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【 Incucyte ユーザーインタビュー】株式会社ナレッジパレット

事例紹介

世界一の大規模トランスクリプトーム解析技術をもつスタートアップを支える10年来の相棒マシンとは?

株式会社ナレッジパレット福田氏が10年に渡って使い続けているザルトリウス・ジャパン株式会社のIncucyte(R)システム。今回は、細胞研究の最前線で愛用する理由と、新薬の創出と細胞医薬品の高品質化を加速させる事業についてお話を伺いました。

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このカタログについて

ドキュメント名 【 Incucyte ユーザーインタビュー】株式会社ナレッジパレット
ドキュメント種別 事例紹介
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取り扱い企業 ザルトリウス・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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AppKliOcaLt Iinotne Nrvoietwe July 31, 2022 Keywords or phrases: Incucyte、創薬、イメージング、ビッグデータ、再生医療、 細胞解析 (株)ナレッジパレット社インタ ビュー:世界一の大規模トラ ンスクリプトーム解析技術を もつスタートアップを支える 10年来の相棒マシンとは 医薬品の開発現場は、厳しい状況が続いている。低分子医 薬品では創薬標的分子が枯渇しつつあり、新薬の開発難易 度の増大からコストも増加の一途を辿っている。また新たな 医薬品モダリティである細胞医薬品、再生医療等製品では 生きた細胞を医薬品の主体とすることから低分子医薬品よ りもさらに高コストになるため、製品を医療現場へと十分に 届けることができておらず、アンメットメディカルニーズを満 たせていないといった課題がある。 これらの解決の鍵は、細胞を個々にあるいは集団として、診 断し、制御できるかにあると株式会社ナレッジパレット共同 創業者で代表取締役 CTOの福田雅和氏は話す。同社では細 胞の全遺伝子発現解析技術を応用し、様々な種類の薬剤や 培地で処理した細胞の情報をビッグデータとして取得、その 情報をAIにより解析することにより、細胞を詳細に診断し、 高度に制御することで「新薬開発の難化」と「再生医療の品 質管理・製造の困難」の解決を目指している。福田氏がナレ ッジパレット創業前から10年に渡って使い続けているのが、 株式会社ナレッジパレット ザルトリウス・ジャパン株式会社のIncucyte®システムだ。細 福田 雅和氏 胞研究の最前線で愛用する理由と、新薬の創出と細胞医薬 品の高品質化を加速させる事業について伺った。
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ビッグデータで 度、ハイスループットに行うことができます。競争の激しい分野 ですが、当社の技術は世界7カ国25の企業・研究機関が参加 細胞を制御、 した国際プロジェクトにおいて、精度指標 (遺伝子検出性能、 マーカー遺伝子同定性能) および総合スコアで世界1位であ ると外部評価をいただき、その結果がNature Biotechnology 医薬品開発を加速 誌にて公表されました。 ・理研プレスリリース|1細胞RNA解析で世界最高成績-国 際的な性能比較研究で証明- ── 医薬品開発における課題解決のために、どのような研究 (https://www.riken.jp/press/2020/20200407_1/index.html) を行っておられるのでしょうか。 株式会社ナレッジパレットは、細胞のビッグデータを世界一 表現型創薬スクリーニングは、化合物ライブラリを処理した細 「正確に・速く」取得する技術(Quartz-seq2)を用いて、細胞 胞の遺伝子発現プロファイルをハイスループットに取得し、こ を診断し、制御することによって、創薬における新薬開発の難 のビックデータを解析することによって、新薬候補や新規の創 化と、再生医療における品質管理と製造の困難を解決する2 薬ターゲットを発見するアプローチです。創薬ターゲットであ つの事業を進めています。人間の体は約37兆個の細胞ででき る特定のタンパク質の活性阻害で候補化合物の選抜を行う ています。個々の細胞はそれぞれ固有のキャラクターをもって ターゲットベースドスクリーニングと異なり、細胞への効果を いますが、その特徴を決めているのは、約2から3万種類からな ダイレクトに評価できるため、薬効が高く、毒性の低い化合物 る遺伝子の発現の有無とその量の組合せです。