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【セミナー講演録】パワー半導体の進化と展望

製品カタログ

新材料が握るパワーエレクトロニクスの未来

パワー半導体は我々の生活の様々なところで活用され、今やなくてはならない存在だ。研究開発により、その構造や材料は日々進化している。
今回のセミナーでは、パワー半導体の研究開発に長年携わられた筑波大学教授、岩室憲幸氏をお迎えし、パワー半導体の「現在地」と未来について詳しく解説いただいた。

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このカタログについて

ドキュメント名 【セミナー講演録】パワー半導体の進化と展望
ドキュメント種別 製品カタログ
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取り扱い企業 ストックマーク株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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パワー半導体の進化と展望 岩筑 室波 大 憲学 ―新材料が握る 幸数 理 氏物 質 パワーエレクトロニクスの未来― 系 教 授 ( 物 理 工 学 域 ) パワー半導体は我々の生活の様々なところで活用され、今やなくてはならない存在だ。研究開発により、その構造や材料 は日々進化している。 今回のセミナーでは、パワー半導体の研究開発に長年携わられた筑波大学教授、岩室憲幸氏をお迎えし、パワー半導体の 「現在地」と未来について詳しく解説いただいた。 ※本記事は、ストックマーク株式会社が 2025 年4 月9日に開催したオンラインセミナー、『パワー半導体の現在地 – 次世代技術の最新動向と市場 展望』の内容を中心にまとめたものです。 パワー半導体の現在 比べて故障しにくく、長寿命である点も市場ニーズに適合しており、幅広 い用途で活用されている。  パワーエレクトロニクスは、直流や交流の電力を最適な形に変換する 技術であり、電気自動車やデータセンターのサーバー用電源など、さま 新材料ワイドバンドギャップ半導体 ざまな電気機器に利用されている。現代社会では、再生可能エネルギー の導入や電動化の進展に伴い、電力の効率的な活用が求められており、 パワーエレクトロニクスがその中核を担っている。この分野では、電力ロ スを削減することで、限られたエネルギー資源の有効活用やCO2 排出 量の削減が可能となるため、省エネルギー化の実現が重要な目標とさ れている。なお、その省エネ化を支える中核技術がパワー半導体デバイ スだ。  現在の半導体における主流材料はS(i シリコン)であり、特に大電流 に強いSi-IGBTが広く使用されてきた。しかし近年では、新材料である SiC(シリコンカーバイド)がこの領域に参入してきている。また、同じく 新材料であるGaN(ガリウムナイトライド)は、ノートPC の電源など低容 量用途で用いられるSi-MOSFETと競合している。これらのSiCやGaN は、ワイドバンドギャップ半導体と呼ばれる新素材に分類される。  パワー半導体と対比されるものとして、NANDフラッシュメモリなどに 用いられるICやLSIがある。ICやLSIは、抵抗の低い半導体素子の表面 を電流が横向きに流れる構造である。一方、パワー半導体は素子全体 を貫いて縦向きに電流が流れる構造により、抵抗や発熱を抑えながら、 大きな電圧や電流を扱うことが可能となる。こうした特性から、パワー半 導体の多くは縦型デバイス構造を採用している。  パワー半導体の構造にはいくつかの種類があるが、特にMOSFET と IGBTは、小型化が容易で駆動回路もシンプルである。また、他の構造に © Stockmark Inc.
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 Si半導体は長年にわたって性能向上が進められてきたが、物理的な 特性限界に近づきつつある。特に、高温動作や高耐圧において制約があ り、これ以上の性能向上は困難だといえる。  このような背景から、次世代の性能を実現するには、新材料への転換 が不可欠だろう。なお、構造ではなく材料を変える理由は、MOSFET や IGBT という構造がすでに市場ニーズを満たしており、新たな構造を導 入する必要性が低いからだ。そのため、構造の改良ではなく、素材その ものの特性を向上させることで性能のブレイクスルーを目指す方向へ、 研究開発が移行している。  こうした小型化・高耐熱化の進展により、例えば電気自動車において  新材料であるワイドバンドギャップ半導体には、共通する利点があ は燃費の向上や車内空間の拡張といった具体的なメリットが期待でき る。例えば、高温でも動作可能であり、小型・軽量化、高性能・高効率化 る。そのため、自動車メーカーをはじめとした関連企業から、新材料を が図れる点が挙げられることだ。