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カメラベースのシステム用の ギガビットマルチメディア シリアルリンク (GMSL)
道路認識の向上は、ドライバーの安全性と自律走行車の未来にとって非常に重要な構成要素です。
Maximのシリアライザ-デシリアライザ(SERDES)製品は、堅牢、小型、柔軟な通信リンクを備えた高性能カメラシステムを実現します。MAX967xxファミリは、より安全でスマートな将来の自動車の設計に貢献するためのMaximの取り 組みを実証する新しい特長を備えています。
本稿では、ADASの概要およびカメラ技術の要件を示し、Maximの最新のSERDES製品の技術・その特徴をご紹介します。
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このカタログについて
ドキュメント名 | ADAS向けギガビットマルチメディアシリアルリンク(GMSL) デザインガイド |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 1.6Mb |
取り扱い企業 | アナログ・デバイセズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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GIGABIT MULTIMEDIA
SERIAL LINKS (GMSL)
FOR ADAS
ー ADAS向けギガビットマルチメディアシリアルリンク(GMSL) ー
Design Guide
www.maximintegrated.com/jp/ADAS
Page2
目次
ADASの概要 ………………………………………… 3 概要
カメラ技術の要件 ……………………………………… 3
MAX967xx GMSL SERDES ……………………… 5 カメラベースのシステム用の
ADASアプリケーション用のMAX967xxの機能 … 5 ギガビットマルチメディア
クロスバースイッチ …………………………………… 6 シリアルリンク (GMSL)
ラインフォルト検出 …………………………………… 6
道路認識の向上は、ドライバーの安全性と自律走行車
Power Over Coax …………………………………… 7 の未来にとって非常に重要な構成要素です。Maximの
適応型イコライザ ……………………………………… 7 シリアライザ-デシリアライザ(SERDES)製品は、堅牢、
アイ幅モニタ …………………………………………… 8 小型、柔軟な通信リンクを備えた高性能カメラシステム
8b/10b符号化 …………………………………………8 を実現します。 MAX967xxファミリは、より安全でス
マートな将来の自動車の設計に貢献するためのMaxim
ピクセルクロックレートの計算 ……………………… 9
の取り組みを実証する新しい特長を備えています。
入力データ幅の選択 ………………………………… 9
関連リソース ………………………………………… 10
SERDESポートフォリオ:ADASアプリケーション… 11
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ADASの概要 カメラ技術の要件
交通安全はADASとして知られる車載分野の継続的な発展に カメラを含んだADASアプリケーション(図2)で、非常に重要
よって大幅に向上してきました。一部の技術は自律的に効果 な設計上の課題は、カメラから処理ユニットへ、そして処理ユ
を発揮し、特定の状況発生時に完全な制御で自動車を操作し ニットから各ディスプレイへと、可能な限り迅速かつ効率的に
ます(表1)。他の技術は、死角検出などの情報を搭乗者に提 画像データを転送することです。ADASカメラシステムの設計
供しますが、制御はドライバーに任せます。自律走行車という における主なトレードオフには、画像品質、帯域幅、遅延、信
考えが勢いを増すとともに、ドライバーと同乗者の安全がま 頼性、コスト、および消費電力があります。
すます重要な問題になります。ADAS技術の特長の多くは、 ・ 帯域幅 - 要求される性能は、目的に応じてカメラごとに
