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技術者たちが赤裸々に語る!覆面座談会「装置設計現場のホンネ」――過去最大のピンチから若手との付き合い方、技術伝承まで

ホワイトペーパー

オンラインで実施した「技術者座談会」のレポートです

設計・製造従事者の方に参集いただき、設計・製造現場の"ホンネ"を語ってもらうオンライン覆面座談会。今回のテーマは「装置や機械設計をする中で経験した過去最大のピンチ」。そのほか「若手との付き合い方」や「人材育成」についてもお話しいただきました。

(モデレーター:株式会社小川製作所 小川 真由 氏)

【掲載企業】 -
【協賛企業】 meviy(株式会社ミスミ)
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このカタログについて

ドキュメント名 技術者たちが赤裸々に語る!覆面座談会「装置設計現場のホンネ」――過去最大のピンチから若手との付き合い方、技術伝承まで
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 3.1Mb
取り扱い企業 株式会社アペルザ (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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アペルザ様_wp⑲_01[表1]

技術者たちが赤裸々に語る! 覆面座談会 「装置設計現場のホンネ」 過去最大のピンチから若手との付き合い方、技術伝承まで
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アペルザ様_wp⑲_02[はじめに]

は じ め に 設計・製造従事者の方に参集いただき、設計・製造現場の‶ホンネ”を語って もらう、オンライン覆面座談会を開催しました。 さて、お互いの顔が見えない座談会で、一体、どんな意見が飛び出したので しょう。今回のテーマは、「装置設計現場の課題」。「装置や機械設計をする 中で経験した過去最大級のピンチ」のほか、人材育成の課題などについても お話いただきました。 参 加メンバー いっちーさん やっすーさん 50代半ばの中小装置メーカーで働く生産技術者。 40代の中小電機メーカーで働く生産技術者、機械 ちょっとニッチな機器の測定に携わっていて、 設計者。過去の設計案件で、精神的に堪えがた 設計や評価の事情がかなり特殊。自身の設計で、 い出来事を経験しましたが、挫折することなく、 売れ筋商品誕生にも貢献。オフではマラソン大会 今も生産技術の仕事に元気にまい進中。オフで に参加。仕事も趣味もエンジョイしています。 はYouTube配信を楽しんでいます。 のりんさん モデレーター 小川製作所 小川真由さん 大手電機メーカーで働く設計者。現場一筋で 祖父が創業者である町工場を継承し、代表を務め やってきて、今は50代半ば。過去には、海外を ています。もともとは最終品メーカーで機械設計 飛び回る、機密度高すぎで、ちょっと過酷な設計 者をしていました。日本のものづくりを元気にし 開発業務を経験。電験から航空機ライセンスまで、 たいとの思いから、SNSや大手メディアでの情報 資格をたくさん持っています。 発信などを積極的にしています。 02
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アペルザ様_wp⑲_03[座談会]

エ ンジニアとして働く中で経験した、、 過去最大級のピンチを教えてください! 今回の座談会でモデレーターを務めます、小川製作所の小川と申します。 東京都の葛飾区で町工場を営んでおり、普段は医療器具の研磨や食品機械の部品製作 などをやっています。そのかたわらで、日本の経済について、ブログやTwitter、 Webメディアで情報発信をしています。 小川さん (モデレーター) 今回は、装置や機械設計をする中で経験した過去最大のピンチや設計現場が今抱え ている課題について、メーカーで設計業務に携わっている匿名の皆さんとお話をして いきます。 中小企業の機械メーカーからいっちーさん、やっすーさん、大手メーカーからのりん さんに参加いただきます。本日はよろしくお願いいたします。 さて早速……まずは皆さんが、エンジニアとして働いている中で経験した「過去最大 のピンチ」から、詳しくお伺いできればと思います 小川さん (モデレーター) 海 外出張先での図面データ喪失を 蓄積した知識と経験で乗り切る のりんさん まずは、のりんさんにお伺いします。 「想定外のアクシデントで必要なデータを喪失してしまった」とのことですが、 詳しくお話いただいてもよろしいでしょうか? 小川さん (モデレーター) 今から20年か25年くらい前の話になります。スイスとフランスの国境付近に ある素粒子物理学の研究施設へ出張をしました。現地で素粒子物理学の研究に 用いるための加速器を組み立てる必要がありました。 のりんさん 施設の地下にある加速器の現場に到着し、自分のPC端末でデータを確認しよう としたところ、なぜか図面データが破損していて開けなかったんです。 研究施設の案件ということで、機密性が非常に高く、設計図面のメール添付は もちろん、社内でのサーバ保存もできないような案件だったそうですね 小川さん (モデレーター) 03
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アペルザ様_wp⑲_04[座談会]

