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歯車ABC 基礎知識特集 基礎編

ハンドブック

歯車 ABC は、「入門編」を含め 「基礎編」、「実用編」の 3 冊があります。 この「基礎編」では歯車の種類、 使い方、歯車の基本計算・歯形・ 転位・精度・強度などの基礎を紹介しています。

掲載内容
1. 歯車の種類と特長
 1-1 平行軸の歯車
 1-2 直線運動の歯車
 1-3 交差軸の歯車
 1-4 食い違い軸の歯車
2. 歯車の基本用語と寸法計算
3. 歯車の歯形
4. 歯車の転位
5. 歯車の精度
6. 歯車の材料と熱処理
 6-1 代表的な金属材料
 6-2 代表的な熱処理
7. 歯車の強度
8. 歯車の表面処理
9. 歯車ができるまで
 9-1 平歯車ができるまで
 9-2 ラックができるまで
 9-3 かさ歯車ができるまで
 9-4 ウォームができるまで

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このカタログについて

ドキュメント名 歯車ABC 基礎知識特集 基礎編
ドキュメント種別 ハンドブック
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取り扱い企業 小原歯車工業株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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の 基礎編 軸付平歯車 等級 00 級 歯形 並歯 モジュ 1 圧力角 20° 歯数 100 ねじれ 0 ピッチ 100 歯末 1.0 歯たけ 2.25 歯先円 102 材質 S45C 調質 Hs38 焼入れ 高周波 深さ 0 世界初、SHESCO社製フルタイム2WD BIKE ( KHK SBタイプ かさ歯車使用) 図面があって製品が作られます 日付 06.10.28 作成 大貴 承認 一輝 KHK SS-REI 鳥人間コンテスト人力プロペラ機部門優勝の日本大学理工学部航空研究会機体 川崎ロボット競技会デザイン賞受賞の戦闘ロボット機体 (駆動系にKHK MMSG歯研スパイラルマイタ使用) (KHK LSと DS平歯車使用 )
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Contents 1. 歯車の種類と特長    P 2  1-1 平行軸の歯車      P 4  1-2 直線運動の歯車       P 7  1-3 交差軸の歯車       P 8  1-4 食い違い軸の歯車      P10 2. 歯車の基本用語と寸法計算 P12 こんにちは、はぐるま君です。 3. 歯車の歯形         P20 「入門編」は、いかがでしたか。 4. 歯車の転位    P22 歯車の歴史やどんなところに歯車 が使われ、どのようなやくめをす 5. 歯車の精度    P24 るのか、ご理解できたでしょう 6. 歯車の材料と熱処理    P26 か? 歯車ABCは、「入門編」を含め  6-1 代表的な金属材料      P26 「基礎編」、「実用編」の 3冊があ  6-2 代表的な熱処理      P27 ります。 この「基礎編」では歯車の種類、 7. 歯車の強度    P28 使い方、歯車の基本計算、歯形、 8. 歯車の表面処理    P30 転位、精度、強度などの基礎を紹 9. 歯車ができるまで     P32 介しています。 より詳しく歯車のことを知りたい  9-1 平歯車ができるまで    P32 方は、この後に続きます「実用編」  9-2 ラックができるまで    P33 を是非ご覧下さい。  9-3 かさ歯車ができるまで   P34  9-4 ウォームができるまで   P35
