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サーボバルブ 用語解説、試験方法、取り扱い方法

ハンドブック

データシートなどの用語の解説、各種試験の方法、手順の解説、新品・修理品添付データの内容説明、取り扱い方法などをご紹介

このカタログについて

ドキュメント名 サーボバルブ 用語解説、試験方法、取り扱い方法
ドキュメント種別 ハンドブック
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このカタログの内容

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サーボバルブ 用語説明、試験方法、取り扱い方法 データシートなどの用語の解説 各種試験の方法、手順の解説 新品・修理品添付データの内容説明 取り扱い方法など What moves your World
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目次 サーボバルブ 本書にはデータシートなどに使用されている用語の定義、各種試験 の方法、手順の解説、新品・修理品に添付されているデータの内容 説明、取り扱いなどに関する情報を掲載しております。ご購入いた だきました各種サーボバルブを、より有効にご使用いただくために ご活用ください。 目次 第1章 用語の定義 1.0 一般的用語 3 2.0 バルブ関連用語 3 3.0 電気入力特性関連用語 3 4.0 静的性能特性関連用語 4 5.0 中立点特性関連用語 6 6.0 動特性関連用語 6 第2章 サーボバルブの試験法 1.0 試験装置と設備の必要条件 7 2.0 標準試験条件 7 3.0 電気的試験 7 4.0 静的性能試験̶各点式 8 5.0 静的性能試験̶連続式 12 6.0 動特性試験 14 第3章 ムーグ産業用標準品の取り扱いに関して 1.0 試験成績書 17 2.0 修理報告書および修理試験成績書 18 3.0 サーボ系のフィルトレーション 19 4.0 サーボバルブの取り扱いと保管 19 5.0 サーボバルブの寿命の判定について 19 2
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第1章 用語の定義 サーボバルブ 2.0 バルブ関連用語 SI単位系に関して 単位換算は下記の換算で標記しております。小数点以下 については【例】をご参照ください。 2.1 油圧増幅器(Hydraulic Amplifier) 圧力(MPa) : 0.1 MPa ≒ 0.098 MPa = 1 kgf/cm2 パワー増幅器としてはたらく流量調節装置。摺動スプール、ノズ 0.007 MPa ≒ 1 psi ル・フラッパ、ジェットパイプ・レシーバなどがあります。 カ(N) : 10 N ≒ 9.806 N = 1kgf トルク(Nm) : 10 Nm ≒ 9.806 Nm = 1 kgf ・m 2.2 ステージ[段](Stage) 回転数(r/min) : 1 r/min =1 rpm 油圧増幅器を含むサーボバルブの一部分のこと。一般的にサー 加速度(m/s2) : 10 m/s2 ≒ 9.806 m/s2 = 1 G ボバルブは、1段型、2段型、3段型などと表現されます。 動結度(mm2/s): 1mm2/s = 1cst 2.3 出力段(Output Stage) 【例】 サーボバルブの油圧増幅機構の最終段のこと。通常は、摺動ス 換算後 従来表記 プールが一般的です。 21 MPa 210 kgf/cm2 または3,000 psi 7 MPa 70 kgf/cm2 または1,000 psi 2.4 ポート(Port) 9.5 ℓ/min 9.6 cis 作動油流路との接続部となるサーボバルブの開口部を示します。 ℓ/ 使用例:供給ポート、戻りポート、制御ポート。57 min 57.75 cis ●使用規絡JIS Z 8203およびJIS Z 8202に準拠。 2.5 三方バルブ(Three-Way Valve) 作動油を制御する複合オリフィスで、供給、戻り、制御の3ポート があります。バルブの作動は、第1のモードとして供給ポートと 制御ポートが通じ、第 2のモードは、制御ポートと戻りポートが 第 1 章 用語の定義 通じます。 1.0 一般的用語 2.6 四方バルブ(Four-Way Valve) 作動油を制御する複合オリフィスで、供給、戻りと2つの制御ポー トがあります。バルブの作動は、第1のモードとして供給ポート 1.1 閉ループコントロールシステム が制御ポート#1に通じ、同時に制御ポート#2が戻りポートに   (Closed-Loop Control System) 通じます。第 2のモードは、供給ポートが制御ポート#2に通じ、 自動制御システムのうちで、入力信号と計測された出力信号を 同時に制御ポート#1が戻りポートに通じます。 つき合わせて、その誤差信号によってシステムを希望する方向に 駆動するようになっているもの。 2.7 フローフォースコンペンセイション   (Flow Force Compensation) 1.2 サーボ機構(Servomechanism) 可変オリフィスに関して、定常状態でのフローフォースを減らすよ 時々刻々変化する入力に追従する閉ループシステム。 うに作動油の流路を設計する手法です。 1.3 サーボバルブ(Servovalve) 2.8 ロードコンペンセイション サーボ機構の中にあって、油圧の制御を行う機器。   (Load Compensation) 負荷圧力差の大幅な変動に拘らず、ほぼ一定のフローゲインが 1.4 電気・油圧サーボバルブ 得られるという、バルブ設計上の条件です。   (Electrohydraulic Servovalve) 電気入力信号に従って油圧の制御を行うサーボバルブ。 3.0 電気入力特性関連用語 1.5 電気・油圧流量制御サーボバルブ   (Electrohydraulic Flow Control Servovalve) 電気入力信号に比例して出力流量を制御するように設計された 3.1 トルクモータ(Torque Motor) サーボバルブ。 通常、サーボバルブの入力段には、電気̶機械変換部があります。 3
