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【導入事例】西松建設が挑む 「3つの壁」突破の全貌

事例紹介

3Dナレッジで大変革「建設現場の凄い未来」

人手不足や長時間労働、DXの遅れーーー
建設業界が直面する課題の中で、 西松建設は抜本的な業務変革に乗り出している。その1つの鍵を握るのが、 ベテランの技術力とデジタルの融合によるDXだ。本記事では、同社技術戦略室 技術革新部 部長 前啓一氏と、建築事業本部 デジタルコンストラクションセンター センター長 濱岡 正行氏に、PLMをベースとしたデジタルコンストラクションへの展開について、その段階的検証、そして現場への展開へ向けた取り組みの全体像を聞いた。

掲載内容
◆DX本格推進1割・・・「木こりのジレンマ」に陥る建設会社
◆西松建設が挑む「3つのDX」とは
◆目指すはライフサイクル全体の「3Dモデル利活用」
◆【図解】「スマート現場」へのロードマップ
◆現場の理解には「成功体験の積み重ね」が大切

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このカタログについて

ドキュメント名 【導入事例】西松建設が挑む 「3つの壁」突破の全貌
ドキュメント種別 事例紹介
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取り扱い企業 ダッソー・システムズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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ダッソー・システムズ株式会社

このカタログの内容

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西松建設が挑む 「3つの壁」突破の全貌 3Dナレッジで大変革「建設現場の凄い未来」 人手不足や長時間労働、DX の遅れ──建設業界が直面する課題の中で、 西松建設は抜本的な業務変革に乗り出している。その1つの鍵を握るのが、 ベテランの技術力とデジタルの融合による DX だ。本記事では、同社 技 術戦略室 技術革新部 部長 前 啓一氏と、建築事業本部 デジタルコンスト ラクションセンター センター長 濵岡 正行氏に、PLM をベースとしたデ ジタルコンストラクションへの展開について、その段階的検証、そして現 場への展開へ向けた取り組みの全体像を聞いた。 西松建設 西松建設 建築事業本部 技術戦略室 デジタルコンストラクション 技術革新部 センター 部長 センター長 前 啓一 氏 濵岡 正行 氏 DX本格推進1割…「木こりのジレンマ」に陥る建設会社  高齢化と若年層の薄さといった構造的課題に直面する建 え)も浮き彫りになっている。実際、DXの取り組みを本格的 設業界。60代以上の就業者が全体の4分の1を占め、20代以 に進められている建設企業は全体の1割程度にとどまってい 下は1割程度と、世代構成の偏りが深刻化している。中でも高 るのが現実だ。 卒者の3年以内の離職率は42.2%と、全産業平均を大きく上  こうした状況下、西松建設は2023年に長期ビジョン「西松 回る。こうした人手不足の問題に加え、2024年4月からは時 -Vision 2030」と「西松DXビジョンver2.0」を掲げた。業界全 間外労働の上限規制が適用され、長時間労働の見直しと業務 体が直面する課題に対し抜本的な変革と、それを実現するた 効率化が強く求められている。 めのDXを志向している。その中でも注目したいのが、「現場  同時に、「DXの必要性は理解しているが、日々の業務に追 力がシンカしたスマート現場」だ。 われて手がつけられない」という現場の“木こりのジレンマ”  いったいどのような取り組みなのか。ここからは、その全 (=木を切るのに精いっぱいで刃を研ぐ時間がない状況の例 貌をひも解いていく。 西松建設が挑む「3つのDX」とは  昨年、創業150周年を迎えた西松建設は、企業理念である 社会基盤の整備にとどまらず、社会機能の再構築までを視野 「価値ある建造物とサービスで安心して暮らせる持続可能な に入れた価値共創活動の拡大を目指している。 社会をつくる」の実現に向け、先述した西松-Vision 2030に  そのために2023年度からスタートしたのが「中期経営計 おいて、「あたりまえに安心でき 活力がわく地域やコミュニ 画2025」である。この計画でDXが担う大きな役割について、 ティーを共に描きつくる総合力企業へ」という目標を掲げ、 前氏はこう語る。 1