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歯車ABC 基礎編 1. 歯車の種類と特長 歯車の種類は大きく3つに分類することが出来ます。 それぞれの種類と KHK 標準歯車を見てください。 歯車の分類 歯車の種類 伝達効率 (%) アイソメ図 平行軸 平歯車 (スパーギヤ) はすば歯車 (ヘリカルギヤ) 98.0−99.5 ラック・ヘリカルラック 内歯車 (インターナルギヤ) 交差軸 マイタ すぐばかさ歯車 (ストレートベベルギヤ) 98.0−99.0 まがりばかさ歯車 (スパイラルベベルギヤ) 食い違い軸 ねじ歯車 (スパイラルギヤ) 70.0−95.0 ウォーム 30.0−90.0 ウォームホイール - 2 -
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1. 歯車の種類と特長 だ車い ながろ ぁあん るな ん歯 KHK標準歯車紹介 MSGA SSG SS SUS PS KHG SH KRG (F) (D) SRFD SUR (F) (D) PR (F) KRHG (F) SI SIR MMSG SMSG MM SUM PM SB・SCBY SB SUB PB DB MBSG SBSG MBSA (B) SBS SN SUN AN PN KWGDL (S) & KWG & AGF SWG & AG SW & BG・CG SUW & PG AGDL BG・CG - 3 -
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歯車ABC 基礎編 歯車は組み付ける軸の向きによって大きく3種類に分類することができます。 ここでは歯車の使い方や特徴と注意点などを紹介します。 1 ー 1 平行軸の歯車 平行な2軸を「平行軸」と言い、このような軸の回転 / 動力の伝達には、一般的に 平歯車、はすば歯車、内歯車を使用します。これら歯車は、あらゆる産業分野、あ らゆる用途で最も多く使われている歯車です。 平歯車(スパーギヤ) 歯すじが直線で平行な2軸の間に回転運動を伝えるシンプルな円筒歯車です。 製作が容易であるため、動力伝達用の歯車として最も多く使われています。 特徴 / 注意ポイント ・もっとも作りやすい歯車です。 ・軸方向力(スラスト)が発生しない使いやすい歯車です。 ・一対の歯車の歯数の組み合わせに制限はありません。 ■速度伝達比 一対の歯車をかみ合わせた 1 段歯車対を見て下さい。(図 1.1) 歯車2 歯車1 (z2 , n2) (z1 , n1) 2 つ(一対)の歯車の回転方向は逆になります。 歯車 1 が右回りなら歯車 2 は左回りです。 また、一対の歯車の歯数に差がある場合は、増速または減速します。 歯車 1 が駆動の場合は減速です。 歯車 2 が駆動の場合は増速です。 図1.1 平歯車 被動歯車の歯数 (z2)速度伝達比 =  駆動歯車の回転数 (n1) 駆 動 歯 車 の 歯 数 ( z1) = 被動歯車の回転数 (n2) (1.1)   計算例 歯車1 駆動歯車 1 の歯数は 20 回転数は 400rpm 歯車2 被動歯車 2 の歯数は 80 の 1 段歯車列 この歯車列の速度伝達比は 80÷20=4 歯車 2 の回転数は 400÷4=100rpm - 4 -
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1. 歯車の種類と特長 はすば歯車 ( ヘリカルギヤ ) 平歯車の歯すじがねじれ(つる巻き線)ているものがはすば歯車です。 平歯車よりも強く、静かな歯車として自動車や産業機械などに広く使われて います。 特徴 / 注意ポイント ・同じ大きさの平歯車に比べて強度が大きく、静かに回転 / 動力を伝えます。 ・高速回転での使用に適しています。 ・軸方向力(スラスト)が発生しますから対策が必要です。 ・一対の歯車の歯数の組み合わせに制限はありません。 はすば歯車のかみ合いにおける回転方向とスラスト方向は図 1.2 のようになります。 スラストベアリングはスラスト力を受けています。回転方向は、平歯車のかみ合いと同じです。 被動 駆動 駆動 被動 スラストベアリング 図1.2 回転方向とスラスト方向 一対の歯車の回転方向は逆になります。