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第1章 用語の定義 サーボバルブ 入力電流に比例したトルクを発生する機構がトルクモータであり 4.0 静的性能特性関連用語 アマチュアの変位量は一般に、0.05~ 0.1mm程度に限られてい ます。 4.1 制御流量(Control Flow) 3.2 入力電流(Input Current) バルブのコントロールポートを通過する作動油の流量。ℓ/min 流量などを制御するためにバルブコイルに流す電流でmAで表 で表されます。四方バルブとして計測する場合は、一方のコント されます。3~4本のコイルリードに対し、入力電流は通常、差動 ロールポートを通過する流量は他方のコントロールポートを通 (または並列)結線の場合で表し、mAで表されます。 過する流量と同一とみなされます。この仮定は、対称な負荷装置 (左右同一の有効面積があり、摩擦と質量が極めて小さいピスト ン)を用いて無負荷状態でテストを行うか、静的に負荷電流を計 3.3 定格電流(Rated Current) 測する場合に限られます。 定格流量を得るための規定された電流値(正、負)のことで、中 立点バイアス電流は含まず、mAで表されます。3~ 4本のコイ ルリードがある場合、定格電流はコイルの結線法(直列、差動ま 4.2 定格流量(Rated Flow) たは並列)によって決まります。 規定のバルブ圧力降下を与え定格電流を加えた時に得られる規 定の制御流量。ℓ/minで表されます。 3.4 不動電流(Quiescent Current) 差動結線されたコイル両方に流される電流で、2つのコイルは逆 4.3 無負荷流量(No-Load Flow) の極性になるため、この電流は、何の制御効果もありません。 負荷圧力差 0の時(無負荷時)のサーボバルブの制御流量。 ℓ/min(cis、gpm)で表されます。 3.5 制御電力(Electrical Control Power) バルブを制御するのに必要とされ、バルブコイルで消費される 4.4 負荷流量(Loaded Flow) 電力を示し、mWで表されます。 負荷圧力差が存在する時(負荷時)のサーボバルブの制御流量を示 します。 3.6 電気的中立(Electrical Null) 入力電流がゼロの状態。 4.5 内部漏洩量(Internal Leakage) サーボバルブの制御流量が0の時(内部漏洩量計測に際しては、 通常、制御ポートを閉鎖)サーボバルブの供給ポートから戻り 3.7 コイルインピーダンス(Coil Impedance) ポートへ流れる内部流量の総和。ℓ/minで表されます。内部漏 コイル電圧と電流の複素数比。コイルインピーダンスは、アマ 洩量は、入力電流により変化し、一般的にバルブ中立状態で最 チュアの動きにより発生する逆起電力のために信号周波数、振 大値を示します。これを中立点漏洩量(Null Leakage)と言いま 幅、運転状態によって変わります。従って、コイルインピーダン す。2段型サーボバルブの場合、内部漏洩量は油圧増幅器からの スは、運転条件を明確にした上で計測する必要があります。 漏れ量(例えばノズルフラッパの流量)と出力段の絞りからの漏 れ量の合計となります。 3.8 コイル抵抗(Coil Resistance) トルクモータの各々のコイルの直流抵抗値。Ωで表されます。 4.6 バルブ総流量(Total Valve Flow) バルブの制御流量と内部漏洩量の合計。ℓ/minで表されます。 3.9 コイルインダクタンス(Coil Inductance) コイルインピーダンスのうちの誘導成分を言い、H(へンリー)で 4.7 負荷圧力降下(Load Pressure Drop) 表されます。バルブのトルクモータに2個以上のコイルがある場 制御ポート間の圧力差、 MPaで表されます。 合、総コイルインダクタンスは、コイル間の相互誘導をも含むも のとなります。 4.8 バルブ圧力降下(バルブ圧力損失) 3.10 ディザー(Dither)   (Valve Pressure Drop) 制御系の分解能(Resolution)改善の目的で、サーボバルブに バルブ出力段の絞り部前後の圧力差の総和。通常四方バルブで 入力することがある、小振幅で比較的周波数が高い交流信号。 は絞り2ヵ所となります。 ディザーは、ディザー周波数(Hz)、ディザー電流(mA)の波高値 (peak-to-peak)で表されます。 4.9 出力(Power Output) 負荷に消費されるエネルギ一、PSで表されます。 4
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第1章 用語の定義 サーボバルブ 4.16 平均流量ゲイン(Normal Flow Gain) 制御流量(ℓ/min)×負荷圧力差( Pa) 出カ(kW)= M 標準流量曲線の0流量の点から片側の定格電流に至る全領域に 60 わたって引かれた直線の勾配で、直線は標準流量曲線との偏差 参考:出力(PS)=出力(kW)÷0.735 が最小となるように設定します。流量ゲインは、入力電流の極性、 負荷圧力差、作動条件の変化などの原因により変化することが 4.10 極性(Polarity) あります。 入力電流の方向と作動油の流れの方向との関係。 4.17 無負荷流量ゲイン(No Load Flow Gain) 4.11 スレッショルド(Threshold) 負荷圧力差 0の時の標準流量ゲイン。無負荷流量ゲインは、供給 サーボバルブの制御流量に変化を生じさせるのに必要な最少入 圧力、作動条件の変化などの原因により変化することがあります。 力電流の変化分。定格電流に対する百分率または、電流値その もので表します。通常、サーボバルブのスレッショルドは、制御 4.18 定格流量ゲイン(Rated Flow Gain) 流量を増加させるように電流を加えて一時安定させ、制御流量 定格流量対定格電流の比、(ℓ/min)/mAで表されます。定格流 が減少するように電流を変化させ、流量に変化が生ずるまでに 量がある負荷条件の下で規定される場合、定格流量ゲインにも 要した電流を計測します。(第 2章 4.3項には制御ポート圧をモ 同様の条件付けをする必要があります。 ニターする方法もあります。) 4.19 流量飽和(Flow Saturation) 4.12 ヒステリシス(Hysteresis) 入力電流を増加させた時に、流量ゲインが減少するといった現 バルブ入力電流の1サイクルの間に同一出力流量を得るために 象が見られる状態。流量飽和は、バルブの流量範囲の設定によ 必要な電流値の偏差を言うが、入力電流の1サイクルは、動的性 る機械的制約からくるものと、流量増大に伴う内部流路の圧力 能の影響を受けないように、低い速度で加えられなければなり 損失の増加によるものが考えられます。 ません。通常、ヒステリシスは、±100%の範囲で入力電流の1 サイクルを与えたときの最大偏差として規定され、定格電流に対 する百分率または電流値で表します。 4.20 流量限度(Flow Limit) 入力電流を増やしても制御流量が増加しない状態。 4.13 流量曲線(Flow Curve) サーボバルブの制御流量と入力電流との相関関係を示す線図。 