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【ホワイトペーパー進呈】T細胞の活性化と疲労を制御するプロセスを研究する

ホワイトペーパー

フローサイトメトリーを利用した3つのケーススタディ: CAR-T細胞の特性評価/患者間の多様性/抗体の評価

【NEW:ホワイトペーパー(日本語版)を進呈】

T細胞は病原体の排除や腫瘍の免疫監視において重要な役割を果たしています。
免疫腫瘍学、自己免疫疾患、養子細胞療法、またはワクチン分野における新規治療法の開発において、T細胞をうまく制御できるかは、開発の成功をを考える上で重要なポイントです。

このホワイトペーパーでは、より良い治療法を構築するためにT細胞生物学を理解することの重要性について概説しています。具体的には、T細胞の活性化と疲労を制御するプロセスを研究するために、フローサイトメトリーを利用した3つのケーススタディについて記載しています。

・患者間で見られる多様性
・BiTE抗体の評価
・CAR-T細胞の特性評価

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このカタログについて

ドキュメント名 【ホワイトペーパー進呈】T細胞の活性化と疲労を制御するプロセスを研究する
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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このカタログの内容

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White Paper キーワードまたはフレーズ: 細胞によるアッセイ、アドバンスト・フローサイトメトリー、 免疫腫瘍学、T 細胞、T 細胞の活性化、T 細胞の疲弊、 T 細胞の記憶、T 細胞のキリング、T 細胞の特徴決定、 免疫療法、サイトカイン T 細胞の表現型と機能を理解し、 治療の改善を図る はじめに ヒトの免疫システムは、細菌やウイルスなどの非自己因子を連続的に監視する複雑な細胞ネットワークで構成されます。主に 2 種類の免疫(自然免疫および獲得免疫)があり、それぞれ異なる機能を果たしていますが、身体が直面する様々な困難に打 ち勝つため、これらは協調して機能します。自然免疫細胞は初期反応に関与し、抗原を素早く認識して、炎症誘発反応を発動し、 迅速かつ効率的に抗原を取り込みます。この段階では、マクロファージ、好中球、単球、樹状細胞が動員され、これらが獲得 免疫経路の細胞を刺激し、増殖、分化し、特定の感染を克服します。この獲得免疫は主に胸腺由来のリンパ球(Tリンパ球) と骨髄由来のリンパ球(B リンパ球)1で構成され、外来種の排除、免疫記憶の形成、自己抗原への免疫寛容の確保などの役 割を果たします。ナチュラルキラー細胞(NK 細胞)は、両方の性質を持つため、この 2 種類の免疫の間にあります。 詳細はこちら:sartorius.com/intellicyt
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新規治療における T細胞の調節 T 細胞は、病原体の排除と腫瘍の免疫学的監視に極めて 性受容体に結合する分子の過剰発現により免疫系が抑制 重要です 2。身体は、宿主の防御機構をすり抜けることが され、これによりがん細胞は脅威なく増殖することができ できる多様な腫瘍細胞および病原体(ウイルス、細菌、 ます。抗 CTLA-4 および抗 PD-1 モノクローナル抗体でこ 寄生虫)に独特の反応を示す、一連の特殊な T 細胞を産 れらの抑制性受容体を標的とすることにより、これらの分 生することができます。腫瘍または病原体が排除されると、 子と受容体との相互作用を遮断し、免疫抑制を軽減しま 大部分の獲得免疫細胞は死に、そしてメモリー細胞が形 す。これは、多くのがんタイプに有益であることが示され 成され、再発または再感染が起こった場合に迅速に反応 ています 3。 します。したがって、免疫系は恒常性を維持するため、免 疫の活性化を制御する経路と免疫の抑制を制御する経路 がん治療のために FDA がすでに承認した、T細胞活性化 の絶妙なバランスに依存しています。抑制しすぎると宿主 時の早期のシグナル伝達イベントを標的としたキナーゼ阻 の腫瘍免疫学的監視が抑制され、腫瘍細胞の増殖が制御 害剤(KI)は約 40 種類あり、さらに 250 種類ほどが臨 できなくなり、免疫系を過剰に活性化すると自己免疫疾患 床試験中です 4。これに加え、キメラ抗原受容体(CAR) に至る可能性があります 2。 T 細胞の産生(腫瘍関連抗原(TAA)として知られる標 的細胞表面に過剰発現された受容体に対して上昇)また T 細胞の調節は、T 細胞機能の亢進が臨床的利益をもた は新抗原に対する TCR T 細胞の設計(がん免疫を与える、 らす免疫腫瘍学と、活性化の抑制が望ましい自己免疫疾 効率的で患者特異的なアプローチを提供)などの重要分 患の用途の両方において、新規治療開発に非常に有望で 野において、現在研究が進められています。 す。さらに、T 細胞受容体(TCR)とその関連するシグナ ル伝達経路の調節は、養子免疫療法またはワクチン開発 など、今後の多数の治療分野と臨床的に関連します。 自己免疫 腫瘍細胞にみられる事象とは対照的に、活性化および TCR シグナル伝達の亢進は、いずれも自己免疫疾患の重 免疫腫瘍学 要な要因となります。そのため、T 細胞の活性化、増殖、 以前は、がん治療と言えば、手術、化学療法、放射線療 生存度を阻害する治療アプローチは、臨床的な可能性を 法に限定されていましたが、最近この分野では多くの進歩 もたらします 5。例えば、免疫反応を抑制する制御性 T 細 があり、腫瘍に抵抗する身体の免疫系を用いた免疫療法 胞による転写因子 FOXP3 の発現が認められ、この転写 は有望な研究分野です。このような新規がん治療の中に 因子がない状態で自己免疫が生じます 2。T 細胞キナーゼ は、免疫反応の阻害を促す免疫チェックポイントである、 活性の高まりは自己免疫とも関連し、KI はすでに関節リ 細胞傷害性 T リンパ球関連抗原 4(CTLA-4)およびプロ ウマチなど多数の疾患の治療に用いられています 6。 グラム細胞死 1(PD-1)などの T 細胞抑制性受容体を標 的とするものがあります。がん患者の場合、これらの抑制 T細胞生物学における段階 T 細胞の表現型および機能を十分に評価することは、その 決定と評価が進行中であり、この分野のさらなる発見に 細胞生物学について理解し、より良い治療を構築するた 貢献しています。 めに重要です。T 細胞ファミリーの特徴決定、特に DNA および RNA シークエンシングの進歩では、近年目覚まし い進歩がありました 3。T 細胞の様々なサブタイプの特徴 2
