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【技術ハンドブック】機械安全の基礎知識とディスコン+トラップキー

ハンドブック

安全規格から機械安全やリスクマネージメントまでを完全解説。安全対策・安全衛生の関係者に必見の技術ハンドブックを進呈!

ディスコンスイッチとトラップキー・システムの導入でISO安全規格に準拠した最上級の安全レベルカテゴリー4とパフォーマンスレベルeが複雑な計算無しで導入可能。

■ こんな課題をお持ちの安全対策・安全衛生の関係者に必見!
・現場の使用者が必ず「正しい行動」をとってくれるような安全対策はないか?
・面倒な情報収集や、複雑で難しい計算がいらない、安全で簡単なリスク対策はないか?

そんなお悩みをお持ちの方は...
ディスコンスイッチ+トラップキーシステムで簡単に導入可能な安全対策を検討してみてください。

■ ディスコンスイッチ+トラップキーシステムのメリット
予め決められた手順のみでしか危険エリアにアクセスできず、危険エリアの防護柵/扉が閉じられたときのみキーを戻して動力供給が再開できるため、ロックアウトやタグアウトよりも確実で安全です。

■ ディスコンスイッチ+トラップキーシステムの3つのポイント
(1) 簡単にカテゴリー4、PLeを実現可能
(2) 誰が行っても確実に危険源が遮断された状態で危険エリアへ侵入可能
(3) 電気的な配線不要で後付けが簡単。防爆エリアにも適用可能。

このカタログについて

ドキュメント名 【技術ハンドブック】機械安全の基礎知識とディスコン+トラップキー
ドキュメント種別 ハンドブック
ファイルサイズ 3.1Mb
取り扱い企業 クラウスアンドナイマー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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安全規格から機械安全や え っ! リスクマネージメントまでを完全解説 ︕ 複雑 な計算は⼀切不要 「 ディスコンスイッチ +トラップキー」 でカテゴリー4,PLe の 安全対策が導入可能!! ディスコンスイッチ トラップキー 20231010
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目次 03 1. はじめに 04 2. 安全対策と企業の社会的責任  労働災害の現状  労働災害に対する企業の責任 06 3. 機械安全とは  教育訓練から安全設計へ  国際安全規格 ISO/IEC の体系図  リスクアセスメントとリスク低減  ISO13849-1 とパフォーマンスレベル  ISO14119 と動⼒インターロック 11 4. ディスコンスイッチ+トラップキー・システム  ディスコンスイッチとトラップキー・システムで Cat4, PLe 導入  応⽤事例・導入事例のご紹介 14 5. ディスコンスイッチ+トラップキー・システム製品紹介  クラウスアンドナイマー社 ディスコンスイッチ  フォートレス・インターロックス社 トラップキー・インターロック 16 6. おわりに 2 20231010
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1. はじめに 産業界における機械の安全性は、今や全世界で注目される課題となっています。最近、国内外の事故報告を⾒ると、 ものづくり現場における安全確保の重要性が際⽴っています。特に熟練者の離職や経験が不⼗分な若⼿・派遣労働者 の増加がこの課題を⼀層難しくしています。とりわけ、機械の設計と製造の段階での安全対策が国際規格、例えば ISO 12100 などによって強く求められており、日本もこれらの安全に対する考え方が浸透しつつあります。 さらに、2006 年からの労働安全衛⽣法の改正や、2012 年、2014 年の労働安全衛⽣規則の改正により、機械の 製造段階から使⽤段階に⾄るまでの安全対策が進化してきました。これに伴い、設計技術者や⽣産技術管理者はもち ろん、機械を直接使⽤する作業者や経営者も、国際的な安全基準に基づいた知識や教育を受けることが⼀層重要と なっています。現代の技術⾰新のスピードに対応するためにも、定期的な教育や情報更新が不可⽋です。 本ハンドブックを通してグローバルな安全構築の考え方を紹介し、事業主やエンジニアたちが安全な製造現場を構築す るための⼀助となることを目指しています。全ての製造業者が人命を第⼀に考え、安全で創造的なものづくりを実現でき るよう願っています。 3 20231010
