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【導入事例】トヨタ自動車が取り組んだ「問題の早期発見と解決」プロジェクトとは?

事例紹介

トヨタ高度品質情報センター システム事例

トヨタ自動車株式会社様にSMART/InSight G2を導入いただいた事例を以下の内容でご紹介しております。

・導入の背景
・「トヨタ高度品質情報センター」システムの概要
・品質関連業務とT-AQIシステムの活用場面
・T-AQIユーザーインタビューより
・T-AQI導入の効果について
・今後の構想について

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このカタログについて

ドキュメント名 【導入事例】トヨタ自動車が取り組んだ「問題の早期発見と解決」プロジェクトとは?
ドキュメント種別 事例紹介
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取り扱い企業 スマートインサイト株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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トヨタ自動車株式会社様 トヨタ高度品質情報センター システム事例 2010年トヨタでは創業以来受け継がれ お客様品質部 てきた「改善を繰り返すことでさらに優れ お客様 販売店/代理店 行政日本 各地域 当局 たクルマを送り出す」ことがトヨタの品質 管理の思想であることを再確認するとと 市場技術情報保証修理情報 もに、新たな品質保証体制の構築を目指 お客様 行 した多面的な改革への施策を公表しまし 苦情情報 事故情報など 情報不 政 具 取り込み拡大 取り込み 当 た。それまでの品質基準は技術面と法令 統合品質情報システム合 局 現車確認の強化 情 遵守が中心であったものから、「お客さま ・24時間コンタクト(SMART隊) 情報解析の強化 報 ・技術分室(北米7,欧州7,中国6) (異種品質情報の統合・分析システム) 目線での品質」の徹底を経営課題とした ・イベントデータレコーダー(EDR)読み出し機配備・リモート通信機能の活用 意識改革と市場情報への迅速な対応が できる体制構築を目指したものです。 情報収集と解析のスピード・質・量を増大  2010年3月、トヨタ自動車社長を委員長 とする「グローバル品質特別委員会」が発 グ機能の強化:問題の早期発見と解決」 保証修理情報を、販売店や代理店に寄せ 足され、急速なグローバル化によって生 が重点項目として掲げられ、この中で「情 られるお客様の苦情情報とともに一元管 じた情報伝達力の低下や、情報共有の不 報解析の強化と市場処置決定プロセスの 理する「トヨタ高度品質情報センター( 徹底を解消する取り組みがスタートしま 改善」という目的のもとIT活用施策と関連 T-AQIC)」を構築し、問題点の早期発見と した。このグローバルな品質保証体制の 業務の整備が行われることになりました。 解決に向けた情報解析の強化を行うこと 強化を目指す安全・品質改善に向けた具  当局に寄せられるクレーム情報や、様 が決定され活動が進められました。 体的な取り組みの一つとして「モニタリン 々なルートから収集した市場技術情報や <トヨタ自動車株式会社「Annual Report 2010」より抜粋>  T-AQIC(ティーエークイック)はまず 2010年に北米地域の品質関連情報を統 設計・開発 製造 サービス マーケティング 合してスタートしました。その後2012年に 営業 グローバルな品質関連情報を追加して展 お客様品質部 / 品質保証部 開を行い現在に至っています。長年にわ たる稼働実績が積み上げられ「グローバ ル特別品質委員会」の業務目標の一つで ある「早期の問題発見と解決」の実現の一 ワランティ 生産情報 現品情報 市場技術 コールセンター 端を担うシステムとなっています。 情報  このシステムはスマートインサイト社 当局情報 販売店情報 顧客アンケート 訴訟情報 ロード サービス が提供するSMART/InSight G2とエンタ ープライズサーチによって構成されるサ ーチアプリケーションです。大規模で多種 るだけでなく、多様なグラフィック画面や ベースは、ワランティ情報、車両生産情報、 多様なデータベースをエンタープライズ 機能が用意されており、業務の流れに沿 現品情報、市場技術情報(市場レポート)、 サーチに統合し、UIアプリケーションをフ った分析や高度な解析ができる業務アプ コールセンター情報(北米・ヨーロッパ、中 ロントに構築した構成となっています。サ リケーションを構築できる構造になって 国など)、当局情報(米国国土交通省( ーチアプリケーションはデータベースを います。 NHTSA)、欧州検査機関情報など)、顧客 横断的に瞬時にレスポンス良く検索でき  T-AQICで統合された品質情報データ アンケート情報(品質・仕様要望などに関
