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【耐電圧試験(絶縁耐力試験)とは】電源入力(AC プラグ)と筐体・キャビネット間の電気絶縁性能(=絶縁耐力)を調べるための試験
耐電圧試験(絶縁耐力試験)とは…
電源入力(AC プラグ)と筐体・キャビネット間の電気絶縁性能(=絶縁耐力)を調べるための試験です。
電気用品に十分な絶縁耐力が無い場合感電事故や火災事故をおこすことがあります。
耐電圧試験の心得:三訓
● 致死性の危険電圧を扱うという緊張感をもつこと。
● 高電圧発生中は絶対に触れないという鉄則をまもること。
● 作業はあわてず、ひとつずつ丁寧におこなうこと。
目次
安全な試験環境について
試験器の準備
試験条件の設定
始業点検
被試験物との接続
試験実行
合否判定について
リーク電流について
試験器の維持管理
自主検査記録
◆詳細はカタログをダウンロードのうえご覧いただくか、お気軽にお問い合わせください。
このカタログについて
| ドキュメント名 | 安全関連試験マルチアナライザ TOS9300 シリーズ 耐電圧試験(絶縁耐力試験)の手引き |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
| ファイルサイズ | 6.4Mb |
| 登録カテゴリ | |
| 取り扱い企業 | 菊水電子工業株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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handbook
ハンドブック
安全関連試験マルチアナライザ TOS9300 シリーズ
耐電圧試験(絶縁耐力試験)の手引き
耐電圧試験(絶縁耐力試験)とは…
電源入力(ACプラグ)と筐体・キャビネット間の電気絶縁性能(=絶縁耐力)を調べるための試験です。
電気用品に十分な絶縁耐力が無い場合感電事故や火災事故をおこすことがあります。
耐電圧試験の心得:三訓
● 致死性の危険電圧を扱うという緊張感をもつこと。
● 高電圧発生中は絶対に触れないという鉄則をまもること。
● 作業はあわてず、ひとつずつ丁寧におこなうこと。
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はじめに
本手引き書は TOS9300 シリーズで家庭用コンセントを使用した「電気用品」への
『耐電圧試験(絶縁耐力試験)*・自主検査』例を試験初心者に安全かつ正しく試験して頂くため、
作業環境と試験方法についてわかりやすく説明したものです。試験を実施する前にご一読ください。
また、不明点が生じた場合は TOS9300 シリーズ の本体取扱説明書で確認してください。
なお、作業監督者はこの手引書だけではなく TOS9300 シリーズ の本体取扱説明書を必ずお読みください。
*以後、耐電圧試験に統一(電気用品安全法では絶縁耐力試験と明記されていますが、一般的には耐電圧試験と呼ばれることが多い)
目 次
1. 安全な試験環境について .......................... P.3
2. 試験器の準備 ........................................ P.4
3. 試験条件の設定 ..................................... P.5
4. 始業点検 .............................................. P.6
5. 被試験物との接続 .................................. P.7
6. 試験実行 .............................................. P.8
7. 合否判定について .................................. P.8
8. リーク電流について ............................... P.8
9. 試験器の維持管理 .................................. P.8
10. 自主検査記録 ........................................ P.9
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1 安全な試験環境について
耐電圧試験は AC1000V 余りの高電圧を扱います。感電や電撃により死亡等の重大事故につながることがあります。
試験作業には十分な準備と注意が必要です。
[お願い]作業監督者はこの手引書だけではなく試験器(TOS9300 シリーズ)の取扱説明書を必ずお読みください。
【参考データ】
人体に 50mA(0.05A)程度の電流が流れると、「痛み、疲労、気絶、人体構造損傷の可能性、心臓の律
動異常の発生、呼吸系統への影響が出る。心室細動電流の発生による心拍停止の可能性がある。」といわ
れています(日本電気技術者協会資料より)。耐電圧試験器は 5000V / 100mA を出力する能力を持って
います。
【試験前にあらかじめ用意するもの】
じ ぐ
●耐電圧試験器 TOS9300 シリーズ ●被試験物用 AC 入力短絡冶具 ●高圧用ゴム手袋
本体および付属品(テストリード(赤、黒ケー 被試験物のACプラグの2ピンを短絡(ショート) 作業の安全性を確保するために使用する絶縁ゴム
ブル)、SIGNAL I/O コネクタ、電源コード)。 する際に使用。 ※ユーザ製作 手袋。(ヨツギ株式会社製を推奨)
SIGNAL
I/O コネクタ ※製作例
●警告灯ユニット ●ガイドポールと「高圧危険」表示札 ●自主検査記録用紙
危険作業を警告する表示灯。 作業場所の隔離と周囲への危険告知をします。 本書の巻末にある例を参考に用紙を作成しま
(菊水電子工業製/形名:PL02A-TOS) ※ホームセンターなどで市販されています。 す。※記録は 3 年間の保存義務があります。
●消火器
被試験物が絶縁不良だった場合、試験中に発熱、
発火ということが起こり得ます。万が一に備え
て、作業場所のそばに、消火器などを備えてお
いてください。
作業環境のセッティングと設置場所のご注意
● 試験器、被試験物は絶縁性のあるものの上に置いてください。
● 作業環境は常に整理整頓しておきましょう。
● 可燃性雰囲気の中での試験はしないでください。
● 湿度の高い場所、ほこりや塵の多い場所での試験は避けてください。
● 傾いた場所や振動のあるところでの試験はしないでください。
(詳細は取扱説明書をご覧ください)
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2 試験器の準備
❶電源コードの接続
電源コードは接地された 3 極電源コンセントに !