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サブタイプ 活性化 「T細胞」はこのような免疫細胞の機能を説明する包括的 T 細胞は、休止期の状態(抗原刺激を受けていない)で な用語として使われていますが、T細胞には、非常に特徴 胸腺から分泌され(TN 細胞)、すべての種類の免疫反応 のある役割を持ったサブタイプが複数あります。この細胞 を引き起こすことはできません 2。そのため、主に TCR 経 集団の違いと類似性を特定することは、これらが治療に果 路を介して休止期の状態から活性化させることは、T 細胞 たす役割を理解する上で重要です。T細胞の 2つの主要な の増殖および正しいサブタイプへのプログラミングに重要 タイプとして、細胞傷害性(TC)とヘルパー(TH)があり、 です。T 細胞と APC が複雑に相互作用することにより、活 これらはさらにサブタイプに分類できます。また、インバリ 性化が実現します。 アントナチュラルキラー T(iNKT)細胞、粘膜関連インバ リアント T(MAIT)細胞などの細胞集団もあります。 TCR は抗原に直接結合することはできず、CD3 受容体お よび MHC 分子を利用して APC により分解された抗原ペ TC細胞は感染細胞と腫瘍を殺すようにプログラミングされ プチドを提示する必要があります。MHC 分子は 2 種類あ ていますが、TH細胞はサイトカインとケモカインを産生し、 り、MHC クラス I 分子は TC 細胞の CD8 共受容体に抗原 他の免疫細胞サブセットを感染部位に動員し、活性化しま を提示し、MHC クラス II 分子は TH 細胞の CD4 共受容体 す。TH細胞は、異なるエフェクター機能に特化した多数 と相互作用します 2。他にも多数の膜タンパク質複合体に のサブセットに分けることができます。主なサブセットは、 よる同時刺激もあります。CD4 | CD8 が抗原提示 MHC TH1(ウイルスおよび細胞内細菌に反応)、TH2(寄生虫)、 分子と結合することで、T 細胞のサイトゾルへのシグナル TH17(細胞外細菌および真菌)、TH9、T濾胞性ヘルパー 伝達を可能とし、IL-2 の産生と分泌および T 細胞増殖を 細胞(TFH)、および制御性 T細胞(TREG)です。T細胞は、 誘導し、T 細胞を完全に活性化することができます 3。 外来タンパク質を処理し、細胞表面の主要組織適合性複 合体(MHC)と複合体を形成した抗原を提示した抗原提 キリング 示細胞(APC)と結合することで病原体を認識します(こ CD8+ TC 細胞は感染細胞またはがん細胞の細胞傷害性排 の細胞表面で TCRと相互作用します)。APCにより病原 除に主要な役割を果たし、体内のほぼすべての細胞と相 体が認識されるとサイトカインが放出され、T細胞の特殊 互作用することができます。MHC1 と結合することでこの細 なサブセットへの遺伝的分化を引き起こし、病原体に効果 胞のキリング機能を誘発し、3 つの主要な方法で感染細胞 的に反応し排除することができます。例えば、インターフェ または悪性細胞を殺します。1 つ目の方法は、細胞傷害性 ロン(IFN)- α / βおよび IL-12サイトカインは多くのウイ 顆粒(パーフォリンおよびグランザイム B を含む)の標的 ルスに反応して生成され、転写因子 T-betの発現を誘導 細胞サイトドルへのカルシウム依存性放出です 3。パーフォ し、T細胞を TH1サブセットに分化させます 2。 リンは重合して細胞膜に膜孔を形成し、グランザイムは酵 素カスケードを開始します。いずれの作用でもアポトーシ これらの TH細胞サブセットの活性増減、および異なるサブ スが起こります。2つ目の方法は、抗腫瘍または抗ウイル セットレベルのバランスは様々な疾患状態と関連していま スサイトカイン(主に TNF- αと IFN- γ)の分泌です。これ す。TH1、TH9、TH17は自己免疫と関連し、TH2は喘息およ らは通常、感染細胞サイトゾルに送達されます。3つ目の びその他のアレルギーと関連しています。例えば、TH1細 方法は、標的細胞の Fas受容体に結合した活性化 TC細胞 胞および TH2細胞は互いに交差制御し、TH2優位の TH1 | 上の FasL分子を介することです。これによりカスパーゼ経 TH2平衡異常は二次感染、ウイルス再活性化、または初 路が活性化し、標的細胞のアポトーシスが開始します 7。 期感染の排除不能につながり、敗血症でも認められます。 この繊細なバランスを維持するため、TREG細胞が T細胞 記憶 の増殖とサイトカインの産生を制御します。TREG細胞は期 異物の一次反応および除去後、T細胞集団の大きな減少 待通り、炎症性プロセスを抑制することで自己免疫の可 が起こります。この時点で、一部の T細胞がメモリー T細 能性を抑制しますが、TREG細胞の異常な機能は一部の腫 胞に分化します。メモリー T細胞は、除去に関与した異 瘍にも関与します 2。そのため、様々なサブタイプの T細 物を「覚えておく」ことができ、その半減期は約 8~ 15 胞を調節することで一連の疾患状態を治療できる可能性 年です。この細胞は 2種類のサブセット、すなわちセントラ があるため、標的に対する T細胞生物学上の最も有効な ルメモリー細胞(TCM)とエフェクターメモリー細胞(TEM)2 点を特定することが重要です。 に分けられ、より簡単に活性化でき、増殖の可能性を高め、 より速く反応します。 TEM細胞は迅速なエフェクター機能を有し、グランザイム Bと IFN- γを産生します。しかし、増殖は限られ、再感染 または異物の再出現への初期曝露を制御します。TCM細 胞は抗原に再度出会った後、増殖が増大する可能性があ ります。しかし、増殖までにより時間を要し、標的を排除 することができるより多くのエフェクター細胞の産生を誘導 します。これら 2種類のサブセットが概観を示す一方、メ モリー細胞は大きな可塑性を示し、2つの明確に異なるク ラスというよりも 1つの範囲として見るべきであり(図 1)、 T細胞療法の開発に膨大な可能性をもたらします 2。 3
