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【活用事例】小型赤外線サーモグラフィカメラ「FLIR AX8」で農業の見える化に貢献

事例紹介

温度情報を含む 80 x 80 ピクセルの赤外線画像を生成

日本の農業は、就労者の高齢化、後継者不足、TPP による貿易自由化の問題などの多くの深刻な問題を抱えています。その課題の解決に向け、農業の最適化と自動化に関わる研究が進められています。
東京大学 大学院工学系研究科 三宅 亮 教授、秋田県立大学 生物資源科学部 小川敦史 教授、広島大学 ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 小出 哲士 准教授らの研究チームは、JST CREST において「フィールド向け頑健計器と作物循環系流体回路モデルによる形質変化推定技術に関する研究」プロジェクトに取り組んでいます。
広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 (RNBS) の小出准教授チームは、農作物の栽培過程における様々なデータの収集と解析を行う部分を担当しています。赤外線サーモグラフィカメラ FLIR AX8 による農作物の栽培過程の温度画像は、今まで見えなかった農作物の表面温度の時系列的な「見える化」を実現し、農業の最適化・自動化研究に大いに役に立っています。

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ドキュメント名 【活用事例】小型赤外線サーモグラフィカメラ「FLIR AX8」で農業の見える化に貢献
ドキュメント種別 事例紹介
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登録カテゴリ
取り扱い企業 フリアーシステムズジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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AUTOMATION アプリケーションストーリー フリアーシステムズの小型赤外線サーモグラフィカメラで 農業の見える化に貢献 日本の農業は、就労者の高齢化、後継者不足、TPPによる貿易自由化の問題などの多くの深刻 な問題を抱えています。その課題の解決に向け、農業の最適化と自動化に関わる研究が進めら れています。東京大学 大学院工学系研究科 三宅 亮 教授、秋田県立大学 生物資源科学部 小川 敦史 教授、広島大学 ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 小出 哲士 准教授らの研究チームは、 JST CRESTにおいて「フィールド向け頑健計器と作物循環系流体回路モデルによる形質変化 推定技術に関する研究」プロジェクトに取り組んでいます。広島大学ナノデバイス・バイオ融 合科学研究所 (RNBS)の小出准教授チームは、農作物の栽培過程における様々なデータの収集 と解析を行う部分を担当しています。赤外線サーモグラフィカメラ FLIR AX8による農作物の 栽培過程の温度画像は、今まで見えなかった農作物の表面温度の時系列的な「見える化」を実 現し、農業の最適化・自動化研究に大いに役に立っています。 農業の高齢化とノウハウ 昨年でいえば東北地方は例年と比べると日照 赤外線カメラFLIR AX8は、温度情報を含む80 x 60ピクセル の赤外線画像を生成します。 「ベテラン農家さんのノウハウを継承するに 不足が生じていた。」と小出准教授は言います。 は様々なデータの収集が必要になります。」と しかし、FLIR AX8を使用することにより、農 広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究 作物の表面温度を蓄積することができるよう 所小出准教授は言います。 になりました。温度データを蓄積することで 日本の農業は、就労者の高齢化、後継者不足 全体の温度分布を計測するだけでなく、特定 に伴いさまざまな角度から自動化を目指す動 エリアのみ日照時間が多い、少ないなどの農 きが広がっています。日本は、現在でも世界 作物の「見える化」の実現に向けて研究を進 5位の農業大国として知られております。し めています。 かし、その農業人口の 6割以上が 65歳以上 であり、35歳未満の働き盛りはわずか また気象環境の変化について例年予想はされ5%と いう現実が非常に深刻になっております。 るのですが外れることも多いのが現実でし 農作物を育てるためのノウハウを継承してい た。しかし固定式カメラを常設することでリ くことが最も重要なのですが、近年は後継者 アルタイムで定期的に、温度データ、熱画像、 も不足していることもあり、いろいろなアプ 並びに可視画像を同時に収集することができ ローチからノウハウをデータ化しています。 ると、環境変化にも順応した形で、肥料や養 そのデータを基に現場でどのように対応して 分の分量を環境に応じて与えることが、今後 いくことができるのかが重要になってきてい 可能になることが期待されています。 ます。その中でも重要なのが、肥料や養分の 調整です。「日本各地ですべて同じ気候という ことは、ほとんどなく、日本国内でもいろん な要素が入ることで、気候環境は変化します。