警告灯ユニットを取り付ける SIGNAL I/O コネクタを取り付ける
❷ SIGNAL I/O コネクタと警告灯
ユニットの装着
後面に付属の SIGNAL I/O コネクタと警告灯ユニット
を取り付けます。
❸ダブルアクション機能※の設定
前面パネルから「DOUBLE ACTION」を Enable(有効)
にします。
※ DOUBLE ACTION(ダブルアクション)機能とは?
試験実行を「STOP スイッチ」と「START スイッチ」の連続操作で行うようにする機能です。
これにより「START スイッチ」を押すだけでは試験実行ができなくなるため、不用意な操作による
事故を防ぐことができます。必須ではありませんが、安全面から推奨いたします。
【設定手順】
1. 試験器の電源を ON にする
2. SYSTEM > Configure キーを押す
3. Double Action を選択し、Edit キーを押す
4. ロータリノブで Enable(有効)を選択し、ENTER キーを押す
❹ STATUS OUT の出力設定
STATUS OUT コネクタから 24 Vdc を出力するときの
条件を設定します。以下の設定を行う事で、試験器が
高電圧を発生している間、警告灯ユニットが点灯する
よう設定できます。
【設定手順】
1. SYSTEM > Configure キーを押す。コンフィグ設定画面が表示されます
2. ロータリノブで Status Output 下の H.V ON を選択し、Edit キーを押す。
ロータリノブで Enable(有効)を選択し、ENTER キーを押す
ケーブルロックをしっかりと下げる
❺試験器にテストリード
(黒ケーブル)を接続
Low 端子に黒ケーブルを接続したら、ケーブルロック
を下げてください。確実に接続されたことを確認して
ください。
なおテストリードは必ず付属のもの(または菊水電子
工業製の別売品)を使用してください。
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3 試験条件の設定 ここでの操作は
高電圧が発生します。
十分にご注意ください!
❶ HOME Menu 画 面 で、HOME/FUNC
キーを押します。
❺ HOME Menu 画 面 で、Time > Test
Time キーを押す。
Test Time キーを押して、ON/OFF を
ON に設定します。テンキーまたはロー
タリノブで試験時間を設定します。
❷ ACW を選択します。 ▲画面は TOS9301
❻「STOP」スイッチを押して “READY”
表示が点灯している間(約 0.5 秒)に
「START」スイッチを押し、正常動作(設
定した試験電圧が表示され、試験時間
に到達すると “PASS 表示” されること)
を確認します。
❸ HOME Menu 画面で、Voltage >
Test Voltage キーを押す。
テンキーまたはロータリノブで、
試験電圧を設定します。
❹ HOME Menu 画 面 で、Judgment > ❼テストリード(赤ケーブル)を差し込
Upper キーを押す。テンキーまたはロータ んで、試験準備が完了となります。
リノブで、上限基準電流値(リーク電流値)
を設定します。
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〜 F A I L 動 作 〜
4 始業点検(不合格判定の確認)
ここでの操作は
高電圧が発生します。
十分にご注意ください!