4.21 対称性(Symmetry) 通常、±100%の範囲で入力電流の1サイクルを与えて連続的に 正負両極性の標準流量ゲインの均等度、対称度は、両極性の標 プロットして軌跡を得ます。 準流量ゲイン差として計測され、大きい方のゲインに対する百分 率で表されます。 4.14 標準流量曲線(Normal Flow Curve) 流量曲線の電流(または流量)増加側と減少側の中点の軌跡、す 4.22 直線性(Linearity) なわち、ヒステリシス0の流量曲線。一般に、サーボバルブのヒ 同一計測条件の下での標準流量曲線と直線(理想的流量特性 ステリシスは極めて少ないので、流量曲線の片側の線を標準流 線)との偏差、直線性は標準流量ゲインを表す直線と標準流量 量曲線として使用することが可能です。 曲線との偏差の最大値を計測し、定格電流に対する百分率で表 されます。 4.15 流量ゲイン(Flow Gain) 任意の点、任意の作動領域における制御流量対入力電流の比、 4.23 圧力ゲイン(Pressure Gain) (ℓ/min)/mAで表されます。流量ゲインの値は、計測点の選び 制御流量0の状態(制御ポート閉鎖)で計測された単位入カ電流 方で異なります。これは、バルブの非直線性によるものです。公 あたりの負荷圧力差の変化分を言い、MPa/mAで表されます。 称流量ゲインは、一般に次の3つの作動領域を表します。 圧力ゲインは、通常、最大負荷圧力差に対して、±40%の負荷圧 1 中立領域(5.7項参照) 力差変化領域内における負荷圧力差対、入力電流の比として規 定されます。 2 標準流量制御領域(normal flow operating region) 3 流量飽和現象がみられる領域 4.24 圧力スレッショルド(Pressure Threshold) 流量ゲインと言う用語が規定なしに用いられる場合は、一般に 標準流量ゲイン(normal flow gain)を意味するものとみなさ 制御流量 0の状態で一定の負荷圧力差を与え、それを変化させ れます。 るのに必要な電流の量で表します。スレッショルドと圧力ゲイ ンを総合した特性を計測するのに使用されることがあります。 5
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第1章 用語の定義 サーボバルブ 5.0 中立点特性関連用語 5.10 中立点圧力(Null Pressure) 中立点における両制御ポートの圧力。 5.1 中立(Null) 5.11 中立点圧力ゲイン(Null Pressure Gain) 無負荷状態で制御流量が0となる状態。 中立領域での圧力ゲイン。MPa/mAで表します。 ※この用語のご使用はお勧めいたしません。 5.2 ラップ(重合)(Lap) 摺動スプールバルブでの、スプールを0位置に置いた場合の固 5.12 中立点流量ゲイン(Null Flow Gain) 定流量制御エッジ(スリープ側)と可動流量制御エッジ(スプール 中立領域での流量ゲイン。(ℓ/min)/mAで表します。ラップ状 エッジ)の軸方向相対位置関係。ラップの表示は、標準流量曲線 態の違いにより標準流量ゲインの0~200%の範囲になります。 の正負両極側の直線とみられる部分を延長して流量 0のライン との交点を求め、その2点間の距離の定格電流に対する百分率 で行います。 5.13 中立点内部漏洩量(Null Leakage) 中立点での内部漏洩量。ℓ/minで表されます。 ix ラップ量= ×100(%)   iR…定格電流iR 5.3 ゼロラップ(Zero Lap) 6.0 動特性関連用語 5.2項で規定されるラップ量が0となる状態でスプールバルブの両 制御エッジの相対位置関係が一致していることを意味します。 6.1 周波数応答(Frequency Response) 5.4 オーバラップ(Overlap) ある周波数領域にわたる正弦波を入力信号とした時の入力電流 中立点付近で標準流量曲線の流量ゲインが減少するようなラッ と制御流量の関係。通常、入力振幅を一定とし無負荷流量を使 プ状態。 用します。位相遅れ(°)と振幅比(dB)で表現され周波数の関数 となります。周波数応答は、入力電流振幅、温度、供給圧力、そ の他の作動条件により変わります。 5.5 アンダーラップ(Under Lap) 中立点付近で標準流量曲線の流量ゲインが増加するようなラッ プ状態。 6.2 振幅比(Amplitude Ratio) 正弦波入力電流の振幅と制御流量の比。デシベルで表されます。 5.6 不感帯(Deadband) 出力振幅振幅比(dB)=20log 10 入力振幅 オーバラップに起因し中立領域で入力電流が変化しても出力が 変化しない部分。 一般に低い周波数(5または10Hz)の振幅比を基準とし、0デシ ※この用語のご使用はお勧めいたしません。 ベルと設定して、各周波数での振幅比を求める方法を採ります。 5.7 中立領域(Null Region) 6.3 位相角(Phase Lag) 出力段でのバルブのラップ(重合)と、洩れ分の影響が現われる 正弦波入力電流とこれに対応する制御流量変化との時間的ズ 領域。通常、定格電流の±5%程度の範囲にわたります。 レを示し、角度で表されます。 位相遅れ角(°)=遅れ時間(sec)×周波数(Hz)×360(°) 5.8 中立点バイアス(Null Bias) バルブを中立状態にするために必要な入力電流で、ヒステリシ スの影響を除外したもの。定格電流に対する百分率または、電流 値で表します。ヒステリシスの影響を除外するには、ヒステリシ スループから読み取った中立点バイアス電流の算術平均値を用 います。 5.9 中立点シフト(Null Shift) 作動条件や環境条件の変化に起因する中立点バイアスの変化 量。定格電流に対する百分率または、電流値で表します。中立点 シフトは時としてセンターシフトと呼ばれることがあり、供給圧 力の変動、周囲温度の変化などにより発生します。 6