速度伝達比も平歯車と同じです。 ■ 2 段歯車列の速度伝達比 歯車 1 を駆動歯車としたとき、この 2 段歯車列 の速度伝達比( i )は 歯車4 歯車3 歯車2 歯車1 (z4 , n4) (z3 , n3) (z2 , n2) (z1 , n1) i = z2 z4 n1 n3 z × z  =   × ( .2 3 n2 n 1 ) 1 4 歯車 1 と歯車 4 の回転方向は同じです。 歯車 1/2/3/4 の歯数は 10/24/12/30 ですから、 この歯車列の減速比は 6 です。 図1.3 2段歯車列 - 5 -
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歯車ABC 基礎編 内歯車(インターナルギヤ) 平歯車とかみ合う、円筒の内側に歯が作られている歯車です。 主に、遊星歯車装置とか歯車形軸継手(ギヤカップリング)などに使われ ています。 特徴 / 注意ポイント ・形状的に焼入れすると歪が大きく歯研が困難です。 ・遊星歯車機構を使えばコンパクトで高減速比の歯車装置を作ることが可能です。 ・一対の内歯車と外歯車のかみ合いにおいては次の 3 つの干渉が発生することがあります。   (a)インボリュート干渉 (b)トロコイド干渉 (c)トリミング ■速度伝達比 もっともシンプルな外歯車 1(ピニオン)と内歯車 2(インターナ 歯車2 歯車1 (z2 , n2) (z1 , n1) ルギヤ)のかみ合いにおいて、外歯車 1 と内歯車 2 の回転方向は同 じです。(図 1.4) 速度伝達比 = 被駆 動動 歯歯 車の歯数 車 の 歯 数   (1.3) 図1.4 平歯車と内歯車 ■遊星歯車機構 遊星歯車機構を構成する主要な要素は 4 つです。 内歯車C 太陽歯車(A)、遊星歯車(B)、内歯車(C)、遊星キャリヤ(D) z c = 48 です。 遊星キャリアD 右図では遊星歯車を 4 個使っています。 多くの歯車で負荷を分担することによって、装置を比較的コン パクトにすることが出来ます。遊星歯車機構は、固定する要素 を変えることにより速度伝達比や回転方向が変わります。 (a)プラネタリー型 太陽歯車A  太陽歯車入力、遊星キャリア出力、内歯車固定の場合 z a = 16 遊星歯車B zb = 16 図1.5 遊星歯車装置の構造 速度伝達比 = z c z + 1 (1.4) a C( 固定 ) C C B B B (b)ソーラ型 D D D( 固定 )  太陽歯車を固定します。 A A( 固定 ) A (c)スター型  遊星キャリアを固定します。 (a) プラネタリ型 (b) ソーラ型 (c) スター型 図 1.6 遊星歯車機構のタイプ - 6 -
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1. 歯車の種類と特長 1 - 2 直線運動の歯車 平行軸の仲間ですが、特殊ケースとして相手軸がない「直線運動」があります。 回転運動を直線運動、又はその逆にする場合、ラック&ピニオンを使用します。 円筒歯車の直径が無限大(∞)の歯車をラックと言い、主に搬送装置に使われます。 ラック 歯すじが直線で平歯車とかみ合う直線歯形の棒状歯車です。 平歯車のピッチ円筒半径が無限大(∞)になった歯車と考えられます。 ラックは何本も継ぎ合わせて長くして使用することが出来ます。 ピニオン1回転の移動距離 特徴 / 注意ポイント SS3-30と SSCP10-30の比較 1回転 ・ヘリカルラックよりも作りやすく、使いやすいです。 1/2回転 ・かみ合う平歯車の歯数に制限はありません。 ラックとピニオンのかみ合いにおいてピニオンが 1 回 転した時の移動距離は、ピッチの歯数倍です。ピッチ とは、歯から次の歯までの距離のことです。 CP ラックは簡単に位置決めができるよう設計されてお ります。図 1.7 ピッチ ヘリカルラック 図1.7 CP10とm3の違い 歯すじが斜めになっており、はすば歯車とかみ合うねじれをもった直線歯形 の棒状歯車です。