中でもSiCは、SiO(2 酸化シリコン)に 用いた次世代パワー半導体への期待とニーズがますます高まっている。 よる優れた保護膜を使用できることが特長だ。さらに、イオン注入法と いったシリコンデバイスで確立された製造プロセスをそのまま活用でき パワー半導体市場の現状と将来の予測 る点でも、量産化に優れており、SiCは新材料パワー半導体のトップラン  パワー半導体の市場規模は、2025年に3兆5000億円に達すると見込 ナーと位置づけられている。 まれている。現在はS(i シリコン)半導体が市場の9 割を占めているが、 Siと比較したSiCの優れている点 今後10年で次世代パワー半導体の市場は倍以上に成長すると予測さ れている。  Siと比較したSiCの最大のメリットの一つは、理論上の電気抵抗がSi の1/300 〜1/500と極めて低い点だ。これにより、電力変換の効率が向 上し、損失を大幅に抑えることが可能である。  このような材料特性は、半導体を使用する装置メーカーなどの顧客 にとっても大きな利点となる。特に、装置の小型化・軽量化につながる ことが、顧客にとっての直接的な価値だといえる。従来のパワーエレクト ロニクス装置では、パワーデバイスが発する熱を冷却するために広いス ペースを確保する必要があったが、SiCを用いることで冷却負荷を減ら し、設計自由度が高められる。  なお、この小型・軽量化は、次の二つの技術開発によって実現されて ※引用元:https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=25032&la=ja いる。  一方で、Siパワー半導体も依然として技術革新が進んでおり、今後も  第一に、パワーデバイスからの発熱そのものを抑える工夫である。電 減速するどころか、むしろ成長が続くと考えられている。その理由の一つ 気抵抗が低いため発熱が抑制されるだけでなく、電力を流したり遮断し は、大衆向けのハイブリッド車に搭載されているパワー半導体には、現 たりするスイッチング動作を高速化することで、変換時のエネルギー損 在もSiが主流なことだ。中でも、新構造の逆導通IGBTが注目されてい 失を最小限に抑えられる。この「低抵抗化」と「高速スイッチング」によ ることが、Si 技術の進化を支えている。 り、装置の熱管理負荷が軽減され、結果として装置全体のコンパクト化 が促進されている。  ただし、日本メーカーが今後SiC市場を拡大していくにあたっては課 題もある。最大の懸念は、中国メーカーがSiC製造に不可欠なウェハの  第二に、高温への耐性そのものを高める材料開発である。パワー半導 供給を握っており、しかも非常に安価で高品質な製品を提供している点 体は熱に弱く、素子温度が上がると熱暴走による故障を引き起こす可 だ。この状況は、日本にとって大きな脅威であり、将来的な競争力確保 能性があるため、従来は大規模な冷却機構が不可欠だった。これに対し に向けた不安要因といえるだろう。 て、SiCに代表されるワイドバンドギャップ半導体は高温環境に強く、多 少の発熱では壊れないため、冷却機構の簡素化や省スペース化が可能 SiC(シリコンカーバイド)半導体が だ。また、半導体は裸では使用できないため、パッケージにも高耐熱性 抱える四つの問題 の素材を適用する動きも進んでいる。  SiCを用いたパワー半導体MOSFETは多くのメリットを持つが、現在 の市場では本格的な普及に至っていない。その背景には、大きく四つの 課題がある。 © Stockmark Inc.
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1. 結晶・ウェハ  これが実現すれば、ユーザー側は損失が減少し、メーカー側は生産 効率が向上してコスト削減につながる、いわゆる「Win-Win」の構図が 成立する。また、チップが小型化されることで、ウェハとの干渉リスクも減 り、良品率の向上も可能だ。  SiCのコストの約半分は基板に起因する。主な理由は、従来のSi で一 般的なCZ法やFZ法がSiCには使えず、代わりに昇華法を用いている 点だ。昇華法では、2200℃という高温が必要なうえ、結晶の成長速度も Si に比べて遅く、大量生産に向かない。また、基板に欠陥が生じやすく、  現在、SiC-MOSFETの構造は主に二つに分かれる。ひとつは、微細構 不良品の発生率が高いこともコストを押し上げる要因である。この課題 造でオン抵抗を下げるトレンチゲート型であり、もう一つは、従来のプ への対策として、ウェハの口径を拡大し、1 枚あたりのチップ数を増やす レーナゲート型である。トレンチ構造は加工が複雑でコストが高いが、 取り組みが進められている。 微細化による性能向上が期待されている。一方、プレーナ構造は製造コ ストを抑えやすく、現状ではこちらを採用する企業も多い。将来的には、 シリコンと同様にトレンチ構造が主流になる可能性が高いと見られてい る。 3. 信頼性の問題 さらに注目されている技術に「Engineered SiC Substrates」がある。 