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設計・製造技術者のための精密測定ゲージ技術小冊子

ハンドブック

設計・製造技術者が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識をご紹介しています

【掲載内容】
○設計者様・製造技術者様が知っておくべき
 精密ゲージ設計・製作における基礎知識
○設計者様・製造技術者様が知っておくべき
 ゲージ設計における VA/VE コストダウン事例
○精密ゲージ設計・製作に役立つ技術情報
○精密ゲージ設計・製作品
○発行元情報

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このカタログについて

ドキュメント名 設計・製造技術者のための精密測定ゲージ技術小冊子
ドキュメント種別 ハンドブック
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このカタログ(設計・製造技術者のための精密測定ゲージ技術小冊子)の内容


Page 1:page 01FAM CORPORATION総 合 目 次INDEX1.設計者様・製造技術者様が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識  Ⅰ . ゲージについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 02  Ⅱ . 普通公差・幾何公差についての基礎事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 03  Ⅲ . 幾何公差についての基礎知識     真円度・真直度・平面度・平行度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 04     直角度・同軸度・位置度・面の輪郭度・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 05  Ⅳ . 幾何公差におけるトラブル・活用事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 06  Ⅴ . ワンポイントメモ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 092.設計者様・製造技術者様が知っておくべきゲージ設計における VA/VE コストダウン事例  Ⅰ . 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント① ( 形状変更 )・ ・・・ 12  Ⅱ . 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント② ( 肉厚変更 )・ ・・・ 18  Ⅲ . 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント③ ( 別体構造化 )・ ・・ 23  Ⅳ . 精密ゲージ設計・製作におけるコストダウン設計のポイント・・・・・・・・・ 27  Ⅴ . 精密ゲージ設計・製作における測定トラブル防止設計のポイント・・・・・・・ 33  Ⅵ . 精密ゲージ設計・製作における測定効率向上のポイント・・・・・・・・・・・ 363.精密ゲージ設計・製作に役立つ技術情報  Ⅰ . 加工寸法の普通許容差について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42  Ⅱ . 表面粗さの定義について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43  Ⅲ . 常用するはめ合いの寸法公差について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 444.精密ゲージ設計・製作品・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 485.発行元情報・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

Page 2:製造、検査工程において各ワークの測定は、測定機器を用いて行われます。主な測定機としてはノギス、マイクロメーター、ダイヤルゲージ、三次元測定機などがあり、各長さ寸法はもちろんのこと、角度や真円度、平面度といった項目についても測定を行います。しかし、例えば三次元測定機や専用の測定機を用いてワークの精度測定を行う際には、検査作業者の習熟度によって作業スピードや検査品質にばらつきが生じます。また作業環境にも大きな制限を受けるために、検査工程においては、ワークに沿わせて形状や精度を検証する「ゲージ」を用いることが一般的です。ゲージによる検査は作業者の技量の差が出難く、扱いも容易であることが特長です。ゲージとは一般に用いられている測定用ゲージのうち、代表的なゲージをご紹介します。これら以外にも様々な形状、用途のゲージが存在し製造現場や検査工程で用いられています。ゲージの種類ピンゲージ 通止ゲージ はめ合いゲージ高さゲージ 溝幅ゲージ V ブロックゲージ直角ゲージ 角度ゲージ ピッチゲージpage 02FAM CORPORATION設計者様・製造技術者様が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識ゲージについて1-Ⅰ

Page 3:ゲージ設計製作のみならず、普通公差は設計業務において非常に重要な事項です。特に精密ゲージの設計においては検証部に非常に高い加工精度が求められますが、実際のゲージ設計において、本来検証を行う上で必要の無い部分にも高精度の設計指示があり、加工コストが高くなってしまっているケースが多くあります。普通公差のことをよく理解した上で、適切な公差指示を行うことでゲージの納期短縮、精度向上、製作コストダウンを実現できます。ゲージ設計における 普通公差についてゲージ設計製作において、幾何公差は精度や製作コストに密接に関わってくる重要なポイントです。ここではゲージ設計に必要な幾何公差のポイントを解説します。形体の姿勢公差・位置公差・形状公差などを規制するために設定する、理論的に正確な幾何学的基準をデータムと呼びます。ゲージ設計における 幾何公差について付加記号についてデータム長さ寸法に対する許容差 ※詳しくはP42※鋳造品やパンチングマシン、レーザ加工機、曲げ加工機など、他の加工による許容差は別に規定されます。幾何公差特性記号公差値第1優先データム第2優先データム第3優先データム公差等級記号fmcv説明幾何公差特性記号、公差値または必要に応じてデータム文字記号を右図の順序で縦線で区切って公差記入枠内に記入し、アルファベットの大文字を用いて指定します。公差付き形体指示真円度真直度平面度平行度page 04幾何公差は,幾何特性記号および付加記号の2種類の記号と公差値で表現されます。幾何特性記号は、指示した公差が何を規制するかを示すものであり、真直度や平面度、真円度、平行度など用途・形状に応じた記号が19種類定められています。この技術ハンドブックでは、特にゲージ設計・製作に必要な幾何公差としてよく使われる、右の8種類の幾何公差について解説します。幾何公差について直角度同軸度位置度輪郭度page 05精級中級粗級極粗級±0.05±0.1±0.2―0.5以上3以下3を超え6以下6を超え30以下30を超え120以下120を超え400以下1000を超え2000以下2000を超え4000以下±0.05±0.1±0.3±0.5±0.1±0.2±0.5±1±0.15±0.3±0.8±1.5許容差基準寸法の区分(mm)±0.2±0.5±1.2±2.5±0.5±1.2±3±6―±2±4±80.05 A B Cpage 03FAM CORPORATION設計者様・製造技術者様が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識普通公差・幾何公差についての基礎事項1-Ⅱ

