1/40ページ
カタログの表紙 カタログの表紙 カタログの表紙
カタログの表紙

このカタログをダウンロードして
すべてを見る

ダウンロード(3.5Mb)

【技術ハンドブック】食品機械の電源周り設計ハンドブック

ハンドブック

食品機械の設計者・設備担当者向け。洗浄に耐え、保全時に確実に断路・施錠できる電源スイッチの選び方を、国内外の法規・衛生規格と設計チェックリストで解説した全40ページの技術資料です。

食品機械の電源スイッチは、動力の入り切りに加えて、清掃や保全のときに電源を切り離し、再投入を防ぐ役割を担います。設置場所によっては、毎日のように洗浄水や薬品を浴びます。
本資料は、食品機械メーカーの設計者と食品工場の設備担当者に向けて、衛生・安全・保全の3つの観点から電源周りの設計の要点をまとめた技術ハンドブックです。後半では、当社ディスコンスイッチの仕様と外形寸法を掲載しています。

【このような疑問にお答えします】
・高圧温水で洗う機械には、どの保護等級の電源スイッチを選べばよいか
・IP69とIP69Kは同じ意味か
・主電源を切れば、そのまま清掃や刃物交換に入ってよいか
・ブレーカーを毎日の電源スイッチとして使い続けてよいか
・EUや米国向けの機械では、電源スイッチに何が求められるか
・アルコールや小麦粉を扱う工程では、どんな防爆機器を選ぶか

【こんな方におすすめです】
・食品機械の制御盤や電源回路を設計している電気・機械設計者
・高圧温水洗浄や薬品洗浄に耐える電源スイッチを探している方
・清掃・保全時のロックアウト(施錠)の仕組みを見直したい設備担当者
・EUや米国へ食品機械を輸出する予定がある方
・ブレーカーを電源スイッチ代わりに使っていて、故障や交換に困っている方

【この資料で分かること】
■食品機械に関わる法規・規格の全体像
食品衛生法(HACCP)、労働安全衛生規則第107条、JIS B 9650、EU機械規則(2027年1月適用)、EN 1672-2、米国のFSMA・NFPA 79・OSHAのロックアウト規則などを、「食品の衛生」「機械安全」「電気」の3系統に整理しました。日本・EU・米国・国際規格の一覧表で、電源スイッチへの要求を比べられます。

■ブレーカー、ロッカースイッチ、ディスコンスイッチの違い
規格、断路への適合、施錠、非常停止との兼用、開閉耐久性、保護等級を比較表にまとめています。

■衛生設計から見た電源スイッチの選び方
衛生ゾーンの考え方、保護等級(IP54〜IP67、IP69とIP69Kの違い)、SUS304・SUS316や樹脂の耐薬品性、水が溜まらない筐体形状、ケーブルグランドの向き、洗浄後の結露対策を解説します。

■保全時の電源隔離と作業安全
IEC 60204-1の入力電源断路器、ロックアウト・タグアウトの手順、接点が溶着するとハンドルがOFFに回らない「断路保証」、非常停止との兼用条件、トラップキー・インターロックとの組合せを取り上げます。

■耐久性と防爆
負荷種別(AC-21・AC-23)による選定、電気的寿命の例、結露・塩分・薬品への対策、点検項目、ガス・蒸気と粉じんを区別した防爆の考え方を説明します。

■導入事例
・梱包機メーカー:ブレーカーからディスコンスイッチに変更し、耐久性が向上
・充填機メーカー:丸型圧着端子対応品を採用し、部品点数を削減
・電気グリラーメーカー:高温多湿の厨房で、接点不良がほぼなくなった

【設計・打合せにそのまま使える表】
・設計打合せでユーザーと確認する8項目
・電源スイッチ周りの衛生設計チェックリスト(12項目)
・電源周りの安全設計チェックリスト(7項目)
・電源スイッチの点検項目表
・選定のご相談に必要な情報の一覧

【掲載製品】
クラウスアンドナイマー社のディスコンスイッチ(断路用開閉器)を、仕様表と外形寸法付きで14ページにわたり掲載しています。
・丸型圧着端子対応 パネル取付けタイプ(20A〜315A、IP66)
・樹脂ボックス入りタイプ(IP66/IP67)
・金属ボックス入りタイプ(鉄製、ステンレス製)
・耐圧防爆構造タイプ(Ex db IIC T6 Gb、最大100A)
・クランプ式端子 KGシリーズ(4つ穴・単穴のパネル取付け、底面取付け、ボックス入り)

【資料の仕様】
A4判/全40ページ/2026年9月改訂
発行:クラウスアンドナイマー株式会社

このカタログについて

ドキュメント名 【技術ハンドブック】食品機械の電源周り設計ハンドブック
ドキュメント種別 ハンドブック
ファイルサイズ 3.5Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 クラウスアンドナイマー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

この企業の関連カタログ

この企業の関連カタログの表紙
【技術ハンドブック 】 ディスコンスイッチの知識と安全対策事例
ハンドブック

クラウスアンドナイマー株式会社

この企業の関連カタログの表紙
【応用事例付き】 クラウスアンドナイマー カムスイッチ総合カタログ
製品カタログ

クラウスアンドナイマー株式会社

この企業の関連カタログの表紙
【技術ハンドブック】機械安全の基礎知識とディスコン+トラップキー
ハンドブック

クラウスアンドナイマー株式会社

このカタログの内容

Page1

⾷品機械の設計者と設備担当者のための技術資料 ⾷品機械・装置の 電源周り設計ハンドブック 洗浄条件と安全要求に合わせた電源スイッチの選定 衛⽣設計と保全作業から考える、断路・施錠・製品選定 クラウスアンドナイマー株式会社 2026 年 9 ⽉ 25 ⽇ 改訂 20260925
Page2