はすば歯車のピッチ円筒半径が無限大(∞)になった歯車 と考えられます。 特徴 / 注意ポイント ・スラストが発生しますから対策が必要です。 ・同じ大きさの平ラックより強く静かに回転 / 動力を伝えます。 ・高速度での使用に適しています。 ・かみ合うはすば歯車の歯数に制限はありません。 歯すじのねじれによりスラストが発生します。回転方向とスラスト方向を示したのが図 1.8 です。 Rラック Lピニオン Rピニオン Lラック スラスト スラスト スラスト スラスト Lラック Rピニオン Rラック スラスト Lピニオン スラスト スラスト スラスト 駆動 駆動 図1.8 回転方向とスラスト方向 - 7 -
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歯車ABC 基礎編 1 - 3 交差軸の歯車 ある一点で交わる2軸を「交差軸」と言い、このような軸の回転 / 動力の伝達には、 一般的にかさ歯車を使用します。歯数比が1のかさ歯車をマイタと言い、歯のねじ れの有無によってすぐばかさ歯車とまがりばかさ歯車に分類されます。 すぐばかさ歯車(ストレートベベルギヤ) 歯すじが直線でピッチ円すいの母直線と一致する円すい形状の歯車です。 かさ歯車としては比較的に製作が容易であるため、動力伝達用かさ歯車と して多く使われています。 特徴 / 注意ポイント ・まがりばかさ歯車よりも作りやすいです。 ・マイナス方向のスラストが発生しないので使いやすいです。 ・一対の歯車の歯数の組み合わせが大切です。異なる歯数の組み 合わせで作ったかさ歯車とは、かみ合いません。 図1.9 回転方向 まがりばかさ歯車(スパイラルベベルギヤ) すぐばかさ歯車の歯すじがねじれているものがまがりばかさ歯車です。 すぐばかさ歯車よりも製作が難しいですが、強く、静かな歯車として広く 使われています。 特徴 / 注意ポイント 左ねじれ (L) ・すぐばかさ歯車よりも高負荷 / 高速回転向きの歯車です。 凸歯面 凹歯面 ・軸方向力(スラスト)の向きに注意が必要です。 ・すぐばかさ歯車よりより静かに回転 / 動力を伝えます。 歯 ・歯車の歯数を決めて、このセットで歯車を作るので、他の歯 右ねじれ (R) 数の歯車とはモジュール、圧力角が同じでもかみ合いません。 凹歯面 凸歯面 ■速度伝達比 歯 図1.10かみ合い歯面 速度伝達比 = 被 動 歯 車 の 歯 数   (1.5) 駆動歯車の歯数 駆動 ■まがりばかさ歯車に働くスラスト 右図は歯数比 1.57 以上のまがりばかさ歯 車のかみ合いにおける回転方向とスラス 駆動 ト方向を示します。 小歯車(しょうはぐるま)の凸歯面がか み合う場合、マイナス方向のスラストが 緑:R(右ねじれ) 青:プラススラスト 発生します。 黄:L(左ねじれ) 赤:マイナススラスト 図1.11 回転方向とスラスト方向 - 8 -
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1. 歯車の種類と特長 マイタ、スパイラルマイタ 同じ歯数の組み合わせで使うかさ歯車のことをマイタと言います。 マイタにはすぐばかさ歯車のマイタと、まがりばかさ歯車のスパイラルマイタ の2種類があります。 軸角は 90°が一般的なのですが、KHK 標準歯車には、軸角が 45°/60°/120° のアンギュラマイタも標準化されています。 特徴 / 注意ポイント ・歯数比が 1 のかさ歯車です。 ・回転の方向又は軸の方向を変える用途に使います。 ■スパイラルマイタに働くスラスト 駆動 図1.9 回転方向 スパイラルマイタの回転方向とスラスト方向を図 1. 12 に示します。プラス方向のスラストと同様に、マイ ナス方向のスラストが発生する場合は、これを確実に 受ける軸受を配置する対策が必要です。 駆動 緑:R(右ねじれ) 青:プラススラスト 黄:L(左ねじれ) 赤:マイナススラスト 図1.12 回転方向とスラスト方向 ■アンギュラマイタとマイタ 軸角45° 軸角60° 軸角90° 軸角120° 図1.13 KHK標準歯車の軸角 - 9 -