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2. 安全対策と企業の社会的責任 国内労働災害の現状 私たちの⾝のまわりには機械や設備が数多くあります。特に、⼯業分野の現場、職場には業務を効率化するために ⼤きな動⼒を扱う機械類も多く、危険と隣り合わせとなります。そのため、多くの現場や職場では全員で“労働災害ゼ ロ・死傷者ゼロ“を掲げ、労働災害の減少に取り組んでいます。しかしながら、厚⽣労働省の統計からは、2009 年に 労働災害による休業4日以上の死傷者数が最少となり、その後は増加の傾向が続いています。また、その件数も13 万人という水準です。 労働災害による死傷者数・死亡者数 250,000 6,000 休 210,108 休業4日以上の死傷者数(左目盛り) 業 死亡者数(右目盛り) 200,000 5,000 四 日 4,000 150,000 以 132,355 上 2,550 3,000 の 100,000 105,718 2,000 死 死 亡 傷 50,000 者 774 1,000 数 者 人 数 ( 0 0 人 ) 図 1. 労働災害発⽣状況 (1990 年~2022 年) (出所:厚⽣労働省 HP 労働災害発⽣状況) 製造業の労働災害の発⽣原因を⾒てみる と、”はさまれ・巻き込まれ”が最も多く 24%と全 体の 4 分の1を占めていることが分かります。 ”はさまれ・巻き込まれ”による事故の原因は、⼀ 般的に設備の清掃・保守・点検・調整・設定など の非定常作業によって多く発⽣すると言われます。 止めたはずの機械が思わぬ動作をしたり、第三者 が誤って機械を再始動したりすることが原因となっ ています。つまり、このような想定外の設備の動作 を防ぐことが出来れば、”はさまれ・巻き込まれ”によ る災害の減少が期待できます。 図 2. 2022 年製造業における休業 4 日以上の発⽣原因 (出所:厚⽣労働省 HP 労働災害発⽣状況) 4 20231010 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 ( )
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労働災害に対する企業の責任 国内の労働安全衛⽣に関する企業の責任における重要な論点を以下に詳述します。現代の企業活動は国 内だけにとどまらず、グローバルに展開しているため、国際規格や他国の取り組みとの関連性も併せて説明します。 1. 法的責任と国際規格 日本における法的規定としては、労働安全衛⽣法や産業安全衛⽣法が企業に労働者の健康と安全を守 る責任を明確にしています。これらの法律に違反し、労働者の健康や安全を⼗分に守ることができなかった場 合、罰則が適⽤されることがあります。具体的には、法令違反により労働者が事故を起こした場合、企業や経 営者は罰⾦や懲役などの刑事罰を受ける可能性があります。⼀方、国際的には、多くの国々がそれぞれの法 制度を有していますが、ISO 45001 のような国際規格が労働安全衛⽣マネジメントの指針として広く受け入 れられています。この規格は、事業活動と労働安全衛⽣の統合、リーダーシップの役割強化など、先進的な取 り組みを推奨しています。ただし、ISO 45001 は自主的な基準であり、これに違反した場合の罰則は存在し ません。それでも、規格への準拠は企業の社会的責任を示す重要な指標となっており、グローバルなビジネスで の評価や取引先との関係にも影響を与えることがあります。 2. リスク管理、予防策の実施と国際的な動向 日本の企業は、リスク評価を基盤とした安全対策の策定と実施が要求されています。欧米をはじめとする他 国でも、企業の安全文化の強化やリスクベースのアプローチが取り入れられています。関係者としては ISO 45001 が強調するリスクベースのアプローチの理解と適⽤を深めることが重要です。 3. 教育、訓練と国際的な取り組み 日本では、新入社員や現場労働者向けの安全教育・訓練の重要性が増しています。