⽬ 次 1 はじめに ---- 3 6 電源の隔離と作業安全 ---- 16 2 ⾷品産業を取り巻く環境 ---- 4 断路表⽰・⾮常停⽌・鍵連動 ---- 17 設計条件の整理 ---- 5 安全設計チェックリスト ---- 18 3 法規・規制・規格 ---- 6 7 保全・耐久性と防爆 ---- 19 ⽇本・EU・⽶国・国際規格 ---- 7 防爆・点検と交換 ---- 20 要求の⼀覧と海外向け実務 ---- 8 8 導⼊事例 ---- 21 4 ⾷品機械と電源周りの構成 ---- 9 9 製品紹介 ---- 22 機器の⽐較 ---- 10 丸型圧着端⼦対応製品 ---- 23 電源構成と操作位置 ---- 11 耐圧防爆製品と外観 ---- 30 5 衛⽣設計 ---- 12 クランプ式端⼦の KG シリーズ ---- 32 保護等級と材質 ---- 13 10 電源スイッチ選定のご相談 ---- 37 筐体・取付け・洗浄 ---- 14 出典・参考資料 ---- 38 設計チェックリスト ---- 15
Page3

1 章 はじめに Q なぜ今、⾷品機械の「電源周り」に注⽬するのか。 ⾷品機械の電源スイッチは、動⼒の⼊り切りに加え、清掃や保全の際には電源を切り離し、再投⼊を防ぐ役割を担い ます。設置場所によっては洗浄⽔や薬品にさらされるため、電気定格だけでなく、洗浄条件と作業⼿順に合わせて選 定します。 ⾷品⼯場では、機械の内部に⼊る清掃、刃物の交換、詰まりの除去など、停⽌中に危険部へ近づく作業があります。 主電源を落として、そのまますぐに保守点検作業に⼊ってよいのか、構造的に電源や空気圧を隔離する必要があるか を、設計段階で整理しておくことが重要です。 本書は、⾷品機械メーカーの設計者と⼯場の設備担当者に向けて、衛⽣・安全・保全の観点から電源周りの要点を まとめたものです。機械を電源から切り離す⼊⼒電源断路器の代表的な機器が、負荷の開閉と断路の両⽅に使える ディスコンスイッチです。 前半では設計上の判断を整理し、後半ではクラウスアンドナイマーの製品仕様と外形⼨法を紹介します。機械の⽤途、 供給電源、洗浄⽅法、設置場所が決まった段階で、必要な仕様を確認する資料としてお使いください。 図 1.⾷品⼯場の洗浄作業のイメージ。電気部品も⽇常的に⽔と薬品にさらされる 3 20260925
Page4

2 章 ⾷品産業を取り巻く環境 Q ⾷品機械に求められる要件は、どこから来ているのか。 2.1 ⼈⼿不⾜と省⼒化投資 農林⽔産省の資料(2025 年 8 ⽉)によると、⾷品産業の国内⽣産額は 105.8 兆円(2023 年概算)、就業 者数は 833 万⼈(2024 年)です。⼈⼿の確保が難しい状況が続いており、⼯程の機械化・省⼒化が進んでいま す。機械化の際は、⽣産⼯程とあわせて、洗浄・段取り替え・保全のしやすさも設計の条件に⼊れます。 2.2 衛⽣管理の⾼度化︓HACCP 義務化後の現場 HACCPに沿った衛⽣管理は、2021年6⽉1⽇から原則としてすべての⾷品等事業者が対象となりました。HACCP は⼯程の危害要因を分析し、管理⽅法を定めて実施・記録する仕組みです。機械の設計では、衛⽣管理計画に沿 って洗浄・点検できる構造を確保し、実際に使う洗剤や洗浄温度などの条件をユーザーと共有します。 2.3 輸出拡⼤と国際規格への適合 農林⽔産物・⾷品の輸出額は、2025 年に 1 兆 7,005 億円となりました。輸出が増えると、⾷品⼯場には輸出先の ⾷品安全の要求が、機械メーカーには納⼊国の機械・電気の要求がかかります。EU 向けの機械には機械指令 (2027 年 1 ⽉ 20 ⽇からは機械規則)への適合が必要です。⽶国向けでは、⾷品衛⽣、電気設備、労働安全の 規則と、設置先の検査に対応します。 図 2.⾷品産業の国内⽣産額の内訳(2023 年)と農林⽔産物・⾷品の輸出額の推移 4 20260925
Page5

2.4 安全で働きやすい職場づくり 厚⽣労働省の令和 7 年の労働災害統計では、休業 4 ⽇以上の死傷者数は全産業で 135,333 ⼈、製造業で 26,371 ⼈でした(新型コロナウイルス感染による労災を除く)。⾷品機械でも、清掃や調整の際に不意に機械が動 く事故を防ぐ必要があります。労働安全衛⽣規則第 107 条に沿った運転停⽌と再起動防⽌の措置を、機械の構造 と作業⼿順の両⽅に反映します。 2.5 設計打合せで整理する条件 機械の仕様を決める打合せでは、次の項⽬をユーザーと確認します。既設機に後付けする場合も、同じ項⽬で現在の 作業⼿順と設置環境を調べます。 確認項⽬ 打合せで確認する内容 ⼯程と機械 製品、⼯程、設備の名称、清掃・点検時に触れる場所 負荷 電源電圧、モーターとヒーターの容量、始動⽅式、同時運転 洗浄 薬剤名・濃度・温度、⽔圧、噴射距離、頻度、洗浄範囲 停⽌と隔離 清掃・詰まり除去・刃物交換など、作業ごとの停⽌と隔離⽅法 別のエネルギー 空気圧、油圧、重⼒、蓄積電荷、惰性回転、別系統の電源 取付け 操作位置、盤やフレームの⼨法、電線、端⼦、グランド 納⼊先 設置国、顧客の規格指定、必要な認証と承認 保全 操作頻度、作業⼈数、施錠⽅法、点検基準、予備品 5 20260925
Page6