Page 4:真円度0.005のイメージ図真円度とは円形形体の幾何学的に正確な円からの狂いの大きさのことを言います。真直度とは直線形体の幾何学的直線からの狂いの大きさのことを言います。品物の形状が間隔0.005の同心円の間に収まっているなら真円度0.005以内と言える。真円度 公差記号 真直度 公差記号0.005平面度0.005のイメージ図平面度とは平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさのことを言います。0.005離れた2つの平面の間に、品物の平面が収まっている時、平面度0.005以内と言える。平面度 公差記号真直度0.005のイメージ図真直度0.005のイメージ図品 物 の 直 線 形 状が直径0.005の円 筒 内 の 間 に 収まっているなら真直 度φ0.005以内と言える。品 物 の 直 線 形 状が間隔0.005の平面の間に収まって い る なら 真 直度0.005以内と言える。0.0050.005φ0.005平行度0.005のイメージ図平行度とは直線形体や平面形体のデータムに対して平行な、幾何学的直線または平面からの平行であるべき直線形体または平面形体からの狂いの大きさをいいます。データムから離れ、かつ平行な公差t(図では0.005)の間隔を持つ2平面の間に品 物 の 形 体 が 収 まって い る 時、平 行 度0.005 以内と言える。平行度 公差記号データム0.005page 04FAM CORPORATION設計者様・製造技術者様が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識幾何公差についての基礎知識(真円度・真直度・平面度・平行度)1-Ⅲ

Page 5:直角度とはデータム直線、または平面に対して直角な幾何学的直線または幾何学的平面からの狂いの大きさのことを言います。同軸度とは、データム軸直線と同一直線上にあるべき軸線の、データム直線からのズレの大きさのことを言います。直角度 公差記号 同軸度 公差記号位置 度とはデータム、または他の形体に関して定められた、理論的に正確な位置からの狂いの大きさのことを言います。φ3 の 軸 線 が、デ ー タム平 面 B か ら7 0 、データム平面Cから50離れた位置を中心とするφ0.005の円筒内に収まっていれば、位置度φ0.005以内と言える。設計通りの理想の形状の上に中心がある直径0.01の球による包絡面の内部に物体が収まっていれば、その輪郭度は0.01以内と言える。位置度 公差記号面 の輪 郭度とは 理 論 的に正 確 な 寸 法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭のズレを大きさのことを言います。面の輪郭度 公差記号データムB品物の軸線などの倒れが基準となるデータム平面Aに対し、φ0.005の円筒内に収 ま って い る な ら『データムAに対して直角度φ0.005以内』と言える。幅0.005mmの平面の間に収まっているならこの品物の平面は『データムBに対して直角度0.005以内』に収まっていると言える。直角度φ0.005のイメージ図位置度のイメージ図 「輪郭度」のイメージ図同軸度φ0.005のイメージ図直角度0.005のイメージ図指 示 線 で 示した 軸 線 は 、上 図 の ようにデータム軸直線を軸線とする直径X(図ではφ0.005)の円筒の中に存在していなければならない。φ0.0050.005φ0.005データム軸直線データム軸直線を中心に軸の最大ズレを収める円の直径軸の最大ズレφ0.005φ0.005φ3+0.005−050ABCB C70R30φ0.01データムAデータムBデータムAデータムCφ0.005page 05FAM CORPORATION設計者様・製造技術者様が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識幾何公差についての基礎知識(直角度・同軸度・位置度・面の輪郭度)1-Ⅲ

