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公定法分析のためのデュマ法とケルダール法について

ホワイトペーパー

食品と飼料の窒素/タンパク質分析の比較と考察

概要
デュマ法はケルダール法と比べて分析時間が短く、操作が簡単で、安全性が改善されているため食品および飼料中の粗タンパク質含量の測定にデュマ燃焼法が採用される傾向が明らかにあります。

どちらの方法も同様の精度を持ちますが、ケルダール法は最も認識された方法であり、バッチで実行する場合に非常に効果的です。 どちらの方法でも混入の影響は受けやすくなります。

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ドキュメント名 公定法分析のためのデュマ法とケルダール法について
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 フォス・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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A White Paper from FOSS 公定法分析のための デュマ法とケルダール法について 食品と飼料の窒素/タンパク質分析の比較と考察 By: Dr. Jürgen Müller 印刷: 2017年6月 GB
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デュマ法 デュマ燃焼法は、一般的な有機物中の全窒素定量方法として認められています。 サン プルは酸素中で高温で燃焼されます。 その後、酸化管と還元管を経由して、窒素はN に変換され定量されます。 他の揮発性燃焼生成物は、吸着・分離されます。 熱伝導度2 ディテクターは窒素ガスを測定します。 測定結果は窒素(%またはmg )として表示さ れ、変換係数を使用してタンパク質に変換できます。 表1 - 窒素からタンパク質への変換係数(ISO 16634-1:2008の例) 産物 変換係数 大麦 5.88 ココナツミール 5.30 オーツ麦 5.50 米 5.95 ライ麦 5.83 サンフラワー(種子、ミール ) 5.30 大豆(種子、小麦粉または製品) 5.71 ライコムギ 5.78 小麦(全粒粉、小麦粉またはブルグール) 5.83 小麦(ふすま) 5.26 ISO / TS 16634-2:2009では、分析された製品の変換係数は、一般的に小麦、ライ麦および製粉された製 品では5.7であり、このISO規格の範囲内にある他のすべての製品では6.25 であると合意されています。 1990年代にデュマ法は、100年以上にわたり粗タンパク質分析の主な方法であった従 来のケルダール法と比較して認められるようになりました。 デュマ法は使いやすく、自動化されているという利点があります。 また、1回あたり数 分で測定でき、1時間以上かかるケルダール法と比べて大幅に迅速です。 また、有毒 な化学物質や有害な化学物質や触媒も使用していません。 ケルダール法では、サン プルを分解するために濃硫酸や触媒が使用されます。 1990年代に多くの国で水銀と カドミウムの使用が禁止された際に、多くの検査試験所では代わりになる方法として デュマ法が評価され、多くの比較研究が行われました。 この結果の1つとして、多くの 国際基準が設定されました(表2)。 また、米国、カナダ、オーストラリアの穀物検査サ ービスは、デュマ法を認定しました。 デュマ法は亜硝酸塩や硝酸塩などの無機分画を含む全窒素を測定し、ケルダール法 は有機窒素とアンモニアのみを測定するため、比較研究で結果の相違が生じました。 ケルダール法はすべての有機窒素を回収せず、特にニコチン酸のような複素環N-化 合物の回収には問題があります。 粗タンパク質の測定における主な課題は、α-アミノ 窒素のアミノ酸からアンモニアへの変換であるため、これは問題視されていません。 歴史的に、従来のケルダール法のための窒素からタンパク質への変換係数は、サンプ ルのアミノ酸パターンに基づいて確立されています。 組成が異なる飼料および食品 サンプルでは、一般的な係数は6.25に合意されています。 窒素回収率の異なる技術 で同じ変換係数を使用すると、結果に差異が生じることがあります。 Page 2
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表2 - デュマ法を用いた食品および飼料内の全窒素およびタンパク質測定の基準 公定法分析 タイトル(マトリックス) ISO 16634-1:2008 食品 - デュマ法の原理に従った燃焼による全窒素の定量及び粗タン パク質含有量の定量 - 第 1 部: 脂肪種子及び飼料 ISO/TS 16634-2:2009 食品 - デュマの原理に従った燃焼による全窒素の定量及び粗タン パ ク質含有量の定量 - 第 2 部: シリアル、穀物、粉砕シリアル ISO 14891:2008 (IDF 185:2008) 乳及び乳製品 ̶ 窒素含有量の定量 ̶ デュマ法の原理による燃 焼を用いた定常法 AACC法 46.30 粗タンパク質燃焼法(動物飼料、穀類、油糧種子) ICC標準No. 167 デュマ燃焼原理による食品および飼料の穀類および穀物製品にお ける粗タンパク質の定量 AOAC 990.03 動物飼料中の(粗)タンパク質 ̶ 燃焼法 AOAC 992.23 穀粒および油糧種子における粗タンパク質 AOAC 997.09 ビール、麦汁、醸造穀類内の窒素 ̶ 計算による(全)タンパク質 ̶ 燃焼方法 AOCS Ba 4e-93 粗タンパク質の測定のための一般燃焼法(油糧種子副生成物) AOCS Ba 4f-00 大豆ミール内の粗タンパク質の定量のための一般燃焼法 OIV-MA-AS323-02A マストとワインのデュマ法による全窒素定量(タイプII法) AOAC = AOACインターナショナル、ワシントンDC /アメリカ、AOCS =アメリカ石油化学者協会、シャンペ ーン、イリノイ / USA、AACC =米国穀物化学者協会、 セントポール、ミネソタ/米国、ISO =国際標準化機 構、ジュネーブ/スイス、IDF =国際乳業連盟、ブリュッセル/ベルギー、ICC =国際穀物科学技術連合、ウィー ン/オーストリア、OIV =国際葡萄酒造協会、パリ/フランス デュマ法およびケルダール法では、分析されたサンプルの非タンパク質窒素含量、お よびそれぞれの方法によってどの程度まで回収されるかに応じて、結果が異なりま す。 