1/7ページ
カタログの表紙 カタログの表紙 カタログの表紙
カタログの表紙

このカタログをダウンロードして
すべてを見る

ダウンロード

産業用イーサネットがインダストリ4.0への移行を加速

ホワイトペーパー

インダストリ4.0のビジョンの中心には、接続性があると考えられます。十分に高い接続性が実現されたエンタープライズ環境を実現するためには、どのようなことを行う必要があるのでしょうか。

上位層のIT(情報技術)環境またはエンタープライズ・インフラを、工場のフロアの制御ネットワークと融合しなければなりません。次に、工場のフロアに既に存在する多種多様なネットワークや生産セルのすべてを共存させ、相互運用させる必要があります。更に、製造環境のエッジからエンタープライズ環境のクラウドに至るまで、プロセス環境の全体にわたるシームレスで安全な接続を確保しなければなりません。

これらの課題に対処するには、基盤になるネットワーク技術を導入する必要があります。その技術は、相互運用性と拡張可能性に優れ、必要な範囲を網羅できるものでなければなりません。イーサネットは、既に広く導入されており、十分に理解されている技術です。このことから、理想的なソリューションであるようにも思われます。実際、帯域幅が広く、高速なコミッショニングが可能なので、あらゆる製造環境のITインフラにも広く採用されています。

このカタログについて

ドキュメント名 産業用イーサネットがインダストリ4.0への移行を加速
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
取り扱い企業 アナログ・デバイセズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

この企業の関連カタログ

このカタログの内容

Page1

Thought Leadership Article 産業用イーサネットが インダストリ4.0への 移行を加速 著者:Fiona Treacy、戦略的マーケティング・マネージャ 第4次産業革命により、製造施設やプロセス施設のデジタル化が て任意のタイミングでデータにアクセスし、そのデータをオート 進みつつあります。その結果として、製品の製造方法にも変化が メーション・システム全体に伝送する能力は、どのようなネット もたらされます。私たちは、これまで数十年間にわたって、自動 ワーク技術を選択するかにかかっています。それに加えて、イン 化によってもたらされるメリットを享受してきました。そして現 ダストリ4.0を導入する製造企業は、増加するデータ量に対応で 在では、有用なデータ、機械学習、AI(人工知能)といった新た きるように、自社のプロセスと方法論を進化させる必要がありま な要素を取り込んでシステムを強化しています。また、昨今の自 す。相互に接続されたインテリジェントなオートメーション環境 律型システムはネットワークによって相互に接続され、データの を構築するには、情報を生成して共有するシステム、マシン、ロ 通信、分析、解釈を実行するようになりました。得られた結果は、 ボットなどをデジタル的に接続しなければなりません。それらの 工場の他の領域におけるインテリジェントな判断や行動を支援す 間で通信を実現できるようにするということです。各種マシンが るものとして活用されています。更に、スマート・ファクトリを 使用する工場の通信ネットワークは、その企業の中核的要素とし 実現することで、生産量、設備の利用率、あらゆる事柄の生産性 て、インダストリ4.0を実現するためのイネーブラの役割を果た を高めて、ビジネスの新たなスタイルを生み出そうという取り組 します。 みが進められています。例えば、新たに取得されるようになった 既存のインフラでは、遠隔地に設置されたものも含めて、工場の データ・ストリームを活用することにより、エネルギー消費と残 フロア全体に分散するすべてのセンサーやアクチュエータをシー 余廃棄物の量を抑えつつ、柔軟性を高め、品質を向上させると ムレスに接続することは不可能です。目標は、エンタープライ いった具合です。エッジからクラウドまでをネットワークでつな ズ・レベルでデータを取得/統合し、利用可能な知見を得るこ いだインテリジェントなシステムの適応力を活用すれば、マス・ とです。その目標を達成する上での課題は、かつてないほどの量 カスタマイゼーションをサポートすることができます(図1)。同 のデータを、通信ネットワークの機能に支障をもたらすことなく 時に、製造環境における更なる効率向上を達成することが可能に 伝送するための手段を見いだすことです。言い換えれば、今日の なります。 オートメーション環境と工場のフロアの将来像に必要な要件を満 インダストリ4.0を導入すれば、活用できるデータが増えて、よ たす産業用の通信ネットワークを導入しなければなりません。で り良い意思決定が行えるようになるとされています。必要に応じ は、そのようなネットワークは、どのように設計し、構築し、導 入すればよいのでしょうか。 IT(情報技術) クラウドでの分析 OT(運用技術) 図1. クラウドをベースとするインフラ VISIT ANALOG.COM/JP
Page2