そうなんですよ。当時担当していた案件の図面は、自社内で自分以外の誰にも 共有をしてはならないということになっており、バックアップが存在しなかった んですね。 のりんさん しかし、世界的なプロジェクトで、現地ではノーベル賞を受賞するような研究者 も関わっていたので、何もせずに日本に帰るわけにはいきません。そこで、周囲 に迷惑をかけないために、毎夜頭の中に入っている情報から、翌日組み立てる 分を現地のホテルで設計し、図面を書き、それを翌日組み立てるということを 約1カ月毎日繰り返すことで、何とか完了できました。その期間は食べ物ものど を通らず、夜も眠れずというとてもつらい時間を過ごしたのを覚えています。 ありがとうございます。頭の中にある情報で、図面を復元するのは大変なこと だと思います。現地で満足のいく設計はできたのでしょうか? 小川さん (モデレーター) 実は、最初に設計して現地で確認するはずだった図面とは、一部異なるものを 納めています。ただ、ある程度、設計に必要な情報は頭に入っている状態でした ので、一部異なるとはいえ、現地で必要な設計は無事やり切ることができました。 のりんさん データが喪失してしまうという経験をしてからは、常にバックアップとして紙の 図面と電子データの両方を持って、現場に行くようにしています。 大きなトラブルがあっても、現地での期待にこたえるために、これまでの経験 で身につけた膨大なデータや設計技術で何とかご自身の役割を果たしたという ことですね。 小川さん 最先端の製品や研究について、その機密情報をどのように守っていくかという (モデレーター) のはとても重要なことだと思います。先端の研究開発に携わる方ならではの エピソードでした。どうもありがとうございました。 お 客さまからの指摘をきっかけに明文化した仕様による お客さまの信頼獲得 いっちーさん 続いては、いっちーさんにお話を伺いたいと思います。 いっちーさんは、「計測器の測定精度に関して課題があった」ということでした が、詳しくお話いただいてもよろしいでしょうか。 小川さん (モデレーター) 私は、輸送機器に使う測定装置の開発を行っています。人の命を預かる機器が 相手なので、その測定装置にも高い精度が求められます。 この製品は、もともと前任者が設計したものを、私が引き継ぎ、それをまた後輩 に引き継ぐという形で引き継いできた製品です。そして、あるタイミングでお客 いっちーさん さまから、装置の精度に関して指摘が入りました。 04
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アペルザ様_wp⑲_05[座談会]

さまざまな使用条件における測定精度に関して曖昧な部分があり、担当者によっ て解釈がずれていたことが、お客さまからの指摘のきっかけでした。会社として も強く課題認識を持ち、時間をかけて条件別の測定精度を整理することになり、 もっとも長くこの製品の担当をしていた私がとりまとめ役として指名されました。 いっちーさん この計測器は屋外で使われることもあるため、センサーの耐環境性、例えば温度 変化による影響や経年劣化の影響、また計測器に接続するケーブルの長さなど、 さまざまな条件に影響を受けます。そこで、それぞれの環境における測定精度を 明確にするために、さまざまな条件での実験を行い、その結果を整理して社内や お客さまに報告しています。 お客さまからの指摘をきっかけに、苦戦しながらも条件別の測定精度を説明でき るようになったことで、結果的にはお客さまからの信頼を獲得することができま した。その製品はその後、当社売れ筋の主力商品になっており、自分の中では 過去で一番思い出に残るエピソードとなりました。 ありがとうございます。製品の仕様として明確に定めていなかった部分の測定 精度を同定したことで、お客さまからの信頼獲得につながったということです ね。使用する環境としては、どのような場所なのでしょうか? 小川さん (モデレーター) これが、いろいろなんです。全国各地の企業がお客さまになる可能性があるので、 屋外か屋内か、また気温や湿度、雨や雪、風の影響など、さまざまな環境で使わ れる可能性がありますから。 いっちーさん 測定精度は、温度や周りの環境で大きく変わるものなのですね。お話いただい た実験結果から、今回の計測器における一番の変動要素が何だったのか教えて いただけますか。 小川さん (モデレーター) 一番の変動要素はセンサーから計測器までのケーブルの長さです。設置条件に よってケーブルの長さは変わるのですが、長さ違いでの環境試験を行い、ケーブル が長いとその分温度の影響を受けやすくなるということが分かりました。 いっちーさん この知見に基づき、標準仕様としてケーブルの長さを指定することで、お客さま に対して測定精度を保証できる範囲もきちんとお伝えできるようになりました。 メーカーとしてお客さまに対して、製品の保証をすると考えた場合に、どこまで が自社の責任でどこからがお客さまの使い方を制限するのかという点は、とても 判断が難しい部分です。 小川さん 今回の計測器のように、使用条件が一定でない場合には特に判断の閾(しきい) (モデレーター) 値を明確にするのは特に難しいと思います。貴重なお話でとても勉強になるエピ ソードでした。ありがとうございました。 05
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アペルザ様_wp⑲_06[座談会]