例えば、乾重量のレタスのサンプルで硝酸塩含量が 33,000 mg / kgの場合、これは、0.75%の窒素または4.7%の粗タンパク質(係数6.25) に相当します。 AAFCO(米国飼養管理職協会)PTSは、300以上の試験機関が参加し、100以上の報告 方法を備えた最も包括的な検査試験スキームの1つです。 表3は、いくつかの飼料サ ンプルの結果を示しています。 ケルダール法では、公定法AOAC2001.11のための値 が選択されています。 ご覧になって分かるように、報告された結果の標準偏差(括弧 内)は同等ですが、デュマ法では、値はより高くなっています。 Page 3
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表3: AAFCO検査試験サンプルで得られた粗タンパク質値の比較 サンプル タイプ ケルダール法 デュマ法 AAFCO 200921 鶏肉 17.29 (0.15) 17.64 (0.33) AAFCO 200922 ブタ(スターター) 23.94 (0.33) 24.51 (0.39) AAFCO 200923 固形飼料 12.3 (0.52) 12.51 (0.65) ドイツ、デトモルトのMax Rubner Instituteは、5年(2000年~2004年)の収穫期間で、 ケルダール法とデュマ法の粗タンパク質結果を比較するために、800以上の小麦サン プルを用いて包括的な研究を実施しました。 この研究では「デュマ法で測定されたタ ンパク質」の約2%がケルダール法により測定されなかったことが判明しました。そし て、デュマ法によるタンパク質値とケルダール法によるタンパク質値との間に以下の 関係があることを示しました。 ケルダール法 = 0.959*デュマ法 + 0.258 これらの方法の違いは、栽培する年や栽培品種に依存するだけでなく、栽培条件(降 雨量、肥料など)にも依存するため、この式は一般に結果の変換には使用できません でした。 比較研究は、他にも多数報告されています。 Simonne et al(. 1)は、適切な係数が使 用されている場合、選択された食品群の粗タンパク質を決定するために、デュマ法を ケルダール法に代わって使用することができるという結論をだしました。 本研究では デュマ法の結果を使用して粗タンパク質を計算する場合、乳製品では1.01、脂肪種子 では1.00、飼料では0.99、調製粉乳 では0.98、穀物では0.95、肉では0.94、野菜では 0.89、 魚では80、果実では0.73の補正係数が提案されています。 過大評価の処理が難しいという考えもあり、貿易摩擦を避けるために欧州委員会は、 ケルダール法を公的規制のコミュニティ方法として認定しました(委員会規則(EC)No 152/2009)。 選択性、干渉、および混入に対する感受性に関して、 デュマ法は分析中にすべての形 態の有機物と無機物を定量的に回収し、全窒素を特定しますが、たんぱく質の選択性 はありません。 したがって、この方法は、窒素を含む全ての有機および無機化合物に よる混入の影響を受けやすくなります。 ケルダール法と同じく、真のタンパク質を測定せず、非タンパク質窒素を測定するた め、異なったアミノ酸配列を有するので、異なるタンパク質に対する異なる補正係数 が必要とされます。(2) 実際、これらの補正アルゴリズムは通常の検査試験所ではほ とんど使用されていません。 ほとんどの場合、デュマ値とケルダール値を粗タンパク 質に変換するために同じ係数が使用されます。 貿易における紛争や誤解を避けるため、粗タンパク質測定に使用される方法を明確 に述べることが重要になります。 ケルダール法が最も認識されている公式の状況で は、分析されるサンプルタイプの違いがごくわずかである場合、デュマ法を使用するこ とができます。 NIR校正を確立し、検証する際には、これらの違いに注意することも重 要です。 Page 4
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概要 デュマ法はケルダール法と比べて分析時間が短く、操作が簡単で、安全性が改善され ているため食品および飼料中の粗タンパク質含量の測定にデュマ燃焼法が採用され る傾向が明らかにあります。 どちらの方法も同様の精度を持ちますが、ケルダール法 は最も認識された方法であり、バッチで実行する場合に非常に効果的です。 どちらの 方法でも混入の影響は受けやすくなります。 参照文献: (1) A H Simonne, E H Simonne, R R Eitenmiller, H A Mills and C P Cresman: 食品の 窒素および粗タンパク質測定においてデュマ法は、ケルダール分解を置き換えること ができるでしょうか? Journal of the Science of Food and Agriculture, Volume 73, Issue 1, pages 39‒45, January 1997 (2) Jeffrey C. Moore, Jonathan W. DeVries, Markus Lipp, James C. Griffiths and Dar- rell R. Abernethy: Total Protein Methods and Their Potential Utility to Reduce the Risk of Food Protein Adulteration, Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety, Volume 9, Issue 4, pages 330‒357, July 2010 フォス・ジャパン株式会社 東京都江東区 東陽2-4-14 三井ウッディビル1階 Tel.: 03 5665 3821 Fax: 03 5665 3826 info@foss.co.jp www.fossanalytics.com