Page 6:ゲージ設計・製作においてはその設計表現によって、同じ機能を果たしたとしても製作コストが大きく異なってくるケースが数多くあります。特に幾何公差については、うまく活用することで寸法公差を用いるよりもコストを下げ、精度を向上させることができるケースがよくあります。ここではよくあるトラブル事例や、幾何公差の活用事例をご紹介します。母線に真直度の設計指示がある場合は母線さえ真っ直ぐであれば良いという解釈が可能になってしまい、上図のような形状も許容範囲に入ってしまいます。幾何公差により指示を行う場合は、上図のようなことが起こり得ることに留意して設計を行う必要があります。軸線に真直度の設計指示がある場合は軸線さえ真っ直ぐであれば良いという解釈が可能になってしまい、上図のような形状も許容範囲に入ってしまいます。左事例と同じく、幾何公差の意味を理解し、起こり得るトラブルを予測した設計が必要になります。真円度は円筒形体において、任意の位置で輪切りにした円が真円であるかどうかということを表すため、円筒全体に同じ大きさの真円を指示したい場合は、真円度ではなく円筒度を用いる必要があります。A図のように寸法公差によって、端面からの距離等で同軸を規制すると矛盾が生じるケースが多くあります。同軸度を用いることで、ゲージ製作側はユーザーの意図を汲んで同軸に重点を置いてゲージを製作することができます。真直度のトラブル事例① 真直度のトラブル事例②真円度のトラブル事例③ 同軸度の活用事例設計指示許される形状φ10φ100.01設計指示 AB許される形状φ5±0.0050.05設計指示許される形状20.005上限 下限19.99520±0.005φ10±0.005φ0.05φ0.005φ5の円筒φ10の円筒20±0.005AAφ10page 06FAM CORPORATION設計者様・製造技術者様が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識幾何公差におけるトラブル・活用事例1-Ⅳ

Page 7:直角度の活用事例平行度の活用事例平面度の活用事例必要長さによって公差範囲が変わる角度公差に対し、直角度は領域内でのズレ量を表します。直角度を用いることにより、設計者は必要な公差域を伝え易くなり、ゲージの製作側も要求されている姿勢公差を把握し易くなります。データム面へ平面度規格を適用するかどうかは、ゲージの使用勝手を十分に考慮した上で決定する必要があります。上図はデータム面に平面度の指示がある場合とない場合を比較したものですが、Aの平面度なしの場合はデータム面全体に、設計指示上凹凸や反りが許されてしまいます。そのためデータム面を部分的に接触させて使用するような場合、検査結果にばらつきが生じてしまいます。Aのように寸法公差を厳しくすることで天面と底面に対しての平行を規制できますが、平行度のみで高さが必要ではない場合はBのように平行度の指定により天面の平行を規制することができ、製作コストを下げることができます。AAA89.99 °の 完 全な 直 線 の と き にず れ の 最 大 が0.005反りや歪みを含みデー タム A に直角 な 幾 何 学 的 平面 か ら の ず れ が0.005 以内2020±0.0053090°±0.01°AAAB0.005φ5+0.01−0 φ5+0.01−0A0.005 AB20 30A20 3020 3089.99°0.005 0.005B20±0.1φ0.01 B0.01 ABBA0.01 A0.01φ0.01 Bpage 07FAM CORPORATION設計者様・製造技術者様が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識幾何公差におけるトラブル・活用事例1-Ⅳ

Page 8:8.660±0.0032−φ3±0.005φ5±0.0057.071±0.00345° 60°22±0.00543.6±0.00552.5±0.005R30±0.005R30±0.005R18±0.00522±0.0057.071±0.00325±0.0036±0.003φ10±0.0052−φ3±0.00545° 60°25φ10±0.005R10AB44Aφ0.01 A B0.02 A Bφ5±0.005φ0.01 Aワーク8±0.0058±0.00543.652.5R30 R30R18B8 8位置度の活用事例寸法公差を用いて表すとA図のように見づらく、設計者の意図が理解し難い図面となってしまいます。その一方、位置度を用いて表したB図は、設計者の意図を製作者が理解し易い形で表現されており、ワーク検証時のトラブルも未然に防ぐことが出来ます。輪郭度の活用事例上図のような形状ゲージをA図のように寸法公差によって形状1つ1つに指示すると、製作者には設計者の意図が伝わりにくくなり、仕上がったゲージが意図と異なり、使用出来なくなります。Bのように輪郭度による設計指示に変更することにより、設計者の意図が製作者に伝わり易くなり、ワーク検証の仕様に沿ったゲージを作ることが出来ます。場所によって一様ではないR形状を持ち、設計指示の仕方で製作、検査の方法が大きく変わってくる形状。コスト、納期、精度にも大きく関係している。A BA Bpage 08FAM CORPORATION設計者様・製造技術者様が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識幾何公差におけるトラブル・活用事例1-Ⅳ

