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【アプリケーションノート】近赤外分光法 (NIR) によるイソシアネート基含有率のオンライン定量分析 MATRIX-F

製品カタログ

1台で最大6ヶ所の反応をリアルタイムで同時にモニタリングすることができる

様々なポリマーの中で、ポリウレタンは多彩な特性を付与できるため、電子材料、耐薬品性塗料、粘着剤、剥離など多くの用途で用いられています。ポリウレタンは適切な触媒下で2個以上のイソシアネート基を持つジイソシアネートあるいはポリイソシアネートと水酸基を2個以上持つジオールまたはポリオールモノマーの反応によって得られます。

ここでは、近赤外分光計と光ファイバー式透過プローブの組み合わせによる、ポリウレタン合成反応過程におけるイソシアネート基含有率の検量モデル作成の実例について紹介します。

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このカタログについて

ドキュメント名 【アプリケーションノート】近赤外分光法 (NIR) によるイソシアネート基含有率のオンライン定量分析 MATRIX-F
ドキュメント種別 製品カタログ
ファイルサイズ 459Kb
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Bruker Optics Application Note 近赤外分光法 (NIR) による イソシアネート基含有率のオンライン定量分析 はじめに ここでは、近赤外分光計と光ファイバー式透過プローブ 様々なポリマーの中で、ポリウレタンは多彩な特性を付 の組み合わせによる、ポリウレタン合成反応過程における 与できるため、電子材料、耐薬品性塗料、粘着剤、繊維等、 イソシアネート基含有率の検量モデル作成の実例について 多くの用途で用いられています。ポリウレタンは適切な触 紹介します。 媒下で 2個以上のイソシアネート基を持つジイソシアネー トあるいはポリイソシアネートモノマーと、水酸基を 2個 実験 以上持つジオールまたはポリオールモノマーの反応によっ 光ファイバー式透過プローブを取り付けた反応容器中 て得られます。 でジイソシアネートモノマーとポリオールモノマーを反応さ ポリウレタンの特性はイソシアネートやポリオール等を せ、約 10 秒間隔で連続的にNIRスペクトルを取得しまし 分子設計することで付与されますが、その特性の維持には た。一方で反応容器からサンプリングした試料について、 原料や反応中のイソシアネート基含有率の管理が重要とな 滴定法によりイソシアネート基含有率を求め、その値を ります。原料のイソシアネート基含有率を知ることで、適 リファレンス値としました。サンプリングの時間とタイムス 切な仕込み量の調整が可能となり、不良バッチを減らすこ タンプした NIR スペクトルを組み合わせて解析に用いまし とができます。また、反応中のイソシアネート基含有率測 た。ポリウレタンの合成は 5 バッチの反応を行い、検量モ 定により、反応進行度を把握できるようになり、ダウンタ デルの計算に用いました。 イムを減らし、製品の品質保証につなげられます。 NIRスペクトルの測定には、ブルカー・オプティクス製 従来法として、イソシアネート基含有率の化学分析には フーリエ変換型近赤外分光計 ( FT - NIR )MATRIX-Fを 滴定法が用いられています。滴定法では、まず試料にジ 用いました。MATRIX-Fは、6 チャンネルのファイバーポー ブチルアミンを滴下して尿素を生成させる必要があります トを備え、複数の遠隔地の同時オンライン分析に対応す が、この誘導化反応だけでも 15 分以上の時間を必要とし、 る、プロセスモニタリングに最適なシステムです。NIR スペ さらにトルエンやアセトン、塩酸といった多くの化学薬品を クトルの測定は以下の条件で行いました。 使用します。また、イソシアネート基は反応性に富むため、 空気中の水分と反応してアミノ基へと変化しやすく、分析 環境次第では正確なイソシアネート含有率を測定できない ことが想定されます。 これに対して近赤外分光法 ( NIR )では、少量の試料を ガラス製バイアル瓶にサンプリングして装置にセットするだ けで、正確な測定が可能です。測定に必要な時間も 10秒 程度と非常に効率的です。また、化学薬品を使用しない ため、測定者の毒物に対する危険性を低下させるだけでな く、分析コストの低減にもつながります。さらに、近赤外 分光測定に光ファイバー式プローブを組み合わせることで、 反応容器内部の試料について、オンライン分析が可能とな ります。とくに、近赤外領域において透過性の高い石英製 光ファイバーを用いているため、100 m以上離れた地点か らの遠隔測定も可能です。 図1. フーリエ変換型近赤外分光計 MATRIX - F
