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ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編①

ハンドブック

ロボットを使った工場等の自動化に関するお役立ち情報をまとめました。

⑴産業用ロボットとは? -産業用ロボットの種類と特徴を解説
 ①産業用ロボットとは?
 ②工場における自動化の課題
 ③産業用ロボットを活用した自動化のメリット
 ④工場に導入される産業用ロボットの種類

⑵ロボットアームとは? -ロボットアームの仕組みと選定ポイント
 ①ロボットアームとは?
 ②ロボットアームの仕組み
 ③ロボットアームを選ぶ際のポイント
 ④ロボットアームの使用例

⑶パラレルリンクロボットとは? -パラレルリンクロボットの特徴を解説
 ①パラレルリンクロボットとは?
 ②パラレルリンクロボットの構成
 ③パラレルリンクロボットの特徴
 ④パラレルリンクロボットが苦手とする作業
 ⑤パラレルリンクロボットの使用例

⑷パレタイジングとは? -パレタイジングの自動化メリットを解説
 ①パレタイジングとは?
 ②パレタイジングの自動化によるメリット
 ③パレタイジングに採用される産業用ロボット
 ④パレタイジングを自動化する際のポイント

⑸デパレタイジングとは? -デパレタイジングの自動化とロボット
 ①デパレタイジングとは?
 ②デパレタイジングを自動化する際の課題
 ③デパレタイジングを自動化する産業用ロボット
 ④デパレタイジングに欠かせないビジョンシステム

このカタログについて

ドキュメント名 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編①
ドキュメント種別 ハンドブック
ファイルサイズ 5.7Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 株式会社JRC(ALFIS) (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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ロボット導入 自動化 お役立ち情報 基本編① 06-6543-8180 〒 550-0011 大阪市西区阿波座2丁目1番1号 9階
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編 産業用ロボットとは? 産業用ロボットの種類と特徴を解説 工場では、生産性の向上や人手不足、品質の安定化などさまざまな課題が発生しています。そ れらの課題を解決するために導入が進んでいるのが、「産業用ロボット」です。 この記事では、産業用ロボットを活用した自動化のメリットや、産業用ロボットの種類ごとの 特徴について解説します。 1 産業用ロボットとは? があります。 人手不足の解消  産業用ロボットは、自動車や食品・医薬品、 また重労働の多い金属加工などの工場におい  製造業の現場では、人手不足が課題となっ て、生産効率の向上や、作業者の負荷軽減を ています。特に、重労働が必要とされる機械 実現するために開発された、工業用のロボッ 加工や産廃関連、きびしい衛生管理が必要と トです。 される食品や医薬品の工場ではその傾向が顕 著です。 2 工場における自動化の課題  産業用ロボットを導入することで、これま で人が行っていた作業をロボットに任せるこ  産経済産業省が公開している「2022 年版 とができるため、作業者を「より付加価値の ものづくり白書」によると、日本の製造業に 高い作業」に従事させることが可能です。 おける営業利益率は、アメリカ・EUにくら また、重労働をロボットが担うことで、作業 べて低い水準にあります。また製造業の就業 者の負担を低減し、離職率の低下にも貢献し 者数は、約 20 年で 150 万人以上減少してお ます。 り、特に若ものの減少が顕著です。 品質の安定化と生産性向上  これらの課題を解決するため製造業では、 ITによる業務の効率化や省力化が急務となっ  人の体力や集中力には限りがあり、長時間 ています。その代表格としてあげられるのが、 おなじ作業を繰り返すのはかんたんではあり 産業用ロボットや IoT、AI を活用した自動化 ません。その結果、作業スピードの低下やミ 技術です。 スが発生し、不良品や生産性の低下が発生し ます。また、いくら正確に作業を行なってい 3 産業用ロボットを活用した ても、作業者ごとのばらつきをゼロにするこ 自動化のメリット とは困難です。  産業用ロボットであれば、人のように、集  自動化技術のなかでも「産業用ロボット」 中力や個人差により作業がばらつくことはあ を活用した自動化には、さまざまなメリット りません。 1