自動車全体に配置されたカメラの使用の増加によって実現さ
異なります。たとえば、広角レンズを備えた後退補助カ
れています(図1)。 メラには、1.3メガピクセルでピクセル当り18ビットカラー
を備え、30fpsで動作するものがあります。制御ビットお
表1. ADAS技術のアプリケーション よびバランス用の符号化を含めると、この1つのカメラが
可視性の向上 制御の強化 キャビン安全性 1Gbps以上のデータを生成することになります。
後退補助 適応型クルーズコン シートベルト検出 ・ 遅延 - 62.5mph (100km/時)の自動車は、毎秒91.13
トロール フィート(27.8m)移動します。搭乗者および交通の安全
サラウンドビュー ドライバー注意散漫 にとって、1秒1秒が重要になります。
自動パーキング
死角および対向交通 エアバッグ展開 ・ 信頼性 - 自動車の寿命にわたる経年劣化に適応し、サー
車線検出および
標識検出 センタリング 居眠り運転検出 ビスが必要な時期を検出することは、すべてをスムーズに
動作させ続けるために必須です。
ヘッドライト方向
・ 消費電力 - より多くの電子システムが自動車に追加されて
いるため、バッテリ容量と配電の制約の範囲内を維持する
ことがますます重要な課題になります。
PARK ASSISTANCE &
SURROUND VIEW
・ コスト - システムの能力を高めつつ部品とケーブルの数を
SURROUND VIEW
削減することは、システムコストを低く抑え、技術の競争
力を維持するために不可欠です。
・ 画像品質 - 視覚ベースの物体検出に基づくADASは、処理
が必要な画像に依存します。そのため、高品質の画像が絶
SURROUND VIEW 対に不可欠です。
LANE DEPARTURE
WARNING
TRAFFIC SIGN
RECOGNITION
図1. ADASアプリケーションの位置の図
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コンソール タッチ/
ディスプレイ ボタン
カメラECU (x4)
入力 ディスプレイ ADAS制御ユニット
イメージ ビデオ プロテクタ シリアライザ
キャプチャ SoC 発振器
画像処理
LDO ステップ カメラ ビデオ カメラ
ダウンDC-DC および 監視回路
シリアライザ インテグレータ
制御SoC
衝突防止レーダーECU (x2) 負荷
DRAM
スイッチ 温度検出 ブレーキ
レーダー SoC CAN
フロント CAN CAN ステアリング
エンドIC ADC 発振器
シーケンサ 警報
LDO ステップ
ダウンDC-DC 監視回路 電源レール
PMIC メモリ電源 LVステップ ステップ
ダウンDC-DC アップDC-DC LDO
パーキング補助/死角ECU (x4)
超音波 CAN
モジュール
V/I保護 HVステップ
ダウンDC-DC
LDO ステップ
ダウンDC-DC
バッテリ
図2. ADASのブロック図
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MAX967xx GMSL SERDES 出力にシリアライズし、ケーブルでデータを送信した後、受信
した信号をデシリアライザ側で元のパラレルビデオ出力に変換
デザインイノベーションを実現 することによって動作します。多くのシステムは、同じケーブル
Maximの最新のSERDES製品は、非圧縮カメラフィード伝 を介して電源と高速双方向データの両方を提供するように構築
送システムのためにより高い信頼性と柔軟性を提供します。 されています。MAX967xxファミリは、ADASアプリケーショ
SERDESチップセットは、イメージセンサーから非圧縮パラレ ン専用の新しい安全性および信頼性機能を提供します(図3)。
ルビデオ出力を受け取り、制御入力と組み合わせて1つの高速
MAX16922 POWER OVER COAXフィルタ
+3.3V
OUTS1
デュアルバックコンバータ
デュアルLDO
OUTS2 IN3 OUT3 OUT4 電源
+7V~+12V
PCLK PCLKIN PCLKOUT PCLK
AVDD DIN[11:0] DIN[11:0] DOUT[11:0] DIN[11:0]
DVDD HS DIN14/HS DOUT12/HS HS