当社は解析対 をスクリーニングすることができます。また当社の技術は、従 象細胞やその集団から大規模に取得する遺伝子発現プロファ 来のトランスクリプトーム解析技術と比較して、10分の1以下 イルデータをAIにより解析し、細胞を診断および制御すること の低コストで実施が可能な点も優位であると考えています。 によって、創薬分野においては候補化合物の薬効や毒性を評 価する表現型創薬による医薬品の早期創出を、再生医療分野 また新しいモダリティとして期待が高まっている再生医療で においては製造された細胞の品質ばらつきと性能および収量 は生きた細胞を原料にするため、製造時の細胞培養工程の際 の改善による高品質・低コスト化の実現を目指しています。 に品質ばらつきが生じやすいという課題があります。良い細胞 がわずかしか得られない場合には、製造コストが高くなり、薬 当社のコア技術であるシングルセルトランスクリプトーム解析 価を超えてしまうこともあります。 技術と大規模バルクトランスクリプトーム解析技術を用いる ことで、創薬スクリーニングも培養環境スクリーニングも高精 2
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シングルセルトランスクリプトーム解析技術で良好なロットと 不良なロットを比較し、有効性が高い細胞とそのマーカー遺 細胞に負担を 伝子を同定することによって、良好な細胞ロットを判定する細 胞品質試験(規格試験、製造工程内検査等)を設計することが できます。 かけずに さらに、当社は細胞の製造には必須である培地を最適化する ことで品質ばらつきの少ない細胞医薬品創出に向けた細胞 信頼性の高い 制御の研究を続けています。 細胞の種類が異なれば、最適な培地組成は異なります。培地 データを取得 は数百種類の化合物が適切な濃度で溶かし込まれた液体で あるため、最適化を実施するためには試すべき培地組成は膨 ── 福田様は長年、Incucyte®システムを使っておられます 大になります。しかし、多くの組成の培地を調液し、その試作培 が、なぜ選ばれたのでしょうか。 地の性能を評価するためには、多大な労力がかかることか ら、培地組成の探索空間のごく限られた種類の培地しかテス トされておらず、培地の最適化はほぼ全ての細胞で成されて 薬剤スクリーニングや培地最適化をする際の培養評価をはじ おりません。また現在、多くの培地にはウシ血清が添加されて め、あらゆる細胞培養のシーンでIncucyte®を使っています。In- いるため、ウシ由来のばらつきによる培地性能の不安定さも cucyte®を知ったのは、2012年、前職で幹細胞の培養関連製品 課題となっています。当社は、溶液化学的知見とロボットテク の研究開発に従事していた時に見たNature誌に掲載されて ノロジーにより、ウシ血清を使用しない膨大な種類の完全化 いた幹細胞生物学に関する論文がきっかけでした。その論文 学合成培地を調液する技術を有しています。また遺伝子発現 の最初の図に時系列に細胞増殖を計測したデータがあり、1 プロファイルを活用した培地評価系と蓄積したデータベース つの機器で取得されたものであることにとても驚きました。そ とAIにより、細胞の種類ごとに最適な培地を効率的に探し出 れがIncucyte®によるデータだと知り、すぐに導入へ動きまし すことができます。培地の最適化を実施することにより、製造 た(当時はエッセンバイオ社のIncucyte®ZOOM)。職場は変わ 時に生じる品質のばらつきを根本的に小さくすることが可能 りましたが、それからずっと導入し、使い続けています。 になると考えています。 3
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── 当時は、革新的な機器だったのでしょうか? ── 同業者へのお勧めポイントは他にどんな点があるでしょ うか。 もちろん、似たような機器がないか調査しましたが、いろんな 点でIncucyte®が勝っていました。まず、インキュベーターの中 384ウェルプレートを使えて、大量のデータを取りつつ、ソフト に入れた状態で測定ができるので、温度や湿度、炭酸ガス濃 ウェアにより解析も並行して実施可能という特長は、細胞培 度などの物理的な変化を細胞に与えることなく、一定の環境 養に携わる人にはヒットすると思います。今は大規模なデータ に保っておける点は非常に良かったです。また当時、複数のプ を解析できる時代ですが、データ取得に人手や時間といった レートを同時測定できるスループットの高さを持っていたの コストをいくらでもかけられるわけではないので、どれくらい は、Incucyte®だけだったと思います。