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【低消費電力IC】ウェアラブル機器による生体情報/活動レベルの監視

製品カタログ

人々の健康監視を行うためのウェアラブル機器を対象とした低消費電力ICをご紹介

健康監視の手段はウェアラブル機器へと移行する中、ADIの技術を活用することにより、難易度の高い課題に対して、完全な製品やターンキー・ソリューションを提供することが可能になります。

■シングルリードの心拍監視装置向けのフロントエンドIC「AD8232」
・わずか170μAの消費電流で動作
・16ビットのメーター・オン・チップ「ADuCM350」を併用することで、高性能なシングルリードのECG測定が可能になります。

■光モジュール「ADPD142」
・完全な測光用フロントエンドであり、光検出器、電流源、LEDを内蔵
・反射光の測定向けに設計されており、PPGの測定システムの実装に最適
・すべての部品が小さなモジュール内に収納

■3軸MEMS(Micro Electro Mechanical System)加速度センサー「ADXL362」
・超低消費電力
・電池で駆動するウェアラブル機器におけるモーション検出に最適
・3mm×3.25mmのパッケージで提供
・12ビットのADCによって、1mgの分解能で加速度に対応するデジタル信号を生成

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このカタログについて

ドキュメント名 【低消費電力IC】ウェアラブル機器による生体情報/活動レベルの監視
ドキュメント種別 製品カタログ
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取り扱い企業 アナログ・デバイセズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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ウェアラブル機器による生体情報/ 活動レベルの監視 健康監視の手段はウェアラブル機器へと移行 著者:Jan-Hein Broeders 子供のころ、私の母親は、緊急時に電話をかけられるよ 分当たりの心拍数に加え、活動に応じた心臓の動きを確 うにと必ず小銭を持たせてくれました。その20年後には、 認することも重要です。心拍の急激な変化は心疾患の兆 携帯電話が登場したことよって、いつでもどこからでも 候ですので、心拍のリズムも重要な意味があります。 電話をかけられるようになりました。さらに20年間のイ ノベーションを経て、携帯電話は美しい写真を撮影する 従来、心拍と心臓の活動の監視は、生体電位を測定して 機能や、オーディオ /ビデオのストリーミング機能、さま 心電図(ECG)を取得することによって行われていまし ざまなサービスにアクセスするための機能など、スマート た。身体に取り付けた電極を使い、心臓の組織の電気的 機器としての主要な機能を提供する機器に進化しました。 な活動によって生じる信号を測定するというものです。 それだけにとどまらず、携帯電話は、私たちの“パーソナ この原理は、専門的な診断システムに適用されています。 ル・トレーナー”とでも呼べる存在に変貌しようとしてい そうしたシステムでは、最大10個の電極を胸や手足に取 ます。センサーを搭載する携帯電話、あるいは身体に装 り付けられるようになっています。E C Gは、1つの心拍 着されたセンサーに接続された最新の携帯電話により、 の構成要素(P波、Q R S波、T波)に関する詳細な情報 私たち個人の日々の活動や健康を監視する機能が提供さ を提供してくれます。 れるようになったのです。現在では健康に対する意識の スポーツ業界では、シングルリードのECGが一般的に使 高まりを受けて、そうした機器によって、心拍、体温、 用されています。この装置では、胸に取り付けた2つの電 酸素飽和度、血圧、活動レベル、消費カロリーといった 極ストラップによって心臓の活動を計測します。心電図 生命の維持に不可欠なパラメータを測定し、それらのト の波形の検出も可能ですが、ほとんどのシステムでは単レンドを把握することに関心が集まっています。 に心拍を測定するだけです。