VS DIN15/VS DOUT13/VS VS
カメラ MAX96705 MAX96706 GPU
SDA RX/SDA
LMN0
SCL TX/SCL/DBL
OUT- RX/SDA SDA I2C
TX/SCL SCL
OUT+ IN+
GPI FSYNC
LCCEN LOCK
IN- LOCK
CONF0 ERRB ERR
CONF1 LFLTB LFLT
MS/HVEN
I2CSEL = CX/TP = 1
ECU
図3. 後退補助GMSL SERDESシステムの標準アプリケーション回路
ADASアプリケーション用のMAX967XXの機能 4. 強化されたケーブル駆動
1. 制御チャネルのエラー検出と再送信 ・ 50Ω同軸または100Ωシールドツイストペア
・ 設定可能なプリエンファシスとデエンファシスによって
・ リンク設定時に100%の精度を確保 15mのケーブルでフルスピードを実現
・ 制御リンク経由でアクセスされるペリフェラル用の ・ ラインフォルト監視を利用可能
高信頼性通信
5. アイ幅モニタおよび適応型イコライゼーション
2. クロスバースイッチ ・ 内蔵ケーブルイコライザによって長尺ケーブルの駆動が
・ 任意のパラレル入力から任意のパラレル出力へ 可能
・ 異なるカメラモジュールを1つのホストボードに接続可能 ・ アイ幅モニタによってイコライザの再調整をトリガ可能
・ 1つのカメラモジュールを複数のホストボードに接続可能
6. 最大1.74Gbpsの柔軟なデータ入力
3. EMI/EMCの低減 ・ 12.5MHz~ 87MHz (14ビット入力 + HSYNCおよび
・ 設定可能な出力スペクトラム拡散 VSYNC)
・ 拡散入力クロックをデシリアライザに伝播可能 ・ 36.66MHz~ 116MHz (12ビット入力 + HSYNCおよび
・ 高耐性モードによって制御チャネルのEMC耐性を実現 VSYNC)
7. AEC-Q100認定済み
8. 専用フレーム同期GPO
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クロスバースイッチ これと同じ利点はデシリアライザ側でも実現することができま
す。1つのカメラモジュールとシリアライザの組み合わせに対しクロスバースイッチを内蔵しているため、任意のデータ入力か
て、複数の異なるデシリアライザボードとグラフィックプロセッ
ら任意のデータ出力への経路設定が可能です。この機能によっ
サの組み合わせを使用して着信するカメラデータを認識するこ
てレイアウトの制約が緩和され、設計の再利用が可能になるた
とができます。内部クロスバースイッチの使用によって互換性
め、開発コストが大幅に削減されます。
の向上が簡単に実現されます。
異なる出力バスを備えたイメージセンサーが特定のアプリケー
ション用にサポートされている場合、すべてのセンサーを同じ ラインフォルト検出
MAX967xxシリアライザボードに接続可能です(図4)。クロ
スバースイッチは使用法ごとに設定し、シリアライザに印加さ MAX967xx製品ラインの一部のデバイスはラインフォルト検
出を内蔵しています(図5)。シリアルリンクとれる信号が適切なデシリアライザ出力に伝送されることを確保 LMN0/LMN1端
子の間に外付けの抵抗ネットワークを付加し、
することができます。1つのイメージセンサー専用に1つのシリ 1.5V~ 1.7Vの
範囲のリファレンス電圧を含むことによって、システムは自動
アライザボードを設計するのではなく、異なるカメラモジュー
的にシリアルリンクの物理的状態を検出することができます。
ルと接続可能な1つのシリアライザボードを設計することによっ
オープンケーブル、バッテリへの短絡、またはグランドへの短
て、総設計時間が大幅に短縮されます。
絡が検出された場合、オプションのハードウェア端子(LFLTB/
GPIO1)を使用してフラグを立てることができます。2つのラ
インフォルトモニタ端子(LMN0およびLMN1)が内蔵されてお
DINO MAX96705 MAX96706 DOUT0 り、単芯同軸ケーブルおよびシールドツイストペア(STP)ケーブ
DIN1
XBO XBO DOUT1 ルと組み合わせて使用することができます。
XB1 XB1
... ... LMN0/LMN1端子の正常動作スレッショルドは0.57V~