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今後の農業への展望 「今後の展望として、次世代型の栽培技術を 実用化し、農家の人たちが使用できるまで画 像センシング技術を浸透させ、且つ使いやす さを追求していくことが一番の目標」と小出 准教授は言います。従来の方法としては、ノ ウハウや経験といった各農家の知見を基に育 成を行っていた技術ではあったが、温度デー タをリアルタイムで定期的に取得することで、 稲や葉の温度のトレンドグラフを取得するこ とは、今までに試した例はなく、初の試みです。 こういった温度のトレンドを記録することで、 光合成の状態を測定できる可能性が期待でき ます。そして高温障害に対して傾向が見える 化できる可能性がある FLIR AX8は非常に大き な役割を果たしています。 現在は JST CREST研究プロジェクトにおいて 赤外線カメラFLIR AX8を使用して継続的に農作物を観測している様子。 各大学で様々なセンサーを使用し、その中で、 次世代型の栽培技術に役立つセンサやセンシ 等級を左右するお米の育種 葉にストレスを与えることなく、葉温を測定 ング情報を見つけ出すことを行っています。 日本の農業は、先にも申し上げた通り、後継 でき、蒸散との関係がわかる可能性がありま その中でも FLIR社の赤外線カメラは、温度 者は不足していますが、それとは逆に農作物 す。このような、状態観測を切り口に稲を管 データに加え画像という技術を持ち合わせて の品種改良 育種 が盛んであり、中でもお 理することで品質が向上し、今までの「高温(= ) いるため、農業の発展に大きく貢献できるの 米の品種は年々増加しています。現在、日本 障害」等による等級低下を防ぐことができる ではないだろうか。 の品種の数は、国に品種登録されているだけ 可能性が期待されます。「今後は、広島県の特 今後、日本農業の生産性の向上に向け、赤外 でも 品種以上があり、品種改良のスピー 産物の農作物などにも応用できるように更に800 線カメラをはじめとした画像センシング技術 ドも非常に速くなっています。 研究を進めていきたい」と小出准教授は言い が次世代型の栽培技術発展に貢献することを そんな品種改良の場面でも、赤外線カメラは ます。 期待しています。 大きな役割を果たす可能性があります。 近年、日本は異常気象と呼ばれるほど、高温 化の傾向が顕著になってきています。この高 温化現象に影響を受けるのは、人間や動物だ けでなく、農作物も同様で、お米の場合は登 熟期に高温化が進むと、白未熟粒などが多く 発生してしまう「高温障害」が発生します。 これについては、一概に気温だけでなく、農 業者の水の管理や肥料の管理なども起因して います。 このような「高温障害」がお米に発生すると、 お米自身の等級にも影響を及ぼします。 そこで、赤外線カメラを導入することで、得 られた温度分布や熱画像データをリアルタイ ムで取得し、「高温障害」の発生傾向との関連 が発見できれば、早い段階で対策をすること で、お米へのダメージを最小限にする環境作 りができる可能性があります。また、温度デー タを蓄積することで、稲や葉の日照時間や温 温度データを用いて葉の日照時間や温度分布を確認している様子。 度分布を確認することができ、それに適した 水分量を与えることにより、お米へのダメー フリアーシステムズジャパン株式会社〒 141- 0021 ジを軽減できる可能性があります。更にデー 東京都品川区上大崎 2-13-17 タの蓄積は来年、再来年に向け、早期栽培を 目黒東急ビル 5階 進めるか遅延栽培を行うかといった判断材料 電話 : 03-6721-6648 にもなり、人のノウハウだけでは対応できな FAX: 03-6721-7946 い部分もカバーする可能性が期待されます。 e-mail: info@flir.jp www.flir.jp 特に赤外線カメラが有効である理由は、リア ルタイムでの葉温の状態監視ができることで 表示されている画像は、記載されているカメラの実際の す。従来は葉をチャンバーの中にいれるよう 解像度を示すものではありません。画像は説明目的で使 用されています。 な方法で、光合成の状態を計測していました 作成日:2018年7月 が、赤外線カメラを用いることで、