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編  適切な条件でメンテナンスを行っていれ パラレルリンクロボット ば、おなじ作業を長時間継続できるため、品 質の安定化や生産性向上が可能です。   「パラレルリンクロボット」は、先端の一 熟練作業者が持つ技能の継承 点の位置を制御する “パラレルリンクメカニ ズム” によって構成されたロボットです。並  むずかしい作業の場合、経験豊富な熟練作 列に配置した複数のアームを連動させること 業者が必要になる場合があります。しかし、 で、高速で精度の高い動作が可能です。 若い作業者が不足していることに加え、高い ロボットアームに比べると機構がシンプルな 技能を習得するためには、時間をかけて経験 ため、修理の際のコストも抑えることができ を積む必要があります。 ます。  産業用ロボットであれば、これまで熟練作  パラレルリンクロボットは、食品工場や電 業者が行っていた動作をプログラム化するこ 子機器工場での整列・選定や、組み立てなど とで、複雑な作業でも迅速に行うことができ で利用されています。 ます。さらに近年は、AI を活用することで、 協働ロボット 自身で学習を行うような産業用ロボットも開 発されています。  「協働ロボット」は、安全センサの開発や 規格の緩和などにより、作業者とおなじ空間 4 工場に導入される で稼働することができる低出力のロボットで 産業用ロボットの種類 す。  従来、産業用ロボットは、作業者とロボッ  工場に導入される産業用ロボットについ トの間に「安全柵」を設置する必要があり、 て、それぞれの特徴を解説します。 設置には広い空間が必要でした。協働ロボッ ロボットアーム トではこれらの規制がなくなり、作業者との 協働作業が可能になっています。ロボット導  「ロボットアーム」は汎用性が高く、人間 入時のライン変更を最小限に抑えることがで の腕の動きを再現しやすいため、さまざまな き、人と働くロボットとして注目されていま 用途で利用されています。(その構成から「垂 す。 直多関節ロボット」ともよばれます) スカラロボット 各ロボットメーカーがさまざまな機種を展開 しており、目的にあわせたロボットアームの  「スカラロボット」は、ロボットアームの 選定が可能です。 水平面を高速で移動させることができる小型  ロボットアームは、塗装や溶接などの加工 のロボットです。(その構成から「水平多関 から、人間が行うような組み立て・搬送作業 節ロボット」ともよばれます) まで、幅広い工程で利用されています。 アームの先端部を上下に動かすことで、移動  ロボットアームの弱点としては、制御が必 や圧入などの単純作業を行うことができま 要な間接が多く、これらを連動させて稼働さ す。スカラロボットは、主に部品の搬送や、 せる必要があるため、制御プログラムが複雑 高さの低い電子基板の組み立てなどに利用さ になってしまう点があげられます。 れています。 2
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編 直行ロボット  「直交ロボット」は、直線的な動きを行う ユニットを組みあわせた、シンプルな構成の ロボットです。  直線状の動きしかできませんが、位置精度 が高く、高速で動作することができます。ま た、構成要素が少ないため、故障が発生しに くくメンテナンスも容易です。  直交ロボットの用途としては、主に部品の 搬送や電子部品の実装などがあげられます。 双腕ロボット  「双腕ロボット」は、ロボットの胴体に取 り付けられた二本のアームで、複雑な作業を 可能にした人型に近いロボットです。それぞ れのアームには「ロボットアーム型」のもの と「スカラロボット型」のものがあり、ロボッ トアーム型のものは加工や溶接、組み立て、 スカラロボット型のものは検査や組み立て、 ハンドリングなどに用いられています。 搬送ロボット  「搬送ロボット」は、工場内の搬送を担う ロボットです。工程間の製品搬送を行ったり、 完成品を出荷場まで搬送するなど、ロボット 単体で移動可能なものが、搬送ロボットに分 類されます。 (スカラロボットやロボットアームでも、搬 送用途に用いられるものは、搬送ロボットと して分類されることがあります) 代表的な搬送ロボットには、決められたルー トを移動する「AGV」や、自動搬送型の「AMR」 があります。 3
