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なるほど! なっとく! 直流電源にまつわる5つの疑問

ホワイトペーパー

0Vで電流を流せるの?電圧・電流の設定値は どうすればいいの?

直流安定化電源(以下、直流電源)は、電子機器の開発や評価、実験など、さまざまな場面で欠かせない存在です。しかし、いざ機種選定をしたり、実際に使おうとすると「この設定はどうすればいいの?」「この機能は何のためにあるの?」といった疑問が、ふと湧いてくることがあります。
このホワイトペーパーでは、そんな「今さら聞きにくいけれど気になる」疑問を5つ取り上げ、分かりやすく解説します。

【5つの疑問】
①電圧・電流はどのように設定すれば良いですか?
②直流電源の OUTPUT を ON/OFF したとき、出力電圧はどのように変化しますか?
③直流電源を AC100V コンセントに接続して使ったら、最大出力ではないのにブレーカが落ちました。なぜですか?
④OUTPUT OFF にしても、なかなか電圧が下がらないのは故障ですか?
⑤「直流電源は 0V ~」と書かれているけれど、本当に 0V で電流を流せるのですか?

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このカタログについて

ドキュメント名 なるほど! なっとく! 直流電源にまつわる5つの疑問
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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登録カテゴリ
取り扱い企業 菊水電子工業株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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Basic Learning 基礎学習 なるほど! なっとく! 直流5安定化電源にまつわるつの疑問 0V で電流を流せるの? 電圧・電流の設定値は どうすればいいの?
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はじめに 直流安定化電源(以下、直流電源)は、電子機器の開発や評価、実験など、 さまざまな場面で欠かせない存在です。しかし、いざ機種選定をしたり、 実際に使おうとすると「この設定はどうすればいいの?」「この機能は何のためにあるの?」 といった疑問が、ふと湧いてくることがあります。 特に、電気や電源について学び始めたばかりの方や、電気工学を専攻している学生、 そして入社して間もない若手技術者の方にとっては、専門用語や仕様の違いが 分かりにくく感じられることがあります。 このホワイトペーパーでは、そんな「今さら聞きにくいけれど気になる」疑問を 5 つ取り上げ、分かりやすく解説します。 直流電源の基本的な理解を深めるきっかけとして、ぜひ参考にしていただければ幸いです。 <5つの疑問> ➀  電圧・電流はどのように設定すれば良いですか?  (例:12V-1A 定格のファンを動かすときの設定方法) ➁  直流電源の OUTPUT を ON/OFF したとき、出力電圧はどのように変化しますか?  (Tr/Tf:立上り時間・立下り時間とは?) ➂  直流電源を AC100V コンセントに接続して使ったら、  最大出力ではないのにブレーカが落ちました。なぜですか? ➃  OUTPUT OFF にしても、なかなか電圧が下がらないのは故障ですか?  (ブリーダ回路の役割) ➄  「直流電源は 0V ~」と書かれているけれど、本当に 0V で電流を流せるのですか? 2 2
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1. 電圧・電流はどのように設定すれば良いですか?   ( 例:12V-1A 定格のファンを動かすときの設定方法) 【ケース1】 直流電源の CV 設定値を 18V、CC 設定値を 5A に設定。 18k Ωの負荷抵抗が繋がっている場合 18V/18k Ω= 0.001A 電源は 18V を目標として動作します。 【ケース2】 コンパクト直流電源 直流電源の CV 設定値を 18V、CC 設定値を 5A に設定。 PMX18-5A 18 Ωの負荷抵抗が繋がっている場合 直流電源の適切な電圧・電流設定を行う上では直流電源の 動作について理解する必要があります。直流電源では使用す る際に、電圧設定(CV*)と電流設定(CC*)を行います。 * CV:Constat Voltage、CC:Constant Current 18V/18 Ω= 1A 電源は 18V を目標として動作します。 CV 設定値・CC 設定値は直流電源が出力目標とする電圧・ 電流となります。