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ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編③

ハンドブック

ロボットを使った工場等の自動化に関するお役立ち情報をまとめました。

⑴ロボットシステムインテグレータとは?
 ①ロボットの導入・活用をは幅広くサポートする業者
 ②ロボットSIerに依頼する6つのメリット
 ③ロボットSIerに依頼する際の6つの注意点
⑵産業用ロボット導入時の危険とは?
 ①ロボット導入時に想定される危険と対策
 ②ロボット導入時の機縁抽出と対策の重要性
⑶協働ロボットの安全対策とは?
 ①協働ロボットの安全規格とは
 ②安全対策にかかせないリスクアセスメントとは
 ③アルフィスのリスクアセスメントの流れ
 ④協働ロボットの導入における安全対策の例
⑷PLCとは?
 ①PLCでロボット制御をする理由
 ②PLCでロボット制御をするメリット
 ③PLCを使ったロボット運用事例【ハウジングの油取り工程】
 ④PLCでのロボット制御の注意点
⑸投入工程の自動化とは?
 ①加工機・洗浄機のワーク投入工程の自動化メリット
 ②ワーク投入の自動化を支える協働ロボット
 ③投入工程自動化における協働ロボット導入時の注意点
 ④投入工程の自動化を実現する移動式・協働ロボットユニット

このカタログについて

ドキュメント名 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編③
ドキュメント種別 ハンドブック
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取り扱い企業 株式会社JRC(ALFIS) (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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ロボット導入 自動化 お役立ち情報 基本編③ 06-6543-8180 〒 550-0011 大阪市西区阿波座2丁目1番1号 9階
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ ロボットシステムインテグレータとは? ロボットシステムインテグレータ(ロボット SIer)について解説 近年、急速に進行する少子高齢化を受け、製造業の現場においては、生産性向上やコストダウン、 品質向上を目的として、ロボットの導入・活用がますます注目されています。 ロボットの導入に欠かせないパートナーとして「ロボットシステムインテグレータ(ロボット SIer)」と呼ばれる企業が存在します。 そこで、この記事では、ロボット SIer の役割、ロボット SIer にロボット導入を依頼するメリッ トと注意点について具体的に解説します。 1 ロボットの導入・活用を幅広 ナンスなどアフターフォローまで一貫して担 くサポートする業者 うロボット SIer も存在します。 人とロボットとの作業の分担  ロボット SIer(ロボット・エスアイアー) とは、「ロボットシステムインテグレータ  「ロボットの導入は、ロボット本体を作っ (Robot System Integrator)」の略で、ロボッ ているロボットメーカーに直接頼んだ方がス トの導入・活用を幅広くサポートする専門業 ムーズで良いのでは」と思われた方もいるの 者のことをいいます。 ではないでしょうか。  ロボットの導入を検討するお客様の現場課  しかし、ロボットによる自動化を進める場 題を分析し、最適なロボットシステムを構築 合、ロボット単体をメーカーから購入し、設 するために、様々な機械装置や部品などから 置すれば良いという単純なものではありませ 必要なものを選別し、システムとして統合(イ ん。 ンテグレーション)するエキスパートであり、  基本的には、ロボットメーカーではロボッ これからの社会にもたらす役割への期待がま トの導入・システム構築には対応していませ すます高まっています。 ん。なぜなら、ロボットメーカーが販売する  ロボットの導入を検討するお客様の現場課 ロボットは「半完結製品」とも呼ばれ、人の 題を分析し、最適なロボットシステムを構築 手のように物をつかむためのハンドが取り付 するために、様々な機械装置や部品などから けられておらず、動き方の教示もされていな 必要なものを選別し、システムとして統合(イ いことが一般的だからです。 ンテグレーション)するエキスパートであり、  さらに、ロボットの型だけでも、直交型・ これからの社会にもたらす役割への期待がま 垂直多関節型・水平多関節型(スカラロボッ すます高まっています。 ト)・パラレルリンク型・双腕型など、複数  中には、ロボットハンドや付帯装置、治具 の種類があり、メーカーによっても異なる特 といった周辺パーツの製作・供給、独自のソ 徴・特性があります。 フトウェア開発・提供、導入後の定期メンテ  そのすべてを理解するためには、膨大な時 1