3 章 ⾷品機械・装置に関わる法規・規制・規格 Q 数ある法規・規格のうち、電源周りの設計に有効なのは何か︖ 3.1 全体像︓三つの規格体系が電源周りで交差する ⾷品機械に関わる要求は、⾷品の衛⽣、作業者の安全(機械安全)、電気装置の三つの系統に分けると整理しや すくなります。電源スイッチはこの三つが重なる部品で、洗浄に耐えること、電源を切り離して施錠できること、負荷に合 った開閉性能を持つことが求められます。なお、法律、規格、任意の認証制度では拘束⼒が異なります。 図 3.⾷品機械に関わる三つの規格体系と電源スイッチへの要求 6 20260925
Page7

3.2 ⽇本の法令・規格 ⾷品衛⽣法施⾏規則(別表第 19)には、機械器具を洗浄・保守・点検しやすい構造とする基準があります。 HACCP を実⾏できるかどうかは機械の構造で決まるため、機械メーカーは、⾷品に接触する部分の材質、洗浄範囲、 分解・点検の⽅法を、使⽤者の衛⽣管理計画と突き合わせます。 労働安全衛⽣規則第 107 条は、掃除・給油・検査・修理・調整の際に危険のおそれがある場合の運転停⽌と、停 ⽌後の再起動防⽌措置を定めています。再起動防⽌の措置には、起動装置への施錠や表⽰板の取付けなどがあり ます。南京錠で施錠できるディスコンスイッチは、電源の再投⼊を防ぐ構成に利⽤できます。ただし、条⽂が特定の製品 や配置を⼀律に指定しているわけではありません。 JIS B 9650-1:2021 は⾷品機械の安全設計、JIS B 9650-2:2021 は衛⽣設計の要求事項を定めています。 電気装置の要求は JIS B 9960-1(IEC 60204-1 対応)にあります。 3.3 EU の規則・規格 EU 機械規則(EU)2023/1230 は、機械指令 2006/42/EC に代わり、原則 2027 年 1 ⽉ 20 ⽇から適⽤さ れます。⾷品機械には材料の衛⽣性、洗浄・消毒のしやすさなどの要求があります。どちらの法令が適⽤されるかは、 機械を市場に出す⽇で決まります。 EN 1672-2:2020 は⾷品加⼯機械の衛⽣と洗浄性の規格で、⾷品接触の有無や、⾶散した⾷品が製品に戻る 可能性に応じて材料と構造を定めています。電気装置は EN 60204-1、⾷品接触材料は規則(EC)No 1935/2004 と樹脂の規則(EU)No 10/2011 が対象です。EN 規格は対応する IEC 規格と版が異なることがあ ります。EHEDG のガイドラインは法規ではありませんが、欧州で衛⽣設計の基準として広く参照されています。 3.4 ⽶国の規則・規格 ⽶国の 21 CFR 117.40 は、⾷品製造の設備・器具に対し、⼗分に洗浄でき、適切に維持できる設計・材料・仕上 げを求めています。⾷品に接触しない設備も、清潔で衛⽣的な状態を保てる構造とします。 衛⽣設計の基準には、3-A 衛⽣基準や NSF/ANSI の⾷品機器規格もあります。任意の制度ですが、納⼊先の購 買仕様で指定されることがあります。 ⽶国向けの産業機械では、NFPA 79 が電源の断路⼿段と、それを OFF 位置で施錠できることを求めています。職場 での保全作業には OSHA 規則 29 CFR 1910.147 が適⽤され、施錠できるエネルギー遮断装置には原則としてロ ックアウトを⾏います。 3.5 国際規格 ⾷品衛⽣の基礎となる⽂書に、Codex の「⾷品衛⽣の⼀般原則」CXC 1-1969(2022 年改訂)があります。 ISO 22000 は⾷品安全マネジメントシステムの規格で、FSSC 22000 は ISO 22000、前提条件プログラム、追加 要求事項を組み合わせた認証制度です。FSSC 22000 は 2026 年 5 ⽉に Version 7 が公表され、Version 6 か らの移⾏期間にあります。これらは⼯場の認証ですが、前提条件プログラムには設備の衛⽣的な設計も含まれます。 機械の衛⽣設計には ISO 14159、機械安全の基本には ISO 12100 を参照します。電気装置は IEC 60204- 1、開閉器と断路器は IEC 60947-3、外郭の保護等級は IEC 60529、防爆は IEC 60079 シリーズが定めてい ます。ISO 20653 は⾃動⾞⽤の保護等級規格ですが、⾼圧温⽔への性能表⽰(IP69K)として⾷品機械向けの 製品にも使われます。 7 20260925
Page8

