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qPCR精度向上のためのPCRマスターミックスピペット操作方法

ホワイトペーパー

アプリケーションノート

多くのラボで定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)ベースのアッセイ系が非常に広く用いられている大きな理由のひとつがその感度である。しかしながら、ピペッティング手法をはじめとする多くの要因がqPCRの結果に影響を及ぼす可能性がある。PCRマスターミックスはqPCRのセットアップに一般的に使用されているが、正確に分注することは難しい。本研究では、qPCRアッセイでマスターミックスをピペッティングするための最良のピペット操作方法を明らかにした。ピペッティング手法としてフォワード法およびリバース法、ピペットチップの種類、ピペットチップのプレリンス、また、電動ピペットの使用も検討した。試験にはザルトリウス製の手動ピペットTacta(タクタ)および電動ピペットPicus(ピクス)を用いた。マスターミックスを分注する際は、ローリテンションチップでフォワード法を用いるか、通常のチップでリバース法を用いることで高い精度と正確度が得られることを実証した。また、電動ピペットを使用することでスピードと結果の再現性を両立することができた。結論として、PCRベースのアッセイにおいて、再現性と信頼性の高い結果を得るためには、マスターミックスの分注の際の高いピペッティング技術と、適切なピペットチップを選択することが重要である。

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このカタログについて

ドキュメント名 qPCR精度向上のためのPCRマスターミックスピペット操作方法
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 ザルトリウス・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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Appl_LH qPCR_1000055482_e_Ver2018-01 1-0625

Application Note April 9, 2018 qPCR精度向上のための PCRマスターミックスピペット操作方法 How to pipette PCR Master mix for increased accuracy in qPCR results Marian Teye Sartorius Biohit Liquid Handling, Laippatie 1, 08800 Helsinki, Finland Correspondence E-Mail: marian.teye@sartorius.com アブストラクト キーワード: 多くのラボで定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)ベースのアッセイ系が非常に広く用いられている qPCR, マスターミック ス, 大きな理由のひとつがその感度である。しかしながら、ピペッティング手法をはじめとする多くの要因 再現性, ローリテンション がqPCRの結果に影響を及ぼす可能性がある。PCRマスターミックスはqPCRのセットアップに一般 チップ, プレリンス, 的に使用されているが、正確に分注することは難しい。本研究では、qPCRアッセイでマスターミックス 手動・電動ピペット をピペッティングするための最良のピペット操作方法を明らかにした。ピペッティング手法としてフォ ワ ード法およびリバース法、ピペットチップの種類、ピペットチップのプレリンス、また、電動ピペットの 使用も検討した。試験にはザルトリウス製の手動ピペットTacta(タクタ)および電動ピペットPicus(ピ クス)を用いた。マスターミックスを分注する際は、ローリテンションチップでフォワード法を用いるか、 通常のチップでリバース法を用いることで高い精度と正確度が得られることを実証した。また、電動 ピ ペットを使用することでスピードと結果の再現性を両立することができた。結論として、PCRベース のアッセイにおいて、再現性と信頼性の高い結果を得るためには、マスターミックスの分注の際の高 いピペッティング技術と、適切なピペットチップを選択することが重要である。 Find out more: www.sartorius.com
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イントロダクション PCRベースのアプリケーションは、バイオ医薬品プロセスや、臨床 診断、学術研究などにおいて重要な役割を果たしている。qPCRや 次世代シークエンシングのようなPCRベースアプリケーションの 感度は非常に高いので、バイオ医薬品業界ではモノクローナル抗 体生産における残留ウイルスの検出や、ヒト由来DNAフリー製品 が各種規格基準を満たしていることの証明に用いられている。臨 床診断においては、qPCRベースの診断試験における検出限界( LoD)や定量限界(LoQ)が重要である。しかし、定量PCRを行う場 合、アッセイ結果のバラツキが問題となりうる。 qPCRのセットアップの際、マスターミックスは分注の難しい試薬 である。