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近赤外分光計: MATRIX-F プローブ: 光路長 5 mm プロセス用透過プローブ 光ファイバー: 石英製 20 m 波数分解能: 16 cm-1 積算回数: 20 回(約 10 秒) 多変量解析ソフトウェア:OPUS / QUANT 検量モデル作成 オンライン測定により得られた NIR スペクトルを図 2に 示します。原スペクトルには試料中に存在する気泡の影 響によるベースライン変動が確認されたため、ベクトル 正規化を行うことでその変動を除去しました。イソシア ネート基含有率の違いによるスペクトルの変化は、特に 7000 cm-1近傍と 5200 cm-1近傍に確認されました。 図3. クロスバリデーション結果 横軸: 滴定法によるイソシアネート基含有率 縦軸: NIR測定による予測値 この検量モデルを用いることで、反応中の試料のイソシ アネート基含有率を、10秒間隔で、およそ ± 0.4%の精度 で把握できることが理解できます。 まとめ この実験例が示すように、近赤外分光計MATRIX-Fを 用いることで、20 m離れた反応容器中のイソシアネート 基含有率を簡便かつ正確に測定することが可能です。従来 法では反応中に数点しか確認できなかったイソシアネート 含有率が、MATRIX-Fを用いることで 10 秒間隔という非 図2. オンライン測定によるNIRスペクトル(ベクトル正規化処理) 常に短いスパンで追跡できるようになり、この情報をフィー 図中の数値は、滴定法によるオフライン分析の値 ドバックすることで大幅にダウンタイムを減らすことが可能 となります。さらにMATRIX-Fは 6 チャンネルの光ファイ オンライン測定により得られた NIRスペクトルと滴定法 バーポートを備えるため、1台で最大 6 ヵ所の反応をリア によるオフライン分析結果をもとに、多変量解析ソフトウェ ルタイムで同時にモニタリングすることができるため、プロ アOPUS/QUANTの PLS(Partial Least Squares)回帰 セス管理の効率と精度を飛躍的に高めることが可能です。 分析機能を用いて検量モデルを作成しました。PLS回帰分 ここでは光ファイバーによる遠隔オンライン測定を一例 析は吸収バンドの重なりがちなNIRスペクトルの解析に適 として紹介しましたが、ブルカー・オプティクスではMPA した手法です。なお、検量モデルの作成に際しては、スペ や TANGO など、アトライン分析に最適なシステムも扱っ クトル前処理としてベクトル正規化を行い、波数領域に水 ており、様々な分析ニーズに対するソリューションを提供し 酸基の第一倍音領域である 7000 cm-1近傍とカルボキシル ています。 基の第二倍音領域である 5200 cm-1近傍を選択して解析し ました。1 サンプルを除くクロスバリデーションを行い、ファ 参考文献 クター数 2、標準誤差 0.2 %、寄与率 98.4 %という、相関 JIS1603-1 プラスチック-ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法 の高い検量モデルが得られました(図 3)。 第 1部: イソシアネート基含有率の求め方 ブルカー・オプティクス 株式会社 本社:〒104-0033 東京都中央区新川 1-4-1 住友不動産六甲ビル Phone:03-3523-6870 Fax: 03-3523-6871 大阪営業所:〒532-0004 大阪市淀川区西宮原 1-8-29 テラサキ第2ビル www.bruker.jp/optics Phone:06-6394-8118 Fax: 06-6394-9003