表 1.⾷品機械の電源周りに関わる主な法規・規格と要求 地域 ⾷品安全・衛⽣ 機械安全 電気・部品 電源スイッチへの要求 JIS B 9960-1(IEC ⾷品衛⽣法(HACCP 義 労働安全衛⽣法・安衛則第 60204-1)/JIS C 8201- 洗浄条件に応じた構造、 ⽇本 務化 2021 年 6 ⽉)/ 107 条/JIS B 9700/JIS 3(IEC 60947-3)/JIS C 断路、再起動防⽌の措置 JIS B 9650-2:2021 B 9650-1:2021 0920(IEC 60529) 機械指令/機械規則の⾷ ⼊⼒電源断路器(AC- 機械規則(EU)2023/1230 品機械要求、EN 1672- EN 60204-1/EN 60947- 23B 相当)、OFF 位置 EU (2027 年 1 ⽉ 20 ⽇適 2、⾷品接触材料規則、 3/EN 60529、ISO 20653 で施錠、洗浄性のある筐 ⽤)/EN ISO 12100 EHEDG 体 FSMA 21 CFR 117.40 OSHA 29 CFR 1910.212 NFPA 79(2024)/NEC 適⽤規格と設置先の要求 ⽶国 /3-A SSI/NSF/ANSI (機械防護)/1910.147 (NFPA 70)/UL 規格 に沿った断路・施錠・表⽰ ⾷品機器規格 (LOTO)/ANSI B11 Codex CXC 1-1969/ IEC 60204-1/IEC 国際規格の適合に加え、 ISO 12100/ISO 13849- 国際 ISO 22000/FSSC 60947-3/IEC 60529/ 納⼊国と機械全体の要求 1/ISO 14119 22000/ISO 14159 IEC 60079 を確認 3.6 規格から読み取れる「電源周り」の共通要求 地域ごとに法規の建付けは異なりますが、電源スイッチへの要求はほぼ共通しています。洗浄条件に耐える構造である こと、負荷を開閉して確実に断路できること、OFF 位置で施錠できることの三点です。IEC 60947-3 に適合した製品 を選んでおけば、各国の規格への説明がしやすくなります。そのうえで、納⼊国で必要な認証と取付け条件を満たしま す。 3.7 海外向け機械で押さえておきたい実務ポイント EU 向けでは、機械を市場に出す時点の法令に従って適合性評価を⾏い、技術⽂書と適合宣⾔書を整えて CE マー キングを表⽰します。整合規格に従って設計すれば適合が推定されますが、対象は EU 官報に掲載された規格が扱う 要求に限られます。部品の適合宣⾔書や認証書は、型式と版が分かる形で技術⽂書に綴じておきます。 ⽶国向けでは、OSHA 規則、NFPA 79、電気⼯事規程(NEC)と設置先の要求に合わせます。職場で使う電気 機器には、OSHA が認定する試験機関(NRTL)の認証が求められ、UL はその⼀つです。制御盤には UL 508A、 部品には UL 508 などの認証があります。部品が認証品でも、設置の可否は現地の検査官(AHJ)が判断します。 輸出仕様は、納⼊先の要求をつかんでから決めます。断路器では、認証、電圧と負荷定格、短絡保護装置との組合 せ、接地、配線⽅式、表⽰が主な確認項⽬です。 8 20260925
Page9

4 章 ⾷品機械の種類と電源周りの構成 Q ⾷品機械の電源スイッチには、どんな機器が使われているのか。 4.1 ⼯程別に⾒る⾷品機械・装置 ⾷品機械は、原材料の受⼊れから出荷までの⼯程に沿って多種多様です。前処理⼯程では洗浄機・⽪むき機・カッタ ー・ミキサー、調理⼯程ではフライヤー・オーブン・蒸し器・殺菌機・充填機、検査⼯程では計量器・⾦属検出機・X 線 検査機、包装⼯程では包装機・シール機・製函機・コンベアが使われます。⼯程や⾷品の種類が違えば、扱う電⼒ (ヒーター負荷かモーター負荷か)、洗浄の⽅法(⽔洗いか、⾼圧温⽔か、薬品か)、設置環境(常温か、⾼温 多湿か、冷蔵か、粉じんが舞うか)も⼤きく異なります。電源周りの設計は、こうした個々の機械の使われ⽅を前提に 考える必要があります。 図 4.⼯程別の⾷品機械・装置の例 9 20260925
Page10

4.2 電源スイッチとして使われている三つの機器 機械の主電源を⼊り切りする部品として、国内の⾷品機械では主に三種類の機器が使われています。 ブレーカー(配線⽤遮断器)は、過負荷や短絡のときに電路を開いて回路と電線を守る機器です。IEC 60947-2 に適合する製品のうち断路に適したものは、⼊⼒電源断路器にも使えます。ただし本来の役割は保護なので、毎⽇の ⼊り切りに使う場合は、開閉回数と施錠⽅法を型式ごとに調べておく必要があります。 ロッカースイッチは、操作部の両端を交互に押して回路を開閉する機器⽤スイッチで、⼩型の厨房機器や制御回路に 使われます。⼀般に断路や施錠を想定した部品ではないため、機械の⼊⼒電源断路器には向きません。 ディスコンスイッチ(断路⽤開閉器)は、IEC 60947-3 で負荷開閉と断路の両⽅の性能が規定された機器です。接 点が開くまで OFF を表⽰しない構造で、パドロックハンドルを使えば OFF 位置で施錠できるため、保全時の電源隔離 に向いています。⾮常停⽌との兼⽤は、6.4 で述べる条件を満たせば可能です。 表 2.電源スイッチとして使われる三種類の機器の⽐較 項⽬ ブレーカー ロッカースイッチ ディスコンスイッチ 規格 JIS C 8201-2-1/IEC JIS C 4526-1/IEC 61058- JIS C 8201-3/IEC 60947-3 60947-2 1 本来の⽬的 過電流からの回路・電線保護 機器の回路の接続・遮断 負荷開閉と断路(電源の確実な切 り離し) 断路への適合 断路適合品と⾮適合品があ ⼀般に断路⽤途を想定しない 断路⽤開閉器として規定 る 施錠 別売のロック部品で対応する ⼀般に施錠を想定しない パドロックハンドルで標準対応 (LOTO) 型式あり ⾮常停⽌兼⽤ ⼀般的ではない ⾮常停⽌⽤の操作部ではない 条件を満たせば兼⽤可(6.4) 開閉耐久性 保護が主⽬的。短絡遮断後 ⼩電流の機器回路向け 負荷開閉⽤に設計(表 6) は点検が必要 保護等級 盤内設置が前提 型式による IP66/IP67、IP69K 対応品あり 10 20260925
Page11

