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『IncuCyte S3』⽇経サイエンス2019年11⽉号 紹介記事

その他

がんと免疫研究最前線

掲載内容

山口大学大学院 玉田耕治教援
次世代CAR-T細胞療法が免疫療法をがん治療の主役へと導く

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このカタログについて

ドキュメント名 『IncuCyte S3』⽇経サイエンス2019年11⽉号 紹介記事
ドキュメント種別 その他
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登録カテゴリ
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このカタログの内容

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ー ' → (富 ←:: �--� 嘉兄 がんと免疫研究最前, 、、臓曇 PR 山口大学大学院 玉田耕治教援 CAR-T細胞による細胞傷害活性 次世代CAR-T細胞療法が 免疫療法をがん治療の主役へと導く l るべき治療と記載された」と話す。免 に選伝子組み換えによって,もともと 免疫療法ががん治療の主役に 疫療法は,がん治療の中心的役割を果 体に備わった免疫細胞を組織に集める がん免疫療法は,長い研究の歴史が たすようになったのだ。 CCL19というケモカインや免疫細胞の ありながら手術療法,化学療法,放射 課題は奏功率が3割程度であるとい 増殖因子の一つであるIL- 7( インタ ー 左写真はがん細胞と通常のT細胞を, 右写真はCAR-T細胞を培養。 生きたがん細胞は緑色に死んだとき 線療法と比較して有効性に関する科学 うことだ。約 7 割の患者では期待する 山口大学大学院医学系研究科免疫学講座 ロイキン 7)を発現させた。 に赤色に蛍光発色するように処理し lncuCyteで画像解析を行った。 的エビデンスが乏しく,公的医療保険 効果が得られない。その理由について 玉川耕治教授 l スクリーニングを加速する分析機器 の対象として承認されてこなかった。 は,さまざまな解釈があるが 「一つに 従来の手法では,がん細胞とアンテ される。次世代CAR-T細胞療法それぞ 「免疫療法に対する認識を大きく変え はがん免疫において重要な役割を果た として2017年に登場。50~70%の奏 玉田教授は,マウスによるPrime ナを発現させたCAR-T細胞を一緒に2 れの評価はもちろん,免疫チェックポ たのは,日本では2014年に承認され しているT細胞が,がんの進行に伴い 功率を示すなど画期的な成果を上げた CAR-T細胞の動物実験でT細胞や樹状 日間ほど培養し,どれだけがん細胞が イント阻害剤など他の免疫療法を組み た免疫チェックポイント阻害剤であ 疲弊するためではないかと考えられて が,反面,胃がん,肺がんなど 固形が 細胞を腫瘍組織に集積させることに成 残っているかを評価していた。そのた 合わせた複合がん免疫療法も検討され る」と話すのは,山口大学大学院医学 いる」と玉田教授は話す。 んを対象とした研究では十分な成果が 功。肺がん,悪性黒色腫,膵臓がんに め,2 日後の結果しかわからなかった るだろう。 系研究科の玉田耕治教授だ。 l 得られていない。 対する有効性も確認し,ヒトでの臨床 が,IncuCyteは最適条件で培養しなが さらに玉田教授は「現在のCAR-T細 免疫細胞を総動員して治療 免疫細胞の表面には,その働きにブ 玉田教授が挙げるその理由は2つ。 研究も視野に入ってきた。 ら一定時間ごとに細胞の画像を解析可 胞療法では,がん患者ごとにリンパ球 レーキをかけるスイッチの役割をする 免疫チェックポイント阻害剤で効果 「白血病やリンパ腫では,がん細胞が 玉田教授らは,山口大学や国立がん 能だ。しかも,マルチウェルプレート を取り出す必要があるが,患者の体の 「PD-1」という分子があり,がん細胞は が得られない患者のために,いま免疫 CD19という目印となる分子を発現し 研究センタ ーなどと共同で臨床試験を 6枚を同時に管理してくれるので,研 状態によっては採血などが不可能なこ その働きを利用することで免疫システ 療法の研究者は“ 次の一手 ”を探してい ているが,固形がんの目印は多種多様。 