産業用イーサネットが必要になる理由 タにアクセスし、PLC(Programmable Logic Controller)か インダストリ4.0のビジョンの中心には、接続性があると考えら らのコマンドを、工場のフロア全体に分散配備されているセン れます。十分に高い接続性が実現されたエンタープライズ環境を サー、アクチュエータ、ロボットに送信できるようになります。 実現するためには、次のようなことを行う必要があります。まず、 産業用イーサネットが標準のイーサネットと異なる点としては、 上位層のIT(情報技術)環境またはエンタープライズ・インフラ メッセージの遅延や不達による影響が生じないことが挙げられま を、工場のフロアの制御ネットワークと融合しなければなりませ す。リアルタイム動作を必要としないアプリケーションでは、例 ん。次に、工場のフロアに既に存在する多種多様なネットワーク えばウェブ・ページの更新が遅いといった問題があっても、その や生産セルのすべてを共存させ、相互運用させる必要がありま 影響は最小限で済みます。しかし、製造環境では、原材料が無駄 す。更に、製造環境のエッジからエンタープライズ環境のクラウ になったり、予想外の人的被害が出たりといった具合に、大きな ドに至るまで、プロセス環境の全体にわたるシームレスで安全な 影響が生じるおそれがあります。制御システムを正しく機能させ 接続を確保しなければなりません(図2)。 るためには、常にオンタイムでメッセージが宛先に届けられるこ とを保証しなければなりません。 これらの課題に対処するには、基盤になるネットワーク技術を導 入する必要があります。その技術は、相互運用性と拡張可能性に そうした事情から、OTの制御レベルに適した技術として、産業 優れ、必要な範囲を網羅できるものでなければなりません。イー 用イーサネットが注目されるようになりました。目標は、ITネッ サネットは、既に広く導入されており、十分に理解されている技 トワークと上位層のOTネットワークの間だけではなく、工場の 術です。このことから、理想的なソリューションであるようにも OTネットワークの様々な階層から末端のノードであるセンサー 思われます。実際、帯域幅が広く、高速なコミッショニングが可 までをシームレスに接続することです(図3)。現在、OTネット 能なので、あらゆる製造環境のITインフラにも広く採用されてい ワークの下位層から、IT/OTを融合したコンバージド・ネット ます。 ワークを必要とする上位層のイーサネットまでの接続を実現する には、複雑で消費電力の多いゲートウェイが必要です。イーサ ネットをベースとし、工場全体のレベルで相互運用が可能なオー 2つの世界 トメーション用のネットワークがあれば、そうしたゲートウェイ ウェブ・ベースの の融合 PLC/SCADA用 配備 のソフトウェア は不要になります。その結果、ネットワークが大幅に簡素化され HMI、 ネットワーク ます。実際、OTネットワークの上位層との間の変換と接続に使 RTU IT コンピュテーション、 OT 制御 SQL システム 用されるプロトコル・ゲートウェイは、アドレスを直接指定する Java、 マシン、 Python 専門技術の 装置、 ことができません。そのため、ネットワークにおいて孤立を招く 統合 ロボット 要因になり得ます。この孤立は、工場のフロア全体で情報を共有 する能力を制限します。このことは、OT側からのテレメトリ・ データを収集し、IT側の分析とビジネス・プロセスを促進したい 図2. ITとOTの世界の融合 インダストリ4.0のビジョンと相反しています。 しかし、リアルタイムの動作に対応しなければならないことを考 えると、標準のイーサネットは、産業用の制御インフラに対して 適切なソリューションだとは言えません。OT(運用技術)分野 の制御ネットワークでは、送受されるメッセージが必要な場所に 必要なタイミングで届くことを保証する必要があります。それ エンタープライズ によって、目の前のタスクやプロセスの正しい動作が維持されま す。トラフィックをルーティングするためのTCP/IPでは、この レベルのデタミニスティックな性能は本質的に保証されていませ 制御レベル: PLC、DCS ん。オフィス環境では、標準のイーサネットを採用することによ り、ファイルの共有やプリンタなどのネットワーク・デバイスへ のアクセスが可能になりました。それと同じように、産業用イー フィールド・レベル: センサー、アクチュエータ サネットを採用することによって、産業用コントローラは、デー 図3. オートメーションの階層 2 産業用イーサネットがインダストリ4.0への移行を加速 シームレスな接続性 融合(コ ンバ ージ ェン ス)
Page3