XBx XBx 1.07Vです。ケーブルがGNDに短絡された場合、ライン電圧
DINx DOUTx はこのスレッショルド以下に低下します。ケーブルがオープンの
場合、ライン電圧は1.5V~ 1.7Vの範囲のリファレンス電圧ま
図4. クロスバースイッチの基本的表現 で上昇します。ケーブルがバッテリに短絡された場合、ライン
電圧は2.5V以上に上昇します。
シリアライザのMAX96711はラインフォルト検出機能を内蔵し
ています。デシリアライザのMAX96706とMAX96708もこ
の機能を備えています。
1.8V
1.8V
45.3kΩ* 45.3kΩ*
LMN0 45.3kΩ*
LMN0
LMN1
49.9Ω*
GMSL 4.99kΩ* 4.99kΩ*
シリアライザ GMSL 4.99kΩ*
シリアライザ
OUT+ ツイストペア
同軸
OUT+
OUT-
OUT-
49.9kΩ*
49.9kΩ* 49.9kΩ* コネクタ
コネクタ 未使用のラインフォルト入力は
未接続のままにしてください。
*許容誤差±1%
図5. STP (左)および同軸(右)ケーブルのラインフォルト検出
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Power Over Coax ケーブルで供給されるすべての電流は電源フィルタの各インダ
多くのシステムでは、1つのSTPケーブルが実際には内部に2 クタを通過する必要があるため、飽和電流、DC巻線抵抗、パッつ
ケージサイズなどのさらなる制約がインダクタのパラメータ選
のペアを備えており、一方のペアが電源に使用され他方がデー
択に追加されます。ISAT以上の電流がインダクタを流れる場合、タに使用されます。STPケーブルの代わりに同軸ケーブルを
SERDES その磁場は飽和しインダクタンスが急速に低下します。インダ
リンクに使用することには、いくつかの利点がありま
クタとそのDCRを通って流れる電流に比例した消費電力があす。同軸ケーブルはより低コスト、軽量で、柔軟性が高く、高
るため、自己発熱が発生します。電源供給レールに電圧マー
周波数において低損失です。低コスト同軸ケーブルの使用で競
ジンが組み込まれていない場合、電源フィルタでの電圧降下
争力を高めるには、1つのケーブルを介して電源とデータの両方
によって負荷の電圧レベルが不十分になる可能性があります。
を提供することも必要です。これを実現するために、内部芯線
で利用可能な周波数スペクトルを、電源、逆方向チャネルデータ、 この3つの潜在的問題をすべて防止するために、より高い電圧
および順方向チャネルデータの3つの帯域に分割します(図6)。 をケーブルに印加することによってケーブル電流を小さくしま
フィルタを使用して適切な周波数帯域を対応する回路に通過 す。さらに、必要なケーブル電流に対して十分なサイズと飽和
させます。データチャネルは直列コンデンサを介してトランシー 電流定格のインダクタを選択します。MAX967xx製品ライン
バ入力にAC結合します。 はクラス最高の低消費電力を備えているため、Power Over
Coax回路の要件が緩和されます。
適応型イコライザ
POCフィルタ
すべてのケーブルには寄生インピーダンスがあるため、周波数
が高いほど信号品質が低下します。より長いケーブル長も信号
の劣化の原因になります。多くの高速伝送システムは、レシー
バ入力のフロントエンドにケーブルイコライザを配置することに
よって伝送ケーブルのローパス特性を補正しています。イコライ
ザは、ケーブルの周波数応答と組み合わせた場合に、レシーバ
がより高い忠実度で広帯域幅信号を復元することができるよう
な形で、対象の高周波数信号を増幅します。
DC 0.05 1 10 1500 周波数
(MHz) デシリアライザのMAX967xxは適応型イコライザ回路を内蔵
しています。このイコライザは12の異なる補正レベルを備え、
図6. 同軸GMSLシステムで使用される周波数帯域 SERDESシステムが最大30mの同軸および15mのSTPケーブ
ル長を扱うことができるようにします。
DC電源は、通常は直列インダクタのローパス特性を使用し 適応型イコライザは、周期的に再適応化するように設定するか、
て、逆方向チャネルおよび順方向チャネルの周波数帯域でイン