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編 ロボットアームとは? ロボットアームの仕組みと選定ポイント  作業者が受け持つ工程を、ロボットによって負荷軽減・効率化したいと思った場合、最初に 思いつくのが「ロボットアーム(垂直多関節式ロボット)」ではないでしょうか。  この記事では、産業用ロボットのなかでも代表的なロボットアームの仕組みや、ロボットアー ムを選定する際のポイントについて解説します。 1 ロボットアームとは? きるため、ジョイントの数が多いほど滑らか に動かすことができます。リンクは「力を伝  ロボットアームは、垂直多関節式ロボット える」役割を持つため、ロボットアームの動 ともよばれ、人間の腕の動きを再現すること きによって掛かる負荷に耐えられる剛性が必 ができる産業用ロボットです。産業用ロボッ 要です。 トのなかでも、もっとも多く採用されており、  関節部分にあたるジョイントを動かすため 自動車製造や食品工場、また機械加工などの には、アクチュエータや減速機、エンコーダ 金属加工や、医療業界などでも広く使われて などが必要です。 います。  その種類も多く、用途が多岐にわたるため、 ・アクチュエータ 特定のアプリケーションに特化させたロボッ  アクチュエータには、高機能なサーボ トアームの開発も進んでいます。  モーターが使われており、位置や速度を高 2つのリンクと、3つのジョイントを組みあ  い精度で制御することが可能です。このア わせた、「6軸」の稼働が可能なロボットアー  クチュエータによって、ロボットアームを ムが一般的です。  上下・回転運動させることができます。  産業用ロボットのアクチュエータには、 2 ロボットアームの仕組み  サーボモーター以外にも油圧式や空圧式の  ものがあります。特に油圧式は大きな力を  ロボットアームはどのような要素で構成さ  出しやすいため、大型のロボットアームに れ、どのように運動するのか、その仕組みを  採用されることがあります。 解説します。 ・減速機 ロボットアームの構成要素  減速機は、モーターと組み合わせることで  その力を大きく増幅させるための装置で  ロボットアームは、主に人間の関節にあた  す。 るジョイントと、間接以外の骨にあたるリン  自転車のギヤを重くすると、少ない回転数 クによって構成されています。  で大きな推進力を生み出せるように、減速 ジョイントはリンクの向きを変えることがで  機でモーターの力を増幅させることで、小 4
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編  さなモーターで重いロボットアームを制御 3 ロボットアームを選ぶ際の  することができます。 ポイント ・エンコーダ  エンコーダは、モーターがどの程度回転し  ロボットアームにはさまざまな種類があり  ているかを検出する装置です。エンコーダ ます。どのような観点で選べばよいのか、そ  によって、ロボットアームがどの方向にど の選定ポイントを紹介します。  の程度動いたかを把握することが可能で 先端の可動範囲と自由度  す。ロボットアームの場合、光を用いた光  学式エンコーダを採用する場合が多いで  ロボットアームの可動範囲とその自由度  す。 は、ジョイントの数と可動範囲、リンクの長 6 軸ロボットアームの運動 さによって決まります。ロボットアーム導入 後に工程の変更があった場合、必要な動きに  6軸ロボットアームのそれぞれの軸が、ど 対応できなければ、あらたに導入しなおす必 のような役割を持っているのかを確認しま 要があります。あらかじめ余裕を持った仕様 しょう。(ここでは、土台に近い方から第 1 が必要です。 軸、もっともロボットハンドに近い方を第 6  ロボットアームの駆動軸は、「6 軸駆動」 軸とします) が一般的です。軸数が増えれば増えるほど、  ロボットアームは、各軸の動きを人間の体 自由度は増しますが、メンテナンスやプログ の動きに合わせることで、これまで人が行っ ラムが複雑になるため、コスト増や段取り時 ていた作業を効率よく代替することが可能で 間の増加につながります。 す。  これらは、どちらかだけを考慮するのでは なく、バランスを取った選定が重要です。 ロボットアームの土台を回転させる 第 1軸 動きで、腰を回して上半身の向きを 持ち運びできる可搬重量 変える役割を持ちます アーム全体を上下に動かし、作業を  可搬重量は、ロボットアームが持ち運びで 第 2軸 行う高さを調整します。肩を上げ下 きる重量のことで、ジョイントのトルクやリ げする役割です ンクの剛性によって左右されます。