Page 9:精密測定ゲージ製作においては、耐久性、長期使用を考えての材料選択が重要になります。長年使用の際に起こり得る消耗、現場での取り扱いの際に発生し易い打痕、キズ等の対策として、HRC52 ∼ 60 の熱処理材を用いることをおすすめします。設計者様・製造技術者様が知っておくべき ゲージに関するワンポイントメモ1精密測定ゲージ使用時において、素手で扱うと錆が発生する可能性があります。特に梅雨時期や汗により、皮脂が付いたりすると錆が発生しやすくなります。薄い手袋をはめて使用することで錆の発生を防ぐことができます。また、保管する場所の湿度にも注意し、精密測定ゲージを使用しない際には、防錆剤を塗布することで精密測定ゲージの長寿命化に貢献します。2精密測定ゲージのエッジ部分は、非常に鋭利になっている為、エッジ部分で手を切るという事故が起こりやすくなります。事故・怪我を防ぐためには設計段階で角がエッジにならないように、面取りの指定を行っておくことが有効です。多くの精密測定ゲージは、安全性の為、必要部以外はエッジが存在しないような設計となっています。3精密測定ゲージ素材としてよく使用される SK5 と SKD-11(ともに HRC58)を同じ条件で錆の発生を比較したところ、SKD-11 のほうが成分含有量の違いで錆の発生が少なかったデータがあります。5精密測定ゲージで、はめ合いがある場合、穴と軸の公差域の設定次第で作業性に大きく影響が出てきます。精密測定ゲージ使用現場で穴と軸のクリアランスが小さい為、軸が穴には入るが、はめ合いがきつくて作業効率が悪く使いづらいとの声を聴く事があります。検査仕様に合わせた公差設定を行うのが最重要点ですが、作業性も考慮をすることでトラブルの防止となります。4精密測定ゲージを製作し、測定するには恒温室にて一定にした環境下に 12 時間以上ゲージを安置した後に測定を行います。精密ゲージの使用環境では、冬場と夏場の温度変化にご注意下さい。精度良く製作した精密測定ゲージでも、使用環境の温度差による熱膨張が発生し、正確な測定が出来ないことがあります。年中通して一定の環境でゲージの保管・ご使用をおすすめします。6精密測定ゲージは、ミクロン単位で製作されているものが多くあります。精密測定ゲージを乱雑に保管したり重ねたりすると、精密測定ゲージがぶつかり合ったりし、使用が出来なくなる場合があります。保管の際はクッション材の上に置き、錆防止の為、防錆剤をふり、なおかつ空調の効いた暗所に保管します。7精密測定ゲージは、見た目で分別が付かないものでも一部寸法が違う類似の精密測定ゲージが存在する場合がよくあります。検査担当者が間違えない為に、精密測定ゲージに出来るだけ目視で識別できるように大きく製品名・図面番号を刻印することにより、未然にトラブルの防止につながります。8page 09FAM CORPORATION設計者様・製造技術者様が知っておくべき精密ゲージ設計・製作における基礎知識ワンポイントメモ1-Ⅴ

Page 10:page 10FAM CORPORATIONINDEX設計者様・製造技術者様が知っておくべきゲージ設計における VA/VE コストダウン事例2Ⅰ . 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント① ( 形状変更 )1.止まり溝形状を持つゲージの高精度設計のポイント 1・ ・・・・・・・・・・ 122.止まり溝形状を持つゲージの高精度設計のポイント 2・ ・・・・・・・・・・ 133.斜め穴を持つゲージの高精度設計のポイント 1・ ・・・・・・・・・・・・・ 144.斜め穴を持つゲージの高精度設計のポイント 2・ ・・・・・・・・・・・・・ 155.長い検証部分を持つゲージの高精度設計のポイント・ ・・・・・・・・・・・ 166.突き出し部を持つゲージの高精度設計のポイント・ ・・・・・・・・・・・・ 177.L 型形状を持つゲージの高精度設計のポイント・・・・・・・・・・・・・・・ 188.角抜き形状を持つゲージの高精度設計のポイント・ ・・・・・・・・・・・・ 19Ⅱ . 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント② ( 肉厚変更 )1.抜き形状とスリットを持つゲージの高精度設計のポイント・ ・・・・・・・・ 202.はさみ形状を持つゲージの高精度設計のポイント 1・ ・・・・・・・・・・・ 213.はさみ部分を持つゲージの高精度設計のポイント 2・ ・・・・・・・・・・・ 22Ⅲ . 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント③ ( 別体構造化 )1.別体構造化によるゲージ設計のポイント(内面形状加工)・・・・・・・・・・ 232.別体構造化によるゲージ設計のポイント(薄肉形状加工)・・・・・・・・・・ 243.別体構造化によるゲージ設計のポイント(加工工数削減)・・・・・・・・・・ 254.別体構造化によるゲージ設計のポイント(穴精度向上)・・・・・・・・・・・ 26