4.3 電源周りの基本構成 構成例は、⼯場側の分電盤、機械の⼊⼒電源断路器、機械内部の制御機器、モーターやヒーターという順です。過 電流保護と、保全時の電源隔離に必要な機能を整理して機器を選びます。断路に適したブレーカーを兼⽤する構成 も可能ですが、操作位置や開閉頻度を考慮し、開閉器として専⽤設計されたディスコンスイッチが有⼒な選択肢になり ます。 4.4 電源スイッチの配置と操作性 ⼊⼒電源断路器の操作部は、作業者が操作しやすく、どの設備の電源かが分かる位置に設けます。設置⾼さ、盤の 外からの操作、OFF 位置での施錠は、IEC 60204-1(JIS B 9960-1)に規定があります。⾷品機械では、さらに 次の点を検討します。 ・機械と断路器の対応が分かる表⽰を付ける。制御盤が離れている場合は、機械のそばでも電源を切って施錠でき るようにする ・洗浄⽔が直接当たる位置や床の跳ね⽔を受ける位置を避ける。避けられない場合は、洗浄⽔の温度・圧⼒・距離 に合った保護等級の製品を選ぶ ・ハンドルの周囲に南京錠を掛けるための空間を確保し、複数⼈作業を想定して多重ロック⽤の掛け⽳数を確認す る ・機械に複数の電源(主電源・別系統の制御電源・ヒーター電源など)がある場合は、それぞれに断路器を設け、 「複数電源あり」の警告表⽰を⾏う ・インバーター等を含む回路では、停⽌処理と主回路遮断の順序を機器メーカーの指⽰に従って設計する。補助接 点を⽤いる場合は動作順序も確認する 配置は、作業者の動線、洗浄の範囲、保全時の作業位置を図⾯上で確認して決めます。 11 20260925
Page12

5 章 衛⽣設計から⾒た電源周りの要件 Q 洗浄と衛⽣の⾯から、電源スイッチと筐体にはどんな構造が要るのか。 5.1 衛⽣ゾーンの考え⽅と電気部品の配置 衛⽣設計では、機械の表⾯を、⾷品が接触する⾯、⾶散した⾷品が付着する⾯、⾷品と接触しない⾯に分けて考え ます。⾶散した⾷品が製品に戻るおそれのある⾯は、⾷品接触⾯として扱います。電気部品の防⽔仕様は、この区分 とは別に、洗浄⽔が実際にかかる範囲から決めます。 電源スイッチや制御ボックスは、⾷品を汚染しない位置に置きます。ただし⾷品⼯場では機械全体を⽔で洗い流すこと が多く、⾮⾷品領域の部品にも洗浄⽔や薬品がかかります。仕様は、実際の洗浄範囲と、清掃・点検に必要な空間 から決めます。 図 5.衛⽣ゾーンの区分と電気部品の配置の考え⽅ 12 20260925
Page13

5.2 保護等級(IP コード)と IP69K 保護等級(IP コード)は、外郭による固形物と⽔の侵⼊に対する保護を⽰します。第 1 特性数字が固形物、第 2 特性数字が⽔に関する表⽰です。⾷品⼯場で⼀律に決まった IP 等級はありません。ホース洗浄、⾼圧温⽔、浸⽔と いった設置箇所の条件から選びます。 ⾼圧温⽔に対する保護には、IEC 60529 の IPX9 と、ISO 20653 の IPX9K があります。IP69 と IP69K は試験 条件が異なる別の表⽰です。IP69K の試験は⾼圧の温⽔を吹き付けるもので、浸⽔や薬品への耐性は含みません。 浸⽔のおそれがある場所では、IPX7 も満たす製品を選びます。 表 3.⾷品機械で使われる主な保護等級(IEC 60529/ISO 20653) 表⽰ 固形物・粉じん ⽔ ⾷品⼯場での⽬安 IP54 粉じんの侵⼊が有害な量になら あらゆる⽅向からの⾶まつ 乾燥した⾮⾷品ゾーン、盤内 ない IP65 粉じんが侵⼊しない(耐じん) あらゆる⽅向からの噴流⽔ ⽔洗いがかかる部位 (6.3mm ノズル) IP66 同上 あらゆる⽅向からの暴噴流⽔ ホース洗浄を受ける部位 (12.5mm ノズル、100L/min) IP67 同上 所定条件での⼀時的な浸⽔ 床置き機器、⽔が溜まる部位 IP69K 同上 ISO 20653 の⾼圧温⽔試験 ⾼圧温⽔洗浄を受ける部位。浸⽔・薬 品への耐性は含まない 5.3 材質と耐薬品性 ⾷品⼯場の洗浄では、アルカリ性洗剤で油脂やたんぱく質を分解し、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系薬剤で殺菌 し、場合によっては酸性洗剤でスケールを除去します。電源スイッチの筐体やハンドルは、これらの薬品と温⽔に繰り返 しさらされることになります。 ⾷品設備には SUS304 や SUS316 がよく使われますが、ステンレスも洗浄条件によっては腐⾷します。SUS316 は モリブデンを加えて塩化物による孔⾷に強くした材料で、塩素系薬剤や塩分の多い⼯程で選ばれます。それでも⾼濃 度の次亜塩素酸塩には注意が必要です。薬剤の種類、濃度、温度、接触時間、すすぎ⽅法をユーザーから聞き取り、 筐体メーカーの耐薬品性データと照らし合わせます。 樹脂の筐体、ハンドル、シール材も同じです。ポリカーボネート、ポリアミド、EPDM、シリコーンは、それぞれ耐えられる薬 品と温度の範囲が違います。洗浄剤と温度の組合せ、洗浄の回数まで伝えて、メーカーのデータで判断します。 13 20260925
Page14