可搬重量 アームの中央部分の間接を曲げ伸ば の検討をする際には、持ち運びする製品だけ 第 3軸 しする役割を持ち、ひじの動きにあ ではなく、ロボットハンド自体の重量も考慮 たります する必要があります。 ロボットハンドとの接合部にあた 第 4軸 り、手首を回転させるような動きの 動作速度・精度 役割です  工場において、ロボットの動作速度と位置 第 5軸 ロボットハンドとの接合部分で、手 精度は、重要なポイントです。 首を曲げる役割を持ちます 生産性を上げるためには、速い動作速度が求 ロボットハンドの先端部分を回転さ められますが、ロボットを停止させた際に「振 第 6軸 せる役割を持ち、指先を回転させる 動が残らず、高い精度で停止できるか」も重 動きにあたります 要です。 5
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編  ロボットアームの停止時に揺れが残ってし なるワークに対応することができます。 まう場合、精密部品の組み立てなどでは、揺 れが止まるまで次の工程に移ることができま せん。移動速度が速くても、振動の収束に時 間がかかってしまっては、生産性を上げるこ とができません。  周辺機器との連動性  生産ラインの一部にロボットアームを組み 込む際には、周辺機器との連動性にも配慮が 必要です。  ロボットの動作速度が速くても、周辺機器 の処理能力がついてこれなければ、その性能 を発揮することができません。遅すぎる場合 には、ロボットの待ち時間が発生し、生産効 率の悪化につながります。  また、生産管理システムなどと連動させる 場合には、既に導入しているシステムと新た 段落同士の幅 に導入するロボットアームがスムーズに連携 できるかどうか、選定時に必ず確認する必要 があります。 4 ロボットアームの使用例  汎用性の高いロボットアームの使用例を紹 介します。 重量物のパレタイジングを自動化  重量物のパレタイジング工程に、出力の高 いロボットアームを導入。 負荷の高いパレタイジングをロボットに任せ て自動化することで、作業者への負担を大幅 に軽減します。 多様な荷物のデパレタイジングを自動化  多様な荷物のデパレタイジング工程に、自 由度の高いロボットアームを導入。 ロボットハンドを工夫することで、種類の異 6
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編 パラレルリンクロボットとは? パラレルリンクロボットの特徴を解説 工場における作業のなかでも、高速・高精度が要求される工程を自動化する場合、汎用的なロボッ トアームでは対応がむずかしく、「パラレルリンクロボット」が検討されます。 この記事では、パラレルリンクロボットの構成と、パラレルリンクロボットの特徴・苦手とす る作業などを解説します。 1 パラレルリンクロボットとは? トのリンクは、2本のシャフトで構成される のが一般的です。 パラレルリンクロボット  産業用ロボットの代表格といえる「ロボッ の先端には、多くの場合ロボットハンドが取 トアーム」は、人の腕の動きを再現できる汎 り付けられます。ロボットハンドは、用途に 用性の高さが特良です。しかし、複数のパラ 応じて変更することが可能です。 メータを調整する必要があるため、制御が複 雑になりがちで、メンテナンスや修理の負担 3 パラレルリンクロボットの特徴 が大きくなる場合があります。  そこで、これらの課題を解決するために開  パラレルリンクロボットには、さまざまな 発されたのが「パラレルリンクロボット」で メリットがあります。 す。パラレルリンクロボットは天井から吊り 高速で精密な動作が可能 下げる形で設置され、並列に構成された複数 のリンクで一点を制御する「パラレルリンク  パラレルリンクロボットは、複数のリンク 機構」を採用した産業用ロボットです。 が並列に構成されているため、剛性が高いこ  主な用途としては、ピッキング作業や組み とが特徴です。また、それぞれのリンクに接 立て作業があげられます。 続されているモーターで先端の一点を動かす ため、高い出力で動かすことができます。 2 パラレルリンクロボットの構成 剛性が高いため、高速作動時にもリンク部分 の変形が発生しにくく、高い精度を実現でき  パラレルリンクロボットは、天井から吊り ます。 下げられている「ベース部分」、ベースに接  作業者の数倍以上のスピードで作業を行う 続されたジョイントとの間をつなぐ「リンク ことができ、生産能力を大幅に高めることが 部分」、リンクとリンクをつなぐ「ジョイン 可能です。 ト部分」に分類されます。 トラッキング性能が高い  一般的なパラレルリンクロボットは、リン クを 3セット並列に配置することで、先端部  パラレルリンクロボットは、その特徴から、 分の動きをコントロールしています。1セッ ベルトコンベア上を流れる製品のピッキング 7