ストラップは快適なもので 最新の機器では、複数のセンサーに対応する一般的なフ はないため、スポーツ業界やウェルネス業界では、スポ ロントエンドによって、そうしたパラメータの監視が行 ーツ・シャツに電極を埋め込むといった代替策が求めら えるようになっています。そうした機器の設計において れています。図 1に、アナログ・デバイセズ(A D I)の 最大の課題になっているのは、サイズの最小化と電池に 「AD8232」のブロック図を示しました。同製品は、シン よる稼働時間の最大化です。本稿では、急速に成長する グルリードの心拍監視装置向けのフロントエンド ICです。 ウェアラブル電子機器市場を対象としたソリューション 低消費電力であることが求められるウェアラブル機器向 について説明します。 けに開発されたもので、わずか170μAの消費電流で動作 します。ゲインが100V/Vの計装アンプと、皮膚に取り付 最も重要な生体情報 けられた電極のハーフセル電位(後述)によって生成さ れるオフセット電圧を遮断するためのハイパス・フィル 人間は心拍が停止してしまうと、深刻な状態に陥ります。 タを集積しています。出力バッファとローパス・フィル 心拍や脈拍は、監視すべき最も重要なパラメータです。1 IA ハイパス OUT REF +VS GND HP SENSE IN HP DRIVE +VS リファレンス ・バッファ FR 高速 計測用の 10Ç リストア 電極 ・スイッチ REF +IN デジタル HP 入力 AC/DCDRIVE HP SENSE 10Ç 入力アンプ (ゲインは+100) CM SDN –IN AD8232 RLD FB REF LO+ オプションの デジタル 駆動リード電極 ライト・レッグ 出力駆動(RLD) オペアンプ LO– RLD 高速 REF リストア REF ・スイッチ スイッチ オペ REF オペ OUT アンプ+ OUT アンプ- IA OUT ハイパス 2極のローパス/ゲイン 図 1 . シングルリードのE C G用フロントエンド I C「A D 8 2 3 2」 Analog Dialogue 48-12 1
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AVDD DVDD ADPD142RG/ADPD142RI AGND アナログ・ブロック VREF フォトダイオード 1ÕF タイムスロット Aのデータ TIA 周囲光 AFEの 14ビットの除去 ゲイン のADC SDA SCL VBIAS AFEの構成、 タイムスロット タイムスロットA Bのデータ INT DGND AFEの構成、 VLED AFE:シグナル・コンディショニング タイムスロットB LED2 LED1 デジタル・ インターフェース と制御 LED1/NC LED1のドライバ LED1のレベル/タイミング制御 LED2/NC LED2のドライバ LED2のレベル/タイミング制御 LGND 図 2 . 光モジュール「A D P D 1 4 2」 タは、筋肉の活動(EMG信号)によって生成される高周 手首に装着するタイプの機器によってP P Gの測定を行う 波成分を除去します。この低消費電力のフロントエンド 場合、1つの課題に直面します。それは、周囲光と動き ICと16ビットのメーター・オン・チップ「ADuCM350」 による影響に起因するものです。日光によってD C誤差 を併用することで、高性能なシングルリードのECG測定 が生成されますが、その影響は比較的容易に除去できま が可能になります。 す。しかし、蛍光灯や省エネタイプの照明機器からの光 には、A C誤差を引き起こす周波数成分が含まれていま す。A D P D 1 4 2では、D Cから 1 0 0 k H zの干渉源の影響を 心拍測定のための新たな手法 排除するために 2つの構造を採用しています。まず、ア 心拍の測定手法の新しいトレンドに、PPG(Pho top le th - ナログ・シグナル・コンディショニング部の後段で、分 ysmography:光電式容積脈波記録法)があります。これ 解能が14ビットの逐次比較型A/Dコンバータ(ADC)に は、生体電位を測定するのではなく、光学的に心臓の情 よって信号をデジタル化します。得られたデータは I 2Cイ 報を取得する手法です。