5.4 筐体形状と取付け︓汚れが溜まらない構造 EHEDG のガイドラインや EN 1672-2 の基本は、「洗浄できない場所を作らない」ことです。電源スイッチのボックスや 取付け部についても、次のような点を設計段階で確認します。 ・天⾯に⽔が溜まらないよう、傾斜した屋根や丸みのある形状とする。⽔平の平⾯や上向きの溝は避ける ・筐体と壁・フレームの間に密着した隙間を作らない。壁⾯から離して取り付けるか、スペーサーで背⾯を洗浄できるよ うにする ・ボルト頭、ナット、ねじ⽳、ヒンジなど汚れが溜まる凹凸を最⼩限にする。ドーム形のねじ頭や、ねじ部が露出しない構 造が望ましい ・ケーブルグランドは筐体の下⾯または側⾯に設け、上⾯からの配線引込みは避ける。グランド⾃体も IP66/IP69K に対応した製品を選ぶ ・銘板やラベルは剥がれて異物にならないもの(刻印、レーザーマーキング、耐⽔ラベル)を使う ・蓋のシールは溝に確実に保持され、洗浄時に外れたり切れたりしないこと。シール材は⾷品⼯場向けの耐薬品グレー ドとする パネル取付け型では、ハンドル部のガスケット、取付け⽳の⼨法、パネルの平⾯度が保護性能を左右します。スイッチの IP 等級は、正しく取り付けて初めて制御ボックスの性能になります。ボックス型も、ケーブルグランドの取付けや追加の⽳ 加⼯をした後の状態で性能が決まります。 5.5 洗浄⽅式と電気部品への影響 洗浄⽅法には、⽔洗い、⾼圧温⽔、発泡洗浄、配管内部を循環洗浄する CIP があります。電気部品への影響が⼤ きいのは⾼圧温⽔洗浄です。温⽔で温まった筐体が急に冷えると、内部が負圧になり、シールのわずかな隙間から⽔を 吸い込むことがあります。ドレンや通気部品を追加する場合は、衛⽣性と保護等級を損なわない組合せをメーカーと決 めます。 清掃時の電源隔離は、作業内容に応じて決めます。危険部に⼿を⼊れる作業では、電源の遮断と施錠に加えて、空 気圧や重⼒によるエネルギーも処置し、安全な状態を確かめてから作業に⼊ります。断路器を OFF にしても電源側の 端⼦には電圧が残るので、盤内の作業では感電に注意します。 14 20260925
Page15

5.6 設計チェックリスト︓電源スイッチ周りの衛⽣設計 5 章の内容を、設計審査で使えるチェックリストにまとめます。機械の仕様書やユーザーの要求仕様と照らし合わせてお 使いください。 表 4.電源スイッチ周りの衛⽣設計チェックリスト 確認項⽬ 確認内容 参照 ゾーン区分 ⾷品への汚染を避け、実際の洗浄範囲を考慮して配置したか 5.1 保護等級 ⽔の圧⼒・温度・距離に合う保護等級か。薬品への耐性も調べたか 5.2 ⽔没の可能性 床置き・⽔が溜まる部位では IP67 を併せて満たすか 5.2 ⾦属材質 薬剤の種類・濃度・温度・接触時間に対する材料の耐性を確認したか 5.3 樹脂・シール材 筐体樹脂・ガスケット・ハンドルが洗浄剤(アルカリ・塩素・酸)と温度に耐えるか 5.3 天⾯形状 ⽔が溜まる⽔平⾯・上向きの溝がないか。傾斜天⾯または丸みのある形状か 5.4 取付け部 壁⾯・フレームとの密着隙間がないか。背⾯を洗浄できるか 5.4 締結部 ボルト頭・ねじ⽳・ヒンジなど汚れが溜まる凹凸を最⼩限にしたか 5.4 配線引込み ケーブルグランドは下⾯または側⾯か。グランドの IP 等級はボックスと同等か 5.4 表⽰ 銘板・ラベルは剥がれて異物にならないか(刻印・レーザーマーキング等) 5.4 洗浄後の結露 急冷による負圧吸込みを考慮し、乾燥時間や呼吸弁の要否を検討したか 5.5 洗浄⼿順 作業に必要な電源等の隔離・施錠と安全状態の確認⼿順を⽰したか 5.5・6 章 5.7 コラム︓洗浄で劣化する電気部品の典型例 ⾷品⼯場で電気部品の浸⽔や腐⾷が起きたとき、原因として多いのは、洗浄後の急冷による結露と吸込み、薬品と 温度によるガスケットの硬化・つぶれ、ケーブル外径に合わないグランドや締付け不⾜、塩素系薬剤によるステンレスの 孔⾷です。部品そのものより施⼯と洗浄の条件に原因があることが多いため、調査では洗浄条件と施⼯状態も記録し ます。 15 20260925
Page16