進めるためのベンチャ ー企業を設立し 究の効率が高められるという。 ともある。将来は,iPS 細胞から作り ムから逃れている。免疫チェックポイ る。玉田教授が狙うのは,キメラ抗原 これをがん細胞の不均一性といい,ア Prime CAR-T細胞の開発に取り組ん 玉田教授は「導入によってCAR-T細 出したCAR-T細胞を複数用意してお ント阻害剤は「PD-1」の働きを妨げるこ 受容体(CAR)を発現するT細胞療法 ンテナ分子を特定しにくい」 (玉田教 でいるが,そこでの大きなハードルが 胞がどれぐらいの速度でがん細胞を攻 いて,がん患者の腫瘍組織に合ったも とで,免疫細胞が再びがん細胞を攻撃 (CAR-T細胞療法)の改良だ。CAR-T細 授)。もう一つは, 固形がんでは点滴 “ がんの不均一性"だ。無数の分子のな 撃するかがわかるなど,評価の質も変 のをすぐに投与するといったことも可 できるようにする。 胞療法は,患者からがん免疫で重要な で投与したCAR-T細胞の一部だけが血 かから 固形がんの細胞を効率よくキャ わった。T細胞についての新たな知見 能になるだろう」と展望する。 その臨床効果は期待以上だった。玉 役割を果たすT細胞を取り出し,遺伝 管外に出てがん組織に入り込む。効果 ッチできるアンテナを捜すスクリーニ も得られるだろう」と評価する。 実現すれば,高額な医療費が課題と 田教授は「肺がんについての最新の診 子組み換えによりがん細胞を認識する を得るためには,より強い作用を持た ングが不可欠となるが,そこで利用し 1 なっているCAR-T細胞療法が,身近な 将来は再生医療との融合も 療ガイドラインでは,手術のできない ためのアンテナとなる分子(一本鎖抗 せる必要があるという。 ているのがエッセンバイオサイエンス 存在になる可能性もある。従来の3 大 肺がんの一部では,ペムブロリズマブ 体)を発現させて培養。点滴により患 いま世界中の研究者が次世代CAR-T 社(ザルトリウスグループ)のハイスル いま次世代CAR-T細胞療法の研究は 治療を超える医療として期待されるが という免疫チェックポイント阻害剤が 者の体内に戻すという治療法だ。B細 細胞の研究に取り組んでいるが,玉田 ープット生細胞解析システム「IncuCyte 世界中で行われており,そこから次世 んの免疫療法への注目度は今後ますま ファ ーストライン,つまり最初に試み 胞系の白血病など血液のがんの治療法 教授の戦略はPrimeCAR-T細胞療法と S3」だという。 代の免疫療法が創出されることが期待 す高まりそうだ。 呼ばれる手法にある。 1 玉田教授は「ひとことでいえば,が 通常のCART-T細胞療法 I I Prime CART-T細胞療法 I 全自動ハイスループット生細胞解析システム CAR-T ん細胞に対してCAR-T細胞だけで闘う 細胞 lncuCyte S3® のではなく,がん免疫に関わる免疫細 標的分子 ■ lncuCyteは生細胞の画像解析をインキュベータ内で細胞培養しながら実現。 胞を総動員すること」と話す。そのため 細胞を数日のみならず数週間にわたり観察することができる。取得された画像の 解析では,空間的情報と形態学的情報が同時に得られるため,一度の実験により CAR-T細胞では患者から T細胞を採取し, ウイル 得られる情報量が圧倒的に増え,その解析も簡便に行える。細胞傷害性免疫細胞 スベクタ ーを用いた遺伝子組み換えの手法でがん細 胞の標的分子をキャッチするアンテナ(一本鎖抗体) のような複雑な細胞間相互作用を調べる場合であっても,lncuCyteを使うこと を発現する。 により,情報量に富む解析データがほぼ自動でリアルタイムに算出される。 Prime CAR-T細胞では, 遺伝子組み換えによっ ■ 24時間,定期的に画像の取得を遂行し,同時に画像解析を実施。人の手では てアンテナ分子のほか、 CCL19というケモカインや がん細胞 IL-7というサイトカインも発現する。 これによって 非現実的な何千枚もの画像をソフトウエアが自動的に定量解析してくれるので, 宿主(患者)が本来持っていた樹状細胞やT細胞が集 憶測や主観的な判断を排除した科学的な結論を導き出すことができる。 まり, がん細胞を強力に攻撃するようになる。 本記事に関するお問合せ:ザルトリウスグルー プ エッセンバイオサイエンス株式会社マーケティングコミュニケーション部:03-6478-5202 102 103 出典:日経サイエンス2019年11月号掲載