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歯車ABC 基礎編 1 - 4 食い違い軸の歯車 交わりもせず、平行でもない2軸を「食い違い軸」と言い、このような軸の回転 / 動力の伝達には、一般的にウォームギヤやねじ歯車を使用します。 これら歯車は、回転 / 動力を歯面間の相対的な滑りによって伝える歯車です。 ねじ歯車(スパイラルギヤ) ねじれ角が 45°のはすば歯車であり、ねじれ方向が同じ歯車同士の食い違い軸 間で使うときの名称です。静かですが、比較的軽負荷でなければ使えません。 特徴 / 注意ポイント ・潤滑には十分気をつけて下さい。かみ合う歯面は滑ることにより回転 / 動力を 伝えます。油切れを起こせば、急速に摩耗することがあります。 ・平行軸歯車及び交差軸歯車に比べて、低効率です。 ・比較的小さな動力の伝達に使われます。 ・歯数の組み合わせは自由で制限はありません。(かさ歯車とは異なる) 右ねじれ(R)及び左ねじれ(L)ねじ歯車のかみ合いにおける回転方向とスラスト方向を図 1.14 に示します。 R 右ねじれ 被動 組合せ 被動 被動 駆動 駆動 スラストベアリング Lスラストベアリング 左ねじれ 被動 組合せ 被動 駆動 駆動 駆動 図1.14 回転方向とスラスト方向 ■速度伝達比 速速度度伝伝達達比比は =平 歯被車動と同車じ式歯になります。 駆 動 歯歯 車 のの 歯 数数   (1.6) - 10 -
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1. 歯車の種類と特長 ウォームギヤ ねじ状の歯車であるウォームと、かみ合うねじれを持ったウォームホイールの セットをウォームギヤと言います。大減速や高トルクの動力伝達用の歯車とし て多く使われています。 ■速度伝達比 速度伝達比 = ウ ォ ーウ ムホイ ォ ー ム ーの ルの 条 数 歯数 (1.7) 右ねじれ(R)及び左ねじれ(L)ウォームギヤのかみ合いにおける回転方向とスラスト方向を図 1. 15 に示します。 R 右ねじれ L 左ねじれ 駆動 スラストベアリング 駆動 駆動 駆動 スラストベアリング 図1.15 回転方向とスラスト方向 特徴 / 注意ポイント ・1 段で大きな減速比を得ることが可能です。 ・平行軸歯車及び交差軸歯車に比べて、低効率です。 ・ウォームギヤ対はセットで設計し、製作する必要があります。ウォームの基準円直径に合わ せて、ウォームホイールの歯切り工具を決めて、歯切りします。 ・ねじ歯車と同様で、かみ合う歯面には滑りが発生します。潤滑には充分に気をつけて下さい。 潤滑油切れを起こせば、急速に磨耗することがあります。   計算例 ウォーム条数 z1 = 2 , ウォームホイールの歯数 z2 = 40 速度伝達比 = 40 2 = 20 - 11 -
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歯車ABC 基礎編 2. 歯車の基本用語と寸法計算 歯車をかたるうえで必要な用語なので、ぜひ覚えましょう。 歯車の基本である歯の大きさ、圧力角、歯数・・・、歯車の基礎を理解するのに必要な専門用語、 寸法、関係式などを紹介します。 ■歯の大きさ 歯の大きさを表す単位として ISO(国際標準化機構) では、モジュールサイズを使うことが決められてい m=1 ますが、実際にはその他の方法も使われています。 m=2 ●モジュール m=4 モジュール m = 1  ( p = 3.1416 ) 図2.1 ラック歯形 モジュール m = 2  ( p = 6.2832 ) モジュール m = 4  ( p = 12.566 ) モジュールを円周率倍するとピッチ( p )になります。ピッチは歯から次の歯までの長さです。 p = 円周率 × モジュール = π m (2.1)   計算例 モジュール m = 3 の歯車のピッチ( p )は? p = π m = 9.4248    ● CP(シーピー) サーキュラーピッチとも呼びます。円周ピッチの意味、ピッチ ( p ) のことです。 例えば、CP5/CP10/CP15/CP20 のようにピッタリとした整数で歯車を作ることができます。 モジュール換算式 CP m = (2.2) π   計算例 CP10 をモジュールに換算すると 10 m = =3.1831 3.1416 - 12 -
