環境を監視
一部の医療機関では、患者の容体監視や、
病室の温度・湿度などの環境管理に遠隔監視
システムが導入されています。
ICU や一般病棟での患者の状態を看護ス
テーションから効率的に監視できるため、医
療従事者の負担軽減に大きく貢献していま
す。
在宅医療において期待されているのが、患
者の自宅にセンサーを設置して遠隔から健康
状態を確認するサービスの普及です。
高齢者の見守りサービスとしても活用が拡
大しており、独居高齢者の安全確保に重要な
役割を果たしています。
医療の質向上と効率化を同時に実現する技
術として、今後さらなる発展が期待されます。
5 まとめ
遠隔監視システムは、製造業をはじめ様々
な業界で生産性向上とコスト削減を実現する
重要な技術です。離れた場所からの効率的な
監視により、人員削減、迅速な異常対応、予
知保全の実現など多くのメリットを提供しま
す。
生産設備監視、エネルギー管理、太陽光発
電、医療分野など幅広い活用事例があり、各
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