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ 間と労力がかかります。 多くの時間と手間がかかります。  加えて、ロボット以外の周辺機器・システ  一方、ロボット SIer に依頼する場合、そ ムについての知識も必要となると、特に中小 れらの煩雑なやり取りをロボット SIer に一 製造業の企業では、単独で自社の生産ライン 任でき、窓口も一本化されるため、最短距離 に適合するロボットシステムを構築すること での導入が可能となります。 は非常に難しいといえるでしょう。 構想から導入後のアフターフォローまで ロボットシステムインテグレータに依頼する サポートしてもらえる 理由  ロボット SIer にロボット導入を依頼する  ロボットによる自動化を実現するために 場合、構想段階からロボットの設置、試運転、 は、その現場ならではの作業用途・目的を明 調整、導入後の運用支援、メンテナンスまで 確にし、ロボットに関する知識はもちろん、 一貫してサポートしてもらえる場合が多いで ハンド、ビジョンセンサ(カメラ)、周辺機 す。 器などのハードウェアを組み合わせ、それら  定期的なメンテナンスを受けることで、長 がうまく機能するようにソフトウェアをプロ く安全にロボットシステムを活用できます。 グラムするインテグレーションの作業が必要 現場の予算・規模感にあったロボット導入を となります。 提案してもらえる  また、前・後工程を含めてスムーズに工程 管理するためのシステム設計や通信・情報セ  あらかじめ予算を伝えることで、その予算 キュリティなど幅広い知識と経験が求められ 内でのロボット化の提案をしてもらえます。 ます。それこそが、お客様がロボットの導入  例えばロボット導入の目的が工程の効率化 をロボット SIer に依頼する理由であり、ロ の場合、ロボット SIer は工程内のどの作業 ボットシステム構築のプロ集団であるロボッ をロボットに置き換え、どこまでは人が行う ト SIer に期待される役割です。 べきかといった内容を複数提案してくれま す。 2 ロボット SIer に依頼する  また大規模工場の新規生産ライン構築に限 6つのメリット らず、中小規模の生産工場で、今ある製造ラ インを活かして導入するようなケースでも、  ロボットシステム構築のプロ集団であるロ スペースや人員などに配慮された提案がもら ボット SIer に依頼してロボット導入を進め えます。 ることには、どのようなメリットがあるので  自社の予算や想定されるコスト、現場の規 しょうか。主なメリットを6つご紹介します。 模と照らし合わせ、納得できる提案を採択で きます。 ロボット導入までの時間を大幅に短縮できる 消耗品を提供してもらえる  自社のみでロボット導入を行う場合、必要 なロボット、関連装置、周辺設備を選別・統  ロボットシステムを構成する部品それぞれ 合するために、メーカーごとに問い合わせを にも寿命があります。 行い、個別に打ち合わせをする必要があり、  消耗品を交換しないで使い続けた場合、ロ 2
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ ボットシステム全体の寿命が短くなります。 生産量アップなど、何を最も優先したいのか  ロボット SIer にロボット導入を依頼した を依頼前に具体的に決めることが重要です。 場合、正しいタイミングで消耗品を供給・交  目標・目的を明確にした上で、ロボット 換してもらえます。 SIer の理解にズレがないように、互いが納得 ロボットの運用に精通した人材を派遣しても できるよう、詳細まで伝える必要があります。  例えば、「この工程は作業員を 10 人から らえる 5 人まで半減させたい」「人員はそのままで、  突発的な故障時の対応や、人手不足により 生産量は3倍に増やしたい」など具体的な数 点検・メンテナンスが困難である場合にも、 値目標があるとロボット SIer もより現場の ロボット SIer へ導入を依頼していた場合に 希望にあった具体的な提案が可能となりま は、ロボット運用に精通したメンテナンスエ す。 ンジニアや生産オペレーターなどのスペシャ ロボット SIer が得意とする分野かどうか リストを派遣してもらえる場合があります。 ロボットの運用データを分析し改善提案をし  ひと口にロボット SIer と言っても、会社 ごとに得意分野が異なります。 てもらえる  例えば、メーカー系列のロボット SIer は、  ロボットを運用していくとさまざまなデー 特定のロボットに対して深い知見を持ってい タが蓄積されます。ロボット SIer は、定期 るものの、逆にその他のロボットについては 的に蓄積データを確認し、データを集めるこ 扱う機会が少なく、対応が困難な場合があり とによってメンテナンスサービスや運用の改 ます。 