仮に当社のコンパクト直流電源 PMX18-5A の CV 設定値を 18V、CC 設定値を 5A と設定したとします。 【ケース3】 電源の出力には何もつながない状態で出力 ON すると、18V 直流電源の CV 設定値を 18V、CC 設定値を 5A に設定。 が出力されて、電源の電圧表示画面にも 18Vと表示されて 18 mΩの負荷抵抗が繋がっている場合 いるはずです。 しかし、電流表示画面には 0A と表示されていると思います。 せっかくCC 設定した”5A” がどこにも出てきません。 なぜなら、その直流電源は CV 動作(CV 設定値を目標にし て動作)しているからです。 設定電圧と負荷抵抗の関係から考えると ”5A” を表示するには、CC 動作(CC 設定値を目標にして動作) 18V/18m Ω= 1000A・・・となりますが、 することが必要となります。 もう一つの目標である 5A が先に達せられるので 電源は 5A を目標として動作します。 CV 設定値・CC 設定値の二つの目標値を電源に設定できま すが、直流電源が達成できるのはそのうちのひとつだけにな このように、直流電源の出力電圧・出力電流は、接続され るからです。 る負荷の抵抗値により、CV 設定値又は CC 設定値のどちら では、実際に電源に繋げる負荷抵抗を変えて、直流電源から か一方の値になるように動作します。 出力される電圧・電流がどうなるか見てみましょう。 また、電圧設定・電流設定のどちらを満たすように直流電 源が動作しているのかは、CV・CC 動作ランプのどちらが 点灯しているかで確認することが可能です。 3 3
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例:12V 定格のファンを動かす時の電圧・電流の設定値はどうする? 直流電源を使って何かを動かしたい場合、動かすものが 電源は CC ランプが点いていて、12V を出してくれません。 要求する電圧・電流を直流電源に設定する必要があります。 ファンのようなモータ(電動機)は、動き始めるときに大 下図の DC ファンを動作させる例で考えてみましょう。 きな電流を流そうとするのでそれを見越した電流設定値と DC ファンの銘板を見ると、DC12V 1.5A とあります。 する必要があります。 つまり、このファンが動作するのに必要な電圧は DC12V、 その時に流れる電流は 1.5A となります。 電流 始動時に短時間、 ピーク電流が流れます。 電圧設定値 12V、電流設定値 1.5A と設定して回してみ ピーク電流 ましょう・・・ 定格電流 時間 1.5A というのはファンが一定の回転数で回り続けている時 に必要な電流ということになります。 そのため、設定電流値は駆動時に流れる電流も考慮し、 DC ファン 目安として平常時に流れる電流(今回は 1.5A)の2~3倍 コンパクト直流電源 定格 DC 12V ー 1.5A PMX18-5A の設定値にする必要があります。 まとめ CV 設定値 ........ 動かすものの要求する電圧を設定。 CC 設定値 ........ 動かすものの要求する電流は最低限必要。 負荷の特性によっては起動時に記載されている電流以上の 電流が流れることがあるため 大きめに設定する。 4 4
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2. 直流電源の OUTPUT ON/OFF したとき、 出力電圧はどのように変化しますか? (Tr/Tf*:立上り時間・立下り時間とは?)* Tr:Time of Rise、Tf:Time of Fall 立上り、立下りをどのような操作(信号)による起こしているかによって、 立上り時間、立下り時間が違います。それらは大きく三つの場合によります。 ●パネルから、または通信から OUTPUTON/OFF 操作によるもの ●パネルから、または通信から出力電圧設定を行ったことによるもの ●外部アナログコントロールによるもの各条件で同じ電源でもスピードが違いますので、確認が必要です。 ▼パネル、または通信から出力電圧設定を行った場合の立上りスピードの例 出力設定範囲 極性 回路方式 出力設定による Tr Tf 代表値 スイッチング 10ms ~ 100ms ユ二ポーラ シリーズドロッパ 50ms ~ 300ms 可変 リニアアンプ 3 μ s ~ 70 μ s バイポーラ インバータ 50 μ s ~ 300 μ s 例)可変・ユニポーラ・スイッチング方式 PWR401L   出力電圧立上り・立下り 無負荷 274.1ms 15.55ms ▲無負荷 出力電圧立上り波形  ▲無負荷 出力電圧立下り波形 【測定条件】 出力電圧 40V、無負荷、CC 40A 設定、OUTPUT ON/OFF 時 また、立上り、立下りを起こすスタート信号からの立上 り立下りの実際のスタートまでは右図の様に、遅れがあ Tr りますので、その時間も考慮する必要があります。 