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カップリング,選定方法,技術資料
このカタログについて
| ドキュメント名 | 【基本技術資料で学ぶ】カップリングの選定ガイド |
|---|---|
| ドキュメント種別 | ハンドブック |
| ファイルサイズ | 649.6Kb |
| 登録カテゴリ | |
| 取り扱い企業 | アサ電子工業株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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スライド 1: 選定方法と 技術資料
選定方法と
技術資料
カップリング編
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カップリングの選択方法について
・回転軸を結合するカップリングの使用先は、まさに千差万別です。私達メーカーもその使われ方に思いを巡らせ
ながら、あれこれ対応するカップリングを製作しています。
昔は歯車やベルトが回転伝達の主役でしたが、現在ではカップリングの利用が益々高まり、方式も種類も増加して
います。
一方でカップリングの破損は装置の故障となり、大きな損害を発生させる場合が少なくありません。装置の回転系
には想定外の過大負荷がかかることがあるので、慎重に、しかも安全率を高めて選択する必要があります。
・伝えるべきエネルギー(トルク・回転速さ・回転体慣性等)の大きさ、逆転頻度とその瞬間の回転角加速度、軸間
のミスアライメント(図1ご参照)の種類と大きさ、スペース、環境(水・油・光線・電磁波・塵埃・周囲温度・真空中な
ど)の状況、必要とする回転寿命・・・それらの中から必要な項目を満たしたうえで適正なコストの商品を選択して
いただかなければなりません。
δ
●偏心
α
●偏角(中心一致)
A A
α
●偏心・偏角の複合 δ
A
A
●エンドプレイ
X
●振れ
ミスアライメント (図1)
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カップリングの選択方法について
・実際に使用して、短時間で破損した場合は、トルクかあるいはミスアライメントの過大が原因です。最近は特にサ
ーボモータ関係で時 ト々ラブルが発生しています。その第一の問題点は、サーボモータの瞬間最大(3倍)トルク以
上のトルクがカップリングに加わるはずがないと錯覚されている場合です。
(図2)はA点⇔B点間のプログラム制御の例でサーボモータの駆動電流の波形とサーボゲイン小と大の比較で示
した図です。
起動・停止のA点・B点ではモーターの瞬間最大電流が流れますが、A→Bと低速で動いている間でもローターが
回転振動をしています。
サーボモータのローターと軸はかなりの慣性質量を持っているので、A点・B点で大きな回転ハンマーとなってカ
ップリングに衝撃トルクを与えます。更に低速移動中でもインパクトドライバーとしてカップリングを痛め続けます。
(図3ご参照)
・サーボモータが大きくサーボゲインが高くて常にローターが激しく回転振動している状況では、この振動による
衝撃トルクがサーボモータの瞬間最大トルクを大きく超え、しかも数サイクルから数十サイクルの振動衝撃となり
ます。この衝撃トルクを知る為には超高速カメラで瞬間最大角加速度を測定し慣性モーメントを乗ずればよい訳
です。
・経験的に考察した場合ですが、高速で激しい動きのサーボ系で24時間働き続ける例では、サーボモータの瞬間
最大トルクの5~8倍がカップリング仕様の許容トルク以下であれば数年の寿命が期待できます。但し、このよう
な機械では当然ミスアライメントは0に近い位に高精度で組み立てられていなければなりません。
B
プログラム A A ローター
駆動電流
サーボゲイン:小
カップリ
ング 回転振動
駆動電流
サーボゲイン:大
時間(SEC) ⇨
(図2) (図3)
<補足説明>
カップリングが破損に達する原因について
・理解を助ける例として、エアシリンダーの場合について説明します。エアシリンダーの作動力はシリンダーの面積×空気圧で示さ
れ、それ以上の力は出しません。しかし、破損しない為にストッパー部にゴムクッションを付けたり、エアー絞り端末構造にして衝
撃力にある程度耐えるように作られています。更に使用に際しては減圧弁、スピコン、ショックアブソーバーなどを付けて結合部の
破損やゆるみを防がなければなりません。この破損する力は空圧的力ではなく、質量を持った運動体が急激に停止させられる時
の力(F=Mα)であり対策の有無で非常に大きくなり得ます。
カップリングの場合も同じように、起動・停止・回転振動などの加速度をどれだけ小さく押さえられるかによってカップリングの強
度を考えます。ショックアブソーバー的要素がなければそれだけ許容トルクに対し安全率を高める必要があります。
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■ねじりばね定数について
主としてサーボ系に使用するカップリングで大切な特性です。カップリングの片方の軸を固定し、反対側の軸にト
ルクを加えながら左右ハブ間のねじれ角(度)を測定すると(図a)のようなグラフを描くことができます。許容トルク
Toの決め方はメーカーによっても形式によっても多少異なります。
ねじりばね定数は T o × 5 7 .3 (N・m/rad)で表します。
C °
カタログ記載のねじりばね定数が例えば2000N・m/radで、常用トルクが7N・mとあれば
「 7×57.3/2000≒0.2(度)」即ち7N・mの常用トルクに対するねじれ角が0.2(度)だと実感できます。
但しこの数値が即サーボの位置誤差となる訳ではありません。
■偏心について
ディスク型カップリングと偏心の関係
❶設計と製作の上から偏心を0に近く保てると考えている装置の場合は、一般的にシングルディスク(ショートタ