善案を提案してくれるので、より効率性の高  依頼予定のロボット SIer がこれまでどの いロボット運用が可能になります。 ような業界・分野を手掛けてきたのか、また、 どのようなシステムの構築が得意なのかを、 3 ロボット SIer に依頼する際 依頼前に実績や導入事例を照会すると良いで の6つの注意点 しょう。 自社のニーズや業界の特性への理解があるか  ここまで、ロボット SIer を活用するメリッ トをご紹介しましたが、逆に注意すべき点は  自社のニーズや業界の特性をしっかりと把 どのような内容でしょうか。 握した上で、最適なロボットや関連装置、周  ロボット SIer に依頼するときの注意点に 辺設備の選定ができるロボット SIer でなけ ついて6つのポイントをご紹介します。 れば、そもそも依頼するメリットがありませ 目的を明確にしてから依頼すること ん。  生産工場の現場は多種多様で、柔軟な機種  ロボットを導入すれば、必ずしも作業効率 選定が求められます。ロボット SIer がどの が良くなり、大きな利益が発生するとは限り ようなロボットを取り扱っているかだけでな ません。 く、これまでにロボット導入をサポートして  ロボットを導入することで何を実現したい きた業界や企業についても前もってチェック のか、人員削減、作業の効率化、環境の改善、 しておきましょう。 3
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ 動化、完全無人化など)を提案できるのかの 既存環境や現場の機器とのマッチングが 余力についてもロボット SIer に確認してお 可能か くことが必要です。  ロボット導入にあたって、現在の自社の作 今後どのようなメリットが生まれるのか、ラ 業環境や設備機器、従業員の配置といった条 インニングコストがどの程度かかるのかにつ 件をまとめておくことは欠かせません。 いても、できるだけ詳細に確認し、年単位の  もし既存の機器や設備と、新しく導入する スケジュール案を作成してもらうと、より自 ロボットとの相性が悪かったり、互換性に問 社のロボットシステムの将来像が明確になる 題があったりすれば、導入コストが無駄に ことでしょう。 なったり、さらに別の機器や装置を追加で導 入しなければならなくなったりといった問題 が生じます。  そのため、ロボット SIer へロボットの導 入を相談する場合には、必ず担当者へ自社の 環境や状況を正しく理解してもらえるように 努めることが重要になります。 従業員の使いやすさや技術習得の必要性  ロボットを導入しても、その使い方を正し く理解して運用しなければ本来の導入効果は 得られません。  基本的に、ロボットの操作が複雑であった り、一部の従業員しか扱えなかったりすれば、 工程の効率化や人員配置の適正化、属人化の 解消といった目的は果たせません。  省人化のためにロボットを導入したとこ ろ、ロボットの専任担当者を新たに採用しな ければならなくなることは本末転倒といえま す。  現在の業務フローや従業員の技術レベル、 作業の効率化に求められる機器の性能といっ た諸条件をロボット SIer へ多方面から検証 してもらい、できる限り無駄のないロボット 導入をサポートしてもらうことが重要です。 将来的な改善案も提案してもらうこと  現時点で導入するロボットシステムだけで なく、将来的にどのような変化(さらなる自 4
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ 産業用ロボット導入時の危険とは? 想定される危険事例を紹介 人手不足の解消や労働負担の削減、品質の向上を目的にロボットを導入する企業が増えていま す。ロボットを導入する際には、ロボットに潜む危険を十分に把握し、事前に対策を取る必要 があります。 この記事では、ロボットを導入する際に想定される危険と対策について解説します。 1 ロボット導入時に想定される 合、大きな事故につながるため、危険性と対 危険と対策 策について十分に検討する必要があります。 危険事例②ロボットのメンテナンス時に高い  ロボット導入時に想定される、危険と対策 について具体例を紹介します。 位置から落下 危険事例➀自動運転中のロボットの可動範囲  ロボット導入によるリスクは、ロボットの 稼働中に生じるものだけではありません。 に作業者が侵入  例えば、パレタイズを行うロボットでは、  ロボットが自動運転をしている最中に、作 高い位置までアームを伸ばす必要があり、脚 業者が誤ってロボットの可動範囲に侵入して 立などを用いてメンテナンスを行う必要があ しまう可能性があります。その場合、高速で ります。脚立から作業者が身を乗り出して点 動作しているロボットが作業者の身体(特に 検を行っている最中に、バランスを崩して落 頭部など)に接触し、大けがにつながってし 下してしまった場合、骨折などのけがをする まいます。 可能性があります。  