一般的にマスターミックスはポリメラーゼやdNTP、MgCl2 などが含有されたバッファーで、Tweenやグリセロールなども含ま れている。今日ではマスターミックスはレディトゥユースの溶液とし て市販されている。マスターミックスは氷上で取り扱う必要がある ため、わずかに粘性を有しておりさらに冷却されているため正確 な容量を分注することが難しい。文献検索では、マスターミックス の取り扱いにおいて正反対の記述が見受けられ、明確なベストプ ラクティスも示されていない。多くの研究室では、マスターミックス 実験方法 を分注する際、とくにサンプル数やレプリケート数が多い場合、ア ピペッティング方法 ッセイ系のセットアップに要する時間を短縮するためピペットチッ プをプレリンスせずに用いることが一般的である。また、大規模な ピ ペットは精密機器であり、ピペット本体とチップを組み合わせる 実験系においてはすべてのPCRチューブに対して毎回ピペットチ ことでシステムとして機能する。間違ったピペット操作で生じるデ ップをプレリンスすることは難しく、気泡の発生にもつながる。 ータのバラツキを避けるため、適切なピペット操作方法を遵守し ISO-8655には、粘性のあるサンプルを取り扱う際には、ピペッティ た。また、ピペット本体(ザルトリウス製)の純正チップを使用する ング前にピペットチップをプレリンスするべきであると記載されて ことで適切なシーリングを確保した。ピペットは吸引中垂直に保っ いる。粘性の液体の場合、プレリンスはリバースピペッティングに た。余剰な吸引や、ピペットチップ外側に余剰なマスターミックス おける余剰吸引と同様の働きをする。また、粘性サンプルは分注 が付着することを避けるため、吸引中はピペットチップの先端を 時に標準的なプラスチック製ピペットチップの内部に残留する性 2mmだけマスターミックスに浸漬した。吐出の際にはピペットを 質があるためにサンプルロスを生じるが、そのロスを相殺する効 45°に傾け、ピペットチップの先端をPCRチューブの内壁に接触さ 果もある。粘性サンプルを扱う際には、チップ内部に残留するサン せた。マスターミックスは粘性があるため、ゆっくりと分注操作を プル量を大幅に減少させることのできるローリテンションチップを 行 った。フォワードピペッティング法とリバースピペッティング法の 選択することもできる。 概略を図1に示した。 本アプリケーションノートではqPCRマスターミックスの分注の再 現性を最大にするためのガイドラインと最良のピペッティング方 qPCRのセットアップ 法を紹介する。 本試験の検証項目 qPCRのセットアップにはザルトリウス製ピペット(手動ピペット Tacta、電動ペットPicus NxT)、ザルトリウス製SafetySpaceフィ - フォワードピペッティング法 vs リバースピペッティング法 ルターチップおよびローリテンションフィルターチップを用いた。 - ピペットチップの種類 DNAサンプル調製およびマスターミックス調製にはエッペンドル - プレリンス フ製Lo-Bind EPチューブを使用した。すべての試験のPCRマスタ ーミックスにサーモフィッシャーサイエンティフィックのMaxima - 電動ピペットの利点 SYBR Green Master mi(x ROX無し)、大腸菌uidA遺伝子を検出 するプライマーセット、およびヌクレアーゼフリー水を用いた。 PCRプライマーUAL 5'-TGGTAAT-TACCGACGAAAACGGC (Sigma-Aldrich)およびUAR 5'-ACGCGTGGTTACAGTCTTG- CG(Sigma-Aldrich)は、大腸菌(E.coli)ゲノムDNA中のuidA遺伝 子のうち147bpのフラグメントを増幅する。大腸菌ゲノム中には uidA遺伝子がシングルコピーで存在する。マスターミックス15µL を8レプリケート分PCRプレートのウェルに分注し、テンプレート DNAを5µLずつ分注した。テンプレート不含コントロール(NTC; non-template control)にはヌクレアーゼフリー水を用いた。検量 線の作成の際には、1×106、1×105、1×104、1×103および1×102コ ピー/5µL/反応となるように大腸菌ゲノムDNAの希釈系列を作成 し分注した。また、さまざまな条件の影響を調べる際には1×103コ ピー/5µL/反応となるように大腸菌ゲノムDNAを加えた。 2
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0 0 1 1 2 2 A B 図1: A. フォワードピペッティング 法 B.リバースピペッティング法 すべてのDNAサンプルをPicus NxT電動ピペットおよびローリテ 結果 ンションフィルターチップでマルチディスペンスプログラムを使用 してPCRチューブに加えた。qPCRは、LightCycler 480 qPCR装 置(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いた。qPCRのパ フォワードピペッティングとリバースピペッティング ラメーターは以下の通りに行った:95℃・10分間のプレインキュベ ーション、95℃・10秒間、55℃・10秒間、および75℃・15秒間を40  マスターミックスについてフォワードピペッティングとリバース サイクル、最終の伸長反応は75℃・10秒間を追加した。検量線の ピペッティングを比較した。