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ 第 2 章  サーボバルブの試験法 1.0  試験装置と設備の必要条件 作動油 バルブ設計の基準流体 供給圧力 定格圧力±2% 使用する計測機器は、実施する試験に要求される精度を検討の ( バルブの使用圧力とする場合もある) 上、対応できるものを選定してください。大部分の油圧的、電気 的試験装置は、適切な精度を維持するために使用頻度に応じて 戻り側圧力 供給圧力の0~±3% 十分な較正を受けなければなりません。また、油圧流量計に関 フィルトレーション 10μ以上 しては、読み取りの補正を行う必要があります。これは、作動油 の種類や温度変化により粘度に差異があるためです。装置の配 管は所要最大流量から考え、配管内圧力損失を少なくするため 十分な径を与え、さらにできる限り短くしてください。また、各 3.0  電気的試験 静圧計は、バルブ取り付けマニホールドに直接取り付ける方向 で設計すれば、バルブ圧損、負荷圧損などがより正確に読み取 れます。電気油圧式サーボバルブへの入力は、サーボバルブコイ 3.1  コイル直流抵抗 ルに加えられる電流と定義されます。サーボバルブの正確な試 21±1℃の周囲温度の下で±1%の精度で測定してください。バ 験を行うためには、バルブ作動によるコイル逆起電力などの影 ルブに3~ 4のコイル端子がある場合、個々のコイルについて 響を受けずに、歪みのない電流波形を得られる信号発生器が必 測定してください。なお、試験に際し油圧を加える必要はありま 要です。例えば、電流フィードバック式直流増幅器のような高ア せん。 ウトプットインピーダンスタイプのアンプが適切です。通常、サー ボバルブの試験はコイル結線直列で行われ、入力信号は差動ま たは並列結線の場合の1/2の電流値となり、試験結果は差動コ 3.2  コイルインダクタンス イル動作の場合に流用することができます。流量制御サーボバ コイルインダクタンスを測定するには、信号周波数変化に対す ルブの静特性試験のために用いられる装置としては、手動式の る見掛けのインダクタンスを算定します。このインダクタンス値 各点型と半自動式の連続プロット型がありますが、以下の試験 は、システムの動的解析の際に伝達関数を表すのに適していま 方法はそのいずれにも適用できるものです。 す。推奨試験装置を、図1に示します。関数発生器を接続して全 コイルを励磁します。コイルは、精密抵抗器と直列に接続されま す。関数発生器の出力は、少なくともその定格値の1/2以上の 範囲で、歪みの少ない電流を供給できるものでなければなりま 2.0  標準試験条件 せん。実際の測定に際しては、使用目的に従い、周波数と振幅を 選定することが現実的ですが、標準的目安として周波数 50Hz、 振幅がコイル定格電流の1/4の入力を採用します。 特に規定が無い場合、流量制御サーボバルブは、次の条件下で 試験手順は次の通りです。 試験してください。 1 交流電圧eRとeTを測定します。 室内温度 21±1℃ 2 eRとeTの間の角度αを測定します。 油温 38±5℃ 3 以上の値を用いて、次式からLを求めます。 震動 なし R 湿度 e 10~ 90% L(H)=( Te () )sin αR 2πf 発振器 L(H)=( eTe () R sinαR 2πf ) eV e バルブコイルT eT eV eL 位相計 α e e e e R=抵抗 R dc ac R (非誘導タイプ0.25%) 電圧ベクトル線図 交流電圧計 試験回路図 図1 バルブコイル、インダクタンス試験装置 7
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ 適当な位相角計が入手できない場合は、eT、eRおよびeVの測定 4.2 ヒステリシス に基づいて、電圧ベクトル図を作図すれば、コイルインダクタン 4.1項で得た iA、iBを次の式に代入して得られます。 スの決定に十分な精度でeLを求めることができます。 ヒステリシス(mA)= iB- iA 3.3  絶縁抵抗 ( iB- iヒステリシス(%)= A)×100   iR…定格電流絶縁試験時に油圧を加える必要はありませんが、湿式モータな iR ど、油中に浸る構造のものはその必要があります。 1 コイル全端子を1つにまとめ、その端子とバルブ本体との間 4.3 スレッショルド に予想最大コイル電圧の5倍の電圧か、200VDCのいずれ 1 4.1項の手順1~3を行います。 PP か大きい方を試験電圧としてかけます。 2 入力電流を0からゆっくりと ⊿P 2 そのまま60秒間、維持します。 増加させ、P1、P2の指針が動 i 3 試験電圧をかけたままで電流を測定します。 いてから電流の増加を止め電 O 4 試験電圧を測定した電流値で割れば、絶縁抵抗を求めるこ 流値 i0を記録します。 とができます。この時、絶縁破壊があってはならず、絶縁抵 3 P1、P2の指針が静定した後、 i il 抗は100MΩ以上なければなりません。 逆に電流をゆっくりと減少さ せ指針が逆向きに動き始める 点の電流値 i1を記録します。 4 電流値の変化分⊿ i= i0- i1がスレッショルドです。 4.0 静的性能試験 ̶各点式 5 手順 2~ 4を中立点付近の任意の点数で行い、そのうちの   (Static Performance Test 最大値をバルブのスレッショルドとして記録します。また、    ̶ Point-by-Point Data ) 百分率でも表示できます。 バルブを静的試験装置に取り付けます。図 2に戻りラインに流 4.4 極性 量計がある試験装置の略図を示します。以下、各項目別に測定 4.3項の試験で、入力電流の増減の方向とP1、P2の変化の方向 の手順を示します。 から判断できます。 4.1 中立点バイアス 4.5 圧力ゲイン 1 戻りラインのシャットオフバルブを開きます。 圧力ゲイン特性のプロットをするためのデータは、次の手順に 負荷バルブを閉じて、サーボバルブの制御ポートをブロック より得られます。(図2 3 ) します。 1 入力電流を(+)と(-)の間で往復させ、振幅を定格から始め 供給シャットオフバルブを開き、圧力調整バルブの調節によ て次第に小さくして、バルブを中立状態( = )にします。3 P1 P2 り、定格圧力をサーボバルブに加えます。 2 P2=PPになるまで入力電流をゆっくり変化させ、入力電流 PP-PR=定格圧力(供給圧力) とP1、P2の圧力を記録します。 PP……供給ポート圧力 3 次に逆向きに入力電流を変化させ(変化分は手順 5参照) PR……戻りポート圧力 再び入力電流とP1、P2を読み取り、記録します。 4 バルブ入力電流を(+)の定格→ 0→(-)の定格→ 0→(+) 4 P2=PRになるまで、手順 3を繰り返します。 の定格と一巡させます。 5 負荷圧力差(PL=P1-P2)は、以上のデータから算出でき 5 手順 4と同じく一巡させま PP ます。入力電流の変化分は、図 3中のA点からB点までの すが電流をゆっくり変化さ 間で、10点のデータ採取点を得られるように設定します。 せP1、P2の読みに注意し、 ⊿P 6 負荷圧力差が PPの±40%の領域での負荷圧力差と入力電 P1=P(2 ⊿P=0)となる点の iB 流の勾配が、バルブの圧力ゲインです。(図 3中点線表示) 電流値を往路(iA)と復路(iB) で読み取り、記録します。 iA i 4.6 内部漏洩量 iA+ iB 中立点バイアス電流= 内部漏洩量対入力電流のプロットをするためのデータは、次の2 手順により得られます。(図 4)で得られます。 最大内部漏洩量(中立点内部漏洩量)をもってプロットの代りと する場合がしばしばあります。 8