国際的にも、ILO (国際労働機関)が提供する労働安全衛⽣に関する基準やガイドラインを基に、多くの国で教育・訓練の 体系が構築されています。関係者としては、教育・訓練の質、頻度、内容の更新についての意識を⾼く保つこ とが求められます。 4. 情報開示、コミュニケーションと国際的な動き 日本の企業では、労働者や関係者との情報の開示やコミュニケーションが不可⽋です。加えて、GRI(グローバ ル・リポーティング・イニシアティブ)などの国際的な持続可能性レポーティングフレームワークを参考に、労働安全 衛⽣の情報開示を⾏っている企業も増えています。関係者としては、これらの情報の取り扱いや適切なコミュニケ ーションの⼿法に習熟することが⼤切です。 5 20231010
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3. 機械安全とは 教育訓練から安全設計へ 日本の⼯場設備や機械関連の産業界の中での⻑年の伝統は、事故防止の策として教育訓練を中⼼に置い てきました。従業員やオペレーターは継続的な安全教育を受け、技能の向上や安全意識の醸成を通じて、安全 な作業環境を実現しようとしてきました。 しかし、技術の急速な進化と国際的な潮流の中で、教育訓練だけに頼ったアプローチは限界を迎えつつあります。 機械の⾼度化、設備の複雑化、さらには IoT 技術の導入など、⼯場環境の変化に対応するための新しいアプロ ーチが必要となっています。 この背景の中で、安全な機械設計の新たな考え方として「人は間違える」という原則が注目されています。これは、 どれだけ経験豊富なオペレーターであってもヒューマンエラーは避けられないという考えに基づいています。したがって、 機械や設備の設計段階から、ユーザーのミスを前提とした安全機能を組み込むことが不可⽋です。 加えて、もう⼀つの原則として「機械は壊れる」があります。これは、どんなに⾼品質な機械や設備でも、使⽤や 経年による劣化、あるいは予期しない外的要因によって故障する可能性があるという事実を受け入れるものです。 この考えに基づき、機械が故障した際にも安全を確保する仕組みを構築することが、真の安全設計の実現には⽋ かせません。 安全な機械装置設計のための 2 つの原則 人は間違える 機械は壊れる 図 3. 安全な機械装置設計のための 2 つの原則 欧米を中⼼とする先進国では、これらの原則を取り入れた安全設計の取り組みが進められており、その結果とし て事故の発⽣率の低下や作業効率の向上が実現されています。日本もこの流れを取り入れ、新しい技術や国際 規格との連携の中で、従業員の安全を確保する取り組みを進めているのが現状です。これからのエンジニアや技術 者、および、監督者たちには、これらの原則を深く理解し、それを具体的な設計や運⽤に反映させる能⼒が求めら れるでしょう。 6 20231010
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国際安全規格 ISO/IEC の体系図 近年の機械の国際化に伴い、機械安全に関する国際規格の重要性が増しています。これらの規格は、電気/ 電子技術分野の IEC(国際電気標準会議)と、機械や管理などを対象とする ISO(国際標準化機構)にお いて作成されています。特に ISO/IEC ガイド 51 は、これらの機関から発⾏される安全規格に共通する概念を示 す基本文書として位置づけられています。 国際規格は、それぞれの機関に所属するメンバー国の代表者による審議を経て制定され、製品やシステムのラ イフサイクル全体をカバーする内容となっています。特に、欧州の規格審議委員会は ISO/IEC との協定の下で、 規格の開発において中⼼的な役割を果たしています。 ISO13849-1 や ISO14119 といった具体的な規格は、機械の安全性や動⼒インターロックに関する基準を明 確に示しています。エンジニアがこれらの国際的な基準に準拠した設計を⾏うことで、製品の安全性を証明し、企 業の社会的責任を果たすことが可能となります。 IEC60947 は、低電圧スイッチギアおよび制御装置に関する重要な規格であり、電気装置の設計、製造、試 験に関連する安全要件を明確に示しています。この規格を適⽤することで、機械や制御装置の国際的な安全基 準を満たし、その品質と安全性を⾼めることが期待されます。 