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温度補償付きの絶縁型pHモニタ

ホワイトペーパー

序章部分を一部ご紹介します
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多くの産業分野では、液体の pH 値を把握することが重要になります。液体を扱うあらゆる産業分野では、pH を測定するシステムがほぼ不可欠です。例えば、廃水システムや廃水プラントにとって、そうしたシステムが重要であることは言うまでもありません。それ以外にも、醸造所からの排水は、下水システムに到達する前に、特定の pH 値に収まっている必要があります。本稿では、水を処理するシステムに、絶縁を施した高精度の pH 測定機能を組み込む手段を紹介します。

このカタログについて

ドキュメント名 温度補償付きの絶縁型pHモニタ
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
取り扱い企業 アナログ・デバイセズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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技術記事 Share on Twitter Facebook LinkedIn Email 温度補償付きの絶縁型pHモニタ 著者: Thomas Tzscheetzsch   アナログ・デバイセズ、スタッフ・フィールド・アプリケーション・エンジニア はじめに 純水のpH値は、7と定義されています。pHが7未満であれば酸 多くの産業分野では、液体の pH 値を把握することが重要になり 性、7以上であればアルカリ性です。pHの測定には、その値に ます。液体を扱うあらゆる産業分野では、pH を測定するシステム よって色が変わる指示薬がよく使われています。しかし、この がほぼ不可欠です。例えば、廃水システムや廃水プラントにとって、 測定方法では、大まかな値しか把握できません。図1に示す回路 そうしたシステムが重要であることは言うまでもありません。それ は、ガラス電極の評価を目的としたものです。精度は、0~14 以外にも、醸造所からの排水は、下水システムに到達する前に、 の範囲のpH値に対して0.5%です。また、温度補償も適用されて 特定の pH 値に収まっている必要があります。本稿では、水を処 います。この回路は、1MΩ~数GΩという高いインピーダンス 理するシステムに、絶縁を施した高精度の pH 測定機能を組み込 を持つ多様なpHセンサーに対応しています。 む手段を紹介します。 pH測定用の電極 本稿では、まず、システムに高精度の絶縁機能を適用する方法 pH用のプローブは、バッテリと同様に、測定用の電極とリファ について考察します。絶縁は、システムから離れたところにあ レンス用の電極で構成されます。測定の対象となる溶液にプロ る水のpH値や異なるグラウンド・レベルをモニタリングした ーブが浸されているとき、測定用の電極は、水素イオンの活量 り、障害の発生時にシステムを高い電圧から保護したりする上 に応じた電圧を生成します。出力の代表値としては、25℃にお で重要な役割を果たします。 いて単位pH当たり59.14mVとなります。この値は、温度によっ pH値とは、水溶液の酸性またはアルカリ性(塩基)の度合いを て70mV/pHまで上昇します。この電圧をリファレンス用の電極 表す指標です。単位のない数値であり、水素イオンの活量を用 の電圧と比較します。溶液が酸性(pHの値が低い)であれば、 いた次式によって定義されます。 プローブの出力電位は、0Vより高くなります。一方、アルカリ 性であれば、0Vよりも低くなります。この出力値は、次式によ pH = –log a(H+)10 (1) って求められます。 ER = E0 – 2 .303 RT (pH – pHREF) (2)nF 3.3VISO フェライト・ ビーズ 3.3VISO 3.3V AVDD DVDD ADuM5411 210µA IOUT2 VIso V10kΩ DDP AIN2+ 1µF pHセンサー 3.3V AD7793 Ω Ω ISO1G 1M Pt1000 10kΩ pH V AIN1+ CS VOA VIA CSOUT 1µF AIN1– SCLK VOB VIB SCLK AIN2– DIN VOC VIC DIN AD8603 DOUT V V DOUT 10kΩ ID OD REFIN+ 5kΩ 1µF REFIN– GNDISO GND1 GND 図1. 一体型の電極を備えたpHセンサー回路(簡略化してあります) analog.com/jp