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ シャットオフ 圧力調整 アキュムレータ バルブ バルブ 供 給 ラ イ ン 10µ フィルタ 負荷バルブ PP P1 P2 バルブ取り付け マニホールド アキュムレータ 温度計 PR シャットオフ バルブ チェック バルブ 流量計 タンクへ 図 2 静的試験装置(各点式)の油圧回路 A点 圧力ゲイン 0 入力電流[mA] -40% -iR 0 iR入力電流[mA] B点 図 3 圧力ゲイン特性線図(各点式) 図 4 内部漏洩量線図(各点式) 9 負荷圧力差(P1-P2)[MPa] 内部漏洩量[ℓ/ min]
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ 1 4.1項の1~3の手順を行った後(+)の定格電流を加えます。 4 次に適当に数種の入力電流値を設定して手順 3を繰り返し 2 ゆっくりと入力電流を減じ、適当な点で時々止めて、入力電 ます。 流と流量計の読みを記録します。この方法で得た中立点(P1 5 手順 3と4で得たデータから、負荷圧力差(P1-P2)と、正 =P2)は、ヒステリシスの影響を受けるため、4.1の値と異 味制御流量(戻りライン流量-内部漏洩量)を算出します。 なります。その差はバルブヒステリシスの1/2程度となりま 6 手順 5で得た計算値をプロットすることで、負荷流量特性線 す。またP1=P2の時の内部漏洩量が中立点内部漏洩量です。 図が得られます。(図 6) 3 (-)の定格電流まで手順 2を行えば、内部漏洩プロットの データが得られます。最少11点のデータ採取点を設定する  耐圧試験 ことを推奨します。4.7項、無負荷流量プロットのためにも 4.9 このデータは必要です。 1 戻りラインのシャットオフバルブを閉じます。 2 負荷バルブを閉じます。 4.7 無負荷流量特性 3 供給ラインのシャットオフバルブを開き、圧力調整バルブを 調節して、サーボバルブに定格圧力を加えます。(バルブの 無負荷流量のプロットをするためのデータは次の手順により得 種類により、定格圧力以下の場合もあります。) られます。(図 5) 4 この時、外部漏洩が無いことを確認します。 1 戻りラインのシャットオフバルブを開きます。 5 戻りラインのシャットオフバルブを開きます。 2 負荷バルブを開きます。 6 圧力調整バルブを調節して、供給圧力を定格圧力の1.5倍 3 4.1項の手順 3のようにして、サーボバルブに定格圧 にします。 力を加えます。制御流量が大きい領域では、バルブ圧 力降下が規定値に保たれるよう特に注意が必要です。 7 (+)の定格電流を加えて、次に(-)の定格電流を加えます。 (装置の配管内圧力領失が影響します。) 8 外部漏洩が無いことを確認します。 PV=PP-PR-PL PV……バルブ圧力降下 PP……供給ポート圧力 4.10 供給圧力変化に伴う中立点シフト PR……戻りポート圧力 ……負荷圧力差│ - │ 1 4.1項の手順1~ 5を行って、中立点バイアス電流を得て記PL P1 P2 録します。 4 (+)の定格電流を加えます。 2 圧力調整バルブを調節して、適当な変化分ずつ供給圧力を 5 4.6項の手順 2~3で用いたものと同じ変化分だけ入力電 下げ、各々の圧力について4.1項の手順 4~ 5を行い、中立 流を順次変化させ、入力電流と流量計の読みを記録します。 点バイアス電流値を得て記録します。 6 手順 5で得たデータから、それに対応する内部漏洩量を差 3 以上のデータをプロットすることで図7が得られます。 し引いて、正味制御流量を得ます。この方法(戻りライン総 流量から内部漏洩量を差し引く方法)によると誤差を生じ 4 場合により特定の2点を選定してその圧力差変化における やすいという事実に留意しなければなりません。作動油のフ 中立点シフトとして表現します。 ローフォースの影響を受けるバルブの場合、制御流量が存在 しない内部漏洩量の計測点と制御流量計測点が、電流値で 4.11 戻り側圧力変化に伴う中立点シフト 一致していても、スプール位置では、必ずしも一致しないこ 1 4.1項の手順1~ 5を行って、中立点バイアス電流を得て記 とが考えられます。特に中立領域では制御流量と内部漏洩 録します。 量の差が微少なため、誤差は顕著になります。 2 ゆっくりと戻りラインのバルブを絞り、適当な変化分ずつ戻 7 手順 6で得たデータをプロットすればバルブの直線性、対称 り側圧力を増加させ、各々の戻り圧の時に、4.1項の手順 4 度、流量ゲイン、流量飽和について明らかになります。ただ ~ 5を行い、中立点バイアス電流を得て記録します。 し流量ゲインの小さな不連続性は、必ずしもこの方法によっ 3 以上のデータをプロットすることで、図 8が得られます。 て明らかにはされません。 4 4.10項の手順 4同様、特定の2点間のデータとしても存在 価値があります。 4.8 負荷流量特性 1 4.7項の手順1~ 4を行います。 4.12 温度変化に伴う中立点シフト 2 (+)の定格電流を加えたままの状態で、負荷バルブを閉じ この試験では、図 9に示すような簡単な位置制御ループを組ん 始めます。 で、中立点バイアス電流を測定することを推奨します。 3 適当な点で閉じるのを止めて、流量計の読みとP1、P2の読 1 戻りラインシャットオフバルブを開きます。 みを記録します。計測点の採り方は、負荷圧力差の変化分 がほぼ等しくなるように全体で5点の計測点を設定します。 2 熱した作動油と冷えた作動油を準備し、共に定格圧力まで 昇圧しておきます。 10
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ QR 入力電流 iR 直線性、対称度に 関する限界(規定値) -iR 0 iR -PP 0 PP 入力電流[mA] 負荷圧力差[MPa] -QR 図 5 無負荷流量ゲイン特性線図(各点式) 図 6 負荷流量ゲイン特性線図(各点式) 0 0 中立点バイアス電流[mA] 中立点バイアス電流[mA] 図7 供給圧変化に伴う中立点シフトデータ 図 8 戻り側圧力変化に伴う中立点シフトデータ 高温油 低温油 供給ライン 供給ライン シャットオフ バルブ 混合 バルブ チェックバルブ シャットオフ 温度計 バルブ P バイパスP バルブ バルブ取り付け マニホールド ポテンショメータ PR 0 (分解能無限少のもの) タンク 中立点バイアス電流[mA] 温度計 チェック バルブ ループ ゲイン 低摩擦 ≧25sec-1 ピストン 中立点 バルブコイル バイアス (直列) 電流計 図 9 温度変化に伴う中立点シフト試験装置 図10 温度変化に伴う中立点シフトデータ 11 供給圧力[MPa] 制御流量[ℓ/ min] 作動油温度[℃] 戻り側圧力[MPa] 制御流量[ℓ/ min]