6 章 安全から⾒た電源周りの要件 Q 機械安全・労働安全の規格は、電源スイッチに何を求めているのか。 6.1 IEC 60204-1 が求める「⼊⼒電源断路器」 IEC 60204-1 は、機械への⼊⼒電源ごとに⼊⼒電源断路器を設けることを求めています。代表的な機器が、IEC 60947-3 に適合する使⽤負荷種別 AC-23B の断路⽤開閉器、つまりディスコンスイッチです。断路に適した回路遮 断器も使えます。いずれの場合も、断路が成⽴するまで OFF を表⽰しないこと、OFF 位置で施錠できることが条件で す。 複数の電源や別系統の補助電源がある機械では、その存在と切り離し⽅を表⽰します。断路器で切れない回路を残 す場合は、規格に沿った表⽰と感電防⽌の措置が必要です。 6.2 労働安全衛⽣規則第 107 条とロックアウト・タグアウト ロックアウトは、エネルギー遮断装置を施錠し、作業中の再投⼊を防ぐ⽅法です。タグアウトは、操作を禁⽌する表⽰を 取り付ける⽅法です。⼿順の根拠は、⽇本では労働安全衛⽣規則第 107 条、⽶国では OSHA 29 CFR 1910.147 です。 制御盤が作業場所から離れていると、別の設備の電源を切ってしまったり、切ったはずの電源を他の⼈が⼊れてしまった りする事故が起きやすくなります。機械のそばにディスコンスイッチを設ければ、作業者が対象の機械を⾒ながら電源を切 り、⾃分の南京錠を掛けられます。複数⼈で作業する場合は⼀⼈ひとりが錠を掛け、全員が外すまで再投⼊できない ようにします。電気以外のエネルギーと残留電荷も処置してから作業に⼊ります。 図 6.機械の直近に設置したディスコンスイッチによるロックアウトのイメージ 16 20260925
Page17

6.3 断路保証︓溶着している場合には異常を検知することが可能 IEC60947-3 規格においてディスコネクトスイッチは接点溶着を想定したアクチュエーター強度試験が課せられて おり、接点溶着時にハンドルを回しても OFF 位置に回らない“断路保証”※1 をしています。つまり、接点の状態とハ ンドルの表⽰が⼀致しており、接点溶着時の事故を防ぐことが出来ます。当たり前のことに思われるかもしれません が、このアクチュエーター強度試験を課していない単なるスイッチはハンドル表⽰と接点の状態が異なり、仮に接点が 溶着していてもハンドルが OFF 位置を⽰していることがあり、メンテナンス時には重⼤な事故も起こりかねない危険な 状態にあることがあります。 ※1 通常操作トルクの 3 倍のトルクにて操作してもハンドルが OFF 位置にならないことを試験する。ただし、 最⼩トルク 100N, 最⼤トルク 200N と 規定されている。 接点溶着時の事故を防ぐ OFF 位置には回せない 断路保証 ON 位置をキープ パドロックもかけられない 過電 流で 溶着 !! 過電流 電流は流れている 図 7.ディスコンスイッチに要求されるアクチュエーター強度試験と安全性の関係 6.4 ⾮常停⽌⽤途への兼⽤ ⼊⼒電源断路器を⾮常停⽌に兼⽤できる場合がありますが、ハンドルを⾚・背景を⻩にするだけでは要件を満たしませ ん。操作しやすさ、停⽌カテゴリー、危険な惰性運動、電源断による保持⼒の喪失、復帰時に⾃動再起動しないこと などを確認します。 6.5 トラップキー・システムとの組合せ トラップキー・システムでは、ディスコンスイッチで電源を切らないと鍵が抜けず、その鍵がないと危険区域の扉が開かない、 という操作の順序を機械的に固定できます。⼤型ミキサーや包装機の内部清掃に向いた⽅法です。惰性運動や残留 エネルギー、区域内への⼈の取り残し、予備鍵の管理も合わせて設計します。カテゴリーやパフォーマンスレベル(PL) は、機械全体の安全機能として評価します。 17 20260925
Page18

6.6 設計チェックリスト︓電源周りの安全 表 5.電源周りの安全設計チェックリスト 確認項⽬ 確認内容 参照 断路器の設置 機械への⼊⼒電源ごとに⼊⼒電源断路器を設けたか 6.1 断路器の種別 IEC 60947-3(JIS C 8201-3)適合のディスコンスイッチ、または同等の断路機能を 6.1 持つ機器か 施錠 OFF 位置で南京錠を掛けられるか。多重ロックに必要な掛け⽳数があるか 6.2 断路保証 断路位置の表⽰が接点の状態と対応する機器か。隔離の確認⽅法を定めたか 6.3 操作部 扉外から操作できるか。設置⾼さと操作性が適⽤規格の要求を満たすか 4.4 ⾮常停⽌兼⽤ 配⾊に加え、操作性・停⽌⽅式・危険な惰性運動・復帰⼿順を評価したか 6.4 インターロック・情報 空気圧や残留エネルギーも処置し、鍵連動を含む安全機能を評価したか 6.5・6.2 作業開始前の隔離確認 対象設備と作業範囲を確認し、関係者に知らせます。通常の⼿順で停⽌し、電源・空気圧・油圧など必要なエネル ギーを隔離して施錠します。残留圧⼒や電荷を処置し、落下や惰性回転も防⽌します。 安全な状態の確認と復帰 隔離状態を確認し、電気作業では適切な⽅法で無電圧を確認します。作業後は⼈員と⼯具、ガードの復旧を確認 し、定めた⼿順で施錠を解除して関係者へ知らせます。例外的な鍵の解除や交替勤務の引継ぎも、あらかじめ⼿順を 決めておきます。 18 20260925
Page19