または手動でトリガして伝送環境の変換に応じた補正を行うこ
ピーダンスが1kΩ以上になるフィルタを構成します。データチャ とが可能です。ケーブルが経年劣化して交換するとき、システ
ネルは50Ωの終端抵抗で動作するため、20倍に増大したイ ムは適応型イコライザレベルを自動的に設定することによって
ンピーダンスはDC電圧を結合し高周波数成分をフィルタする 最適な動作を行うように自分自身を適応化することができます
のに十分です。各インダクタは自己共振の原因となる寄生容量 (図8)。
を備え、高周波数でそれに応じたインピーダンスの低下が発
生するため、対象の全帯域をフィルタするために異なるサイズ
のインダクタを選択します(図7)。
R30 R31
OUT+ 2kΩ 2kΩ
+7V TO +12V
0402 0402
J-OUT+
L3 L2
47µH MPZ1608
ADL3225V-470M-TL000
図7. Power Over Coaxの回路図
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大きさ
電源(同軸重畳)
逆方向チャネル
順方向チャネル
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8b/10b符号化
8b/10b符号化に対する理解は、カメラアプリケーションの
ピクセルクロックレートやデータバス幅などのパラメータを決
定するための重要な前提条件です。MaximのGMSL技術は、
符号化方式を利用してシリアルリンクの品質を高めています。
8b/10b符号化はアルゴリズムを使用してデータを伝送ライン
用に符号化し、各8ビットデータバイトが10ビットのシンボル
に変換されます。8b/10b符号化されたデータストリームには
同数の1と0が含まれ、連続する1または0の数が5ビットに制
限されます(表2)。
表2. 8b/10b符号化形式の例
値(10進) 値(2進) 10ビットコード 代替コード
図8. さまざまな設定でのGMSLレシーバのアイダイアグラム HGF EDCBA abcdei fghj abcdei fghj
0 000 00000 1000111 0100 011000 1011
アイ幅モニタ 1 000 00001 011011 0100 100010 1011
長尺ケーブルでの高速通信の堅牢性を高めるもう1つの機能と 2 000 00010 101101 0100 010010 1011
して、アイ幅監視回路が追加されています。伝送ラインで疑似 3 000 00011 110001 1011 110001 0100
ランダムビットシーケンス(PRBS)を送信して遷移をプロットす 4 000 00100 110101 0100 001010 1011
ることによって、アイを表す永続的なプロットが生成されます。 5 000 00101 101001 1011 101001 0100
安定したクロックと補正されたケーブルでは、アイダイアグラム 6 000 00110 011001 1011 011001 0100
の遷移が狭くなり、結果として 「開いた」 アイになります。ケー 7 000 00111 111000 1011 000111 0100
ブル品質の低下またはケーブル長の増大にともなって、各遷移 8 000 01000 1110001 0100 000110 1011
の高周波数成分が減衰し、アイが閉じ始めます。 9 000 01001 100101 1011 100101 0100
MAX96706は、アイ幅の開口を検出するアイ幅モニタを内 10 000 01010 010101 1011 010101 0100
蔵しています。アイ幅がスレッショルド以下に減少したことを " " " "
検出した場合、アイ幅モニタはERRB出力端子のフラグを立て、
または適応型ケーブルイコライザの再調整までトリガします
(図9)。オプションのアイ幅モニタ回路は常にアイ幅を測定し、 伝送ラインがDC平衡ではない場合、時間とともに電圧がライ
性能低下時にシステム設定を調整することによって、SERDES ン上に蓄積され、ビットエラーにつながります。たとえば、連
リンクにさらなるレベルの信頼性を提供します。 続した 1が送信されるとき、SERDESリンクのAC結合コンデン