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疲弊 Self-Renewal Potency T 細胞が直面する障害の 1 つとして疲弊があります。これ は反応性低下の状態で、最初に慢性感染症のマウスで同 定され、後にがん患者で目撃されました。T 細胞の大部 分は、敵対的な腫瘍微小環境(TME)で疲弊 T 細胞に 分化することが分かっています 8。TME は、がん細胞、炎 症細胞、間質細胞、およびサイトカインの免疫抑制ネット ワークで、T 細胞の活性化を制限し、T 細胞の機能不全を TN TSCM TCM TTM TEM TTE Death 誘導します。この敵対的な微小環境には、血管内皮増殖 CD45RA: + + - - - + 因子、形質転換成長因子 - β(TGF- β)、インドールアミ CD45RO: - - + + + - ン 2,3- ジオキシゲナーゼ(IDO)など、腫瘍細胞が放出 CD27: + + + + - - する免疫抑制因子や、TREG 細胞、骨髄由来サプレッサー CD62L: + + + - - - 細胞(MDSC)など、腫瘍細胞に動員される制御性免疫 CD95: - + + + + + 抑制細胞が含まれています 3。 図 1:T 細胞メモリーの発達。T 細胞が様々な T メモリー細胞の表現型 疲弊 T 細胞は、リンパ球活性化遺伝子 3 タンパク質 に発達する際の T 細胞表面マーカーの発現変化を示した図。ナイーブ (LAG-3)、PD-1、T 細胞免疫グロブリンドメインおよびム (TN)細胞から、幹メモリー(TSCM)細胞、セントラルメモリー(TCM) チンドメイン含有タンパク質 3(TIM-3)、CTLA-4、 細胞、移行メモリー(TTM)細胞、エフェクターメモリー(TEM)細胞、ター ミナルエフェクター(TTE)T 細胞を経て細胞死に向かう。 bandT lymphocyte attenuator(BTLA)、T 細胞免疫グロ ブリンおよび免疫受容体チロシンベース阻害モチーフドメ イン(TIGIT)など、抑制性受容体の過剰発現を示します 8。 また、サイトカイン産生が低下し、増殖速度が遅くなり、 治療介入は、抗腫瘍メカニズムを回復させる可能性があ 細胞傷害性が低くなります。これらすべての要因が、がん ります。これはがん治療の有望な戦略となり、すでに臨床 が免疫系を逃れることにつながっています。そのため、抑 試験が行われています 8。 制性受容体を遮断することでこの疲弊状態を逆転させる アドバンスト・フローサイトメトリーの役割 T 細胞の活性化、活性、疲弊を制御するプロセスを分子 します。96および 384 ウェルマイクロプレートのフォーマッ レベルで理解することは、新規免疫療法の特定および検 トで迅速なサンプル取得が可能であり、複数のプレートを 証の基本であり、T 細胞の機能および健康状態を正確に 載荷するための自動システムに接続でき、自動ハイコンテ プロファイリングするアッセイの必要性が生じます。イムノ ントアプリケーションに適しています。当社の T 細胞特徴 アッセイは研究および臨床条件のいずれにおいても T 細胞 解析アッセイキット 4 種類(T 細胞活性化細胞およびサイ を定性化および定量化する強力なツールですが、酵素結 トカインプロファイリングキット(TCA キット)、ヒト T 細胞 合免疫測定法(ELISA)などの従来の方法では、1ウェル 介在性キリングキット、ヒト T 細胞疲弊細胞およびサイト 当たり1パラメーターの測定しかできません 9。一方、フロー カインプロファイリングキット、T 細胞メモリー細胞および サイトメトリーはサイトカインの産生、細胞増殖、細胞生 サイトカインプロファイリングキット)と組み合わせ、細胞 存度の評価から、cellサイクル、まれな事象、免疫表現 表現型、T細胞活性化マーカー、細胞増殖、細胞生存度、 型検査の分析まで、様々な T細胞関連用途の研究に利用 および分泌サイトカインを評価する簡便なアプローチを示 できます。このアプローチを使用すると、インタクトな細 すことで、従来のワークフローを崩壊させ、単一サンプル 胞の分析に加え、サイトカインキャプチャービーズと蛍光 で 30 種類までの固有の検体を測定できます 9。当社の 検出抗体を組み合わせることで、特定のサイトカインをマ TCAキットおよび他のヒト T 細胞免疫キットは、T 細胞コ ルチプレックスに測定することができます。様々な異なる ンパニオンキットを併用することで、さらに多くの種類のサ 蛍光色素を使用することで、1回の実験で複数のパラメー イトカインを同時に測定することができます。このキットは、 ターを評価できます。 抗体スクリーニング、機能プロファイリング、細胞株の開 発など、様々な T 細胞ワークフローをサポートし、微量の iQue® 3 プラットフォームを用いたアドバンスト・フローサ 細胞および微量の試薬で複数の細胞パラメーターを迅速 イトメトリーは、T 細胞のマルチプレックス分析において確 に評価します。さらに、薬物開発のためハイコンテント表 実でハイスループットなソリューションを提供します。 現型スクリーニングを実施でき、免疫細胞の一次スクリー iQue®3は、フローサイトメトリーのワークフローを効率化 ニングならびに、siRNAおよび CRISPRによる標的の同 4