多くのベンダーは、OTネットワークに適したリアルタイム・ の概念を共有していなければなりません。TSNでは、同規格に対 プロトコルの提供に取り組みました。その目標は、デタミニス 応する特定のイーサネット・フレームをスケジュールどおりに送 ティックなパケット伝送とタイミングにより、制御アプリケー 信しつつ、同規格に対応していないフレームをベスト・エフォー ションにおける必須の要件を保証することです。このようなプ ト方式で送信する手段が定義されています(図4)。このようにす ロトコルを基に開発されたソリューションであれば、デタミニス ることで、リアルタイムのトラフィックと非リアルタイムのトラ ティックなものになります。しかし、そのプロトコルは各ベンダー フィックを同一のネットワーク上で共存させることが可能になり に固有のものなので、互換性のない多数のソリューションが乱立 ます。すべてのデバイスが同じ時間を共有するので、遅延とジッ するという結果を招きました。つまり、異なる生産セルで異なる タを抑えつつ、重要なデータを最速ではギガビット/秒のレベル 通信プロトコルが使用され、各生産セルの相互運用を実現でき で伝送することができます。 ない状態に陥るということです。これは「データの孤立」、「デー 最終的な目標は、各種プロトコルがデタミニスティックかつ確実 タ・アイランド」と呼ばれる状態が続いてしまうということを意 にワイヤを共有できるコンバージド・ネットワークを構築するこ 味します。必要なのは、制御用のトラフィックが損なわれないこ とです。TSNは、デタミニスティックなシステムを実現するため とを保証できる形で、異なるプロトコルを使用する多様な生産 のツールボックスとして働きます。同規格を採用すれば、標準化 セルの共存とネットワークの共有を可能にするソリューションで された信頼性の高い接続アーキテクチャに移行し、プロプライエ す。この課題を解決するためのものが、IEEE 802.1 TSN(Time タリなフィールドバスによるデータの孤立を排除することが可能 -sensitive Networking)です。TSNは、特定のベンダーに依存 になります。このようなネットワークの融合を実現すれば、ネッ しないリアルタイム・イーサネットの標準規格です。その名が示 トワークそのもののスケーラビリティが高まり、10Mbpsから すとおり、時間を重視したものとして策定されています。TSNを 1Gbps以上に達する帯域幅を活用して、より多くのデータを扱 利用すれば、標準のイーサネットを使う場合と同等で、なおかつ えるようになります。 ミッション・クリティカルなアプリケーション向けにタイミング が保証された通信を実現することができます。同規格は、あるポ 新規の施設全体にTSNを導入するというケースもあるでしょう。 イントから別のポイントまで、予測が可能な固定の時間内に確実 しかし、既存の施設内のセルやセグメントに段階的にTSNを導 に情報を伝送できるように設計されています。つまり、TSNでは、 入していくというケースも多いはずです。近い将来、製造現場 タイムリーな伝送が保証されているということです。時間の予測 で使用する装置のメーカーは、従来型の産業用イーサネット・ソ が可能な通信を実現するには、ネットワーク上のデバイスが時間 リューションに加えて、TSNをサポートしなければならなくなる でしょう。 時間 トラフィックのシェーピング ネットワーク上のデバイスは ワイヤ上で他のトラフィックからの 同じ時間の概念を共有 干渉がない状態でタイム・センシティブな Time ストリームを伝送 Sensitive Networking (TSN) 遅延 同期 遅延の保証 正確な制御を保証するために、 ネットワークでやり取りされるストリームを デバイスの精度はサブマイクロ秒のレベル 規定の時間内に伝送 図4. TSNの概要 VISIT ANALOG.COM/JP 3 確率 上限
Page4