PPGは、主に血液の酸素飽和度 ンターフェースを介してマイクロコントローラに送信さ (S p O 2)の測定に使用されてきましたが、心臓の情報を れ、最終的な後処理が行われます。 提供することも可能です。PPGを採用すれば、心拍の監 視機能を腕時計やブレスレットなどのウェアラブル機器 また、光受信器と並列に、同期のとられた送信経路が実 に組み込むことができます。なお、生体電位を測定する 装されています。独立して設けられた電流源は、最大 タイプのシステムは微小信号を扱うので、ウェアラブル 250mAの電流レベルまでプログラムすることが可能であ 機器に組み込むことはできません。 り、2つのLEDを個々に駆動することができます。LEDに 流れるのはパルス電流であり、そのパルス長はマイクロ この種の光学システムにおいて、光は皮膚の表面から透 秒のレベルです。そのため、平均消費電力を抑えること 過されます。そして、赤血球によって吸収される光が ができ、電池による稼働時間を最大限に引き延ばすこと 光検出器によって測定されます。心拍が生じると、血液 が可能になります。 の量の変化に伴って受光量が変動します。かなり多くの 動脈血が流れる指や耳たぶで測定を行う場合には、最も LEDの駆動回路は、動的かつ即座に構成することが可能 高い精度を得ることができる、赤色光源または赤外光源 です。そのため、周囲光、装着者の皮膚や髪の色、セン を使用します。ただ、動脈は手首の上にはほとんど流れ サーと皮膚の間の汗など、感度の低下につながる環境条 ていません。そのため、手首に装着するタイプの機器で 件の影響を排除することができます。励起されるLEDは、 は、緑色光を使用し、皮膚表面のすぐ下にある静脈と毛 自動適応システムを構築するために簡単に構成できます。 細血管を監視して拍動の成分を検出する必要があります。 すべてのタイミングと同期はアナログ・フロントエンド によって処理されます。そのため、システムのプロセッ 図 2に示したのは、光モジュール「A D P D 1 4 2」のブロ サでオーバーヘッドが生じることはありません。 ック図です。これは完全な測光用フロントエンドであ り、光検出器、電流源、LEDを内蔵しています。反射光 A D P D 1 4 2は2つのバージョンで提供されています。A D - の測定向けに設計されており、PPGの測定システムの実 P D 1 4 2 R Gは、赤色と緑色のL E Dを搭載しており、光学 装に最適です。すべての部品が小さなモジュール内に収 的な心拍監視に対応できます。一方のA D P D 1 4 2 R Iは赤 められています。 色L E Dと赤外線L E Dを搭載しており、酸素飽和度の測 定に対応可能です。 光学式の生体情報監視における課題 2 Analog Dialogue 48-12
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動きの影響 動きを検出したらアプリケーションを起動するという機 光学式の心拍監視装置では、「動き」が機能を妨げる要 能には、高速のサンプリングは不要です。そのため、デ 因になります。これは、睡眠時の調査に装置を使用する ータ・レートを 6 H zまで引き下げることもできます。そ のであれば問題にはならないかもしれません。しかし、 れにより、平均消費電流を 3 0 0 n Aに抑えることも可能 運動時に装着するスポーツ・ウォッチやブレスレットに です。このような特徴を備えることから、このセンサー おいて、動きによる影響を取り除くのは困難な作業にな は、低消費電力であることが求められるアプリケーショ ります。光学センサー(LEDと光検出器)と皮膚の間の ンや、電池を簡単には交換できない埋め込み型の医療機 動きは、光信号の感度を低下させます。また、動きの周 器において魅力的な選択肢になります。図3に、異なる 波数成分は心拍の測定結果だと見なされる可能性があり 電源電圧における電源電流と出力データ・レートの関 係 ます。そのため、動きの測定を行って、それを補償する を示しました。 処理が必要になります。機器が人体に密接に装着されて 6 いればいるほど、その影響は小さくなりますが、それを VS = 1.6 機械的に除去するのはほぼ不可能です。 VS = 2.05 VS = 2.5 VS = 3.0 動きの測定にはさまざまな手法が用いられます。