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定に非常に適しています。本書で考察されるケーススタディ イトメトリーを用いる効果について解説しています。 では、T細胞調節に関する研究にアドバンスト・フローサ ケーススタディ 1:患者間バリエーション 免疫細胞活性化の動態は広範囲に特徴付けられており、 活性化細胞の最大割合は非常に似通っていました(D1 = T 細胞のキリング機能を可能にする事象はよく知られてい 96 ± 1.5%、D2 = 98 ± 0.6%)。しかし、D2の EC50値は、 ます。しかし、T 細胞の発達、機能、活性化に至る因子 D1と比較すると、ログ単位の半分左にシフトしました(D1 のバランスは複雑であり、これらの関係の重要性は異なる = 330,000ビーズ、D2 = 136,000ビーズ)。さらに、分泌 ドナーの血液を比較すると非常に明白となります。この場 IFN- γ値を評価したところ(図 2B)、2人のドナーに著し 合、同じ実験条件でも T 細胞の挙動が大きく異なる可能 い差があることが示されました。D1の IFN- γの対照群の 性があります。ここでは、この変動性を証明するための研 レベルは、D2と比較すると 4倍以上でした。この D1の 究を示し、この分野の理解を深めることの重要性を強調し 分泌レベルの上昇は、ビーズによる刺激が低レベルの場 ています。2 人のドナーから採取した末梢血単核細胞 合でも認められました。その後、刺激が増大するとD2と (PBMC)を 120,000細胞 /ウェルの密度で単離および 同様に分泌レベルの上昇が引き起こされました。この際、 播種し、Nuclight® Greenで標識された Ramos標的細胞 2人のドナー間における IFN- γ放出の最大濃度は同等で と同時培養しました(エフェクター:標的比 3:1)。 した(D1 = 38,960 ± 301 pg/mL、D2 = 40,380 ± 1120 pg/mL)。 Dynabeads®ヒトT-アクチベーター CD3 | CD28(1,200~ 360,000ビーズ /ウェル)の濃度を 72時間で増加させて、 免疫細胞を刺激しました。細胞および上清の検体を採取 し、ヒト T細胞介在性キリングキットを用いて iQue® 3で 分析しました。 ドナー 1(D1)およびドナー 2(D2)の CD3+免疫細胞は 濃度依存的にDynabeads®により活性化し、CD8 | CD25+ 細胞の割合はビーズの数に応じて上昇しました(図 2A)。 A. B. C. D. T cell activation IFNγ secretion T cell exhaustion Immune cell killing CD8/CD25+ Donor 1 IFNγ Donor 1 CD8/PD-1+ Donor 1 Target cell Donor 1 (%) Donor 2 (pg/mL) Donor 2 (%) Donor 2 viability (%) Donor 2 100 50000 100 80 80 40000 80 60 60 30000 60 40 40 20000 40 20 20 10000 20 0 0 0 0 2 3 4 5 6 Control 1.2K 4.8K 13.2k 36K 120K 360K Control 1.2K 4.8K 13.2k 36K 120K 360K 2 3 4 5 6 log [Dynabead] number Dynabead CD3/CD28 density Dynabead CD3/CD28 density log [Dynabead] number 図 2:活性化マーカーとその後の免疫細胞キリングはドナー間で異なる。(A)CD3+ T細胞の活性化。Dynabead刺激に反応した CD8 | CD25+細胞の 割合(%)を示す。(B)同時培養アッセイに放出された IFN- γの濃度。(C)Dynabeadによる活性化に反応し、疲弊マーカーを発現した CD3+細胞 の割合(%)を示したグラフ。(D)各ドナーから採取した PBMCを活性化させるために使用するDynabeads®の数と関連付けた、生存 Ramos標的細 胞(%)の濃度反応曲線。 5
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2人のドナーの差は、疲弊マーカーの CD3 | CD8 | PD-1+ 時間で増加させて活性化しました。T細胞メモリー細胞お の発現割合を比較した場合も明らかでした(図 2C)。D1 よびサイトカインプロファイリングキットを使用して、iQue® では、疲弊マーカー PD-1の対照群のレベルが上昇し、 で CD3+ T 細胞を分析しました。Dynabeads® で刺激する D2よりも 2倍高くなっていることが示されました。ビーズ と、細胞が発達経路を押し進むにつれ、TN 細胞数は減少 と免疫細胞の比が 3:1に達し(ビーズ密度 360,000)、最 しました。Dynabeads® CD3 | CD28 は TCR を介して活性 大レベル 55 ± 1%が認められるまで、D1の発現レベルは、 化し、メモリー機能ではなくエフェクタータイプの機能を 刺激下では対照群のレベルほど有意な上昇を示しません 発揮します。これは、TEM 細胞の割合の濃度依存的上昇 でした。D2の CD8 | PD-1+の最大発現量は、90 ± 1% に反映され、すべてのドナーで認められました(図 3A~ で有意に高くなりました。また、T細胞のキリング効果を C)。ただし、ドナー 2(D2)は他のドナーと比較し、こ 評価し、標的細胞の生存度割合をドナー間で比較しました のサブタイプの発現が少なくとも 10% 多くなっていました。 (図 2D)。D1では、ビーズ数が少ない段階で免疫介在性 この高いレベルは IL-10 分泌と関連すると考えられ、 D2 で 標的細胞死の値が上昇し、その後、ビーズ数が増えても 有意に高く、免疫反応の制御に大きく関与していることが 生存標的細胞の割合が一定になりました。