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2. 歯車の基本用語と寸法計算 ● DP(デーピー) ダイヤメトラルピッチとも呼びます。 長さの単位はミリメートル(mm)を使うのが ISO 標準ですが、アメリカやイギリスは古くから 長さの単位としてインチを使用しています。これらの国で使われているのが DP です。 モジュール換算式 m = 25.4 (2.3) DP   計算例 DP 8 をモジュールに換算すると  25.4 m = = 3.175 8 ■圧力角(あつりょくかく) 歯形を決める要素、歯の傾きです。 圧力角( α )は 20°が一般的ですが以前は 14.5°の歯車が普及していました。 基準線の法線 圧力角 ピッチ 歯先 基準線 歯面 歯底 1 図2.2 標準基準ラック歯形 10 2 9 3 ■歯数(はかず) 8 4 歯車の歯の数のことです。図 2.3 のように数えます。 この歯車の歯数は 10 です。 7 5 6 図2.3 歯の数 これまでに解説した「モジュール( m )」「圧力角( α )」「歯数( z )」は、歯車の基本の 3 要素です。 これらに基づき歯車の各部の寸法を計算します。 - 13 -
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歯車ABC 基礎編 ■歯たけと歯厚 歯の高さはモジュール( m )の大きさで決まります。これから ISO 及び JIS(日本工業規格) に規定された歯車歯形(並歯)について紹介します。 下の図 2.4 を見て下さい。 歯たけ( h ) / 歯末のたけ( ha ) / 歯元のたけ( hf )を説明します。 歯たけ( h )とは、歯先から歯底まで h = 2.25 m (2.4) (=歯末のたけ + 歯元のたけ) ピッチ 歯厚 歯先 基準線 歯底 図2.4 歯たけと歯厚 歯末のたけ( ha )とは、歯先から基準面(線)まで ha = 1.00 m (2.5) 歯元のたけ( hf )とは、歯底から基準面(線)まで hf = 1.25 m (2.6) 歯厚( s )とは、ピッチ( p )の半分が基準です。 *ピッチ( p )= π m π m s = (2.7) 2   計算例 モジュール 2 の歯車の歯たけ(h)/ 歯末のたけ(ha)/ 歯元のたけ(hf)を計算してみましょう。 h = 2.25 m = 2.25 × 2 = 4.50 ha = 1.00 m = 1.00 × 2 = 2.00 hf = 1.25 m = 1.25 × 2 = 2.50 - 14 - 歯元の 歯末の たけ たけ 歯たけ
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2. 歯車の基本用語と寸法計算 ここまで、歯車の基本中の基本として「モジュール」「圧力角」「歯数」「歯の大きさ(歯たけと歯厚)」 を紹介してきました。 次は、平歯車(円筒歯車)の主要な各部の名称 / 寸法計算について紹介していきます。 ■歯車の直径(大きさ) 歯車の大きさは、基準円直径( d ) が基準となります。 基準円を基準として、ピッチ、歯厚、歯たけ、歯末のたけ、歯元のたけが決まります。  基準円直径( d ) 歯末の たけ d = z m (2.8) 歯元の たけ  歯先円直径( da ) da = d + 2 m (2.9) 径 直 円 準 基 径 円直  歯底円直径( df ) 歯先 df = d - 2.5 m (2.10) 図2.5 歯車の大きさ ☆ここで紹介した歯先円と歯底円は、目で見ることが出来ますが、基準円は実際の歯車で見るこ とは出来ません。基準円は、私たちが歯車の大きさとして決めた仮想の円だからです。   計算例  モジュール( m ) 2 、歯数( z ) 20 の平歯車の基準/歯先/歯底円直径を計算しましょう。 d = z m = 20 × 2 = 40 da = d + 2 m = 40 + 4 = 44 df = d-2.5 m = 40 - 5 = 35   練習問題 平歯車諸元 モジュール( m )= 4 歯数( z ) = 40 ( 圧力角 α = 20°) 基準円直径 d = 歯先円直径 da = 歯底円直径 df = KHK - 15 - 歯底円直径