Page 11:page 11FAM CORPORATIONINDEX設計者様・製造技術者様が知っておくべきゲージ設計における VA/VE コストダウン事例2Ⅳ . 精密ゲージ設計・製作におけるコストダウン設計のポイント1.傾斜形状を持つゲージのコストダウン設計のポイント・ ・・・・・・・・・・ 272.掘り込み形状のあるゲージのコストダウン設計のポイント・ ・・・・・・・・ 283.追加工がありうるゲージのコストダウン設計のポイント(リングゲージ)・・・ 294.角抜き形状のあるゲージのコストダウン設計のポイント・ ・・・・・・・・・ 305.面取り形状のあるゲージのコストダウン設計のポイント・ ・・・・・・・・・ 316.G(研削)記号のあるゲージのコストダウン設計のポイント・・・・・・・・・ 32Ⅴ . 精密ゲージ設計・製作における測定トラブル防止設計のポイント1.線当たり形状を持つゲージのトラブル防止設計のポイント・ ・・・・・・・・ 332.エッジ形状を持つゲージのトラブル防止設計のポイント・ ・・・・・・・・・ 343.袋形状を持つゲージのトラブル防止設計のポイント・ ・・・・・・・・・・・ 35Ⅵ . 精密ゲージ設計・製作における測定効率向上のポイント1.安全性確保のための精密ゲージ設計のポイント(エッジ形状)・・・・・・・・ 362.安全性確保のための精密ゲージ設計のポイント(ピン角)・・・・・・・・・・ 373.位置決め性向上による測定効率向上のための精密ゲージ設計のポイント・ ・・ 384.刻印識別性向上による測定効率向上のための精密ゲージ設計のポイント・ ・・ 395.バリ・ふくれ防止による測定効率向上のための精密ゲージ設計のポイント・ ・ 406.軽量化による測定効率向上のための精密ゲージの設計のポイント・ ・・・・・ 41

Page 12:1.00×1.00の角溝が途中で止まりとなっており、中央部分が障害となり放電加工による加工しか選択肢が無くなってしまい製作コストが高くなる。検証部分ワークワーク1.00×1.00の角溝を通し加工することにより放電加工だけでなく、マシニング加工や研削加工が可能になるため、精度向上と製作コスト削減を実現できる。検証部分1.001.00ワークワーク1.00×1.00の角溝が途中で止まりとなっており、中央部分が障害となり放電加工による加工しか選択肢が無くなってしまい製作コストが高くなる。検証部分ワークワーク1.00×1.00の角溝を通し加工することにより放電加工だけでなく、マシニング加工や研削加工が可能になるため、精度向上と製作コスト削減を実現できる。検証部分1.001.00ワークワークAfterBeforepage 12FAM CORPORATIONⅠ 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント① ( 形状変更 )止まり溝形状を持つゲージの高精度設計のポイント 1検証ワークと同じ形状でゲージの検証部分のみを高精度に加工しようとすると、上図のような形状の場合、角溝をマシニング加工で仕上げることが困難になります。放電加工による製作を行うことになりますが、その場合放電の電極作製等のコストが掛かり、製作コスト全体が高くなってしまうケースがあります。検証ワークと接する部分はそのままに、検証部分の周りの形状を一部変更することにより、放電加工だけでなく他の加工方法を採用できるように設計します。高精度が要求される部分は当初より広がっていますが、トータルで見ると精度向上と製作コストダウンを実現することができます。一般に検証用ゲージを設計製作する際には、実際に必要な検証部分のみに高精度の加工を行うことでコストダウンとなります。しかし上記の事例のような場合であれば、止まりのある溝形状から、通しの溝形状とすることで加工の選択肢を増やすことができ、精度を向上させることができます。また製作コストも下げることが可能です。2-Ⅰ