サがDC電圧を発生させ、レシーバではそれが誤って 「0」 に
見えます。8b/10b符号化は 1と0のランニングディスパリティ
(RD)を追跡し、次に生成されるシンボルによってランニング
ディスパリティが±1以内に維持されることを確保します。長期
的には、送信される1と0の数は50:50に分かれます。
送信クロックはSERDESデータストリームに埋め込まれている
ため、レシーバ側でデータから抽出する必要があります。そ
のために、レシーバはデータ内で発生する遷移を監視します。
1または0が長く続くパターンがあると、レシーバはクロック信
図9. 閉じたアイダイアグラム(左)と 号を復元することができなくなります。8b/10b符号化は、連
開いたアイダイアグラム(右)の比較 続する1または0の数を制限することによってこれを防止します。
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ピクセルクロックレートの計算 入力データ幅の選択
イメージセンサーは、通常は各ピクセルクロックサイクルで1つ MAX967xx SERDESデバイスの高い柔軟性によって、パラ
のピクセルからの情報を出力します。そのため、特定のカメラ レルデータ幅の設定に関する多様な構成が可能です。計算結
アプリケーションのピクセルクロックは、画像サイズと1秒間に 果のピクセルクロックレートによって、BWS、DBL、および
表示される画像数から計算されます。 HIBWの利用可能な設定が制限されます。その他の設定(PXL_
ピクセル行数 x ピクセル列数 x フレームレート = CRC、HVEN、および入力/出力端子数)によって、利用可能
ピクセルクロック(Hz) なパラレル入力マッピングが制限されます(表4)。
シリアライザからデシリアライザへの通信時、MaximのGMSL 表4. MAX967xxの入力データ幅の選択
デバイスは内部で24、27、または32ビットのデータ幅を使用
します。8b/10b (および9b/10b)符号化の使用によって、これ レジスタビットの設定 入力マッピング 入力マッピング
らのデータ幅は30ビットまたは40ビットのパケットに変換され、 DBL BWS HIBW PXL_CRC HVEN (MAX96706) (その他)
リンク上で送信されます。このパケット符号化は自動的に内部 1 1 — 1 1 DIN11:0, HS, VS DIN11:0, HS, VS
で行われますが、ピクセルクロックレートの選択方法およびリン 1 1 — 1 0 DIN11:0, DIN11:0,
ク上で送信されるパラレルデータの割り当て方法を決めるとき、 1 1 — 0 1 DIN11:0*, HS, VS DIN13:0*, HS, VS
ユーザーはこのパケット構造を念頭に置く必要があります。 1 1 — 0 0 DIN13:0* DIN14:0*
1 0 1 1 — DIN8.0, HS, VS DIN8.0, HS, VS
MAX967xx製品ファミリは、1.74Gbpsの最大シリアルデー
1 0 1 0 — DIN11:0, HS, VS DIN11:0, HS, VS
タレートを特長とします。データは30ビットまたは40ビットの
1 0 0 1 1 DIN7:0, HS, VS DIN7:0, HS, VS
パケットで送信されるため、最大パケット更新レートはそれぞ
れ58MHzまたは43.5MHz 1 0 0 1 0 DIN7:0 DIN7:0
になります。MAX967xxシリアラ
イザに適用可能な許容ピクセルクロック範囲は、BWS、DBL、 1 0 0 0 1 DIN10:0, HS, VS DIN10:0, HS, VS
およびHIBWの3つのハードウェア設定端子によって設定され 1 0 0 0 0 DIN10:0 DIN10:0
ます(表3)。 0 1 — 1 1 DIN11:0*, HS, VS DIN13:0*, HS, VS
0 1 — 1 0 DIN13:0* DIN15:0*
表3. さまざまなパケット設定でのPCLK範囲 0 1 — 0 1 DIN11:0*, HS, VS DIN13:0*, HS, VS
0 1 — 0 0 DIN13:0* DIN15:0*
DBL BWS HIBW PCLK範囲(MHz)
0 0 1 — — DIN11:0*, HS, VS DIN13:0*, HS, VS