特に通信から行う場合内部のファームウエアによる通信 V 時間の遅れが機種によりことなり 20 m s ~ 200 msの スタート信号 幅がありますので確認が必要です。 90% 負荷が軽いほど立下り時間が遅くなりますので、電源を 10% 軽負荷で使用する場合は、わざと出力に並列に抵抗を挿 20ms~200ms t 入するなどし、負荷を重くするなどの工夫が必要な場合 遅れ があります。 ▲スタート信号から実際のスタートまで また、一般に立上り、立下り時間は最大値の 10%から 90%までの時間を示します。 5 5
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3.直流電源を AC100V コンセントに接続して使ったら、 最大出力ではないのにブレーカが落ちました。なぜですか? 当社の直流電源のラインアップの中 例えば、出力定格が 800W の直流電 また、屋内配線(もしくは壁コンセント) でも、比較的電力容量の小さい直流 源だからといって、動作に必要な消費 の線材などの抵抗値によって、電圧降 電 源(PMX シ リ ー ズ や PWR401L/ 電力が 800Wということではありませ 下が発生することがあります。 PWR801L など)は付属の AC コード ん。実際には下図のように、AC を DC もし入力電圧が 100V から 90V 付近ま を使用し、俗に言う壁コンセントから に変換する際に電力損失が発生するた で下がると、同じ出力を得るために必 の受電で使用する事が可能です。 め、電力変換効率が高いスイッチング 要な入力電流は 11.2A から約 12.5A しかしながら、壁コンセントから入力 方式の直流電源でも 15 ~30%の損失 に増加することになります。 電源を取る場合にはブレーカが落ちな が発生します。例えば PWR801L の場 その結果、ブレーカーやコンセントの いようにいくつかの注意が必要です。 合は、出力定格 800W ですが、100V 定格を超えてしまう可能性があります。 入力時の最大入力電流は 11.2A(消費 電力は 1120W(VA))となっています。   出力定格電力が 800Wの直流電源でも 消費電力は1000W以上に なります。 320Wを AC100V 熱で消費 1120W DC800W 入力 出力 直流電源 PWR801L 同じ入力系統に他の機器が接続されている ことにより、同系統に流れる電流がブレー カの定格を超えないように注意が必要です。 例)ブレーカの定格が20A の入力系統に以下のように電源・計測器を接続した場合、 ×   合計 20A 以上の電流が流れてブレーカが落ちてしまいます。 また、いわゆるタコ足配線によって多くの 機器を接続すると、コンセントの定格を超 える可能性があり、発熱・発火などのリス 切 クが高まるため危険です。(一般的なコンセ ントの定格電流は 15A になっています。) 20A ブレーカが落ちる原因は、上記のほかに「突 オシロスコープ パワーメータ 直流電源 PWR801L 直流電源 PWR401L 200W 200W 1120W 550W 入電流」や「漏洩電流」による場合もあり ます。このように、直流電源を壁コンセン 200W+200W+1120W+550W = 2070W(20.7A) トで使用する際には、入力電流の増加や配 線の方法に注意することが重要です。 6 6
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4. OUTPUT OFF にしても、なかなか電圧が 下がらないのは故障ですか?(ブリーダ回路の役割) 直流電源のアウトプットを OFF した ブリーダ回路のない直流電源は 例 え ば、 数 百 V を 出 力 で き る 直 流 としても、コンデンサなどの容量性負 内部回路の影響で出力端子間に漏れ電 電源を使って EUT を駆動させた後、 荷がつながっていると、容量性負荷に 圧が発生することがあります。 OUTPUT OFF したと仮定した時に、 電荷がチャージされているため、この そのため、ブリーダ回路は内部回路の ブリーダ回路が搭載されていない電源 電荷を吸い上げないとなかなか電圧が 漏れ電圧を吸収し、出力端子間の電圧 であれば、負荷状態によっては数百 下がらず 0V にはなりません。バッテ が上昇を防ぐ役目も担っています。 ms ~数秒間の間、直流電源の出力端 リー等の「定電圧源」がつながってい また、安全面の観点からもブリーダ回 子間に数百 V の電圧が残ることになり れば、尚更「0V」にはならず、アウ 路によって、電圧の立下り時間を短く 危険です。 トプットを OFF すれば、即時 0V にな することはとても重要です。 