Page 13:表 面 を 掘り込む 溝 形 状を持ったゲージの場合、溝が止まり形状になっていると刃 物 の 逃 げ 等 により精 度が安定しない。掘り込 み形 状 から貫 通 形状 に 変 更 することで ワイヤーカット加工が可能になり、精度を安定させたゲージ製作が可能になる。22.5235R14.8280.0050.005 AB AR0.3R0.3表 面 を 掘り込む 溝 形 状を持ったゲージの場合、溝が止まり形状になっていると刃 物 の 逃 げ 等 により精 度が安定しない。掘り込 み形 状 から貫 通 形状 に 変 更 することで ワイヤーカット加工が可能になり、精度を安定させたゲージ製作が可能になる。22.5235R14.8280.0050.005 AB AR0.3R0.3AfterBeforepage 13FAM CORPORATIONⅠ 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント① ( 形状変更 )止まり溝形状を持つゲージの高精度設計のポイント 2検査ゲージの製作においては加工精度を安定させることがまず第一に重要ですが、上図のように公差範囲がある止まり形状の細い溝加工を行う場合は刃物の逃げ等が発生し易くなり、精度を安定させることが難しくなります。その結果、検査ゲージの製作コストが高くなってしまいます。溝形状を持った検査ゲージの設計においては、止まり形状の溝や穴は避けて設計することが精度向上、ゲージ製作のコストダウンを実現する上で重要なポイントになります。上図のように、止まり形状が必須な箇所のみ掘り込み形状とし、他は貫通穴に変更して加工することで高精度を保った製作が可能です。一般に刃物を用いて加工を行うと刃物の逃げが発生し、精度がばらついてしまいます。特に掘り込み形状は深さ等が大きくなると刃物が安定しなくなるため、精密ゲージ製作の要求精度を満たせなくなることがあります。上記例のような貫通穴に変更するとワイヤーカット加工が可能になるため、刃物の逃げ等を考慮する必要がなくなり安定した高精度加工が可能となります。2-Ⅰ

Page 14:加 工 穴 に 対し 平 面が 斜 め と なって いる 部 分 は 加 工 が 難しく、精度を出すことが困難である。加 工 穴 に 対し 垂 直な 平 面 形 状 を 設 けることで、斜め穴の位置が割り出しやすくなり、加工精度を上 げ る こと が 可 能になる。φ6 0.005−015±0.0051±0.005φ7 0.0050R110−0.005301560°152626φ16±0.00590°加 工 穴 に 対し 平 面が 斜 め と なって いる 部 分 は 加 工 が 難しく、精度を出すことが困難である。加 工 穴 に 対し 垂 直な 平 面 形 状 を 設 けることで、斜め穴の位置が割り出しやすくなり、加工精度を上 げ る こと が 可 能になる。φ6 0.005−015±0.0051±0.005φ7 0.0050R110−0.005301560°152626φ16±0.00590°AfterBeforepage 14FAM CORPORATIONⅠ 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント① ( 形状変更 )斜め穴を持つゲージの高精度設計のポイント 1平面や曲面と角度を持って交差するような斜めの穴を持つ精密ゲージは、各部相対関係の考慮が必要になります。具体的には斜め穴を加工する際の固定、位置決めの基準点・面が存在しないため加工が難しくなります。このように加工の基準となる面の有無により加工品質、納期に影響が出ます。斜め穴を持ち加工の際の位置決めが難しい精密ゲージ等においては、検証上必要でない箇所について形状を変更します。上図の例では最も位置決めが難しい斜め穴に対し垂直な平面形状を設けることで、加工精度を上げ、検証に必要な部分精度を向上させることができ、納期短縮にもなります。精密ゲージにおいて、斜め穴のような加工は角度や加工位置の目安となる基準面を設けることが加工品質・納期に大きく影響を与えます。斜め穴の場合は、検証部分と関係の無い部分について、穴に対して垂直な面を設定することで精度を上げ、納期短縮が可能になります。2-Ⅰ

Page 15:作 業 性を向 上させるためにローレット加 工を 全 周に設計して い るが、製 作 工 程 上ローレットが付いていると、こ の 斜 め 穴 の よ う な 形 状は、チャッキングに問題が起こり加工が困難になる。φ7.5+0.01010±0.0130φ105±0.013±0.014.51±0.005φ1.715+0.005 07±0.005φ3.3+0.010φ0.53+0.01015.000°特殊形状を持つ特注のピンゲージでは、ローレットのような 特 殊 加 工を 外し、単 純な 形 状 にして おくことで 加工性が上がり、ゲージの精度向上につながる。ローレット作 業 性を向 上させるためにローレット加 工を 全 周に設計して い るが、製 作 工 程 上ローレットが付いていると、こ の 斜 め 穴 の よ う な 形 状は、チャッキングに問題が起こり加工が困難になる。φ7.5+0.01010±0.0130φ105±0.013±0.014.51±0.005φ1.715+0.005 07±0.005φ3.3+0.010φ0.53+0.01015.000°特殊形状を持つ特注のピンゲージでは、ローレットのような 特 殊 加 工を 外し、単 純な 形 状 にして おくことで 加工性が上がり、ゲージの精度向上につながる。ローレットAfterBeforepage 15FAM CORPORATIONⅠ 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント① ( 形状変更 )斜め穴を持つゲージの高精度設計のポイント 2測定用のピンゲージに現場作業性向上のためにローレット加工の指定が行われていることがあります。通常の単純形状ピンゲージの場合は問題になりませんが上図のように斜め穴等の形状を持つピンゲージは、周囲のローレット加工が工作機械へのチャッキングの邪魔となり加工が困難になります。上図のように斜め穴を持つような特注のピンゲージは、複数の工作機械を活用してゲージ製作を行うことが基本になります。そのため各工作機械での加工性を十分に考慮した設計を行うことが必要で、ローレットのような形状はゲージが複雑な場合は外しておくことで製作コストを下げることができます。ゲージ製作においては、加工の基準となる面をどこに設定するかということが、高精度を保障する上で重要となります。外周部にローレット加工がある場合、この基準面を作ることが難しくなり、チャッキングの精度も安定しなくなってしまうため、特注のピンゲージの設計時は必要箇所部以外は単純な形状にしておくことが高精度を実現するためのポイントになります。2-Ⅰ