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歯車ABC 基礎編 歯先円直径 基準円直径 基礎円直径 歯底円直径 歯幅 円弧歯厚 歯底円 基 直 礎 径 円ピッチ 円直 (基準ピッチ) 径 圧力角 中心線 圧力角 頂げき 基準 円直 径 歯元のたけ 歯たけ 歯末のたけ 中心距離 図2.6 歯車のかみ合いと各部の名称 表2.1 歯車の名称と記号 名称 記号 名称 記号 モジュール m 歯厚 s 圧力角 α 基準円直径 d 歯数 z 歯先円直径 da ピッチ p 歯底円直径 df 歯たけ h 中心距離 a 歯末のたけ ha バックラッシ j 歯元のたけ hf 頂げき(クリアランス) c - 16 - 直径 歯先 円 シ クラ ッ バッ
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2. 歯車の基本用語と寸法計算 ■中心距離とバックラッシ 一対の歯車の基準円が接するようにかみ合う時、中心距離は 2 つの基準円直径の和の半分です。 a  中心距離(a) (d1+d2) d2 d1 a = (2.11) 2 図2.7 中心距離 図 2.6 のように歯車はかみ合いますが、スムーズにかみ合うにはバックラッシ(歯面間の遊び) が大切です。バックラッシとは、一対の歯車をかみ合わせたときの歯面間の遊びのことです。 歯車対には歯たけ方向にも隙間(遊び)があります。これを頂げき(クリアランス)といいます。 頂げき(c)は、歯車の歯元のたけと相手歯車の歯末のたけの差です。  頂げき(c) 歯底円 c = 1.25 m - 1.00 m 歯先円 = 0.25 m (2.12) 図2.8 頂げき   計算例  モジュール m = 2 、 小歯車 z1 = 20 、 大歯車 z2 = 40 の中心距離(a)と頂げき(c)を計算しま しょう。 小歯車の基準円直径 d 1 = 20 × 2 = 40 大歯車の基準円直径 d 2 = 40 × 2 = 80 中心距離 a = ( 4 0 + 80 ) 2 = 60 c = 0.25 × 2 = 0.5 - 17 - 頂げき
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歯車ABC 基礎編   計算例 歯車の主要な寸法を計算しましょう 項目 記号 計算式 小歯車 大歯車 モ ジ ュ ー ル m 2.5 圧 力 角 α 20° 歯 数 z 15 30 基 準 円 直 径 d z m 37.5 75 歯 末 の た け ha 1.00 m 2.5 2.5 歯 元 の た け hf 1.25 m 3.125 3.125 歯 た け h 2.25 m 5.625 5.625 歯 先 円 直 径 da d + 2 m 42.5 80 歯 底 円 直 径 df d - 2.5 m 31.25 68.75 中 心 距 離 a d1 + d2 56.25 2 モジュール=3 10 歯数=20 月 28 日 日直 歯たけ 菜 月   練習問題 歯車の主要な寸法を計算しましょう 項目 記号 計算式 小歯車 大歯車 モ ジ ュ ー ル m 4 圧 力 角 α 20° 歯 数 z 12 60 基 準 円 直 径 d z m 歯 末 の た け ha 1.00 m 歯 元 の た け hf 1.25 m 歯 た け h 2.25 m 歯 先 円 直 径 da d + 2 m 歯 底 円 直 径 df d - 2.5 m 中 心 距 離 a d1 + d2 2 - 18 -