リスクを低減するためには、ロボットの可  ロボットは可動するため、常にアームを伸 動範囲を制限し、ロボットの可動範囲よりも ばした高い位置でメンテナンスをする必要は 外側に作業者が侵入した場合には、ロボット ありません。対策として、メンテナンスがし が停止できるようにセンサを設置することが やすい低い姿勢を事前に登録(点検モード) 必要です。協働ロボットの場合には、検出し しておき、メンテナンスを行うことで、安全 た作業者との距離に応じて徐々に稼働速度を を確保できます。 制限するような対策を取ることも可能です。  また、メンテナンス時のロボットの姿勢に  また隣接するラインから作業者が侵入して ついて、手順書などに記載することで、作業 くる可能性に対しては、ライン間を安全柵で 者が間違えずに作業することが可能です。 隔つ処置が効果的です。 危険事例③ロボット周辺に存在するパレット  このような処置を行えばリスクを低減する ことができますが、万が一事象が発生した場 ガイドにつまづく 5
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③  ロボットの周辺には、荷物を置くパレット や仮置きしたワークなど、ロボット以外にも さまざまなものが配置されています。そのた め作業者がロボットの周囲を移動する際、気 付かずにつまづいてしまう可能性がありま す。万が一転んでしまった場合、ロボットに ぶつかってしまったり、けがにつながる可能 性があります。  リスク低減の対策としては、視界に入りに くいものに気付きやすいように、注意喚起の テープを貼ることが考えられます。 2 ロボット導入時の危険抽出と 対策の重要性  ロボット運用後に判明したリスクに対し て、取れる対策はそう多くありません。実際 に事故が発生することでリスクが顕在化して しまうと、今後ロボットの活用が難しくなっ てしまう可能性もあります。  そのような状況に陥らないために、ロボッ ト導入にはさまざまな危険が生じることを十 分に理解した上で、リスクの抽出・対策を行 う「リスクアセスメント」の実施が不可欠で す。  ロボット導入時にリスクアセスメントを実 施し、危険を抽出・検討することは、リスク の低減以外にもメリットがあります。従来は 考慮していなかった細かい動作や工程まで分 析するため、これまで把握していなかった、 潜在的な危険まで洗い出すことが可能です。 6
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ 協働ロボットの安全対策とは? 安全規格とリスクアセスメント 作業者と共に作業ができるロボットとして、協働ロボットの導入が進んでいます。安全性に配 慮された協働ロボットですが、人とおなじラインで作業をするためには、さまざまな安全規格 や規制などに準拠した環境を整える必要があります。 この記事では、協働ロボットの安全規格やリスクアセスメントの実施の流れ、安全対策の例に ついて解説します。 1 協働ロボットの安全規格とは  安全に関する特定の条件を満たした協働ロ ボットは、ロボットと作業者が安全柵で隔て  協働ロボットが考慮すべき安全規格(国際 られていなくても動作させることが可能で 規格)には、以下の 3 つがあげられます。 す。 ハンドガイド 規格 概要 対象 産業用ロボットの設計・  ハンドガイドとは、協働ロボットを操作す ISO 産業用ロボット る装置です。協働ロボットのなかでも、重量 10218-1 製造上の安全を保証する 全 般( 協 働 ロ ための要求 ボットを含む) の大きいワークを扱う場合には、ロボットハ ロ ボ ッ ト シ ス テ ム( ロ ンドの近くにハンドガイドを設置することが ISO ボットハンドや周辺機器 システムインテ 求められます。 10218-2 を含めた生産ライン)に グレータ 関する安全要求  ハンドガイドには、非常停止装置や手動操 ISO10218-1 を 補 完 す る 作への切り替えが可能な「イネーブルスイッ ISO/TS チ」を組み込むことが必要です。イネーブ 15066 形で制定された協働ロ 協働ロボット ボットに関する安全要求 ルスイッチは、ロボットに動作を指示する ティーチング作業を行う場合などに使用しま   特 に 協 働 ロ ボ ッ ト に 関 し て は、「ISO す。(ティーチング作業中は、ロボットの移 10218-1」 お よ び そ れ を 補 完 す る「ISO/TS 動速度を 250mm/sec 以内に抑える必要があ 15066」において、以下の 4 つが記載されて ります) います。 速度および間隔の監視(協働作業時) 安全適合の監視・停止  協働ロボットが作業者と協働作業を行う場  産業用ロボットは周囲を常に監視し、一定 合、作業者とロボットは常に安全な間隔を保 の範囲内(協働作業空間)に作業者が入って つ必要があります。またロボットの速度は、 きた場合、速やかに停止しなければなりませ 作業者との間隔に応じて安全な速度を保つ必 ん。 要があり、適切な速度・間隔が保てない場合、 7