るわけではありません。 特にスイッチング方式は、出力端のコ ンデンサが大容量化しやすい為、無負 荷時の電圧立下りが問題となります。 直流直安流定電化源電源 + EUT 容量の小さな電源であれば放電抵抗で ブリーダ 回路 出⼒端⼦間 十分なのですが大型でかつ可変型の直 流電源は安定して放電できる回路が必 ー 用となります。そのため、当社の直流 電源にはブリーダ回路が搭載されてい ブリーダ回路で容量性分にチャージされた電荷を吸収 ます。 このように、直流電源はアウトプットを OFF したとしても、完全にオープン状態 にはならず、一定の時間をかけて容量成分から電流を吸い上げることで、0V 近く ブリーダ回路の種類 まで放電をされます。 ●抵抗ブリーダ回路 極性に関係なく、とにかく出力端コ ンデンサのエネルギーを熱に変換し てくれる単純な回路。(極性がある 場合もある)電圧が最も高いときの 消費電力で抵抗の許容電力が決まる ので大型になりやすく、大電力電源 には不向き。 ▲ブリーダ回路有り / 無しの出力電圧の立下り波形(比較イメージ) ●定電流ブリーダ回路 また、当社直流電源の一部ラインアップにはブリーダ回路を ON/OFF できる機能 電圧にかかわらず一定の電流を流す を持った製品があります。このような機種の場合、ブリーダ回路が OFF になって ためリニアな特性となり、抵抗に比 いると、0V 付近まで電圧が降下するまでの時間が長くなり、なかなか電圧が下が べると安全電圧に到達するまでの時 らないと感じる場合があります。 間を速くすることができる。 このような場合は、ブリーダ回路の設定をご確認ください。 最近は電流値を可変できるものもあ る。「0V」まで放電できない事やマ 例として、PWR01 シリーズのブリーダ回路の設定方法は以下の通りです。 イナス電圧は放電できないなどデメ ●ブリーダ回路の設定(CF01)を確認ください。 リットとなる面もある。 ●ブリーダ回路の設定がオフ(CF01: DIS)になっていると、出力オン時の  電圧がすぐに下がりません。 ●ブリーダ回路の設定をオン(CF01:NORM/ HYP)にしてください。 7 7
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5.「 直流電源は 0V ~」と書かれているけれど、 本当に 0V で電流を流せるのですか? 直流電源はバッテリとは違い出力電圧が可変できます。 実際には、オームの法則(I=V/R)に従うため、完全な 0V ところが直流安定化電源の仕様を見ると では電流は流れません。ただし、0.000001V のようなごく ●出力電圧範囲 : 0V~ 40V  小さな電圧と、極めて小さい抵抗 0.0000001 Ωが用意でき ●最大出力電流 : 10A れば 10A 流すことは理論上可能です。 などとなっています。 つまり「0V で電流を流せる」という表現は、実際には “ほぼ 「ということは 0Vで 10A流せるってこと?」と疑問に思って 0V” で電流を流せるという意味になります。 しまうわけです。 また忘れてはいけないのが直流安定化電源のCC(定電流) 確かに「これではオームの法則に違反する I=V/R もしV 設定を最大値にしておかないと電流は最大出力電流を流す が 0VならI= 0Aとなり10Aは流せないはずだ!」となり ことはできませんのでご注意ください。 ます。 実際の直流電源で上記のような仕様の電源ではその電圧設 定分解能、安定度から 0.000001V(1µV)の電圧 設定難しいですが・・・。 V=0.000001 V R=0.0000001 Ω + I=10A 直流電源 – 菊水電子工業株式会社 本 社 〒 224-0023 横浜市都筑区東山田 1-1-3 TEL(. 045)593-0200 首都圏東営業所 〒 224-0032 横浜市都筑区茅ケ崎中央 6-1 サウスウッド 4F TEL(. 045)482-6458 首都圏南営業所 〒 224-0023 横浜市都筑区東山田 1-1-3 TEL(. 045)593-7543 東 北 営 業 所 〒 981-3133 仙台市泉区泉中央 3-19-1リシュルーブル ST TEL(. 022)374-3441 北関東営業所 〒 330-0801 さいたま市大宮区土手町1-49-8 G・M 大宮ビル 5F TEL(. 048)644-0601 東 海 営 業 所 〒 465-0097 名古屋市名東区平和が丘 2-143 TEL(. 052)774-8600 関 西 営 業 所 〒 564-0063 吹田市江坂町 1-12-38 江坂ソリトンビル 2F TEL(. 06)6339-2203 九 州 出 張 所 〒 812-0039 福岡市博多区冷泉町 7-19 NR ビル 2F TEL(. 092)263-3680 ●2025 年 9 月発行