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編 でよく使われています。ほとんどのパラレル  より重いものを扱う場合は、並列している リンクロボットは、高精度のセンサーを搭載 リンクの本数を増やしたり、リンクの剛性や しており、高速で移動もできるため、高いト モーターの出力を上げる必要がありますが、 ラッキング(追従)性能を誇ります。 コスト面や設置面積を考慮すると、あえてパ コンベアを止めることなく、効率よくピッキ ラレルリンクロボットを選択する理由はなく ングを行うことができます。  なってしまいます。  メンテナンスが容易 5 パラレルリンクロボットの  パラレルリンクロボットの構成はシンプル 使用例 で、共通の部品が多く使われているため、メ ンテナンスも容易です。共通部品の採用によ  高速・高精度のパラレルリンクロボットの り、交換用の在庫も抑えることができます。 使用例を紹介します。  (メンテナンスを行う際には、他の産業用 複数台のパラレルリンクロボットで ロボットと同様に専門知識が必要です) 高効率と省スペースを両立 4 パラレルリンクロボットが  限られたスペースに、複数台のパラレルリ 苦手とする作業 ンクロボットを導入。 それぞれがぶつからないよう協調して稼働で  メリットの多いパラレルリンクロボットで きるよう工夫することで、省スペースを実現 すが、万能というわけではありません。 します。 パラレルリンクロボットの高速・ 選定に備えて、パラレルリンクロボットの苦 高精度の特徴を活かして、生産性を大幅に向 手とする作業も把握しておきましょう。 上させることが可能です。 作業領域が狭い ロボットハンドを付け替えることで  パラレルリンク機構を採用しているため、 複数工程に対応 ロボットアームのように広範囲で作業を行う  複数工程に、同種類のパラレルリンクロ ことができません。リンクから先端は、限ら ボットを導入。 複数のロボットハンドを付 れた範囲でしか移動できないため、作業領域 け替え、制御ソフトウェアを分けることで、 はさらに狭くなっています。 共通のパラレルリンクロボットを使用たライ  その分、高速に動作することで高い生産性 ン構築が可能です。 を実現しています。 組み立て工程への導入で 可搬重量が小さい 高効率と品質安定を両立  パラレルリンクロボットは、構造がシンプ  経験が必要とされる精密組み立て工程に、 ルな反面、可搬重量が小さいです。パラレル パラレルリンクロボットを導入。 リンクロボットの種類にもよりますが、可搬  特定の作業者しかできなかった「属人化」 重量の上限は、1kg ~ 10kg 程度が一般的で した作業を自動化することで、生産性の向上 す。 と品質の安定化を両立します。 8
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編 パレタイジングとは? パレタイジングの自動化メリットを解説 工場での各工程において、作業者への負担が大きく効率化がむずかしい工程のひとつに、ワー クを保管場所に移動・積載させるパレタイジング(パレタイズ)があります。 この記事では、パレタイジングの自動化によるメリットや、パレタイジングに採用される産業 用ロボットについて解説します。 1 パレタイジングとは? いくら作業に慣れていて体力があっても、重 量物を連続して運び続けるのは大変です。状  「パレタイジング」はパレタイズともよば 況次第では、作業者が体を痛めてしまったり、 れ、梱包済みの完成品を一次的に保管をする 労災になるおそれもあります。 ため、パレットに積載する作業のことです。  パレタイジングをロボットに任せて自動化 重量物の場合には、作業者が専用の機械など することで、作業者への負担を大幅に削減す を使用して積載し、それほど重くないワーク ることができます。 の場合には作業者自身が行います。 スペース効率が上がる  パレタイジングでは、工場内の限られたス ペースに完成品を保管する必要があります。  パレタイジングの多くは、作業者が行うよ また、直接的に製品を生産する工程ではない りもパレタイジングロボットに任せた方が効 ため、できる限り効率的に行いたい作業のひ 率的です。 とつです。 ワークの重量や大きさによっては、作業者が  作業効率と省スペース性を考慮しつつ、さ 二人以上必要なこともあり、作業者が届かな らにワークを積み重ねることで、ワークその いところまで完成品を積み上げなければいけ ものや梱包に影響が出ないように注意して、 ない場合もあります。 