1つは、 VS = 3.5 4 複数のLEDの波長を使用する光学的な手法です。コモン 信号が動きを表し、差動信号が心拍を検出する役割を果 3 たします。ただし、実際にはモーション・センサーを使 用する方法を選択した方がよいでしょう。そうすれば、 2 ウェアラブル機器に影響を与える動きを正確に測定でき るだけでなく、活動の追跡、歩数の計測、一定の重力加 速度を検出した場合のアプリケーションの起動といった 1 機能にも同センサーを利用することができます。 0 0 100 200 300 400 超低消費電力の3軸MEMS(Micro E l ec t ro Mech an i ca l 出力データ・レート〔Hz〕 Sys t em)加速度センサー「ADXL362」は、電池で駆動 図 3 . A D X L 3 6 2の電源電流と出力データ・レートの関係 するウェアラブル機器におけるモーション検出に最適な 製品です。 3 m m × 3 . 2 5 m mのパッケージで提供されてお システムにおけるセンサーの接続 り、12ビットのADCによって、1mgの分解能で加速度に ここまでに紹介したすべてのセンサーを接続し、必要な 対応するデジタル信号を生成します。消費電流はサンプ ソフトウェアを実行して結果を保存 /表示 /送信するシス リング・レートに依存し、1 0 0 H zの出力データ・レート テムを考えます。その中心となるのは、ミックスド・シ の場合にはわずか 1 . 8 μ A、 4 0 0 H zでは 3 . 0 μ Aです。この グナルのメーター・オン・チップである「A D u C M 3 5 0 レベルの高いデータ・レートは、タップやダブルタップ 」です。図4に示すように、A D u C M 3 5 0では、高性能の といった操作を検出するユーザー・インターフェースに アナログ・フロントエンド(AFE)とクロック周波数が 適しています。 16MHzのプロセッサ・コア「ARM ® Cor t ex ®-M3」が統 合されています。AFEの柔軟性とマイクロプロセッサの PLL SW/JTAG LF XTAL 1 × 256kB1 × 128kB ARM HF XTAL CORTEX-M3 フラッシュ・メモリ HF OSC 16kB NVIC TRACE EEPROM LF OSC DMA SRAM0 AFE • ビットの高精度 信号生成 (16kB) 16 ADC AMBA • 高精度のリファレンス AFE バス・ • スイッチ・マトリックス コントローラ マトリックス • 12ビットのDAC DFT SRAM1 POR • 入力アンプの制御ループ (16kB) • TIA USB PHY USB PSM 受信 フィルタ PDI LP LDO CapTouch SPIH HP LDO UART SPI0 SPI1 I2C TMR0 TMR1 PMU BEEP ABP-0 AHB‐APBブリッジ ABP-1 I2S LCD GPIO CRC TMR2 WDT RTC MISC 図 4 . A F EとC o r t e x - M 3を統合した I C Analog Dialogue 48-12 3 消費電流〔μA〕
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バックアップ_M1 バックアップ ADP5090 SYS バックアップ_M2 RSYS CSYS システム用スイッチ 太陽電池 SW BSTO 電池用スイッチ BAT + + HS SDB – – CIN BAT VIN コールドスタート用 のチャージ・ポンプ PG REF SYS MPPT MPPT コントローラ TERM_REF SETSD EN_BST SDB CBP 昇圧 電池の コントローラ 昇圧制御 PGOOD MINOP SETPG PG DIS_SW VREF TRM TERM_REF TERM充電 終了制御 バイアス、 リファレンス、 2R 発振器 R PGND AGND BAT 図 5 . エネルギー・ハーベスティング対応のレギュレータ「A D P 5 0 9 0」 豊富な機能により、この ICは携帯型の機器やウェアラブ ことで電池による駆動時間を最大限に引き延ばします。 ル機器に最適なものとなっています。AFEは設定変更が 可能なので、ほとんどのセンサーに対応できます。