D1の非活性化 知られています。すべてのドナーで TTE 細胞集団にも顕著 PBMCを含む対照群のウェルでもキリングが認められまし な濃度依存的上昇が認められました。TCR によるこの活 た(データは図示せず)。一方、D2の PBMCは刺激の 性化メカニズムは、メモリー T 細胞を最終的により分化し 違いにより感受性が高く、濃度依存的な反応が認められ た表現型へと押し進め、CD8+ の細胞傷害性キリングを ました。 可能にすることを示唆しています。 治療薬発見のプロセスを通じて、T 細胞の発達に関与する 全体的に見て、図 2は、異なるドナーの PBMCを同一 複雑な因子の実態を構築できることが重要です。ある刺激 条件で刺激した場合、結果として活性化、キリング、疲弊 によるキリングの成功と確実なメモリー反応発生を in vitro のレベルにどのような変動が起こるのかを示しています。 の手法によって予測できるのであれば、それは in vivo での このデータは、表現型およびサイトカインの分泌によって、 研究に非常に有用です。T 細胞の活性化、キリング、疲弊、 特定 T細胞集団の刺激に対する感度がどのように変化す およびメモリー発達に関する研究は非常に重要な分野で、 る可能性があるかを明確に示しており、機能に波及効果 表現型の変化とサイトカインの分泌の変化を捉えることが があることを示します。 できれば、これらの重要な分野の理解に極めて有効であ る。また、特に異なるドナー間で、これらの因子にわずか 図 3は、同一の刺激条件でも、ドナー間でCD3+ Tメモリー な変動がある場合、それがいかに明確に異なり、かつ重 細胞の発達に変動があることを示しています。3人のドナー 要な結果を生み出すかを強調しています。 から PBMCを播種(120,000/ウェル)し、Dynabeads® CD3 | CD28(60,000~ 480,000/ウェル)の濃度を 72 A. B. C. Donor 1 Donor 2 Donor 3 Expression as % IL-10 Expression as % IL-10 Expression as % IL-10 of CD3+ (pg/mL) of CD3+ (pg/mL) of CD3+ (pg/mL) 40 8000 40 8000 40 8000 Control 60K 30 120K 6000 30 6000 30 6000 480K 20 4000 20 4000 20 4000 10 2000 10 2000 10 2000 0 0 0 0 0 0 Tn Tscm Tcm Ttm Tem Temra Tte IL-10 Tn Tscm Tcm Ttm Tem Temra Tte IL-10 Tn Tscm Tcm Ttm Tem Temra Tte IL-10 Memory phenotype Memory phenotype Memory phenotype 図 3:T細胞メモリーの発達はドナー間で異なる。(A)ドナー 1、(B)ドナー 2、(C)ドナー 3のグラフ。T細胞メモリーの各発達段階のタンパク質を 発現した CD3+細胞の割合(%)。IL-10の放出も示す。緑がかった青色のバーはアクチベーターなしの対照群を示す。灰色のバーは Dynabeads®の 3種類の上昇濃度、すなわち、60,000、120,000、480,000ビーズ /ウェルを表す(薄い色から濃い色)。 6
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ケーススタディ ® 2:BiTE 抗体評価 BiTE®(Bispecific T cell Engager:二重特異性 T細胞誘導) この活性化方法は MHC とは無関係であるため、多くの 抗体構成は融合タンパク質の一種で、免疫系の力を活用 がんタイプで MHC のダウンレギュレーションにより生じる することによってがんとの戦いを支援するように設計され 問題を軽減します。分子の腫瘍に結合する腕を設計し、 ています。抗体構成には 2つの腕があり、1つは T細胞の 異なる抗体構成を作ることができれば、様々なタイプのが 細胞表面分子を標的とし(一般には CD3)、もう 1つは んを標的とすることができます 9。このようながん特異的活 悪性腫瘍細胞に認められる抗原に結合します(例えば、 性化因子は、よりクルードなタイプと比較して、過剰刺激、 CD19)。両方の腕が標的に結合するとTC細胞と腫瘍細胞 サイトカインストームのリスク、および非特異的腫瘍細胞 の間にブリッジが形成され、TC細胞は細胞傷害性分子の 死を抑制できます。 放出により腫瘍細胞を認識し、攻撃することができます。 Activation CD3xCD19 BiTE Dynabeads CD3/CD28 Expression Expression (%) (%) 100 100 CD69 CD69 80 CD25 80 CD25 HLA-DR HLA-DR 60 60 40 40 20 20 0 0 Control 0.014 0.04 0.12 0.37 1.1 3.3 10 Control 7.5K 15K 30K 60K 120K 240K 480K [BiTE] ng/mL Dynabead CD3/CD28 density Killing CD3xCD19 BiTE Dynabeads CD3/CD28 Target Target viability (%) viability (%) 100 100 80 80 60 60 40 40 20 20 0 0 Control 0.014 0.04 0.12 0.37 1.1 3.3 10 Control 7.5K 15K 30K 60K 120K 240K 480K [BiTE] ng/mL Dynabead CD3/CD28 density Exhaustion CD3xCD19 BiTE Dynabeads CD3/CD28 Expression Expression (%) (%) 100 100 PD-1 PD-1 図 4:CD3xCD19 BiTE®抗体は標的細胞死を誘 80 Lag-3 80 LAG-3 TIM-3 TIM-3 導し、Dynabeads® CD3 | CD28刺激と比較して、 活性化および疲弊マーカーが減少する。