エッジまでの拡張 ニットをイーサネットのフィールド・スイッチに置き換える形で 最終的には、プロセス制御アプリケーションにおいて、エッジの 変更されます。イーサネットの命令は、10BASE-T1Lに対応する ノードからエンタープライズのクラウドまでをシームレスに接続 マルチポートのフィールド・スイッチを介して、コントローラと できるようになるはずです(図5)。おそらく、これが最も影響 フィールドの装置の間で送受できるようになります。フィールド の大きい変化でしょう。現時点で、エッジまでの接続性は4~ のノードで生成された知見は、イーサネットのパケット(ならび 20mAの電流ループやフィールドバスといった既存の技術からの に広い帯域幅)によって、フィールド・スイッチのネットワーク 制約を受けています。多くの場合、その部分はハードワイヤード を介してPLC/DCS(Distributed Control System)コントロー のポイントtoポイント接続として実装されているはずです。その ラまで、そして最終的にはクラウドまで伝送することが可能にな ことが、時間の経過に応じてネットワークが進化/成長するため ります。 の柔軟性を制限する要因になります。イーサネットをベースとし 既存のフィールドバスから産業用イーサネットへの移行を後押 ない旧来のフィールド通信には、いくつかの課題があります。ま ししているのは、それによって得られる複数の明白なメリットで ず、帯域幅がかなり限られており、伝送される情報の量と速度が す。まず、その移行においては、既存のケーブル・インフラ(最 制限されます。例えば、4~20mAのHART®通信では、データ 長1km)を再利用できる可能性があります。そのため、導入作業 転送速度がわずか1.2kbpsしかありません。また、装置に供給さ が簡素化され、改修コストを抑えられます。また、従来はケーブ れる電力が限られていることから、機能が制限されるケースもあ ルを介して装置に供給できる電力量が36mWまでに抑えられて ります。更に、制御やITのレベルに存在するゲートウェイが極め いました(4~20mAが実装されている場合のベスト・ケースの て大きなオーバーヘッドになります。その他にも、本質的に安全 値)。それが、最大で60W(ケーブルに依存)まで、またはゾー なゾーン0の環境における動作や、既存の配線(ケーブル)ネッ ン0の本質的に安全なアプリケーションの場合で500mWまで拡 トワークを利用して、より高速で安価なコミッショニングをサ 張されます。追加で利用できる電力により、エンド・ノードのイ ポートしなければならないといった課題もあります。 ンテリジェンスを活用する、より高機能の装置を利用できるよう そうした課題に対応するために、10BASE-T1Lの全二重通信に向 になります。それに加えて、アップリンクの速度を10Mbpsのレ けて、IEEE 802.3cg-2019TMの規格策定が進められることにな ベルに高められるので、インダストリ4.0がもたらす効率を最大 りました。最近承認されたこの規格では、1本のツイスト・ペア・ 限に活用して、より多くの知見を得ることができます。 ケーブルを使って、最大1kmの距離で10Mbpsの全二重通信を 行うための仕組みと電力供給について規定しています。センサー 現時点で利用可能な技術 からのデータはイーサネットのパケットとして生成され、OTイ オートメーション用のネットワークの進化を支えるには、遅延と ンフラ/ITインフラにイーサネットのパケットとして伝送される 消費電力が抑えられた堅牢な物理層(PHY)技術と、スケーラブ ことになります。遅延を生み、電力を消費し、コスト面でのオー ルなスイッチ・ファブリックを組み合わせる必要があります。ア バーヘッドとなる変換処理は必要ありません。図5に示したよう ナログ・デバイセズは、産業用イーサネットの分野で最先端の位 に、既存のネットワーク・アーキテクチャは、リモートのI/Oユ 置にいます。 旧来の4~20mA TSNに対応するGbpsレベルの産業用イーサネット 標準のイーサネット 100Mbpsレベルの産業用イーサネット 10BASE-T1Lベースの産業用イーサネット エンタープライズ/IT Gb Gb 10BASE-T1L 電源 PLC、DCS PLC、DCS PLC、DCS スイッチ 制御/OT リモートのI/O 100 Mb 10BASE-T1L 4~20mA 10BASE-T1L 10BASE-T1L フィールド・ フィールド・ ソフトウェアのI/O スイッチ スイッチ フィールド/OT 4~20mA 10BASE-T1L SIL SIL ゾーン0、1 ゾーン0、1 旧来の4~20mA ブラウンフィールド・ 将来のシームレスな エンド・ノード/OT による接続 イーサネット、4~20mA エッジtoクラウドの接続 図5. シームレスなエッジtoクラウドの接続 4 産業用イーサネットがインダストリ4.0への移行を加速 生産施設 オフィス 10BASE-T1L
Page5

