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超音波洗浄のメカニズムと効果的な活用法 ver2.0

製品カタログ

ウルトラファインバブルとメガヘルツの超音波洗浄システム

1.はじめに
超音波洗浄の現象には沢山の条件があり、それぞれの影響が複雑に関連してい
ます。その中で、洗浄対象物や洗浄液に伝搬する超音波の伝搬状態に関して、測
定・解析装置の開発を含めた研究が少ない状況が続いています。洗浄レベルの向
上が要求されている状況で、超音波伝搬状態に関して、洗浄効果の高い非線形現
象を洗浄レベルに合わせて最適化するためには、最大100MHz程度の周波
数範囲での音圧測定解析が必要です。音圧測定解析に基づいて検討し、20MHz
以下の発振で、300MHz以上の超音波をダイナミックに制御する、新しい超音
波洗浄システムを開発しました。このシステムを使用して、超音波によるナノレ
ベルの「精密洗浄」「表面改質処理」「攪拌・分散・粉砕」・・・を行っています。
ここでは、球形サイズで 20μm以下の、ファインバブルを安定して利用する技
術を含めた超音波の制御方法を紹介します。

このカタログについて

ドキュメント名 超音波洗浄のメカニズムと効果的な活用法 ver2.0
ドキュメント種別 製品カタログ
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取り扱い企業 超音波システム研究所 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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超音波洗浄のメカニズムと効果的な活用法 ver2.0 斉木和幸 超音波システム研究所 代表 1.はじめに 超音波洗浄の現象には沢山の条件があり、それぞれの影響が複雑に関連してい ます。その中で、洗浄対象物や洗浄液に伝搬する超音波の伝搬状態に関して、測 定・解析装置の開発を含めた研究が少ない状況が続いています。洗浄レベルの向 上が要求されている状況で、超音波伝搬状態に関して、洗浄効果の高い非線形現 象を洗浄レベルに合わせて最適化するためには、最大100MHz程度の周波 数範囲での音圧測定解析が必要です。音圧測定解析に基づいて検討し、20MHz 以下の発振で、300MHz以上の超音波をダイナミックに制御する、新しい超音 波洗浄システムを開発しました。このシステムを使用して、超音波によるナノレ ベルの「精密洗浄」「表面改質処理」「攪拌・分散・粉砕」・・・を行っています。 ここでは、球形サイズで 20μm以下の、ファインバブルを安定して利用する技 術を含めた超音波の制御方法を紹介します。 2.脱気ファインバブル発生液循環装置 超音波制御を効率よく行うために、洗浄液を均一化して、超音波の伝搬状態を 安定させる。 「揚程の高い、マグネットポンプの吸い込み側のバルブ(配管)を絞る」と言う、 ポンプメーカーの禁止事項を行います。(通常のマグネットポンプで 15 年以上 機能します。揚程の高さとバルブの絞り状態の設定で、マイクロバブルの発生量 とサイズを調整できます)特許の問題はありません(公知とされています)。 揚程の高いマグネットポンプ 例1 株式会社イワキ マグネットポンプ MD-70RZ 例2 三相電機株式会社 マグネットポンプ PMD-1521B6E
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図 1 脱気ファインバブル発生液循環装置 3.超音波洗浄のメカニズムとしての、問題点 3.1:洗浄装置・洗浄液・・の振動現象の管理について <説明1> 物理作用として、振動現象を利用する装置の場合 装置の設置による、床面・・からの低周波振動現象と、装置固有の振動現象に 加え、洗浄対象物・治工具・・・の振動現象が、相互作用により、複雑に変化し ます。洗浄効果のある、多くの事例では、ダイナミックな非線形性の振動現象が 発生しています。振動測定による音圧データを解析して、非線形性の確認を行い、 洗浄状態を管理するために、論理的な学習と振動計測に関する理解が必要です。 特に、10メガヘルツ以上の超音波振動に関しては音圧データの非線形性に関 する測定解析が非常に重要です。経験や類似の成功事例だけでは、目に見えない 瞬間的な共振現象と(超音波刺激の強い)非線形現象の判断は難しい状況です。 <説明2> 洗浄液の化学作用として、洗浄効果を利用する装置の場合 洗剤の濃度管理が重要です。水槽内の濃度分布測定よりも、濃度分布の解消 (均一化対策)が必要です。液温、湿度、気温、気圧・・・による環境との相互 作用により、各種の分布は、複雑に変化します。 特に、溶存気体濃度の分布は化学反応に於いて大きな影響がありますが、溶存気 体濃度を均一にする方法は知られていません。(20μm以下のファインバブル による拡散性の利用が推奨方法です)水槽内の液体に、単純に洗剤を投入しても、
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濃度分布のバラツキを大きくしているだけの場合、洗浄効果のバラツキをより 大きくする結果になります。 3.2:気候・環境・・各種変化・・が洗浄効果に影響する <説明> 台風の季節に多いトラブルの原因に、気圧の変化があります。 気温や湿度と異なり、人が感じにくいため原因として考慮しない傾向がありま す。(台風が来る 1週間前あたりから低気圧になり影響が出始める傾向がありま す)さらに、気圧の変化が、超音波を減衰させる大きな要因となります。(ゆっ くりと低気圧になる傾向が、洗浄効果(注)を下げます。台風直後、気圧が上昇 する傾向では、洗浄効果も上昇します) 注:キャビテーション・音響流の発生効率 3.3:洗浄物の表面は、製造方法の開発・改善、保管・処理技術の発展ととも に変化する。洗浄レベルの要求も変化する。 <説明> 20年前の脱脂洗浄は、様々な洗浄方法が効果を出していました。現 在、多くの脱脂洗浄は、超音波洗浄あるいは洗剤・溶剤洗浄が主体となっていま す。