1 1 0 25~87
0 0 0 1 1 DIN11:0*, HS, VS DIN13:0*, HS, VS
1 0 0 33.3~116 0 0 0 1 0 DIN13:0* DIN15:0*
1 0 1 73.3~116 0 0 0 0 1 DIN11:0*, HS, VS DIN13:0*, HS, VS
0 1 0 12.5~43.5 0 0 0 0 0 DIN13:0* DIN15:0*
0 0 0 16.7~58 *入力ビット幅は利用可能なシリアライザ入力およびデシリアライザ出力の数によって制限されます。
0 0 1 36.6~ 58
PXL_CRCはリンクで送信される各シリアルパケットに対して
BWSは内部バス幅を決定し、BWS = 1のとき32ビット、BWS 追加のエラーチェックをイネーブルします。イネーブルした場合、
= 0のとき24/27ビットです。BWSは符号化されたシリアルパ この機能は6ビットの内部バス幅を追加で使用します。
ケットが30ビット幅になるか40ビット幅になるかに直接関係 HVENは内部データバスとは個別の送信でのHSYNCおよび
し、それによって最大クロック範囲が58MHzまたは43.5MHz VSYNC入力の符号化と送信をイネーブルし、それによって
になります。 追加のスロットがパラレル入力データ用に解放されます。この
DBLはシリアライザのシングル入力モードまたはダブル入力モー 機能は内部データバスで利用可能なスロットより多くの入力
ドのどちらをイネーブルするかを制御します。シングル入力モー データ端子がある場合に役立ちます。ディセーブルした場合、
ドは、1つのパラレル入力ワードを1つのシリアルワードにシリア HSYNC/VSYNC信号を1つの入力スロットに適用する必要が
ライズして送信するのに対し、ダブル入力モードは半分の幅の あります。
2つのパラレル入力ワードを組み合わせて 1つのシリアルワード I/O端子数は入力データ幅に対する制限要素になる可能性が
にして送信します。ダブル入力モードでは、パラレル入力幅と引 あります。シングル入力モードがイネーブルされている場合、ま
き換えに2倍のピクセルクロックを使用することが可能です。 たはピクセルCRC機能がディセーブルされている場合、多数の
HIBWは広帯域幅モードをイネーブルし、BWS = 0の場合にの 内部データバススロットが利用可能です。利用可能なビットが
み有効です。HIBW = 1は27ビット幅の内部データバスを選択 パラレル入力またはパラレル出力より多い場合、パケット内の
し、HIBW = 0は24ビット幅の内部データバスを選択します。 これらのスロットは使用されず、帯域幅が失われます。
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32-BIT MODE
30 BITS 2 BITS
SERIAL
DATA D0 D1 D23 D24 D25 D26 D27 D28 D29 FCC PCB
NO PXL_CRC PXL_CRC ON
PACKET
PARITY-
CHECK BIT
30 VIDEO 24 VIDEO 6 PXL_CRC FORWARD
BITS BITS BITS CONTROL-CHANNEL
BIT
RX/ TX/
D0 D2 D29 D0 D2 D23 D24 D25 D26 D27 D28 D29 SDA SCL
UART/I2C
DBL = 0 DBL = 1
DBL = 0 DBL = 1
15 x 2 VIDEO
30 VIDEO BITS** 12 x 2 VIDEO PXL_CRC
BITS** 24 VIDEO BITS**
BITS**
D15 D16 D29
D0 D1 D29 D12 D13 D23
D0 D1 D14 D0 D1 D23
NO PXL_CRC, DBL = 0
43.5MHz (max) D0 D1 D11
NO PXL_CRC, DBL = 1 PXL_CRC ON, DBL = 0
87MHz (max) 43.5MHz (max) PXL_CRC ON, DBL = 1
87MHz (max)