イプ)カップリングが採用されていますが、現実にはこの点がかなりトラブルの原因となっているようです。組立精
度に自信があってもサーボ機械においてはダブルディスク(ロングタイプ)を推奨します。
シングルディスクの偏心ばね定数は、ダブルディスクタイプに比べて10~20倍大きいので、僅か0.05(mm)位の偏
心でも大きな偏心ばね荷重が加わり、たとえカップリングが短期間で破損しない場合でも、ベアリングの寿命をか
なり短くします。ひどい場合には、軸の破損例もあります。また、トラブルが発生しても、スペースの関係でダブルデ
ィスクタイプに交換が不可となります。対応策としては、偏心ばね定数の小さいポリイミドディスクかサーボ対応の
オルダムカップリングを選択する必要があります。
❷偏心が小さく抑えられない場合は、ダブルディスク(ロングタイプ)カップリングの選定が必要です。この場合でも
カタログ許容値より小さく抑える努力が必要です。許容値一杯の場合には常用トルクを1/2~1/5と下げる必要
がでてきます。偏心は寿命に関係すると考えるべきです。この場合の破損状況は金属ディスクの曲げ応力による疲
労破断がほとんどです。
❸寿命の心配を失くす為には、疲労現象の無いポリイミドあるいはカーボンFRPのディスクを選択する方法もあ
りますが、許容トルクは小さくなります。
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技術資料
オルダムカップリングと偏心の関係
❶ オルダムカップリングは、小形で高トルクが特長ですが、偏心のある場合には破損するのではなく
「負荷トルク×偏心量×回転速度」の積の大きさに比例して、ハブとスライダーとの摺動面で摩耗の進行が生じま
す。長寿命の為には、偏心を出来る限り小さくする必要があります。また、摺動面に二硫化モリブデン系グリース
の塗布も有効です。
❷ 現在では、サーボ系のカップリングとして使用される割合が非常に多くなっています。その理由として、小形・高
トルクなので装置の小型化が出来ることがあげられるでしょう。偏心0.1以下であればバックラッシュゼロでサー
ボ特性としても良好です。
■偏角について
❶ 大きな偏角(5°以上)に対しては、市販のユニバーサルジョイントあるいは当社新開発のボールカ
ップリングを使用していただくことをお奨め致します。
偏角5°以下のカップリングとしてはポリイミドディスクダブルタイプ(M・CU・C1)
偏角3°以下のカップリングとしてはカーボンディスクダブルタイプ(M・CU・C1)
偏角2°以下のカップリングとしては金属ディスクタイプも選択対象となります。
❷ ディスク型カップリングの場合
(1)ポリイミドディスクが偏角に強いカップリングで実負荷トルクが定格トルクの1/2であれば、最大許容偏角
でも10億回転テストでも破損しません。
(2)カーボンディスクも金属疲労のような破損にはならず、定格トルクの1/3で10億回転テストに合格します。
(3)ステンレスディスクの場合は、偏角の大きさに比例してディスクの曲げ応力の繰り返しで金属疲労による破損
に至ります。従って、偏心・偏角を小さくする努力が求められます。
❸ オルダムカップリングの場合
オルダムカップリングは形状的には偏角に不向きなものとなっています。
オルダムカップリングにおいて、許容偏角が大きいカップリングとは、中間スライダーが弱い(ねじりばね定数が小
さい)事を示します。これは、スライダーのガタか変形によって偏角を吸収しているからです。
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技術資料
■回転数について
通常のカップリング(低速回転用は除く)では、3000rpm位の回転数を想定して常用トルク(許容トルク)を決めて
います。従って、実動の最高回転数が2倍の6000rpmでご使用になられる場合は常用トルクは50%以下にして
いただくことが無難です(この値は厳密な数値ではありませんが、回転上昇に伴う振動や抵抗エネルギーの増加
は一様ではありませんので個別問題となります。なお、定速・連続回転の場合は100%の判断で大丈夫です)
■性能表の許容値について
カップリングの性能表に記載されている項目即ち、許容トルク・許容偏心・許容偏角・最高回転数などは各項目ご
とに検討し決めています。従って、ミスアライメントが複合される場合は各許容値の値を複合するアライメントの数
で割るなどの配慮が必要です。
(それは考え方としておかしいのではないかとのご意見もいただきますが、例えば全てのアライメントが許容値一
杯の状態で許容トルクを決めるとするならば、実用性の乏しい小さな値になってしまいます。カップリングはエネル
ギーを伝える要素部品なので、内部応力の性質と大きさが寿命に関係するものです)
■偏心と寿命の関係について
一例としてUJ・GJシリーズのプラスチックカップリングの場合について報告します。外部から偏心させる力を加え
、力と偏心量が直線的に変位する値(弾性偏心量)の1/2.5~1/3を許容偏心量と決めました。3年がかりで各ミ
スアライメント別に寿命試験を行ったものをP.27に記載してありますのでご参照ください。10億回転まで実施致
しましたが、それがお客様先で何年分かということはわかりません。なお,ディスク型カップリングにつきましても、
ディスクの材質別に(ポリイミド・カーボンFRP・ステンレス)アライメントと寿命の関係について試験を実施して
おります。詳細はP.10をご参照ください。
! 注 意
●ねじを締付ける際は、必ずトルクドライバー・トルクレンチを使用し、適正に締付けてください。
●クランプタイプのカップリングを締付ける際は、軸を挿入してから締付けてください。
●カップリングは、ミスアライメントの許容値以下で使用してください。
●製品の分解・改造はしないでください。(カタログの性能保証が出来なくなります。)
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