これは、多結晶のSiC上に単結晶のSiCを貼り付け、その薄膜だけを残 して再利用する手法で、単結晶ウェハのリユースによるコスト削減と省 エネルギー化を両立するものだ。  かつては、内蔵ダイオードの特性劣化が信頼性の課題とされていた。 2. 低オン抵抗特性と面積効率 しかし現在では、N+バッファ層の導入やSBD(ショットキーバリアダイ オード)を内蔵する新構造によってこの問題は解消され、すでに量産段 階に入っている。 4. デバイスの使いこなし  低オン抵抗化もコスト削減の鍵となる。チップの面積を小さくすれば、 1ウェハあたりのチップ数が増え、コストは下がる。しかし、チップが小さ くなると電流が流れる面積が減り、電気抵抗が上がってしまう。このた め、各社は面積あたりの抵抗値を下げる素子構造の改良に取り組んで いる。 © Stockmark Inc.
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 SiC-MOSFETはスイッチング性能に優れる一方で、動作が速すぎるこ 耐圧・小電流が求められる分野、つまりSi-MOSFETの代替として限定 とによる課題もある。具体的には、急激な電圧変化によってリンギング 的に利用されている。 が発生し、隣接する回路にノイズを与え、誤動作の原因となることだ。ま た、瞬間的な高電圧(サージ電圧)によって素子が破壊されるリスクも  こうした制約を克服するため、現在はEVなどの産業用途を視野に、Si ある。 基板をサファイア基板へ置き換える動きが進んでいる。これにより、厚膜 GaNの積層が可能となり高耐圧化が実現できるほか、バッファ層を薄く できるためコスト削減にもつながる。こうした進展により、GaNはEVな ど大容量用途にも応用され始めている。  このような問題の原因の一つは、従来のSi デバイスで広く使われてい るアルミワイヤ配線にある。SiCではこの方式が適さないため、現在はワ イヤを使わない新たな接合方式やパッケージ設計の改良が進められて いる。  また、近年ではQSTという新しい基板技術も登場している。これはバッ ファ層を不要とし、厚膜GaNの積層を可能にするもので、実際にこの基  これら四つの課題を総合すると、最大の障壁は「高コスト」だといえ 板を用いたパワーデバイスも発表されている。 る。SiCの高性能を活かしながら、いかにコストを下げるか。これが、今 後の市場普及に向けた最大のカギとなる。  SiC-MOSFETとサファイア基板上のGaNを比較した場合、価格面で 大きな差が出ない可能性がある。加えて、縦型GaNとSiCの理論的な性 能差はそれほど大きくないとされており、現時点では製造のしやすさか ガリウムナイトライドやその他の らSiCを支持する声も多い。 新素材の現状と課題  その他の材料としては、ダイヤモンド半導体が注目されている。理論 上、SiCよりもさらに低オン抵抗化・高耐圧化が可能で、非常に高いポ  GaN(ガリウムナイトライド)は、SiCやシリコンとは異なるウェハ構造 テンシャルを持つ。しかし、ダイヤモンドは結晶サイズが小さく高価であ を持つ。現在、GaNには適した基板がなく、安価なSi 基板の上にバッファ るため、大口径化やプロセスの簡素化といった課題が残っており、実用 層(緩衝層)を設け、その上にGaNエピタキシャル膜を形成するという三 化にはなお時間を要すると見られている。 層構造となっている。 まとめ  「パワー半導体」は、再生可能エネルギーの活用や電動化の進展に不 可欠な技術であり、今後の社会インフラや産業の基盤を支える重要な分 野だ。中でも、SiCやGaNといったワイドバンドギャップ半導体は、高効 率・高耐圧・高温動作などの特性から、次世代の電力制御を担う材料 として注目を集めている。  一方で、材料コストや製造技術、信頼性、使いこなしといった面で依然 として課題も多い。しかし、これらの課題を乗り越えることができれば、  この構造の課題は、GaNを厚く積層して高耐圧を実現しようとする 電気自動車や産業機器、エネルギー機器など幅広い分野でのイノベー と、材料ごとの熱膨張係数の違いによりウェハが反り、クラックが入るこ ションを後押しする鍵となるだろう。 とで割れやすくなる点だ。そのため、パワーデバイス用途として重要な GaNを厚膜化できず、大きな電圧を扱うことが難しい。  まさに今、パワー半導体は技術開発と応用展開の転換点にある。将 来的な市場の成長が大いに期待される中で、改めてこの分野の技術動  さらに、バッファ層は絶縁体であるため、電極をGaNの上下に配置し 向や材料開発に関する情報を収集してみてはいかがだろうか。 て電流を縦方向に流すことができず、電極は横方向に配置する必要が ある。これにより、GaNデバイスでは大電流を流すのが難しく、用途は低 ※記事内容および、ご所属等はセミナー開催当時のものです。 © Stockmark Inc.
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