また、 A D u C M 3 5 0は、超低消費電力のセンサーと共に使用す プログラマブルな波形発生器によってアナログ・センサ ることを前提として設計されています。そのため、低 ーにAC/DC信号を供給することが可能です。高性能の受 速な機器でしか使用できません。高い処理能力を必要 信シグナル・チェーンにより、センサーからの信号に対 とするアプリケーションでは、最大 8 0 M H zで動作する しては、コンディショニングとデジタル変換が施されま Cor tex -M3か、Cor tex -M4を使用することになります。 す。デジタル変換に使用するのは、分解能が16ビットの ADCです。その積分非直線性誤差( INL)と微分非直線 消費電力 性誤差(DNL)の最大値は±1LSBで、ミッシング・コー 消費電力は、携帯型の機器やウェアラブル機器において ドは生じません。ADuCM350は、電圧、電流、ポテンシ は常に重要な意味を持つ要素です。本稿で紹介した ICは、 ョスタット、光電流、複素インピーダンスなど、任意の 高性能、小型、低消費電力という要件を満たすように設 種類の入力信号に対応します。 計されています。それでも、電池を含むすべての部品を A F E C o r t e x - M 3 小さなパッケージに収容するのは容易なことではありまは、 を使用することなく、スタンドアロ せん。電池のサイズに注目すると、m m 3当たりの容量を ーン・モードで動作させることもできます。プログラマ DMA 高めることが可能な新しい技術を採用したとしても、電ブルなシーケンサによって測定エンジンを制御し、 子部品と比べればかなり大きいと言えます。 を介して結果をメモリに格納します。測定を開始する前 に校正ルーティンを実行することで、送受信シグナル・ エネルギー・ハーベスティングを活用すれば、電池のサ チェーンにおけるオフセット誤差とドリフト誤差を補正 イズを縮小しつつ、電池による稼働時間を延伸すること することができます。血糖値やBMI(肥満度指数)に対 ができます。エネルギー・ハーベスティングは、熱電 応する複素インピーダンスの測定や、組織の識別を実施 式、圧電式、電磁式、光起電式など、さまざまな技術を するアプリケーションでは、Cor tex -M3を使うことなく、 利用して実現されます。ウェアラブル機器に最も適切な 内蔵するDSPアクセラレータによって2048ポイント、単 のは光と熱によるエネルギー・ハーベスティングです。 一周波数のD F T(離散フーリエ変換)を実行することが 通常、センサーの出力電力はそれほど大きくはありませ できます。このような高性能なA F E機能を備えることか ん。そのため、エネルギー・ハーベスティングを実現す ら、ADuCM350はほかの ICソリューションとは一線を画 るには、生成される熱を可能な限り収集して活用する必 すものとなっています。 要があります。図5に示した超低消費電力の昇圧レギュ Cortex I 2S USB MIPI Mobile Industry Processor レータ「ADP5090」は、ハーベスタと電池の間のギャッは、 や 、 ( In t e r f ace プを埋める役割を果たします。この高効率のスイッチン)、液晶ディスプレイ・ドライバ(スタティッ グ電源コントローラは、わずか 1 0 0 m Vから最大 3 Vまで ク)といったさまざまな通信ポートをサポートします。 また、フラッシュ・メモリ、SRAM、EEPROM の入力電圧の昇圧に対応します。ただし、電池が完全ににも対応 放電していてコールドスタートを行う場合には、380mV します。さらに、5つの異なる電力モードをサポートする 4 Analog Dialogue 48-12 SYS CLK