PBMC 60 60 (120,000/ウェル)は、Nuclight® Greenで標 40 40 識された Ramos細胞(40,000/ウェル)と同 時培養した。CD3xCD19 BiTE® 抗体または 20 20 Dynabeads® CD3 | CD28で、活性化を誘導した。 60時間かけて、T細胞活性化、介在性キリング、 0 0 疲弊キットと iQue® 3システムを使用して、 Control 0.014 0.04 0.12 0.37 1.1 3.3 10 Control 7.5K 15K 30K 60K 120K 240K 480K 10 µLのサンプルを解析した。 [BiTE] ng/mL Dynabead CD3/CD28 density 7
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この研究では、CD19+ B 細胞リンパ腫に対して PBMC を フローサイトメトリー・プラットフォームで分析しました。 活 性 化 す る 性 能 に つ い て、CD3xCD19 BiTE® と Dynabeads®ヒトT-アクチベーター CD3 | CD28 を比較し、 いずれの活性化方法も、活性化および疲弊マーカー発現の 活性化、キリング、疲弊、メモリーの表現型の差の大きさ 濃度依存的増加を誘導しました(図 4)。最大のマーカー をハイライトしています。PBMC(E:T 3:1)は、アクチベー 発現は Dynabead の最高密度(480,000/ ウェル)で認め ター入りのウェル(7,500 ~ 480,000 Dynabeads®または られ、後期活性化マーカー HLA-DR+ を発現した CD3+ 細 0.014 ~ 10 ng/mL BiTE®) 中 で 活 性 化 し、Nuclight® 胞では 64 ± 1%、早期疲弊マーカー PD-1+ を発現した細胞 Green で標識された Ramos 標的細胞(40,000 細胞 / ウェ では 62 ± 2%でした。CD3xCD19 BiTE® による活性化でも、 ル)を追加しました。60 時間後、細胞と上清サンプルを 活性化および疲弊に濃度依存的反応を誘導しましたが、 1 つのアッセイプレートから採取し、当社の T 細胞活性化、 マーカーの発現は Dynabeads®と比較して著しく少なくなっ キリング、疲弊、記憶キットを用いて iQue® アドバンスト・ ていました。これにもかかわらず、BiTE® では標的細胞キリ IFNγ CD3xCD19 BiTE Dynabeads CD3/CD28 IFNγ IFNγ (ng/mL) (ng/mL) 40 40 30 30 20 20 10 10 0 0 Control 0.014 0.04 0.12 0.37 1.1 3.3 10 Control 7.5K 15K 30K 60K 120K 240K 480K [BiTE] ng/mL Dynabead CD3/CD28 density TNFα CD3xCD19 BiTE Dynabeads CD3/CD28 TNFα TNFα (ng/mL) (ng/mL) 6 6 4 4 2 2 0 0 Control 0.014 0.04 0.12 0.37 1.1 3.3 10 Control 7.5K 15K 30K 60K 120K 240K 480K [BiTE] ng/mL Dynabead CD3/CD28 density Granzyme B CD3xCD19 BiTE Dynabeads CD3/CD28 Granzyme B Granzyme B (ng/mL) (ng/mL) 400 400 Upper limit of 図 5:CD3xCD19 BiTE® 抗体は低レベルのサ detection reached イトカイン放出を誘導する。Nuclight®Green 300 300 で標識されたRamos 細胞とPBMC(3:1 の比) を含む、同時培養アッセイからのサイトカイン 放出を、T 細胞活性化、介在性キリング、疲 200 200 弊キットのQbeads® を用いて測定した。IFN- γおよび TNF- α濃度は複数のキットで測定し、 100 100 すべてのキットの結果から平均値を出した。 0 0 Control 0.014 0.04 0.12 0.37 1.1 3.3 10 Control 7.5K 15K 30K 60K 120K 240K 480K [BiTE] ng/mL Dynabead CD3/CD28 density 8
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ングの大幅な増加が認められ、35 ± 2% のCD19+Ramos 細 CD3xCD19 BiTE® による特異的活性化では、高濃度の 胞のみが 60 時間後も生存していました。これは、10 ng/mL Dynabead CD3 | CD28 による活性化と比較して、幹メモ BiTE® で活性化されたCD3+ 細胞の疲弊マーカー発現の減少 リー(TSCM)、セントラルメモリー(TCM)、および移行メモリー (PD-1+ で 38 ± 5%、LAG-3+ で 11 ± 4%、TIM-3 で 2 ± 1%) (TTM)の T 細胞集団が増加しました。臨床グレードの に起因している可能性もあります。 CD3xCD19 ブリナツモマブを用いた多数の研究で、TCM 集 団の増加が示されており、ここで示したデータとともに、 60 時間後にサイトカインの放出も 定量化し(図 5)、 この特定の治療が CD19+ がんタイプに対して長期記憶を PBMC に Dynabeads® CD3 | CD28 を処理した場合に炎症 もたらすことができることを示唆しています 10。