また、フォワードピペッティングの前に 作成や、それぞれの試験はSYBR Greenの蛍光を定量することで プレリンスを行った場合の結果をリバースピペッティングと比較し 行った。 LightCycler 480ソフトウェアを使用して定量サイクル た。比較には手動ピペットTactaとSafetySpaceスタンダードフィ (Cq)値および実際のコピー数を決定し、MS Excelで結果を分析 ルターチップおよびローリテンション(LR)フィルターチップを使 した。 用した。  図2に示すように、ローリテンションフィルターチップを使用して データ分析 フォワードピペッティングを行った場合、最も良い結果が得られた (%系統誤差 Cq=0.02、%偶然誤差 Cq=0.46、%不確かさ  Cq=0.9)。スタンダードフィルターチップを使用してリバースピペ 分注の系統誤差は正確性の尺度であり、得られた結果が真の値 ッティングを行った場合に次に良い結果が得られた(%系統誤差 にどれくらい近いかを示す。 Cq値の系統誤差(%S)は、マスター  Cq=0.22、%偶然誤差 Cq=0.50、%不確かさ Cq=1.2)。この ミックスを取り扱う際の機器類(ピペットおよびチップ)のCq値の ように、ローリテンションチップを使用したフォワードピペッティン 誤差を反映している。分注の偶然誤差は結果の精度の尺度であ グや、スタンダードチップを使用したリバースピペッティングはマ り、実験における再現性を反映している。Cq値の偶然誤差(%R) スターミックスを精度良く正確に分注するのに適した方法である。 は、結果の再現性を反映しており、実験者のピペッティング技術な またこの結果からは、リバースピペッティングの際に発生する余剰 どによって影響を受ける可能性がある。%不確かさは、結果の正確 なサンプルの量を減少させるためにはローリテンションチップの 度(%系統誤差)と精度(%偶然誤差)の両方を考慮する。 低吸着性が必要であり、またプレリンスを行うことで、スタンダー ドチップを用いた際の粘性液体の接着性の影響を相殺すること が示唆される。 0.90 0.80 0.70 0.60 0.50 0.40 0.30 0.20 0.10 0.00 -0.10 Standard Tip Low Ret. Tip Standard Tip Low Ret. Tip Forward pipetting Reverse pipetting ■ %Systemic Error of Cq ■ %Random Error of Cq 図2: マスターミックスをフォワードピペッティングとリバースピペッティ ング でピペッティングした際のCq(定量サイクル )の%誤差を比較した。 Cq値の系統誤差(%S)とCq値の偶然誤差(%R)を示す。 各データポイントはn=8。フォワードピペッティングを使用した場合 リバー スピペッティングよりも系統誤差が小さくなる。 Standard Tip:SartoriusSafty Spaceスタンダードチップ Low.Ret.Tip - Sartorius Safety Space ローリテンションチップ 3 % Error
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マスターミックス分注の前の ピペットチップのプレリンス この結果は、室温のピペットとチップを用いて、冷たい液体を分注 する際に生じる不正確さはピペットチップのプレリンスを省くこと 結果の再現性(精度・偶然誤差)を向上させるため、プレリンスを で低減できるという結果と一致する。 することで空気置換式ピペット内部の空気の状態を調え、ピペット チップ内部を少量の余剰サンプルでコーティングすることができ ローリテンションチップと る。手動ピペットTactaとセーフティースペースフィルターチップを スタンダードチップ 用い、マスターミックスを分注する前に5回プレリンスし、その効果 を調べた。ISO8655に準拠して試験を行った結果、図3に示すよう ザルトリウス製ローリテンションフィルターチップ、セーフティース にスタンダードフィルターチップを用いマスターミックスをフォワ ペースチップ、および手動ピペットTactaを使用して、マスターミッ ードピペッティングで分注した場合、分注前にプレリンスすること クスの分注操作に最適なピペットチップを調べた。DNAのプラス でプレリンスをしなかった場合に比べ(%偶然誤差 Cq=0.8)、結 チックへの吸着を避けるために低吸着性のプラスチック素材を使 果の再現性がわずかに改善した(%偶然誤差 Cq=0.7)。 用することの利点は十分に確立されているので(5)、DNAサンプ しかし、スタンダードフィルターチップを用いリバースピペッティン ルやDNAスタンダードの調製およびプライマーの分注にはローリ グで分注した場合より良好な結果の再現性が得られた(%偶然誤 テンションフィルターチップを用いた。図4に示すようにマスターミ 差 Cq=0.5)。リバースピペッティング前のプレリンスの有無を比 ックスをフォワードピペッティングで分注する場合、スタンダードフ 較した場合結果の再現性に有意な差が見られなかったので(%偶 ィルターチップを使用するよりも(%系統誤差 Cq=-0.03、%偶然 然誤差 Cq=0.5)、リバースピペッティング前にプレリンスをする 誤差 Cq=0.8、%不確かさ Cq=1.6)、ローリテンションチップを 必要はない。