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ 3 混合バルブを用いて100°F(≒38℃)の油温にし、サーボバ 5.1 制御ポートを閉鎖して得られる特性データのうちの ルブに加えます。以下混合バルブの調整バルブの調整で、適 圧力ゲイン、極性、中立点などの諸特性を得る手順 当な変化分ずつ温度を変化させ、各々の設定温度での中立 1 装置にバルブを取り付けます。 点バイアス電流値を読み取ります。温度を変化させバイアス 電流が安定した後、最低1分間を経てから読み取る必要が 2 制御ラインバルブを閉じます。 あります。また、ピストンのフリクション低減のために、バル 3 戻りラインシャットオフバルブを開きます。 ブにディザー信号を加えることも有効です。 4 供給ラインシャットオフバルブを開き、圧力調整バルブを調 4 手順 3を100°F→最大使用温度→最低使用温度→100°Fと 節して、規定の圧力を加えます。戻りラインの背圧分を供給 一巡させて読み取り量をプロッ卜すると、図10のようなデー 側で補償します。 タが得られます。 5 レコーダのペンを上げて、入力電流を(+)の定格から(-)の 定格まで数回循環させ0入力電流で止めます。 6 Y軸に負荷圧力差、X軸に入力電流を記録できるようにプ ロッタをセットします。 5.0 静的性能試験 連続式 最大負荷圧力差 ⊿Pmax=±P ̶ P最大入力電流 i max= 0.2 i(定格の20%)   (Static Performance Test R    ̶ Continuous Data が描けるようにスケール換算します。) 7 自動入力信号の振幅を大体±0.2iRにセットします。(または 予備テストをして適当な値を選ぶ) 4.0に記した各点式測定法と共に、半自動式プロット装置によ 8 レコーダペンを上げたまま自動入力信号で1~数サイクル りサーボバルブの静的性能を連続的に記録する方法が併用さ を与えます。ペンの動きを見て、レコーダの動特性の制約を れています。各点式よりも複雑なデータが短時間に得られ、計 受けずに滑らかなプロットを得られる速度であることを確 測者ごとの読み取りの差の問題も無いなどの利点があります。 認します。 9 ペンを下げて1サイクルを描かせ、圧力ゲインプロットを得 装置概要(図11) ます。(図13) サーボバルブの制御流量を、速度検出器を備えた大容量ピスト 10 上記プロット中PPに対して±40%の範囲の傾斜がバルブ ンに接続します。ピストン速度は制御流量と等価であり、ピスト の圧力ゲインです。 ン速度の電気信号を制御流量に置き変えて記録すると、流量ゲ インプロットが得られます。 11 入力信号とP1、P2の圧力の高低の関係を読み取れば、バル ブ極性の確認となります。 プログラム化された入力信号電流をサーボバルブに与えます。 通常、入力信号は図12のような三角波です。入力信号を サイ 12 圧力ゲインプロットのX軸(入力軸)との つの交点の中点1 2 クル与えるとピストンは途中で方向を逆転するので、ピストンが がバルブの中立点バイアスを示します。 ボトミングを起こさないように1サイクルの時間をプログラムし ます。 5.2 内部漏洩量 入力前の時点では、ピストンは片端に位置していますが、この 1 5.1項の手順1~2を行います。 時、装置には弱い位置制御ループが働いて、ピストン位置を保持 2 戻りラインバルブを調節して、戻りポートの流量がピストン していますが、入力信号が与えられている間は、開ループとなり に導かれるようにします。 ます。 3 Y軸に戻りポート流量が描けるようにプロッタを設定し、Y また、制御ラインバルブ(2つの制御ポート間に設けられたバル 軸は内容漏洩量の最大値、X紬には定格電流 iRが描き切れ ブ)を閉じることにより、圧力ゲインのプロットも作ることがで るよう、スケール換算します。 きます。これらのプロットを取るに際し、中立点付近を拡大して 4 自動入力信号を+ iRから- iRまでの半周期に設定します(。半 プロットするために入力電流振幅を変えることができます。 周期の設定ができない場合は、手動で半周期を入力します。) 装置によっては、負荷流量特性をプロットできるものがあります 5 規定の圧力をバルブに加えます。プロッタピストンは、すぐ が、図11では、制御ラインバルブ(各点式の負荷バルブに相当) に動き始めるのでレコーダペンを下げて手順 4にある入力 により負荷圧力差を調節する手法を採っています。他に、重りに 信号を加えます。滑らかなプロットを得るために、特に中立 より一定の負荷圧をかける場合もあります。 領域では十分プロット速度を低くしてください。 制御ポートを閉じ(制御ラインバルブ閉鎖)、戻りラインの作動油 6 手順5を終らぬ前にピストンが終端に当ってしまった場合は、 をピストンに導いて、内部漏洩量対入力電流プロットを取るこ 戻りラインと制御ラインのバルブのモードを変えて、ピスト とも可能です。 ンを開始端まで戻した後、再度手順 2~ 5を行います。 各試験に先立ってY軸入力を1サイクル与えてプロットし、0軸 7 以上の手順で内部漏洩量対入力電流のプロットが得られま を設定する必要があります。 す。(図14) 12
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ シャットオフ 圧力調整 アキュムレータ 供 バルブ バルブ 給 ラ イ ン 10µ フィルタ PP バルブ取り付け マニホールド アキュムレータ 温度計 シャットオフ バルブ 戻りラインバルブ チェック タンクへ バルブ P1 P2 電気式 圧力検出器 制御 ラインバルブ 位置検出器 速度検出器 信号加算 回路 大容量ピストン センタリング用 フィルタ 低ゲイン 位置制御ループ X-Y バルブコイル レコーダ 信号 DCアンプ (直列) 発生器 入力電流計 Y X 入力振幅 調整 精密抵抗 図11 連続式静的性能試験装置 PP iR 入力波形 0 時間 -iR 0 max 入力電流[mA] 0 入力電流[mA] ピストン位置 0 時間 -PP 図12 入力電流波形とピストン位置 図13 圧力ゲイン特性線図(連続式) 図14 内部漏洩量線図(連続式) 13 ストローク 電流 負荷圧力差[MPa] 内部漏洩量[ℓ/ min]