生き物を研究している 機器に任せて、データを効率的に取得できるかを研究者は考 と、過去の状態のデータを確認し、取得する必要がしばしばあ えなければなりません。Incucyte®は384ウェルプレートの全ウ りますが、人に依存していると夜間などはデータが取れず、一 ェルから出力される膨大な細胞情報を人手や時間を大きく割 定間隔でデータを取ることも容易ではないので、確認したい かずに実現してくれます。私が10年前にNature誌の図を見て タイミングのデータを取るために実験をやり直さなければな 驚いたように、私たちのデータを見て驚いた研究者には「これ らないこともありました。Incucyte®を使い始めてからは、その はIncucyte®で取りました」と伝えるようになりました。お気に ような心配からは解放されました。さらに撮像タイミング設定 入りの機器になっている方たちもいます。 など、複数のディレクションができるところも優位で、研究が効 率化できました。 ── これまでのアップデートで反映された要望はあります か。 ── 10年に渡って使ってこられたのは、操作性など使いやす さなどもあるでしょうか。 培養サイズのスケールダウンは常に要望してきたところでし た。私が使い始めた当時は、撮像可能なマルチウェルプレート 確かに製品としての特長に加えて使いやすさや慣れもありま が96ウェルプレートだったのに対し 、現在の384ウェルプレー すが、総合サポートという「人」の部分も大きいと感じていま トの撮影が可能になったのは大きな飛躍でしたし、メーカー す。細胞という生き物を扱う精密機器は、故障や不調など何か のご尽力があってこそだったと思います。ホールウェルで見ら あった時にすぐに対応しなければならないので、アフターフォ れるようにという要望も強く出してきましたが、実現していた ローやサービスがしっかりしていることは使い続ける大きな だけたことでかなり研究が進んだと思います。今後は、細胞と 理由です。繊細な生き物を扱っているとメーカーさんの支えや 細胞の間の境界をきっちり切り分けられるソフトウェアの開発 コミュニケーションは非常に大切で、それがなければ別のも をお願いしたいです。明視野画像から細胞数の判定が高精度 のに乗り換えていたかもしれないと思うほどです。その点でも にできたら嬉しいです。蛍光やレーザーも増やしておられます Incucyte®は他の研究者にもお勧めできます。 し、オルガノイドに対するアプリケーションなども増やしておら れるので、可能にしていただけると期待しています ・ナレッジパレットは、小野薬品工業と共同研究契約を締結 (https://www.knowledge-palette.com/img/ kppr_20211102_1_ja.pdf) ・ナレッジパレットが田辺三菱製薬とデータ駆動型創薬共同 研究契約を締結 (https://www.knowledge-palette.com/ img/kppr_20211215_1_ja.pdf) ・ナレッジパレットがマルホと円形脱毛症のバイオマーカー探 索に関する共同研究契約を締結 (https://www.knowl- edge-palette.com/img/kppr_20220323_1_ja.pdf) ・Axcelead DDPとナレッジパレット、Axcelead DDP化合物ラ イブラリーと大規模トランスクリプトーム解析技術を活用した 新たな評価系の構築に向けた共同研究契約を締結 (https:// ライブセル解析システム Incucyte® www.knowledge-palette.com/img/kppr_20220331_1_ja.pdf) (https://www.sartorius.com/en/products-jp/cell-analysis-jp/incu- cyte-live-cell-analysis-system-jp) 4
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── ナレッジパレット社の技術と研究で、医療の未来はどの 「まじめに、時に ようになるでしょうか。 当社は現在、創薬と再生医療の2つの領域で事業を行ってい クレイジーに」 ます。各領域の課題解決に細胞制御技術は直接的に役立つ ものであると考えています。現在の医療現場において主要に 使われている低分子医薬品は単剤によって体内の悪い状態 目指す未来 の細胞を良い状態にする細胞制御、再生医療は細胞または 細胞から分泌される様々な薬効成分が関わる多剤による細 胞制御であると捉えています。さらにこの2つは別物ではなく、 ── 現在、どのような研究に注力されていますか? 単剤の制御で得られた知見が多剤の制御にも活かされ、マー ジしていくと考えています。細胞制御から広がる数多くの効果 複数の会社様と共同研究を実施しています。