❶テストリードの被覆にひびや割れがないことを確認します。
❷テストリード(赤ケーブルと黒ケーブル)の先端を短絡(接
続)して前項の試験条件で試験すると “FAIL” 表示とブザー
音で不合格を判定することを確認します。(“FAIL” 表示とブ
ザー音は「STOP」スイッチを押すと停止します)
※試験開始方法は「STOP」スイッチを押して “READY” 表
示が点灯している間(約 0.5 秒)に「START」スイッチを押
します。
正しい試験をおこなう上で
この始業点検は、非常に大切です。
毎日、試験開始前に
必ず実施してください。
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5 被試験物との接続
❶出力が出ていない事(DANGER ラン
プ消灯)を確認してから、テストリード
(赤ケーブル)をいったん抜きます。
❹被試験物の AC プラグに AC 入力短絡
冶具をつけてテストリード(赤ケーブル)
を接続します。
❷被試験物の電源スイッチを「 オン
(入)」にします。
❺出力が出ていない事(DANGER ラン
プ消灯)を確認してから、抜いていたテ
ストリード(赤ケーブル)を元に戻しま
す。
筐体部(表面金属)に確実に !
※ビスの頭などが噛みにくい場合は、筐体と
の導通が確保できるように工夫して、確実に
❸被試験物にテストリード( 黒ケーブ ワニ口クリップが噛むようにしてください。
ル)を接続します。
テストリード(黒ケーブル)の被試験物への接続部位は以下の優先順位に従ってください。
(1)後面にあるアース端子用ビス (2)ケースやビスの塗装していない (3) 表面に金属部がないものは表面に
金属部 アルミ箔などの導体を巻き付ける
例:電子レンジ、洗濯機など 例:ファンヒータ、AV 機器など 例:テレビ、ゲーム機など
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6 試験実行 ここでの操作は
します。
高電圧が発生
注 ください!
十分にご 意
試験条件と被試験物への接続を確認して試験を開始します。
◆試験中は被試験物、接続ケーブル類には絶対触れないでください。
◆試験中に異常や事故(発火、発煙、感電)が発生した場合は、
直ちに「STOP」スイッチを押してください。
◆試験終了後は「DANGER」ランプが消えていることを確認して
ください。
7 合否判定について
。
合格判定・・・“PASS” 表示 + ブザー音(約 0.2 秒動作※)
不合格判定・・“FAIL” 表示 + ブザー音([STOP] スイッチが押されるまで動作)
※ PASS 時間は 0.05s ~ 10.00s まで設定可能です。
また、Infinity により PASS HOLD 動作となるので STOP キーで解除する FAIL 動作と同じになりますので、ご注意ください。
8 ( リ ー ク 電 流 )
上限基準電流について
安全規格では、規定電圧印加時に急激な電圧低下や電流増加がなく、絶縁破壊が生じないことが求められます。
漏れ電流値の絶対値は、規定されていないものがほとんどで、通常の漏れ電流を基にその2~10 倍(1~10mA 程度)
を良否判定基準とする例が一般的です。
9 試験器の維持管理
クリーニング
パネル面などが汚れていた場合は、水で薄めた中性洗剤をやわらかい布につけて軽く拭いてください。
点検
電源コードに被覆の破れ、プラグのガタ、割れ等がないか点検してください。テストリード(赤、黒ケーブル)
は消耗品です。使用する度に被覆の破れ、ヒビ、割れ等がないことを点検してください。
定期校正
試験では試験器の仕様(精度など)を維持確認することが非常に重要です。電気用品安全法には検査設備の技術
上の確認として耐電圧試験器の電圧計精度が要求されています。1 年に一回、定期校正を行ってください。なお、
定期校正は当社営業所、またはお買い求めいただいた販売店までご用命ください。
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10 自主検査記録について
特定電気用品を除く電気用品についての自主検査記録例です。例 1 は毎日の検査案件が少ない場合に適した書式。
例 2 は毎日の検査案件が多い場合に適した書式です。なお、検査記録の保存期間は、検査の日から 3 年間です。
記録例 1
電気用品安全法上の自主検査に関する検査記録
電気用品の品名および型式の区分、 検査を行った月日及び場所 検査実施
数量 検査記録 備考
並びに構造、材質及び性能の概要 年月日 場所 者の氏名 外観 絶縁耐力 通電
A 社製 電気冷蔵庫 ABC1000 2023/04/10 鈴木りさいくる 鈴木太郎 9 ○ ○ ○
A 社製 電気冷蔵庫 ABC1000 2023/04/10 〃 鈴木太郎 1 ○ × ○ 廃棄
B 社製 電気ミシン GGG1234 2023/04/20 〃 田中次郎 1 ○ ○ × 修理
B 社製 電気ミシン GGG1234 2023/04/30 〃 田中次郎 1 ○ ○ ○ 再検査
外 観: 電気用品について外観を確認した。 修理などをして再検査する場合は、
絶縁耐力: 電気用品に必要な電圧を 1 分間加えて確認した。 その検査記録も残しておく。
通 電: 電気用品に通電して確認した。
機種名その他、検査対象を特定でき
る名称を記載すればよい。
記録例 2
電気用品安全法上の自主検査に関する検査記録
検査を行った年月日: 電気用品の品名および型式の区分、
数量 検査記録 備考
2023/04/20 並びに構造、材質及び性能の概要 外観 絶縁耐力 通電
検査を行った場所: A 社製 ABC1000 10 ○ ○ ○
リサイクルショップさとう
C 社製 EDF2000 1 ○ × ○ 廃棄
検査実施者の氏名:
佐藤太郎 B 社製 GGG1234 1 ○ ○ × 修理
B 社製 GGG1234 1 ○ ○ ○ 再検査
外 観: 電気用品について外観を確認した。
絶縁耐力: 電気用品に必要な電圧を 1 分間加えて確認した。
通 電: 電気用品に通電して確認した。
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耐電圧試験(絶縁耐力試験)の目的とは?