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 「建設業界を取り巻く環境が変化し続ける中で、技術とDX 掲げている。具体的には、(1)現場力がシンカしたスマート現 の融合は不可欠です。そして技術とDXの融合とは、培った勘 場、(2)仮想と現実が融合した一人ひとりが活躍できるワーク や経験──つまり技術力をデジタルの力によって可視化・ スタイル、(3)エコシステムで新しいサービスや空間を創り出 標準化・仕組み化し、組織全体で活用できるようにして、技 すビジネス、という3つの柱を設定。これらの空間を社員や協 術開発力や施工管理力が飛躍的に向上することです」 力業者、顧客に提供するとともに、価値を共創するパートナー  この考え方を基に、西松建設では西松-Vision2030を実現 と一緒に社会・地域へと展開していく構想だ。 するための「西松DXビジョンver2.0」を策定した。このビジョ  本記事では特に、(1)の「現場力がシンカしたスマート現 ンでは、全社一丸となって「現場」「ワークスタイル」「ビジネ 場」に焦点を当て、そのロードマップと具体的な取り組みを ス」という3つの空間をデジタルでイノベーションすることを 紹介していく。 現場力がシンカしたスマート現場のロードマップ  スマート現場ロードマップでは、新しい生産システムの 活用して、作業の未来を予測できるように取り組んでおり、 構築に向けて、業務のデジタル化・生産性改善からデジタ 施工DXではファブ化の推進による工業化施工などを目指し ル業務変革による管理の高度化、そしてリアル・デジタル ている。 の統合による価値創出へとつなげていく。その取り組みは  「これらの推進にあたって、ダッソー・システムズのソ 「設計・計画DX」、「施工管理DX」、「施工DX」の3分野から リューション活用に向けた検証も進めており、3Dモデルを なっている。 基盤とした次世代の業務プロセス実現を見据えているとこ   設 計・ 計 画DXに 関 し て は、BIM(Building Information ろです」(濵岡氏) Modeling)/CIM(Construction Information Modeling/ Management)を活用した提案型フロントローディング※1 へのシフトを目指している。また施工管理DXでは、暗黙知を ※1 フロントローディングとは、建設プロジェクトの初期段階で設計や 施工に関する検討を前倒しで集中的に行うことで、品質向上と工期短縮 ナレッジ化するとともに、会社としての実績データを蓄積・ を実現する生産性向上の手法 目指すはライフサイクル全体の「3Dモデル利活用」  西松建設が目指す「スマート現場」は、2030年の「スマート テップを着実に進める上で、設計・計画DXの深化が大きな 現場1.0」、2040年の「スマート現場2.0」、2050年の「スマー 鍵を握っている。 ト現場3.0」へと段階的に進化していく構想である。そのス  「どのような建物をつくるかという設計自体は既存のBIM 2
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でも対応できます。ただ、“どうやってつくるか”という施工  前氏も「ライフサイクルマネジメントを有するダッソー・ プロセスや手順、リソースなどの部分が見えにくく、そこを システムズのソリューションを活用すれば、施工計画のフロ デジタルに落とし込める手段を探していました」(濵岡氏) ントローディングの実現に向けた取り組みや工業化施工が  そんなとき、製造業での豊富な実績を持つダッソー・シス 可能になると思いました。それが実現すれば、大幅に生産性 テムズの話を聞いたという。 を改善できると期待が膨らみました」と続ける。  「3Dモデルを設計・計画のみならず、製造、保守メンテナ  個別の業務領域では部分最適が進んでいたものの、全体最 ンスまでのライフサイクル全体で活用できるその強みは、建 適の実現には至っていなかった。そうした中で、BIM/CIMの 設業にも生かせると感じたのがきっかけです。今までは個別 将来的な高度活用にとどまらず、さらにその先の4D・5Dに 最適はできていましたが、ライフサイクル全般をデジタルで よるプロジェクト全体の可視化・統合管理・工業化施工ま つなぎ最適化していくことは、ハードルも高く、実現への道 で踏み込めるか──その可能性に、西松建設はダッソー・シ が見えない状況でしたから…」(濵岡氏) ステムズに対して大きな期待を寄せている。 BIMの工業化施工への適用 【図解】「スマート現場」へのロードマップ  現在、ダッソー・システムズが提供する「3DEXPERIENCE みの推進に向け、段階的なPoC(概念実証)を進めている。 プラットフォーム・オン・ザ・クラウド」は、設計から製造、 2023年に始動したPoCフェーズ1では、同社のシステムが 施工、保守管理に至るまでライフサイクル全体をカバーして どこまで実現可能性を備えているか、ビジョンとの整合性や いる。西松建設では、その中から主に2つのソリューション コストの面を含めて検証を行った。 領域を活用している。高度なモジュラー施工を推進する3D  その結果、自社構想との親和性が見込めると判断し、 ナレッジ・モデリングソリューション「CATIA」、そして施工 2024年からはPoCフェーズ2に移行、過去プロジェクトの に関わる情報を統合化し精緻で最適な計画・シミュレーショ データを基に、再利用可能なコンストラクション・ブロッ ンを作成可能とする「DELMIA」だ。 クや4D施工計画のためのデータセットを作成し実装への自  これらのソリューションを組み合わせた本格的な取り組 信を深めた。 スマート現場の実現に向けて段階的なPoCを進めている 3