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するアンケート)、訴訟関連情報、各国ロ 報をトリガーとした(その検索条件を引き る状況を検知し、多面的な角度で分析す ーカルの販売店情報、各国ロードサービ 継いだ)横断検索が行え、各々のデータベ ることができます。このようなサーチアプ ス情報、市場品質施策結果報告などがあ ースの内容が即座に可視化され分析でき リケーションの機能により、複雑化した業 げられます。 るようになっています。各々のユーザが独 務対応の判断をサポートすることができ  これら各々のデータベースが統合され 自の視点で条件をセットしてモニタリン るのが特徴です。 ることで、一件の市場レポート/修理情 グしたり、アラートを設定して急増してい 自動車は故障や異常が発生すると販売 店や修理工場に入庫されます。ここで問 お客様   販売店・代理店   お客様品質部 設計・製造 題箇所の修理が行われ販売店からワラン ティ(修理などに対する保証情報)が登録 されます。また、市場レポートとして、販売 故障・異常 市場問題発生 診断・修理 市場 収集/調査 対策 店から「このような形で問題があって、こ レポート のような原因で、このような修理・対応を ワランティ情報 早期顕著化 コール 行った」といった詳細な情報が登録され お客様 センター の声 ると、品質部門側ではワランティとともに T-AQICにて 当局情報 一括管理 一連の情報として対象となる自動車の状 態が把握できる様になります。  業務の流れとしては、一件一件の市場 レポートに対して、ワランティや発生状況 などを紐づけし、問題の規模や市場イン パクトを把握します。さらに、把握した問 題の規模や市場インパクトをもとに、優先 度判断や対応方策の立案を行います。こ ういった一連の「問題の早期発見」業務を モレなく瞬時に実現することがT-AQICの 主な役割です。 ―― 2010年頃導入されたシステム A:市場で何が起きているか?ざっくり把 T-AQICは、どういった状況で構築がされ 握することができ、いろいろな見方で簡単 たのでしょうか? に分析出来るようになりました。既存のシ ステムからデータを抽出して加工しても A:当時、市場レポート、ワランティ、北米 同じようなことが出来ますが、このシステ トヨタ自動車株式会社 カスタマーファースト推進本部 NHTSA、コールセンターなどのいろいろ ムでは市場でいろいろなことが起きても お客様品質部/品質保証部の皆様 な品質に関わる様々な情報が点在してい 簡単に瞬時に把握することが出来るよう ました。そこで、これらの様々で多様な情 になって便利です。稼働するまでの旧シス  トヨタ社内でこのシステムは設計・製造 報を集め統合し、故障や異常発生の初期 テムでは、各々のデータが分散していた ・品質・サービスなど各部門の社員がグロ の段階で品質関連情報を検索・整理し、 ので、分析に必要なグラフ化やレポート ーバルに利用できるようになっています。 問題の早期発見を遂行するといったコン を作成するためには、その都度、各々のシ ここでは業務でT-AQICを中心的に利用す セプトで作られたシステムです。 ステムからのデータの取出しや表計算ツ るメンバーであるカスタマーファースト推 ールや簡易データベースツールなどの処 進本部 お客様品質部と品質保証部の皆 ―― T-AQICを活用することで実現できた 理が必要でした。今ではこのシステムが さんのお話を通じて、この仕組みがどのよ 業務上の効果はどのようなものでしょうか? ない状態というのが想像できないほど当 うに利用されて所期の業務目標を実現し たり前の仕組みになっています。 ているかご紹介します。