耐電圧試験 とは電気製品や部品が取り扱う電圧に対して十 前述の主旨に基づき各国の安全規格は電気製品の製造者に対
分な絶縁耐力があるかどうか(絶縁破壊をしないかどうか) してこれらの試験の中で耐電圧試験を必ず含め、かつ他の 1
を確認するための試験です。 種類から 3 種類の試験と組み合わせて試験することを義務づ
全ての電気製品は安全でなければなりません。ユーザーの生 けています。また、製品が安全に設計されているかどうかを
命を脅かすことや、財産に対して損傷を与えるようなことが 確認する型式試験はもとより、安全に製造されているかを確
あってはなりません。特に電気の知識のない人たちに扱われ 認する最終工程での全数試験として義務づけている規格が多
る家庭電気製品等の安全はたいへん重要で、感電、傷害、火 くあります。
災、爆発等の事故からユーザーを保護しなければなりません。
このように耐電圧試験は電気製品の安全性を確保するための
電気製品の安全に関する項目の中でも特に感電事故、火災事 基本となる試験としての意味があります。その実態は、耐電
故の防止が重要です。電気製品は極めて多くの部品で構成さ 圧試験は絶縁耐力試験とも呼ばれるように、その目的は通常
れていますが、基本的には電気を導く部品(導体)と電気を 取り扱う電圧に対して充分な絶縁耐力があるかどうかを確認
妨げる部品(絶縁体)で構成されています。もし、この電気 することにあります。つまり、絶縁破壊があるもの、または
を妨げる必要のある絶縁物(体)に絶縁不良があると、人間 絶縁破壊を起こす可能性のある不良品を見つけることです。
がその電気製品に触れて感電する可能性があり、また絶縁不 その方法は、通常取り扱う電圧の 10 倍から 20 倍の交流電
良部分が発熱すれば火災を引き起こす可能性もあります。 圧または直流電圧で規定された電圧を規定された時間印加し
たとき絶縁破壊(オームの法則に従わない急激な電流の増加)
これらの事故を防止するための試験として、商用電源ライン を起こさなければ、その絶縁物は十分な絶縁耐力を持つと判
に接続されているすべての一次回路と電気製品の人間の触れ 断されます。
る可能性のある導電性部分(筐体、キャビネット等)との間
の耐電圧試験、絶縁抵抗試験、漏洩電流試験、および三線式 耐電圧試験とは電気製品や部品が取り扱う電圧に対して十分
AC 入力の場合のアース導通試験があります。 な絶縁耐力があるかどうか(絶縁破壊をしないかどうか)を
確認するための試験です。その結果、十分な絶縁耐力があれ
ば製品は感電事故並びに火災事故を防止する上で必要条件を
備えていることになります。
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安全のためのチェックリスト
□ 作業エリアが隔離されている
□ 試験器、被試験物は絶縁性のあるものの上に置いてある
□ 作業環境がキレイに整理整頓されている
□ 可燃性のにおいがしない
□ 警告灯ユニットが装着されている
□ ダブルアクション機能が Enable になっている※
□ 始業点検(FAIL 動作)を実施した
□ 始業点検(PASS 動作)を実施した
□ テストリードに損傷がないこと確認した
□ 被試験物の電源スイッチが ON(入)になっている
□ 消火器が手の届く場所にある
※ダブルアクションは必須ではありませんが、安全面から設定をお薦めします。
また、ダブルアクションの代わりに、START スイッチを約 1 秒以上押したときのみ試験を開始することができる
「 START LONG 」機能を設定することでも安全面を向上できます。
「 START LONG 」機能については、TOS9300 シリーズの取り扱い説明書をご確認ください。
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