ISO/IEC ガイド 51 ISO 機械系 IEC 電気系 機械類の安全性 -設計の⼀般原則- 基本安全規格 リスクアセスメント及びリスク低減 A 規格 (ISO12100) ガードインタロック(ISO14119/JIS B 9710) スイッチ(IEC6094/JIS C 8201) システム安全規格(ISO13849-1/JIS B 9705-1) 電気設備安全(IEC60204/JIS B 9960) 統合⽣産システム(ISO11161) 人体検知⽤センサ(IEC61496/JIS B 9704) ガードシステム規格(ISO14120/JIS B 9716) グループ安全規格 機能安全(IEC61508/JIS C 0508) 非常停止機能(ISO13850/JIS B 9703) B 規格 EMC(IEC61000-4/JIS C 61000) 安全距離規格(ISO13855,13857/JIS B 9715,9718) 防爆安全(IEC60079/JIS C 60709) 再起動防止(ISO14118/JIS B 9714) 両⼿操作制御装置規格(ISO13851/JIS B 9712) マットセンサ類(ISO13856) 個別機械安全規格 C 規格 図 4. 国際安全規格 ISO/IEC の体系図 7 20231010
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リスクアセスメントとリスク低減 ISO12100 に基づき、機械安全設計の核となるのがリスクアセスメントです。この⼿順は、設計や変更の過程で 潜在的な危険性を評価し、それに対する最適な安全対策を構築するためのものです。具体的には、特定されたリ スクが許容範囲内に収まるように、適切な安全方策を選んで実施します。このプロセスは ISO12100 に沿って整 理され、日本でも JIS B 9700 として取り扱われています。 効果的なリスク低減のための方法としては、技術的改良やシステムの再考など多方⾯からのアプローチが考えら れます。図 5 に示されたフローチャートは、リスク低減の具体的なステップを示しています。このフローチャートの左部 分には、リスクの分析とリスクアセスメント、そして右部分には、3ステップメソッドが示されています。この3ステップメソ ッドは、1) 本質的安全設計方策、2) 安全防護及び付加保護方策、そして 3) 使⽤者への必要な情報提供、 という 3 つの段階から成り⽴っています。これらの⼿順に従うことで、リスクを段階的に軽減することが可能となりま す。 開始 3 ステップメソッド による保護方策 危険源は はい 機械類の制限の決定 除去できるか? ステップ 1 本質的安全設 意図したリスクの低減 リ リ いいえ 危険源の同定 計方策 ス ス はできたか? はい ク ク リスクは本質的安全設計 はい 分 ア いいえ リスクの⾒積り 析 セ で低減できるか? ス メ いいえ リスクの評価 ン ステップ 2 ト 安全保護装置により低減 はい 安全防護 意図したリスクの低減 できるか? 負荷保護方策 はできたか? はい リスクは適切に いいえ いいえ 低減できたか︖ ステップ 3 いいえ 制限の再設定は いいえ 使⽤上の情報 意図したリスクの低減 はい 可能か︖ による方策 はできたか? はい いいえ はい はい 他の危険源を ⽣じるか︖ いいえ 終了 図 5. ISO12100/JIS B9700 によるリスク低減⼿順 8 20231010
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ISO13849-1 とパフォーマンスレベル ■⼆つの重要な概念「カテゴリー」と「パフォーマンスレベル(PL)」 ISO13849-1 は、機械の安全に関連する部分の制御システムの評価に特化した国際規格です。この規格内 では、「カテゴリー」と「パフォーマンスレベル(PL)」という⼆つの重要な概念が取り上げられています。 機械設計における安全措置は単に実施するだけでは不⼗分で、それらの措置が危険源に対して有効であるか の判断が必要です。ここで特に注目すべきは、機械が危険な状況を検知し、適切に動作を制御・停止するシステ ムの評価です。この制御システムの評価に役⽴つのが ISO13849-1 のカテゴリーと PL です。 カテゴリーは制御システムの構造や動作原理に基づく評価で、その動作の確実性や冗⻑性、自⼰監視機能の 有無などを元に区分されます。 ⼀方、PL は、制御システムの信頼性を a から e までの 5 段階で示すものです。これは、回路の構造や故障の 頻度、故障検出の確率などを総合的に評価するもので、それぞれの段階が示すリスク低減のレベルが異なります。 リスクアセスメントを⾏う際、危険源に必要なリスク低減の度合いを示す指標として PLr (要求パフォーマンスレベ ル)が決定されます。この PLr を満たすための安全制御システムの設計と、最終的にそのシステムの PL とカテゴリー を検証することが、ISO13849-1 に基づく評価の核⼼部分となります。 ■ カテゴリーとパフォーマンスレベルの計算の複雑さについて カテゴリーとパフォーマンスレベルの計算は、⼀⾒すると単純に思えるかもしれませんが、実際には複数の要因と条 件を考慮する必要があり、非常に複雑です。これらの評価は、単に機械や制御システムの構造を⾒るだけではなく、 使⽤環境、操作方法、そして潜在的な故障モードなど、多岐にわたる要素を総合的に評価する必要があります。 特に、制御システムが複雑になるほど、その中での故障の組み合わせや影響範囲が増加するため、正確なPLの 計算は⾼度な専門知識と経験を要求されます。また、各部品の故障率や寿命などのデータを正確に取得すること も、計算の精度を⾼める上での⼤きな課題となっています。 さらに、カテゴリーの判定においては、制御システムの冗⻑性や自⼰監視機能の有無、故障時の反応など、多 数の要件を満たす必要があります。これらの要件は互いに関連しており、⼀つの要素が変わるだけで全体の評価 が変わることも少なくありません。 このような背景から、エンジニアがカテゴリーや PL を適切に評価・計算するためには、深い理解と実務経験が不 可⽋です。また、最新の規格や技術動向を常にキャッチアップし、適切なツールやソフトウェアの利⽤も推奨されて います。 カテゴリー (B, 1, 2, 3, 4) カテゴリー、部品の信頼性、 システムの信頼性によって MTTFd DCavg CFF パフォーマンスレベル(PL) 平均危険側故障時間 平均自⼰診断率 共通原因故障信頼性 を決定する 図 6. パフォーマンスレベルの決定方法 9 20231010
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ISO14119 と動⼒インターロック ISO14119 は「機械の安全性 - インターロック装置に関連する安全性 - 設計と選択の原則」というタイトルで、 機械における安全装置の⼀つであるインターロック装置に関する国際規格です。この規格は、特に機械の危険部へ のアクセスを制限するためのインターロック装置の設計、選択、そして適⽤に関する要求事項とガイダンスを提供して います。 インターロック装置は、運転者やメンテナンス作業者が機械の動作中に危険な部分への不適切なアクセスを制限 するための重要な安全装置であり、その役割と効果は計り知れません。ISO14119 は、これらの装置が効果的かつ 信頼性の⾼いものであることを確保するための詳細なガイドラインを提供することで、機械使⽤時のリスクを⼤幅に低 減する役割を果たしています。 また、ISO14119 は、インターロック装置の正しい選択と適切な取り付け位置、さらには定期的なメンテナンスや 検査についての要求も明確に示しています。これにより、エンジニアや設計者は具体的な基準に基づいて最適なイン ターロック装置を選択し、その装置が持つ安全機能を最⼤限に引き出すことが可能となります。 この規格の中で、インターロック装置はその動作原理や技術的特性に基づいて複数の種類に分類されています。 インターロックのうち、動⼒インターロックは「機械アクチュエータへの動⼒供給を直接中断する,又は可動部分を機 械アクチュエータから分離するインターロック。ただし、動⼒供給の再開は,ガードが閉位置にあり,かつ,ロック位置 にある場合だけ可能である。“直接”の意味は,制御インターロックとは違って,制御システムがインターロック機能に おいて中間的な役割を果たさないということを意味する。」と定義されています。つまり、機械アクチュエータへの動⼒ 供給を直接制御するものであり、その動作に制御システムが介入しない点が特徴として挙げられます。 ISO14119 は、ISO13849 と密接に関連しています。ISO13849 は機械の安全関連部の性能についての規 格であり、その中のインターロック装置部分を詳細に取り扱ったのが ISO14119 です。このように、両規格は⼀貫し たフレームワークの下で連携しており、機械の設計と製造に関与するすべての関係者にとって信頼性の⾼いガイドと なっています。 10 20231010