作業を行う必要があります。  パレタイジングを行うワークや環境にあわ せて、パレタイジングロボットの設定を行う 2 パレタイジングの自動化に ことで、作業者が行うよりも短時間で、スペー よるメリット ス効率の高いパレタイジングが可能です。 作業効率が上がる  パレタイジングは、パレタイジングロボット を導入することで自動化することができます。  パレタイジングを作業者が行う場合には、 作業者の負担が減る 休憩時間などを考慮して、余裕を持った時間 設定をする必要があります。また、設定時間  箱詰めされたワークのなかには、梱包が大 よりも早く作業が終わった場合には、待ち時 きく持ちにくいものや、重いものがあります。 間が生じてしまいます。 9
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編  パレタイジングロボットであれば、必要な えて、作業を行う際の動線を考慮し、必要な 作業時間の目途がつけやすく、作業効率が向 スペースに産業用ロボットを配置できるかが 上します。  重要なポイントです。  また、産業用ロボットは種類ごとに扱える 3 パレタイジングに採用される ワークの重量が異なります。さらに、ワーク 産業用ロボット の形状や表面の状態に応じて、梱包やワーク を傷つけないようにつかめる「ロボットハン  パレタイジングで使われるロボットには、ロ ド」を採用する必要があります。 ボットの向きやワークの向きを柔軟に変えるこ  どのようなロボットハンドに対応している とができる「高い自由度」が求められます。 かも、導入の際に考慮すべきポイントとなり そのためパレタイジングロボットには、「ロボッ ます。  トアーム(垂直多関節式ロボット)」が多く採 操作が簡単かどうか 用されています。 ロボットアームは産業用ロボットのなかでも、  新しい種類のワークを扱う場合、ロボット 人の腕のような高い自由度があり、土台も人 へのワーク登録や、ワークの積み方の変更が の腰のように向きを変えることが可能です。ロ 必要となります ボットハンドを付け替えれば、さまざまなワー  これらのワーク切り替え時の設定で、作業 クに対応することができます。 者が操作を間違えずに行うことができるか は、重要なポイントのひとつです。  また、従業員の近距離で作業を行う場合に スカラロボット は、ロボットアームではなく「協働ロボット」 が採用されます。協働ロボットは出力の上限に  労災を防ぐために、導入したロボットや周 制限があるため、一定以上の重量を運ぶ必要 辺で作業を行う際の安全対策が、十分に取ら がある場合には向いていません。 れているかどうかは重要です。具体的には「作 用途にあわせた産業用ロボットの選定が必要 業者との間に安全柵が設置できるか」「積み となります。 上げると崩れてしまいそうなワークは除外で きるか」などを、考慮する必要があります。 4 パレタイジングを自動化する  また、協働ロボットでも産業用ロボットで 際のポイント も、ロボットの稼働中に作業者が危険なエリ アに侵入した場合は、ブザーで注意をすると  パレタイジングを自動化する際には、いく ともに、動作を安全に停止させる機能も必要 つかポイントがあります。 です。 環境に合わせた選択肢があるか  まずは、パレタイジングを行いたい環境に あわせた「パレタイジングロボット」を選定 する必要があります。  産業用ロボット自体の幅、奥行、高さに加 10
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編 デパレタイジングとは? デパレタイジングの自動化とロボット 物流センターや工場では、搬入された段ボールや容器などを、規定の場所におろす必要があり ます。この作業を「デパレタイジング」とよび、工場のなかでも負荷が高い作業のため、自動 化が期待されています。 この記事では、デパレタイジングを自動化する際の課題や、デパレタイジングを自動化する産 業用ロボットについて解説します。 1 デパレタイジングとは? ングと異なりむずかしいポイントを紹介します。 種類の異なるワークが混在している  「デパレタイジング」は、パレットに積み 上げられた荷物をおろす作業です。荷物を積  デパレタイジングでは多くの場合、決めら み上げる「パレタイジング」に、否定の意味 れたサイズのワークを扱います。特定のサイ を持つ “DE” をつけてデパレタイズとよびま ズ・種類のワークを扱う場合、その種類にあ す。物流センターや製造業の工場・倉庫では、 わせたロボットハンドや制御を行えば問題あ 搬入されてきた荷物を積み下ろすデパレタイ りません。