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の最小入力電圧が必要です。電池が完全には放電してい まとめ ないか、電気二重層キャパシタにエネルギーがわずかで 本稿では、人々の健康監視を行うためのウェアラブル機 も残っているような通常動作の場合、最小100mVまでの 器を対象とした低消費電力 I Cを紹介しました。この市 入力信号はそれよりも高い電圧に変換するとともに、後 場は、著しい成長を見せるとともに、急速に変化してい で使用できるよう蓄積することが可能です。 ます。A D Iの技術を活用することにより、難易度の高い 課題に対して、完全な製品やターンキー・ソリューショ この I Cは、3mm×3mmの小さなパッケージを採用してい ンを提供することが可能になります。今後の進展にもご ます。プログラムが可能であり、さまざまなハーベスタ・ 期待ください。 センサーに対応可能です。静止電源電流は最大で2 5 0 n A であり、リチウム・イオン電池や薄膜電池、電気二重層 関連資料 キャパシタなど、あらゆる蓄電技術に対応します。保護 回路も内蔵しているので、安全な動作が保証されます。 h t tp : / /www.ana log .com/ jp / app l i ca t ions /marke t s / hea l thca re .h tml 人体装着型システム向けの生体インピ は、その機能が抑制されます。ほとんどの生体医学 測定には、分極性(ドライ)電極よりも非分極性(ーダンス測定回路の設計 ウェット)電極の方が適しています。しかし、一般 著者:José Carlos Conchell に携帯型のコンスーマ機器では、コストが低く再利 用が可能なドライ電極が使用されます。 はじめに 電極と皮膚の間のインピーダンス 生体情報監視(VSM:Vital-sign Monitoring)用のウェ アラブル機器は、ヘルスケア業界に変革をもたらしてい 図1に示したのは、電極の等価回路です。R dとC dは、 ます。そうした機器により、自分の生体情報や活動につ 電極と皮膚の間のインターフェースと、そのインタ いて、いつでもどこでも観察できるようになってきまし ーフェースにおいて分極に伴って生じるインピーダ た。いくつかの主要なパラメータにおいて最も重要な情 ンスを表します。R sは電極材料の種類に応じた直列 報は、生体インピーダンスを測定することによって取得 抵抗で、E hcはハーフセル電位です。 することができます。 Rd E 実用的なウェアラブル機器は、小型かつ安価で消費電力が hc Rs 少なくなければなりません。また、生体インピーダンスの Cd 測定には、ドライ電極(ジェルが不要な電極)の使用や安 全を確保するための要件にかかわる課題が伴います。本稿 図 1 . 生体電位の測定に使用する電極の等価回路 では、そうした問題に対するいくつかの解決策を示します。 電極と皮膚の間のインピーダンスは、アナログ・フ 電極のハーフセル電位 ロントエンドを設計するうえで重要な意味を持ちま 電極は、人間の皮膚のような非金属の物質と電子 す。なぜなら、そのインピーダンスの値が大きいか 回路との間を接続するための電気的なトランスデ らです。低い周波数では、R sとR dの直列接続が支配 ューサです。非金属の物質と電子回路の相互作用に 的ですが、高い周波数ではコンデンサの影響を受け より、ハーフセル電位として知られる電圧が生成さ てインピーダンスがR dまで低下します。表2は、電極 れ、それによってA D Cのダイナミック・レンジが の材料ごとに、R dとC dに加え、1kHzにおけるインピ 低下します。表1に示すように、ハーフセル電位は ーダンスの標準的な値を示したものです。 電極の材料によって異なります。 表2. 電極と皮膚の間の標準的なインピーダンス 表1. 一般的な材料のハーフセル電位 材料 Rd Cd |Rd//Cd| @ 1 kHz 金属と化学反応式 ハーフセル電位〔V〕 Ag/AgCl 350 kΩ 25 nF 6 kΩ Al→Al3++3e– –1.706 (ウェット) Ni→Ni2++2e– –0.230 金属板 1.3 MΩ 12 nF 13 kΩ Ag+Cl+→AgCl+e– +0.223 薄膜 550 MΩ 220 pF 724 kΩ Ag→Ag++e– +0.799 MEMS 650 kΩ 無視できる 650 kΩ Au→Au++e– +1.680 IEC 60601 ドライ電極 I E C 6 0 6 0 1は、医療用電気機器の安全性と有効性を ハーフセル電位は、電極に電流がまったく流れない 確保するための一連の技術規格です。国際電気標準 場合に観測されます。DC電流が流れると電圧の測定 会議( I E C: I n t e r n a t i o n a l E l e c t r o t e c h n i c a l C o m - 値が増加します。この過電圧によって電流が妨げら m i s s i o n)によって公開されています。この規格で れ、電極が分極化します。特に、動きがある場合に は、人体を流れるDCリーク電流の最大値が通常の条 Analog Dialogue 48-12 5