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―― 問題の早期検知は具体的にはどのよ がりを把握できることに加え、例えば、直 増の定義をアルゴリズム化して組み込み うにされていますか? 近3ヶ月の急増や9ヶ月間におけるある条 対応しています。急増検知に加えて、現象 件下の急増が把握できるアラートを設定 に対する車種固有の有無・当局情報・ワラ A:品質に関わるある現象が起きた場合、 し状況をモニターしています。いろいろ ンティなどの分析も行うことができます。 一件一件の報告に対して瞬時に規模や広 な状況下で漏れなく把握できるような急 ―― 具体的な業務でのシステムの使い とその数倍はあるというようなことがひと 方を教えてください。 めで分かることもあります。 お客様品質部では、自動車が市場に出 た後の問題解決に特化し、お客様のご不 A:市場レポートを毎日入手しています。 ―― 業務面での効果はどのようなもので 満の低減を進める取組みを行っています。 これらの中の1件のレポートの裏で同じ しょうか? お客様品質部門の組織は車種・車両、ユ ような現象が多数おきているといったこ ニットといった区分で部門が分けられ部 とが無いようにT-AQICにてチェック・分 A:お客様品質部では、問題の早期発見早 員は同じ業務プロセスで仕事をしていま 析しています。稼働するまでの旧システム 期解決によるお客様不満足度の低減の促 す。 では、たった1つの条件で情報をダウンロ 進を目指したEDER(Ear ly Detect ion, ードするだけで数分、月初に集中すると1 Early Resolution:早期発見・早期解決) 時間以上かかったこともあります。また、 を重要視しています。T-AQICを使って、先 ―― 問題解決の必要がある部品が分か その後の分析グラフ作成にはグラフ1個 ずは、早く問題を発見します。同時に、例 った時、日々の業務ではどのような対応を 当たり15分~20分くらいかかります。し えば、ある車両の生産月別に見たときに、 していますか? たがって、トータルな分析業務には、膨大 いきなり問題が急増したことが分かれば、 な時間を費やしていました。T-AQICはい 何か変化点があるはずなので、早期解決 A:販売店から入手した対象車の情報や つ使っても、状況が瞬時に把握できて、大 に向けその視点(何かの変化点)で可視 製品検査部門から入手した製品検査情報 幅に工数が削減できています。その場で 化し、分析・調査しています。 をもとに、各部署の品質管理部門と並行 条件となる軸を変更しても、即座に反映  2011年当時、北米ではT-AQICの導入 してそれらを各々で確認し問題を検知し して可視化できることが非常に良いと評 で簡単にワランティ分析ができるように ています。また、急増したワランティや問 価しています。例えば、簡単に使えるポイ なり、業務が大きく改善できたため、北米 題情報があれば、それに関連する部品に ントとして、車種別で見ると数件だったも メンバーはこのシステムを大変高く評価 重点を置いた対応をしています。 のが、条件を変更してエンジン別にみる していました。 題に対応し自主的に対策を検討していま 取得できるのが良い点だと思っています。 す。品質保証部が調べて初めて気づくと 問題が多く発生している工場が分かると、  品質保証部では、全社的な観点で様々 言ったケースは皆無なので、品質に関す 具体的な問題の箇所や状況を把握する な自動車のお客様のご不満につながる現 る全社の状況を把握し、より品質向上し ため、部位ごとに分析した上で販売店か 象を未然に防止し、無くすという目的で取 お客様の満足度を下げてしまうような現 らの市場レポートなどと組み合わせて細 組みを行っています。車両という軸から、 象そのものをなくすための未然防止の かく分析しています。 また部品や材料という軸から全社的かつ 施策を推進しています。 総合的に品質を担保するための業務を ―― こちらでは深掘りしたより高度な分析 遂行しています。 ―― 部品・材料軸からはどのようなお仕 とアクションを行なっていると伺いました 事をされていますか? が? ―― 品質保証部で車両軸からみてゆくお A:私どものチームでは部品や材料の軸 A:自動車メーカーとして、良い車をお客 仕事について教えてください。 からみた業務を担当しています。例えば 様に届けるのは当然ですが、できれば安 塗装分野を例にとると、見栄えがお客様 く作りたいといった想いもあります。例え A: 全社的観点でワランティ低減目標を設 品質という観点では重要なポイントにな ば、各工場別で部位毎で問題となったデ 定するとともに、達成状況のレポートを行 ります。