これまで公表さ の高い新薬開発を通して、必要とされる医療が必要なときに せていただいた取り組みは、「創薬基盤の構築研究」、「遺伝 提供される未来に貢献していきます。 子発現と形態画像データの統合研究」、「バイオマーカーの探 索研究」、「遺伝子発現と創薬メタデータの統合による候補化 合物の評価系構築研究」に関するものです。どれも革新的な ── ナレッジパレット社では「まじめに、時にクレイジーに」と 共同研究で、やりがいと責任を感じています。 掲げておられますが、クレイジーとは? 当社の取り組んでいる培養液の最適化スクリーニングは多く 創業当時から大切にしている言葉で、研究に携わっておられ の研究者の課題となっています。培養液の組成によって細胞 る方には特に刺さっているようです。ひとが笑顔でいるために やその遺伝子発現プロファイルが変化することは自明です は、自分自身と大切な人たちが健康でいることは、必要条件 が、それを制御することはまだ誰にもできていません。様々な だと思っています。しかし現代においても、満たされていない 種類の大規模データを取得し、データドリブンで細胞を制御し 医療ニーズは多く残されていて、新しい薬や新しい治療モダリ ていきたいと思っています。創薬スクリーニングでは、できるだ ティの実用化が待たれています。当社はこれらの実用化に貢 け体内の状態に近い細胞を用いたいものです。もし細胞が体 献し、世界中に、大切な人の大切な笑顔を増やし、人々が笑顔 内にある状態を培養環境で制御し模倣できれば、新薬開発に でいる一助となりたいと願っています。ヘルスケアという人間 も大いに役立つと考えています。例えば、がん細胞は共存する にとって尊いものを事業領域にしている以上、「まじめに」取り 様々な細胞と協調して生育しやすいがん微小環境を構築して 組むのは当然で、最低限もっているべき姿勢だと思っていま いるので、それを再現できれば、より臨床外挿性の高い化合物 す。また私たちのような小さな企業がヘルスケアに貢献した スクリーニングが実現できるでしょう。また臓器中にある細胞 いと思うのであれば、普通にやっていてはダメだと思っていま も、複数種類の細胞が協調することで生育環境を構築し、相 す。自分たちの貢献によって世界中に笑顔を増やすことを本 互依存で存在しているため、体外へ取り出して単独にしてしま 気で目指すのであれば、私たちがその世界をリアルに思い描 うと本来のキャラクターを失ってしまいます。再生医療では移 き、ワクワクし、時に「クレイジーに」みえるほどに没頭するこ 植細胞に期待するキャラクターを失ってしまっていては使い物 と、その実現のために大まじめに取り組むことが大切である になりません。細胞治療では体内を模倣することが必ずしも と思っています。 正解ではないケースもあるとは考えていますが、目的の機能 を持つ細胞をより良い状態で、効率よく増やすことが重要で す。細胞のキャラクターや用途によって培養液も変えていく必 要がありますし、将来的には複数の細胞種を同時に制御する 培養環境の構築技術は必須だと考えており、力を入れて研究 しています。 (取材/文・坂元 希美) 5
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ザSルaトleリウsス a・ジnャdパ ンS株e式r会v社ice Germany USA 東京本社 名古屋営業所 大阪営業所 Sartorius Stedim Biotech Sartorius Stedim North 〒C14o0-n00t0a1 cts 〒461-0002 〒532-0003 GmbH America Inc. 東京都品川区北品川1-8-11 名古屋市東区代官町35-16 大阪市淀川区宮原4-3-39 August-Spindler-Strasse 11 565 Johnson Avenue FDaoiwr af u品r川thNeorrt hc ビoルnt4a 階cts, visit Phone: 03 6478 5204  Phone: 03 6478 5203  37079 Goettingen Bohemia, NY 11716 wPhwonwe:. s03a r6t4o78r i5u20s0.c oFmax: 03 6478 5494 Fax: 03 6478 5497 Fax: 03 6478 5496 Phone +49 551 308 0 Toll-Free +1 800 368 7178 Email: hp.info@sartorius.com Find out more: www.sartorius.com/incucyte 掲載されている内容は、予告なく変更される場合がありますことをあらかじめご了承ください。 Copyright Sartorius Lab Instruments GmbH & Co. KG.