Page 16:精度が必要な部分が長く、かつ細い形状は高精度を安定して出しにくく、製作コストが高くなってしまう。40φ1220880105 φ0.02 A0.02 AA検証部分を短くすることができない場合は、検証に関係の無い部分の肉厚を厚くして設計することで精度が安定する。8801050.02 AA15精度が必要な部分が長く、かつ細い形状は高精度を安定して出しにくく、製作コストが高くなってしまう。40φ1220880105φ0.02 A0.02 AA検証部分を短くすることができない場合は、検証に関係の無い部分の肉厚を厚くして設計することで精度が安定する。8801050.02 AA15AfterBeforepage 16FAM CORPORATIONⅠ 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント① ( 形状変更 )長い検証部分を持つゲージの高精度設計のポイントゲージ設計において精度適用範囲が長く、細い形状の設計となっている場合、その部分の加工の際に歪みや反り、工具のびびり等が発生しやすくなります。その為、ゲージの製作に時間が掛かってしまい納期に影響を与えると共に、製作コストも高くなってしまいます。精度適用範囲を必要部分だけに留めることがゲージ設計における重要な点ですが、長い面に渡って精度が必要な場合は、検証に干渉しない側の肉を厚くした設計にすることでゲージの精度安定化を図ることができます。またゲージの長寿命化の観点からも有効です。精密ゲージの製作においては、ゲージのサイズが大きくなればなるほど、全体のバランスを考えて設計することが重要です。上図の例のように精度適用範囲が長く、細い設計の場合は精度が出しにくい形状のため、検証に直接関係のない部分の肉厚を増やした設計にすることで精度の安定化、ゲージの長寿命化を達成することができます。2-Ⅰ

Page 17:ベース突き出し部がベースの端に配置されており、製作の際に高精度を保ったまま加工することが難しい。ベーススペース突き出し部の周りにスペースを設けることで、精度を安定させたまま製作することができる。ベース突き出し部がベースの端に配置されており、製作の際に高精度を保ったまま加工することが難しい。ベーススペース突き出し部の周りにスペースを設けることで、精度を安定させたまま製作することができる。AfterBeforepage 17FAM CORPORATIONⅠ 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント① ( 形状変更 )突き出し部を持つゲージの高精度設計のポイント精密ゲージの設計において、ベースの上に高精度の突き出し部が必要な際、ベースの端に突き出し部を配置して設計されているケースがあります。このような形状になると、突き出し部の根元周りに、突き出し部を支えるための肉が不足し、精度が不安定になりやすくなってしまいます。精密ゲージの設計において、高精度が必要な突き出し部の周りには、精度が安定するように十分な肉を設けることがポイントです。突き出し部は出来る限りベースの端には配置せずに、スペースを設けることで高精度を維持して製作することが出来ます。またゲージの長寿命化にもつながります。精密ゲージにおいて、ベースの上に高精度部品を配置する場合、その配置をどこにするかによってゲージの精度が変わってしまいます。ベースの端等に配置すると精度が不安定になってしまうため、できるだけベースの端部は避け、肉を少し残してスペースを設けた上に突き出し部を配置することで精度向上につながります。2-Ⅰ