装 置設計の仕様の取り交わしが不十分で 訴訟にまで発展 やっすーさん それでは、やっすーさんにもお話をお伺いします。 やっすーさんはお客さまとのやりとりの中で、ちょっと大変なトラブルにつながっ てしまったということですが、どのような状況に陥ってしまったのでしょうか。 小川さん (モデレーター) 作業者が人力で行っている仕事を省力化したいという相談を受け、設備設計の 依頼を受注しました。その設計自体ですごい苦労をしたということではなかった のですが、まず問題があったのは仕様の取り交わしの部分でした。 やっすーさん どのような問題が? 小川さん (モデレーター) 本来は、要求仕様書を受注する際には要求仕様書をしっかり取り交わして進めるの ですが、お互い不慣れだったため、しっかり取り交わしができていなかったんです。 受注の段階から詳細設計が終わるまでの間に、お客さまからの追加要求が多く入 るような状態になってしまいました。そのたびに、納期や予算の話はしたのです やっすーさん が、それでもお客さまの要望が強かったので、何とか対応していきました。 ですが、追加要求への対応や材料の納品遅れなどで、納期がかなりぎりぎりに なってしまい、お客さまがお怒りになりました。最終的には和解できましたが、 最終調整の前段階まで作りあげた設備は、納品をせず、前金も返金し、費用は 一切いただきませんでした。 後から聞いて分かったことなのですが、お客さまにも、いろいろとやむを得ない、 大変な事情があったようでした……。 それは大変でしたね……。私も設計をやっていますので、書面に残していなかっ たことで、お互いの主張がすれ違ってしまった経験があります。ただ、自分自身、 この世界で17、8年やっている中で、ここまでのケースは初耳でした……。 やっすーさん自身も、いろいろと、大丈夫だったんですか? 小川さん (モデレーター) 損害の金額が大きかったので、正直、どうしよう……と、内心ヒヤヒヤでしたよ。 この件は、仕事の進め方などの面で私にも多少の落ち度はあったのですが、全面 的には悪くないということで、会社からは特におとがめはありませんでした。 やっすーさん それは、不幸中の幸いというか、いい会社でよかったですね……。お客さまから の要求を自分たちの仕事に落とし込んでいくというところで、情報がずれて 伝わったり、変換されてしまったりということはよくあることだと思います。大 変な状況だったと思いますが、しっかり乗り越えられて、いい経験をなさったの 小川さん かなと思いました。 (モデレーター) 06
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アペルザ様_wp⑲_07[座談会]

べ テラン設計者が、 現場の若手に思うこと ここからは、3人のベテラン設計者の皆さんが、設計現場で今、抱えている課題 について情報交換をしていきたいと思います。のりんさんから、皆さんに聞いて みたいことがあるそうです。 小川さん (モデレーター) 最近入社してくる若手は、仕事に対するプロ意識が足りないのではないかな、 と感じています。仕事に必要なことをうまく身につけて技術を受け継いでいく ためには、仕事に興味を持って、周辺知識も含めて学んでいくことが必要だと 思うのですが、まったく興味を持っていない若手が多いと思っています。この のりんさん あたり、皆さんは、どのように感じていますか? 今まで習ったことがない、経験したことがないことでも、エンジニアとして、プ ロとして取り組まなければならないケースは多くありますよね。このような場合、 経験がないままにしておいてしまうと、どうしても通用しなくなってくると思い ます。やっすーさんは、どうお考えでしょうか? 小川さん (モデレーター) 仕事の内容を趣味にしてほしいとまではいかないですが、興味を持ってほしい なとは思います。自分自身が中学生くらいの頃に設計の仕事をしたいと思って、 それを実現するために勉強をしていました。今の若手には、そういう経験があ まりないのかなと感じます。 やっすーさん 最近は、明確な趣味を持たずにSNSだけで満足しているという方も多そうですね。 いっちーさんはどうでしょうか? 小川さん (モデレーター) 皆さん、似たような悩みをお持ちなんだな……と思いました。技術伝承という のはベテランが若手に対してすることが多い一方、若手は自分が分からない時 は、当然、上司や先輩が教えてくれるものだろうと、受け身の姿勢になってし まうのかなと思います。世の中の技術はどんどん変化が早くなっているので、 いっちーさん 情報を得ながら設計にどう反映させるのかということが、重要だなと思ってい ます。 確かに、今の若い人は、機械に対して興味が薄くなっている人が増えているの かなというのは、私も感じます。一方で、ITリテラシーが高かったり、共感力 が高くて協調性を持って作業することが好きだったりと、そういう能力に優れ た方が増えていますよね。若手の方に、ベテランからの技術伝承をどうしてい 小川さん くのかというのは、とても興味深いテーマだと思うのですが、のりんさんは、 (モデレーター) 何か大手メーカーならではの仕組みだったり工夫していたりすることはあるの でしょうか? 07
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アペルザ様_wp⑲_08[座談会]