見栄えに影響をあたえる塗装品 ータを調査し、過去の推移の確認をして、 い、品質向上に向けた取り組みを推進し 質では、何か問題(キズ・ムラ・サビなど) 問題の指摘や現象発生が特定箇所には ています。ワランティの着眼点としては何 あった場合、設備をつかっていろいろな 無いということが分かる事があります。こ が最近増えたのかを重点的にチェックし 解析を行うのと併せて、お客様の観点か のデータをもとに塗装方法の検討の余地 ています。T-AQICでは対象とするワラン らの調査や解析を実施しています。 があることを工場に提案し、少し時間をか ティに関する分析情報が即座に入手でき  T-AQICからは塗装品質の問題発生状 けて一緒に塗装標準を再検討し、適正な ます。 況を工場毎、ラインオフ毎に可視化し、発 塗装品質を実現するというようなことも  全社的にはT-AQICを活用し、設計は設 生傾向の把握をするなどに加えて、色々 行っています。 計で工場は工場で自らがワランティや問 なアイデア次第で多様で豊富な情報を
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 2015年にIT活用による早期発見業務 々削減され続けているという効果が報告 理という分析準備のための間接業務時間 への導入効果の評価が行われました。 されました。 の大幅な削減だけでなく、もう一つの重要  全世界で市場レポートが発信された後、  2010年グローバル品質特別委員会に なポイントは整理され、網羅性の高いデ 2~3レポートに1回の頻度で、T-AQICを閲 て提示された早期発見という重要課題に ータを、瞬時に可視化している中で、業務 覧し、状況の把握や分析・調査が行われ 対して「初報拘り(こだわり)活動」という、 を進めることができるといった、良質な「 てたことがわかりました。T-AQICを活用し 業務とITが一つになって業務をスムーズ 情報の視える化」効果も併せて、大きな業 た業務活動の結果EDER(早期発見、早期 に進めてゆく改善活動の結果として、この 務改善に貢献したものといえるでしょう。 解決)の中で重要な「対策要否判断」の平 ような大きな効果が確認されたものです。 均的なリードタイムが50%以下になり、年  ユーザの手元でのデータ加工・編集処  T-AQICは「問題の早期発見と解決」とい った業務目標の中で、特に問題の早期発見 =品質状況の視える化、問題検知、優先度 判断というプロセスに効果を発揮してきま した。  今の自動車はネットワークを通じてリア ルタイムの情報通信を行うことができるよ うになっています。リアルタイムに車両デ ータを収集できることにより、問題の早期 発見スピードを飛躍的に向上させることが 期待できます。より早くより詳しく問題内容 を把握して、影響を瞬時に把握し、お客様 新品質分析システム の満足度を維持してゆくことと、問題を早 期解決して市場対応をスピードアップする ことが新しい業務目標となってきています。  このためトヨタでは2019年にT-AQICな どをさらに発展させて品質保証関連システ ム全体の大幅な統合刷新を行うことを決 定しました。トヨタの次世代のITを担う基盤 の上に、新しい技術であるAIなどとともに スマートインサイト社開発のMµgenを採 リモート 点検車両データ 整備歴 品質情報 ワランティ 使用環境 生産実績 用し「新品質分析システム」を構築するプ ロジェクトが進められています。 トヨタ自動車株式会社 本 社 所 在 地: 〒471-8571 愛知県豊田市トヨタ町1番地 代 表 者: 代表取締役社長 豊田 章男 創 立: 1937年(昭和12年)8月28日 資 本 金: 6,354億円 売 上 高: 30兆2,256億円(2019年3月末現在) 従 業 員 数: 74,515人[連結 370,870人](2019年3月末現在) MµgenとSMART/InSight G2はスマートインサイト株式会社ビジネスパートナーの日本ユニシス株式会社を通じて製品・サービス提供されています。 各社敬称略、ロゴや製品名は各社に商標、著作権など帰属します。 〒101-0032 東京都千代⽥区岩本町⼆丁⽬11番2号イトーピア岩本町⼆丁⽬ビル2階 TEL:03-5823-4609 FAX:03-3861-4665 URL:https://smartinsight.jp/ ©2020 SMARTINSIGHT CORPORATION All rights reserved.