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件下で1 0 μ A、単一故障のワーストケースという条件 ザーを保護する役割を担います。また、これらは、通 下で50μAと定められています。一方、ACリーク電流 常動作を行っているときと初めて故障が発生したと の最大値は励起周波数によって異なります。周波数 f E きのD C電流をゼロにし、初めて故障が発生したとき が1kHz以下の場合、最大許容電流値は10μA rmsです。 のAC電流もゼロにするよう働きます。さらに、抵抗 周波数が1kHzを超える場合には、 R L I M I Tによって、通常動作を行っているときのA C電 fE となります。この電流の制限値は 流が上限値未満になることを保証します。R× 10 μA rms ACCESSは、 1000 Hz 皮膚と電極の間の接点を表します。 慎重に定められたものであり、回路設計における重 ADuCM350は、TIA(トランスインピーダンス・アン 要なパラメータとなります。 プ)からの電流と、AD8226の出力電圧を測定し、未 知の生体インピーダンスを計算します。電流の大部分 回路設計のソリューション が未知のインピーダンスとTIAを流れるように、R CM1 インピーダンスの測定には電圧源 /電流源と電圧計 /電 とR C M 2の値はできる限り大きくする必要があります。 流計が必要です。そのため、A D CとD A Cが一般的に 推奨値は10MΩです。 使用されています。高精度の電圧リファレンスと電圧 / 電流制御ループも必須です。また通常は、データを処 設計上の制約 理し、インピーダンスの実数部と虚数部の値を取得す この設計には、 1つの制約があります。それは、励 るためにマイクロコントローラも必要になります。加 起周波数において電極と皮膚の間のインピーダンス えて、ウェアラブル機器の給電には通常は単極電池が が 1 0 M Ω近くになる場合に生じます。電極と皮膚の 使われます。さらに、できるだけ多くの部品が単一の 間のインピーダンスがR C M 1とR C M 2(各 1 0 M Ω)より パッケージに収容されている方が便利です。メーター・ もかなり小さくなければ、V がAと等しくなら オン・チップであるADuCM350 I N A M P +は、ミックスド・シグ ず、V もBと等しくなりません。そのため、測定 ナルで集積度が高く消費電力が少ない IC INAMP-です。同製品 精度が低下します。表2に示すように、励起周波数が は、Cor tex-M3、単一周波数に対応するDFT演算を実 1kHzよりも高い場合には、通常、電極と皮膚の間のイ 行可能なハードウェア・アクセラレータを集積してい ンピーダンスは1MΩよりもはるかに小さくなります。 ます。そのため、ウェアラブル機器に対する強力なソ リューションとなります。 検証結果 I E C 6 0 6 0 1に準拠するために、A D u C M 3 5 0と共に計 この設計の精度を検証するために、異なる未知のイン 装アンプ「A D 8 2 2 6」を使用し、精度の高い4線式の ピーダンスを使ってシステムのテストを行いました。 計測を行います(図2)。コンデンサC I S O 1とC I S O 2によ その結果を、K e y s i g h t Te c h n o l o g i e s社(旧A g i l e n t って電極と人体の間のD C電流が遮断され、分極効果 社)のインピーダンス・アナライザ「4294A」による が排除されます。人体には、A D u C M 3 5 0によって生 測定結果と比較しました。すべてのテストにおいて振 成されるAC信号が伝搬されます。 幅誤差は±1%未満でした。また絶対位相誤差は500Hz と5kHzにおいて1°未満でした。50kHzで生じる9°の位 コンデンサC I S O 3とC I S O 4によってA D CからのD Cレベル 相オフセット誤差は、ソフトウェアによって補正する を遮断することで、ハーフセル電位の問題を解決し、 ことができました。 