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4. ディスコンスイッチ+トラップキー・システム ディスコンスイッチとトラップキー・システムで Cat4, PLe 導入 ■ディスコンスイッチとは︖ IEC60947-3 / JIS C JIS C 8201-1 にて規定された断路⽤開閉器はディスコンスイッチ(または、スイッチディスコネク ター)と呼ばれています。ディスコンスイッチは、通電中の電流を開閉する開閉器の機能と、電流を遮断した状態で確実に 回路を切り離す断路器としての機能を兼ね備えています。最も重要な機能として接点溶着時に操作ハンドル(アクチュエ ーター)がOFFにならない“断路保証”の試験をもクリアしています。つまり、接点の状態とハンドルの表示が常に⼀致してお り、接点溶着時の事故を防ぐことが出来ます。 ■ トラップキー・システムとは︖ 予め定義されたキー操作により危険エリアへのアクセスを条件付けするキーシステムです。つまり、電⼒遮断、キー交換、 危険エリアへのアクセスがキー操作、または、キー交換によって決められた条件のみでしか出来ないために、安全時のみ危険 エリアへの侵入ができます。 ■ディスコンスイッチとトラップキー・システムで Cat4, PLe 導入 IEC60947-3 に適合したディスコンスイッチを使⽤し、かつ、ISO14119 で規定された動⼒インターロックを組み合わ せることで、直接動⼒を遮断する事が確約出来ていますので制御回路の信頼性は問われません。従って、ISO13849 -1 で定義されている制御システムの安全関連部 SRP/CS に要求されているパフォーマンスレベルの計算が不要となりま す。つまりは、ディスコンスイッチとトラップキーを組み合わせることで最上級の安全レベルカテゴリー4、および、パフォーマン スレベル e(正確には Cat4, PLe 相当)の構築が可能となります。例えば、下図 7 に示すような運⽤例が⼀般的で す。但し、ここで注意すべき点としては、使⽤するトラップキー・システムが素材、耐久性、強度、衝撃/振動への耐性、 機械的寿命、無効化を最小に抑えた設計がされた製品である必要があります。上記に適合したディスコンスイッチ、およ び、トラップキー・システム製品は 14 ページ、15 ページで紹介しています。 ① 設備内に⽴入りを⾏う際、まず始めにディスコンスイッチで動⼒供給を直接遮断します。 ② 動⼒供給が遮断された位置で初めてボルトインターロックの鍵が抜けます。 ③ 抜いたキーをアクセス扉に挿入し回転させると初めて扉を開くことが可能になります。 ④ 扉を開いている間はキーがトラップされ抜くことが出来ません。 電源 ON 電源 OFF 電源スイッチで電⼒を遮断し、トラップキーを操作し、スイッチの キーを⽤いて危険エリアへアクセス パドロックハンドルにボルトを入れて動⼒インターロックして、キーを抜く。 図 7. ディスコンスイッチとトラップキー・システム運⽤⼿順例 11 20231010
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応⽤事例・導入事例のご紹介 セメント・アスファルト原料⼯場: ミキサー点検時の誤った電源投入防止に 課題 方法 結果 原材料を練り混ぜる⼤型ミキ 電源の遮断・投入にディスコ 電源を遮断してキーインター サーは定期的に作業員がミキ ンスイッチを採⽤し、ミキサー ロックをしないと、ミキサーのメ サー内に入り清掃・点検をす 設備のメンテナンス作業⽤ア ンテナンス扉を開けることが出 る必要がある。清掃・点検中 クセス扉にトラップキー・シス 来ないため「人のミス」が原 に誤って電源が投入されて切 テムを導入した。 因の事故を防ぐことが出来 断・巻き込まれの事故が発 た。また、アクセス扉のキーを ⽣。「人のミス」による誤った電 戻して、キーインターロックを 源投入を防止するシステムの 構築が必要。 