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ 作業者保護のためロボットを停止しなければ 3 アルフィスのリスクアセスメ いけません。 ントの流れ 本質的設計または制御による動力および力の  アルフィスでは、以下のような流れでリス 制限 クアセスメントを実施しています。  安全柵なしで協働ロボットを運用するため ① 構成要素のピックアップ には、ロボットの速度や荷重が制限された数 値を超えた場合に、ロボットを停止させる機  はじめにリスクアセスメントの対象となる 能が必要です。 範囲を明確にし、危険源が漏れないように、  ロボットの動力を制限する機能は、仮にロ すべての構成要素を抽出します。 ボットに不具合が生じたとしても、安全機能 ② 危険源の見きわめ が失われないように設計する必要がありま す。  どの構成要素がなぜ危ないのかを列挙しま す。 2 安全対策にかかせないリスク  「動力由来」や「重量由来」などの顕在的 アセスメントとは な危険源に加え、「制御システムの故障」や「動 力源の故障」といった潜在的な危険源も、も  ロボットシステムを導入するためには、リ れなく抽出することが重要です。 スクアセスメントの実施が必要です。  これらの危険源に対して、どういう場合に  リスクアセスメントとは、ロボットの稼働 どのような危険が発生するかを整理します。 にあたって発生しうる災害の程度と、その発 ③ リスク見積もりと評価 生確率を組み合わせてリスクを見積もり、優 先順位をつけてリスクの除去や低減の対策を  起こる可能性のあるすべての危険に対し 行う一連の流れです。 て、「重篤度」と「発生確率」を記載します。  アルフィスでは、それぞれ 4 段階で整理し  ロボットシステムを使用する工場では、ロ ており、これらの組み合わせからリスク評価 ボットが稼働する空間の管理だけでなく、現 を算出します。 場作業者などの人間や複数の制御を管理し、 ④ リスク低減方策とリスク再見積もり 常に安全な状態を保つ必要があります。  安全な状態とは、ロボットの暴走など想定  リスク評価結果が大きい(リスクが高い) 外の事故が起きた場合も、危険が生じない状 ものについては、リスク低減方策を行う必要 態のこと。ロボットシステムの安全性を担保 があり、以下の優先順位で実施します。 するためには、ロボットの性能や安全機能を リスクアセスメントに基づき診断し、事前の ・ 本質的安全設計 対策を行うことが必要となります。  危険源の排除、危険性・有害性の低いもの  への変更 ・ 制御を用いる安全防護  危険源の密閉や危険源と人との隔絶 8
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ ・ 使用上の情報提示(製造者対応)  仮に作業者の首から上に近い位置で協働ロ  操作マニュアルの整備、ラベルによる警告 ボットが動作する場合は、保護停止が必要で ・ 使用上の情報提示(使用者対応) す。   保護メガネなど有効な保護具の使用 安全柵(必要なケース)  これらの保護対策を行った後、再度リスク  協働ロボットは、条件を満たした状態であ 見積もりと評価を実施します。 れば安全柵なしで人と協働作業を行うことが  その結果、新たに危険源が発生する場合に 可能です。ただし、条件を十分に満たせない は、再度リスク見積もりを行い、リスク評価 場合には、リスクの高さに応じて安全柵を設 結果が小さくなるまで低減方策を繰り返しま 置する必要があります。 す。  安全柵に関しては、ガードエリアからの安 ⑤ 残留リスクの確認と処置 全距離に加えて、安全柵の隙間に関して細か いルールが設定されているため、状況に合わ  残ったリスクが小さい場合には、残留リス せて設置することが重要です。 クをなしとすることが可能です。  残留リスクが小さくても、リスクが残る場 合には、危険源が存在していることを手順書 や説明書などに記載します。 4 協働ロボット導入における安 全対策の例  協働ロボットを導入する際に検討される、 安全対策の例について紹介します。 エリアセンサ  作業者の侵入に対して安全を確保するため には、侵入を検知しロボットを止めるセンサ が必要です。  ロボットは停止するまでに時間を要するた め、停止に必要な反応時間とその速度を考慮 した「保護停止距離」を設定し、エリアセン サで検出する必要があります。 協働ロボットの安全速度制限  協働作業空間内に人がいる場合、安全速度 制限(最大で 250mm/sec)をかける必要が あります。 9