すべての時点で最大限のダイナミック・レンジを維持 することができます。C ISO1、C ISO2、C ISO3、C ISO4はユー [閉ループ・ゲイン] スイッチ・ =2 DAC_ATTEN_EN マトリックス VREFDAC 1.8V RCAL 1 RCF 励起アンプ 50kHz 1.0V RCAL 2 のループ DACP 12-BIT IDAC DACN 0.6V PGAAFE 8 DACD [ゲイン] R 0.2VLIMIT AFE 7 =1/0.025 REFNHIZ 0.6V DACCLK VBIAS I CISO1 AFE 6 V INAMP+ P BIAS RCM1 CISO3 RACCESS1 IAB AFE 5 ×1.5 REF A R RAD8226 G ACCESS3 AFE 4 未知のインピーダンス N V ADC 16-BITS, DFTB AFE 3 BIAS 160kSPS 78SPS RCM2 CISO4 RACCESS4 RACCESS2 AFE 2 ×1.5T VBIAS CI ISO2INAMP+ AFE 1 ITIA AN_A ×1 RTIA 図 2 . A D u C M 3 5 0とA D 8 2 2 6を用いた 4線式の絶縁計測回路 Analog Dialogue 48-12 6 MUX
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まとめ 関連資料 本稿では、生体インピーダンスを測定するための人体 Neuman , Michae l R「Biopo ten t i a l E lec t rodes」 装着型機器の設計について説明しました。この種の The B iomed ica l Eng inee r ing Handbook , Four th 機器は電池で駆動するので、消費電力を低く抑えな Edi t ion . CRC Pres s , 2015年 ければなりません。また、S/N比の向上、ドライ電極 への対応、 IEC 60601の安全要件への対応についても Chi , Mike Yu , Tzyy-P ing Jung , and Ger t Cauwen- 検討する必要があります。本稿では、A D u C M 3 5 0と berghs「Dry-Con tac t and Noncon tac t B iopo ten t i a l A D 8 2 2 6を用いたソリューションを取り上げました。 Elec t rodes : Me thodo log ica l Rev iew」 IEEE Rev iews 完全な回路構成を含む詳細な情報については、w w w. in B iomed ica l Eng inee r ing , Vo lume 3 , 2010年 a n a l o g . c o m / l i b r a r y / a n a l o g d i a l o g u e / a r c h i v e s / 4 8 - 1 2 / b io_ imp .pdfをご覧ください。 h t tp : / / en .wik iped ia .o rg /wik i / IEC_60601 Jan-Hein Broeders 著者: Jan-Hein Broeders( j an .broeders@analog .com)は、ADIの欧州 /中 東 /アフリカ地区担当 ヘルスケア事業開発マネージャーを務めていま す。ヘルスケアの専門家と密に連携し、現在 /将来の要件を基にソリ ューションを導き出しています。これまで、20年以上にわたって半導 体事業に携わってきましたが、2005年にPhi l ips社担当グローバルFAE としてADIに入社し、2008年から現職に就いています。オランダのス ヘルトーヘンボス大学で電気工学理学士の学位を取得しています。 José Carlos Conchell José Car los Conchel l( jose .conchel l@analog .com)は、2010年に、ス ペインのバレンシア大学で電子工学の学位を取得しました。同年、ヘル スケア・グループに所属するシステム・アプリケーション・エンジニア としてADIに入社しました。 7 Analog Dialogue 48-12