【導入事例】南伊勢町様

導入事例 自治体 災害情報伝達システム整備 三重県度会郡 南伊勢町 様 地震・津波被災を想定した災害情報伝達システムを 4.9GHz無線LANで構築 ▪ 天候に左右されにくい、安定した災害情報伝達システムを構築 Point ▪ RADWIN 2000により、最長23kmの長距離通信を実現 ▪ 高音質のIP音声通話が実現 三重県度会郡 南伊勢町 海に囲まれた町ゆえに 大地震の発生が懸念されているいま、地震・津波 南海トラフ大地震・津波への への対策は、海辺の町、南伊勢町の最重要課題 対策が急務 として取り組む必要があった。 町内に既設されている通信会社の基地局は、 三重県度会郡 南伊勢町 三重県度会郡 南伊勢町は、伊勢志摩国立公 浸水予想地域にあるため、ひとたび津波に襲わ 園の一角を占め、熊野灘に面したリアス式海岸の れれば、長期間に渡り通信回線が途絶えてしまう 「安全・安心を実現し、希望を持ち 誇れる南伊勢町」をスローガンに掲 美しい景観を誇る風光明媚な町である。水産業 可能性もあるという。「災害時には食料や生活用 げる南伊勢町は、三重県南部の熊 が盛んで、鰯や鯖の水揚げ量は全国トップクラス。 品なども必要ですが、情報がないと、なにも行動 野灘に面し、伊勢志摩国立公園の 「大伊勢海老」や「伊勢まぐろ」といった、南伊勢 ができません。まずは通信を確保することが最優 一角を占める自然豊かな地に位置 ブランドの特産品を多く出荷している。農業にお 先だと考えていました」と、小山町長は防災対策 する。2005年10月に旧南勢町と いては、温州みかんの「内瀬みかん」「マルゴみ の方針について語る。 旧南島町が合併して生まれた、人 かん」や、幻の柑橘と呼ばれる高級みかん「せと 従来から町内には防災行政無線を整備してい 口約13,000人の町である。第一 か」などの有名品種の産地として名高い。 たが、南伊勢町役場 防災課 防災係 係長 瀬古 次産業が盛んで、網漁業や養殖漁 南伊勢町長の小山 巧氏は、豊かな自然がもた 智秀氏は「従来の防災無線だけでは仕事が継続 業、柑橘類の栽培が広く行われて らす特産品の数々に胸を張る一方、その地形が できません。データの送受信ができないと、用を いる。 ゆえの悩みも明かす。「南伊勢町は、その約1/4 なさないのです」と、その課題を語る。そのため http://www.town.minamiise.mie.jp が海岸線です。町民の住む38集落のうち33集 「災害時の通信を確保する情報伝達システムの 落が海から近い場所に密集しています。そのた 整備を、町独自でするしかないという結論に至り め、地震による津波への対策が急務でした」と、 ました」と、瀬古氏は当時を振り返る。 危機感を露わにする。南海トラフを震源とする巨 導入製品 南伊勢町 南伊勢町役場 ▪RADWIN 2000 町長　 防災課 防災係 係長（防災士） ▪RADWIN 5000 小山 巧 氏 瀬古 智秀 氏 ▪Apresia5412GT-HRSS

や周りの状況も音声を通じて把握でき、災害 南伊勢町 回線経路計画図 時の情報収集には強い武器となる。 災害対策本部 また、二次避難所は無料のWi-Fi®スポット 龍仙トンネル 南伊勢町役場 地震二次避難所 としても機能する予定だ。町民は各自でメール 南伊勢町役場 防災拠点 監視カメラ やSNSなどでの情報の発信や連絡を取り合う 中継局 アプローチ回線 南勢中学校 再送信局 グラウンド ことができる。「二次避難所へ行けばWi-Fiが つながる、とわかっていれば、皆さんが集まり ます。自家用車の中で生活して体調を崩すと 浅間山 いったリスクも低減できます。人が集まれば情 中ノ磯 村山 東宮 報も集まり、知恵も生まれると考えています」 と、瀬古氏は防災に対する思いを熱心に語る。 神前浦 奈屋浦 画像の配信・共有で災害時の 適切な対応が可能に こうして整備された災害情報伝達システム ▲ 浅間山中継局 は、データ通信なので音声だけでなく画像も 送ることができる。沿岸に監視カメラを設置 して、災害時の被害状況を確認することも計 8か所の中継局と5か所の子局を あるが、途中に電波遮へい物がないため、無 画中だという。 長距離無線LANで結ぶ 中継で結んでいる。子局のある5か所は防災 今後の展望として、瀬古氏は「例えばド 拠点と二次避難所となる。 ローンを飛ばして、被害状況を画像で確認す 新たな災害情報伝達システム導入にあた 肝心の長距離無線LANの通信速度に関し ることも考えられます。