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ PLC とは? 工場自動化の必需品!ロボット制御を行う「PLC」 PLC を一言で表すと、多数の機械を自動的に制御する装置のことです。 正式名称は「プログラマブル・ロジック・コントローラ」で、略して PLC と呼称されています。 1台の PLC でコンベヤ・モータ・センサーなどの複数のデバイスを同時に制御することが可能 です。 製品の多様化や工程の自動化によって、複雑になった工場環境には必要不可欠な装置と言って も過言ではないでしょう。 1 PLC でロボット制御をする からの情報を取り込むユニットです。読み込 理由 むデバイスが複数あっても制御する事が可能 です。  PLC というと聞きなじみのない言葉です  CPU は設定されたプログラムに沿って、 が、エレベーターやエアコンなどの私たちの 入力部で取り込んだ情報から制御のために必 身近なものにも使われています。 要な情報を算出するユニットです。  洗濯機にも組み込まれており、私たちがス  ここに設定されたプログラムを変更する事 タートボタンを押すだけで「給水」「洗い」「す で、デバイスの動きを変更することが出来ま ずぎ」「脱水」といった工程が自動で進んで す。 いきます。また途中で蓋が開いてしまうなど  出力部は CPU が算出した情報に伴って、 のトラブルが起きた場合は作業を中断し、ア デバイスに対して指示を行うユニットです。 ラームなどで異常を私たちに知らせてくれま 複数のデバイスに接続でき、デバイスに合っ す。 た形式で出力を行います。  これらを制御するのが PLC の役割です。  電源部は各ユニットに対して電源供給を  また産業ロボットにおいては、周辺機器と 行っているユニットです。 の連携時に PLC が大きな役割を果たします。 PLC の種類について  ロボットと周辺機器を合わせて使用する には、高度な連携が必要になってきますが、  PLC には基本的な機能が全て揃った状態で PLC で連動して制御する事でその連携を速や 販売されている「パッケージタイプ」と、必 かに行うことが出来ます。 要な機能に合わせて部品を組み合わせて制作 する「ブロックタイプ」の 2種類が存在しま PLC の仕組みについて す。  PLC は入力部・CPU・電源部・出力部といっ  「パッケージタイプ」は商品化されている た 4つのユニットで構成されています。 もので、価格的にも比較的安価なため、導入  入力部はスイッチやセンサーから得た外部 のハードルも低いですが、プログラム容量や 10
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ 入出力数が限られ、後々の拡張が出来ないな 簡単に動作変更が出来る どのデメリットもあります。  「ブロックタイプ」は現場に合わせてユニッ  制御しているデバイスの動きを変更する トを構築するもので、「ビルディングタイプ」 際、有接点シーケンス制御の場合は電気部品 とも呼ばれています。大容量で構築可能で、 を増減や配線の繋ぎ変えが必要となっていま 必要であれば拡張にも対応することが出来ま した。簡単な配線であれば問題ありませんが、 す。大規模なシステム制御にはこちらを導入 複雑なシステムの場合は、設備を長時間停止 される現場が多いです。しかし、価格が高く、 して作業を行う必要がありました。 また高度な専門知識の必要性があり「パッ  一方、PLC の場合は書き込まれているプロ ケージタイプ」に比べて導入のハードルも高 グラムを変更する事で回路設計や動作変更が いものとなっています。 可能です。  もちろんプログラムを書き換えるスキルを 2 PLC でロボット制御をするメ 持った作業員が必要になりますが、作業時間 リット も人員も有接点シーケンス制御に比べると少 なくなります。  PLC が出来るまでは、一般的に従来のリ ラインでトラブルが起きた際の対策も設定可 レー回路にて制御するデバイスを接続する必 能 要がありました。この方法を「有接点シーケ ンス制御(リレーシーケンス制御)」と言い  PLC に組み込むプログラムにトラブル発生 ます。 時の対策を書き込んでおけば、もしもの事態  ここではPLC導入のメリットを有接点シー にも最適な対応をロボットが行ってくれま ケンス制御と比較してご紹介したいと思いま す。 す。  例えば、焼きあがったクッキーをコンベヤ 制御盤を小型化する事が出来る に並べていくパラレルリンクロボットの場 合、コンベアがトラブルで停止した際に、クッ  従来の有接点シーケンス制御の場合、リ キーが溢れてしまうリスクが考えられます レー回路同士と電源を電線で接続する必要が が、あらかじめ PLC に対策用プログラムを ありました。そのためデバイスが増えれば増 書き込むことによって、ロボットに製造した えるほどその電線を収納する制御盤が大型化 クッキーを横に逃がす動きをさせることが可 してしまいました。 能です。  しかしPLCはプログラムを内部ソフトウェ 同じラインの工場展開が容易になる アで管理するので、配線が不要となり、制御 盤には PLC 本体を収納するだけで良くなり  今ある工場のラインを海外などに展開する ました。PLC によってはハガキサイズの制御 場合、有接点シーケンス制御だと現地での部 盤になる事もあります。 品手配や配線作業などの手配が必要で同じラ  PLC を用いる事で機械の省スペース化にも インを構築するだけでも大変な手間と時間が 繋がります。 かかります。  しかし PLC であれば、現工場のプログラ 11