当社は、オートメーション分野の豊富な専門知識と高度な技術 を活かし、タイム・クリティカルなデータを適切に処理できるよ うに設計された数多くのソリューションを提供します。それらの ソリューションは、産業用アプリケーション全般を対象としてお デタミニスティック 堅牢 正確な り、シームレスな接続性と運用効率が保証されます。スケーラブ 過酷な条件下 で システム制御 実証された ルなイーサネット・ソリューションのポートフォリオであるADI 堅牢性 ChronousTMは、PHYデバイス、組み込みスイッチ、複数のプロ スケーラブル トコルに対応するソフトウェアを備えた完全なプラットフォーム ポート数と帯域幅に 応じて最適化された から成ります。すべての製品は十分にテスト/検証されており、 システム設計 市場投入までの時間の短縮に貢献します。 完全性 柔軟 市場投入までの時間を マルチプロトコルに対する ADI Chronousのポートフォリオに含まれる代表的なソリュー 短縮するシステム・レベル シンプルな のソリューション カスタマイゼー シ ションとしては、以下のようなものがあります。 ョン X ADIN1200:10Mbps/100Mbps の産業用イーサネット向け PHY デバイス。業界をリードする高度な機能セットと実証済 図6. ADI Chronousの特徴。業界をリードする みの堅牢性を備えています。 産業用イーサネット向けのソリューションです。 X ADIN1300:業界最小の遅延と消費電力を誇る 1Gbps 対応 ADI Chronousのソリューションは、当社のお客様を念頭に置い の PHY デバイス。過酷な環境に耐えられる堅牢性を備えてい て特別に設計されています。その目標は、システム設計を簡素化 ることが実証されています。 して開発時間を短縮することです。また、堅牢性が高くスケーラ X fido5200/fido5100:TSN で提供されている機能の多くをサ ブルで実証済みの完全なイーサネット・ソリューションを提供す ポートする 2 ポートの組み込みスイッチ。リアルタイム動作、 ることを目指しています。ADI Chronousは、このような目標を マルチプロトコルに対応します。TSN の機能が新たに提供さ 具現化したものです。 れた場合には、ファームウェアのアップデートによってそれを 実装することが可能です。マルチプロトコル対応のソフトウェ 加えて、既存のフィールド・デバイスに対するネットワーク・ブ アのアップデートもサポートしています。アップデート用のソ リッジを提供して移行を支援するために、ソフトウェアで構成が フトウェアは、ADI Chronous の開発者向けポータルで提供 可能なI/Oという新たな技術を開発しました。 しています。 制御用ネットワークのエッジのセキュリティを確保する TSNベースのOT/IT統合ネットワークにおいて、ロボット、ドライブ、 極めてタイム・クリティカルな環境で(必要に応じ)認証と ために、高い回復性と信頼性を備えたアーキテクチャを確立 製造装置の安全な接続を実現 暗号化のための手段を提供 動作環境 サーバー/ 標準の クラウド イーサネット ゲートウェイ (IT/OTの融合) ドライブ PLC/ライン・ コントローラ 多軸ロボット HMI 標準の 産業用イーサネット イーサネット (産業用プロトコルとTSN) 産業用イーサネット (産業用プロトコルとTSN) 多軸ロボット モーション・ コントローラ セキュリティ・キー・サーバー用の ソフトウェアを備える セキュリティ・マネージャ 図7. 信頼できるデータを得るためのサイバー・セキュリティ VISIT ANALOG.COM/JP 5
Page6