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ 5.3 無負荷流量特性 られるようバルブを適切な速さで開けるよう試みます。次に 次の手順により、流量ゲイン、直線性、対称度、ヒステリシス、流 (-)の入力電流を加え、ピストンを開始端に戻し、制御ライ 量飽和などのデータが得られます。 ンバルブを閉じます。 1 5.1項の手順1~ 5を行います。 6 レコーダペンを下げて、手順5を行い、図16中の1つのプロッ 2 制御ラインバルブを開きます。 トを得ます。 3 Y軸に制御流量、X軸に入力電流が入力されるようにセット 7 入力電流値を変えて手順 5~ 6を繰り返し、図16のような し、Y軸最大値 Q max=±Q プロット群を得ます。R(定格流量)、X軸最大値 i max=±iRとなるようにスケールを設定します。 4 レコーダペンを上げた状態で1サイクルの入力信号を与え、 ピストンのボトミングが無いこと、各部圧力が安定している こと、プロット速度がレコーダの動特性の影響を受けない 6.0 動特性試験 位低いことを確認します。 5 ペンを下げ、図15のような無負荷流量特性のプロットを得 無負荷状態で、正弦波信号を加えた時のサーボバルブの周波数 ます。 応答特性は、図17と同等の装置で試験できます。バルブの制御 6 流量ゲイン、直線性、対称度、流量飽和に関しては許容限度 流量は、低質量、低摩擦のアクチュエータに導かれます。ピスト を透明のシートに描いたオーバレイを合わせることで容易 ンの運動は、速度検出器によって電気信号化されます。 に良否の判断ができます。 アクチュエータの設計は、サーボバルブの実用周波数域(通常数 7 バルブのヒステリシスは無負荷流量特性プロット中の最大 百Hzまでを見込む)での駆動に要する負荷圧力変動が無視で 電流幅(i )で表されます。 きるように配慮してください。w 位置フィードバック用差動変圧器は、アクチュエータの片寄 ヒステリシス(%)=( iw )×100 りによるボトミングを防ぐために、ポジショニングのためのiR 弱い位置フィードバックループを構成します。速度検出器は ピストン速度が制御流量と等価になるために流量測定に用 5.4 スレッショルド いられます。信号発生、増幅装置は試験周波数全域にわたっ プロッタ装置により、スレッショルドの試験も可能です。 て、サーボバルブに歪みのない正弦波電流を供給できるもの 1 5.3項の手順で得られる無負荷流量特性プロットの手順に でなければなりません。入力(電流)対出力(制御流量)の振 準じて行いますが、X、Y両チャンネルの感度を上げてスレッ 幅および位相の関係はオシロスコープのリサージュ図形から ショルドの試験に対応できるようにします。 読み取るか、それに代わる適切な測定器を用いて測定します。 レコーダペンを下げて、流量変化が記録されるまで、手動で サーボバルブの動的試験に際しては、圧力を一定に保つため2 ゆっくりと入力電流を加えます。次に、今度は逆向きに電流 の注意を払わなければなりません。新しい装置では、試験中 をゆっくり変化させ再度流量変化が現われるまで続けます。 に供給、戻り両ラインの圧力の変動が見られます。圧力調整 こうしてスレッショルドのプロットが得られます。 バルブ、アキュムレー夕、配管などの選定に注意して過度の 圧力変動を避けなければなりません。入力が小さ過ぎたり大 3 中立点付近で手順 2を繰り返し最大値をスレッショルドのプ き過ぎたりするとサーボバルブの非直線性のために出力波 ロットとします。ピストンのボトミングに注意してください。 形が歪み、正確なデータが得られない場合があります。入出 4 スレッショルドは、プロットの最大電流幅(in)として求めら 力波形の歪みに十分注意して試験を行わなければ、信頼性の れます。 高いデータを得ることはできません。 i スレッショルド(%)=( ni )×100R 6.1 振幅比 次の手順により、図18に示すような入出力振幅比のデータが得 5.5 負荷流量特性 られます。 1 5.1項の手順1~ 5を繰り返します。 1 サーボバルブをアクチュエータに取り付け、電気コネクタを 2 Y軸に制御流量、X軸に負荷圧力差の信号を入力します。 接続します。 Y軸最大値Qmax=±Q (定格流量) 2 戻りラインのシャットオフバルブを開きます。R X軸最大値⊿Pmax=±PP(供給圧力) 3 供給ラインのシャットオフバルブを開き、圧力調整バルブの となるようスケールを選定します。 調節により、サーボバルブに規定の供給圧力を加えます。戻 3 入力電流を一定値+i にセットします。 りラインの背圧力を供給側で補償してください。バルブと装R 置の極性が合っていれば、位置フィードバックの弱いループ 4 制御ラインバルブを開きます。 が、アクチュエータを中心に保とうとして働きます。 5 レコーダペンを上げた状態で負荷バルブをゆっくり開き、 4 関数発生器の周波数を基準周波数(通常10Hz)に設定します。 ピストンストローク内で0流量から最大流量まで変化させ 5 所要の入力振幅を得るまで関数発生器の出力振幅を増しま 14
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ QR 入力電流 iR 0 -PP 0 PP 入力電流[mA] 負荷圧力差[MPa] -QR 図15  無負荷流量ゲイン特性線図(連続式) 図16  負荷流量特性線図(連続式) シャットオフ 圧力調整 アキュムレータ 供 バルブ バルブ 給 ラ イ ン 10µ フィルタ PP バルブ取り付け マニホールド アキュムレータ 温度計 PR チェック バルブ AC励磁 シャットオフ バルブ 速度検出器 位置検出器 低質量、低摩擦 タンクへ ピストン AC励磁 デモジュレータ ローパスフィルタ 位相計 センタリング用 低ゲイン 位置制御ループ オシロスコープ 関数発生器 DCアンプ Y X 入力振幅 バルブコイル 精密抵抗 調整 (直列) 図17  動特性試験装置 15 制御流量[ℓ/ min] 制御流量[ℓ/ min]