Dynabead 性(IFN- γおよび TNF- α)サイトカインの著しい増加が認 による非特異的活性化では、最初に説明した通り、TEM の められました。CD3xCD19 BiTE® を処理したウェルでは、 割合が高くなり、最終的に疲弊(TTE)細胞の割合が高くな IFN- γの放出は 9 分の 1 に、TNF- αは 4 分の 1 になりまし ります。IL-10 も、Dynabeads® により活性化した細胞から た。タンパク質マーカーと並行してこれを in vitroで測定す さらに容易に産生されます。 ることができれば、特異的活性化の要因を特定し、過剰刺 激およびサイトカインストームのリスクを評価できます。グラ 特異的がん治療と粗活性化法を比較することで、これらの ンザイム B は標的細胞死と深く関連し、免疫細胞と標的細 治療タイプが患者に及ぼす影響が明らかになります。この 胞の相互作用によって放出され、CD3xCD19 BiTE® データは、特異的活性化法を利用した場合に、キリング (10 ng/mL)により検出可能な最大レベル(299 ng/mL) の改善、サイトカイン産生の抑制、T細胞のメモリー表現 に到達しました。 型の増加を達成できることを証明しています。 最後に、メモリー表現型を評価しました(図 6)。 A. B. CD3xCD19 BiTE Dynabeads CD3/CD28 Expression as IL-10 Expression as IL-10 % of CD3+ (ng/mL) % of CD3+ (ng/mL) 30 2.0 30 2.0 Non-activated Non-activated 0.12 ng/mL 30K 1.11 ng/mL 120K 10ng/mL 1.5 480K 1.5 20 20 1.0 1.0 10 10 0.5 0.5 0 0.0 0 0.0 Tn Tscm Tcm Ttm Tem Tte IL-10 Tn Tscm Tcm Ttm Tem Tte IL-10 Memory phenotype Memory phenotype 図 6:CD3xCD19 BiTE® 抗体刺激は、低レベルの T 細胞メモリーの移行を誘導した。グラフは、T 細胞メモリーの各発達段階のタンパク質を発現した CD3+ 細胞の割合(%)を示す。IL-10 の放出も示す。緑がかった青色のバーはアクチベーターなしの対照群を示す。灰色のバーは各アクチベーターの 3種類の上昇濃度、すなわち、(A)CD3xCD19 BiTE®(0.12、1.1、10 ng/mL)、(B)CD3 | CD28 Dynabeads®(30,000、120,000、480,000 ビーズ / ウェ ル)を表す(薄い色から濃い色)。 9
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ケーススタディ3:CAR-T細胞の特徴決定 免疫療法は、がんの予後を改善する大きな可能性を示し 使用して経路を調節できる可能性が生じ、ACT免疫療法 ています。CAR-T 療法は、急速に出現してきた免疫療法 の有効性がさらに改善します 14。 アプローチの一部です。養子細胞移植(ACT)として知 られ、がんを治療するために患者自身の細胞を使用しま ハイスループット・フローサイトメトリーは CAR-T 療法の す。患者の TC 細胞を CAR 遺伝子コンストラクトでトランス 解析において強力なプラットフォームであり、単一アッセイ フェクトし、多数の遺伝子の DNA を組み合わせ、その腫 での T 細胞依存性細胞傷害性、T 細胞表現型、および 瘍タイプに特異的な新しい TCR を作成します。CAR を発 T細胞機能の同時評価と並行して、CAR 形質導入の割合 現し、患者に再導入すると、この新しい受容体は腫瘍に を含め、設計された T 細胞の機能的特徴を決定することが 認められる抗原に MHC 依存的に結合し、T 細胞を活性 できます。このように複数のパラメーターを評価できること 化し、細胞傷害性顆粒および炎症性サイトカインを放出し、 で、CAR-T 構成の in vitro 評価を改善でき、iQue®3 などの アポトーシスを誘導します 11。このアプローチはすでにいく プラットフォームにより迅速なサンプル採取とデータ解析が つかの適応症で臨床的に使用され、非常に有望であるこ 可能となります 11(図 7)。例えば、iQue® 3 は、T細胞機 とが示されています 12。例えば、CD123(ほとんどの急性 能の複数の側面について、500 種類以上の薬物の薬理効 骨髄性白血病、および一部のリンパ性悪性疾患で過剰に 果をプロファイリングするために使用されています。ゲノム 発現することが確認されている)を標的とするCAR-T細 スケールの CRISPR スクリーニングを用いて、CAR-T細胞 胞が有効であることが示されています。ただし、治療に対 に影響する遺伝子の除去が検討されました。その結果で、 する免疫選択および免疫逃避が起こる可能性があるため 13、 FADD および TNFRSF10B(TRAIL-R2)により細胞死受 T 細胞活性化と CAR-T 細胞傷害性に影響するメカニズムの 容体を介した細胞傷害性の重要な役割が示されました 14。 理解を深める必要があります。これにより、異なる薬物を 養子T細胞療法 TCR engineered CAR-T cells 遺伝子の ベクターの 細胞の 解析と操作 送達と産生 取り扱いと QCと投与 治療後の解析 T cells Therapeutic 増殖 vaccines Activation Killing Memory Memory Cytokine therapy Exhaustion Tumor-specific T cells T cell clones 図 7:CAR-T のワークフロー図。CAR-T 設計プロセスの主な判断ポイントを同定し、T 細胞特徴決定キットを使用して、免疫療法を強化できる。 今後の開発 T 細胞と、病原体または腫瘍細胞との相互作用の制御を からの組織修復を加速し、疾患の安定性を改善する、ま 理解することで、現在、臨床的有効性が高い免疫療法の たは腫瘍の退行を促進することが示されています。