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2 温度補償付きの絶縁型pHモニタ 各変数/定数の意味は以下のとおりです。 回路の特性 E:プローブの出力電圧 上記のとおり、高い精度を実現するために、入力バイアス電流 E :電極の標準電位(通常は0V)。プローブによって異なりま の代表値が200fAのオペアンプを選択しました。プローブのイ0 す。 ンピーダンスが1GΩの場合、電圧オフセットの最大値は0.2mV になります。これをpH値に換算すると、25℃において0.0037 R:気体定数 R = 8.31447 J・mol-1・K-1 の誤差に相当します。入力バイアス電流が最大値である1pAの T:温度。単位はケルビン。 場合でも、最大オフセット誤差は、1mVと非常に小さく抑えら れます。このような望ましい条件を活かすためには、ガード・ n:移動電子数(または同等の数) リングやシールディングのほか、微小電流の影響を回避する手 F:ファラデー定数 F = 96485.34C・mol-1 法などを適用し、プリント回路基板のレイアウトを適切に実施 することが肝要です。データ・レートを16.7Hz、ゲインを1に pH:測定の対象となる溶液の水素イオン濃度 した場合、ADCによって生成されるノイズは約2μVrmsになり pH : リファレンス用の電極の基準値。値は7です。 ます。ピークtoピークのノイズである13μVを使って計算するREF と、pH値の精度は0.00022になります。オペアンプからのノイ 測定用の回路 ズとADCからのノイズを合わせると、pH換算で0.00053という 更に大きなオフセット誤差が生じます。 図1の回路の主な構成要素は、プローブ用のバッファ、A/Dコン バータ(ADC)、電圧伝送機能を備えるアイソレータです。バ まとめ ッファとして使用しているオペアンプIC「AD8603」は、低消費 電力、低ノイズで、入力バイアス電流が極めて少ないことから 本稿で示したのは、pHセンサーで取得した値を読み取るため 選択しました。入力バイアス電流の代表値は200fAであり、プ のシンプルかつ非常に高精度で低消費電力の回路です。回路の ローブの内部抵抗を流れる電流によって生じる電圧降下を最小 キャリブレーションを実施した後は、pH値換算で0.005という 限に抑えることができます。もう1つの重要なコンポーネント 0.5%の精度を実現できます。絶縁を施しているため、多くのア はADCです。この例では、分解能が24ビットのシグマ・デルタ プリケーションに適用することが可能です。 (ΣΔ)型ADC「AD7793」を選択しました。同ICは、電源とプ ログラマブル・アンプを内蔵している点を1つの特徴とします。 内蔵する電流源は、Pt1000に流れる電流を生成します。これに より温度を測定し、プロセッサで補償を実施します。同じ電流 が5kΩの抵抗(許容誤差0.1%)にも流れ、それによって1.05V のリファレンス電圧が生成されます。2次的な機能として、こ の抵抗は、コモンモード電圧を上昇させます。このコモンモー ド電圧とリファレンス電圧の値を適切に選択することによっ て、ADCの全入力範囲を利用することが可能になります。プロ ーブの出力は±414mV、最大出力は±490mVです。アイソレー タとしては、絶縁型のDC/DCコンバータ「ADuM5411」を使用 しています。同ICは、ADCのSPI用の絶縁機能も提供します。
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著者について オンライン・ Thomas Tzscheetzsch(thomas.tzscheetzsch@analog. サポート・ com)は、2010年にアナログ・デバイセズに入社しまし コミュニティ た。現在は、シニア・フィールド・アプリケーション・ エンジニア(シニアFAE)として業務に従事していま アナログ・デバイセズのオンライン・サポート・コミュ す。2010~2012年はドイツ中部地区の顧客を担当して ニティに参加すれば、各種の分野を専門とする技術者 いましたが、それ以降は、より小規模な顧客層を対象と との連携を図ることができます。難易度の高い設計上 するキー・アカウント・チームに所属しています。2017 の問題について問い合わせを行ったり、FAQ を参照し 年の組織再編後は、FAEマネージャとして、CE諸国の たり、ディスカッションに参加したりすることが可能 IHCクラスタにおいてFAEチームを統括しています。 です。 1992~1998年には、エレクトロニクスを専門とする技 術者として、ある機械メーカーの部門長を務めていまし ez.analog.com にアクセス た。ゲッティンゲン応用科学大学で電気工学について学 んだ後、マックス・プランク研究所のハードウェア設計 技術者としてソーラー・システムの研究に従事しまし *英語版技術記事はこちらよりご覧いただけます。 た。2004~2010年には、流通分野のFAEとしてアナロ グ・デバイセズの製品を扱っていました。 本    社 〒105-6891 東京都港区海岸1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル10F 大阪営業所 〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原3-5-36 新大阪トラストタワー10F 名古屋営業所 〒451-6040 愛知県名古屋市西区牛島町6-1 名古屋ルーセントタワー38F ©2019 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本紙記載の商標および登録商標は、 各社の所有に属します。 Ahead of What’s Possible は アナログ・デバイセズの商標です。 www.analog.com/jp TA20857-7/19