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第2章 サーボバルブの試験法 サーボバルブ す。アクチュエータがボトミングしないことをオシロスコープ 6.2 位相角 上で確認します。ピストンを中心に置くためにバルブバイア 位相角のデータは、6.1項の振幅データと同時に求めることが ス電流を少し調整します。 できます。 6 オシロスコープの入力減衰器を調整してサーボバルブの入 各計測点で適当な位相計を用いて、速度信号と電流信号との間 力信号と出力信号の表示振幅(波高)の基準を設定し、両信 の位相角を読み取ります。また、オシロスコープのリサージュ波 号からなるリサージュ図形の基準をつくります。 形から位相角を求めることができます。 7 関数発生器の周波数を次の計測点まで上げます。 -1 ⊿X 8 必要があれば、関数発生器を再調整して入力信号の振幅を θ=sin ( X )P-P 基準通りに維持します。 θ ……位相角(°) 9 速度振幅(出力信号)を記録し、次の式によりデシベルで表 ⊿X ……リサージュ図形のX軸方向の開き します。 XP-P ……リサージュ図形のX軸方向ピーク値(基準振幅) 速度振幅測定値(出カ振幅) 振幅比(dB)=20 log10 速度振幅基準値(入カ振幅) また計算に代えて振幅を基準値に補正すると補正ダイヤル からdB数を直読できる装置もあります。 10 以下各計測点で手順 7~ 9を行います。計測点は、90°位相 遅れ点の周波数までの間に10点を設定することが望まし いです。 ⊿X XP-P +6 -260 +5 -250 +4 -240 +3 -230 +2 -220 +1 -210 0 -200 -1 振幅比 -190 -2 -180 -3 -170 -4 -160 -5 -150 -6 -140 -7 -130 -8 -120 -9 -110 -10 -100 -11 -90 -12 -80 -13 -70 -14 -60 15 位相角- -50 -16 -40 -17 -30 -18 -20 -19 -10 -20 -0 5 10 20 30 40 50 100 200 300 400 500 周波数[Hz] 図18  周波数応答特性線図 16 振幅比[dB] 位相角[°]
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第3章 ムーグ産業用標準品の取り扱いに関して サーボバルブ 第 3 章  ムーグ産業用標準品の取り扱いに関して 1.0 試験成績書 製品の性能を把握するためにご活用ください。 17
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第3章 ムーグ産業用標準品の取り扱いに関して サーボバルブ 2.0 修理報告書および修理試験成績書 2.1 修理報告書 2.2 修理試験成績書 システムの運転状態の診断にご活用ください。 修理試験成績書は修理報告書とセットで発行されます。 ※3 ※4 ※1 工数ランク 一般産業用サーボバルブ A・・・性能検査のみ B・・・A+分解点検・洗浄・内部シール一式交換 C・・・B+トルクモータアッセンブリ交換 D・・・B+ブッシングとスプール交換 E・・・B+C+D ※2 新品販売時期または前回修理返却時期を示します。 ※3 通常、内部漏洩量の許容値は新品時の2倍です。 ※4 受領時、測定値が許容値に入らない場合のみ「NG」の記号が 記入されます。 18
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第3章 ムーグ産業用標準品の取り扱いに関して サーボバルブ 3.0 サーボ系のフィルトレーション 4.0 サーボバルブの取り扱いと保管 図19は、ムーグが推奨するサーボ系の基本的フィルトレーショ サーボバルブの規定の性能を得るためには、第 2章に記され ン回路です。高圧フィルタの役割は、サーボバルブ上流の油中の る試験装置を用いて熟練した技術で調整する必要がありま ゴミを捕捉し、スプールエッジの摩耗とゴミ詰りによる作動不 す。また、組立時に内部にゴミを入れないためや長期的に安定 良を防ぐことにあります。従ってエレメントが目詰りを起こした した性能を確保するには、相応の設備と手順が必要です。この 時、ゴミを含んだ油がバイパスする構造のものでは、バルブがゴ ため、サーボバルブを現場で修理することは、不可能と言えま ミに侵されることになり、真の意味のプロテクタとは成り得ませ す。不馴れな方が分解された場合、主要部品の破損の可能性 ん。そこでムーグ高圧フィルタのようなノンバイパスタイプが必 が高く、修理による費用や日数を増加させることになりますの 要となります。濾過能力は、細かい方が良いのですが、交換頻度 でご注意ください。サーボバルブを保管される場合は、必ず添 などコストの問題もあり、現状では絶対 3μm位が妥当のよう 附の取り付け面用のシッピングプレートをネジ止めし、ポート です。次に低圧フィルタは、シルトコントロール(超微小ゴミの除 からゴミが侵入するのを防いでください。サーボバルブには永 去)を目的とし、回路内でゴミ生成の原因となる微小ゴミを捕捉 久磁石が内蔵されておりますので、長期間、磁場の中に保管し できる能力が要求されますので濾過能力は、絶対 3μmのもの た場合や、大きな磁性体に近接させておいた場合には、性能 が望まれます。このフィルタを回路の最終段に装着すればタン が劣化することがあります。 ク内の油は極めてクリーンに保たれます。万一、複数の回路が1 つのタンクを共用し、しかも全回路へ低圧フィルタを装着する ことが不可能な場合は、低圧フィルタを使用した、フィルトレー ション専用回路を設けて、タンクの清浄度を保つことが望まれ 5.0 サーポバルブの寿命の判定について ます。以上のような配慮の下にフィルタ回路を設計していただけ れば、サーボバルブに関するトラブルの90%は解消され、しか サーボバルブの寿命の判定基準によく用いられるものに内部漏 もシステム全体の寿命は4~10倍も延びることになります。良 洩量があります。これは漏洩量が測定値として明確に得られ、他 いフィルタと、良いフィルタ回路はメンテナンスの費用を大幅に の部品の摩耗もそれに準ずることが経験的に知られていること 削減することになります。 と、油圧供給源の容量の問題があるためです。しかし、システム がサーボバルブに求める性能は、システムごとに異なり、Aのシ ステムで使用可能なバルブがBのシステムでは使用不可能と言 シリンダ うケースは、めずらしくありません。可能であれば、各システム ごとにサーボバルブに求める限界性能を設定することが寿命判 断の基準となりますが、種々の問題があり、一般的ではありま せん。サーボバルブの摩耗のパラメータとなるのは、作動油中 サーボバルブ のゴミの量、ゴミの質、使用時間などであり、バルブの寿命は、 P R 作動油の汚染度、ゴミの質、サーボバルブに求められる限界性 能などのファクタから決まります。 高圧 リリーフ フィルタ バルブ 現状、サーボバルブのシステムにおける寿命の判定を行うには、 バルブの定期検査をお勧めいたします。定期検査によってバル ブに許容される限界性能(ムーグの新品規定値とは必ずしも一 致しません)を把握し、以後のメンテナンスの指針とする方法が クーラ 現実的です。メンテナンスの際に、バルブの実働時間、油の汚染 ポンプ 度の記録が無ければ、正しい評価をすることは不可能です。 低圧 フィルタ リザーバ 図19 ムーグ推奨フィルタ回路 19
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