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 続く今年、2025年にはPoCフェーズ3として、さらに現場 トリックな変更が可能なものだ。コンストラクション・ブ と連携した運用検証に着手しており、実際の物流センター建 ロックは精緻な数量・重量が出力でき、サプライヤー管理 設案件で取り組みを進めている。そして、2026年には物流セ が容易になる。 ンタープロジェクトでの実導入をするべく、現在その準備を  また現場のノウハウを埋め込んだ3D作業指示書の出力も 進めているところだ。 可能であり、一品一様に対応するモジュラー施工を可能にす  現状の具体的な作業としては、設計段階で作成された る。コンストラクション・ブロックは複数のプロジェクト BIMデータからワイーヤーフレーム(基準線)を抽出し、 での再利用を前提に、想定される全要素を取り込んだ150% CATIAによって自動的にデータセットを作成する。この BOMと呼ばれる最大構成で作成しているため、複数のプロ データセットは、コンストラクション・ブロックと呼ばれ ジェクトで再利用可能で、データが蓄積されるほどに生産性 るLOD350~500の詳細かつテンプレート化されたパラメ も向上する。 コンストラクション・ブロックの運用の流れ  さらに、作成されたコンストラクション・ブロックを含め 形状といった段取り情報が4D施工計画として用意されるた DELMIAで4D施工計画を作成する。DELMIAで3Dモデル、工 め、20代、30代の現場所長がベテランの知見を継承し、生産 程、歩掛(ぶがかり)、クレーンなどのリソース情報などを統 性を向上することができる。ここで作成された施工データ 合し、施工シミュレーションを行って、単なる見える化を超 セット(PPR:プロダクト・プロセス・リソース情報)は再 えた精緻な施工計画をフロントローディングで作成する。 利用可能で、特に同じ建物用途の間では施工プロセスを標準  現場所長が着任する際には施工のための工程、歩掛、人員、 化し、施工前準備作業を大幅に削減する。 4D施工計画とその流れ  「こうした取り組みは、2030年以降の工業化施工の実現に え、工場あるいは現場組立ヤードで製作したモジュールを現 もつながるものです。これにより、現場での作業員の手間を 場で設置する方法だ。モジュラー化による生産性や品質の向 削減するとともに、管理側の負荷も軽減でき、さまざまな領 上に加え、設置の段取りや歩掛も最適化することで大きな効 域で生産性向上が期待できます」(前氏) 果が期待できる。  工業化施工とは、建物や構造物をモジュール単位でとら 4
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現場の理解には「成功体験の積み重ね」が大切  こうしたDXの取り組みを着実に進めていく一方で、現場 部位をさらに拡大し、基盤となるデータベースを構築して には変革に対する課題も残っているという。 いく方針だ。  「ベテランの従業員が持っている経験や技術はとても大事  「技術的に『できる』だけでは不十分で、本当に業務に定着 です。ただ、それが成功体験として染みついているからこそ、 させられるのかが問われています。そこで本当に来年(2026 新しい手法への移行には一定の抵抗感があります。このよう 年)、業務に落とし込めるのか、今年、案件を通じた試行・検 な課題はどのゼネコンにも少なからずあるものの、『労働時 証を行っているところです。こうして実績を積み上げながら 間の質』を重視する方向へのシフトを求められているのが今 次の開発へとつなげていくサイクルの構築を目指していま の流れです。そこでBIMやAIなどのデジタル技術も活用しな す」(濵岡氏) がら、業務プロセスそのものを変えていく必要があると考え  また、今後はBIMや工程情報にコスト情報をひも付けて管 ています」(前氏) 理できる仕組みの整備や現場やサプライヤーの協業を3Dで  建設業では現場単位で仕事が完結し、成果もそこで評価さ 促進するプラットフォーム開発も検討しているという。そこ れる傾向が強いため、長期的な視点での改善には理解を得に でも、製造業のPLM(製品ライフサイクル管理)で実績豊富な くい面もあるという。 ダッソー・システムズのソリューションを活用することで、  「我々は5年後、10年後を見据えて取り組んでいます。だか 一気通貫したデータ連携が可能になるという期待が大きい。 らこそ、1つずつ成功体験を積み重ねながら進めていき、理解  最後に前氏は「現時点では複数のソリューションが有機的 を広げていくよう取り組んでいくつもりです」(前氏) につながっていないのが課題ですが、ダッソー・システムズ  現在、3DEXPERIENCEプラットフォーム・オン・ザ・ のプラットフォームであればそれを統合できると確信して クラウド上で鉄骨やそれに付随する屋根、壁などのコンス います」と力強く語った。 トラクション・ブロック化に着手しているが、今後は対象 ダッソー・システムズ株式会社 お問い合わせ :JP.Mkt.Digital@3ds.com 5