****利IN用TE可RN能AなL 内BI部TSビ IッNトPU入T出/O力U端T子PUにTよ PっINて A外V部AIバLAスB幅ILIがTY制 M限AさYれ LるIM場IT合 TがHあE りEXまTすER。NAL BU. S WIDTH
図10. 32ビットデータパケットの内訳
MAX96705/MAX96706のペアを使用する例(図10)で、 関連リソース
BWS (バス幅選択) = 1の場合、内部データ幅は32ビットに設 先進運転支援(ADAS)
定されます(8b/10b符号化後は40ビット)。2つのビットは制
御チャネルおよびパリティ情報用に取っておかれ、残りの30 オートモーティブ製品、アプリケーション、および
ビットはビデオデータ用に使用することができます。さらなる ソリューション
エラー検出用にPXL_CRCがイネーブルされている場合、6つ ADAS用パワーマネージメント
の追加のビットが使用され、残りの24ビットがビデオデータに
使用されます。DBL (ダブル入力モード) = 1の場合、この24
ビットは2つの12ビット入力ワードに割り当てられます。両方
のチップが少なくとも14のパラレルデータ端子を備えている
ため、この構成は制限なしで動作します。DBL = 0の場合、
24ビットは1つの入力ワードに割り当てられ、総スループット
はMAX96705/MAX96706のパラレルデータ端子の数に
よって制限されます。MAX96706は14のパラレル出力のみ
を備えているため、パラレルデータは情報の欠落なしに14の
パラレル入力(DIN13:0)にのみ現れることができます。内部
データバスの他の10スロットは未使用になります。
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SERDESポートフォリオ:ADASアプリケーション
シリアライザ製品選択ガイド
型番 入力 インタフェース 速度(Mbps) サイズ(mm2) HDCP アプリケーション
MAX96707 14 CMOS/LVCMOS 1740 16.8
MAX96709 14 CMOS/LVCMOS 1740 16.8
1.74Gbps小型カメラ
MAX96705 16 CMOS/LVCMOS 1740 26
MAX96711 14 CMOS/LVCMOS 1740 26
MAX9271 16 CMOS/LVCMOS 1500 26
1.5Gbpsカメラ/ディスプレイ
MAX9273 22 CMOS/LVCMOS 1500 37.2
MAX9249 4 LVDS 2500 50.4
2.5Gbpsカメラ/ディスプレイ
MAX9259 30 CML 2500 65.6
MAX9293 — HDMI 3120 65.6 ○
MAX9277 4 LVDS 2800 50.4
MAX9281 4 LVDS 2800 50.4 ○
3.12Gbpsディスプレイ
MAX9275 30 LVCMOS 2800 65.6
MAX9279 30 LVCMOS 2800 65.6
MAX9291 — HDMI 3120 65.6
デシリアライザ製品選択ガイド
型番 入力 インタフェース 速度(Mbps) サイズ(mm2) HDCP アプリケーション
MAX96706 14 CMOS/LVCMOS 1740 26
1.74Gbps小型カメラ
MAX96708 14 CMOS/LVCMOS 1740 26
MAX9272A 28 CMOS/LVCMOS 1500 50.4 1.5Gbpsカメラ/ディスプレイ
MAX9264 30 CMOS/LVCMOS 2500 65.6 ○
MAX9268 4 LVDS 2500 50.4 2.5Gbpsカメラ/ディスプレイ
MAX9260 30 CMOS/LVCMOS 2500 65.6
MAX9278A 4 LVDS 3120 50.4
MAX9282A 4 LVDS 3120 50.4 ○
MAX9276A 32 CMOS/LVCMOS 3120 65.6
3.12Gbpsディスプレイ
MAX9280A 32 CMOS/LVCMOS 3120 65.6 ○
MAX9288 4 CSI-2 3120 50.4
MAX9278 4 LVDS 3120 50.4
MAX9286 4 CSI-2 1500 65.6 カメラ用クワッドSER入力
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Rev.1; May 2020