しかしなかには、異なるサイズの ジングが日常的に行われています。 ワークが混在している場合があります。  サイズが異なると、特定のロボットハンド  デパレタイジングは、作業者にとって負荷 ではうまくつかめず、移動させる際にも周囲 の高い作業です。高い所から低い所へ荷物を にぶつかってしまう恐れがあります。また、 運ぶ作業は、足腰への負担が大きく、荷物が 荷物をつかむ際にワークを破損させてしまう 安定して積み上げられていない場合は、荷物 ことも考えられます。 が崩れてしまうリスクもあります。  デパレタイジングロボットは、積み上げら そこで、作業者のリスクや負荷の低減、作業 れたワークの種類を把握できない状態で、作 の効率化を目的に、デパレタイジングの自動 業を行う可能性があるため、自動化を実現す 化が行われています。 るためには、これらの課題を解決する必要が  デパレタイジングの自動化は、パレタイジ あります。 ングの自動化よりも難易度が高くなります。 位置ずれの影響で積み方が安定していない 2 デパレタイジングを自動化  パレタイジングでは、ラインで流れてきた する際の課題 容器をロボット自身がパレットに積み上げて いくため、きれいに積み上げていくことが可  デパレタイジングを自動化する際には、さ 能です。しかし、デパレタイジングをする荷 まざまな課題があります。特に、パレタイジ 物は、入荷の途中で位置がずれていることが 11
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編 あります。 協働ロボット  決められた場所につかむべき荷物がない場 合、自動化による作業の難易度は大きく上が  協働ロボットを採用すれば、人とロボット ります。人が行う場合には、かんたんにずれ が近距離で作業を行うことができます。固定 を把握できますが、ロボット単体では把握で 処置や位置ずれの対処を作業者が行うように きないため、位置を適切にセンシングする方 すれば、柔軟な工程を構築することが可能で 法が必要です。 す。 荷崩れ防止用の固定処置がされている 一方で、協働ロボットは、通常の産業用ロ ボットと比較して可搬重量や動作速度が落ち  積み上げられた荷物は、荷崩れ防止のため、 ます。デパレタイジングが必要な製品や、作 ホットメルトやシュリンク、バンドなどで固 業速度、導入コストなどのバランスを取るこ 定処置がされていることがあります。 とが重要です。  特に、荷物の入荷からデパレタイジングま 直行ロボット での作業を自動化する場合には、固定処置を どのように処理するかが、むずかしいポイン  大型のロボットアームを導入する場合、安 トとなります。 全を確保するため広いスペースが必要でが、 なかにはスペースが確保できず、省スペース 3 デパレタイジングを自動化 化のために、直交ロボットが採用されること する産業用ロボット もあります。  直交ロボットは、ロボットアームのように  デパレタイジングの自動化には、一般的に 自由には動けないものの、縦と横の直線移動 「ロボットアーム」や「直交型ロボット」な を高速で行うことが可能です。大型のアーム どの産業用ロボットが採用されています。 ロボットの導入がむずかしい場合に、検討対  また、ビジョンシステムを構築することで、 象に入ります。 高度な自動化を実現することができます。 ロボットアーム 4 デパレタイジングに 欠かせないビジョンシステム  デパレタイジングを自動化する際にもっと も多く採用されているのは、大型のロボット  デパレタイジングの際に、積載されている アームです。 荷物の大きさが異なっていたり、位置がずれ  6 軸の多関節式ロボットで、ロボットハン ている場合は、ビジョンシステムとの組み合 ドの位置制御の自由度が高いため、積載状態 わせが効果的です。ビジョンシステムはカメ の荷物がどこにあってもつかむことが可能で ラ画像を処理することで、荷物の位置や向き、 す。 大きさを把握することができるセンシングシ  直交ロボットに比べると移動速度は遅く、 ステムです。 作業効率は落ちますが、汎用性の高い自動化 が実現します。   ビジョンシステムから得られた情報をもと にデパレタイジングを行えば、混載状態に関 12
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報 基本編 係なく作業を進めることができます。また、 事前に荷物の寸法や位置を記憶させる作業も 不要になるため、メリットの大きなシステム です。  導入コストが上がるため、費用対効果を比 較して検討する必要があります。  13