これを採用することにより、既存の装置とそれよりも上位層の インダストリ4.0のビジョンの中心にあるのは、情報を収集/送 イーサネット・ネットワークの間のギャップを埋められ、フィー 信/受信できるコネクテッド・デバイスを使用して、プロセスを ルドで構成が可能なリモートI/Oユニットを開発することができ 自動化する能力です。ADI Chronousは、従来は得ることができ ます。この新たな技術は、「AD74413R」という製品で実用化さ なかった多くのエッジ・デバイスからのデータや知見を取得可能 れています。 にします。それにより、データの分析と知見の活用の可能性を切 り拓きます。そのなかで、産業用イーサネットは、オートメーショ セキュリティ ン用ネットワークの全体にわたる現在/未来のデータ・ストリー セキュリティの観点から言えば、イーサネットには脆弱性が存在 ムを、クラウドまでシームレスに転送する役割を果たします。 します。その脆弱性は、インダストリ4.0の普及に影響を及ぼす 現時点ではデータ・アイランドが存在し、そこにある情報や知見 最も深刻な懸念の1つです。OTとITの間、またエッジとクラウ に自由にアクセスすることはできません。しかし、近い将来、産 ドの間がつながると、エンタープライズ環境の全体にわたって、 業用イーサネットを導入するのは標準的な施策になるはずです。 情報のオープンな流れが生成されることになります。したがって、 そうすると、インダストリ4.0に対する懸念の対象はセキュリ ひとたびセキュリティ上の侵害が生じると、壊滅的なレベルで影 ティの問題に移っていきます。また、最大限のビジネス価値を引 響が及ぶおそれがあります。 き出すためには、データをどのように活用すればよいのかという インダストリ4.0に関する戦略を練る際には、リスク管理におけ ことが大きな問題として浮上するでしょう。賢明な対策は、数十 る基本的な検討事項として、セキュリティを取り上げる必要があ 年間にわたり産業分野で取り組みを続けてきた信頼できる企業と ります。ますます複雑になる今日のネットワークにセキュリティ 手を組むことです。そのような企業の代表的な例としては、アナ 対策を施す作業は、決して容易ではありません。エッジ・デバイ ログ・デバイセズを挙げることができるでしょう。アナログ・デ ス、コントローラ、ゲートウェイの内部からスタックの上位層ま バイセズは、明日のスマート・ファクトリへの移行を加速するた でのシステム全体にわたって本質的な対策を施すには、複数の階 めに必要な深い専門知識、技術、ソリューションを有しているか 層をまたがるアプローチが必要です。ADI Chronousは、消費電 らです。 力、性能、遅延の間のトレードオフを最小限に抑えながら、シス テム内の各ノード・ポイントに対してセキュリティ機能を提供し 著者について ます。 Fiona Treacy(fiona.treacy@analog.com)は、アナロ グ・デバイセズの戦略的マーケティング・マネージャです。 導入までのロードマップ 産業用のネットワーク接続を利用するプロセス制御とFAの ここ数年の間に、産業用イーサネットは大きく成長しました。し 分野を担当しています。それ以前は、MeasureWareTMを かし、フィールドバスをはじめとする既存のネットワーク技術も 活用した計測技術や高精度の計測技術を対象とするマーケ まだ広く利用されています。産業用イーサネットに基づくコン ティング業務を統括していました。アプリケーション・エ バージド・ネットワークにより大きなメリットがもたらされると ンジニアリングやテスト開発に携わった経験も有していま いうことについては、誰もが認めるところです。そうしたメリッ す。リムリック大学で応用物理学の学士号と経営学の修士 トの例としては、以下のようなことが挙げられます。 号を取得しています。 X ネットワークのアーキテクチャが簡素化されます。 X ゲートウェイが不要になるので、コストを削減できます。 EngineerZone® X ハードワイヤードの接続がなくなります。 オンライン・サポート・コミュニティ X システムがより最適化されます。 アナログ・デバイセズのオンライン・サポート・コミュ X システムのアップタイムが長くなります。 ニティに参加すれば、各種の分野を専門とする技術者と 新しい規格の登場/承認は、待ち望まれた移行の加速に必要な の連携を図ることができます。難易度の高い設計上の問 触媒の役割を果たします。この移行を強く後押ししているのは、 題について問い合わせを行ったり、FAQを参照したり、 OTシステムとITシステムの統合を強化する高性能なネットワー ディスカッションに参加したりすることが可能です。 クに対するニーズです。TSNは、コンバージド・ネットワークを 実現するための手段です。これを10BASE-T1Lと組み合わせれ ば、エッジtoクラウドのシームレスな接続を実現できます。移行 Visit ez.analog.com は一夜にして成し遂げられるものではありません。しかし、その 潜在的なメリットはかなり魅力的なものです。そのため、産業界 の標準的なペースを上回る速さで移行が進む可能性があります。 *英語版ソート・リーダーシップ記事はこちらよりご覧いただけ ます。 6 産業用イーサネットがインダストリ4.0への移行を加速
Page7

VISI T A N A L O G . C O M /JP お住いの地域の本社、販売代理店などの情報は、analog. ©2020 Analog Devices, Inc. All rights reserved. com/jp/contact をご覧ください。 本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有に属します。 Ahead of What’s Possibleはアナログ・デバイセズの商標です。 オンラインサポートコミュニティEngineerZoneでは、アナ ログ・デバイセズのエキスパートへの質問、FAQの閲覧がで きます。 T21961-2/20 ※初出典 2020年 EDN Japan