大手メーカーだからというわけではないのですが、私の場合、オフで一緒に遊び に行く中で電気に対して興味を持ってもらうような仕掛けをしていきます。例え ば、私は船舶の免許を持っているのですが、後輩たちと一緒に船に乗って沖に 出たり、山登りに一緒に行ったりして、携帯電話が圏外になってしまう状況を のりんさん 作ります。そうするとトラブルが発生したときにどうするか気になるでしょう? そこで無線の重要性を伝えて、興味を持ってもらうんですよ。 なるほど。それでも興味を持ってもらえない方もいると思うのですが、そういっ た方に対しては、のりんさんならではの次の手はあるのでしょうか? 小川さん (モデレーター) そうですね……。まずは話を聞いてもらえるように、少しずつ自分に興味を 持ってもらって、そこから人に合わせて切り口をいろいろ変えてアプローチを していくというようなことをやっています。 のりんさん 確かに、最初から「機械や電気に興味を持て」と言っても、拒否反応が起きたり、 仕事だからと割り切ってしまったりすると思います。私も、まずは私に興味を 持ってもらわないといけないな、と思っています。 やっすーさん 私はYouTubeの配信をやっているのでそういう話をすると、興味を持っても らえますね。あとは、自分に対する興味を持ってもらうこととは別に、最初から 大きな目標ではなく、小さな目標を与えて、その達成を目指して習慣化すると いうようなことに取り組んでいます。 何かの仕事をする上で、遠い目標に向けてずっと努力を続けるというよりも、 細かい目標を達成して、その都度達成感を得られた方が前向きに業務に取り組め ると思います。そういったモチベーションの保ち方は重要ですね。いっちーさん は、ノウハウの残し方など工夫されていることはあるのでしょうか? 小川さん (モデレーター) 当社は職人の金属加工がメインの会社なので、まずは共通の部分のマニュアル 化に取り組んでいます。今後取り組みたいなと考えていることとして、データ には残らない設計者の考えを伝えていくことが大事だなと思っています。 いっちーさん 具体的には、どのような取り組みをされているのでしょうか? 小川さん (モデレーター) 08
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アペルザ様_wp⑲_09[座談会]

現場のトラブル対応などのときに、若手だけで現場に行ってもらって、それを 事務所から遠隔でサポートしながら解決してもらっています。設計力を付けて いくには、トラブル対応をいかにこなしたかが重要だと思っていて。サポート を受けながら自分で解決することで、マニュアルに残せない大事な部分を残せ いっちーさん るのではないかな、と。 実地的な知見の引き出しを持ってもらうということですね。 ありがとうございます。 小川さん (モデレーター) 皆さんいろいろなご経験をお持ちで、もっと私もお話をお聞きしたいことがあ りますが、残念ながらお時間が来てしまいましたので、今回はここまでという ことになります。今回は、設計業務をされているベテランのエンジニアの方に、 生の声を聞くことができ、私自身も大変勉強になりました。皆さん、今日は 小川さん お忙しいところ、座談会にご参加いただきましてありがとうございました。 (モデレーター) 09
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アペルザ様_wp⑲_10[奥付]

技術者たちが赤裸々に語る! 覆面座談会「装置設計現場のホンネ」 過去最大のピンチから 若手との付き合い方、技術伝承まで 発行日:2022年3月9日 発行:株式会社アペルザ 問合せ先:aperzacatalog-mail@mail.aperza.jp   リクエスト募集中! ぜひお声をお聞かせください https://forms.gle/e2M17aghUfWaFeyD8