プレリンス後にフォワードピペッティングした場合に 使用するほうが再現性がよく不確かさも低かった(%系統誤差  比べ(%偶然誤差 Cq=0.7)、ローリテンションチップでフォワード Cq=0.02、%偶然誤差 Cq=0.5、%不確かさ Cq=0.9)。以上の ピペッティングした場合のほうが結果の再現性が優れていること 結果からPCRのマスターミックスを取り扱う際にはローリテンショ は注目に値する(%偶然誤差 Cq=0.5)。 ンチップを使用することが重要である。 0.90 1,200.0 0.80 1,100.0 0.70 1,000.0 0.60 0.50 900.0 0.40 800.0 0.30 700.0 0.20 600.0 0.10 0.00 500.0 -0.10 400.0 Non-prewet Pre-wet Non-prewet Pre-wet Forward pipetting Reverse pipetting Forward pipetting Reverse pipetting ■ Non-Prewet ■ Pre-wet A ■ %Systemic Error of Cq ■ %Random Error of Cq B 図3: A マスターミックス分注についてピペッティングする際のピペットチップのプレリンスの有無に対するCq(定量サイクル)の%誤差を比較。 Cq値の系統誤差(%S)とCq値の偶然誤差(%R)を示す。 各データ点に対して、n = 8である。 B.大腸菌由来uidA遺伝子コピー数。 オレンジ色の線は実際のターゲット量を示す。 フォワードピペッティングでプレリンス無しの場合、プレリンスあ りの場合と比較してより低い系統誤差となった。 Standard Tip- ザルトリウスSafetySpaceフィルタチップ 1.80 1.60 1.40 1.20 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 Standard Tip Low Ret. Tip ■ %Random Error of Cq ■ %Uncertainty of Cq 図4: マスターミックス分注の際のスタンダードチップとローリテンションチッ プの誤差。Cq値の偶然誤差%とCq値の不確かさ%(%偶然誤差と系統誤差)を示 す。どちらもフォワードピペッティングで分注。フォワードピペッティングの 使用。各ポイントn=8。スタンダードチップと比べてローリテンションチップ の%不確かさが小さい。Standard Tip- ザルトリウスSafetySpaceフィル タチッ プ。Low Ret.Tip-ザルトリウスSafetySpaceローリテンションチップ 4 % Error % Error uidA Copy number
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電動ピペット  ザルトリウス製電動ピペットPicus NxTと手動ピペットTacta、 Cq=24.52±0.11、%系統誤差 Cq=0.02、%偶然誤差 Cq=0.5、 およびローリテンションフィルターチップを使用して、マスターミッ %不確かさ Cq=0.9だった。電動ピペットを使用すると良好な結 クスを分注する場合の電動ピペットと手動ピペットを比較した。電 果の再現性が得られると同時に、手動ピペットと同レベルのCq値 動ピペットはマルチディスペンスモード(等量連続分注)を使用し の 不確かさが維持された。電動ピペットの連続分注モードを使用 た。手動ピペットはフォワードピペッティングで操作した。図5に示 す るとマスターミックを一度吸引しただけで8ウェルに連続的に分 すように電動ピペットの連続分注モードでローリテンションフィル 注でき、分注のスピードを大幅に向上させ、使用す るピペットチッ ターチップを使用してマスターミックスを使用した場合、Cq= プの数を減らすことができるので、より環境にやさしく、またチップ 24.54±0.09、%系統誤差 Cq=0.12、%偶然誤差 Cq=0.4、%不 間誤差を減少することできる。 確かさ Cq=0.9、手動ピペットを使用した場合は 1.00 1,200.0 0.90 0.80 1,000.0 0.70 800.0 0.60 0.50 600.0 0.40 0.30 400.0 0.20 200.0 0.10 0.00 0.0 Electronic, Multi-dispense, Mechanical, Forward Electronic, Mechan ical, Low Ret. Tip pipetting, Low Ret. Tip Multi-dispense, Forward pipetting, Low Ret. Tip Low Ret. Tip A ■ %Random Error of Cq ■ %Uncertainty Error of Cq B 図5: A 電動ピペットと手動ピペットでマスターミックスをピペッティングした際の%誤差。Cq値の%偶然誤差とCq値の%不確かさ(%偶然誤差と系統誤差 )を示す。 手動ピペットはフォワードピペッティングを使用。電動ピペットは連続分注モードを使用した。各ポイントn=8。B.大腸菌由来のuidA遺伝子コピー数。 オレンジ 色の線は実際のターゲット量を示す。Low Ret.Tip-ザルトリウスSafetySpaceローリテンションチップ 考察  ピペット操作はPCRベースのアッセイ系の基本である。