町民がスマートフォン り、衛星携帯電話などさまざまな通信方式を ては「想像の倍以上の速度が出ました。無線 で撮った画像を共有することもできますね。 検討した。しかし衛星携帯電話は、試用段階 LANでここまでの速度が出るとは思っていま 災害現場の画像を素早く確認できれば、より でデータ通信が不安定になることがあった。 せんでした」と設計・構築を担当した扶桑電通 適切な対応ができます」と、その効果に期待 「災害という非常時に使用する通信網として 株式会社は、試験当時を思い返す。 をよせる。 は不安がありました」と、瀬古氏は顔をしかめ しかしこのシステムは、単に通信網を整備 また、Wi-Fiスポットの拡充も視野に入れて る。調査を進める中で、他の自治体でも安定 しただけではない。「災害対応のソフトも開 いるという。「町民の皆さんに普段から使っ 的に運用をしているという評価を得たのが、 発中です」と瀬古氏は、長期的な防災計画に て親しんでもらうことで、災害時にも慌てるこ 4.9GHzの長距離無線LAN方式だった。そ ついて語る。「従来の防災無線は行政側が となくスムーズに使いこなすことができると考 して最終的に選ばれた製品は、エイチ・シー・ 一方的に情報を発信するだけでしたが、個人 えているからです」と、常に町民の安全を第 ネットワ－クスが提供する無線LANソリュー の携帯電話やスマートフォンから情報を発信 一に考えている姿勢を覗かせる。 ションであるRADWIN 2000/5000だ。 できるソフトがあれば、精度の高い情報が集 被災時にも安定して使用できる災害情報伝 RADWIN 2000は、最大で見通し50km まります。例えば、避難所に非常食が欲しい、 達システムがすべて完成すれば、南伊勢町 の長距離、１対１で最大250Mbpsの高速通 おむつが足りないといった声が多くあれば重 は豊かな自然と共存しながら安心して暮らせ 信を可能にし、RADWIN 5000は最長20km 要度の高い情報と判断でき、迅速に対応でき る魅力溢れる町として、これからも発展して の距離を1対Nで結ぶ長距離無線LANだ。 ます」と、町民の声を丁寧に吸い上げる制度 いくだろう。 4.9GHz帯の電波は直進性が高く遠距離まで 作りに取り組んでいるのだ。 到達し、さらに天候の影響を受けにくいことも すべての工事の完了は平成31年度に予定 特長に挙げられる。 されており、防災拠点と二次避難所を合わ 2016年9月から始まった工事は、8か所の せ、約20拠点を結ぶ通信網の整備が計画さ 中継局と5か所の子局からなる大がかりなも れている。本システムではIP電話による音声 のだ。 通信が行える。実際に音声通信を使ってみて 防災拠点である、南伊勢町役場南勢庁舎 驚いたのは、その音質の良さだという。「予 の基地局から発せられた電波は、浅間山に設 想よりもクリアに聞こえることに感動しまし けられた中継局を経て、神前浦中継局と龍仙 た。心配していた遅延も、ほとんど感じませ トンネル中継局へと分岐する。浅間山中継局 ん」と、瀬古氏は音声を聞いた時の印象を語 （前列：中央） 三重県度会郡 南伊勢町 様 （前列：左右） 扶桑電通株式会社 中部支社 津営業所 様 から神前浦中継局までは約23kmもの距離が る。音質がクリアであると、通話相手の感情 （後列） エイチ・シー・ネットワークス株式会社 ※記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。 ※記載の情報（組織名、役職名、製品価格、製品仕様、サービスの内容、お問い合わせ先、URLなど）は、取材日現在の情報です。 〒111-0053 東京都台東区浅草橋1-22-16 ヒューリック浅草橋ビル4階 ※記載の通信速度などは、ご使用の環境により変化するもので、保証するものではありません。 ※記載の通信距離は、遮へい物のない見通し距離の目安です。 https://www.hcnet.co.jp/ ※記載の内容は、予告なしに変更する場合があります。 ※記載の製品を輸出される場合には、外国為替および外国貿易法の規制ならびに米国輸出管理規則など外国の輸出関連法規をご確 CAT.NO.HCNET-042 Printed in Japan 201803 認のうえ、必要な手続きをお取りください。なお、ご不明な場合は、弊社担当営業にお問い合わせください。