開示しない限り電源の投入 が出来ないため第三者による 予期せぬ起動を防止できる ようになった。 鉄鋼プラント: モーター使⽤設備への電気配線なしのインターロック追加で安全対策 課題 方法 結果 ⾼電圧のモーターを使⽤した設 ブレーカをディスコンスイッチ ディスコンスイッチで⾼電圧の 備が各所にあり、保全作業時 に変更し、トラップキー・シス 遮断状態を維持しないとモー には動⼒盤に安全札かけをし、 テムによるインターロックシス ター設備のあるエリアの扉を 南京錠によるロックアウトでの安 テムを導入した。 開けることが出来ないため、 全対策をしているが、インターロ 安全時のみ危険エリアへの ックを追加したい。更に、既存 侵入が許可される仕組みが 設備への電気配線なしで追加 構築できた。また、既存設備 対策したい。 に電気配線の追加なしに対 策が追加できた。 12 20231010
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製紙・段ボール⼯場: 危険エリアへの⽴ち入りルール破り対策に 課題 方法 結果 安全札かけで設備内⽴入り 危険エリアの主電源の遮断・投 トラップキーで設備を停止しな を実施しているが、ルールを守 入にディスコンスイッチを採⽤ い限り、設備内への⽴ち入りが らないで⽴入りを⾏い事故が し、更に、メンテナンス作業⽤設 出来ないような仕組みとなり、 起きている。 備入り口のアクセス扉にトラップ 不適切な⽴ち入りによる事故 キー・システムを導入した。 が無くなった。 各種業界 : 天井クレーンの可範囲内での接触事故対策に 課題 方法 結果 天井クレーン運転者がクレーン 天井クレーン電源の遮断・投 最初に主電源を停止してから 可動範囲にいるメンテナンス作 入にディスコンスイッチを採⽤ クレーン可動範囲へメンテナン 業者に気付かずにクレーンを動 し、作業⽤アクセス扉にトラッ ス作業者が侵入することによ かしてしまい挟まれ事故を起こ プキー・システムを導入した。 り、確実に安全を担保するこ しそうになった。現場に安全知 とが出来た。あらかじめ定義さ 識がない作業者が増え、作業 れたキーの受け渡しにより、誰 ⼿順が順守されておらず、ヒヤ が⾏っても安全に操業できる ようになった。 リハットが増えた。 13 20231010
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5. ディスコンスイッチ+トラップキー・システム製品紹介 クラウスアンドナイマー社 ディスコンスイッチ ■特⻑  IEC60947-3/ JIS C 8201-1 適合  日本で最もポピュラーな丸形圧着端子対応の端子構造  最⼤ 315A (380/440V:132kW)  別途 3 極、4 極、6 極、8極対応可能など多極タイプあり  耐紫外線(耐候)タイプ、耐化学薬品タイプのボックスあり ■パネル取り付け対応ディスコンスイッチ (4つ穴 パネル取り付け, IP66, 3 極, 赤/⻩パドロックハンドル) 定格通電電流 定格絶縁電圧 負荷種別 負荷種別 端子ネジ AC-23A@3Φ200V AC-23A@3Φ400V /ボルト 型式 20A 800V 4.5kW 10kW M3 KHR20 T203/01 E 20A 800V 4.5kW 10kW M3 KHR20B T203/01 E 32A 800V 7.5kW 16kW M3.5 KHR32 T203/01 E 63A 1000V 15kW 30kW M5 KHR63 T203/01 E 80A 1000V 18.5kW 40kW M5 KHR80 T203/01 E 125A 1000V 22kW 45kW M10 KG126 T203/01 E 160A 1000V 22kW 55kW M10 KG161 T203/01 E 200A 1000V 30kW 75kW M12 KG211 T203*J-0009 E 250A 1000V 30kW 90kW M12 KG251 T203*J-0003 E 315A 1000V 45kW 110kW M12 KG316 T203*J-0004 E 315A 1000V 55kW 132kW M12 C316 T203/05 E ■鉄製ボックス入りディスコンスイッチ (IP66, 3 極, 赤/⻩パドロックハンドル) 定格 定格 モーター容量 モーター容量 