残念な 開発が可能になりつつあります 3。特異的なサブタイプを がら、γδ TCR の作用様式(とエフェクター機能の発達お 標的にすることができれば、特定の病状の治療に対する よび誘発におけるその役割)は、特にマウス細胞とヒト細 選択性が向上し、より多くの疾患状態を治療するための免 胞で違いが示されているため、十分な理解には至ってい 疫細胞を設計する道がさらに開けます。例えば、他の T ません。このように理解が不足していることが、臨床条件 細胞でみられるアルファ鎖およびベータ鎖ではなく、ガン での研究の解釈を制限し、T 細胞サブタイプの理解を高め マ鎖およびデルタ鎖から成る TCR を有するγδ T 細胞は、 る必要性を証明しています 12。 多数の病状に重大な役割を果たし、他の一連の免疫細胞 このアプローチを、ナチュラルキラー細胞、マクロファー および非免疫細胞と相互作用し、感染、外傷、または悪 ジなどの他の免疫細胞タイプの研究に拡大することで、新 性腫瘍に対する宿主の反応に影響し、アレルギーおよび しい免疫療法アプローチの設計にさらなる選択肢が生ま 自己免疫疾患に関与することが認められています 15。ヒト れます。これについては腫瘍学の分野で注目されており、 γδ T 細胞は IFN- γ、TNF- α、IL-17 などのサイトカインを 様々ながんを効果的に治療するための新規治療の開発や 迅速に産生できるため、これらの細胞の活性化を制御す 治療法の改善には、今でも非常に大きな需要があります。 ることにより、悪性腫瘍患者において病原体の除去と感染 がん細胞が腫瘍関連 APC(tAPC)として機能できるよう 10
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にがん細胞を遺伝的に再プログラミングする、tAPC 再プ やその他の感染組織で細胞数が増加することが分かってい ログラミングナノ粒子などのアプローチには膨大な可能性 ます。クローン病、多発性硬化症、関節リウマチなどの炎 があります。これらの粒子はすでに、TC 細胞の活性化を 症性疾患に罹患した患者の血液内のMAIT 細胞数は通常 誘導することにより、in vitro および in vivo 研究において、 少ないが、炎症性組織では増えていることから、これらの 全身作用を伴う細胞介在性細胞傷害性免疫反応を示して 細胞は炎症部位に積極的に移動すると考えられています 16。 います 15。新規免疫療法の開発では、モノクローナル抗体 もよく選択されており、T 細胞の特徴決定には今後の治療 の改善を促す可能性があります(図 8)。他にも、MAIT 細胞などの細胞は感染において保護的な役割を果たすこ とが特定されており、ヒト型結核菌(TB)感染患者の肺 抗体による免疫療法 anti-CTLA4 標的IDと スクリーニングの ヒットの発生と リード抗体の最適化と 候補抗体の Checkpoint Tumor cell 検証 準備 リード抗体の選択 特徴決定 選択 blockade Activation Activation Killing Killing anti-PDL1 Killing Activation Bispecific Exhaustion antibody Memory anti-PD1 図 8:mAb 免疫療法のワークフロー図。治療用抗体設計プロセスの主な判断ポイントを示し、T 細胞特徴決定キットを使用して、免疫療法を進歩させ ることができる。 まとめ T 細胞サブタイプと、その表現型と機能の理解を深めるこ iQue® 3アドバンスト・フローサイトメトリー・プラットフォー とは、新規治療の開発や治療法の改善を続けるために欠 ムは、T 細胞機能と表現型の研究またはモニタリングに対 かせません。そのためには、T 細胞活性化とその機能の して、また早期のバイオマーカーを特定したり、血清学的 迅速かつ信頼できるプロファイリングを大きな規模で行う 特徴決定を行うために、迅速かつハイスループットのソ ことが間違いなく必要です。アドバンスト・フローサイトメ リューションを提供します。この技術は、CRISPR | Cas9 トリーは、T 細胞機能を制御するため、新しい修飾因子の による T 細胞生物工学を含め、T 細胞免疫学の様々な技 特徴決定、評価、発見に膨大な可能性をもたらします。 術と等しく関与しています。この方法は、細胞応答の特徴 決定に迅速かつ確実で、簡便なソリューションを提供し、 新しい免疫療法の開発を支援するのに適しています。 参考文献 1. Luckheeram R, Zhou R, Verma A, Xia B. CD4+T Cells: 3. Durgeau A, Virk Y, Corgnac S, Mami-Chouaib F. Recent Differentiation and Functions.Clinical and Advances in Targeting CD8 T-Cell Immunity for More Developmental Immunology, 2012;1-12 (2012) Effective Cancer Immunotherapy.Front Immunol, 9 2. Pennock N, White J, Cross E, Cheney E, Tamburini B, (2018) Kedl R. T cell responses: naïve to memory and 4. Klager S, Heinzlmeir S, Wilheim M, et al.The Target everything in between.Adv Physiol Educ, 37(4);273- Landscape of Clinical Kinase Drugs.Science, Dec;(355) 283 (2013) (2017) 11
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