Page 18:検 証部分検証部分A薄肉部分は加工により歪みが出やすく、精度も安定しない。耐久性も悪くなるというデメリットがある。1010補強用C面薄肉形状を避け、肉厚を厚くしたり、補強 用のC面を設けることで精度の安定、耐久性向上を実現できる。軽量化のためには肉抜き形状の設計とすることで対応が可能。2020肉抜き0.005 A検 証部分検証部分A薄肉部分は加工により歪みが出やすく、精度も安定しない。耐久性も悪くなるというデメリットがある。1010補強用C面薄肉形状を避け、肉厚を厚くしたり、補強 用のC面を設けることで精度の安定、耐久性向上を実現できる。軽量化のためには肉抜き形状の設計とすることで対応が可能。2020肉抜き0.005 AAfterBeforepage 18FAM CORPORATIONⅡ 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント② ( 肉厚変更 )L 型形状を持つゲージの高精度設計のポイントL 型ゲージの設計・製作において治具の軽量化を図るために、肉厚を薄くし使用材料を必要最小限に留めた設計を行っているケースがあります。薄肉の治具・ゲージは、加工精度が出しにくくなり加工コストが高くなってしまうことと共に、精度の安定性、耐久性が悪くなってしまいます。検証部分に関わらない部分の厚みを厚くし、補強のための C 面を設けることで安定した精度を確保し、耐久性を高めることが可能になります。軽量化が必要な場合は、板厚を薄くせずに肉抜き形状を追加した設計にすることで、精度が安定したまま軽量化を実現することができます。薄肉のゲージ・治具部品は精度が安定しにくく、耐久性に難があるというデメリットがあります。L 型ゲージのようにゲージの一部分が検証部分となるようなゲージの場合、薄肉形状を避けて設計することで安定した、耐久性の高い高精度ゲージを製作することができます。また軽量化が必要な部分は肉抜き形状とすることで対応が可能です。2-Ⅱ

Page 19:角抜き部が幅70、X寸法が3±0.005のような薄肉で幅広の形状が存在するとき、この 幅 70 の間で 歪みや反りが 発 生し、平行度0.005の精度要求から外れる可能性がある。3±0.005A0.005 AXXX寸法を3±0.005から設計上可能な範囲で増やすことにより、精度を向上させ精度要求を満足させることができる。70角抜き部が幅70、X寸法が3±0.005のような薄肉で幅広の形状が存在するとき、この 幅 70 の間で 歪みや反りが 発 生し、平行度0.005の精度要求から外れる可能性がある。3±0.005A0.005 AXXX寸法を3±0.005から設計上可能な範囲で増やすことにより、精度を向上させ精度要求を満足させることができる。70AfterBeforepage 19FAM CORPORATIONⅡ 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント② ( 肉厚変更 )角抜き形状を持つゲージの高精度設計のポイント精密ゲージにおいて幅広の角抜き溝が存在する場合、上図のように薄肉部分があるとその部分に歪みや反りが発生しやすくなります。平行度が形状に指示されている場合、歪みや反りが精度要求を満たすことが困難となり製作コストにも影響します。また実際の使用の際にも精度が安定しません。精密ゲージ設計においては、薄肉部分はできる限り避けて設計することがポイントになります。歪みや反りが出やすい薄肉部分をゲージの仕様上問題の無い範囲で肉厚が大きくなるように設計することで、精度を安定させることができ、製作のコストも抑えることが可能になります。精密ゲージでは幅が長く厚みが薄くなればなるほど、歪みや反りが発生し易くなるため精度の要求を満たすことが難しくなります。設計の際には、仕様上可能な範囲で厚みを増やすことにより、精度向上、品質の安定化につなげることができます。2-Ⅱ

Page 20:ゲージに入っているスリットにより、薄肉部分の反りや歪み、たわみといった現象が現れやすくなる。3310外向き、または内向きに力が加わる設計上可能な限り肉厚を増やすことで穴径、穴位置の精度を確保することが可能になる。φ10 +0.01−0.005ABゲージに入っているスリットにより、薄肉部分の反りや歪み、たわみといった現象が現れやすくなる。3310外向き、または内向きに力が加わる設計上可能な限り肉厚を増やすことで穴径、穴位置の精度を確保することが可能になる。φ10 +0.01−0.005ABAfterBeforepage 20FAM CORPORATIONⅡ 精密ゲージ設計・製作における精度向上設計のポイント② ( 肉厚変更 )抜き形状とスリットを持つゲージの高精度設計のポイント精密ゲージ内部に穴とスリット溝が存在するようなゲージの場合、薄肉部分が存在していると形状変化を起こしやすくなります。上図の例では、矢印のような外向き、または内向きの力がゲージに加わり、穴径や穴位置の寸法精度が保てなくなってしまう可能性があります。精密ゲージ内部にスリット溝があり、金属の応力等が不均一にゲージに掛かるような形状の場合、薄肉形状はできる限り避けて設計することが重要です。上図の例では A と B の寸法の肉厚を十分厚くすることで形状変化の力の影響を抑え、ゲージを高精度化することが可能になります。精密ゲージの製作においては、形状によっては外に広がったり内に倒れたりする力が働きます。具体的にどの部分の設計を変更すべきかは形状によって異なりますが、原則としてゲージ設計の際は薄肉形状を避けて、金属の形状変化を小さくすることが重要です。2-Ⅱ