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ ムをそのまま書き込めば良いので、最低限の  ある程度の制御はロボットコントローラで 部品や配線で同じラインを構築することが出 行うことが出来ますが、今回は制御機器が多 来ます。 いことや「ハウジング供給機」と「油取り装  グローバルな生産体制が求められる昨今に 置」の連携が必要になるために PLC が導入 おいて、PLC を使った生産ラインの標準化は されています。 必要不可欠と考えられます。  下記の図のようにハウジング供給機に PLC が組み込まれており、ハウジング供給機の各 3 PLCを使ったロボット運用事例 機器に指示を出すことに加え、油取り装置の 【ハウジングの油取り工程】 ロボットコントローラに指示を出すことで高 度な連携を可能にしています。  協働ロボットを導入する際に検討される、 安全対策の例について紹介します。 ハウジング供給機  弊社コンベヤ部品工場にて導入した事例で 入 出 センサー類 力 PLC 力 アーム す。 など この事例では、コンベヤローラの両端軸受け 通信(制御) 用ハウジングに付着している加工・防錆油 油取り装置 をエアーブローで除去する一連の工程に PLC 入 ロボット 出 ソレノイド を導入しました。 センサー類 力 コントローラ 力 コンベヤ パレテーナの中に入っているハウジングを (UNIVERSAL ROBOTS) など “ハウジング供給機” がセンサーで見分け、 ピックアップし、コンベヤに配置します。 ロボット コンベヤによって運ばれたハウジングを “油 (UNIVERSAL ROBOTS) 取り装置” のセンサーが感知し、アームで持 ※ロボットコントローラ単体でも機器の制御を行うことが可能 ち上げ、清掃 BOX に投入します。清掃 BOX 内では、ハウジングの上下中央をエアーブ 4 PLC でのロボット制御の ローで洗浄します。洗浄が終われば取り出し 注意点 て次の工程に移動させます。  産業ロボットの活用において重要になって くる周辺機器との連携や省スペースでの運用 を可能にする PLC ですが、その導入には知 識が必要になってきます。  ここでは選定や運用時に発生しうるリスク ▲パレテーナから ▲コンベヤ経由で ▲エア―ブローで について一部紹介していきます。  パーツを取り出す  パーツを受け渡す  パーツを清掃  PLC は決して安価なものでは有りません。  こちらの装置を導入する前は1個ずつパレ 失敗を避けるためにも、導入時には PLC を テーナから取出して油を拭き取り、パレテー 用いたロボット制御に精通したロボット Sler ナへ戻す作業を人の手で行っていました。 へご相談ください。 12
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ PLC のメーカーによって違いがある  PLC は国内外問わず多くのメーカーより発 売されていますが、統一された規格というも のはございません。特に PLC にプログラム を入力するソフトに関しては、どのメーカー も独自に開発したものを使用しており、基本 用語や使える機能なども微妙に異なっていま す。  そのため既に PLC を導入している場合、 既存のものと異なる PLC を選定してしまう と新たなソフトを購入するなどのコストが発 生するため、既存の PLC と同一メーカーの ものを選定する必要があります。  また使用するロボットやセンサーなどの外 部デバイスと PLC の相性も選定には大きく かかわってきます。 複雑な制御を行うにはPLCの知識が必要  PLC の運用において、日本では一般的に「ラ ダー言語」と呼ばれるプログラミング言語が 多く採用されています。  ラダー言語はシーケンス図(電気回路を図 示したもの)を元に開発されたもので、有接 点シーケンス制御に慣れた技術者にとって扱 いやすい言語となっています。  しかし、一般的なプログラミング言語とは 異なり、少し特殊なものとなっているため、 開発および運用を行うためには、この言語に 精通した技術者が必要になります。 13