本研究 ではPCRの重要な構成要素であるマスターミックスの分注につい て、正確で精度の高い分注結果に必要なピペッティング技術と条 件を調べた。その結果、ローリテンションフィルターチップとフォワ ードピペッティングの組み合わせが最適であることが明らかにな った。マスターミックスの分注の際にスタンダードチップを使用す る場合にはリバースピペッティングで分注することで高い再現性( 精度)が得られる。また、電動ピペットを使用することは、高い正確 性と再現性を確保し、アッセイを完了するまでのスピードを向上さ せ、分注操作に費やさせる時間を減少させるため、より人間工学 的な選択肢になることが実証された。これにより、ピペット使用者 の反復性障害(RSI)のリスクも低減することができる。また、同じ 実験をする場合には使用するピペットチップの数も減らすことが できるのでより環境にやさしい選択肢でもある。 5 % Error uidA Copy number
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結論 参考文献 1. Bustin et al. The MIQE Guidelines: Minimum Information for  本研究によりPCRベースのアッセイの際にマスターミックスを分 Publication of Quantitative Real-Time PCR Experiments. Clinical 注する際のベストプラティスは、適切なピペットとピペットチップの Chemistry. 2009; 55:4. 組み合わせ(手動もしくは電動ピペットとローリテンションチップ) 、および正しいピペッティング技術(ローリテンションチップとフォ 2. Murphy et al. Real-time quantitative PCR as a bioanalytical ワードピペッティング、もしくはスタンダードチップとリバースピペ tool in the pharmaceutical industry. International Drug Discover, ッティング)であることが明らかになった。これらの推奨事項は、マ 2010; Feb/March. スターミックスをより正確かつより再現性良く分注し、分析結果の 変動を最小限にするために肝心である。また、ピペッティング技術 3. Yang et al. The source of SYBR green master mix determines やピペットチップの種類により結果に違いが生じることから、正確 outcome of nucleic acid amplification reactions. BMC Res Notes. で再現性の良い結果を得るためには実験間でピペッティング技術 2016; 9: 292. やチップの種類を変えないことが重要である。本研究結果は分析 開発や診断、品質管理など、分析結果のCV値やZファクターを報 4. Martins et al. Distribution of uidA gene sequences in 告し、エンドユーザーに最適な仕様を提供する立場にある方に特 Escherichia coli isolates in water sources and comparison with the に関連する。また、これらの結果は下記のような定量分析に携わる expression of beta-glucuronidase activity in 4-methylumbellifer- 方にとっても重要である。①qPCRによる腸内細菌のキャラクタリ yl-beta-D-glucuronide media. Appl Environ Microbiol. 1993; ゼーションや定量分析。②研究開発における細胞培養上清や培 59(7): 2271–2276. 地の最近汚染の検出。③ザルトリウス製Microsart RESEARCH Bacteria KitのようなqPCRを用いた規格確認試験(EP/USP/JP 5. Lewis et al. Interference with spectrophotometric analysis of など)。 nucleic acids and proteins by leaching of chemicals from plastic tubes. Biotechniques. 2010; 48:4, 297–302. Sartorius Lab Instruments GmbH & Co. KG Otto-Brenner-Strasse 20 37079 Goettingen, Germany Phone +49.551.308.0 www.sartorius.com ザルトリウス・ジャパン株式会社 東京都品川区北品川1-8-11 TEL: 03-6478-5200 6 Specifications subject to change without notice. Specifications subject to change without notice. Copyright Sartorius Lab Instruments GmbH & Co. KG. Printed in the EU on paper bleached without chlorine. Material No.: 1000055482 · Version 01 · Date: 2018/05/31