次工程の、めっき・溶接・各種コーティング・・・での要求(不良率やナノ レベルのコンタミ除去・・・の洗浄レベル)が高く、洗浄後の保管状態にも注意 が必要な状況です。クリーンルームでの、めっき処理、コーティング処理が増え ています。ナノレベルの1滴の油分が、溶接温度の低下、コーティングの不純物 として問題視されている現状です 3.4:洗浄管理、洗浄評価に関する技術・研究・機器は不十分 (洗浄は解明されていない:洗浄物に対する固有の汚れに対する除去方法を開 発する必要がある) <説明> 超音波洗浄機の場合、音圧測定に関して、音圧レベルが高いと洗浄効 果が大きいという単純な傾向はありません。(超音波洗浄機の出力レベルを下げ ることで、洗浄液や洗浄物に伝搬する超音波(音圧レベル、伝搬周波数)が変化 して、洗浄効果を改善した事例が多数あります)。つまり、伝搬周波数や非線形 現象を把握(測定・解析)しないと、洗浄効果につながる具体的な改善ができま せん。そもそも、安定した超音波照射を長時間、実現できる装置は非常に少ない 状態です。不安定な変化は、共振現象を起こし、低周波の振動状態に発展し、液 面の揺れや大きな騒音に発展して、洗浄効果を大きく低下させます。洗浄装置以 上に、洗浄物の表面に伝搬する超音波振動の把握(測定・解析)が必要です。(こ のような実験・検討は、ほとんど行われていません。超音波システム研究所は、 15年間のコンサルティングで、各種超音波洗浄装置の測定解析を行い、洗浄物
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の特性に合わせた制御技術を実験・検討・開発対応してきました)洗浄物の形状・ 材質・数量・・・に合わせた、各種(超音波・液循環)制御・専用治工具の工夫 が必要です。これは、個別の研究・開発となるため、ほとんど研究(あるいは公 開)されていません。 4.具体的対策を行った、超音波洗浄機事例 問題点の多い現状の超音波洗浄装置に対して、出力7-15Wのメガヘルツ超 音波を追加して発振制御する方法を紹介します。標準的には、2本の超音波発振 制御プローブを、図2のように利用します。1本は、測定解析に基づいた、スイ ープ発振制御を行います。1本は、スイープ発振の共振現象を最適化する周波数 の、パルス発振を行います。 図2 流水式超音波洗浄システム 脱気ファインバブル発生液循環装置 2台 ONOF制御 ON1:213秒 OFF1:30秒、ON2:114秒 OFF2:23秒 超音波1 35kHz 150W(出力最大) ON:57秒 OFF:17秒 超音波2 メガヘルツの超音波発振 メガヘルツの超音波発振制御プローブ1 パルス発振 7.7MHz(出力8W) メガヘルツの超音波発振制御プローブ2 スイープ発振 1MHz~20MHz(出力10W)
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図3 超音波洗浄(表面改質)システム <概要> 脱気ファインバブル発生液循環装置 2台 ONOF制御 超音波1 35kHz 150W(100%出力) ONOF制御 超音波2 28kHz 300W(30%出力) ONOF制御 ガヘルツの超音波発振 メガヘルツの超音波発振制御プローブ1 パルス発振 メガヘルツの超音波発振制御プローブ2 スイープ発振 効果1:脱脂した油分の分解を実現 効果2:洗浄物の表面残留応力の緩和を実現(金属疲労強度の向上)
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5.結論 5.1:球形サイズで 20μm以下のファインバブルの効果 洗浄液の溶存酸素濃度を均一化する 5.2:ファインバブルと超音波の組み合わせ効果 ファインバブルの超音波振動による崩壊が、対象物の表面刺激(洗浄・表面改 質・・・・)となる 5.3:出力7-15Wのメガヘルツ超音波の発振制御効果 超音波発振制御プローブのスイープ発振とパルス発振により、目的に合わせた、 超音波振動のダイナミック制御を実現する(キャビテーションと音響流:非線形 現象の最適化) 注:最適化 変化の範囲(音圧レベル・周波数)を、制御条件(超音波、液循環、 水槽、設置方法、治具・・)により利用目的に合わせて最適化する 図4 超音波のダイナミック制御モデル 参考文献 1) 赤池 弘次/共著 中川 東一郎/共著:ダイナミックシステムの統計的解析と制御:サイ エンス社 1972.1 2) ベ.ア.アグラナート/[他]共著 青山 忠明/訳 遠藤 敬一/訳:超音波工学と応用技術:日 ソ通信社 1991.8 3) マイクロバブル・ナノバブルの技術と市場 2021:株式会社シーエムシー出版 2021.6
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図5 応用技術::600MHz以上の超音波伝搬状態を実現 図6 応用技術::700MHz以上の超音波伝搬状態を実現
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超音波の伝搬特性 1)振動モードの検出(自己相関の変化) 2)非線形現象の検出(バイスペクトルの変化) 3)応答特性の検出(インパルス応答特性の解析) 4)相互作用の検出(パワー寄与率の解析) 注:「R」フリーな統計処理言語かつ環境 autcor:自己相関の解析関数 bispec:バイスペクトルの解析関数 mulmar:インパルス応答の解析関数 mulnos:パワー寄与率の解析関数
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<特許出願済み> 特開 2021-125866 超音波制御(超音波発振制御プローブ) 特開 2021-159990 超音波溶接 特開 2021-161532 超音波めっき 特開 2021-171909 超音波加工 特開 2021-175568 流水式超音波洗浄 超音波発振制御プローブの製造技術の一部は、 特開 2021-125866 に記載しています 特願 2023-195514 メガヘルツ超音波とファインバブルを利用した超音波めっき 以上