7 章 保全・耐久性と防爆から⾒た要件 Q ⾷品⼯場の環境で電源スイッチを⻑く使うには、何を確認すればよいか。 7.1 負荷種別と開閉耐久性 開閉器は、電流値に加えて負荷の種類と操作頻度で選びます。IEC 60947-3 の使⽤負荷種別では、AC-21 が抵 抗負荷、AC-23 が電動機などの誘導負荷の開閉で、末尾の A は頻繁な操作、B はまれな操作を表します。電動機 の容量と始動⽅式、同時に始動する台数、インバーターや変圧器の有無から定格を選びます。 電源スイッチを 1 ⽇ 3 回操作すると、年間約 1,000 回になります。規格が定める試験回数と、メーカーが⽰す電気的 寿命・機械的寿命は意味が異なります。表 6 は当社製品のメーカー値です。保全計画には、実際の負荷、電圧、設 置環境に合わせて使います。 表 6.ディスコンスイッチの電気的寿命の例(クラウスアンドナイマー社製品) AC-23A AC-23A AC-3 AC-3 型式 定格電流 機械的寿命 3Φ200V 3Φ400V 3Φ200V 3Φ400V KHR20 20A 14 万回 14 万回 14 万回 14 万回 100 万回 KHR32 32A 10 万回 10 万回 10 万回 10 万回 100 万回 KHR63 63A 10 万回 10 万回 10 万回 10 万回 100 万回 7.2 過電流保護と⽇常の開閉を分けて考える 国内の⾷品機械では、主電源のブレーカーを毎⽇の電源スイッチとして操作している例が多く⾒られます。ブレーカーの 本来の役割は過電流からの保護で、短絡などを遮断した後はメーカーの基準に従って点検・交換します。分電盤のブ レーカーで電線を守り、機械側のディスコンスイッチで⽇常の開閉と保全時の遮断・施錠を⾏えば、役割が分かれます。 7.3 結露・⾼温多湿・塩分・薬品への対策 ⾷品⼯場で電気部品を傷めるのは、温度差による結露、蒸気や油煙を含む⾼温多湿の空気、塩分、洗浄薬品です。 厨房や蒸し⼯程の近くでは、接点が汚れて接触不良を起こすことがあります(8 章の電気グリラーの事例)。IP 等級 が⾼くても内部の結露は起こるため、⽔の侵⼊経路と内部の発熱を⾒て材質、シール、取付け⽅法を選びます。 7.4 交換性・部品点数・端⼦構造 交換のしやすさは、取付け⼨法、電線サイズ、端⼦構造、操作⽅法、南京錠の仕様で決まります。丸型圧着端⼦対 応品なら端⼦台なしで結線でき(8 章の充填機の事例)、クランプ式は裸線やフェルール端⼦で結線できます。定格 電流と取付け形態を機械全体でそろえておけば、予備品を減らせます。 19 20260925
Page20

7.5 粉じん・ガス爆発への配慮 ⾷品⼯場には、⼩⻨粉・砂糖・粉乳・でんぷん・穀物粉などの可燃性粉じんを扱う⼯程や、アルコール(清酒・ウイスキ ー・エタノール殺菌)を扱う⼯程があり、可燃性粉じんや蒸気が空気中に浮遊した状態で着⽕源があれば爆発に⾄り ます。厚⽣労働省の労働災害事例には、貯蔵タンクへ⼩⻨粉を空気圧送している最中に、タンク内の⽩熱灯を着⽕ 源として粉じん爆発が起きた例が紹介されています。 危険区域の区分は、可燃性ガス・蒸気と可燃性粉じんで分かれます。使う機器は、区域、物質、温度に合った防爆 構造と、設置国で必要な認証を備えます。9 章で紹介する耐圧防爆ディスコンスイッチの表⽰ Ex db IIC T6 Gb は ガス・蒸気⽤で、粉じん区域には別の対応が必要です。アルコールを扱う⼯程など、ガス・蒸気の危険区域で機械のそ ばに電源スイッチを置く場合に使えます。 7.6 予防保全の考え⽅︓点検項⽬と交換の⽬安 点検の内容と周期は、メーカーの取扱説明書、洗浄頻度、操作回数、過去の不具合をもとに決めます。表 7 は点検 項⽬の例です。内部点検や端⼦の作業は、電源を隔離し、無電圧を確かめてから⾏います。 表 7.⾷品⼯場における電源スイッチの点検項⽬の例 点検項⽬ 確認内容 ハンドル操作 ON/OFF の操作感が重くなっていないか。位置表⽰が接点状態と⼀致しているか 施錠機構 南京錠の掛け⽳に変形・腐⾷がなく、確実に掛けられるか 筐体・ガスケット ひび割れ・硬化・つぶれ・はみ出しがないか。蓋の締付けは均⼀か ケーブルグランド 緩み・ケーブル外径との不適合・浸⽔痕がないか 内部の結露・腐⾷ 蓋を開けて⽔滴・錆・⽩⾊析出物がないか。ドレン・呼吸弁は機能しているか 端⼦ 端⼦の変⾊・過熱痕・緩みを確認する。増し締めはメーカーの指⽰と指定トルクに従う 表⽰・ラベル 銘板・警告表⽰が読めるか。剥がれかけたラベルがないか 交換は、操作回数が電気的寿命に近づいたとき、ガスケットが劣化して保護等級を保てなくなったとき、端⼦や接点に 過熱の跡が⾒つかったときが⽬安です。短絡を遮断した後や異常な発熱があった後は、周期を待たずに点検します。 20 20260925