ネジ ボックスサイズ 通電電流 絶縁電圧 @3Φ200V @3Φ400V 補助接点 端子 /ボルト (mm) 型式 20A 800V 4.5kW 10kW 1NO,1NC M3 200x150x120 KHR20B T203*J-8000 JST 32A 800V 7.5kW 16kW 1NO,1NC M3.5 200x150x120 KHR32 T203*J-8000 JST 63A 1000V 15kW 30kW 1NO,1NC M5 250x200x120 KHR63 T203*J-8000 JST 80A 1000V 18.5kW 40kW 1NO,1NC M5 250x200x120 KHR80 T203*J-8000 JST 125A 1000V 22kW 45kW 1NO,1NC M10 400x300x200 KG126 T203*J-8002 JST 160A 1000V 30kW 55kW 1NO,1NC M10 400x300x200 KG161 T203*J-8000 JST 210A 1000V 30kW 75kW 1NO,1NC M12 400x400x200 KG211 T203*J-8000 JST 315A 1000V 55kW 110kW 1NO,1NC M12 600x400x200 KG316 T203*J-8001 JST 14 20231010
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フォートレス・インターロックス社 トラップキー・インターロック ■特⻑  ISO13849-1 カテゴリー4, PLe に適合。パフォーマンスレベルの計算が不要。  過酷な耐環境性が要求される現場での使⽤に好適。  電気⼯事が不要で新規・既存設備に導入可能。 キー② アクチュエーター ドアインターロック ボルトインターロック キー① キー③ キー交換ユニット ドアインターロック 南京錠でのロックアウト⽤の穴を 利⽤してボルトインターロックする パーツを複数組み合わせることで様々な設備にインターロックシステムの導入が出来ます。 ボルトインターロック キー交換ユニット アクチュエーター 拡張モジュール ダストカバー 15 20231010
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6. おわりに コスト増を嫌う文化や教育訓練に頼っていた日本の産業界は機械の安全性において欧米から⼤きく遅れを感じる 部分がありました。しかし、この数年で国内でも機械の安全性に対する理解が深まり、その重要性がより認識されるよ うになってきました。しかし、実際の製造現場を観察すると、労働災害の件数は過去 10 年以上も⼤幅には改善され ておらず、安全への取り組みの必要性がまだまだ⼗分とは言えません。また、国際的な安全基準の導入や、それに伴 う法的な規制の変更など、安全対策の取り組みは以前よりも複雑になってきており機械安全の知識の習得もまた重 要性が増しています。 本ハンドブックでは、労働災害の現状やその背景を踏まえ、安全構築の最新の考え方や⼿法の概略を解説してい ます。また、具体的な実例も交えて、製造現場の安全性向上のための情報を提供しています。特に、カテゴリーやパフ ォーマンスレベルを以て安全対策を導入しなければいけない労働安全衛⽣、および、保全関係者によってはディスコン スイッチ+トラップキー・システムの導入は導入障壁を⼤幅に低くする方法の⼀つになったのではないでしょうか。今後も、 製造業者、技術者、経営者全員が、この理念を守りつつ、新しい時代の製造技術と安全対策のバランスをとることが 求め続けられると思います。このハンドブックが、そのための貴重な資料となることを願っています。 クラウスアンドナイマー株式会社 東京本社 〒105-0013 東京都港区浜松町 1-11-6 吉和田ビル 5F TEL (03)3436-6151 FAX (03) 3436-6325 ⼤阪営業所 〒541-0054 ⼤阪府⼤阪市中央区南本町 2-4-6 インターワンプレイス本町 405 TEL (06)4705-8281 FAX (06)4705-8299 E メール sales-jp@krausnaimer.com Web サイト https://www.krausnaimer.com/jp_ja 16 20231010