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ 投入工程の自動化とは? 加工機・洗浄機の自動化メリットと注意 加工機や洗浄機に製品を投入するという単純な工程ですが、自動化を行う事で様々なメリット があることはご存じでしょうか?この記事では投入工程の自動化のメリットや導入時の注意点 をご紹介していきます。 1 加工機・洗浄機のワーク投入 つながるリスクは上がります。 工程の自動化メリット  これらの工程をロボットによって自動化す ることにより、危険で大変な作業から従業員  投入工程の自動化を導入するメリットは以 を遠ざけることが可能です。 下の3点です。  投入工程の自動化は、従業員の健康や安全 自動化による人員不足の解消 にもつながります。 自動化で生産性がアップ  ロボットを導入し、ワーク投入工程を自動 化する事によって製造現場での人員不足を解  投入工程を自動化することは生産性アップ 消ことに繋がります。今まで複数人で行って にもつながります。 いた製品を投入する工程が、ロボットを導入  一つは人力ではどうしても発生してしまう することによって、一人による管理で運用す 誤投入や投入忘れなどのミスもロボットで自 ることが可能です。 動化する事により 0に近づけることができま  その結果、単純計算で労働力は自動化した す。 工程の分、倍増すると考えることができます。  また従業員の場合、勤務時間の都合で1日  また今まで加工機や洗浄機へ製品の投入を に行える作業が限られてしまいますが、ロ 行っていた従業員には、より創造的な業務や ボットにて投入工程の自動化することで 24 地域貢献活動を任せることが出来、その結果、 時間稼働を行うことが可能です。 生産性や従業員の働きがいのアップに繋がり (ただし製品を搬入する工程が自動化されて ます。 いることが前提です。) 自動化で従業員の負担を軽減  これにより直接的な生産性のアップにつな がります。  加工機や洗浄機に製品を投入する工程は単 純作業ではありますが、長時間同じ姿勢で同 2 ワーク投入の自動化を支える じ作業を行うことは、人間にとってかなりの 協働ロボット 重労働です。  また加工機や洗浄機など高速で動いている  協働ロボットとは、従来の産業用ロボット 機械と人体の距離が近ければ近いほど事故に のように人の作業を代替するだけでなく、人 14
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報③ と一緒に作業ができる小型のロボットです。 置設定が難しく、少しでも設定を誤るとうま  これまで、80W 以上のモーターが使用さ く稼働しません。 れている産業用ロボットには「安全柵」が必  そのため位置設定にはロボットに関する知 要でしたが、80W 以上でも ISO 規格に準じ 識を持った従業員がティーチングを行う必要 た措置が取られている場合には、その安全柵 があります。こちらの位置設定はロボットを が不要になりました。 移動させた時以外にも運用中に位置がズレた  協働ロボットを利用することで、従来の産 際にも行う必要があります。 業用ロボットではむずかしかった、人との作  担当従業員がすぐに対応できれば良いです 業分担や多品種少量生産への対応が可能で が、その従業員が欠勤や出張の際に発生して す。 しまうと、最悪の場合はその期間中ロボット を止めなければなりません。 3 投入工程自動化における 協働ロボット導入時の注意点 4 投入工程の自動化を実現する  投入工程を自動化することによってさまざ 移動式·協働ロボットユニット まなメリット生まれることは、上記でご紹介  本記事でご紹介した協働ロボットの課題点 した通りですが、導入時に注意しないと逆に ですが、ALFIS のパッケージ商品「Robogie」 生産性を下げてしまいかねないポイントがあ (ロボギー)はこれらのデメリットを克服し ります。 た商品です。  本項目では投入工程の自動化において導入  ロボギーはロボットと移動式架台を一体化 されることが多い協働ロボットの課題点など したパッケージ商品です。そのため手押し車 を紹介していきます。 のように簡単に移動させることが可能です。 協働ロボット移動時に発生するトラブル  また位置設定の問題もメカクランプ機構 (ドッキングユニット)による連結で、取付  投入工程を行う協働ロボットを導入される 先の作業台と高精度な接続が行える「ロボッ 現場では、一つの業務だけでなく、そのロボッ トアーム固定システム(特許出願済)」とい トに様々な作業をさせたいと考えられる場合 うシステムを採用しています。このシステム もあると思います。また多作業での使用以外 によって、位置再現精度 3 μ mを実現し、移 にも協働ロボットの動きが遅いため、急ぎの 動後のカメラやソフトによる面倒なワーク位 業務の場合は人力で対応するため、ロボット 置の再補正作業が不要となっています。 を移動させたい状況が発生するかもしれませ ん。 「Robogie」に関する  しかし、導入した協働ロボットが移動に適 詳細情報は以下のペー していないと、そのような運用は難しいです。 ジをご覧ください。 協働ロボットの位置設定が難しい ▶移動式・協働ロボットユニット  上記の「移動時に発生するトラブル」にも Robogie(製品WEBサイト ) つながるポイントですが、協働ロボットは位 15